JP4348222B2 - 注入型硬化性樹脂組成物および該樹脂組成物を使用してなる複合体 - Google Patents

注入型硬化性樹脂組成物および該樹脂組成物を使用してなる複合体 Download PDF

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Description

本発明は、透明性および耐貫通性に優れた注入型硬化性樹脂組成物に関する。殊に、耐打ち破り性、耐こじり破り性などの耐衝撃性、耐貫通性に優れた合わせガラス用に好適な透明性に優れた薄膜形成用の注入型硬化性樹脂組成物および該樹脂組成物を使用してなる複合体に関する。
従来より、透明性と耐貫通性に優れる、例えばポリビニブチラールのプラスチックフィルムを一対のガラス板間に挿入、固着し外観および光学性能に優れかつ耐貫通性を有する合わせガラスのごとき複合体を得る技術が知られている。このような複合体は、具体的用途として、自動車用や建築用の合わせガラス、太陽光発電モジュール、液晶モジュール等種々の方面に利用されている。
しかし、プラスチックフィルムをガラス板間に固着させるには高価な熱圧着装置(オートクレーブ等)を必要とし、作業工程が煩雑であり製造場所が限定されるため設備や費用が掛り、小規模〜中規模の製造には不向きであり、得られた製品の輸送費が高くなる等の問題がある。
また、液状の硬化性樹脂組成物をガラス板間のセルに注入し樹脂を硬化させ接着する方法もよく知られている。このようなガラス板間に硬化性樹脂組成物を注入し硬化させる方法は反応熱が蓄積し易いセルの中央部から硬化が進行し周縁部との間に硬化速度に時間差が生じ周縁部や隅部に剥離現象が見られたり、不均一層が生じたりクラックが発生したりする問題がある。このような問題を解消する手段として、例えば、樹脂液の硬化前に、ガラス板及び/又は樹脂板の周縁部及び隅部を加熱し中央部と周縁部および隅部との硬化速度の差異をなくし、周縁部および隅部に剥離現象や波紋上の不均一層(ワカメ現象)やクラックの発生を防止する方法がある(特許文献1)。
また、常温硬化性樹脂組成物を使用するものとして、例えば、特定のアクリル単量体混合物と、特定の共重合体からなるアクリルシラップを、特定の触媒を用いて硬化させる方法がある(特許文献2)。また、アクリル酸エステル単量体混合物、アクリル酸エステル共重合体および可塑剤からなる粘度40cps以下のアクリルシラップをガラス板間に注入常温硬化する方法がある(特許文献3)。
しかし、特許文献1の方法では均一に接着性を良くし剥離等の問題をなくすために硬化時間を長く要するため生産性が悪い。また触媒として、金属塩類を使用する場合には使用量の調整により着色が認められない場合でも長期間の経過で着色する傾向にあり、着色の発生を抑えるために使用量を抑制すると硬化不良となる。また、特許文献2記載の特定のアクリル単量体混合物と、特定の共重合体からなるアクリルシラップ(特にブチル系モノマーを使用した場合)の硬化物や、特許文献3のように可塑剤で柔軟性を付与する場合は、得られる重合体の強度が低く、特に耐貫通性に優れるプラスチックフィルムのポリビニルブチラールを用いた場合に比較して強度が低くなり耐貫通性能が低下する。強度を高くするために架橋性モノマーを加えると柔軟性が低下して剥離等が生じやすくなる。また、熱可塑性樹脂シートやフィルムを接着剤や接着樹脂と共にガラス板間に挿着してガラスを固着する積層ガラスに関する技術も知られている(例えば、特許文献4)が、接着ムラや気泡の混入等で不良率が高くなるという問題を生じる。従って、透明性および耐貫通性といった基本性能がポリビニルブチラールで代表されるプラスチックフィルムと同等以上であって、更に注入硬化性にも優れた薄膜形成用注入硬化性樹脂組成物が求められている。
特開平4−33812号公報 特開平6−191902号公報 特開平6−199908号公報 特開2002−321948号公報
本発明は、上記の事情に鑑み為されたもので、透明性および耐貫通性といった合わせガラスにおける基本性能が、従来から使用されている例えばポリビニルブチラールと同等以上であって、更に注入硬化性にも優れた薄膜形成に優れた注入型硬化性樹脂組成物ならびに本樹脂組成物を使用した複合体を提供するものである。
本発明者らは上記課題につき鋭意研究した結果、以下に示す特定組成の樹脂組成物により、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)A)分子内に少なくとも2つの水酸基を有する化合物と、脂肪族および/または脂環式多価イソシアネートおよびヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との付加反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマー、B)テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを必須成分として含有する(メタ)アクリルモノマー反応性稀釈剤、C)ラジカル重合開始剤、およびD)チオ尿素化合物を含有する硬化性樹脂組成物に、E)2−((メタ)アクリロイロキシ)エチルアシッドフォスフェート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシランから選ばれる化合物の1種または2種以上を添加してなることを特徴とする注入型硬化性樹脂組成物、(2)前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは反応性稀釈剤中5〜90重量%である上記(1)記載の注入型硬化性樹脂組成物、(3)前記チオ尿素化合物は樹脂組成物100重量部に対して0.01〜3.0重量部である上記(1)記載の注入型硬化性樹脂組成物に係る
また本発明は、(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の注入型硬化性樹脂組成物を、少なくとも1枚がガラス板からなる板体で構成された単独セルもしくは複合セルに注入し、0〜80℃で硬化させてなることを特徴とする複合体に係る。
本発明の注入型硬化性樹脂組成物は、低粘度で扱い易く比較的狭い隙間に短時間で注入可能であり、注入後、容易に硬化可能で、安価な製造設備で容易に外観および光学性能に優れかつ耐貫通性に優れる合わせガラスなどの複合体を得ることができる。得られた複合体は、自動車用もしくは建造物用に用いられる合わせガラス、太陽光発電モジュール、液晶モジュール等に好適であり、特に合わせガラスに好適である。
本発明に係る注入型硬化性樹脂組成物は優れたラジカル硬化性を有し、加熱下または常温下で短時間に硬化し、適度な伸び率と強度を有し、さらにチオ尿素化合物を配合した注入型硬化性樹脂組成物は特に耐着色性に優れた硬化膜を付与する。本発明の注入型硬化性樹脂組成物を使用して得られる合わせガラスで代表される複合体は、耐打ち破り性、耐こじり破り性などの耐衝撃性、耐貫通性に優れ、透明性、耐着色性に優れた複合体である。
また、本発明のチオ尿素化合物でプロモートされた樹脂組成物は、従来の金属酸化物等によるプロモート樹脂と比較して保存安定性に優れ、硬化時の着色性が全くないという優れた効果を奏する。更にフェノール系酸化防止剤を併用しても常温硬化性が低下することなく、強靭な薄膜を常温硬化で形成することができる効果を奏する。したがって、淡色な樹脂の製造に有利な酸化防止剤を多く使用でき安定した製造を行うことが可能となる利点がある。また紫外線吸収剤との反応による着色もないことから幅広い種類の紫外線吸収剤を使用することが可能で、その使用量も多くすることが可能である。従って、紫外線遮断性に優れた合わせガラスの製造が可能である。
本発明は、透明性および耐貫通性に優れた薄膜形成用の注入型硬化性樹脂組成物(以下、単に「硬化性樹脂組成物」という)および該硬化性樹脂組成物を使用した複合体に関する。
すなわち本発明は、(1)特定のウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーと特定の(メタ)アクリル系モノマー、ラジカル重合開始剤を必須成分として含有する硬化性樹脂組成物に係る。また、(2)特定のウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーと特定の(メタ)アクリル系モノマー、およびラジカル重合開始剤を必須成分として含有する組成物にさらにチオ尿素化合物を配合してなる硬化性樹脂組成物に係る。
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、特定のウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーと特定の(メタ)アクリル系モノマーとの組み合わせにより柔軟性に優れながら強度が高い硬化物が得られ、注入型でありながら従来のポリビニルブチラールフィルムを使用した場合と同等の性能を有する合わせガラスのごとき複合体を安価な設備で得ることができる。さらに、チオ尿素化合物を配合した樹脂組成物は着色性が全くないため、従来の金属塩類を使用する常温硬化型樹脂組成物と比較して、還元剤の使用量を多くすることができ結果として薄膜硬化性に優れた常温硬化型樹脂組成物とすることができる。また硬化時間も短縮でき生産性に優れる樹脂組成物とすることができる。
本発明は、上記(1)〜(3)に示すいずれかの硬化性樹脂組成物を、少なくとも1枚のガラス板または透明合成樹脂板および/または他の板状体で形成されるセル中にて0〜80℃の条件で硬化させて複合体とすることができる。本発明において上記(1)の硬化性樹脂組成物は、加熱硬化型であり40〜80℃の温度で硬化させることが好ましく、上記(2)の硬化性樹脂組成物は、常温硬化型であり0〜40℃の温度で容易に硬化させることができる。
本発明に係る上記(1)〜(3)の硬化性樹脂組成物は優れたラジカル硬化性を有し、加熱下または常温下で短時間に硬化し、適度な伸び率と強度を有し、さらにチオ尿素化合物を配合した上記(2)に係る硬化性樹脂組成物は常温で容易に硬化し特に耐着色性に優れた硬化膜を付与する。
かくして得られる合わせガラスで代表される複合体は、耐打ち破り性、耐こじり破り性などの耐衝撃性、耐貫通性に優れ、透明性、耐着色性に優れた複合体である。上記の「複合体」を代表的な「合わせガラス」を例に以下に説明する。
本発明における特定のウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーとは、分子内に少なくとも2つの水酸基を有する化合物と、脂肪族および/または脂環式多価イソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との付加反応により得られる。
本発明における上記の分子内に少なくとも2つの水酸基を有する化合物としては、特に制限されないが、例えば、ポリ(エチレンオキサイド)ジオール、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、コポリ(テトラメチレン)オキサイドジオール、ポリエステルポリオール、(水添)ポリブタジエンポリオール、カプロラクトン変性ジオール、ポリカーボネートジオール等の多価アルコール類が挙げられる。さらには、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂類、さらに飽和ポリエステル等の熱可塑樹脂等も例示できる。
これらは、2種類以上を適宜混合して用いても良い。これらのうち主として多価アルコール類が汎用される。
本発明における上記の脂肪族多価イソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、代表的なものとしてヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルジイソシアネート等が例示され、脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、代表的なものとしてイソホロンジイソシアネート、メチレン(ビス)4−シクロヘキシルイソシアネート等が例示される。これらは、2種類以上を適宜混合して用いても良い。
本発明における上記のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物は、特に制限されないが、例えば、代表的なものとして2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が例示される。これらは、2種類以上を適宜混合して用いても良い。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーを得る方法は特に限定されない。例えば、まず多価アルコールと多価イソシアネートとを−OH基または−NCO基のモル比が1以下となる割合で混合し、錫化合物等の触媒存在下で反応させてプレポリマーを得る。次にこのプレポリマーにヒドロキシ(メタ)アクリレートを、−OH基または−NCO基のモル比が1以上となる割合で加えて反応させウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーを得る(以下、これを単に反応性オリゴマーと称することがある)。
本発明の硬化性樹脂組成物は、該反応性オリゴマーに反応性稀釈剤である(メタ)アクリル系モノマーを加えて硬化性樹脂組成物が調製される。硬化性樹脂組成物の調製に際して、これら反応性オリゴマーの使用量は、特に制限されないが10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がさらに好ましい。10重量%より少ないと耐貫通性能が低下し、90重量%を超えると高粘度となり取り扱い性が悪くなる虞がある。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマーの反応性稀釈剤として使用する(メタ)アクリル系モノマーとしては、少なくとも環状エーテル化合物を側鎖に含む(メタ)アクリレートを必須成分として含有する(メタ)アクリルモノマーである。
環状エーテル化合物を側鎖に含む(メタ)アクリレートと他の反応性希釈剤と併用することができる。併用される他の反応性希釈剤としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が例示できる。これらは、2種類以上を適宜混合して用いても良い。
また、多官能(メタ)アクリレート系モノマーも反応性稀釈剤として使用することができる。該多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとの多価エステル、ジビニルベンゼン、トリアリールイソシアヌレート、アリールメタクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。これらは、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
本発明における環状エーテル化合物を側鎖に含む(メタ)アクリレートは、得られる硬化物に適度な伸びと強度を付与することができる。これら環状エーテル化合物を側鎖に含む(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが入手が容易であることの理由からテトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートが好適である。その使用量は、反応性稀釈剤中5〜90重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましい。5重量%より少ないと添加効果が発現せず強度が不足して耐貫通性が不十分となる。一方、90重量%を超えると柔軟性が不足して耐貫通性が不十分となる。
本発明におけるラジカル重合開始剤は、加熱もしくは触媒の作用により自らもしくはその分解物が、反応性オリゴマーや(メタ)アクリル系モノマーの活性部位と反応し、硬化反応を開始する作用を有するものである。このような重合開始剤は特に限定されないが、次のようなものが例示される。例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル等の過酸化物が用いられる。これらのなかで40〜80℃の中温硬化ではパーオキシジカーボネートが好ましく、0〜40℃の低温ないし常温硬化では、ハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドが好ましく、特にクメンハイドロパーキサイドが好ましい。これらの重合開始剤は、単独であるいは2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
その使用量は特に限定されないが、樹脂組成物(反応性オリゴマーと稀釈剤)100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましい。0.1重量部未満では、硬化時間が長くかかり、5.0重量部を越えると硬化反応が急激過ぎてセルとの剥離が生じて好ましくない。
本発明におけるチオ尿素化合物はラジカル重合開始剤の作用を助ける促進剤の作用を有し、特に低温〜常温領域での硬化反応に用いられる。これらチオ尿素化合物は、チオ尿素または置換チオ尿素化合物であり、具体例としては、チオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレア、N,N’−ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、ジメチルエチルチオウレア、ジラウリルチオウレア、ジメチルチオウレア等が挙げられる。なかでもジエチルチオウレア、エチレンチオウレア、ジメチルチオウレアが好ましい。特に制限されないが重合開始剤のクメンハイドロパーオキサイドとの併用が好適である。
本発明におけるチオ尿素化合物は樹脂組成物に予め適量溶解して、いわゆるプロモートタイプの樹脂として使用するのが好ましい。この際の溶解量は必要とする所望硬化時間等により調整すればよく特に制限されない。また溶解方法も特に制限されないが40〜80℃に加熱、溶解して加える方法、もしくはメタノール等のアルコール系溶剤に溶解した後添加する等の方法で溶解すればよい。その使用量は、樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜3.0重量部が好ましく、0.03〜1.0重量部が更に好ましい。0.01重量部より少ない場合は添加効果が発現せず硬化不良となる虞があり、一方、3.0重量部を超える量では硬化速度が速すぎて剥離等の問題が生じる虞がある。
本発明に係る硬化性樹脂組成物には、特に本発明の樹脂組成物とガラスもしくは金属との接着性を高める目的で、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−((メタ)アクリロイロキシ)エチルアシッドフォスフェート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシランの群から選ばれる化合物の1種もしくは2種以上を添加することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物に使用するラジカル重合開始剤として、上記した重合開始剤の他に200〜500nmの波長範囲の紫外線または可視光線で励起され活性化する光重合開始剤を使用することもできる。
このような光重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、α−アミノアセトフェノン類、チオキサントン類、アシルフォスフィンオキサイド類が例示できる。
本発明の樹脂組成物には半透明の風合いを付与し収縮率を抑制する目的で無機系または有機系充填材を併用することができる。無機系充填材としては、具体的には、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラスパウダー、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク、ミルドファイバー、珪砂、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、寒水砂、アスベスト粉等の無機系充填材、および、ポリマービーズ等の有機系充填材が挙げられる。上記充填材のうち、水酸化アルミニウム、シリカ、およびガラスパウダーからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機系充填材が特に好ましい。上記充填材は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、充填材の平均粒径等の形態は、特に限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物にはその他の公知の添加剤を使用することができる。具体的には、成形時の硬化収縮を抑制する効果を与える低収縮剤、機械強度を向上させる効果がある繊維強化材、重合調節剤、酸化防止剤、湿潤剤(減粘剤)、着色剤、紫外線吸収剤、チクソトロピー付与剤、難燃剤等それ自体公知のものを例示できる。これら、添加剤の使用量はその種類、目的および所望する効果により適宜定めればよく特に限定されるものではない。また、その使用方法も単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤は、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系 ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、シュウ酸アニリド系が例示できる。紫外線吸収剤の量は、0.05〜5重量部が好ましい。0.05重量部未満では紫外線の吸収効果が悪く、5重量部を越えると樹脂との相溶性が悪い。
上記低収縮剤としては、具体的には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクタム、飽和ポリエステル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル-スチレン共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、メタクリル酸メチル−多官能メタクリレート共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体などのゴム状重合体などが用いられる。また、これらの熱可塑ポリマーは部分的に架橋構造を導入されたものであっても良い。使用量に関しては、前記のように特に限定されないが、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、20重量部以下の範囲とするのが好適である。20重量部を越える場合は成型体の透明感等を低下させ合わせガラスとして好ましくない。
上記繊維強化材としては、具体的には、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックからなる繊維等の無機繊維;アラミドやポリエステル等からなる有機繊維;天然繊維等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、繊維の形態は、ロービング、クロス、マット、織物、チョップドロービング、チョップドストランド等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら繊維補強材は、単独で用いてもよく、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。使用量に関しては、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、20重量部以下の範囲とするのが好ましい。20重量部を超える場合は樹脂組成物の粘度が高くなりすぎセルへの注入性が劣る。
上記湿潤剤としては、市販されているものがそのまま使用できる。例えば、BYKケミー株式会社から市販されている「W−995」、「W−996」、「W−9010」、「W−960」、「W−965」、「W−990」等が挙げられる。また、消泡剤として、同じくBYKケミー株式会社から市販されている「A−515」等が挙げられる。これらはその使用目的によって適宜選択して使用される。
上記重合調整剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン等の重合禁止剤、チオール化合物等の連鎖移動剤が挙げられる。上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール系のものが好んで用いられる。上記着色剤は、公知の無機顔料や有機顔料、チクソトロピー付与剤は、シリカ等、難燃剤は、リン酸エステル類等それぞれ市販されているものが使用できる。
本発明の上記(1)に係る硬化性樹脂組成物は、2枚以上の複数枚の無機ガラス、プラスチックフィルム、FRP板、合成樹脂板、金属板、紙製のボード、木材、タイルから選ばれる1種もしくは2種以上にて得られる単独セルもしくは複合セルに注入し、40〜80℃の条件で硬化させ複合体とすることができる。また、本発明の上記(2)に係るチオ尿素化合物を配合した硬化性樹脂組成物は0〜40℃の常温乃至低温で硬化させ複合体とすることができる。
上記合成樹脂板は、特に限定されないが、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートに代表される透明な樹脂板を指す。プラスチックフィルムとは熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂をフィルム状に成型されたものを指す。FRP板とは熱硬化性もしくは熱可塑性樹脂と繊維強化材とを主成分とするコンポジットを指す。その他、金属板、紙製のボード、木材、タイル等も使用できる。
以下に、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。
合成例1
(ウレタンメタクリレート反応性オリゴマー(UA−1)の合成)
温度計、還流冷却機、攪拌装置を取り付けたセパラブル4つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(三洋化成社製、商品名:PPG−1000)468.5g(0.47mol)、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネート(ヒュルスジャパン社製)208g(0.94mol)、ジブチル錫ラウレート 0.50gを投入し、窒素雰囲気下50℃で4時間反応させた。次いで、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(精工化学(株)製、商品名:スワノックス)1.0gを加え、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 123g(0.95mol)を滴下しながら、窒素雰囲気下80℃でさらに4時間反応させてウレタンメタクリレート反応性オリゴマー(UA−1)を得た。得られた樹脂の粘度は800mPa・sであった。
合成例2
(対照の柔軟性アクリルシラップ(AC−1)の合成)
温度計、還流冷却機、攪拌装置を取り付けたセパラブル4つ口フラスコに、メタクリル酸メチル 400g、スチレン 150g、2−エチルヘキシルメタクリレート 166g、イソブチルアクリレート 250g、トリメチロールプロパントリメタクリレート 30g、1−ドデカンチオール 1.0g、アゾビスイソブチロニトリル 3.0gを加え、所定の温度(100〜105℃)に昇温し、4時間反応させた。その後反応物を室温まで冷却しアクリルシラップ(AC−1)を得た。
合成した上記樹脂(UA−1、AC−1)を使用して代表的な複合体である合わせガラスを作製して外観および耐貫通性能、耐光性(着色性)を調べた。
実施例1
合成例1で得たUA−1 50部、メタクリル酸メチル 10部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(共栄社化学製、商品名:ライトエステルTHF)30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部、重合開始剤(日本油脂社製、商品名:パーロイルTCP)1.0部、消泡剤(BYKケミー社製、商品名:BYK−A515)0.05部、紫外線吸収剤(城北化学社製、商品名:JF−80)0.1部、シランカップリング剤(日本ユニカー社製、商品名:A−174)1.0部を高速撹拌装置で混合し硬化性樹脂組成物を調整した。得られた樹脂組成物の粘度は、20mPa・sであった。調製した樹脂組成物を真空脱気し、40℃に温調した20cm×30cmのガラス板一対を重ね合わせた単独セル(厚さ0.8mmのスペーサー使用)の間隙に注入した。注入時樹脂組成物は低粘度であり40秒で注入できた。スペーサーを熱融着して注入口を閉じ、60℃に調整した乾燥炉にて60分で硬化させた。硬化後の合わせガラスは無色透明であり着色性は認められなかった。次いで、80℃で2時間後硬化を行い耐貫通性に優れる合わせガラスを得た。
得られた合わせガラスについて、破壊貫通性、打ち破り性、こじ破り性を下記に記載の試験方法により評価した。また、樹脂組成物の硬化物について下記に記載した試験方法により500mm/minの高速引っ張り試験を行い強度、伸び率を測定した。その結果を表1に示す。
対照として従来の合わせガラスに汎用される熱可塑フィルムの代表としてポリビニルブチラールについて同様に試験した結果、破断強度14.7MPa、破断伸び率230%であった。
実施例2
合成例1で得たUA−1 50部、メタクリル酸メチル 10部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート 30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部、エチレンチオ尿素 0.15部、BYK−A515 0.05部、JF−80 0.1部、A−174 1.0部を高速撹拌装置で予備混合し、次いで、重合開始剤(日本油脂社製、商品名:パークミルH−80)1.0部を加えて更に混合して硬化性樹脂組成物を調整した。得られた樹脂組成物の粘度は、21mPa・sであった。調製した樹脂組成物を真空脱気し、20℃に温調した20cm×30cmのガラス板一対を重ね合わせた単独セル(厚さ0.8mmのスペーサー使用)の間隙に注入した。注入時樹脂組成物は低粘度であり50秒で注入できた。スペーサーを熱融着して注入口を閉じ、20℃に調整した恒温室にて120分で硬化させた。常温における硬化性も良好であった。硬化後の合わせガラスは無色透明であり着色性は認められなかった。次いで、同温で72時間養生を行い耐貫通性に優れる合わせガラスを得た。得られた合わせガラスについて、実施例1と同様に下記記載の試験方法により破壊貫通性、打ち破り性、こじ破り性を評価した。また強度、伸び率を測定した。その結果を表1に示す。
実施例3
合成例1で得たUA−1 50部、メタクリル酸メチル 10部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート 30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部、エチレンチオ尿素 0.15部、BYK−A515 0.05部、JF−80 0.1部、A−174 1.0部を高速撹拌装置で予備混合し次いで、パークミルH−80 1.0部を加えて更に混合して硬化性樹脂組成物を調整した。得られた樹脂組成物の粘度は、21mPa・sであった。調製した樹脂組成物を真空脱気し、20℃に温調した20cm×30cmのガラス板とポリカーボネート板を重ね合わせた複合セル(厚さ0.8mmのスペーサー使用)の間隙に注入した。注入時樹脂組成物は低粘度であり50秒で注入できた。スペーサーを熱融着して注入口を閉じ、20℃に調整した恒温室にて120分で硬化させた。常温における硬化性も良好であった。硬化発熱も温和でありポリカーボネート板に異常はなかった。硬化後の合わせガラスは無色透明であり着色性はなかった。次いで、同温で72時間養生を行い耐貫通性に優れる合わせガラスを得た。
得られた合わせガラスについて、実施例1と同様に下記記載の試験方法により破壊貫通性、打ち破り性、こじ破り性を評価した。また強度、伸び率を測定した。その結果を表1に示す。
実施例4
合成例1で得たUA−1 50部、メタクリル酸メチル 10部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート 10部、イソブチルメタクリレート 20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部、エチレンチオ尿素 0.15部、BYK−A515 0.05部、JF−80 0.1部、A−174 1.0部を高速撹拌装置で予備混合し次いで、パークミルH−80 1.0部を加えて更に混合して硬化性樹脂組成物を調整した。得られた樹脂組成物の粘度は、10mPa・sであった。調製した樹脂組成物を使用して実施例2と同様に合わせガラスを作製した。注入時樹脂組成物は低粘度であり35秒で注入できた。常温における硬化性も良好であった。硬化後の合わせガラスは無色透明であり着色性はなかった。次いで、得られた合わせガラスについて、実施例1と同様に下記記載の試験方法により破壊貫通性、打ち破り性、こじ破り性を評価した。また強度、伸び率を測定した。その結果を表1に示す。
比較例1
合成例1で得たUA−1 50部、メタクリル酸メチル 10部、イソブチルメタクリレート 30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部、パーロイルTCP 1.0部、BYK−A515 0.05部、JF−80 0.1部、A−174 1.0部を高速撹拌装置で混合し硬化性樹脂組成物を調整した。得られた樹脂組成物の粘度は、28mPa・sであった。調製した樹脂組成物を実施例1と同様に注入/硬化させた。また、同様の耐貫通試験および高速引っ張り試験を行った。注入時樹脂組成物は低粘度であり45秒で注入できた。硬化後の合わせガラスは無色透明であり着色性は認められなかった。合わせガラスについて、実施例1と同様に下記記載の試験方法により破壊貫通性、打ち破り性、こじ破り性を評価した。また強度、伸び率を測定した。落球試験では落下面のガラスは割れたが貫通せず、うち破り性に優れた合わせガラスであった。こじ破りには10分を要し、やや耐こじ破り性にも劣る合わせガラスであった。これらの結果を表1に示す。
比較例2
合成例2で得たAC−1 100部、パーロイルTCP 1.0部、BYK−A515 0.05部、JF−80 0.1部、A−174 1.0部を高速撹拌装置で混合し硬化性樹脂組成物を調整した。得られた樹脂組成物の粘度は、25mPa・sであった。調製した樹脂組成物を実施例1と同様に注入/硬化させた。また、同様の耐貫通試験および高速引っ張り試験を行った。その結果、注入時樹脂組成物は低粘度であり40秒で注入できた。硬化後の合わせガラスは無色透明であり着色性は認められなかった。落球試験では落下面のガラスは割れたが貫通せず、うち破り性に優れた合わせガラスであった。実施例1と同様に下記記載の試験方法により破壊貫通性、打ち破り性、こじ破り性を評価した。また強度、伸び率を測定した。これらの結果を表1に示す。
比較例3
合成例1で得たUA−1 50部、メタクリル酸メチル 10部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート 30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部、低コバルト系促進剤(日本ユピカ社製、商品名:PR-B)0.5部、促進助剤(日本ユピカ社製、商品名:PR−T)0.2部、BYK−A515 0.05部、JF−80 0.1部、A−174 1.0部を高速撹拌装置で予備混合し次いで、重合開始剤(化薬アクゾ社製、商品名:328E)2.0部を加えて更に混合して硬化性樹脂組成物を調整した。得られた樹脂組成物の粘度は、30mPa・sであった。調製した樹脂組成物を実施例2と同様に注入/硬化させた。その結果、注入時樹脂組成物は低粘度であり55秒で注入できた。20℃の条件で10時間で硬化が認められ300時間同温で後硬化した。樹脂の着色性は認められなかったが光線透過率がやや低下した。しかし、完全硬化に至っておらず密着性が悪く落球試験を実施するとガラスが飛散して割れた。また、1分でこじ破れた。完全硬化の成型品が得られなかったので高速引っ張り試験は中止した。
上記合成例、実施例における各測定方法、試験方法を下記に示す。
(1)粘度
JIS-K6901 5.5に準じてブルックフィールドB型粘度計にて測定(温度:25℃)した。
(2)落球試験(耐衝撃性)
JIS−R3205 (合わせガラス)に準じて試験した。
試験は長さ20cm×幅30cmの試験片の両端部を木枠支持台に固定し、試験片を浮かした状態として、重さ5kgの鋼鉄製の球を、2mの高さから試験片に落下させて破壊貫通性を評価した。
評価結果は以下の通り記載した。
◎:合わせガラスに全く異常なし。○:ガラスは割れても樹脂層が割れていない。
×:ガラスおよび樹脂層全てが割れた。
(3)破断強度、破断伸び率
JIS−K7113準じて測定した。 樹脂組成物を硬化させ1号型ダンベル状に調整した試験片を
500mm/min.で高速引張り試験を行い、破断強度および破断伸び率を測定した。
(4)耐こじ破り性
試験者が全長20cmのマイナスドライバーを使用してこじ破り、穴が貫通するまでに要する時間を評価した。
(5)透明性
日本電色工業(株)製 NDH−1001DPにて成形物の光線透過率を測定した。数値は空気中を透過する光を100として%で表した。
(6)着色性
目視により判定した。
Figure 0004348222
上記の表1から、
(1)本発明の注入型硬化性樹脂組成物は、低粘度であり比較的短時間に単独もしくは複合セルへの注入が容易である。また硬化物はいずれも着色が認められず透明性に優れ、伸び率および強度にすぐれた合わせガラスである。
(2)チオ尿素化合物を配合した常温硬化性樹脂組成物を使用した実施例2,3は20℃で比較的短時間に容易に硬化し、耐貫通性に優れた合わせガラスとすることができる。
(3)比較例3は、触媒として金属コバルト系促進剤を使用する硬化触媒系において、着色を防止するために低コバルト系促進剤を使用した硬化性樹脂組成物である。20℃、10時間で硬化が認められ300時間同温度で後硬化したが、完全硬化に至っておらず密着性が悪く落球試験ではガラスが飛散して割れた。また、耐こじ破り性も不十分であった。樹脂の着色性は認められなかったが光線透過率がやや低下した。

Claims (4)

  1. A)分子内に少なくとも2つの水酸基を有する化合物と、脂肪族および/または脂環式多価イソシアネートおよびヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との付加反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート反応性オリゴマー
    B)テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを必須成分として含有する(メタ)アクリルモノマー反応性稀釈剤、C)ラジカル重合開始剤、およびD)チオ尿素化合物を含有する樹脂組成物に、E)2−((メタ)アクリロイロキシ)エチルアシッドフォスフェート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシランから選ばれる化合物の1種または2種以上を添加してなることを特徴とする注入型硬化性樹脂組成物
  2. 前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは反応性稀釈剤中5〜90
    重量%である請求項1記載の注入型硬化性樹脂組成物
  3. 前記チオ尿素化合物は樹脂組成物100重量部に対して0.01〜3.0重量部である請求項1記載の注入型硬化性樹脂組成物
  4. 前記請求項1〜3のいずれかに記載の注入型硬化樹脂組成物を、少なくとも1枚がガラス板からなる板体で構成された単独セルもしくは複合セルに注入し、0〜80℃で硬化させてなることを特徴とする複合体。
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