JP4348217B2 - ガスバリアフィルムおよび該フィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

ガスバリアフィルムおよび該フィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は、優れたガスバリア性能を有するガスバリアフィルムおよび該フィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という。)に関する。より詳しくは、本発明は、各種のデバイス用の基板として最適なガスバリアフィルムおよび前記ガスバリアフィルムを用いたフレキシブルな有機EL素子に関する。
従来より、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリアフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品、工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途において広く用いられている。ガスバリアフィルムは、最近では包装用途以外に、液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子(以下「EL素子」という)などでも利用されている。
近年の液晶表示素子やEL素子等の画像表示素子の開発過程において、これらの素子を形成する透明基材に対しては、軽量化、大型化という条件に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な条件も要求されている。このような高度な条件を満たす透明基材として、プラスチック基材が従来の重くて割れやすく、大面積化が困難であったガラス基板に代替する新たな基材として採用され始めている。プラスチック基材の場合、上記条件を満たすだけでなく、ロール・トゥ・ロール方式が可能であることからガラス基板よりも生産性がよく、コストダウンの点でも有利である。
しかしながら、プラスチック基材は、ガラス基材よりもガスバリア性が劣るという問題がある。ガスバリア性が劣る基材を用いると、水蒸気や空気が浸透し、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。このような問題を解決するため、プラスチックフィルム上に金属酸化物薄膜を形成したプラスチックフィルムがこれまでに開発されている。そのようなプラスチックフィルムの例としては、プラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(特公昭53−12953号公報)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特開昭58−217344号公報)などが知られており、いずれも1g/m2/ day程度の水蒸気バリア性を有する。
近年開発されている大型液晶ディスプレイ、高精細ディスプレイ等では、プラスチックフィルム基板に要求されるガスバリア性能は、水蒸気バリア性で0.1g/m2/day程度である。さらに、最近では有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイ等の開発が進み、これらで使用可能な、透明性を維持しつつ、さらに高バリア性能、特に水蒸気バリアで0.1g/m2/day未満の性能をもつ透明基材が要求されている。このような要求に応えるために、最近ではより高いバリア性能が期待できる手段として、低圧条件下でグロー放電させて生じるプラズマを用いて薄膜を形成させるスパッタリング法やCVD法による成膜検討が行われている。
また、基材フィルムへの耐熱性の要求は、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する際には、さらに高いレベルが近年要求されている。特許文献1には、SiH4を含むガスをプラズマ分解することにより300℃もしくはそれ以下の温度で多結晶シリコン膜を形成する方法が記載されている。特許文献2にはエネルギービームを照射して高分子基板上にアモルファスシリコンと多結晶シリコンが混合された半導体層を形成する方法が記載されている。特許文献3には、熱的バッファ層を設け、パルスレーザビームを照射してプラスチック基板上に多結晶シリコン半導体層を形成する方法が記載されている。このように300℃以下でTFT用多結晶シリコン膜を形成する方法は、種々提案されており、基材として200℃以上もしくは250℃以上の耐熱性を有することは有用である。その一方で、上記のような半導体層形成方法は、構成や装置が複雑なものであり、高コストとなるため300℃ないし350℃以上の耐熱性が、プラスチック基板に求められている。
また、最近では、バリア層とポリマー層とを含むバリアスタックを有する基材が提案されている(例えば、特許文献4)。しかしながら、この薄膜形成法では、高温蒸気として噴出した有機物がフィルム上で凝集し、薄膜を形成するため、一時的にフィルムが加熱され、部分的に変形を起こす。その結果、上記の薄膜形成法では、その後の積層工程が不均一となり、充分なバリア能が得られにくいという問題があった。また、特許文献4には、高いガラス転移点を有する基材がポリマーの種類で示されているものの、上記のTFT形成に十分耐え得る優れた耐熱性と、高い透明性を有し、かつフィルムとして使用できるポリマーに関しては何ら記載されていない。
特開平7−81919号公報(請求項1、図1) 特表平10−512104号公報(第14〜22頁、図1、図7) 特開平11−102867号公報(請求項1〜10、[0036]) 特表2003−531745号公報(請求項1、19および20)
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、液晶表示素子や有機EL素子等の画像表示素子に適用した場合に、優れたガスバリア性能を発揮し得るガスバリアフィルムを提供することにある。さらに本発明の別の目的は、前記ガスバリアフィルムを用いた有機EL素子を提供することにある。
本発明者は、基材とガスバリア層を構成する材料につき鋭意検討した結果、下記に示されるガスバリアフィルムにより本発明の目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、ポリイミドを含有するガラス転移温度(以下「Tg」という)200℃以上の樹脂基材上に、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とを交互に有し、前記ポリイミドは下記一般式(1)で表されるスピロ構造または下記一般式(2)で表されるカルド構造を有することを特徴とするガスバリアフィルムにより達成される。
Figure 0004348217
一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環はスピロ結合によって結合されている。
Figure 0004348217
一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
本発明のガスバリアフィルムは、前記ポリイミドを含有するTg200℃以上の樹脂基材上に、無機層および有機層の順に形成されていることが好ましい。
本発明のガスバリアフィルムにおいて、前記有機層はアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる高分子化合物を主成分として含有することが好ましい。
さらに、本発明のガスバリアフィルムにおいて、前記有機層は水素結合性基を有するポリマーと金属アルコキシドとを含有する組成物を塗布し乾燥することによって得られたものであることが好ましい。
本発明のガスバリアフィルムは、23℃、相対湿度90%における酸素透過率が0.02ml/m2・day・atm以下であり、かつ23℃、相対湿度100%における水蒸気透過率が0.02g/m2・day以下とすることができる。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、ポリイミドを含有するTg200℃以上の樹脂基材上に、少なくとも1層の無機層を形成する工程と、少なくとも1層の有機層を形成する工程とを有する。さらに、前記有機層が水素結合性基を有するポリマーと金属アルコキシドとを含有する液を塗布した後、150〜350℃で乾燥することにより形成される工程を有することが好ましい。さらに、前記有機層が、前記水素結合性基を有するポリマーと前記金属アルコキシドとを含有する液を塗布した後、乾燥し、その後エネルギー線を照射して硬化することにより形成される工程を有することが好ましい。
本発明のもう一つの目的は、前記ガスバリアフィルムを用いた有機EL素子により達成される。
本発明のガスバリアフィルムは、ポリイミドを含有するTg200℃以上の樹脂基材上に、少なくとも一層の無機層と少なくとも一層の有機層とを交互に有する。このため、本発明であれば、優れたガスバリア性能を有するガスバリアフィルムを提供できる。
また、本発明の有機EL素子は、基板または保護フィルムとして本発明のガスバリアフィルムを用いる。これにより本発明であれば、フレキシブルな基板を有する、高精細および耐久性に優れた有機EL素子を提供できる。
以下に本発明のガスバリアフィルムおよび該フィルムを用いた有機EL素子について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
また、本明細書において「ポリイミド」とは、ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構造(ポリマー主鎖中にイミド結合を有する構造)を有する有機ポリマーをいう。
[本発明のガスバリアフィルム]
<基材>
本発明のガスバリアフィルムに用いられる基材材料は、ポリイミドを含有し、かつTgが200℃以上であれば、熱可塑性樹脂および硬化性樹脂のいずれであってもよい。基材材料のTgは、好ましくは250〜600℃であり、より好ましくは300〜550℃であり、さらに好ましくは350〜500℃であり、実質的にTgが観測されない(例えば、400℃以下の測定範囲で)樹脂も本発明では好ましく使用できる。
Tgが200℃以上のポリイミド樹脂としては、例えば、Kapton(商品名:DuPont製:400℃以上)、Upilex−R(商品名:宇部興産製:285℃)、Upilex−S(商品名:宇部興産製:400℃以上)、フッ素化ポリイミド樹脂(例えばFlupi―01(商品名:NTT製:335℃)などが挙げられる(括弧内の温度はTgを表わす)。
本発明の基材に含有されるポリイミドは、一般式(1)で表されるスピロ構造または下記一般式(2)で表されるカルド構造を有する。これらの構造を含むポリイミドは、高耐熱性、高弾性率および高引張破壊応力を有する化合物であり、さらに光学透明性、光学等方性に優れ、製造プロセスにおいて種々の加熱操作が要求され、かつ屈曲させても破壊しにくい性能が要求される有機EL素子等のディスプレイ用基板材料として好適である。
Figure 0004348217
一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環はスピロ結合によって結合されている。
Figure 0004348217
一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
一般式(1)で表されるスピロ構造を有するポリイミドの好ましい例として、下記一般式(3)で表されるスピロビインダン構造を繰り返し単位中に含むポリイミド、下記一般式(4)で表されるスピロビクロマン構造を繰り返し単位中に含むポリイミド、下記一般式(5)で表されるスピロビベンゾフラン構造を繰り返し単位中に含むポリイミド、下記一般式(6)で表されるスピロビフルオレンを代表とする構造を繰り返し単位中に含むポリイミドを挙げることができる。また、一般式(2)で表されるカルド構造を有する樹脂の好ましい例として、下記一般式(7)で表されるフルオレンを代表とする構造を繰り返し単位中に含むポリイミドを挙げることができる。
Figure 0004348217
一般式(3)中、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、R31、R32およびR33は、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは1〜3の整数を表す。Zは、ポリイミドのイミド基を形成し得る置換基を表し、アミノ基あるいは2つのカルボキシル基、−C(=O)OC(=O)−のいずれかが直接またはアリールなどの連結基を介して結合されていることを表す。置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基である。R31、R32のより好ましい例は、水素原子、メチル基、フェニル基であり、R33のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
Figure 0004348217
一般式(4)中、R41およびR42は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、R41およびR42は、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは1〜3の整数を表す。Zは一般式(3)と同じである。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が挙げられる。R41のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R42のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
Figure 0004348217
一般式(5)中、R51およびR52は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、R51およびR52は、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは1〜3の整数を表す。Zは一般式(3)と同じである。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。R51のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R52のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
Figure 0004348217
一般式(6)中、R61、R62、R63およびR64は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、R61、R62、R63およびR64は、それぞれが連結して環を形成してもよい。Xは、単結合あるいは2価の連結基を表し、2つのXが同じであっても異なっていてもよい。j、k、lおよびpは1〜4の整数を表す。Zはポリイミドのイミド基を形成し得る置換基を表し、アミノ基あるいは2つのカルボキシル基、−C(=O)OC(=O)−基を表す。q1、q2、q3およびq4は、いずれか2つが1であり、残りの2つは0である。2価の連結基は、構成する元素数が1〜10であることが好ましく、例として、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−などが挙げられる。置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、より好ましい例は水素原子、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
Figure 0004348217
一般式(7)中、R65、R66、R67およびR68は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Xは、単結合または2価の連結基を表す。j、k、lおよびpは1〜4の整数を表す。Zはポリイミドのイミド基を形成し得る基を表し、アミノ基あるいは2つのカルボキシル基、−C(=O)OC(=O)−のいずれかが直接またはアリールなどの連結基を介して結合していることを表す。q1、q2、q3およびq4は一般式(6)と同じである。
以下に上記一般式(1)および一般式(2)で表される構造の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、ポリマーを構成するためのイミド基などの重合部位などは略している。
Figure 0004348217
Figure 0004348217
Figure 0004348217
本発明の基材で用いられる一般式(1)および一般式(2)で表される構造を有するポリイミドは、上記一般式(1)および一般式(2)の構造を含むテトラカルボン酸ならびにその誘導体としての酸無水物、酸塩化物、エステル化物等(以降、テトラカルボン酸類と記す)や、一般式(1)および一般式(2)の構造を含むジアミンを用いて製造することができる。
この際、上記一般式(1)および一般式(2)で表される構造を含まないテトラカルボン酸類(以降、その他のテトラカルボン酸類と記す)や上記一般式(1)および一般式(2)で表される構造を含まないジアミン(以降、その他のジアミンと記す)を本発明の効果を損ねない範囲で共重合してもよい。
その他のテトラカルボン酸類としては、次のようなものが挙げられる。ここではテトラカルボン酸としての例をあげる。
(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸、ペンタフルオロエチルピロメリット酸、ビス{3、5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、2,3',3,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラカルボキシナフタレン、1,4,5,7−テトラカルボキシナフタレン、1,4,5,6−テトラカルボキシナフタレン、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルメタン、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル、2,2',5,5'−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシベンゾフェノン、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ジフルオロピロメリット酸、1,4−ビス(3,4-ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4-ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2,3,5,6−テトラカルボン酸などが挙げられる。
その他のジアミンとしては次のようなものが挙げられる。
p−フェニレンジアミン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、4,4'−ジアミノ−p−ターフェニル、4,4'−ジアミノ−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−ジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシベンジジン、4,4'−ジアミノ−p−テルフェニル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノ−ナフタレン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、2,2−ジメチル−プロピレンジアミン等が挙げられる。
本発明の基材で用いられるポリイミドは、ポリイミド前駆体を経る公知の方法を用いて製造することができる。例えば、以下の方法を用いることができる。
1)有機溶剤中でポリイミド前駆体を合成し、溶剤を減圧蒸留等の手法を用いて低温下に除去するか、得られたポリイミド前駆体溶液を貧溶剤に排出する方法によりポリイミド前駆体を単離した後、これを加熱してイミド化し、ポリイミドを得る方法。
2)1)と同様に、ポリイミド前駆体溶液を調製した後、無水酢酸に代表される脱水剤を加え、また必要に応じて触媒を加えて化学的にイミド化した後、公知の方法によりポリイミドを単離し、必要に応じて洗浄、乾燥を行う方法。
3)1)と同様に、ポリイミド前駆体溶液を得た後、減圧または加熱処理により溶剤を除去すると同時に熱的にイミド化を行う方法。
4)有機溶剤中に原料を混入後、加熱してポリイミド前駆体の合成とイミド化反応を同時に行い、必要に応じて触媒や共沸剤、脱水剤を共存させる方法。
上記の方法において、「ポリイミド前駆体」とは、加熱または化学的作用により閉環してイミド環を形成し、ポリイミドとなる有機化合物をいう。また「ポリイミド前駆体溶液」とは、ポリイミド前駆体が溶剤に溶解しているものをいう。また「溶剤」は、25℃で液状の化合物を指す。
ポリイミド前駆体溶液は、溶剤中にジアミンを溶解した後、ジアミン1モルに対してテトラカルボン酸類を0.95〜1.05モル加えることによって製造することができる。ここでは、好ましい例として、テトラカルボン酸類としてテトラカルボン酸無水物を用いた方法について述べる。
まず、ジアミンを、溶剤に溶解させた後、得られたジアミン溶液にテトラカルボン酸無水物を添加する。反応温度は、−30〜80℃が好ましく、−20〜60℃がより好ましい。ポリイミド前駆体の粘度が一定になった時点を反応終点とする。酸無水物とジアミンの種類によるが通常3〜15時間で終了することができる。溶質濃度は10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がさらに好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。
ポリイミド前駆体あるいはポリイミド合成の際には、分子量の調整や着色防止のために、ジカルボン酸類やモノアミンを併用することができ、ジカルボン酸無水物を添加するのが好ましい。
溶剤は、ジアミンとテトラカルボン酸類および生じたポリイミド前駆体を溶解させる溶剤であればいかなる溶剤も用いることができる。溶剤の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。溶剤は単独または2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いることのできる上記一般式(1)および一般式(2)で表される構造を有するポリイミドの分子量は、重量平均分子量で10,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜300,000であることがより好ましく、20,000〜200,000であることが特に好ましい。前記分子量が10,000以上あれば、容易にフィルム成形ができ、かつ力学特性を維持できる。一方、前記分子量が500,000以下であれば、合成上分子量をコントロールでき、また溶液の粘度が高すぎて取扱いが困難になることもない。
なお、分子量はポリイミド溶液あるいはポリイミド前駆体溶液の粘度を目安にすることができる。前記溶液の粘度は、500〜200,000mPa・sであることが好ましく、2,000〜100,000mPa・sであることがより好ましく、10,000〜60,000mPa・sであることが特に好ましい。
以下に上記一般式(1)および一般式(2)で表される構造を有するポリイミドの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004348217
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本発明の基材の作製方法は、ポリイミドが溶液となる場合には、ポリイミド溶液を基体上に塗工し、剥離するとポリイミドフィルムが得られ、ポリイミド前駆体溶液を用いる場合には、ポリイミド前駆体溶液を基体上に塗工し、加熱してイミド化すると、ポリイミド塗膜が得られ、さらにポリイミド塗膜を基体から剥離するとポリイミドフィルムが得られる。例えば、ポリイミド前駆体溶液を従来公知のスピンコート法、スプレーコート法等や、スリット状ノズルから押し出したり、バーコーター等により基体上に塗工し、乾燥して溶媒をある程度除去し、剥離可能になった状態で、膜を基体から剥離し、さらに加熱したりすることでポリイミドフィルムが得られる。この際の加熱条件の最大温度は、200〜400℃であることが好ましく、250〜350℃であることがより好ましい。加熱温度が200〜400℃の範囲であれば、イミド化を十分行え、かつ熱により塗膜の変形や劣化を防ぐことができる。
本発明におけるポリイミド前駆体溶液のポリイミド前駆体の濃度は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。ポリイミド前駆体の濃度が20質量%以上であれば、塗工の際の生産性を向上させることができる。上限は70質量%であることが好ましい。80質量%を超えると溶解が不十分となることがある。また、ポリイミド前駆体溶液の粘度は、10Pa・s(100P)以下であることが好ましく、8.5Pa・s(85P)以下であることがより好ましく、6Pa・s(60P)以下であることがさらに好ましい。粘度が10Pa・s以下であれば、良好に塗工を行える。
本発明の基材で用いられる樹脂は、上記ポリイミドのほかに、耐熱性や低熱膨張性などに優れた硬化性樹脂(架橋樹脂)を含有することもできる。硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂および放射線硬化樹脂のいずれも用いることができ、それらは公知のものを特に制限なく用いることができる。硬化性樹脂の例としては、ポリマー分子鎖中、あるいは、ポリマー分子末端に、マレイミドなどの二重結合やアリールエチニル基などの三重結合を導入した硬化性ポリイミド樹脂、ポリイミド以外の樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。
その他、上記硬化性樹脂の架橋方法は、共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。但し、このような系は、製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。
市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
Figure 0004348217
放射線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂とに大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。
ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。
カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては、分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
本発明で用いられる基材において、上述の熱硬化性樹脂または放射線硬化樹脂のそれぞれの中から種類の異なる樹脂を選択して混合して用いてもよく、熱硬化性樹脂と放射線硬化樹脂とを併用してもよい。また、硬化性樹脂(架橋性樹脂)と架橋性基を有さないポリマーを混合して用いてもよい。
本発明の基材において上記硬化性樹脂(架橋性樹脂)を混合した場合、基材の耐溶剤性、耐熱性、光学特性および強靭性が得られるため好ましい。また、基材で用いられる樹脂には架橋性基を導入することも可能であり、ポリマー主鎖末端、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中のいずれの部位に架橋性基を有していてもよい。この場合、上記の汎用の架橋性樹脂を併用せずに基材を作製してもよい。
本発明のガスバリアフィルムを液晶表示用途などで使用する場合、光学的均一性を達成するために、用いられる樹脂は非晶性ポリマーであることが好ましい。さらに、レタデーション(Re)およびその波長分散を制御する目的で樹脂の固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせ、または波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせることもできる。
基材は、レターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。異種樹脂の好ましい組み合わせは、特に制限はなく、前述したいずれの樹脂も併用可能である。
本発明で用いられる基材は、延伸されていてもよい。延伸により耐折強度など機械的強度が改善され、取扱性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTM D1504、以下「ORS」と略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善されているため好ましい。ORSは、延伸フィルムまたは延伸シートに内在されている、延伸により生じた内部応力である。
延伸方法は、公知の方法を用いることができ、例えば樹脂のTgより10℃高い温度から、50℃高い温度の間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。延伸倍率は1.1〜3.5倍であることが好ましい。
本発明で用いられる基材の厚みは特に制限されないが、30〜700μmであることが好ましく、40〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。またヘイズは3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。また、全光透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる基材は、必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、無機層状珪酸塩化合物および潤滑剤などの樹脂改質剤を添加してもよい。
本発明のガスバリアフィルムは、上記樹脂基材上に、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とからなる積層体(以下「ガスバリア層」ともいう)を有する。以下、無機層と有機層について説明する。
<無機層>
ガスバリア層を構成する無機層は、その種類および製膜方法は特に限定されず、公知の無機層およびその製膜方法を適用することができる。無機層には、無機酸化物層や透明導電性層が含まれる。無機層の製膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などが適しており、例えば特許第3400324号明細書、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報に記載の方法で製膜することができる。
無機層の構成成分は特に限定されないが、例えばSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ta等の1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物などを用いることができる。無機層の厚みに関しても特に限定されないが、厚すぎると曲げ応力によるクラックのおそれがあり、薄すぎると膜が島状に分布するため、いずれも水蒸気バリア性が悪くなる傾向がある。したがって、無機層の1層当りの厚みは5〜1000nmの範囲であることが好ましく、10〜1000nmであることがさらに好ましく、10〜200nmであることが最も好ましい。
また、無機層を2層以上有する場合、各々が同じ組成でも別の組成でもあってもよく、特に制限はない。水蒸気バリア性と高透明性を両立させるためには、無機層の組成として珪素酸化物や珪素酸化窒化物を使うことが好ましい。珪素酸化物は、SiOxと表記され、例えば、無機物層としてSiOxを用いる場合、良好な水蒸気バリア性と高い光線透過率を両立させるためには1.6<x<1.9であることが望ましい。珪素酸化窒化物はSiOxyと表記されるが、このxとyとの比率は密着性向上を重視する場合、酸素リッチの膜とし、1<x<2、0<y<1であることが好ましく、水蒸気バリア性向上を重視する場合、窒素リッチの膜とし、0<x<0.8、0.8<y<1.3であることが好ましい。
<有機層>
本発明のガスバリアフィルムは、無機層のバリア性能を向上させるために、無機層と隣接する有機層を設ける。
なお、本明細書における「有機層」とは、無機層の欠陥を補償する機能を有する層(欠陥補償層)を意味し、ゾルゲル法により形成される無機酸化物層や有機無機ハイブリッド層も含まれる。
本発明において有機層の形成方法は、欠陥補償層として機能し得るものであれば特に限定されないが、(1)ゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法と、(2)有機物を塗布または蒸着して層を形成した後、紫外線または電子線で硬化させる方法を好適に用いることができる。また、有機層の形成において(1)および(2)の方法を組み合わせて使用してもよく、例えば、基材フィルム上に(1)の方法で有機層を形成した後、無機層を形成し、その後(2)の方法で有機層を形成してもよい。
(1)ゾル−ゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法
本発明におけるゾルゲル法では、好ましくは溶液中または塗膜中で金属アルコキシドを加水分解、縮重合させて、緻密な薄膜を得る。またこの時、樹脂を併用して、有機−無機ハイブリッド材料にしてもよい。
なお、本明細書における「有機−無機ハイブリッド」とは、無機材料と有機材料とが分子レベルおよびナノーオーダーで混ざり合った状態を示し、例えば、Adv.Polym.Sci., 100, 11頁(1992)、Poly.Mater.Encyclopedia, 6, 4793頁(1996)、Current Opinion in Solid State & Materials Science, 1, 806頁(1996)に記載されたゾル−ゲル法により得られた有機材料と無機材料との複合材料を示す。
ゾルゲル法で用いられる金属アルコキシドは、アルコキシシランおよび/またはアルコキシシラン以外の金属アルコキシドを使用することができる。アルコキシシラン以外の金属アルコキシドは、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等が好ましい。
本発明に好ましく用いられるアルコキシシラン類についてさらに説明する。
4官能型としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−アセトキシシランなどを挙げることができる。
3官能型のものとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、等を挙げることができる。
2官能型のものとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどを挙げることができる。
ゾルゲル反応時に併用するポリマーとしては、水素結合性基を有していることが好ましい。水素結合性基を有する樹脂の例としては、ヒドロキシル基を有するポリマーとその誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フェノール樹脂、メチロールメラミン等とその誘導体);カルボキシル基を有するポリマーとその誘導体(ポリ(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和酸の単位を含む単独または共重合体と、これらのポリマーのエステル化物(酢酸ビニル等のビニルエステル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル等の単位を含む単独または共重合体)等);エーテル結合を有するポリマー(ポリアルキレンオキサイド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、珪素樹脂等);アミド結合を有するポリマー(>N(COR)−結合(式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す)を有するポリオキサゾリンやポリアルキレンイミンのN−アシル化物);>NC(O)−結合を有するポリビニルピロリドンとその誘導体;ウレタン結合を有するポリウレタン;尿素結合を有するポリマー等を挙げることができる。また、シリル基含有ポリマーを用いてもよい。シリル基含有ポリマーとして特に好ましいのは、主鎖がビニルポリマーからなるシリル基含有ビニルポリマーである。
シリル基含有ポリマーのゾルゲル反応組成物(ゾルゲル液)中の含有率は、用いる総アルコキシシランに対して1〜200質量%、好ましくは3〜100質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。また、ゾルゲル反応時にモノマーを併用し、ゾルゲル反応時、またはその後に重合させて有機−無機ハイブリッド材料を作製することもできる。
ゾルゲル反応時には、水および有機溶剤中で金属アルコキシドを加水分解および縮重合させるが、この時、触媒を用いることが好ましい。加水分解の触媒としては、一般に酸が用いられる。酸は、無機酸または有機酸が用いられる。無機酸としては、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、亜燐酸など、有機酸化合物としてはカルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、マレイン酸、2−クロロプロピオン酸、シアノ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フタル酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸など)、燐酸・ホスホン酸類(燐酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸など)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラート、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、アルミン酸など)、ヘテロポリ酸(燐モリブデン酸、燐タングステン酸など)を挙げることができる。
酸の使用量は、金属アルコキシド(アルコキシシランおよび他の金属アルコキシドを含有する場合には、アルコキシシラン+他の金属アルコキシド)1モル当たり、0.0001〜0.05モルであり、好ましくは0.001〜0.01モルである。
加水分解後、無機塩基やアミンなどの塩基性化合物を添加して溶液のpHを中性付近にし、縮重合を促進してもよい。無機塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンモニアなど、有機塩基化合物としてはアミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、エタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、キヌクリジン、アニリン、ピリジンなど)、ホスフィン類(トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィンなど)を用いることができる。
また、酸による加水分解後、特に特願2002−110061号明細書に記載のアミンを用いることも好ましい。この場合、アミンの添加量としては、酸と等モル〜100倍モル、好ましくは等モル〜20倍モルが適当である。
また、中心金属にAl、Ti、Zrを有する金属キレート化合物、スズの化合物等の有機金属化合物、有機酸のアルカリ金属塩等の金属塩類など、他のゾルゲル触媒も併用することができる。
ゾルゲル触媒化合物のゾルゲル反応組成物中の含有率は、ゾル液の原料であるアルコキシシランの質量に対し、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
次に、ゾルゲル反応に用いられる溶剤について述べる。溶剤はゾル液中の各成分を均一に混合させ、ゾルゲル反応組成物の固形分調製をすると同時に、種々の塗布方法に適用可能にし、ゾルゲル反応組成物の分散安定性および保存安定性を向上させるものである。これらの溶剤は上記目的の果たせるものであれば特に限定されない。これらの溶剤の好ましい例として、例えば水、および水と混和性の高い有機溶剤が挙げられる。
その例としては、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、蟻酸、酢酸、酢酸メチル、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
ゾルゲル反応の速度を調節する目的で、多座配位可能な有機化合物を添加して、金属アルコキシドを安定化してもよい。その例としては、β−ジケトンおよび/またはβ−ケトエステル類、ならびにアルカノールアミンが挙げられる。このβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−tert−ブチル、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、5−メチルヘキサンジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。
これらの多座配位可能な化合物は、ゾルゲル触媒として前記の金属キレート化合物を用いた場合、その反応速度を調節する目的にも用いることができる。
次にゾルゲル反応組成物を塗設する方法について述べる。ゾル液はカーテンフローコート、ディップコート、スピンコート、ロールコート等の塗布法によって、透明フィルム上に薄膜を形成できる。この場合、加水分解のタイミングは製造工程中の如何なる時期であっても構わない。例えば、予め必要な組成の液を加水分解部分縮合して目的のゾル液を調製し、それを塗布−乾燥する方法、必要な組成の液を調製し塗布と同時に加水分解部分縮合させながら乾燥する方法、塗布−一次乾燥後、加水分解に必要な水含有液を重ねて塗布し加水分解させる方法等を好適に採用できる。また、塗布方法としては、様々な形態をとることが可能であるが、生産性を重視する場合には多段の吐出口を有するスライドギーサー上で下層塗布液と上層塗布液のそれぞれが必要な塗布量になる様に吐出流量を調整し、形成した多層流を連続的に支持体に乗せ、乾燥させる方法(同時重層法)が好適に用いられる。
ゾルゲル反応組成物を塗布した後の乾燥温度は150〜350℃であり、150〜250℃であることが好ましく、150〜200℃であることがさらに好ましい。塗布後の乾燥温度が150〜350℃であれば、より緻密な膜を作製することができ、無機酸化物界面との相互作用を促進し、ガスバリア能を向上させることができる。
塗布、乾燥後のフィルムをさらに緻密にするため、有機層にエネルギー線を照射してもよい。その照射線種に特に制限はないが、基材の変形や変性に対する影響を勘案し、紫外線、電子線またはマイクロ波の照射を用いることが好ましい。照射強度は30〜500mJ/cm2 であり、好ましくは50〜400mJ/cm2 である。照射温度は、室温から基板の変形温度までの間の温度を制限なく採用することができ、好ましくは30〜150℃であり、さらに好ましくは50〜130℃である。
(2)有機物を塗布または蒸着して層を形成した後、紫外線または電子線で硬化させる方法
次にモノマーを架橋させて得られた高分子を主成分として形成した有機層を用いる場合について説明する。
モノマーとしては、紫外線または電子線で架橋できる基を含有していれば特に限定はないが、アクリロイル基、メタクリロイル基またはオキセタン基を有するモノマーを用いることが好ましい。そのようなモノマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる高分子を主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用いても、また1官能の(メタ)アクリレートを混合して用いてもよい。
また、オキセタン基を有するモノマーとしては、特開2002−356607号公報に記載されている下記一般式(I)〜(IV)に記載されている構造を有するものを使うことが好ましい。この場合、これらを任意に混合してもよい。
Figure 0004348217
一般式(I)中、R1〜R4は独立に水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1およびR3が結合し、これらの基が結合する炭素原子と一緒に環状脂肪族基(好ましくは、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環)を形成してもよい。炭化水素基としては、炭素数1〜36のアルキル基またはアリール基が好ましく、炭素数1〜24のアルキル基またはアリール基がより好ましく、アリール基としてはフェニル基およびナフチル基が好ましい。これらの炭化水素基の置換基としては、カチオン重合を阻害しない限り任意の置換基が許容され、カチオン重合に悪影響を及ぼさない置換基が好ましい。上記のアルキル基の置換基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニルチオ基、ヒドロキシ基およびトリエトキシシリル基が例示できる。上記のアリール基の置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素2〜12のアシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニルチオ基、ヒドロキシ基およびトリエトキシシリル基が例示できる。
Figure 0004348217
一般式式(II)中、R1〜R6は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。炭化水素基としては、炭素数1〜36のアルキル基またはアリール基が好ましく、炭素数1〜24のアルキル基またはアリール基がより好ましく、アリール基としてはフェニル基およびナフチル基が好ましい。この炭化水素基の置換基としては、カチオン重合を阻害しない限り任意の置換基が許容され、カチオン重合に悪影響を及ぼさない置換基が好ましい。この炭化水素基に許容される置換基群は、一般式(I)におけるR1〜R4がアルキル基またはアリール基である場合にそれぞれに例示した置換基群と同じである
Figure 0004348217
一般式(III)中、R1〜R8は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。炭化水素基としては、炭素数1〜36のアルキル基またはアリール基が好ましく、炭素数1〜24のアルキル基またはアリール基がより好ましく、アリール基としてはフェニル基およびナフチル基が好ましい。この炭化水素基の置換基としては、カチオン重合を阻害しない限り任意の置換基が許容され、カチオン重合に悪影響を及ぼさない置換基が好ましい。この炭化水素基に許容される置換基群は、一般式(II)におけるR1〜R4がアルキル基またはアリール基である場合にそれぞれに例示した置換基群と同じである。
Figure 0004348217
一般式(IV)中、R7、R8およびR10は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、R9は炭素数4〜24の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基を示し、Xは酸素原子を示す。R9としては、炭素数が4〜24の置換基を有してもよいアルキル基が好ましく炭素数6〜16の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。このアルキル基に許容される置換基群は、後述する式(4)におけるR1〜R4がアルキル基を示す場合にこのアルキル基に関して例示した置換基群と同じである。
一般式(IV)で示される具体的な化合物例として、R7=R8=H、R10=エチル基、R9=2−エチルヘキシル基、X=酸素原子であるOXT−212、および下記一般式(V)で示されるOXR−12(東亞合成(株)製)等が挙げられる。
Figure 0004348217
電子線または紫外線の照射強度および照射温度は、特に制限はないが、上記(1)の方法で述べた照射強度および照射温度を採用することが好ましい。
また、有機層は、ディスプレイ用途で要求される耐熱性、耐溶剤性の観点から、特に架橋度が高く、Tgが200℃以上である、イソシアヌル酸アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートを主成分とすることがさらに好ましい。
本発明において一層当りの有機層の厚みについては、特に制限はないが、10nm〜5μmであることが好ましく、10nm〜2μmであることがより好ましく、200nm〜2μmであることがさらに好ましい。有機層の厚みが10nm以上あれば、厚みの均一性が得られ、無機層の構造欠陥を効率よく有機層で埋めることができ、ガスバリア性を向上することができる。また、有機層の厚みが5μm以下であれば、曲げ等の外力によっても有機層にクラックが発生し難く、ガスバリア性を維持できる。
本発明の有機層の形成方法は、塗布による方法、真空成膜法等を用いることができる。真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましく、有機物質モノマーの成膜速度を制御しやすい抵抗加熱蒸着法がより好ましい。本発明の有機物質モノマーの架橋方法に関しては何ら制限はないが、電子線や紫外線等による架橋が、真空槽内に容易に取り付けられる点や架橋反応による高分子量化が迅速である点で望ましい。塗布方式で作製する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
<機能層>
本発明のガスバリアフィルムは、上記の無機層および有機層以外に、さらに以下の各種機能層を有することもできる。
(透明導電層)
透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜が適用できる。中でも透明性、導電性および機械的特性の点から金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブデン、タングステン、フッ素等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。特に、酸化スズを2〜15質量%含有した酸化インジウム(ITO)の薄膜が、透明性および導電性の点で優れており、好ましく用いられる。透明導電層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等の方法が挙げられる。
透明導電層の膜厚は15〜300nmの範囲であることが好ましい。透明導電層の膜厚が15〜300nmであれば、連続した膜となり十分な導電性が得られ、かつ十分な透明性および耐屈曲性が得られる。
透明導電層は最外層であれば基材フィルム側でもガスバリアコート層側に設置してもよいが、基材にフィルムに含まれる微量水分の浸入を防ぐ意味でガスバリアコート層側に設置するのが好ましい。
(プライマー層)
本発明のガスバリアフィルムは、基材フィルムと無機層および有機層(ガスバリア層)との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することができる。プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層としては無機蒸着層またはゾル−ゲル法による緻密な無機コーティング薄膜を用いることが好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
(その他の機能層)
有機層および無機層(ガスバリアコート層)の上または最外層には必要に応じ、それぞれ種々の公知である機能層を設置してもよい。該機能層の例としては、反射防止層・偏光層・カラーフィルター・紫外線吸収層・光取出効率向上層等の光学機能層や、ハードコート層・応力緩和層等の力学的機能層、帯電防止層・導電層などの電気的機能層、防曇層、防汚層、被印刷層などが挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムは、上記の無機層および有機層の積層順はいずれを先に形成してもよい。基材との密着性の観点から基材上に無機層、有機層の順に積層することが好ましい。また、上記無機層または有機層の上に、さらに無機層または有機層を交互に1回ずつ以上繰り返し積層すれば、ガスバリア性能を高められるため好ましい。
なお、本明細書において「少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とを交互に有する」には、1層の無機層と1層の有機層とからなる2層の構造のものも含まれる。
本発明のガスバリアフィルムは、23℃、相対湿度90%における酸素透過率が0〜0.02ml/m2・day・atmであることが適当であり、0〜0.01ml/m2・day・atmであることが好ましく、0〜0.005ml/m2・day・atmであることさらに好ましい。23℃、相対湿度90%における酸素透過率が0.02ml/m2・day・atm以下であれば、例えば有機ELやLCDに用いた場合、酸素によるEL素子の劣化を実質的になくすことができるため好ましい。
また、本発明のガスバリアフィルムは、23℃、相対湿度100%における水蒸気透過率は、0〜0.02g/m2・dayであることが適当であり、0〜0.01g/m2・dayであることが好ましく、0〜0.005g/m2・dayであることがさらに好ましい。
[画像表示素子]
本発明のガスバリアフィルムの用途は特に限定されないが、ガスバリア性能に優れているため、画像表示素子の透明電極用基板として好適に用いることができる。ここでいう「画像表示素子」とは、円偏光板・液晶表示素子、タッチパネル、有機EL素子などを意味する。特に有機EL素子の基板として用いることが好ましい。
<円偏光板>
本発明のガスバリアフィルムにλ/4板と偏光板を積層し、円偏光板を作成することができる。この場合、λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸とが45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
<液晶表示素子>
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明のガスバリアフィルムは、透明電極層を有する場合、前記透明電極および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる構成を有する。このうち本発明のガスバリアフィルムは、透明電極層を有している場合、前記上透明電極および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、より好ましくはTN(Twisted Nematic )型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Vertically Alignment)型、ECB型(Electrically Controlled Birefringence)、OCB型(Optically Compensatory Bend)、CPA型(Continuous Pinwheel Alignment)であることが好ましい。
<タッチパネル>
タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されたものに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のガスバリアフィルムは、有機EL素子の透明電極用基板として特に好適に用いることができる。
本発明のガスバリアフィルムを有機EL素子等の基板フィルムおよび/または保護フィルムとして用いる場合、特開平11−335661号公報、特開平11−335368号公報、特開2001−192651号公報、特開2001−192652号公報、特開2001−192653号公報、特開2001−335776号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−181816号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−056976号公報に記載の内容、および特開2001−148291号公報、特開2001−221916号公報、特開2001−231443号公報に記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、実施例に基づき本発明のガスバリアフィルム、および有機EL素子について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では基材として厚さ70μmの下記ポリマーA(Tg:270℃)を用いた。また、比較例では下記ポリマーH(Tg:170℃)を用いた。
<ポリマーA>
ビフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物とオキシジフタル酸二無水物、4,4'−ジアミノジフェニルエーテルのモル比が80:20:100の混合物から形成されるポリイミド
<ポリマーH>
4,4'−(1,1,6,6−テトラメチルヘキサン−1,6−ジイル)ジフタル酸二無水物と4,4'−ジアミノジフェニルエーテルの等モル混合物から形成されるポリイミ
1.無機酸化物層の作製
図1に示すようにロール・トゥ・ロール方式のスパッタリング装置1を用いて無機層を作製した。この装置1は真空槽2を有しており、その中央部にはプラスチックフィルム(基材)6を表面に接触させて冷却するためのドラム3が配置されている。また、上記真空槽2にはプラスチックフィルム6を巻くための送り出しロール4および巻き取りロール5が配置されている。送り出しロール4に巻かれたプラスチックフィルム6はガイドロール7を介してドラム3に巻かれ、さらにプラスチックフィルム6はガイドロール8を介してロール5に巻かれる。真空排気系としては排気口9から真空ポンプ10によって真空槽2内の排気が常に行われている。製膜系としてはパルス電力を印加できる直流方式の放電電源11に接続されたカソード12上にターゲット(図示せず)が装着されている。この放電電源11は制御器13に接続され、さらにこの制御器13は真空槽2へ配管15を介して反応ガス導入量を調整しつつ供給するガス流量調整ユニット14に接続されている。また、真空槽2には一定流量の放電ガスが供給されるよう構成されている(図示せず)。以下、具体的な条件を示す。
ターゲットとしてSiをセットし、放電電源11としてパルス印加方式の直流電源を用意した。プラスチックフィルム6は、上述した厚さ70μmのポリマーAを用い、これを送り出しロール4に掛け、巻き取りロール5まで通した。スパッタリング装置1への基材の準備が終了後、真空槽2の扉を閉めて真空ポンプ10を起動し、真空引きとドラムの冷却を開始した。到達圧力が4×10-4Pa、ドラム温度が5℃になったところで、プラスチックフィルム6の走行を開始した。放電ガスとしてアルゴンを導入して放電電源11をONし、放電電力5kW、成膜圧力0.3PaでSiターゲット上にプラズマを発生させ、3分間プレスパッタを行った。この後、反応ガスとして酸素を導入した。放電が安定してからアルゴンおよび酸素ガス量を徐々に減らして製膜圧力を0.1Paまで下げた。0.1Paでの放電の安定を確認してから、一定時間酸化ケイ素の製膜を行った。製膜終了後、真空槽2を大気圧に戻して酸化ケイ素を製膜したフィルムを取り出した。
2.ゾルゲル層の作製
ソアノールD2908(日本合成化学工業(株)製、エチレン−ビニルアルコール共重合体)8gを1−プロパノール118.8gおよび水73.2gの混合溶剤に80℃で溶解した。この溶液の10.72gに2M/l(2N)塩酸を2.4ml加えて混合した。この溶液を攪拌しながらテトラエトキシシラン1gを滴下して30分間攪拌を続けた。次いで、得られた塗布液に塗布直前にpH調整剤として、ジメチルベンジルアミンを添加し、前記無機酸化物スパッタフィルムにワイヤバーで塗布した。
その後、140℃で乾燥することにより、前記無機酸化物蒸着ベース上に膜厚約1μmのゾルゲル層を形成した。これをフィルム1Aとした。
次いで、乾燥温度を表1のように変更させたことを除き、上記と同様の方法でフィルム1B及びフィルム1Cを作製した。
(比較例1)
実施例1のポリマーAの替わりにポリマーHを用いたことを除き、実施例1と同様の方法によりフィルム1D〜1Fを作製した。
また、実施例1において無機酸化物層(無機層)を形成しなかったことを除き、実施例1と同様の方法によりフィルム1Gを作製した。さらに、実施例1においてゾルゲル層(有機層)を形成しなかったことを除き、実施例1と同様の方法によりフィルム1Hを作製した。
3.酸素透過率および水蒸気透過率の測定
得られたフィルム1A〜1Hの酸素透過率を、23℃、相対湿度90%で、また水蒸気透過率を23℃、相対湿度100%でMOCON法によりそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004348217
表1よりフィルム基材の樹脂としてTg200℃以上のポリマーAを用いた場合(フィルム1A〜1C)には、酸素透過率が0.20ml/m2・atm未満であり、かつ水蒸気透過率が0.50g/m2・day未満であった。これに対し、Tg200℃以下のポリマーHを用いた場合(1D〜1F)には、酸素透過率が0.20ml/m2・atmより大きくなり、また水蒸気透過率も0.50g/m2・dayより大きくなった。また、Tg200℃以上のPESを用いた場合であって、有機層の乾燥温度を150℃以上にした場合(フィルム1Bおよび1C)には、乾燥温度が150℃未満の場合(フィルム1A)と比べて酸素透過率および水蒸気透過率が飛躍的に向上した。さらに、フィルム基材上に有機層または無機層のいずれか1層のみを有する場合(フィルム1Gおよび1H)には、酸素透過率および水蒸気透過率が遥かに大きくなった。
これより、本発明のガスバリアフィルムは、Tg200℃以上のフィルム基板を用い、さらに無機層と有機層を組み合わせることにより優れたガスバリア性能を有することが分かる。さらに、本発明のガスバリアフィルムは、ゾルゲル法により形成された有機層の乾燥工程温度を150℃以上にすることにより、さらに優れたガスバリア性能を有することが分かる。
[実施例2]
<ポリマーP−4の作製>
窒素存在下で、p−フェニレンジアミン8.8gをジメチルアセトアミド79.2gに溶解させた後、15℃の温度で、下記モノマー(M−1)の粉末 44.0gを徐々に添加した。15℃で1時間、30℃で5時間反応させたところ、淡黄色の透明な溶液が得られた。さらに、この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に150μmの厚さで流延し、窒素雰囲気下、80℃で2時間、150℃で1時間、200℃で1時間、さらに250℃で1時間加熱し、イミド化を行った。得られたポリイミド塗膜をガラス板上から剥離して、ポリマーP−4を得た。
セイコー(株)製、DSC6200を用いて、DSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)によりポリマーP−4のTgを測定した結果、Tg200℃であった。
Figure 0004348217
M−1
<ポリマーP−13の作製>
窒素存在下で、9,9'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン30.9gをジメチルアセトアミド79.2gに溶解させた後、ジフェニルスルホン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物31.8gを徐々に添加した。1時間攪拌後、4,4'−オキシジアニリン11.8gを加えて1時間攪拌後、オキシジフタル酸二無水物18.3gを徐々に添加した。15℃で1時間、30℃で5時間反応させたところ、淡黄色の透明な溶液が得られた。さらに、この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に150μmの厚さで流延し、窒素雰囲気下、100℃で2時間、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間、さらに350℃で1時間加熱し、イミド化を行った。得られたポリイミド塗膜をガラス板上から剥離して、ポリマーP−13を得た。
セイコー(株)製、DSC6200を用いて、DSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)によりポリマーP−13のTgを測定した結果、Tg320℃であった。
<ポリマーP−16の作製>
窒素存在下で、9,9'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン48.2gをジメチルアセトアミド79.2gに溶解させた後、15℃の温度で、ベンゾフェノン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物44.6gを徐々に添加した。15℃で1時間、30℃で5時間反応させたところ、淡黄色の透明な溶液が得られた。さらに、この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に150μmの厚さで流延し、窒素雰囲気下、100℃で2時間、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間、さらに350℃で1時間加熱し、イミド化を行った。得られたポリイミド塗膜をガラス板上から剥離して、ポリマーP−16を得た。
セイコー(株)製、DSC6200を用いて、DSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)によりポリマーP−16のTgを測定した結果、Tg360℃であった。
<ポリマーP−5の作製>
ポリマーP−16の作製で使用した9,9'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン48.2gを50.3gに変更し、ベンゾフェノン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物44.6gの替りに、ジビフェニル−2,3,3',4'−テトラカルボン酸二無水物21.2gとビフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物21.2gを用いたことを除き、ポリマーP−16の作製と同様にしてポリマーP−5を得た。
セイコー(株)製、DSC6200を用いて、DSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)によりポリマーP−5のTgを測定した結果、Tg290℃であった。
[比較例2A]
<ポリマーJ>
比較のため、ポリマーJとして、オキシジフタル酸二無水物と4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルの等モル混合物から形成されるポリイミド(Tg200℃)を用いた。
<フィルムの作製>
実施例1のポリマーAの替わりに、ポリマーP−4(Tg200℃)、ポリマーP−13(Tg320℃)、ポリマーP−16(Tg360℃)およびポリマーP−5(Tg290℃)、ポリマーJ(Tg200℃)に変更したことを除き、実施例1と同様の方法により無機酸化物層を形成したフィルム2A〜2Eを作製した。次いで、(a)テトラエチレングリコールジアクリレート、(b)カプロラクトンアクリレート、(c)トリプロピレングリコールモノアクリレートを質量比=7:1.2:1.4の割合で混合した溶液に、ラジカル開始剤(イルガキュアー651:チバガイギー社製)を1質量%添加し、溶剤に溶かして、無機酸化物層が形成されたフィルム2A〜2E上に塗布し、乾燥した後、UV照射により、硬化させ、無機酸化物層上に厚さ約2μmの有機層を作製した。
上記の操作を繰り返して6層構成からなるフィルムを作製し、実施例1と同様の方法で酸素透過率および水蒸気透過率を測定し評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例2のポリマーP−4の替わりに、ポリマーHを用いたことを除き、実施例2と同様の方法で積層フィルム2Fを作製し、実施例1と同様の方法で酸素透過率および水蒸気透過率を測定して評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004348217
表2より本発明のポリマーからなる基材を用いた場合、本発明のポリマーを用いていないフィルム2Eおよびフィルム2Fよりも低い酸素透過率および水蒸気透過率を示した。さらに、本明細書の一般式(1)または(2)で表わされる樹脂を用いた場合(フィルム2A〜2D)、本発明のポリマーを用いていない一般式(1)または(2)の何れの部分構造も含まないフィルム2Eよりもガスバリア性能に優れていた。
(実施例3)
実施例2で作製したフィルム2A〜2D上に、特表2002−532850号公報に記載の方法で、無機酸化物からなる無機層とアクリレート樹脂からなる有機層を各1層ずつ積層させたフィルム3A〜3Dを作製した。次いで、45℃、相対湿度100%で水蒸気透過率の測定を行い、評価した。測定した水蒸気透過率の結果を表3に示す。
(比較例3)
特表2002−532850号公報に記載されたガスバリアフィルムを作製し、実施例3と同様の方法により水蒸気透過率を測定した。測定した水蒸気透過率の結果を表3に示す。
Figure 0004348217
表3より、本発明のガスバリアフィルムは、特表2002−532850号公報のガスバリアフィルムよりも水蒸気透過率が遥かに小さいことが分かる。これより、本発明のガスバリアフィルムは、特表2002−532850号公報のガスバリアフィルムよりも遥かにガスバリア性能に優れていることが分かる。
(実施例4)
1.有機EL素子の作製
上記フィルム3Bを真空チャンバー内に導入し、IXOターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚さ0.2μmのIXO薄膜からなる透明電極を形成した。透明電極(IXO)より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製) 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体): 1質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al2O3ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製): 10質量部
1−ブタノール: 3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部
Figure 0004348217
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子1を作製した。
また、比較用の有機EL素子として、基板Xの作製において、支持体としてフィルム3Eを用いて有機EL素子2を作製した。
得られた有機EL素子1および2にソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を印加し、発光させた。有機EL素子1および2ともに良好に発光した。
有機EL素子1および2を素子作成後25℃、相対湿度75%下に1ヶ月放置し、同様にして発光させてみたところ、有機EL素子1は同様に良好な発光が見られたものの、有機EL素子2においては、欠陥が増大していた。
(実施例5)
1.TFT設置を想定した有機EL素子の作製
実施例5においてフィルム3B上に透明電極形成後にTFT設置を想定し、250℃、30分の加熱処理を行うこと以外は全て同じ手順で有機EL素子5A(基材Tg320℃)を作製した。基材をフィルム1F(基材Tg170℃)に変更すること以外は全て有機EL素子5Aと同じ手順で有機EL素子を作製しようと試みたが、加熱処理後の基材の変形が激しく、以降の素子作製を中断した。
基材をフィルム3Cに変更し、加熱処理を300℃、1時間に変更した以外は全て6Aと同じ手順で有機EL素子5Cを作製した。得られた有機EL素子5Cをソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加したところ発光した。比較例となるフィルム1Fを用いた基材は、加熱により変形が激しかったが、本発明のガスバリアフィルムは、TFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかとなった。
本発明のガスバリアフィルムは、優れたガスバリア性能を有するため、液晶表示装置や有機ELなど画像表示素子の基板として広く利用することができる。
実施例1におけるロール・トゥ・ロール方式のスパッタリング装置の概略説明図である。
符号の説明
1 スパッタリング装置
2 真空槽
3 ドラム
4 送り出しロール
5 巻き取りロール
6 プラスチックフィルム
7 ガイドロール
8 ガイドロール
9 排気口
10 真空ポンプ
11 放電電源
12 カソード
13 制御器
14 ガス流量調整ユニット
15 反応ガス配管

Claims (7)

  1. ポリイミドを含有するガラス転移温度200℃以上の樹脂基材上に、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とを交互に有しており、前記ポリイミドが下記一般式(1)で表されるスピロ構造または下記一般式(2)で表されるカルド構造を有することを特徴とするガスバリアフィルム。
    Figure 0004348217
    一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環はスピロ結合によって結合されている。
    Figure 0004348217
    一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
  2. 前記有機層が、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる高分子化合物を主成分として含有する請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記有機層が、水素結合性基を有するポリマーと金属アルコキシドとを含有する液を塗布し、乾燥することによって得られたものである請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記有機層が、前記水素結合性基を有するポリマーと前記金属アルコキシドとを含有する液を塗布した後、150〜350℃で乾燥することにより形成されたものである請求項3に記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記有機層が、前記水素結合性基を有するポリマーと前記金属アルコキシドとを含有する液を塗布した後、乾燥し、その後エネルギー線を照射して硬化することにより形成されたものである請求項3または4に記載のガスバリアフィルム。
  6. 23℃、相対湿度90%における酸素透過率が0.02ml/m2・day・atm以下であり、かつ23℃、相対湿度100%における水蒸気透過率が0.02g/m2・day以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムを用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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