JP4191626B2 - ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、優れたガスバリア性能を有するガスバリア性積層フィルムに関する。より詳しくは、本発明は、各種の画像表示素子に好適に用いることができるガスバリア性積層フィルムに関し、特にフレキシブルな有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という)の基板として有用なガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法、並びに有機EL素子に関するものである。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性積層フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品、工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途において広く用いられている。ガスバリアフィルムは、最近では包装用途以外に、液晶表示素子、太陽電池、ELなどにおいても利用されつつある。
近年の液晶表示素子やEL素子等の画像表示素子の開発過程において、これらの素子を形成する透明基材に対しては、軽量化、大型化という条件に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な条件も要求されている。このような高度な条件を満たす透明基材として、プラスチック基材が従来の重くて割れやすく、大面積化が困難であったガラス基板に代替する新たな基材として採用され始めている。プラスチック基材の場合、上記条件を満たすだけでなく、ロールトゥロール方式が可能であることからガラス基板よりも生産性がよく、コストダウンの点でも有利である。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材は、ガラス基材よりもガスバリア性能が劣るという欠点があった。ガスバリア性が劣る基材を用いると、水蒸気や空気が浸透し、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。このような問題を解決するために、フィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成したガスバリア性積層フィルムがこれまでに開発されている。例えば、包装材や液晶表示素子に使用されるガスバリア性積層フィルムとしては、プラスチックフィルム上に酸化ケイ素を蒸着したもの(特公昭53−12953号公報)、酸化アルミニウムを蒸着したもの(特開昭58−217344号公報)が知られており、いずれも1g/m2/day程度の水蒸気バリア性を有する。
近年開発されている大型液晶ディスプレイ、高精細ディスプレイ等では、プラスチックフィルム基板に要求されるガスバリア性能は、水蒸気バリア性で0.1g/m2/day程度である。さらに、最近では有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイ等の開発が進み、これらで使用可能な、透明性を維持しつつ、さらに高バリア性能、特に水蒸気バリアで0.1g/m2/day未満の性能をもつ透明基材が要求されている。このような要求に応えるために、最近ではより高いバリア性能が期待できる手段として、低圧条件下でグロー放電させて生じるプラズマを用いて薄膜を形成させるスパッタリング法やCVD法による成膜検討が行われている。また、有機層/無機層の交互積層構造を有するバリア膜を真空蒸着法により作製した有機発光デバイスが特許文献1に提案されている。さらに、フレキシブル表示デバイスに応用するために必要な耐屈曲性を付与するために、体積収縮率が10%未満のアクリルモノマーを有機層に用いる技術が特許文献2に開示されている。
しかしながら、フレキシブルな有機ELディスプレイ基板として用いるためにはガスバリア性および耐屈曲性が不十分であり、更なる改良が望まれていた。
米国特許第6268695号公報(第4頁[2−5]〜第5頁[4−49]) 特開2003−53881号公報(第3頁[0006]〜第4頁[0008])
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の目的は、屈曲しても優れたガスバリア性を維持できるガスバリア性積層フィルムを提供することにある。また、本発明の第二の目的は、前記ガスバリア性積層フィルムを用いた、耐久性に優れた画像表示素子を提供することにある。
本発明者は、ガスバリア性積層フィルムを構成する各層の屈曲性について鋭意検討をした結果、有機層においてオキセタニル基含有モノマーを用いた場合にフィルムを屈曲しても高ガスバリア性を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の目的は以下のガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法、並びに該フィルムを用いた画像表示素子により達成される。
(1)基材フィルム上に、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とを有するガスバリア性積層フィルムであって、前記有機層が少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマー層であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
(2)基材フィルム上に、無機層および有機層がこの順に積層されている(1)に記載のガスバリア性積層フィルム。
(3)前記オキセタニル基を含有するモノマーの少なくとも1種類が、分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を含有するモノマーである(1)または(2)に記載のガスバリア性積層フィルム。
(4)前記有機層がケイ素を含有する(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
(5)前記オキセタニル基を含有するモノマーの少なくとも1種類が分子内にケイ素を含有する化合物である(1)〜(4)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
(6)前記基材フィルムが下記一般式(I)で表されるスピロ構造を有する樹脂または下
記一般式(II)で表されるカルド構造を有するポリマーからなるフィルムである(1)〜(3)のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
Figure 0004191626
一般式(I)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環はスピロ結合によっ
て結合する。
Figure 0004191626
一般式(II)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結する。
(7)基材フィルムを形成する工程、無機層を形成する工程、および有機層を形成する工程を有するガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、前記有機層を形成する工程において、少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマーを開環重合させて形成することを特徴とする製造方法。
(8)基材フィルムを形成する工程、無機層を形成する工程、および有機層を形成する工程を有するガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、前記有機層を形成する工程において、少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマーとカチオン重合開始剤とを含有する組成物を塗布しまたは蒸着した後、活性エネルギー線を照射することにより前記有機層を形成することを特徴とする(7)記載の製造方法。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムを用いた画像表示素子。
(10)(1)〜(6)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、基材フィルム上に、少なくとも一層の無機層と少なくとも一層の有機層を有し、かつ前記有機層が少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマーを開環重合させることより形成された層である。このような構成を有することにより本発明のガスバリア性積層フィルムによれば、耐屈曲性が高く、かつ高ガスバリア性を維持できるガスバリア性積層フィルムを提供できる。
また、本発明のガスバリア性積層フィルムを基板として用いれば、耐久性に優れた画像表示素子を提供することができる。
以下に本発明のガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法、並びに該フィルムを用いた有機EL素子について詳細に説明する。
[ガスバリア性積層フィルム]
本発明のガスバリア性積層フィルムは、基材フィルム上に少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とを有する。以下、本発明のガスバリア性積層フィルムの各構成部材について説明する。
<基材フィルム>
本発明において、基材フィルムは、少なくとも一組の無機層および有機層を保持し得るフィルムであればよく、ガスバリアフィルムの使用目的等に応じて適宜材料を選択できる。基材フィルムで用いられる樹脂としては、具体的にはメタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。
これら樹脂のうち、好ましい例としては、ポリアリレート樹脂(PAr)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂(BCF−PC:特開2000−227603号公報の実施例−4の化合物)、脂環変性ポリカーボネート樹脂(IP−PC:特開2000−227603号公報の実施例−5の化合物)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の実施例−1の化合物)が挙げられる。
また、本発明の基材フィルムで用いられる樹脂の好ましい例として、下記一般式(I)
で表されるスピロ構造を有する樹脂、または下記一般式(II)で表されるカルド構造を有する樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、高耐熱性、高弾性率かつ高い引張り破壊応力を有し、製造プロセスにおいて種々の加熱操作が要求され、かつ屈曲させても破壊しにくい性能が要求される有機EL素子等の基板材料として好適である。
Figure 0004191626
一般式(I)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環はスピロ結合によっ
て結合される。
Figure 0004191626
一般式(II)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結する。
一般式(I)で表されるスピロ構造を有する樹脂の好ましい例として、下記一般式(II
I)で表されるスピロビインダン構造を繰り返し単位中に含むポリマー、下記一般式(IV)で表されるスピロビクロマン構造を繰り返し単位中に含むポリマー、下記一般式(V)で表されるスピロビベンゾフラン構造を繰り返し単位中に含むポリマーを挙げることができる。また、一般式(II)で表されるカルド構造を有する樹脂の好ましい例として、下記一般式(VI)で表されるフルオレン構造を繰り返し単位中に含むポリマーを挙げることができる。
Figure 0004191626
一般式(III)中、R31、R32、R33はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは1〜3の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基である。R31、R32のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R33のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
Figure 0004191626
一般式(IV)中、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは1〜3の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基である。R41のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R42のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
Figure 0004191626
一般式(V)中、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは1〜3の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基である。R51のより好ましい例は水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R52のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
Figure 0004191626
一般式(VI)中、R61およびR62は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。jおよびkは1〜4の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基である。R61およびR62のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
一般式(III)〜(VI)で表される構造を繰り返し単位中に含むポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなど種々の結合方式で連結されたポリマーであってもよい。中でも一般式(III)〜(VI)で表される構造を有するポリマーは、ビスフェノール化合物から誘導されるポリカーボネート、ポリエステルまたはポリウレタンであることが好ましい。
以下に一般式(I)および一般式(II)で表される構造を有するポリマーの好ましい具
体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004191626
Figure 0004191626
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Figure 0004191626
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本発明に用いることのできる一般式(I)および一般式(II)で表される構造を有する
ポリマーは、単独で用いてもよく、複数種混合して用いてもよい。また、ホモポリマーであってもよく、複数種構造を組み合わせたコポリマーであってもよい。コポリマーとする場合、一般式(I)または(II)で表される構造を繰り返し単位中に含まない公知の繰り
返し単位を本発明の効果を損ねない範囲で共重合してもよい。なお、ホモポリマーとして用いるよりもコポリマーとした方が溶解性、透明性の観点で改良される場合が多く、この場合好ましく使用できる。
本発明で用いられる一般式(1)および一般式(2)で表される構造を有するポリマーの好ましい分子量は、重量平均分子量で1〜50万、より好ましくは2〜30万、特に好ましくは、3〜20万である。分子量が1万未満であれば、フィルム成形が難しくなる場合がある。一方、分子量が50万を越える場合、合成上分子量のコントロールが難しく、かつ溶液の粘度が高すぎて、取扱いが難しくなる場合がある。なお、分子量は対応する粘度を目安にすることもできる。
本発明の基板フィルムで用いられる樹脂は、上記の熱可塑性樹脂の他に、耐溶剤性、耐熱性などの観点から架橋樹脂を用いることも好ましい。架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。
熱硬化性樹脂の例としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。
架橋方法としては、共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。但し、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
Figure 0004191626
放射線硬化樹脂は、ラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂とに大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては、分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。
ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。
カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
上記の熱硬化性樹脂および放射線硬化樹脂は、それぞれ複数種の樹脂を混合して用いてもよく、さらに熱硬化性樹脂と放射線硬化樹脂とを併用してもよい。また、架橋性樹脂と架橋性基を有さない樹脂を混合して用いてもよい。
さらに本発明の基材フィルムで用いられる樹脂に上記の架橋性樹脂を混合して用いた場合には、得られた基材フィルムの耐溶剤性、耐熱性、光学特性、強靭性を向上できるため好ましい。また、本発明では、基材フィルムで用いられる樹脂に架橋性基を導入することも可能であり、ポリマー主鎖末端、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中のいずれの部位に架橋性基を有していてもよい。この場合、上記の汎用の架橋性樹脂を併用せずに基材フィルムを作製してもよい。
本発明のガスバリア性積層フィルムを液晶表示の用途などで使用する場合には、光学的均一性を達成するために非晶性ポリマーを用いることが好ましい。さらに、レタデーション(Re)およびその波長分散を制御する目的で、樹脂の固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。
本発明において基材フィルムは、レターデーション(Re)の制御を行い、あるいはガス透過性や力学特性の改善を行う目的で、異種の樹脂を積層することができる。異種の樹脂の好ましい組み合わせとしては特に制限はなく、前記した全ての樹脂を組み合わせて使用することができる。
本発明において基材フィルムは、延伸されていてもよい。延伸により耐折強度などのフィルムの機械的強度が改善され、取扱性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTM D1504、以下「ORS」と略記する)が0.3〜3GPaであるものはフィルムの機械的強度が改善され好ましい。ORSは延伸フィルムまたはシートに内在する延伸により生じた内部応力である。
延伸は、公知の方法が使用でき、例えば樹脂のガラス転移温度(Tg)より10℃高い温度から、50℃高い温度の間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。延伸倍率は1.1〜3.5倍が好ましく用いられる。
本発明において、基材フィルムの厚みは特に限定されないが、30〜700μmであることが好ましく、40〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。いずれの場合もヘイズは3%以下であることが好ましく、2%以下であることが好ましく、1%以下であることが好ましい。また、基材フィルムの全光透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがよりに好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、基材フィルムには、さらに必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、無機層状珪酸塩化合物および潤滑剤などの樹脂改質剤を添加してもよい。
<無機層>
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、無機層は、その種類および製膜方法は特に限定されず、公知の無機層およびその製膜方法を適用することができる。無機層には、無機酸化物層や透明導電性層が含まれる。無機層の製膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などが適しており、例えば特許第3400324号明細書、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報に記載の方法で製膜することができる。
無機層の構成成分は特に限定されないが、例えばSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ta等の1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物などを用いることができる。無機層の厚みに関しても特に限定されないが、厚すぎると曲げ応力によるクラックのおそれがあり、薄すぎると膜が島状に分布するため、いずれも水蒸気バリア性が悪くなる傾向がある。したがって、無機層の1層あたりの厚みは5〜1000nmの範囲であることが好ましく、10〜1000nmであることがさらに好ましく、10〜200nmであることが最も好ましい。
また、無機層を2層以上有する場合、各々が同じ組成でも別の組成でもあってもよく、
特に制限はない。水蒸気バリア性と高透明性を両立させるためには、無機層の組成として珪素酸化物や珪素酸化窒化物を使うことが好ましい。珪素酸化物は、SiOxと表記され、例えば、無機物層としてSiOxを用いる場合、良好な水蒸気バリア性と高い光線透過率を両立させるためには1.6<x<1.9であることが望ましい。珪素酸化窒化物はSiOxyと表記されるが、このxとyとの比率は密着性向上を重視する場合、酸素リッチの膜とし、1<x<2、0<y<1であることが好ましく、水蒸気バリア性向上を重視する場合、窒素リッチの膜とし、0<x<0.8、0.8<y<1.3であることが好まし
い。
<有機層>
本発明において、有機層は、無機層のガスバリア性を向上させる目的で無機層に隣接して設けられる層であり、少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマーを開環重合させて形成された層である。有機層は、オキセタニル基を含有するモノマーの開環重合により層を形成できれば、有機成分以外の無機物、無機元素または金属元素を含有していてもよい。好ましくはケイ素を含有する有機層である。
なお、本発明で用いる「モノマー」には、2〜5単位のオキセタニル基含有単位が開環重合して得られたオリゴマーも含まれる。
オキセタニル基含有モノマーとしては、種々のものを利用できる。例として、分子内に1個のオキセタニル基を有する化合物群と、分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物群が挙げられる。
(分子中に1個のオキセタニル基を有する化合物)
分子中に1個のオキセタニル基を有する化合物の好ましい化合物としては、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004191626
式(1)中、Zは酸素原子または硫黄原子である。R1は水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基若しくはチエニル基からなる群から選ばれる1種である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基若しくは3−ブテニル基等の炭素数1〜6個のアルケニル基;フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基若しくはフェノキシエチル基等のアリール基;プロピルカルボニル基若しくはペンチルカルボニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基若しくはブトキシカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルキルカルボニル基;エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基若しくはブトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;エトキシカルバモイル基、プロピルカルバモイル基若しくはブチルペンチルカルバモイル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルバモイル基等からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明では、上記式(1)において、R1が低級アルキル基のものが好ましく、エチル
基のものがより好ましい。また、R2は好ましくはブチル基、フェニル基、ベンジル基で
ある。Zは好ましくは酸素である。
(分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物)
分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物として好ましいものは、下記式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004191626
式(2)中、mは2、3または4であり、Zは酸素原子または硫黄原子である。R3は水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基またはフリル基である。
式(2)中のR4は、例えば、下記式(3)で表わされる炭素数1〜12の線形または分枝アルキレン基、線形または分枝ポリ(アルキレンオキシ)基などである。
Figure 0004191626
式(3)中、R5はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。
またR4は下記式(4)、(5)および(6)からなる群から選択される構造単位を有する多価基でもあり得る。
Figure 0004191626
式(4)中、nは0または1〜10の整数である。R6はメチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基および下記式(7)で表わされる構造単位を有する基からなる群から選ばれる1種である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基からなる群から選ばれる1種である。
Figure 0004191626
式(7)において、jは0または1〜10の整数であり、R6は炭素数1〜10のアルキル基である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜10のアキル基である。
Figure 0004191626
式(5)中、R9は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシレート基またはカルボキシル基である。
Figure 0004191626
式(6)中、R10は、O、S、NH、SO、SO2、CH2、C(CH3)2およびC(CF3)からなる群から選ばれる1種である。
本発明では、上記式(2)においてR3が低級アルキル基であることが好ましく、エチル基であることがより好ましい。R4としては、式(5)においてR9が水素原子、ヘキサメチレン基、式(3)においてR5がエチル基であることが好ましい。また、R7は好ましくはメチル基である。Zは好ましくは酸素原子である。
本発明における有機層は、分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物を用いることが好ましい。好ましい具体例としては、式(8)で表わされる化合物および式(9)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 0004191626
Figure 0004191626
式(8)中、rは2〜100の整数であり、R11は炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基である。Rは式(2)と同様である。R8は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、メチル基、エチル基またはプロピル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。さらにR8は、最も好ましくは下記式(10)で表わされる化合物である。
Figure 0004191626
式(10)中、Y1、Y2およびY3は、各々、水酸基または炭素数1〜4のアルキコキシ基を示し、Rは式(2)と同様である。また、式(10)にはY1〜Y3を酸素原子とし、他の分子と−O−Si−O−Siで結合した式(10−2)で表されるようなオリゴマーも含まれる。この場合、nは特に制限はされないが、0〜20であることが好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。さらに、式(10)の具体例としては式(11)で表されるシルセスキオキサンを挙げることができる。
Figure 0004191626
式(11)中、Rは下記式(12)で表わされる基をさす。
Figure 0004191626
式(11)で表わされるシルセスキオキサン化合物は、無機層との接着性、硬化前後の低体積収縮率層の低熱変形性、耐熱性の観点から最も好ましく用いられる。これらのモノマーは適宜単独で用いても2種類以上のモノマーを任意に混合して用いてもよい。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤としては、公知のカチオン系熱重合開始剤またはカチオン系光重合開始剤を用いることができる。好ましくは光重合開始剤であるジアリールヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩を用いることができる。典型的な光重合開始剤を下に示す。
Figure 0004191626
Figure 0004191626
Figure 0004191626
Figure 0004191626
上式(13)〜(15)中、R12は水素原子、炭素数1〜18の様々な長さのアルキル基、または炭素数1〜18のアルコキシ基等であり、Mは金属、好ましくはアンチモンであり、Xはハロゲン原子、好ましくはフッ素原子であり、nは金属の価数であり、例えばアンチモンの場合は5である。式(16)のR13は、水素原子、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基であり、好ましくはヒドロキシエトキシ基である。
カチオン重合開始剤は、オキセタニル基を含有するモノマー100質量部に対して0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部の割合で配合することが好ましい。配合量が0.01質量部以上であれば、良好に硬化し、所望のガスバリア性が得られる。また、20質量部以下であれば、光透過性不良となることはなく、かつ均一な有機層が形成でき、良好なガスバリア性が得られる。
本発明において、使用するオキセタニル基を含むモノマーを含有する組成物にエポキシ樹脂を配合してもよい。エポキシ樹脂は公知のものであればモノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれも使用できる。好ましくは特開2003−48293号公報の一般式(1)〜(6)に記載の脂環式エポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂は、オキセタニル基含有モノマー100質量部に対して0〜50%質量部含有させることが望ましく、硬化速度の観点から20〜40%質量部含有させることが好ましい。
エポキシ樹脂以外でも、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる高分子を混合して用いることができる。これらの2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーは、2種類以上を混合して用いても、また1官能の(メタ)アクリレートを混合して用いてもよいが、配合比はオキセタニル基含有モノマー100質量部に対して20%質量部以下とすることが好ましい。
本発明における有機層の厚みは特に限定されないが、10nm〜5μmの範囲であることが好ましく、10nm〜2μmの範囲であることがより好ましく、50nm〜0.5μmの範囲であることがさらに好ましい。有機層の厚みが薄すぎると、厚みの均一性を得ることが困難となるため、無機層の構造欠陥を効率よく有機層で埋めることができずに、バリア性の向上は見られない。逆に有機層の厚みが厚すぎると、曲げ等の外力により有機層がクラックを発生し易くなるためバリア性が低下してしまう不具合が発生する。
本発明の有機層を形成する方法としては、塗布による方法、真空成膜法等を挙げることができる。真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましく、有機物質モノマーの成膜速度を制御しやすい抵抗加熱蒸着法がより好ましい。本発明の有機物質モノマーの架橋方法は何ら制限されないが、活性エネルギー線照射による電子線や紫外線等による架橋が、真空槽内に容易に取り付けられる点や架橋反応による高分子量化が迅速である点で望ましい。
塗布方式で作成する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。
上記活性エネルギー線は、紫外線、X線、電子線、赤外線、マイクロ波等の照射することによりエネルギーを伝播し得る放射線を意味し、その種類とエネルギーは用途に応じて任意に選択することができる。
オキセタニル基を含有するモノマーのカチオン開環重合は、前記モノマーを含む組成物を塗布または蒸着した後、また熱重合開始剤を用いたときはヒーター等による接触加熱、赤外線やマイクロ波等の放射加熱により開始させる。光重合開始剤を用いたときは、活性エネルギー線を照射して開始させる。紫外線を照射する場合には、様々な光源を使用することができ、例えば、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステンーハロゲン輻射ランプおよび日光による照射光で硬化させることができる。紫外線の照射強度は少なくとも0.01J/cm2である。硬化を連続的に行う場合は1〜20秒内に組成物を硬化できるように照射速度を設定することが好ましい。電子線により硬化させる場合には300eV以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
本発明における有機層は、金属アルコキシドの加水分解、重縮合反応(ゾルゲル反応)を併用して有機無機ハイブリッド層にしてもよい。金属アルコキシドとしては、アルコキシシランおよび/またはアルコキシシラン以外の金属アルコキシドを使用する。アルコキシシラン以外の金属アルコキシドとしては、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等が好ましい。また、必要に応じて有機層に公知の無機微粒子や層状ケイ酸塩等の無機フィラーを混合させてもよい。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、少なくとも1層の無機層および少なくとも1層の有機層が積層単位として基材フィルムの片面または両面に設置される。また上記積層単位に隣接してさらに1組以上の無機層および有機層を繰り返し積層させてもよい。このような繰り返し単位を形成する場合、5単位以下、好ましくは2単位以下とすることがガスバリア性と製造効率等の観点から好ましい。また繰り返し単位を形成する場合は各々の無機層、各々の有機層は同じ組成であっても、異なる組成であってもよい。
<機能層>
本発明のガスバリア性積層フィルムは、上記の無機層および有機層以外に、さらに以下の各種機能層を有することもできる。
(透明導電層)
透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜が適用できる。中でも透明性、導電性および機械的特性の点から金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブデン、タングステン、フッ素等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。特に、酸化スズを2〜15質量%含有した酸化インジウム(ITO)の薄膜が、透明性および導電性の点で優れており、好ましく用いられる。透明導電層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等の方法が挙げられる。
透明導電層の膜厚は15〜300nmの範囲であることが好ましい。透明導電層の膜厚が15〜300nmであれば、連続した膜となり十分な導電性が得られ、かつ十分な透明性および耐屈曲性が得られる。
透明導電層は最外層であれば基材フィルム側でもガスバリアコート層側に設置してもよいが、基材にフィルムに含まれる微量水分の浸入を防ぐ意味でガスバリアコート層側に設置するのが好ましい。
(プライマー層)
本発明のガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムと無機層および有機層(ガスバリア層)との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することができる。プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層としては無機蒸着層またはゾル−ゲル法による緻密な無機コーティング薄膜を用いることが好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
(その他の機能層)
有機層および無機層(ガスバリアコート層)の上または最外層には必要に応じ、それぞれ種々の公知である機能層を設置してもよい。該機能層の例としては、反射防止層・偏光層・カラーフィルター・紫外線吸収層・光取出効率向上層等の光学機能層や、ハードコート層・応力緩和層等の力学的機能層、帯電防止層・導電層などの電気的機能層、防曇層、防汚層、被印刷層などが挙げられる。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、38℃、相対湿度0%における酸素透過率が0〜0.1ml/m2・day・atmであり、好ましくは、0〜0.05ml/m2・day・atmであり、さらに好ましくは、0〜0.01ml/m2・day・atmである。
また、本発明のガスバリア性積層フィルムは、38℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は、0〜0.1g/m2・dayであり、好ましくは0〜0.05g/m2・dayであり、さらに好ましくは、0〜0.01g/m2・dayである。
[画像表示素子]
本発明のガスバリア性積層フィルムの用途は特に限定されないが、光学特性と機械特性に優れるため、画像表示素子の透明電極用基板として好適に用いることができる。ここでいう「画像表示素子」とは、円偏光板・液晶表示素子、タッチパネル、有機EL素子などを意味する。
<円偏光板>
本発明のガスバリア性積層フィルムにλ/4板と偏光板を積層し、円偏光板を作成することができる。この場合、λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸とが45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
<液晶表示素子>
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明のガスバリア性積層フィルムは、前記透明電極および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる構成を有する。このうち本発明のガスバリア性積層フィルムは、前記上透明電極および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、より好ましくはTN(Twisted Nematic )型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Vertically Alignment)型、ECB型(Electrically Controlled Birefringence)、OCB型(Optically Compensatory Bend)、CPA型(Continuous Pinwheel Alignment)であることが好ましい。
<タッチパネル>
タッチパネルは、特開平5-127822号公報、特開2002-48913号公報等に記載されたものに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明で作成したフィルムを有機EL素子に用いる場合には、特開平11−335661号、同11−335368号、特開2001−192651号、同2001−192652号、同2001−192653号、同2001−335776号、同2001−247859号、同2001−181616号、同2001−181617号、特開2002−181816号、同2002−181617号、同2002−56976号等の各公報記載の内容および特開2001−148291号、同2001−221916号、同2001−231443号等の各公報と併せて用いることが好ましい。
すなわち、本発明のガスバリア性積層フィルムを、有機EL素子を形成する場合の基材フィルム、および/または保護フィルムとして用いることができる。
以下実施例に基づき詳細に説明する。ここで、本実施例は本発明の方法を効果的に実施することができるものであるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1.第1の無機層の作製
図1に示すように、ロールトゥロール方式のスパッタリング装置1を用いて無機層を作製した。この装置1は、真空槽2を有しており、その中央部には基材フィルム6を表面に接触させて冷却するためのドラム3が配置されている。また、上記真空槽2には基材フィルム6を巻くための送り出しロール4および巻き取りロール5が配置されている。送り出しロール4に巻かれた基材フィルム6はガイドロール7を介してドラム3に巻かれ、さらに基材フィルム6はガイドロール8を介してロール5に巻かれる。真空排気系としては排気口9から真空ポンプ10によって真空槽2内の排気が常に行われている。製膜系としてはパルス電力を印加できる直流方式の放電電源11に接続されたカソード12上にターゲット(図示せず)が装着されている。この放電電源11は制御器13に接続され、さらにこの制御器13は真空槽2へ配管15を介して反応ガス導入量を調整しつつ供給するガス流量調整ユニット14に接続されている。また、真空槽2には一定流量の放電ガスが供給できるように構成されている(図示せず)。以下、具体的な条件を示す。
基材フィルムとして厚さ100μmのポリエーテルスルホンフィルムを用意した。またターゲットとしてSiをセットし、放電電源11としてパルス印加方式のDC電源を用意した。真空ポンプを起動し、真空槽2内を10-4Pa程度まで真空引きし、放電ガスとしてアルゴンを反応ガスとして酸素を導入した。雰囲気圧力が安定したところで放電電源をONし、放電電力5kWでSiターゲット上にプラズマを発生させ、成膜圧力を0.030Paまで下げてからスパッタリングプロセスを開始した。このときの電圧値は610Vであった。この電圧値を設定値として、放電電圧が遷移領域において設定値よりも小さい場合は酸素流量を増加させ、放電電圧が遷移領域において設定値よりも大きい場合は酸素流量を減少させるように、制御器より圧電素子バルブユニットに指令を出すことで放電電圧を一定に保つように制御した。このようにして厚み50nmのSiOx層を基材フィルム上に形成した。
2.有機層の作製
ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(東亞合成製OXT−221)
100部(質量部、以下同じ)、重合開始剤としてジフェニル−4−チオフェノキシスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート2部を添加混合した塗布用組成物を、塗布厚み約0.4μmとなるように前記無機層を形成した基材フィルム上に塗布した後、395Wの高圧水銀灯を利用した紫外線照射装置[ハリソン東芝ライティング社製トスキュア401]を用いて大気中で組成物が十分反応する照射量(2000mJ/cm2、FT−IRにて確認)の紫外線照射をして硬化を行い、フィルム1Aを作製した。
3.第2の無機層の作製
基材フィルムとしてガイドベースに1Aを貼り付けたフィルム1A上に図1で示されるロール・トゥ・ロール方式のスパッタリング装置を用いて無機層を形成し、フィルム2Aを作製した。
(実施例2)
実施例1のジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルの替わりに1,4−ビス{[(3−エチル−3オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(東亞合成製OXT−121)を等量で用いた以外は実施例1と同様の方法でフィルム2Bを作製した。
(実施例3)
実施例1の塗布組成物の替わりにジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル100部に対して、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成製OXT−101)10部、テトラエトキシシラン10部、水0.5部を室温60分混合した塗布組成物を用い、塗布後に120℃5分間の加熱処理を行った以外は実施例1と同様の方法でフィルム2Cを作製した。
(実施例4)
特開2000−264969号公報の記載の方法で合成した3−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルオキシメチル]オキセタン12.37g、水酸化テトラメチルアンモニウムの10%水溶液1.05g、水1.14g、1,4−ジオキサン300mlを仕込み、撹拌しながら16時間加熱還流させた。次に溶媒200mlを減圧留去して反応系を濃縮し、6時間反応を続けた。その後、溶媒等を減圧留去し、200mlのトルエンで溶媒置換した後、水洗・脱水してオキセタニル基含有のスルセスキオキサン化合物を得た。GPCとNMRにより平均分子量(Mn)約2000のオキセタニル基含有のシルセスキオキサン化合物であることを確認した。
得られたオキセタニル基含有のシルセスキオキサン化合物を実施例1のジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルの替わりに用いた以外は実施例1と同様の方法によりフィルム2Dを作製した。
(比較例1)
有機層を下記方法により作製した以外は実施例1と同様の方法でフィルム2Eを作製した。
50mlのテトラエチレングリコール・ジアクリレートと14.5mlのトリプロピレングリコールモノアクリレートと7.25mlのカプロラクトンアクリレートと10.15mlのアクリル酸と10.15mlのEZACURE(Sartomer社ベンゾフェノン混合物光重合開始剤)とのアクリルモノマー混合物を、非常に細かいサイズから砂の粒子サイズまでの広い範囲の粒子サイズを有する固体のN,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン粒子36.25gと混合した。次いで、得られた混合物を20kHz超音波ティッシュ・ミンサー(tissue mincer)で約1時間撹拌し、固体粒子を微細なサスペンションを形成するために分解した。次いで、得られた混合物を約20体積%(36.25g)になるまで希釈し、約45℃に加熱しながら撹拌した。
次いで、特表2001−518530号公報に記載の装置を用いて得られた混合物を内径2.0mm、長さ610mmの細管を介して1.30mmのスプレーノズルにポンプで送り込み、そこで混合物を25kHzの超音波噴霧器で小滴に噴霧し、約340℃に維持された表面に落とした。フラッシュ蒸発チャンバ壁を約290℃に維持し、フラッシュ蒸発チャンバ壁上のモノマークライオ凝縮を防いだ。約13℃の温度で導入した冷却水で低温に維持したフィルム1B上に蒸気をクライオ凝縮させた後、UV硬化させ、厚み4μmの有機層を形成した。
(比較例2)
有機層を下記方法にて作製した以外は実施例1と同様の方法でフィルム2Fを作製した。
抵抗加熱端子および電子銃を備えた蒸着装置に高圧水銀UVランプを取り付けた製膜実験装置に、有機層としてジペンタエリスリトールペンタヘキサアクリレート(アロニックスM−400;東亞合成製)にラジカル開始剤(イルガキュアー651:チバガイギー製)を1質量%添加した未硬化樹脂を用い、膜厚約4μmになるよう蒸着した後、UVランプで1000mJ/cm2の積算光量となるようUV照射してモノマーを硬化させて有機層を形成した。
[ガス透過率および有機層の体積収縮率の測定]
フィルム2A〜2Fの38℃、相対湿度0%における酸素透過率と、38℃、相対湿度90%における水蒸気透過率とをMOCON法により測定した。また、各々のフィルムをアルミ板上に同条件で製膜した試料を回収し、JIS K6901附属書3に記載の方法にてUV硬化時の体積収縮率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0004191626
[屈曲耐性試験]
フィルム2A〜2Fを20cm×30cmに切り出し、バリアコート層を外側にして両端を貼り合せ円柱状にした後、12mmφの搬送ローラー2本を両ローラー間に約1Nの張力をかけてフィルムとローラー部が完全に接触し、かつフィルムが滑らぬよう注意しながら30cm/分でフィルムを回転搬送させた。試料は25℃60%RHの環境で8時間調湿したものを用い、同条件の実験室で試験を行った。
上記操作の後、前記と同条件で水蒸気バリア性の測定を行った。さらに目視による外観と光学顕微鏡による観察を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004191626
表1および2より、本発明のガスバリア性積層フィルムは、比較例と比べて、いずれも高いガスバリア性をもち、かつ屈曲させてもガスバリア性が劣化しない特性を示した。またUV硬化による体積収縮の小さい本発明のガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア性及び耐屈曲性ともに改善が見られた。
これより、本発明のガスバリア性積層フィルムは、屈曲耐性を有する高ガスバリア性能を有するフィルムであることが分かる。本発明のガスバリア性積層フィルムが屈曲耐性と高ガスバリア性を示す理由については定かではないが、架橋反応による有機層の収縮率減少に基づく無機層と有機層との間の密着性が向上し、無機層と有機層との界面に生ずる潜在歪が小さくなり、その結果、破壊限界応力が実質的に高くなったことが推測される。さらに、本発明のガスバリア性積層フィルムでは、カチオン重合がラジカル重合より活性サイトが失活しにくく、密着性に関与する無機層界面での重合反応が無機層界面に存在する不純物等のラジカルクエンチャーに阻害されないため、無機層を有効に欠陥補償し、有機層自身の架橋密度が高くガス透過性を低下させたことが推測される。
(実施例5)
1.基材フィルムおよび積層フィルムの作製
本発明の樹脂化合物(C−3)を15質量%になるようにジクロロメタン溶液に溶解し、ダイコーティング法によりステンレスバンド上に流延した。次いで、バンド上から第一フィルムを剥ぎ取り、残留溶媒濃度が0.08質量%になるまで乾燥させた後、両端をトリミングし、ナーリング加工した後、巻き取り、厚み100μmのフィルム1Gを作製した。さらに、基材フィルムを1Gに変更した以外は実施例1と同様の方法により積層フィルム2Gを作製した。
Figure 0004191626
M−100の235.59g(646.8mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライド9.171g(33mmol)、ジクロロメタン2805ml、水2475mlを、攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌した。30分後、テレフタル酸クロライド134.05g(660mmol)を粉体のまま投入し、330mlのジクロロメタンで洗い流した。10分後、p−tert−ブチルフェノール3.966g(26.4mmol)を2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液693mlに溶解し、132mlの水で希釈した液を1時間かけて滴下装置を用いて滴下した後、165mlの水で洗浄した。その後、3時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン1Lを添加し、有機相を分離した。さらに12M(12N)塩酸水6.6mlを水2.5Lで希釈した溶液を添加し、有機相を洗浄した。さらに水2.5Lで2回洗浄を行った後、分離した有機相にジクロロメタン1Lを添加し、希釈した後、激しく撹拌した25Lのメタノール中に1時間かけて投入した。メタノール中、得られた白色沈殿を濾取し、40℃で12時間加熱乾燥後、70℃、減圧下で3時間乾燥し、目的の化合物C−3を307.2g得た。
得られたC−3の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量は61000であった。
2.有機EL素子の作製
フィルム2Aおよび2Gを真空チャンバ内に導入し、IXOターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚さ0.2μmのIXO薄膜からなる透明電極を形成した。透明電極(IXO)より、アルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成物を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフイルム(UPILEX−50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。LiFターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、LiFをAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を含む電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機で塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
ポリビニルブチラール2000L 10質量部
(Mw=2000、電気化学工業社製):
1−ブタノール: 3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部
Figure 0004191626
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子3Aおよび3Gを得た。また、比較用の有機EL素子として、基板Xの作成において、支持体として各々試料2Eおよび2Fを用いた有機EL素子3E及び3Fを作製した。
次に、得られた有機EL素子3A、3E、3F、3Gをソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し、発光させた。いずれの有機EL素子もともに良好に発光した。素子3A、3E、3F、3Gを素子作製後25℃−75%RH下に1ヶ月放置し、同様にして発光させてみたところ、素子3Aおよび3Gは同様に良好な発光が見られたものの、素子3Eには初期の発光面積に対して約20%の、3Fには約5%の非発光部分が観察された。
さらに別に用意した有機EL素子3A、3E、3F、3Gの発光面を12mmφのローラーを用いて巻きつけと平面に伸ばす操作を100回繰り返し操作した後、40℃、相対湿度90%下に10日間放置した後、同様にして発光させてみたところ、有機EL素子3Gは同様に良好な発光が見られた。有機EL素子3Aは約5%の非発光部が観察された。これに対して有機EL素子3E、3Fはいずれも非発光部の面積が80%を超え、明らかに劣化していた。基材フィルム違いの3Aと3Gに差が生じたのは、屈曲性に優れる基材フィルムが積層バリア層のわずかな劣化を防止することに寄与しているためと推定される。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、屈曲しても優れたガスバリア性を維持できるため、耐久性に優れた画像表示素子の基板として利用することができる。
実施例1におけるロールトゥロール方式のスパッタリング装置の概略説明図である。
符号の説明
1 スパッタリング装置
2 真空槽
3 ドラム
4 送り出しロール
5 巻き取りロール
6 プラスチックフィルム
7 ガイドロール
8 ガイドロール
9 排気口
10 真空ポンプ
11 放電電源
12 カソード
13 制御器
14 ガス流量調整ユニット
15 反応ガス配管

Claims (7)

  1. 基材フィルム上に、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とを有するガスバリア性積層フィルムであって、前記有機層が少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマーを開環重合させて形成された層であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 基材フィルム上に、無機層および有機層がこの順に積層されている請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記オキセタニル基を含有するモノマーの少なくとも1種類が、分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を含有するモノマーである請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 前記基材フィルムが下記一般式(I)で表されるスピロ構造を有する樹脂または下記一般
    式(II)で表されるカルド構造を有する樹脂で形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
    Figure 0004191626
    一般式(I)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環はスピロ結合によって
    結合されている。
    Figure 0004191626
    一般式(II)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
  5. 基材フィルムを形成する工程、無機層を形成する工程、および有機層を形成する工程を有するガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、前記有機層を形成する工程において、少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマーを開環重合させて形成することを特徴とする製造方法。
  6. 基材フィルムを形成する工程、無機層を形成する工程、および有機層を形成する工程を有するガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、前記有機層を形成する工程において、少なくとも1種類のオキセタニル基を含有するモノマーとカチオン重合開始剤とを含有する組成物を塗布しまたは蒸着した後、活性エネルギー線を照射することにより前記有機層を形成することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルムを用いた画像表示素子。
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