JP4347501B2 - 易引裂性2軸延伸ポリエステルフィルムおよびその積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は包装材料に好適な2軸延伸ポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、本発明は物品の包装を手で容易に引裂いて除去でき、優れた透明性、耐久性、耐衝撃性、寸法安定性、ガスバリアー性、機械強度、耐油性または耐溶剤性を持つ、包装材料に好適なポリエチレンテレフタレートとポリエーテルエステルエラストマーとの組成物からなる2軸延伸ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
雑貨、医薬品または食品等の包装は、2軸延伸ポリエステルフィルムまたは2軸延伸ポリエステルフィルムとポリエチレンなどのヒートシール可能なフィルムとをラミネートした積層体を包装材料として広く使用している。2軸延伸ポリエステルフィルムは透明性、耐久性、寸法安定性、ガスバリアー性、耐油性、耐溶剤性または機械強度に優れており、包装材料として極めて好適なものである。ただ、2軸延伸ポリエステルフィルムを用いた包装材料は、その優れた機械強度が災いし、引裂開封性、特に直線引裂性が乏しいという問題があった。この直線引裂性が乏しいという問題は、そのフィルムを包装材料として用いた場合に、手による開封が困難であったり、開封時に中身の飛散や破損を惹起する可能性があることから、包装材料の用途によっては致命的な問題である。
【0003】
この乏しい直線引裂性の改善として、平均分子量600〜4000のポリテトラメチレングリコール単位を主鎖に5〜20重量%含有したポリエーテルエステルエラストマーを、ポリエチレンテレフタレート中に5〜30重量%の割合で細長い島状に分散させて、直線引裂性を発現させたポリエステルフィルムが、特開平11−302405号公報または特開平10−168293号公報で提案されている。しかしながら、これらの公報のポリエステルフィルムは、透明性を損なうことなく優れた直線引裂性を有するものの、新たに耐衝撃性が乏しいという問題があることが判明した。そのため、これらの公報のフィルムは、運搬時などに強い衝撃が加わる用途や鋭い角を有するような被包装体の用途などでは、未だ十分なものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、包装材料に用いる2軸延伸ポリエステルフィルムの優れた透明性、耐久性、寸法安定性、ガスバリアー性、耐油性、耐溶剤性、機械強度を損なうことなく、直線引裂性に加えて、耐衝撃性をも兼備した2軸延伸ポリエステルフィルムおよびその積層体の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決しようと鋭意研究した結果、ポリテトラメチレングリコールを30重量%以上主鎖に含有するポリエーテルエステルエラストマーをポリエチレンテレフタレート中に均一に分散させることができれば、包装材料に用いる2軸延伸ポリエステルフィルムの優れた透明性、耐久性、寸法安定性、ガスバリアー性、耐油性、耐溶剤性、機械強度を損なうことなく、優れた直線引裂性と耐衝撃性とを兼備した包装材料が得られることを見出した。
【0006】
かくして本発明によれば、ポリエチレンテレフタレート中にポリエーテルエステルエラストマーを5〜30重量%の割合で細長い島状に分散させた易引裂性を有する2軸延伸ポリエステルフィルムであって、該エラストマーはその主鎖中に平均分子量500〜5000のポリテトラメチレングリコールを21〜60重量%含むことおよび該フィルムは最小のトラウザー引裂強度が1.5〜3.0N/mmの範囲にあって且つ該最小引裂強度の測定方向に引裂直線性を有することを特徴とする2軸延伸ポリエステルフィルムが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、前述の2軸延伸ポリエステルフィルムに、150℃で30分間熱処理した時の乾熱収縮率が6%以下という熱寸法安定性を付加した二軸配向ポリエステルフィルムも提供される。
【0008】
さらにまた、本発明によれば、前述の2軸延伸ポリエステルフィルムを少なくとも1層に使用することを特徴とする包装材料用の積層体も提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)中に平均分子量500〜5000のポリテトラメチレングリコール(PTMG)単位をその主鎖に30〜60重量%含むポリエーテルエステルエラストマー(PEE)を5〜30重量%になるように配合し、該PEEが細長い島状に分散していることを特徴とする。
【0010】
以下に本発明を詳述する。
本発明におけるPETは、酸成分がテレフタル酸、グリコール成分がエチレングリコールからなるポリエステルであり、それ自体公知の方法で製造できる。具体的にはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールからのエステル交換反応法、あるいはテレフタル酸とエチレングリコールとの直接エステル化によりオリゴマーを得た後、溶融重合して得られる。また、該PETは、本発明の効果を損ねない範囲で他の成分を共重合してもよい。共重合させる他の成分としては、酸成分はアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、2−6ナフタレンジカルボン酸、2−7ナフタレンジカルボン酸、1−5ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またアルコール成分はジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールを好ましく例示できる。これらは単独あるいは2種以上を使用することができる。これらの共重合成分の割合は、PETの繰り返し単位に対し、高々15mol%であることが好ましい。
【0011】
本発明のポリエステルフィルムにおけるPETとPEEの組成物中のPEEの割合は5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%、さらに好ましくは15〜20重量%である。ポリエステルエラストマーの割合が30重量%を超えると、ポリマーの粘度が高すぎて安定した製膜が難しく、他方5%未満では、直線引裂性を発現するに十分な量のPEEの島状構造がPETの海の中に形成できない。なお、フィルム中のPEEの島状構造は細長い形状を呈しており、その長径方向はフィルムの巻き取り方向にほぼ一致している。
【0012】
本発明におけるPEEは、結晶性ハードセグメントと非晶性ソフトセグメントからなり、非晶性ソフトセグメントとして分子量500〜5000のPTMGをPEE重量に対して30〜60重量%、好ましくは30〜55重量%、さらに好ましくは30〜50重量%の範囲で含んだものである。PTMGの分子量が5000を超えるまたはPTMGの含有量が60重量%を超えると、PETとの相溶性が著しく悪化し安定した製膜が不可能となる。他方、PTMGの分子量が500未満だと、PETとの相溶性が良すぎて直線的な引裂性発現に必要な相分離構造がPETの海の中に形成できず、また、PTMGの含有量が下限値より少ない21%未満だと、PEEが弾力性に欠け、耐衝撃性の乏しいフィルムしか得られない。なお、本発明におけるPEEを構成する結晶性ハードセグメントとしては、ポリエチレンテレフタレート、またはポリブチレンテレフタレートなどが挙げられ、特に好ましいのはポリブチレンテレフタレートである。これらのPEEは、例えばテレフタル酸とブチレングリコールを用いて常法にてポリブチレンテレフタレートの重合反応を行う際に、ポリテトラメチレングリコールを添加することにより得ることができる。
【0013】
本発明における2軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルムの面方向において、各方向にトラウザー引裂き強度を測定した際に、フィルムのMD方向に沿って測定したトラウザー引裂き強度が最も小さい値となる。換言すれば、フィルムの面方向において、各方向にトラウザー引裂き強度を測定した際の最も小さい値を測定した方向がMD方向である。また、本発明における2軸延伸ポリエステルフィルムは、MD方向とPEEの細長い島状分散の長径の方向とが同一であることから、トラウザー引裂き強度を測定したの最も小さい値を測定した方向に直線的な引裂性を有することになる。
【0014】
この機構については、未だ十分に解明できていないが、以下のような機構ではないかと予想している。まず、ポリエチレンテレフタレートとPEEが相分離し、この状態は前者が海で後者がその海の中に島状に分散した状態となる。そして、PEEの島状に分散した粒子が、押出し機内でのせん断力によってポリマーの進行方向に伸ばされるような変形をうけ、PEEの島状構造の長径方向は、最終的なポリマーの進行方向であるMD方向に一致した状態となる。また、島状構造の長径方向に沿った直線的な引裂き性が発現する機構については、長径方向が揃ったことによって、その方向に直交する方向のフィルム内の結合力が弱まるためと考えられる。
【0015】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、包装の開封し易さの観点から、直線引裂性を有する方向、すなわち、フィルムの面方向において、各方向にトラウザー引裂き強度を測定した際の最も小さい値が、3.0N/mm以下、好ましくは2.5N/mm以下であることが必要である。前述の最小トラウザー引裂き強度が3.0N/mmを越えると、引裂き強度が強く、手による開封が困難となる。なお、前述の最小トラウザー引裂き強度の下限については、包装する際の取扱い性の向上や製膜時の破断防止などの観点から、少なくとも1.5N/mm、好ましくは2.0N/mm以上であることが必要である。このような2軸延伸ポリエステルフィルムは、前述のポリエチレンテレフタレートとPEEとからなる組成物を溶融状態で冷却ドラム上にダイより押出した後、MD方向に3.0倍以上、好ましくは3.2倍以上の延伸倍率で延伸し、TD方向にMD方向の延伸倍率以下で延伸すれば良い。MD方向の延伸倍率の上限については、特に限定されないが、高々4.0倍が好ましく、また、TD方向の延伸倍率の下限については、2.5倍以上であることが好ましい。
【0016】
ところで、前掲の2件の公報では、PEE中に含有されるPTMGが20重量%を越えると、製膜性が悪化し、実用に耐え難いような大きな厚み斑を有するフィルムしか得られないとある。これに対して、本発明者らは、この製膜性の悪化の原因が、PTMGの割合増加に伴うPETとの相溶性の低下で、均一な分散状態が保てなくなったためと推定した。そして、ダイより溶融状態のPETとPEEの組成物を押出す直前に、平均目開き30μm以下のフィルターを通せば、均一な分散状態を維持でき、30重量%以上PTMGを含有させても安定な製膜性を維持できることを見出したのである。
【0017】
次に本発明の好ましい態様について以下に詳述する。
本発明における2軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性を維持する上で、平均粒径が2.5μm以下の微粒子からなる滑剤を含有する事が好ましい。平均粒径が2.5μmを越えると、フィルムの透明性が低下し易く、ヘーズが10%以下という高度の透明性を確保し難い。この滑剤は無機系でも有機系でもよく、好ましくは無機系滑剤である。無機系滑剤としてはシリカ、アルミナ、2酸化チタン、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウム等が例示でき、有機系滑剤としてはシリコーン粒子等が例示できる。滑剤の平均粒径の下限については、少なくとも1.0μmであることがフィルムの製膜性や滑り性の観点から好ましい。の上記滑剤の添加量としてはその粒径にも依存するが、フィルムの巻き取り性および透明性に悪影響を及ぼさない範囲で選択すると良い。
【0018】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、150℃で30分間熱処理した際の熱収縮率が、フィルムの面方向において、いずれの方向も高々8%あることが好ましい。フィルムの面方向において、熱収縮率が8%を越えるような方向があると、ラミネート等の包装加工や印刷などの際に過度の変形が起きる。より好ましい熱収縮率は6%以下、さらに好ましくは4%以下である。このような寸法安定性の優れた2軸延伸ポリエステルフィルムは、PEEとPETの組成物を溶融状態でダイより冷却ドラム上に押出してから2軸延伸した後、少なくとも200℃の熱固定温度で熱固定処理を施せば良い。熱固定温度の上限については、高々250℃であることが好ましい。
【0019】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、厚みが好ましくは6〜25μm、より好ましくは10〜20μm、さらに好ましくは12〜15μmの範囲のものである。厚みが6μm未満では、腰が弱くて静電気のためにフィルムが手にまとわり付いたり作業性が悪化する場合がある。他方、厚みが25μmを越えると、引裂きに要する力が大きくなり手による開封が困難となる場合がある。
【0020】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、アルミ蒸着層、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンフィルムまたはナイロン6、ナイロン66やMXDナイロンといったポリアミドフィルムと積層したの積層体としてもよい。むしろこのような積層体は、本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムに強度やガスバリヤー性といった特性を必要に応じて調整できることから好ましい態様と言える。このような積層体としても、本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムの直線引裂性によって、積層体は優れた直線引裂き性を有する。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を掲げて本発明をさらに説明する。なお、各特性の測定および評価は以下の方法に従った。
【0022】
(1)フィルム厚み
打点式フィルム厚み計(Anritsu、K402B)を用い、フィルム幅方向の任意の場所50箇所、フィルム幅の中心付近の長手方向で任意の場所50箇所について厚みを測定し、全100箇所の数平均値をフィルム厚みとする。
【0023】
(2)ポリテトラメチレングリコールの平均分子量
塩化メチレン溶液中(25℃)で固有粘度([η])を測定し、該固有粘度から以下のSchnellの式を用いて平均分子量を算出した。
Mv=[log([η]/1.23×10-4)]/0.83
【0024】
(3)引裂強度
引裂強度の測定は、JIS K 7128(A法:トラウザー引裂試験)に準じた。測定値(N/mm)の小さいものほど引裂き性が良好であり、ポリエステルフィルム単体での引裂強度が3.0N/mm以下のものを合格とした。
【0025】
(4)直線引裂性
フィルムのMD方向を、フィルムから切り出す短冊の長辺に合わせ、4cm×30cmの短冊を切り出した。この短冊の短辺に切れ目を入れて、該切れ目より2つに引裂いたときの、引裂き開始位置から短冊の短辺方向におけるずれを測定した。そして、該ずれを短冊の長辺の長さ(30cm)で割った値が5%未満のもの合格とし、各水準ごとに10個の短冊を測定し、その結果から、以下の基準で判断した。
○:10個中8個以上が合格する良好な直線引裂性
×:10個中7個以下しか合格しない乏しい直線引裂性
【0026】
(5)ヘーズ
JIS K7105の測定法Aに準じた。
【0027】
(6)熱収縮率
40cm程の短冊状のフィルム上を長手方向、幅方向に切り出し、30cmの間隔をあけて2個所の標点をつける。その後150℃に加熱したオーブン内に30分間置いた後、オーブンから取り出して標点間の距離を測定しオーブンに入れる前の値(30cm)との差を算出、その差を最初の標点間距離の百分率(%)で表した。測定は5回行いその平均値を測定値とした。
【0028】
(7)相分離粒子の観察方法
フィルムを包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂を用いて包埋し、ミクロトーム(Reichert-Jung製、UlTRACUT)にて長手断面、巾断面を50μm厚に薄切りしたサンプルを、3.2%オスミウム酸・60℃・2hrの条件で蒸気染色を行った後、透過電子顕微鏡(トプコン製、LEM−2000)によって加速電圧100kVで観察した。
【0029】
(8)耐衝撃性試験
フィルムを半径3cmの枠に固定する。その上に重さ140gで先端が半径2mmの半球状になったおもり(A)を乗せる。さらに該半球状のおもりの上方におもさ100gのおもり(B)を、おもり(A)の上端からさらに上方14cmの位置からから落下させて、フィルムが破断したかどうかを目視にて確認し、以下の基準で評価した。
○:破断が10回中4回以下である良好な耐衝撃性
△:破断が10回中5回である耐衝撃性
×:破断が10回中6回以上である乏しい耐衝撃性
【0030】
[実施例1〜4および比較例1〜4]
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを原料として、テトラブトキシチタンをエステル交換触媒、2酸化ゲルマニウムを重合触媒、亜リン酸を安定剤として用い、常法により固有粘度(o−クロロフェノール、35℃)0.62のポリエチレンテレフタレートを製造した。また、ジメチルテレフタレートとテトラメチレングリコールを原料とし、テトラブトキシチタンをエステル交換触媒、2酸化ゲルマニウムを重合触媒とし、重合時に表1に示す平均分子量および添加量のポリテトラメチレングリコールを添加することで、表1に示す分子量のポリエーテルエステルエラストマーを得た。
【0031】
上記のポリエチレンテレフタレートとポリエーテルエステルエラストマーを表1に示す重量比でチップ状態でブレンドしたものを150℃で5時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給して溶融温度280℃で溶融し、目開き25μmのフィルターを通過させてから単層ダイを用いて表面温度20℃の冷却ドラム上に押出して急冷し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを80℃に余熱し低速−高速ロール間で赤外線ヒーターを用いて表1に示す延伸温度、延伸倍率にて製膜方向(MD方向)に延伸した。次いで、この1軸延伸フィルムをステンターに供給し、表1に示す延伸温度、延伸倍率にて製膜方向に直交する方向(TD方向)に延伸し、その後220℃にて熱固定を行い2軸配向ポリエステルフィルムを得た。なお、得られた2軸延伸フィルムは、平均粒径1.5μmの球状シリカ粒子を、0.1重量%滑剤として添加されていた。
【0032】
得られた2軸延伸ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。なお、表1中のPETはポリエチレンテレフタレートを、PEEはポリエーテルエステルエラストマーを、PTMG含有量はPEE中のポリテトラメチレングリコールの含有量を示し、MDおよびTDはそれぞれMD方向とTD方向を示す。
【0033】
[比較例5]
PEEを添加しなかった以外は、実施例3と同様な操作を繰り返した。
得られた2軸延伸ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
本発明の実施例1〜4の2軸延伸ポリエステルフィルムは、MD方向に良好な引裂直線性と3.0N/mm以下のトラウザー引裂き強度とを有し、良好な耐衝撃性をも有するものであった。
【0036】
これに対して、PTMGの含有量が不足しているPEEを用いた比較例1のフィルムでは耐衝撃性が乏しく、PEEのブレンド量が少ない比較例2のフィルムではPETの海の中にPEEの細長い島状構造を十分に形成できないため引裂き直線性が悪かった。また、PEEの割合が過度に多い比較例3のフィルムおよび分子量が過度に大きいPTMG単位を含有したPEEを用いた比較例4のフィルムでは、ポリマーの溶融粘度が著しく高くなり押出機を使った製膜が不可能となった。なお、PEEを添加せずにPETのみで製膜を行った比較例5のフィルムは、直線的な引裂性が著しく劣っていた。
【0037】
[実施例5]
実施例1の2軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、ドライラミネート法によって厚さ50μmのポリエチレンの層を積層した。得られた積層体は、MD方向のトラウザー引裂き強度が10N/mmで、直線引裂性の評価において10個中8個以上が合格するような良好な直線引裂性を有し、実施例1の2軸延伸ポリエステルフィルムと同等以上の耐衝撃性を有するものであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムおよびそれを少なくとも一層に使用した積層体は、従来の包装材料に用いる2軸延伸ポリエステルフィルムの優れた透明性、耐久性、寸法安定性、ガスバリアー性、耐油性、耐溶剤性および機械強度を損なうことなく、優れた直線引裂性と耐衝撃性とを兼備する。そのため、包装材料として使用した場合は、運搬時などに受ける衝撃によって破損することがなく、開封する際は容易に手で引き裂けるので、極めて作業性に優れる。
Claims (4)
- ポリエチレンテレフタレート中にポリエーテルエステルエラストマーを5〜30重量%の割合で細長い島状に分散させた易引裂性を有する2軸延伸ポリエステルフィルムであって、該エラストマーはその主鎖中に平均分子量500〜5000のポリテトラメチレングリコールを30〜60重量%含むことおよび該フィルムは最小のトラウザー引裂強度が1.5〜3.0N/mmの範囲にあって且つ該最小引裂強度の測定方向に引裂直線性を有することを特徴とする2軸延伸ポリエステルフィルム。
- ポリエーテルエステルエラストマーがテトラメチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールとの共重合体である請求項1記載の2軸延伸ポリエステルフィルム。
- 150℃で30分間熱処理した時の乾熱収縮率が6%以下である請求項1記載の2軸延伸ポリエステルフィルム。
- 少なくとも1層に請求項1〜3のいずれかに記載された2軸配向ポリエステルフィルムを使用することを特徴とする積層体。
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