JP4345785B2 - 透光性セラミックス、その製造方法および光学素子 - Google Patents

透光性セラミックス、その製造方法および光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、高屈折率、高光透過率、常誘電体であって、光学部品として有用な透光性セラミックス、その製造方法および光学素子に関するものである。
従来より、光学素子の光学部品材料としては、例えば特開平5−107467号公報や特開平9−245364号公報に記載されているように、ガラスやプラスチックやニオブ酸リチウム(LiNbO)等の単結晶が用いられている。
ガラスやプラスチックは、光透過率が高く、素子形状の加工が容易であることから、レンズ等の光学部品に用いられている。また、LiNbOの単結晶は、その電気化学的特性と複屈折を利用して、光導波路などの光学部品に用いられている。このような光学部品を用いた光ピックアップ等の光学素子では、さらなる小型化や薄型化が要求されている。
上記従来のガラスやプラスチックでは、その屈折率が1.9未満であることから、それらを用いた光学部品や光学素子において小型化や薄型化に限界があるという問題を生じている。さらに、プラスチックでは、吸湿性といった問題があり、その上、屈折率が低く、複屈折があるため、入射光を効率よく透過、集光させる上で問題があった。さらに、LiNbO等の単結晶は、屈折率は高いものの(n=2.3)、複屈折があるため、レンズ等の光学部品には用いることができず、利用用途が限定されるという問題を生じている。
本発明の透光性セラミックスは、以上の課題を解決するために、屈折率が1.9以上であり、常誘電体であることを特徴としている。常誘電体とは、電界が印加されても誘電率が変化しないものであり、よって、複屈折を生じないものである。上記構成によれば、常誘電体であることから複屈折を生ぜず、よってレンズ等の光学部品に容易に適用でき、その上、屈折率が1.9以上であるので、上記光学部品を小型化や薄型化できる。このことから、上記構成は、光学部品の素材として好適に用いることができるものとなり、かつ、上記光学部品を用いた光学素子を小型化、薄型化できる。
上記透光性セラミックスは、Ba(Zn,Ta)O系であることが望ましい。上記構成によれば、光学部品として好適な物性である、屈折率が1.9以上とし、常誘電体とすることをより確実に達成できる。
上記透光性セラミックスにおいては、さらに、鉄族金属(Fe,Co,Ni)を1.2モル%以下有するものであってもよい。上記構成によれば、必要に応じた吸光特性(各波長毎の光透過特性や光吸収特性)を鉄族金属を1.2モル%以下有することにより調整でき、光学部品としての、例えば光学フィルタといった適用範囲を広げることができる。
上記透光性セラミックスにおいては、ペロブスカイト型結晶構造を主結晶相とすることが好ましい。上記ペロブスカイト型結晶構造には、複合ペロブスカイト型結晶構造が含まれる。上記構成によれば、光学部品として好適な物性である、屈折率が1.9以上とし、常誘電体とすることをより確実に達成できる。
本発明に係る透光性セラミックスの製造方法は、前記の課題を解決するために、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である透光性セラミックスの製造方法であって、上記透光性セラミックスの原料とバインダーとから成形物を調製し、上記成形物を、上記透光性セラミックスと同組成系に近接して配置すると共に、脱バインダーが生じる温度領域まで大気組成中にて昇温し、上記温度領域を通過後の焼成雰囲気の酸素濃度を大気組成より上昇させて焼成することを特徴としている。
上記方法によれば、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である、光学部品の素材として、上述したように好適な特性を有する透光性セラミックスを安定に得ることができる。
上記方法においては、上記成形物を、上記透光性セラミックスと同組成系に近接して配置するために、上記同組成系の粉末中に埋め込んで焼成する方法が好ましい。上記方法によれば、同組成系の粉末中に埋め込んで焼成することによって、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である、光学部品の素材として、上述したように好適な透光性セラミックスをより一層安定に得ることができる。
本発明に係る光学素子は、前記の課題を解決するために、上記の透光性セラミックスの何れかを有する光学部品が用いられていることを特徴としている。上記構成によれば、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である透光性セラミックスを光学部品の素材として用いることにより、小型化や薄型化を図れる。
本発明の透光性セラミックスは、以上のように、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である構成である。それゆえ、上記構成は、常誘電体であることから複屈折を生ぜず、よってレンズ等の光学部品に容易に適用でき、その上、屈折率が1.9以上であるので、上記光学部品を小型化や薄型化できる。このことから、上記構成を光学部品の素材として用いた光学素子を小型化や薄型化できるという効果を奏する。
本発明の透光性セラミックスの製造方法は、以上のように、透光性セラミックスの原料とバインダーとから調製した成形物を、上記透光性セラミックスと同組成系に近接して配置すると共に、脱バインダーが生じる温度領域まで大気組成中にて昇温し、上記温度領域を通過後の焼成雰囲気の酸素濃度を大気組成より上昇させて焼成する方法である。
それゆえ、上記方法では、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である、光学部品の素材として、上述したように好適な特性を有する透光性セラミックスを安定に得ることができるという効果を奏する。
本発明の光学素子は、以上のように、上記の透光性セラミックスが光学部品として用いられている構成である。それゆえ、上記構成においては、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である透光性セラミックスを光学部品の素材として用いることにより、小型化や薄型化を図れるという効果を奏する。
本発明の実施の各形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
〔実施の第一形態〕
本発明に係る実施の第一形態に関する、Ba(Mg,Ta)O系の複合ペロブスカイト型結晶構造を主結晶相とする透光性セラミックスについて、上記透光性セラミックスの製造方法に基づいて説明すると以下の通りである。
まず、原料として、高純度のBaCO、SnO、ZrO、MgCOおよびTa を準備した。続いて、上記各原料を、Ba〔(Snu Zr1-ux Mgy Taz v w なる組成式において、u=0.67、x=0.16、y=0.29、z=0.55、v=1.02、となる組成が得られるようにそれぞれ秤量し、一緒にボールミルで16時間湿式混合して混合物を得た。なお、wについては、焼成後において、ほぼ3となっている。x、y、zについては、x+y+z=1.00の関係を満たすものである。
この混合物を乾燥した後、1300℃で3時間仮焼して仮焼物を得た。この仮焼物を水および有機バインダーと共に、ボールミルに入れ、16時間湿式粉砕した。有機バインダーとしては、結合剤としての機能を備え、かつ、焼結時に、焼結温度に達する前に、大気中で例えば500℃程度で大気中の酸素と反応して炭酸ガスや水蒸気等にガス化して消失するものであればよく、例えばエチルセルロース等が挙げられる。
この粉砕物を乾燥した後、50メッシュの網(篩)を通して造粒し、得られた造粒粉末を2000kg/cmの圧力で直径30mm、厚さ1.8mmの円板状に成形した。
この成形物を、同組成粉末中に埋め込んだ。上記の同組成粉末は上記成形物と同組成系に調整したものを焼成して得られた焼成物を粉砕したものであり、特に透光性を備えていなくともよい。上記同組成系としては、上記成形物と各成分が同一であれば、それらの組成比が相違していてもよいが、略同一のものが好ましい。したがって、同組成粉末中に埋め込んだ成形物は、上記成形物と同組成系に近接して配置され、焼成されることになる。
この成形物を、焼成炉中において、上記同組成粉末と共に、まず、大気組成の雰囲気中にて、加熱して昇温させ成形物に含まれる有機バインダーを加熱により消失させる脱バインダーが生じる温度領域まで昇温させ、脱バインダー後、昇温させながら上記大気中に酸素を注入して酸素濃度を大気中の酸素濃度から上昇、例えば90%(容量%)に設定して、焼成炉中の焼成雰囲気を調整した。
その後、上記焼成雰囲気を維持して、例えば1600℃の焼成温度まで焼成炉内を昇温し、その焼成雰囲気および焼成温度を維持しながら20時間、上記成形物を焼成して、上記成形物から焼結体を得た。このようにして、本実施の第一形態に係る、Ba(Mg,Ta)O系の複合ペロブスカイト型結晶構造を主結晶相とする焼結体である透光性セラミックスが得られた。
このようにして得られた焼結体は、X線回折(XRD)による分析の結果、Ba(Mg,Ta)O系の結晶構造を有することが確認された。ここで、Baは、複合ペロブスカイト型結晶構造のAサイトに、また、MgとTaとがBサイトに入ることは、それらのイオン半径から制約されるものである。
上記焼成温度および焼成時間については、用いる組成により設定されるが、上記組成では1550℃〜1650℃の範囲内で、焼成時間を10時間以上焼成すればよい。上記条件にて焼成すれば、透光性の高い焼結体である透光性セラミックスが得られる。
得られた焼結体を、例えば物理的研磨方法である研磨剤を用いて鏡面研磨し、厚さ0.4mmに仕上げて、本発明に係る透光性セラミックスの試料として得た。この試料について、直線透過率と屈折率をそれぞれ測定した。
直線透過率は、島津製分光光度計(UV−200S)を用いて測定波長λが180nm〜900nmの範囲で、また、屈折率はプリズムカプラー(Metricon社製、MODEL 2010)を用い、測定波長λが633nmで測定した。
さらに、試料の厚みを0.2mm、0.4mm、1.0mmと変えて、直線透過率に関する肉厚依存性の確認も行った。また、第一比較例として、市販の光学用YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット、YAl12 )の多結晶体を同様に成形して第一比較試料とし、その直線透過率および屈折率をそれぞれ評価した。
上記試料および第一比較試料に関する直線透過率の測定結果を図1に、肉厚依存性の測定結果を図2に示した。また、屈折率の測定値、およびその他の透光性材料の特性値を合わせて表1に示した。
Figure 0004345785
上記試料の屈折率(n)は測定の結果2.1であった。直線透過率の測定時には、空気中から試料に対し垂直に光が入射する。このため、屈折率(n)が2.1の場合、試料の表面と背面とでの反射率の合計が23%となる。よって、上記試料の直線透過率の理論値(理論最大値)は77%である。
上記実施の第一形態の試料では、その直線透過率が試料厚みによらずほぼ75%であり、理論値と同等の値を示した。このことは、試料の結晶内での欠陥がほとんど無いことを示しており、この試料が光学部品として利用可能であることを裏付けている。このような試料では、表面にAR(反射防止膜)コートを施すことで、ほぼ100%の直線透過率を有するものにできる。一方、第一比較試料としてのYAG多結晶体の場合は、その直線透過率はほぼ理論値であるが、屈折率が1.8と低いものである。
以上のように、本実施の第一形態による透光性セラミックスは、第一比較試料より屈折率が高く、かつ、直線透過率が高く、さらに、常誘電体の多結晶体であるため、複屈折を示さない。このような特性を全て満たす材料は、光学用途として利用されている材料(例えば表1に示した本願発明以外の材料)にはなく、従来知られていないものであって、光学素子や光学部品の素材、図3に示すように、特に、両凸レンズ10、両凹レンズ11、光路長調整板12等の用途用として有望なものである。また、本実施の第一形態による透光性セラミックスの製造方法では、上記のような光学素子や光学部品の素材として有用な透光性セラミックスを安定に、確実に得ることができる。
また、前記の焼成雰囲気の酸素濃度の直線透過率に対する影響を調べた。まず、焼成雰囲気の酸素濃度を、種々代えて各試料(肉厚0.4mm)をそれぞれ調製した。続いて、各試料の直線透過率を調べた。それらの結果を図4のグラフに示した。その結果から、焼成雰囲気の酸素濃度としては、45%(直線透過率20%以上が得られる範囲)以上が好ましく、75%(透過率60%)以上がより好ましく、さらに90%以上がより好ましいことが判る。
〔実施の第二形態〕
本発明に係る実施の第二形態に関する、Ba(Zn,Ta)O系の透光性セラミックスについて、上記透光性セラミックスの製造方法に基づいて説明すると以下の通りである。まず、原料として、高純度のBaCO、ZrO、ZnOおよびTaを準備した。
続いて、これらの各原料を、Ba(Zrx Zny Taz a w なる組成式において、x=0.03、y=0.32、z=0.65、a=1.02、となる組成が得られるようにそれぞれ秤量し、それらを一緒にボールミルで16時間湿式混合して混合物を得た。なお、wについては、焼成後において、ほぼ3となっている。
この混合物を乾燥した後、1200℃で3時間仮焼して仮焼物を得た。この仮焼物を水および有機バインダーと共に、ボールミルに入れ、16時間湿式粉砕した。この粉砕物を乾燥した後、50メッシュの網(篩)を通して造粒し、得られた造粒粉末を2000kg/cmの圧力で直径30mm、厚さ1.8mmの円板状に成形した。
この成形物を、同組成粉末中に埋め込んで、大気中にて、加熱して昇温させ成形物に含まれる有機バインダーを加熱により消失させる脱バインダーが生じる温度領域まで昇温させ、脱バインダー後、昇温させながら上記大気中に酸素を注入して酸素濃度を大気中の酸素濃度から上昇、例えば90%(容量%)に設定して焼成雰囲気を調整した。
その後、上記焼成雰囲気を維持して、例えば1500℃の焼成温度まで昇温し、その焼成雰囲気および焼成温度を維持しながら10時間焼成して、上記成形物から焼結体を得た。上記焼成温度および焼成時間については、用いる組成により設定されるが、上記組成では1500℃〜1600℃の範囲内で、かつ、焼成時間を5時間以上であればよい。上記条件にて焼成すれば、透光性の高い焼結体が得られる。
得られた焼結体を、例えば物理的方法である研磨剤を用いて鏡面研磨し、厚さ0.4mmに仕上げて、本発明に係る透光性セラミックスの試料として得た。この試料について、前記の実施の第一形態と同様に直線透過率と屈折率をそれぞれ測定した。その透過率の結果を図1に合わせて示した。また、上記試料の屈折率は2.1であった。
以上のように、本実施の第二形態では、Ba(Zn,Ta)O系の透光性セラミックスの例を示しており、前記実施の第一形態とは相違する複合ペロブスカイト型結晶相を主結晶相とする材料系においても、高い直線透過率および高屈折率のものが得られていることが判る。
〔実施の第三形態〕
本発明に係る実施の第三形態に関する、鉄族金属(Fe,Co,Ni)を有するBa(Mg,Ta)O系の複合ペロブスカイト型結晶構造を主結晶相とする透光性セラミックスについて、上記透光性セラミックスの製造方法に基づいて説明すると以下の通りである。
まず、原料として、高純度のBaCO、SnO、ZrO、MgCO、NiOおよびTaを準備した。続いて、NiOを除く上記各原料を、Ba〔(Snu Zr1-ux Mgy Taz v w なる組成式において、u=1、x=0.15、y=0.29、z=0.56、v=1.02、となる組成が得られるようにそれぞれ秤量し、一緒にボールミルで16時間湿式混合して混合物を得た。なお、wについては、焼成後において、ほぼ3となっている。
この混合物を乾燥した後、1300℃で3時間仮焼して仮焼物を得た。この仮焼物に対し、NiOをNiとして1.0モル%となるように添加し、この添加仮焼物を水および有機バインダーと共に、ボールミルに入れ、16時間湿式粉砕した。この粉砕物を乾燥した後、50メッシュの網(篩)を通して造粒し、得られた造粒粉末を2000kg/cmの圧力で直径30mm、厚さ1.8mmの円板状に成形した。
この成形物を、同組成粉末中に埋め込んで、まず、大気中にて、加熱して昇温させ成形物に含まれる有機バインダーを加熱により消失させる脱バインダーが生じる温度領域まで昇温させ、脱バインダー後、昇温させながら上記大気中に酸素を注入して酸素濃度を大気中の酸素濃度から上昇、例えば90%(容量%)に設定して焼成雰囲気を調整した。
その後、上記焼成雰囲気を維持して、例えば1600℃の焼成温度まで昇温し、その焼成雰囲気および焼成温度を維持しながら20時間焼成して、上記成形物から焼結体を得た。上記焼成温度および焼成時間については、用いる組成により設定されるが、上記組成では1550℃〜1650℃の範囲内で、焼成時間を10時間以上焼成すればよい。上記条件にて焼成すれば、透光性の高い焼結体である透光性セラミックスが得られる。
得られた焼結体を、例えば物理的方法である研磨剤を用いて鏡面研磨し、厚さ0.4mmに仕上げて、本発明に係る実施の第三形態の透光性セラミックスの試料として得た。この試料について、直線透過率と屈折率をそれぞれ測定した。また、第二比較例として、NiOを1.5モル%となるように添加した以外は、同様に調製した第二比較試料も製造した。
本実施の第三形態の試料の屈折率は2.1であり、その直線透過率の波長依存性を図5に示した。上記試料では、図5から明らかなように、NiOが微量添加されていることにより、λ=400nm、300nmに急峻な透過ピークが現れることが判る。この波長帯は、短波長レーザーとして記載されている青紫色レーザー等の波長帯と一致しており、よって、上記試料は、これらレーザー用の帯域透過フィルタ(光学部品、光学素子)として利用できる。
また、第二比較試料の直線透過率の波長依存性も図5に合わせて示した。図5から明らかなように、NiOを1.5モル%添加したことにより、第二比較試料では、直線透過率が極めて低くなることが判る。このことから、NiOの添加量としては、1.2モル%以下が好ましく、1.0モル%以下がより好ましいことが判る。
〔実施の第四形態〕
本発明に係る実施の第四形態に関する、Ba(Mg,Ta)O系の複合ペロブスカイト型結晶構造を主結晶相とする透光性セラミックスについて、上記透光性セラミックスの製造方法に基づいて説明すると以下の通りである。
まず、原料として、高純度のBaCO、MgCOおよびTaを準備した。続いて、上記各原料を、Ba(Mgy Taz v w なる組成式において、y=0.33、z=0.67、v=1.03となる組成が得られるようにそれぞれ秤量した。
続いて、前記の実施の第一形態と同様にして本実施の第四形態の透光性セラミックスを作製した。その透光性セラミックスの直線透過率を測定し、その結果を図1に合わせて示した。その結果から、直線透過率は20%程度であり、前記の実施の第一形態の透光性セラミックスより若干直線透過率が低くなっているが、反射防止コートを施すことにより、光学部品の素材として用いることが可能なことが分かった。
なお、上記の実施の各形態では、成形物の成形法として加圧成形を用いているが、上記組成のスラリーを用いた鋳込み成形等の湿式成形で成形物を作製してもよい。また、上記の実施の各形態では、特定の組成比を有する各試料の例を挙げたが、それらの組成比については、必要に応じて変更することができる。また、添加物についても、上記実施の形態以外のものを用いても、透過率や屈折率の向上が期待できるものも有り得る。さらに、上記実施の形態におけるAサイトのBaの一部をSr、Ca等のアルカリ土類金属で置換してもよく、また、BサイトのTaの一部を、Sb、Nb、W等で置換してもよい。
さらに、上記の実施の各形態では、成形物を上記成形物と同組成系に近接して配置させるために、上記成形物を同組成粉末中に埋め込んだ例を挙げたが、上記に特に限定されるものではなく、例えば、上記成形物と同組成系の焼結体の板やサヤを用いてもよい。上記の板を用いる場合には、板の上に成形物を載置すればよく、また、上記のサヤを用いる場合には、そのサヤの中に成形物を載置すればよい。
〔実施の第五形態〕
本発明に係る光学素子としての光ピックアップを、図6に基づいて説明すると以下のとおりである。まず、光ピックアップは、図6に示すように、上記光ピックアップに対し相対移動する記録媒体1に対しコヒーレントな光であるレーザ光を照射して、その反射光から上記記録媒体1に記録された情報を再生するためのものである。上記記録媒体1としては、コンパクトディスク(CD)やミニディスク(MD)といったものが挙げられる。
上記光ピックアップでは、光源としての、例えば半導体レーザ素子5からのレーザ光を平行光に変換するコリメータレンズ4が設けられ、その平行光の光路上にハーフミラー3が設けられている。このハーフミラー3は、コリメータレンズ4からの入射光は通して直進させるが、記録媒体1からの反射光については、反射光の進行方向を例えば約90度の反射により変更するためのものである。
さらに、上記光ピックアップでは、ハーフミラー3からの入射光を記録媒体1の記録面上に集光するための対物レンズ2が設けられている。上記対物レンズ2は、記録媒体1からの反射光を効率よくハーフミラー3に対し出射するものでもある。反射光が入射されたハーフミラー3では、反射により位相が変化することによって上記反射光の進行方向が反射により変更される。
その上、光ピックアップでは、変更された反射光を集光するための集光レンズ6が設けられ、かつ、その集光位置に受光素子7が集光された反射光から情報を再生できるように設けられている。
そして、上記光ピックアップでは、対物レンズ2の素材に、本発明に係る前述の本実施の各形態に記載の透光性セラミックスが用いられており、上記透光性セラミックスの大きな屈折率によって従来の光ピックアップより小型化や薄型化が可能であり、また、開口数も大きく設定できるものとなっている。なお、上記では、本発明の透光性セラミックスを対物レンズ2に用いた例を挙げたが、他の光学部品、例えばコリメータレンズ4や集光レンズ6やハーフミラー3に用いることもできる。
ところで、特開昭60−105107号公報、特開平1−286949号公報、特開平2−107553号公報には、高周波用誘電体磁器組成物が開示されている。上記磁器組成物は、高周波特性(Q値、比誘電率、共振周波数の温度係数τf)が良好な組成を有するものである。しかし、上記各公報では、光学特性について何ら評価、記載されていない。上記各公報に記載の周波数特性は、マイクロ波・ミリ波帯での評価結果である。マイクロ波における分極(誘電率)は電子分極とイオン分極とにより影響を受けるが、特に後者により特性が支配される。
これに対し、本発明にて示している光領域での分極(屈折率)は、電子分極のみによるものであり、性質が上記各公報に記載のものと異なる。また、光領域では、Q値、τf値は問題とされない。
本発明の透光性セラミックスおよび比較例としてYAGに関する、各波長での直線透過率をそれぞれ示すグラフである。 上記透光性セラミックスの肉厚依存性を示すグラフである。 上記透光性セラミックスを用いた各光学部品の説明図であって、(a)は、両凸レンズを示し、(b)は両凹レンズを示し、(c)は光路長調整板を示す。 上記透光性セラミックスの製造方法における、焼成雰囲気の酸素濃度と、直線透過率との関係を示すグラフである。 上記透光性セラミックスにおいて、ニッケルを添加したときにおける、直線透過率への波長依存性を示すグラフである。 上記光学部品を用いた本発明に係る光学素子の一例を示す説明図である。
符号の説明
2 対物レンズ(光学部品)
10 両凸レンズ(光学部品)
11 両凹レンズ(光学部品)
12 光路長調整板(光学部品)

Claims (5)

  1. Ba(Zn,Ta)O系のペロブスカイト型結晶構造を主結晶相とし、且つ、屈折率が1.9以上であり、常誘電体であり、波長633nmの光の、試料厚さ0.4mmにおける直線透過率が20%以上であることを特徴とする透光性セラミックス。
  2. さらに、鉄族金属(Fe,Co,Ni)を1.2モル%以下有するものであることを特徴とする請求項1に記載の透光性セラミックス。
  3. Ba(Zn,Ta)O系のペロブスカイト型結晶構造を主結晶相とし、且つ、屈折率が1.9以上であり、常誘電体である透光性セラミックスの製造方法であって、
    上記透光性セラミックスの原料とバインダーとから成形物を調製し、
    上記成形物を、上記透光性セラミックスと同組成系に近接して配置すると共に、脱バインダーが生じる温度領域まで大気組成中にて昇温し、上記温度領域を通過後の焼成雰囲気の酸素濃度を大気組成より上昇させて焼成することを特徴とする透光性セラミックスの製造方法。
  4. 上記成形物を、上記透光性セラミックスと同組成系に近接して配置するために、上記同組成系の粉末中に埋め込んで焼成することを特徴とする請求項3記載の透光性セラミックスの製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の透光性セラミックスを有する光学部品が用いられていることを特徴とする光学素子。
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