(実施形態1)
図4は本実施形態の光検出素子1を用いて測距を行う装置を構成した例を示している。この装置は、距離を測定する対象物3を含む対象空間に光源2からの光を投光し、対象物3による反射光を含む対象空間からの光を光検出素子1により受光するとともに、対象物3による反射光の光量を反映した受光出力を光検出素子1から得るように構成してある。この種の構成で対象物3までの距離を測定する技術としては、光源2から対象空間に投光した光が光検出素子1で受光されるまでの光の飛行時間を計測する技術が知られている。
すなわち、光源2から対象空間に投光する光の強度を正弦波のような適宜の波形の変調信号で変調しておき、光検出素子1で受光した光と光源2から投光した光との変調信号の波形の位相差を求め、位相差を距離に換算する技術が知られている。光源2としては主として発光ダイオードあるいは半導体レーザを用いる。
光源2から対象空間に投光する光の強度変調はタイミング制御部10から出力される一定の変調周波数(たとえば、20MHz)の正弦波である変調信号で行っている。また、光源2から対象空間に光を投光する期間と投光しない期間とを交互に設けてあり、変調信号で変調された光を変調周期(変調周波数の逆数)の複数倍(たとえば、10000倍)の期間に亘って投光する期間と、光を光源2から投光しない期間とを設けてある。対象空間に投光する期間を光源2の点灯期間とし投光しない期間を光源2の消灯期間と呼ぶ。つまり、光源2は間欠的に発光する。
光源2の消灯期間において光検出素子1に入射する光は光源2から対象空間に投光した光を含まない環境光のみであり、光源2の点灯期間において光検出素子1に入射する光は光源2から対象空間に投光した光を含む信号光と環境光との合計になる。点灯期間に光源2から対象空間に投光されている光は強度が変調されているから、点灯期間において光検出素子1に入射する光は微視的には変動している。つまり、強度を高周波で変調した光を間欠的に投光していることになり、光を投光している期間が点灯期間になる。したがって、光検出素子1で受光する光は、消灯期間には主として環境光になり、点灯期間には主として環境光と信号光とを併せたものになる。したがって、光検出素子1による点灯期間の受光量から消灯期間の受光量を減算すれば、理論上では環境光の成分を除去して信号光の成分のみを取り出すことが可能になる。
光検出素子1から出力される受光出力は図示しない距離演算部に与えられ、距離演算部では複数のタイミングで光検出素子1から取り出した受光出力を用い、光源2から照射された光の強度変化の波形と、光検出素子1により受光した光の強度変化の波形との位相差から光の飛行時間を求め、飛行時間から対象物3までの距離を求める。
光検出素子1を1個だけ単独で用いれば光検出素子1から見て特定の方向に存在する対象物3についてのみ距離を検出する構成になり、光検出素子1を複数個配列して撮像素子を構成し、撮像素子の前方に受光光学系を配置して撮像素子から受光光学系を通して対象空間を見る方向を各光検出素子1の位置に対応付ければ、各方向における距離を画素値に持つ距離画像を生成することが可能である。たとえば、矩形状の単位格子からなる平面格子の格子点上に光検出素子1を配列するとともに光検出素子1の受光出力を外部に取り出す出力部16を設けた撮像素子を構成し、撮像素子を用いて距離画像を生成するように構成することができる。なお、撮像素子を構成する場合に、出力部16にCCDを用い複数の光検出素子1で出力部16を兼用する構成を採用することができる。
光検出素子1では後述するように受光量に応じた個数の電子と正孔とが生成されるが、本実施形態では、電子および正孔のうち電子を目的キャリアとして扱い、正孔を非目的キャリアとして扱う。光検出素子1の受光出力の出力値は目的キャリアである電子の個数に対応する。
光検出素子1は、図1に示すように、n形(第1導電形)の半導体(たとえば、シリコン)からなる基板21の主表面に積層されたp形(第2導電形)の素子形成層22を備える。素子形成層22は、基板21に接触する第1層22aと、第1層22aを介して基板21に対向する第2層22bとからなり、第1層22aの一部には第2層22bに接する部位にn形の埋込層23が形成される。また、第1層22aの厚み寸法は、たとえば5μmに設定される。素子形成層22の主表面には酸化層(たとえば、シリコン酸化層)である絶縁層24を介して表面電極25が対向する。絶縁層24には素子形成層22の主表面から離間した制御電極26およびゲート電極27が素子形成層22の表面に沿った異なる部位に埋め込まれる。つまり、制御電極26およびゲート電極27は素子形成層22に絶縁層24の一部を介して対向する。表面電極25および制御電極26は光が透過可能になっている。
素子形成層22の第2層22bには埋込層23に対応する部位において、ウェル領域31が形成される。ウェル領域31は素子形成層22の第2層22bと厚みがほぼ等しいn−形の領域であり、ウェル領域31内において素子形成層22の主表面側にはn形の電子保持領域(第1保持領域)32が形成される。素子形成層22の主表面側であって電子保持領域32内にはp+形の正孔保持領域(第2保持領域)33が形成される。上述した制御電極26は正孔保持領域33に対向する形で配置される。
素子形成層22の主表面側であってウェル領域31の一側方にはn形のドレイン領域34aが形成され、他側方にはn形のドレイン領域34bが形成される。各ドレイン領域34a,34bの表面にはそれぞれドレイン電極35a,35bがオーミックに接続される。ドレイン領域34a,34bは図1の面に直交する方向の一直線上に延長され、ドレイン領域34aはドレイン領域34bよりもウェル領域31に近接して設けられている。
素子形成層22の主表面に沿ってウェル領域31とドレイン領域34bとの間にはドレイン領域34bに沿って延長されたn形の電荷転送領域36が形成され、上述したゲート電極27はウェル領域31と電荷転送領域36とに跨る部位に対応して設けられ、ウェル領域31と電荷転送領域36との間はMOS構造のゲート部を構成している。表面電極25の表面であって、ゲート電極27と電荷転送領域36とドレイン領域34bとに対応する部位には光を遮断する遮光膜37が形成される。
上述のように、基板21および素子形成層22に絶縁層24を介して表面電極25を設けているから、MISデバイスの構造を有しており、遮光膜37を設けていない部位は、光の照射により電子および正孔を生成する感光部11(図4参照)として機能する。ここに、素子形成層22の電位を接地電位とし、基板21には接地電位よりも高電位である一定の電圧(以下、接地電位よりも高電位である電圧を「正電圧」という)を印加しておく。光照射により生成された電子や正孔は放置すれば比較的短時間で再結合して消滅するから、受光量に対応した電子と正孔とを分離して集積するために、表面電極25には正電圧を印加し、制御電極26には接地電位よりも低電位の電圧(以下、負電圧という)を印加しておく。
各部の電圧を上述のように設定することによって、電子(黒丸)と正孔(白丸)とに対するポテンシャルは図2(b)のようになる。図2(b)において左側の曲線は正孔のポテンシャルエネルギを示し、右側の曲線は電子のポテンシャルエネルギを示しており、正孔は左側ほどポテンシャルが高く、電子は右側ほどポテンシャルが高くなる。つまり、ウェル領域31(電子保持領域32および正孔保持領域33を含む)の近傍において生成される正孔は主として正孔保持領域33に集積され、電子は主として電子保持領域32に集積される。電子保持領域32に集積される電子の個数および正孔保持領域33に集積される正孔の個数は照射された光量(つまり、受光量)を反映しており、受光量が多くなると集積される電子および正孔の個数も多くなる。また、基板21には正電圧が印加され、素子形成層22は接地電位であるから、基板21と素子形成層22との間では逆バイアスになり、基板21および素子形成層22で生成される電子および正孔は、廃棄および再結合によって短時間で消滅する。
次に点灯期間と消灯期間とに分けて動作を説明する。消灯期間においては、表面電極25に正電圧を印加するとともに制御電極26に負電圧を印加する。光検出素子1に光が入射することにより感光部11で生成された電子は電子保持領域32に集積され正孔は正孔保持領域33に集積される。その後、図3のように、ドレイン電極35aに正電圧を印加すると、電子保持領域32に集積された電子(黒丸)はドレイン領域34aに移動する。つまり、消灯期間において表面電極25に正電圧を印加するとともに、制御電極26に負電圧を印加した状態を継続したままで、消灯期間から点灯期間に移行する際(点灯期間の直前)にドレイン電極35aに正電圧を印加すると、消灯期間において生成された正孔を正孔保持領域33に残し、消灯期間において生成された電子をドレイン領域34aに移動させて電子保持領域32を空にすることができる。なお、ドレイン電極35aに正電圧を印加する際に表面電極25に負電圧を印加するとドレイン領域34aに電子を速やかに移動させることができる。
一方、点灯期間においては、消灯期間と同様に、表面電極25に正電圧を印加するとともに制御電極26に負電圧を印加する。光検出素子1に光が入射することにより感光部11で生成された電子は電子保持領域32に保持され、正孔は正孔保持領域33に保持される。この状態で、正孔保持領域33には点灯期間において生成された正孔だけではなく消灯期間において生成された正孔も含まれ、一方、電子保持領域32の電子は点灯期間の前にドレイン領域34aに廃棄しているから、理想的には点灯期間において生成された電子のみが含まれることになる。この時点では、制御電極26には負電圧が印加されているから、図2(b)に示したように、電子保持領域32は電子に対して低ポテンシャル(ポテンシャル井戸)であり、正孔保持領域33は正孔に対して低ポテンシャル(ポテンシャル井戸)であって、電子と正孔とは再結合することなく電子保持領域32と正孔保持領域33とに分かれて保持されている。
以上の説明から明らかなように、制御電極26に適宜の電圧を印加することにより、感光部11で生成された電子と正孔とを電子保持領域32と正孔保持領域33とに振り分けて集積することができる。つまり、制御電極26と電子保持領域32と正孔保持領域33とは電子と正孔とを分離するキャリア弁別部12(図4参照)として機能し、制御電極26は弁別用制御電極として機能することになる。
次に、制御電極26に正電圧を印加すると、電子保持領域32と正孔保持領域33との間のポテンシャル差が小さくなり(ポテンシャル障壁が低くなり)、正孔保持領域33から押し出された正孔がウェル領域31(主として、電子保持領域32)において電子と再結合することになる。なお、再結合の条件は、電子および正孔に対するポテンシャルを制御するために制御電極26に印加する電圧だけではなく、電圧を印加する時間のほか、ウェル領域31および正孔保持領域33を形成する半導体の不純物濃度も関与する。つまり、制御電極26に印加する電圧を制御することにより、電子と正孔とを再結合させるから、制御電極26は結合用電極として機能する。また、電子と正孔との再結合はウェル領域31で行われるから、ウェル領域31が再結合部15(図4参照)として機能する。電子と正孔との再結合は、正孔保持領域33から電子保持領域32に押し出される正孔が電子保持領域32において再結合するだけではなく、電子保持領域32から正孔保持領域33に移動した電子が正孔保持領域33の界面付近に捕捉されている正孔に結合することによっても生じる。
正孔保持領域33の正孔と電子保持領域32の電子とを再結合させる際に、電子の個数が正孔の個数より多くなるように調節されていれば、再結合後には正孔は消滅し電子が残留する。残留した電子は点灯期間においてウェル領域31で生成された電子であるから、この電子を取り出せば環境光の影響を除去した信号光に比例する個数の電荷(信号電荷)を取り出したことになる。そこで、制御電極26に正電圧を印加して電子と正孔とを再結合させた後には、制御電極26に負電圧を印加することにより残留した電子を電子保持領域32に集積させ、この電子を信号電荷として取り出す。
すなわち、電子保持領域32に電子が保持された状態においてゲート電極27に正電圧を印加すれば、ウェル領域31と電荷転送領域36との間において素子形成層22にチャンネルが形成され、このチャンネルを通して電子保持領域32から電荷転送領域36に電子が移動する。電荷転送領域36に転送された電子はCCDイメージセンサなどにおいて電荷の取り出しに用いられている周知の技術を用いて転送され、外部に取り出されることになる。
上述の動作を簡単にまとめる。上述した表面電極25、制御電極26、ゲート電極27、ドレイン電極34b、ドレイン電極35bに電圧を印加するタイミングはタイミング制御部10により制御される。まず、光源からの光が入射せず環境光のみが入射する消灯期間においては、表面電極25に正電圧を印加し、制御電極26に負電圧を印加する。光が入射すると、基板21、素子形成領域22、埋込層23、ウェル領域31、正孔保持領域33において光励起による電子および正孔が生成される。次に、消灯期間において、電子保持領域32に電子が保持されるとともに正孔保持領域33に正孔が保持された状態で、ドレイン電極35aに正電圧を印加すると、消灯期間において生成された正孔は正孔保持領域33に残り、消灯期間において生成された電子はドレイン領域34aに移動し電子保持領域32が空になる。
次に、光源からの光が入射する点灯期間では、消灯期間と同様に、表面電極25に正電圧を印加し、制御電極26に負電圧を印加する。この場合も、光が入射すると、基板21、素子形成領域22、埋込層23、ウェル領域31、正孔保持領域33において光励起による電子および正孔が生成される。点灯期間においては、正孔保持領域33には点灯期間において生成された正孔だけではなく消灯期間において生成された正孔も含まれ、電子保持領域32には点灯期間において生成された電子のみが保持される。
その後、制御電極26に正電圧を印加すると、電子保持領域32と正孔保持領域33との間のポテンシャル差が小さくなり、正孔保持領域33から電子保持領域32に正孔が移動し電子と再結合する。電子保持領域32に電子が保持された状態においてゲート電極27に正電圧を印加すれば、ウェル領域31と電荷転送領域36との間において素子形成層22に形成されるチャンネルを通して電子保持領域32から電荷転送領域36に電子が移動する。電荷転送領域36に移送された電子は電荷転送領域36を転送されて外部に取り出される。
以下では、上述した光検出素子1を用いた測距装置の構成例を示し、光検出素子1の各部の機能を図4のように表して説明する。図4において感光部11は、光の照射により電子および正孔を生成する領域であって、基板21と素子形成層22(ウェル領域31を含む)と絶縁層24と表面電極25とを含むMISデバイスの構造を持つ部位に対応する。ただし、上述したように、基板21および素子形成層22の電子および正孔は速やかに消滅するから、主としてウェル領域31で生成される電子および正孔が感光部11で生成される電子および正孔に相当する。
感光部11で生成された電子および正孔はキャリア弁別部12において個数比が調節された後、正孔は正孔保持部13に集積され、電子は電子保持部14に集積される。本実施形態では、電子を目的キャリアとし正孔を非目的キャリアとしているから、正孔保持部13が非目的キャリア保持部であり、電子保持部14が目的キャリア保持部になる。光検出素子1においては、正孔保持領域33が正孔保持部13に対応し、電子保持領域32が電子保持部14に対応する。
キャリア弁別部12は、正孔保持部13に正孔を集積させ電子保持部14に電子を集積させるように電子と正孔とを弁別するとともに、正孔保持部13に集積される正孔の個数と電子保持部14に集積される電子の個数との比を決める機能を有し、たとえば、非目的キャリアである正孔と目的キャリアである電子との個数比が1対2などになるように調節する。個数比は素子構造(電子保持領域32と正孔保持領域33との配置、形状、寸法、不純物濃度)および電子と正孔との移動度の差に依存し、また、制御電極26に印加する電圧の極性により、正孔保持部13に正孔が集積され電子保持部14に電子が集積されるように電子と正孔とを弁別することができる。さらに、表面電極25や制御電極26に印加する電圧を変化させることによっても個数比を変化させることが可能である。すなわち、表面電極25や制御電極26に印加する電圧の大きさによりポテンシャル障壁の高さやポテンシャル井戸の深さを制御すれば、正孔保持部13に集積する正孔の個数や電子集積部14に集積する電子の個数を制御することができる。
また、電子保持部14に集積された電子の個数は電子保持部14から電子を廃棄することによっても調節される。すなわち、消灯期間において電子保持部14に集積された電子を点灯期間の前にドレイン領域34aからなる廃棄部18に廃棄することによって、点灯期間において電子保持部14に集積される電子との混合を防止することができる。電子保持部14から廃棄部18に電子を廃棄するタイミングは、ドレイン電極35aで実現されるスイッチ要素17をオンにするタイミングにより制御される。つまり、ドレイン電極35aに正電圧を印加することによりスイッチ要素17をオンにして電子保持部14から電子を廃棄することができる。このように、消灯期間に保持された電子をスイッチ要素17を介して廃棄部18に廃棄することにより、環境光のみで生じた電子を廃棄することになり、正孔との再結合後に残留する電子における環境光の影響を小さくすることができる。
正孔保持部13に集積された正孔と電子保持部14に集積された電子とは再結合部15において再結合される。再結合部15は、電子保持領域32と正孔保持領域33と制御電極26とにより構成され、再結合のタイミングは制御電極26に正電圧を印加するタイミングにより制御される。再結合前において、電子保持部14に保持されている電子は大部分が点灯期間に生成された電子になるから、再結合部15で電子と正孔とを再結合させた後に電子が残留するようにすれば、再結合させない場合に比較して、残留した電子のうちで信号光に対応する成分が占める割合を多くすることができる。再結合部15での再結合後には電子保持部14(電子保持領域32)に電子が残留するから、電子保持部14に残留する電子を、ゲート電極27および電荷転送領域36により形成された出力部16を通して外部に取り出す。キャリア弁別部12と再結合部15と出力部16とスイッチ要素17との動作のタイミングは、光源2の点灯および消灯を制御するタイミング制御部10により制御される。つまり、キャリア弁別部12と再結合部15と出力部16とスイッチ要素17との動作のタイミングは、光源2の点灯および消灯に同期するように制御される。
再結合部15において電子(目的キャリア)と正孔(非目的キャリア)とを再結合させた後に電子を残留させるには、上述のように、再結合前において電子保持部14に保持されている電子の個数が、正孔保持部13に保持されている正孔の個数より多いことが必要であって、この条件を満足させるには、キャリア弁別部12において電子保持部14に集積させる電子を正孔保持部13に集積させる正孔よりも多くする必要がある。また、再結合部15から取り出される電子から環境光に対応する成分を除去するには、キャリア弁別部12において電子保持部14に集積させる電子の個数と正孔保持部13に集積させる正孔の個数との比率を、消灯期間と点灯期間との比率と関連付けるのが望ましい。
以下に、これらの条件について検討する。いま、消灯期間をt1、点灯期間をt2、信号光の強度をIa、環境光の強度をIb、キャリア弁別部12から取り出される正孔の個数が電子の個数のk倍、感光部11が強度Iの光を時間tだけ受光したときに、キャリア弁別部12から電子保持部14に渡される電子の個数がαItであるとすれば、点灯期間に電子保持部14に集積される電子の個数は、α(Ia+Ib)t2であり、消灯期間および点灯期間に正孔保持部13に集積される正孔の個数は、kα{Ibt1+(Ia+Ib)t2}であるから、再結合部15から取り出される電子の個数Nは、以下のように表すことができる。
N=α(Ia+Ib)t2−kα{Ibt1+(Ia+Ib)t2}
ただし、理想条件として、消灯期間において電子保持部14に保持された電子は廃棄部18にすべて廃棄し、かつ正孔保持部13の正孔のすべてが電子保持部14の電子と再結合する場合を想定している。電子の個数Nは正でなければならないという条件から、k<1が得られる。
また、上式を信号光の強度Iaと環境光の強度Ibとの項に整理し、環境光の強度Ibを0にする条件を求めると、t1={(1−k)/k}t2であって、キャリア弁別部12から取り出される電子に対する正孔の個数比kに応じて消灯期間t1と点灯期間t2との比を調節すれば、環境光に対応する成分を除去して信号光に対応する成分のみを抽出することが可能になる。たとえば、消灯期間t1と点灯期間t2とを1:1に設定するのであれば、k=0.5であって、キャリア弁別部12において電子の個数を正孔の個数の2倍に設定すれば、環境光に対応する成分を除去して信号光に対応する成分のみを抽出することが可能になる。すなわち、この条件では、図5に示すように、点灯期間t2における環境光で生じた電子E(t21)の個数が、消灯期間t1における環境光で生じた正孔H(t1)の個数と点灯期間における環境光で生じた正孔H(t21)の個数との合計に一致するから、再結合により両者が相殺され、また、点灯期間t2における信号光で生じた電子E(t22)の個数は、点灯期間における信号光で生じた正孔H(t22)の個数の2倍になるから、再結合後には、点灯期間t2における信号光で生じた電子E(t22)の半分の個数の電子のみが残ることになる。その結果、再結合後には目的キャリアである電子のうち信号光に対応する成分のみが残ることになる。
次に、廃棄部18を設けた効果を検証する。いま、信号光の強度をIa、環境光の強度をIbとし、さらに、電子保持部14に保持された電子の電荷量をQaとし、正孔保持部13に保持された正孔の電荷量をQbとするときに、Qa=A・Qb(Aは比例定数)の関係が満たされるものとする。ここに、Qa=β・Ia、Qb=β・Ib(βは比例定数)とする。また、消灯期間と点灯期間との長さが等しく、着目する消灯期間と点灯期間とにおいて環境光の強度は変化しないものとする。
また、光源2を発光させない消灯期間から光源2を発光させる点灯期間に移行するタイミングにおいてスイッチ要素17をオンにして電子保持部14から電子を廃棄し、点灯期間においてはスイッチ要素17をオフにして電子保持部14に電子を集積するものとする。このような動作により、消灯期間において電子保持部14に保持された電子は点灯期間への移行時点まで(望ましくは直前)に廃棄され、消灯期間に保持された電子と点灯期間に保持される電子とが混合されることが防止される。なお、点灯期間から消灯期間に移行する際には、点灯期間に保持された電子と消灯期間において保持される電子とは混合されてもよいから、スイッチ要素17はオフに保っていてもよい。
廃棄部18を設けない場合には、消灯期間に保持される目的キャリアと非目的キャリアとの電荷量は、それぞれA・β・Ib、β・Ibであり、点灯期間に電子保持部14に集積される電子と正孔保持部13に集積される正孔との電荷量は、それぞれA・β(Ia+Ib)、β(Ia+Ib)であるから、再結合後に残留する電子の電荷量は、A・β(Ia+2Ib)−β(Ia+2Ib)になる。強度Ia,Ibに着目して整理すると、β{(A−1)Ia+(2A−2)Ib}になる。
一方、廃棄部18を設ける場合には、点灯期間の開始直前においては正孔保持部13に正孔が保持されているのみであり、その電荷量はβ・Ibであり、点灯期間に電子保持部14に集積される電子と正孔との電荷量は、それぞれA・β(Ia+Ib)、β(Ia+Ib)であるから、再結合後に残留する電子の電荷量は、A・β(Ia+Ib)−β(Ia+2Ib)になる。強度Ia,Ibに着目して整理すると、β{(A−1)Ia+(A−2)Ib}になる。
以上説明したように、廃棄部18を設けるほうが環境光に対する係数がA・βだけ小さいから、廃棄部18を設けない場合よりも環境光の影響を低減できることがわかる。なお、A=2とすれば、廃棄部18を設けない場合には再結合後に残留する電荷量がβ(Ia+2Ib)になるのに対して、廃棄部18を設ける場合には再結合後に残留する電荷量がβ・Iaになる。つまり、A=2とする条件では、廃棄部18を設けることにより、環境光の影響を受けない電子を取り出すことができる。ここに、A=2は、消灯期間と点灯期間とを1:1とする場合において、上述したキャリア弁別部12での個数比kが0.5である場合に相当する。
ところで、再結合部15において信号光に対応する電子を取り出すには、消灯期間と点灯期間とにおいて環境光の強度は実質的に変動しないという仮定が必要であって、この仮定を満たすために消灯期間と点灯期間とは環境光の強度に変化が生じない程度の時間内で切り換えることが要求される。一方、環境光の強度に変化が生じない程度の時間は比較的短い時間であるから電子および正孔が生成される個数も少なく、消灯期間と点灯期間とを1回ずつ設けた場合において電荷転送領域36に転送される電子の個数は、点灯期間において環境光に対応する成分を含む電子の個数に比較すると大幅に少なくなる。また、環境光の強度が大きい場合には、電子保持領域32や正孔保持領域33が飽和しないように、光を照射する時間(消灯期間および点灯期間)を短くしなければならないから、再結合後に残留する電子の個数が少なくなりショットノイズの影響によってSN比が低下するおそれがある。
信号電荷を増加させるには、電荷転送領域36に移送された電荷をただちに取り出すのではなく、消灯期間と点灯期間との複数回分の電子を電荷転送領域36において蓄積(積分)すればよい。つまり、消灯期間および点灯期間の後に再結合を行い、さらに電子を電荷転送領域36に転送し保持するという一連の動作を複数回繰り返すことによって、電荷転送領域36に複数回分の電子を保持するのが望ましい。このように、消灯期間および点灯期間と再結合と転送とを複数回繰り返して電子を電荷転送領域36に保持することで、環境光により生じた成分をほぼ除去し、信号光に対応する電子だけを積分することが可能になる。つまり、入射する光の強度が大きく長時間の露光によって電子保持領域32や正孔保持領域33が飽和する可能性のあるときには、消灯期間および点灯期間の1回当たりの時間を短縮し、積分回数(繰り返し回数)を増やすことによって、比較的大きい信号電荷を取り出すことが可能になり、ショットノイズの影響によるSN比の低下を防止することができる。
この動作では、消灯期間と点灯期間とを複数回繰り返して電荷転送領域36に電子を蓄積している期間に環境光の強度が変化する可能性があるが、再結合部15において再結合させる電子と正孔とを生成するための1回ずつの消灯期間および点灯期間の期間において環境光の強度に実質的な変化が生じなければ、環境光の変動分は再結合時に相殺されるから、消灯期間と点灯期間とを交互に複数回繰り返しても環境光の強度の変化は出力に影響しない。
本実施形態では、電子保持領域32の内側に形成した正孔保持領域33に対向する部位に制御電極26を設ける例を示したが、図6に示すように、電子保持領域32に対向する部位に制御電極26を設けてもよい。つまり、電子保持領域32の表面において正孔保持領域33を囲むように制御電極26を配置してもよい。この構成を用いて、電子保持領域32に電子を集積し正孔保持領域33に正孔を集積する際には、制御電極26に正電圧を印加し、電子と正孔とを再結合させる際には、制御電極26に負電圧を印加する。
また、本実施形態では、再結合に際して電子保持領域32と正孔保持領域33との間のポテンシャル障壁を引き下げるために、制御電極26への印加電圧を制御する例を示したが、制御電極26への印加電圧を制御する代わりに、基板21に印加する電圧をタイミング制御部10で制御することによっても電子保持領域32と正孔保持領域33との間の電子に対するポテンシャル障壁を引き下げることができる。このように、基板21に印加する電圧を制御してポテンシャル障壁の高さを制御することにより電子と正孔とを再結合させれば、電子保持領域32を再結合部15として兼用することができ、しかも基板21に印加する電圧を制御するだけで電子と正孔とを保持する状態と再結合させる状態とを選択することができ制御が容易である。
なお、電子保持領域32の内側に正孔保持領域33を形成する例を示したが、電子を目的キャリアとする場合であっても正孔保持領域33の内側に電子保持領域33を形成する構成を採用することが可能である。また、電子と正孔との再結合を目的キャリアである電子を保持する電子保持領域32で行う例を示したが、非目的キャリアである正孔を保持する正孔保持領域33で電子と正孔とを再結合させるように構成することも可能である。
ところで、光源2の点灯期間において表面電極25に印加する電圧を十分に高くすれば、基板21の深部で発生した正孔に対して電子保持領域32がポテンシャル障壁になるから、基板21の深部で発生した正孔が正孔保持領域33に蓄積されるのを防止することができる。すなわち、制御電極26だけではなく表面電極25もキャリア弁別部12として用いることができ、点灯期間に生じた電子の一部が点灯期間に生じた正孔との再結合によって消滅するのを防止することができる。
また、消灯期間に生じた電子はドレイン領域34aに廃棄されるから電子保持領域32には点灯期間に生じた電子のみが保持され、一方、点灯期間に生じた正孔は電子保持領域32の電子と再結合しないから消灯期間に生じた正孔のみが再結合に利用されることになる。このことは、実質的に、消灯期間に環境光に対応して生じた正孔H(t1)と、点灯期間に環境光および信号光に対応して生じた電子(E(t21)+E(t22))とを再結合させることになり、感光部11において発生する正孔と電子との個数比を1:1とすることで、H(t1)=H(t21)とすれば、再結合によって信号光に対応する電子(t22)のみを残留させることが可能になる。
ところで、測距装置を用いて対象物3までの距離を計測するには、光源2から対象空間に投光した光の強度変化を用いる。光源2から対象空間に投光する光を変調する変調信号と、光検出素子1により受光した光に含まれる変調成分との位相差を求める。変調信号が正弦波である場合について変調信号と光検出素子1で受光した光に含まれる変調成分との位相差を求める手順について以下に説明する。
図7(a)に光源2からの光の強度の変化を示し、図7(b)に光検出素子1により受光する光の強度の変化を示す。図7に示す位相差ψを求めるには、変調信号に同期する複数の位相に対応するタイミングで得られる光検出素子1による受光量を用いる技術と、変調信号には同期しない複数のタイミングで得られる光検出素子1による受光量を用いる技術とがある。
まず、変調信号に同期するタイミングで得られる受光量を用いる技術について説明する。ここでは、変調信号の位相の90度ごとに180度の区間を設定し、各区間ごとに受光量を求めるものとする。つまり、変調信号の位相が0〜180度、90〜270度、180〜360度、270〜90度の4区間についてそれぞれ受光量を求める。各区間の受光量は図7(c)(d)に斜線部で示す図形の面積に相当する。いま、各区間の受光量をそれぞれA0〜A3で表し、受光強度の極大値をAb、受光強度が極小値をAdで表し、位相差がψであるとする。
ここでは、光検出素子1に入射する光の強さを位相θの関数とし、g(θ)=(Ab−Ad)sinθ+(Ad+Ab)/2とおく(図7(b)参照)。この場合、変調信号の位相が0〜180度、90〜270度、180〜360度、270〜90度の各区間における受光量A0〜A3は、図7(c)(d)に斜線で示す面積に相当するから、それぞれ下式のように定積分で表すことができる。
ただし、位相θは時間tの関数であり、θ=ωt(ω=2πf;fは変調周波数)、ψは投受光の位相差(ψの単位をラジアン、対象物3までの距離L[m]、光速c[m/s]とすれば、L=ψ・c/2ω)、Abは光検出素子1が受光した光の強さの極大値、Adは光検出素子1が受光した光の強さの極小値であり、Adは光検出素子1が受光した環境光に対応する光の強さに相当する。下式において角括弧内のコンマの両側の値は積分の区間を意味する。
A0=∫g(θ)dθ [−ψ,180°−ψ]
A1=∫g(θ)dθ [90°−ψ,270°−ψ]
A2=∫g(θ)dθ [180°−ψ,360°−ψ]
A3=∫g(θ)dθ [270°−ψ,90°−ψ]
Aa=Ab−Ad,Ac=(Ab+Ad)/2と置けば、受光量A0〜A3は下式で表される。
A0=−2Aa・cosψ+Ac・π
A1=−2Aa・sinψ+Ac・π
A2=2Aa・cosψ+Ac・π
A3=2Aa・sinψ+Ac・π
これらの関係から(A1−A3)/(A0−A2)を求めるとtanψになるから、位相差ψは次式で表すことができる。
ψ=tan−1(A1−A3)/(A0−A2) …(1)
すなわち、変調信号の波形が正弦波である場合、上式によって位相差ψを求めることができ、対象物3までの距離を求めることができる。本実施形態において説明した光検出素子1を用いて受光量A0〜A3に相当する出力を得るには、1回の点灯期間ごとにそれぞれ受光量A0〜A3のいずれかを取り出す。つまり、各点灯期間において変調信号に同期するタイミングで、受光量A0〜A3のいずれかに相当する目的キャリアを集積する。したがって、点灯期間と消灯期間とを4回繰り返すことが必要である。
各受光量A0〜A3に対応する期間に感光部11で生成される電子および正孔を他の期間の電子および正孔と区別するには、各受光量A0〜A3に対応する期間にのみ光検出素子1の感度を高くし他の期間には感度を低くするように感度を制御する必要がある。
感度を制御するには、複数個の表面電極25を紙面に直交する方向に配列し、複数個(望ましくは3個以上)の表面電極25を一組にして表面電極25に印加する電圧パターンを制御する。各表面電極25に印加する電圧を制御すれば、表面電極25に対向する部位でウェル領域31に形成されるポテンシャル井戸の深さを制御することができる。そこで、一組にした複数個の表面電極25のうちの一部に深いポテンシャル井戸を形成する電圧を印加する電圧パターンと、一組にした複数個の表面電極25の全体に深いポテンシャル井戸を形成する電圧を印加する電圧パターンとを切り換えるようにすれば、実質的に受光面積を変化させることになり、この制御によって感度を変化させることができる。
次に、光源2の点灯および消灯とは非同期に求めた受光量を用いて位相差ψを求める技術について簡単に説明する。この技術は、受光量の変化に対応した信号に変調周波数とは異なる周波数の信号を干渉させると(混合すると)、両者の周波数差に相当する周波数で振幅が変化するビート信号が得られることを利用している。ビート信号の包絡線は位相差ψを内包しており、包絡線に相当する受光量を包絡線の異なる位相で取り出せば、位相差ψを求めることができる。たとえば、包絡線の位相が0〜180度、90〜270度、180〜360度、270〜90度である4区間について受光量を積分して求め、各受光量をA0′、A1′、A2′、A3′とすれば、(1)式のA0、A1、A2、A3をA0′、A1′、A2′、A3′に読み替えるだけで、位相差ψを求めることができる。
なお、ビート信号を得るには、表面電極25への印加電圧を変調信号とは周波数の異なる局発信号で制御し、混合回路の機能を正孔保持部13と電子保持部14と再結合部15とを用いて実現する。要するに、変調信号の変調周波数とは異なる周波数である局発信号を用いて電子および正孔の保持と再結合とを行うことによって、再結合後に残留する電子がビート信号の振幅に相当する量になり、混合回路を用いることなくビート信号の振幅に応じた受光出力を得ることが可能になる。
(実施形態2)
実施形態1においては、光検出素子1を用いて対象物3までの距離を測定する測距装置を構成する例について説明したが、以下に説明する実施形態も測距装置に用いることが可能である。ただし、測距装置として用いる場合の動作は実施形態1と同様であるから、以下では、消灯期間と点灯期間との受光量の差分によって信号光に対応する目的キャリアを取り出す場合を例として説明する。実施形態1では、消灯期間および点灯期間を通して感光部11で生成された電子と正孔とのうちの非目的キャリアである正孔を、点灯期間において感光部11で生成された目的キャリアである電子と再結合させることによって、信号光に対応する目的キャリアを取り出す構成を採用している。つまり、消灯期間で生成されるキャリアは非目的キャリアのみを用いているが、点灯期間において生成されるキャリアは目的キャリアと非目的キャリアとの両方を用いている。
本実施形態は、消灯期間においては非目的キャリアのみを保持し、点灯期間においては目的キャリアのみを保持することによって、正孔保持部13と電子保持部14とに保持するキャリアの個数比の調節を不要としたものである。
本実施形態の原理図を図8に示す。図示例では正孔を取り出すのに適した構造の第1の感光部11aと、電子を取り出すのに適した構造の第2の感光部11bとを設けてある。このような感光部11a,11bは、p−n接合形またはpin形のフォトダイオードの構造であれば半導体の導電形を入れ換えた構造により実現することができる。また、MIS構造であれば半導体の導電形を入れ換えるとともに、ゲートに印加する電圧の極性を互いに逆極性にすれば実現することができる。
第1の感光部11aで生成される正孔はゲート部38aを介して正孔保持部13に保持され、第2の感光部11bで生成される電子はゲート部38bを介して電子保持部14に保持される。ゲート部38aを介して正孔保持部13に正孔を保持するタイミングと、ゲート部38bを介して電子を電子保持部14に保持するタイミングとは異ならせてある。これらのタイミングにおいて、それぞれゲート部38a,38bが開いているという表現を用いるとすれば、ゲート部38a,38bは択一的に開くようにタイミング制御部10により制御される。この種のゲート部38a,38bは実施形態1において説明したゲート電極27と同様のMOS構造によって実現することができ、タイミング制御部10では印加電圧を制御することによって、各ゲート部38a,38bを択一的に開くことができる。実施形態1と同様に、正孔保持部13に保持された正孔と電子保持部14に保持された電子とは再結合部15において再結合され、再結合後に残留するキャリアが目的キャリアとして出力部16を通して取り出される。
本実施形態では、実施形態1と比較すると、スイッチ要素17、廃棄部18が不要になっており、感光部11a,11bを2個設けるとともに、各感光部11a,11bに対応する2個のゲート部38a,38bが追加された形になっている。つまり、正孔保持部13と電子保持部14とゲート部38a,38bとにより正孔保持部13に集積される正孔の個数と電子保持部14に集積される電子の個数とが調節される。したがって、本実施形態ではゲート部38a,38bが電子と正孔とを分離するとともに正孔保持部13に集積される正孔の個数と電子保持部14に集積される電子の個数とを調節するキャリア弁別部として機能する。なお、感光部11a,11bを2個設けることは必須ではなく、1個の感光部で電子と正孔とを生成し、正孔保持部13には感光部から正孔のみを集積し、電子保持部14には感光部から電子のみを集積するようにゲート部38a,38bを制御するようにしてもよい。つまり、正孔保持部13と電子保持部14とで感光部を共用する構成としてもよい。
いま、実施形態1と同様に電子を目的キャリアとする場合について動作を説明する。消灯期間には第1および第2の感光部11a,11bには環境光のみが入射しており、目的キャリアの保持は不要であるから、ゲート38aを開くとともにゲート38bを閉じておくことにより第1の感光部11aで生成した正孔を正孔保持部13に保持する。一方、点灯期間にはゲート38aを閉じるとともにゲート38bを開くことによって第2の感光部11bで生成した電子を電子保持部14に保持する。すなわち、タイミング制御部10は光源2の発光に同期するようにゲート38a,38bを開閉する。この動作によって電子保持部14に保持される電子は、環境光と信号光とを加算した光量に対応することになる。ここで、消灯期間と点灯期間とを1:1に設定しているものとし、また消灯期間と点灯期間とを環境光の光量に変動がない程度の時間に設定しているとすれば、再結合部15において電子と正孔とを再結合させた後には目的キャリアである電子のみが残り、しかも電子の個数は信号光の光量を反映していることになる。
実施形態1の構成では、感光部11と正孔保持部13および電子保持部14とが一部の構造を共用しているから(電子保持領域32および正孔保持領域33を含むウェル領域31は、感光部11と正孔保持部13および電子保持部14とに共用されている)、複数回の消灯期間および点灯期間において生成される正孔や電子を正孔保持部13および電子保持部14に保持することはできず、消灯期間と点灯期間との複数回分のキャリアを保持しようとすれば、1回の消灯期間と1回の点灯期間との後にキャリアの再結合を行い、再結合後の目的キャリアを出力部16において蓄積(積分)しなければならない。
これに対して、本実施形態の構成では、第1および第2の感光部11a,11bと正孔保持部13および電子保持部14との間にゲート部38a,38bが設けられ、感光部11a,11bと正孔保持部13および電子保持部14との構造が独立しているから、キャリアの再結合前に正孔および電子をそれぞれ積分することが可能であって、消灯期間と点灯期間とを複数回繰り返し、正孔保持部13および電子保持部14にそれぞれ正孔および電子を保持した後に再結合部15における再結合を行うことが可能になる。
また、実施形態1の構成では、点灯期間において生成される非目的キャリアには信号光に対応する成分が存在し、この成分が目的キャリアと再結合することにより目的キャリアにおいて信号光に対応する成分の一部が消失するから、信号光の光量に対する目的キャリアの個数が少なくなり、結果的に信号光に対する感度がやや低くなっている。これに対して、本実施形態では、点灯期間において生成された目的キャリアと消灯期間において生成された非目的キャリアとを再結合させるから、消灯期間と点灯期間とを1:1に設定しておけば、信号光に対応して生成される目的キャリアが再結合によって消失することがなく、実施形態1の構成よりも信号光に対する感度が高くなる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。また、上述した各実施形態において目的キャリアを電子とし、非目的キャリアを正孔としているが、目的キャリアを正孔とし、非目的キャリアを電子とすることも可能である。
(実施形態3)
実施形態1において説明した光検出素子1は、光源2の消灯期間に生成された目的キャリアをスイッチ要素17および廃棄部18により廃棄し、消灯期間に生成された目的キャリアが点灯期間に生成された目的キャリアと混合されないようにしているが、本実施形態はスイッチ要素17および廃棄部18を省略している。また、実施形態1では正孔保持領域33から押し出した正孔をウェル領域31において電子と再結合させているが、本実施形態では、電子保持領域32を設けずに、ウェル領域31から正孔保持領域33に電子を引き込むことによって正孔に電子を再結合させるように構成してある。
本実施形態の光検出素子1では、図9に示すように、p−形(第1導電形)の半導体(たとえば、シリコン)からなる基板21の主表面に、p形の素子形成層22を積層してある。素子形成層22の主表面には酸化層(たとえば、シリコン酸化層)である絶縁層24を介して表面電極25が設けられる。絶縁層24には素子形成層22の主表面から離間した制御電極26およびゲート電極27が素子形成層22の表面に沿った異なる部位に埋め込まれる。表面電極25および制御電極26は光が透過可能になっている。また、実施形態1と同様に電荷転送領域36も設けられる。
素子形成層22にはn形のウェル領域31が形成され、素子形成層22の主表面側であってウェル領域31に囲まれる部位には正孔保持部13として機能するp形の正孔保持領域33が形成される。すなわち、正孔保持領域33は非目的キャリアである正孔を集積するとともに保持する保持領域になる。制御電極26は平面視において正孔保持領域33よりも面積が小さく、制御電極26の全部は正孔保持領域33の一部に対向する。正孔保持領域33のうち制御電極26に対向する領域は電子を集積する電子保持部14および再結合部15として機能する集積結合領域33aとなり、正孔保持領域33のうち集積結合領域33a以外の領域は正孔を一時的に待避させる待避領域33bとなる。ウェル領域31および正孔保持領域33には光を照射可能であって、光が照射されると光励起による電子および正孔が生成される。表面電極25には正電圧(図示例では5V)を常時印加しており、光照射時には正孔保持領域33に正孔を保持できるように制御電極26に負電圧(図示例では−3V)を印加する。したがって、図10のように、光照射によって正孔保持領域33との近傍において生成される正孔は正孔保持領域33に保持され、ウェル領域31の近傍で生成される電子はウェル領域31に保持される。
正孔保持領域33の厚みおよび面積とウェル領域31の面積と制御電極26に印加する電圧との関係によって、再結合の際の電子の個数を正孔の個数よりも多くすることができる。また、素子構造は設計によって決まるから、ウェル領域31に保持する電子と正孔保持領域33に保持する正孔との個数は制御電極26に印加する電圧により調節するのであって、制御電極26がキャリア弁別部12として機能する。また、ウェル領域31に保持される電子および正孔保持領域33に保持される正孔の大部分は、ウェル領域31と正孔保持領域33とにおいて生成されるから、ウェル領域31と正孔保持領域33とが感光部11として機能する。
本実施形態の構成では、光源2の消灯期間と点灯期間と制御電極26への印加電圧とを適宜に調節することで、再結合前において、ウェル領域31に保持されている電子の個数を正孔保持領域33に保持されている正孔の個数よりも多くすることが可能である。本実施形態においては、消灯期間に生成された電子を廃棄していないが、光源2の点灯期間に生成された電子を光源2の消灯期間に生成される電子の個数分以上の正孔と再結合し、かつ再結合される電子の個数を正孔の個数よりも多くするという条件を満たすことは可能である。要するに、再結合後に電子を残留させるようにしながらも、環境光成分を除去することが可能である。図10の状態は、消灯期間と点灯期間との後に上記条件を満たすように電子と正孔とがそれぞれウェル領域31と正孔保持領域33とに保持されている状態を示している。
電子と正孔とを再結合させるために、本実施形態では、図10のように制御電極26に負電圧(図示例では−3V)を印加する状態と、図11のように正電圧(図示例では+3V)を印加する状態とを複数回繰り返す。再結合に要する期間は消灯期間および点灯期間に比較して十分に短い期間であって、たとえば2×10−8s程度の周期で印加する電圧の極性を数回入れ換える。制御電極26に正電圧を印加すると、正孔が集積結合領域33aから待避領域33bに移動し、電子がウェル領域31から集積結合領域33aに移動する。このとき、正孔の一部は絶縁層24との間の界面電位にトラップされており、トラップされている正孔は電子と再結合されることにより消滅する。ただし、一部の正孔はp形の正孔保持領域33の中で移動し、待避領域33bに待避して残留する。再結合は、正孔を消滅させることが目的であるから、待避領域33bに待避した正孔も消滅させなければならない。そこで、制御電極26にふたたび負電圧を印加し、待避領域33bに待避していた正孔を集積結合領域33aに引き入れる。このとき、電子は主としてn形であるウェル領域31に移動する。
上述の動作を複数回繰り返すことによって、正孔保持領域33の正孔を再結合によって消滅させることができる。また、正孔の消滅時点においても電子の一部は残留するから、制御電極26に正電圧を印加することにより集積結合領域33aに残留した電子を引き込み、ゲート電極27に正電圧を印加することにより集積結合領域33aから電荷転送領域36に電子を転送することができる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
ところで、上述したように、再結合後には集積結合領域33aから電荷転送領域36に電子を転送しており、図9に示した構成のように、集積結合領域33aと電荷点灯領域36との間にp形である待避領域33bが存在していると、ゲート電極27に比較的高い電圧を印加しなければ電子を移動させることができないという問題が生じる。そこで、図12のように、正孔保持領域33のうち電荷転送領域36に対向する部位には待避領域33bを設けないことが臨ましい。図12の構成例では平面視において待避領域33bはコ字状になる。
さらに、上述した例では集積結合領域33aと待避領域33bとの不純物濃度を一定にしているが、集積結合領域33aと待避領域33bとの間での正孔の移動度を高めるために、待避領域33bについては不純物濃度を高濃度にすることが望ましい。すなわち、集積結合領域33aをp形とするとき、待避領域33bはp+形とするのが望ましい。また、待避領域33bをp+形とする代わりに、図13に示すように、制御電極26の周囲に待避領域33bと対向する待避用制御電極28を設け、集積結合領域33aと待避領域33bとの間で正孔を移動させる際に、待避領域33bの正孔に対するポテンシャルを制御することで正孔の移動度を高めるようにしてもよい。また、図13に示す構成であれば、待避領域33bが集積結合領域33aの全周を囲むようにして正孔がウェル領域31に流出するのを防止しながらも、集積結合領域33aから電荷転送領域36に電子を移動させる際には待避領域33bの電子に対するポテンシャルを引き下げて電子の移動度を高めることが可能である。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
(実施形態4)
本実施形態は、図14に示すように、n形のウェル領域31に正孔保持部13として機能するp形の正孔保持領域(請求項8、9の保持領域に相当)33を形成している。この構成は実施形態3と同様である。ただし、実施形態3はp−形の基板21の主表面にp形の素子形成層22を積層しているのに対して、本実施形態では基板21および素子形成層22をn形とし、基板21と素子形成層22との間にp形の中間層29を設けた構成を採用している。中間層29は接地電位に保たれる。また、正孔保持領域33のうち制御電極26に対向する集積結合領域33aよりも待避領域33bの不純物濃度を高くし、集積結合領域33aがp形であるのに対して待避領域33bをp+形としている。
さらに、実施形態3ではウェル領域31と電荷転送領域36との間に対応する部位にゲート電極27を配置しているが、本実施形態ではゲート電極27を設けず、ウェル領域31と電荷転送領域36とを近接させるとともに、電荷転送領域36に対して絶縁層24を介して設けた転送電極39に印加する電圧を変化させることにより、ウェル領域31から電荷転送領域36への電子の移送を行う構成を採用している。転送電極39は図14の面に直交する方向に複数個配列され、1個のウェル領域31に対して転送電極39が2個ずつ対応する。つまり、ウェル領域31から電子を受け取るためのポテンシャル井戸を形成する転送電極39と、そのポテンシャル井戸から電子が移送されるポテンシャル井戸を形成する転送電極39とを、1個のウェル領域31に対応付けている。この種の構成は、IT(インターライン・トランスファ)方式のCCDイメージセンサにおける垂直転送レジスタと同様である。また、転送電極39は表面電極25とは電気的に分離してある。なお、電荷転送領域36は遮光膜37に覆われる。
実施形態3では正孔保持領域33の厚みおよび面積とウェル領域31の面積と制御電極26に印加する電圧との関係によって、再結合の際の電子の個数と正孔の個数とを調節している。一方、本実施形態では、正孔保持領域33の厚みおよび面積とウェル領域31の面積と制御電極26に印加する電圧とのほかに、基板21に印加する電圧を制御することによって再結合される電子と正孔との個数比を調節する。
以下に動作を説明する。基板21、表面電極25、制御電極26に対しては、それぞれ正電圧と負電圧との両極性の電圧を印加することができ、転送電極39に対しては、高低2段階の正電圧と負電圧との3種類の電圧が印加可能になっている。以下では2段階の正電圧を区別して「高い正電圧」、「低い正電圧」と呼ぶ。なお、転送電極39に印加する負電圧は電子の転送に用いる電圧であり、以下に説明する動作には関与しない。
まず、初期状態として、ウェル領域31の正孔が電子との再結合により消滅し、ウェル領域31の電子は電荷転送領域36に転送され、他の領域の電子は基板21を通して廃棄されるか再結合によって消滅している状態を想定する。つまり、基板21と素子形成層22(ウェル領域31を含む)と中間層29とには熱平衡状態の電子および正孔のみが存在している状態を初期状態とする。このような初期状態は、実施形態1において示したドレイン領域34a,34bを設け、ドレイン領域34a,34bおよび基板21を用いて電子および正孔を廃棄することによって実現できる。
上述の初期状態は、ウェル領域31から電荷転送領域36に電子を転送した後に設定される状態であり、タイミング制御部10は初期状態の後に消灯期間となるように光源2などを制御する。消灯期間では、ウェル領域31から電荷転送領域36への電子および正孔の移動が生じないように、ウェル領域31に隣接する転送電極39には低い正電圧を印加しておく。また、表面電極25と制御電極26とには負電圧を印加し、基板21には正電圧を印加する(第1状態)。第1状態では、環境光のみが照射されており、基板21、素子形成層22(ウェル領域31を含む)、中間層29において生成される電子および正孔のうち、電子は基板21を通して廃棄され、正孔は表面電極25に向かって移動する。ここで、正孔保持領域33はp形ないしp+形であるから、正孔は主として正孔保持領域33に集積される。すなわち、消灯期間に対応する個数の正孔が正孔保持領域33に集積される。
その後、点灯期間になると、表面電極25および制御電極26に正電圧を印加し、基板21に負電圧を印加する(第2状態)。第2状態では、正孔保持領域33に集積されていた正孔の大部分が待避領域33bに集まり、一部の正孔は集積結合領域33aの界面電位によってトラップされ集積結合領域33aに残留する。また、基板21、素子形成層22(ウェル領域31を含む)、中間層29において生成される電子および正孔のうち、電子は表面電極25に向かって移動し、正孔は基板21を通して廃棄される。正孔保持領域33と、正孔保持領域33を除くウェル領域31と、ウェル領域31を除く素子形成層22との導電形の違いによって、電子に対するポテンシャルは正孔保持領域33を除くウェル領域31においてもっとも低くなるから、環境光と信号光とに対応する個数の電子は、主としてウェル領域31に集積される。また、一部の電子は、集積結合領域33aに残留する正孔と再結合する。
集積結合領域33aに残留する正孔と電子との再結合が終了する程度の時間が経過すると(電子は正孔よりも移動度が大幅に大きいから、この時間はごく短時間である)、表面電極25に正電圧を印加し、基板21に負電圧を印加した状態を保ったままで、制御電極26に印加する電圧の極性のみを負電圧に反転させる(第3状態)。第3状態では、新たな正孔が正孔保持領域33に集積されることはなく、環境光と信号光とに対応する電子がウェル領域31に集積されることになる。また、第3状態では、正孔保持領域33の正孔は集積結合領域33aに集まり、電子はウェル領域31において正孔保持領域33を除く範囲に集まる。
第3状態において集積結合領域33aに正孔が集まる程度の時間が経過すると(正孔保持領域33はp形またはp+形であり距離も短いから、正孔は比較的短い時間で移動する)、制御電極26に印加する電圧のみを正電圧に変化させる。つまり、第3状態から再び第2状態に切り換える。上述のように、第2状態では集積結合領域33aの界面電位にトラップされた正孔と一部の電子とが再結合する。その後、第2状態と第3状態とを交互に繰り返す。繰り返しの回数は、正孔保持領域33に残留する正孔がほぼ消滅する程度の適宜回数繰り返される(2〜3回程度)。正孔保持領域33の正孔がほぼ消滅すると、第3状態から表面電極25に印加する電圧を負電圧に変化させるとともに、転送電極39に高い正電圧を印加する(第4状態)。高い正電圧はウェル領域31の電子が電荷転送領域36に移動するように設定される。第4状態は転送電極39に印加する電圧のみが第3状態とは異なる。
つまり、第4状態において、ウェル領域31に残留している電子は、環境光と信号光とを併せた成分から環境光の成分の少なくとも一部を減殺した成分になるから、この電子を信号電荷として電荷転送領域36に取り出すのである。第4状態の後には光源2を消灯させるとともに、表面電極25と制御電極26とに負電圧を印加し、基板21に正電圧を印加する状態、すなわち第1状態に戻る。表1に第1状態から第4状態までの各部位の電圧の関係を示す。消灯期間には第1状態のみであり、点灯期間には(第2状態→第3状態)×n→第4状態と推移することになる(×nは複数回繰り返すことを意味する)。したがって、消灯期間において正孔保持領域33に集積された正孔の個数と、点灯期間においてウェル領域31に集積された電子のうちの環境光成分に相当する個数とをほぼ一致させるには、消灯期間と点灯期間との長さを調節したり、各部に印加する電圧を調節したりすることが必要である。また、点灯期間と消灯期間との間には初期状態に戻す動作が必要になる場合がある。
以上説明したように、本実施形態では、表面電極25と制御電極26とに印加する電圧のほかに、基板21に印加する電圧を制御することにより、再結合させる電子および正孔の個数を調節しているから、電子と正孔との個数の調節が容易になる。
本実施形態で説明した構成の光検出素子1を用いて実施形態1と同様に測距装置を構成するとすれば、受光量A0〜A3を求めるために感度を制御する必要がある。感度を制御する技術は実施形態1に説明したように、紙面に直交する方向に配列した複数個の表面電極25を一組にして、一組の表面電極25に印加する電圧パターンを制御する。このような感度の制御は、第2状態において電子を集積する間に行う。たとえば、受光量A0に相当する電子を集積するには、受光量A0に相当する期間には高感度になり、受光量A1〜A3に相当する期間には低感度になるように、変調信号に同期するタイミングで表面電極25に印加する電圧パターンを制御する。第2状態において高感度の状態と低感度の状態とを複数回繰り返した後には、第3状態に移行させて電子と正孔とを再結合させ、さらに、再結合を促すために第2状態と第3状態とを複数回繰り返す。再結合のために第2状態と第3状態とを繰り返す間には、第2状態における感度の制御は行わない。第2状態と第3状態とを繰り返して電子と正孔とを再結合させた後には第4状態に移行する。
なお、上述した例では点灯期間において第2状態と第3状態とを繰り返すことにより電子と正孔とを再結合させているが、第2状態で感度の制御を行うことにより受光量A0〜A3のいずれかに相当する電子を集積した後、光源2を消灯させ、再結合のために第2状態と第3状態との電圧を繰り返して印加してもよい。また、第2状態で感度の制御を行うことにより受光量A0〜A3のいずれかに相当する電子を集積した後、光源2が点灯している状態で第2状態と第3状態とを繰り返す動作と光源2が消灯している状態で第2状態と第3状態とを繰り返す動作とを順に行うようにしてもよい。他の構成および動作は実施形態3と同様である。さらに、実施形態3、実施形態4のいずれにおいても、実施形態1と同様にウェル領域31の底に埋込層23を設けるようにしてもよい。