JP4345423B2 - ステータ、モータ、ステータの製造方法、及びモータの製造方法 - Google Patents
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Description
逆に、モータのコンパクト化等のためには、コイルエンド部分の巻線の長さをできるだけ短くすることが望ましい。三相分布巻きのステータに関して言えば、U相、V相、W相の巻線をできるだけ短くするには、これら三相の巻線のそれぞれについて、互いの関係を考慮しつつ、最適のコイル部分の周長やコイルエンド部分の配置を選択するのが望ましい。
しかしながら、インサート法では、ストリッパで押し上げられた巻線が先端位置が固定された固定ブレードの先端を乗り越えることで、スロット内に巻線が挿入されるので、単純にストリッパで押し上げるだけでは、ステータ鉄心の表面側及び裏面側のコイルエンド部分を、図示された対称形態にすることが困難である。例えば、裏面側から挿入した場合には、表面側のコイルエンド部分の長さは、径方向外側部分(先に挿入された部分)から径方向内側(後で挿入された部分)まで、ほぼ同じ長さとなる。従って、コイル巻線機でコイル部分の周長を順に長くあるいは順に短くして巻線を成形しても、表面側のコイルエンド部分と裏面側のコイルエンド部分との形態が大きく異なり、表面側、裏面側のいずれにおいても、適切な形態とすることができなかった。
側で、かつ、上記W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、複数の上記U相コイルのU相裏面側渡り部は、いずれも、上記W相スロットの上記第2軸線方向において、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第2軸線方向に配置されてなり、上記U相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側集約部と上記U相裏面側集約部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、上記V相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側集約部と上記V相裏面側集約部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、上記W相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側集約部と上記W相裏面側集約部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなるステータである。
また、V相コイルについて見れば、対をなすV相スロット間を渡るV相表面側渡り部及びV相裏面側渡り部は、W相表面側渡り部あるいはW相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置されている。つまり、V相表面側渡り部及びV相裏面側渡り部は、W相スロット及びU相スロットの径方向中央位置付近の表面上あるいは裏面上を渡る形態とされている。
さらに、U相コイルについて見れば、対をなすU相スロット間を渡るU相表面側渡り部及びU相裏面側渡り部は、V相表面側渡り部あるいはV相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、W相スロット及びU相スロットの径方向外側端の第1軸線方向あるいは第2軸線方向に配置されている。つまり、U相表面側渡り部及びU相裏面側渡り部は、V相スロット及びW相スロットの径方向外側端付近の表面上あるいは裏面上を渡る形態とされている。具体的には例えば、U相表面側渡り部は、V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の第1軸線方向に位置する部分を含んでいる。
また、V相表面側集約部は、巻線を、W相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、V相スロットの径方向外側端よりも径方向内側で集約するする形態とされていると良い。また、V相裏面側集約部は、巻線を、W相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、V相スロットの径方向外側端よりも径方向内側で集約する形態とされていると良い。
さらに、U相表面側集約部は、巻線を、V相表面側渡り部よりも径方向外側で集約するする形態とされていると良い。さらには、U相スロットの径方向外側端の第1軸線方向で集約するる形態とされていると良い。また、U相裏面側集約部は、巻線を、V相裏面側渡り部よりも径方向外側で集約する形態とされていると良い。さらには、U相スロットの径方向外側端の第2軸線方向で集約する形態とされていると良い。
さらに、V相スロットの第1軸線方向において、W相表面側渡り部、V相表面側集約部、及びU相表面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。また、V相スロットの第2軸線方向において、W相裏面側渡り部、V相裏面側集約部、及びU相裏面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。
さらに、W相スロットの第1軸線方向において、W相表面側集約部、V相表面側渡り部、及びU相表面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。また、W相スロットの第2軸線方向において、W相裏面側集約部、V相裏面側渡り部、及びU相裏面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。
このようにすることで、ステータ鉄心の表面あるいは裏面のうち、上方にU相表面側渡り部やU相裏面側渡り部が無い部分の面積を広く取ることができる。つまり、スロットの径方向外側端とステータ鉄心の外周面との間の2/3以上の部分、あるいは4/5以上の部分が利用できるので、この部分を用いてモータの保持や電源端子の配置場所などに容易に利用することができる。
また、W相巻線について、外側W相スロット対応部分に比して、内側W相スロット対応部分の長さを短くしてある。このような関係としたため、W相表面集約部、W相表面渡り部、W相裏面集約部、及びW相裏面渡り部を前述の形態としたときに、これら各部の形状を無理なく上述の形状となしうる。
また、V相巻線について、外側V相スロット対応部分に比して、内側V相スロット対応部分の長さを、等しく、あるいは比較的小さな差を持って長くあるいは短くしてある。このような関係としたため、V相表面集約部、V相表面渡り部、V相裏面集約部、及びV相裏面渡り部を前述の形態としたときに、これら各部の形状を無理なく上述の形状となしうる。
これに対し、本発明のステータでは、各相の渡り部や集約部の配置を前述のようにして、各相相互の関係を調整してある。このため、このような高占積率の場合でも製造でき、コンパクトなステータとすることができる。
本明細書において、占積率とは、スロット有効断面積に対し、挿入された巻線の断面積の総計の割合をいう。但し、スロット有効断面積は、スロットの断面積から、このスロット内に挿入されているスロット絶縁紙やウェッジ紙などの占める面積を除外した、巻線を挿入しうる部分の断面積をいう。また、巻線の断面積には、絶縁被覆部をも含む。
これにより、インサート法を用いながらも、各相のコイルエンド部分の巻線の長さを短くし、安価、コンパクトで、低損失、高出力のモータとなし得るステータを製造することができる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなるU相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
かくして、ストリッパの移動制御によるだけで、U相巻線について、表面側コイルエンド部と裏面側コイルエンド部分とを容易に同じ形状、具体的には、内側が高く外側が低い形状にすることができる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなるW相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
従って、この状態で固定ブレード及びストリッパを退避させれば、表面側コイルエンド部分において、内側(最後に挿入された部分)が低く(短く)、外側(最初に挿入された部分)が高い(長い)形状とすることができる。
なお、ウェッジ紙をスロット内に挿入することで、W相巻線がW相スロットの開口部から飛び出すことが防止され、未だ固定ブレードを乗り越えていないW相巻線を含めすべてのW相巻線がW相スロット内に挿入、保持される。
かくして、ストリッパの移動制御によるだけで、W相巻線について、表面側コイルエンド部と裏面側コイルエンド部分とを容易に同じ形状、具体的には、内側が低く外側が高い形状にすることができる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなる第1相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
一般に、第1相巻線は固定ブレードの先端を乗り越えさせるときに、内側に傾くようなクセが付けられる傾向にある。このため、最後の第1相巻線を固定ブレードの先端を乗り越えさせた後に、ストリッパを移動させると、最後に固定ブレードを乗り越えた第1相巻線(最後の第1相巻線という)とストリッパとの間に摩擦が生じ、この最後の第1相巻線がストリッパの移動に伴って移動する。すると第1相巻線同士の摩擦によって、それぞれの第1相巻線がストリッパの移動に引きずられようにして移動する。これにより、表面側コイルエンド部分において、内側(最後に挿入された部分)が高く(長く)、外側(最初に挿入された部分)が低い(短い)形状とすることができる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなる最終相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
従って、この状態で固定ブレード及びストリッパを退避させれば、表面側コイルエンド部分において、内側(最後に挿入された部分)が低く(短く)、外側(最初に挿入された部分)が高い(長い)形状とすることができる。
なお、ウェッジ紙をスロット内に挿入することで、最終相巻線が最終相スロットの開口部から飛び出すことが防止され、未だ固定ブレードを乗り越えていない最終相巻線を含めすべての最終相巻線が最終相スロット内に挿入、保持される。
まず、本実施形態にかかるモータ10について、図1を参照して説明する。このモータ10は、ロータ11とステータ20とからなる三相モータである。このうち、ロータ11は、回転軸12を中心とする円筒形のロータ本体13と、マグネット14とからなる8極の永久磁石ロータである。マグネット14は、ロータ本体13に、平面視花びらのように、外周面近傍に沿ってジグザグに形成したスリット13Sにそれぞれ挿入固着してなる。一方、ステータ20はこのロータ11を包囲するように配置されている。
そこで、本実施例のステータ20では、コイルエンド部に要する巻線の長さを最大限に短くすべく、各相のコイルのコイルエンド部の配置を以下に示す関係としている。これにより、インサート法によって各相のコイル形成しながらも、コイル等に用いる巻線50等の長さを最大限切りつめ、コンパクトで、軽量、低損失、高出力のステータ20及びモータ10としている。
また、V相巻線60で構成されるV相コイル61も、V相スロット34v内に位置するV相スロット挿入部63と、表面30A上に位置するV相表面側コイルエンド部68Aと、裏面30B上に位置するV相裏面側コイルエンド部68Bとに大別して説明する。さらに、V相表面側コイルエンド部68Aは、V相表面側渡り部62Aとこの両側に位置するV相表面側集約部66Aとに区分して説明することがある。同様に、V相裏面側コイルエンド部68Bは、V相裏面側渡り部62Bとこの両側に位置するV相裏面側集約部66Bとに区分して説明することがある。また、1つのV相スロット挿入部63とその両側に位置するV相表面側集約部66A及びV相裏面側集約部66Bを併せて、V相スロット対応部67とすることもある。
さらに、W相巻線70で構成されるW相コイル71も、W相スロット34w内に位置するW相スロット挿入部73と、表面30A上に位置するW相表面側コイルエンド部78Aと、裏面30B上に位置するW相裏面側コイルエンド部78Bとに大別して説明する。さらに、W相表面側コイルエンド部78Aは、W相表面側渡り部72Aとこの両側に位置するW相表面側集約部76Aとに区分して説明することがある。同様に、W相裏面側コイルエンド部78Bは、W相裏面側渡り部72Bとこの両側に位置するW相裏面側集約部76Bとに区分して説明することがある。また、1つのW相スロット挿入部63とその両側に位置するW相表面側集約部76A及びW相裏面側集約部76Bを併せて、W相スロット対応部77とすることもある。
本実施例では、詳細には、外側V相スロット対応部分67sよりも内側V相スロット対応部分67iの方が若干長くされている。但し、両者の長さの差は小さく、具体的には、U相巻線50における外側U相スロット対応部分57sと内側U相スロット対応部分57iの長さとの差(図5参照)、及び、W相巻線70における外側W相スロット対応部分77sと内側W相スロット対応部分77iの長さとの差(図7参照)、のいずれよりも小さな差となっている。
なお、V相表面側集約部66A及びV相裏面側集約部66Bの形態によっては、外側V相スロット対応部分67sよりも内側V相スロット対応部分67iの方を若干短くする場合もある。但し、この差は、上述のようにU相やW相における差よりも小さくなっていることは同様である。
特に、本実施例のステータ20のように、占積率を65%以上(本例では70%)の高い占積率とした場合には、前述のようにして各相コイル51等の渡り部52A等や集約部56A等の配置関係を調整することで、コンパクトで低損失のステータ20とすることができる。
そこで最初に、U相コイル51の挿入の工程について説明する。まず、図9に示すように、巻線装置110を用い、図示しないフライヤによって、U相巻線50を巻枠111に巻き付けて略長円形状に成形して、U相コイル51を成形する。この巻枠111は、位置が固定された固定側巻枠111Fと、図中二点鎖線で示すように、平行移動可能な移動側巻枠111Mとを有している。さらに、移動側巻枠111Mは、図中下方ほど幅太となる六段の段差形状を有している。そこで、U相巻線50を図示するように、固定側巻枠111F移動側巻枠111Mとの間で、この移動側巻枠111Mの各段に1ターンずつ巻き付けられるようにして巻回する。その後、移動側巻枠111Mを固定側巻枠111Fに近づけるよう(図中右側)に移動させ、巻回されたU相巻線50を矢印に示すように下方に落とすことで、U相巻線50を成形したU相コイル51が得られる。
なお、前述したように、U相巻線50は、12本の素線40からなっている。
この時点では、固定ブレード121の先端121Tの第1軸線方向DX1の位置が押上げの期間中変化していないため、各素線40のうち、鉄心30の表面上に位置する部分の高さは、どの素線についてもほぼ同じとなっている。従って、このような手法でU相コイル51をU相スロット34uに挿入した場合には、折角、図9に示すような巻線装置110を用いて、U相コイル51をなすU相巻線50の各ターンの周長を、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回された形態としたにも拘わらず、挿入後のU相コイル51の形態は、鉄心30の表面30A上と、裏面30B上とで大きく異なって非対称の形状となる。従って、このままの形状としておくと、後述するようにして、U相コイル51の渡り部52A等を拡径、整形するときに、各渡り部52A等で、この部分の巻線の長さが不足したり逆に余ったりすることにより、適切な形状のコイルエンド部に成形することができないこととなる。
なお、U相スロット34u内にU相コイル51を挿入した後には、公知の手法によりウェッジ紙83をU相スロット34uの内側開口34ui付近に挿入配置して、U相巻線50(素線40)が、開口から内側にはみ出すのを防止する。かくして、U相コイル51を鉄心30に挿入配置することができた。
一方、径方向内側端部34uipを通る内側U相スロット対応部分57iは、同じく図17(a)に破線で示すように、カフス80Aよりも第1軸線方向DX1において、径方向外側(図中左側)に屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に略放物線状に延びる形態とされる。また、U相裏面側集約部56Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向外側(図中左側)に屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に略放物線状に延びる形態とされる。
なお、U相コイル51の整形後、U−V相間絶縁紙81をU相コイルエンド部58A,58Bに径方向内側(図中右側)から当接するように配置する。
成形されたV相コイル61は、U相コイル51と同様に、固定ブレード121の上方から、これに掛けるようにして、インサータ120にセットされる(図18参照)。
固定ブレード121の先端121Tの第1軸線方向DX1の位置は、押上げの期間中変化していないため、各素線40のうち、鉄心30の表面上に位置する部分の高さは、どの素線についてもほぼ同じとなる。しかも、V相スロット34v内で、径方向外側端部34vspに位置する外側V相スロット対応部分67sは、径方向内側端部34vipに位置する内側V相スロット対応部分67iに比して、その長さがほぼ同じとなっている。
その後、V相スロット34vにV相コイル61を挿入した後には、U相の場合と同じく、ウェッジ紙83をV相スロット34vの内側開口34vi付近に挿入配置する。かくして、V相コイル61を鉄心30に挿入配置することができた。
一方、径方向内側端部34vipを通る内側V相スロット対応部分67iは、同じく図23(b)に破線で示すように、カフス80Aよりも第1軸線方向DX1において、径方向外側(図中左側)に若干屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に延びる形態とされる。また、V相裏面側集約部66Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向外側(図中左側)に若干屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に延びる形態とされる。
なお、V相コイル61の整形後、V−W相間絶縁紙82をV相コイルエンド部68A,68Bに径方向内側(図中右側)から当接するように配置する。
成形されたW相コイル71は、U相コイル51と同様に、固定ブレード121の上方から、これに掛けるようにして、インサータ120にセットされる(図25参照)。
なお、この後、U相、V相の場合と同じく、ウェッジ紙83をW相スロット34wの内側開口34wi付近に挿入配置する。これにより、W相コイル71をなす素線40の一部が、固定ブレード121に係止された状態ではあるが、W相巻線(素線40)が内側開口34wiからはみ出すのを防止することができ、W相コイル61を鉄心30に挿入配置することができた。その後、ストリッパ125を下降、退避させる。
しかし、各素線40のうち、未だこの先端121T乗り越えていない素線については、先端121Tに届かなかった分だけ押上げ量が不足したということになる。しかも、各素線は、固定ブレード121−移動ブレード122間の間隙で一列に並んで保持されているから、隣接する素線同士で比較すると、概略、各素線の直径分だけ押上げ高さに違いが生じると考えられる。つまり、固定ブレード121−移動ブレード122間において、下方で保持されている素線ほど、押上げ高さが不足しているから、鉄心30を持ち上げる等により固定ブレード121を軸線方向に相対移動させてこれを退避させると、各素線のうち、後に挿入される素線ほど、鉄心30の表面30A上の高さが低くなる形態で、W相コイル71が挿入されたことになる。
また、W相コイル71の挿入に当たり、固定ブレード121の先端121Tの位置を適切に設定することで、図28の形態から理解できるように、W相コイル71をなす巻線70(素線40)のうち、鉄心30の表面30A上(図中上側)に位置する部分と、裏面30B上(図中下側)に位置する部分とが対称形状となるようにできる。
一方、径方向内側端部34wipを通る内側W相スロット対応部分77iは、同じく図7に破線で示すように、カフス80Aよりも第1軸線方向DX1において、第1軸線方向DX1(図中上側)に略直線状に延びる形態とされる。また、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、第2軸線方向DX2(図中下側)に略直線状に延びる形態とされる。
かくして、鉄心30に、U相,V相,W相コイル51,61,71をそれぞれ挿入してなるステータ20を製造することができた。
ここで、占積率とは、本実施例で言えば、スロット34u等の断面積のうち、スロット絶縁紙80やウェッジ紙83等の面積を除外した巻線50等(素線40)を挿入しうる部分の断面積である有効スロット断面積に対する、挿入された巻線50等(素線40)の断面積(絶縁被覆部含む)の総計の占める割合である。
例えば、本実施例では、図9あるいは図24に示す巻枠111,112を用いて、U相コイル51及びW相コイル71を成形した例を示したが、他の形態の巻線装置を用いてU相コイルやW相コイルを成形しても良い。
また、本実施例では、W相コイル71の挿入に際して、図28に示すように、複数の素線40のうち一部が、未だ固定ブレード121の先端121Tを乗り越えさせない状態でストリッパの上昇を終了させて挿入工程を終了した。しかし、他の手法よって、後の挿入される素線ほど押し上げ高さが低くなるように調整しても良い。
また、本実施例では、3相8極のステータ及びモータに本発明を適用した例を示したが、本実施例においてU相コイルあるいはW相コイルの挿入に用いた手法は、多相のステータを製造する場合の第1相目の挿入、及び最終相の挿入の際に用いることもできる。
DX1 第1軸線方向
DX2 第2軸線方向
10 モータ
11 ロータ
20 ステータ
30 ステータ鉄心
30X (ステータ鉄心の)中心軸(軸線)
30A (ステータ鉄心の)表面
30B (ステータ鉄心の)裏面
30C (ステータ鉄心の)内周面
31 (ステータ鉄心の)ティース(内歯)
32 (ステータ鉄心の)スロット
34u U相スロット(第1相スロット)
34us (U相スロットの)径方向外側端
34usp (U相スロットの)径方向外側端部
34ui (U相スロットの)内側開口
34uip (U相スロットの)径方向内側端部
34um (U相スロットの)径方向中央位置
34v V相スロット
34vs (V相スロットの)径方向外側端
34vsp (V相スロットの)径方向外側端部
34vi (V相スロットの)内側開口
34vip (V相スロットの)径方向内側端部
34vm (V相スロットの)径方向中央位置
34w W相スロット(最終相スロット)
34ws (W相スロットの)径方向外側端
34wsp (W相スロットの)径方向外側端部
34wi (W相スロットの)内側開口
34wip (W相スロットの)径方向内側端部
34wm (W相スロットの)径方向中央位置
40 素線
50 U相巻線(第1相巻線)
51 U相コイル
52A U相表面側渡り部
52B U相裏面側渡り部
53 U相スロット挿入部
56A U相表面側集約部
56B U相裏面側集約部
57 U相スロット対応部
57s 外側U相スロット対応部分
57i 内側U相スロット対応部分
58A U相表面側コイルエンド部
58B U相裏面側コイルエンド部
60 V相巻線
61 V相コイル
62A V相表面側渡り部
62B V相裏面側渡り部
63 V相スロット挿入部
66A V相表面側集約部
66B V相裏面側集約部
67 V相スロット対応部
67s 外側V相スロット対応部分
67i 内側V相スロット対応部分
68A V相表面側コイルエンド部
68B V相裏面側コイルエンド部
70 W相巻線(最終相巻線)
71 W相コイル
72A W相表面側渡り部
72B W相裏面側渡り部
73 第1W相スロット挿入部
74 第2W相スロット挿入部
76A W相表面側集約部
76B W相裏面側集約部
77 W相スロット対応部
77s 外側W相スロット対応部分
77i 内側W相スロット対応部分
78A W相表面側コイルエンド部
78B W相裏面側コイルエンド部
111,112 巻枠
121 固定ブレード
121T (固定ブレードの)先端
125 ストリッパ
125P (ストリッパの)押上げブレード部
Claims (12)
- 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、この順にそれぞれ挿入してなるステータであって、
上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
上記W相コイルをなすW相巻線は、
対を成す上記W相スロットにそれぞれ挿入されたW相スロット内挿入部と、
上記対をなすW相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部、及び裏面上を渡るW相裏面側渡り部と、
上記W相スロット内挿入部と上記W相表面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第1軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相表面側渡り部につなげるW相表面側集約部と、
上記W相スロット内挿入部と上記W相裏面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第2軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相裏面側渡り部につなげるW相裏面側集約部と、を有し、
上記V相コイルをなすV相巻線は、
対を成す上記V相スロットにそれぞれ挿入されたV相スロット内挿入部と、
上記対をなすV相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部、及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部と、
上記V相スロット内挿入部と上記V相表面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第1軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相表面側渡り部につなげるV相表面側集約部と、
上記V相スロット内挿入部と上記V相裏面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第2軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相裏面側渡り部につなげるV相裏面側集約部と、を有し、
上記U相コイルをなすU相巻線は、
対を成す上記U相スロットにそれぞれ挿入されたU相スロット内挿入部と、
上記対をなすU相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部、及び裏面上を渡るU相裏面側渡り部と、
上記U相スロット内挿入部と上記U相表面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第1軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相表面側渡り部につなげるU相表面側集約部と、
上記U相スロット内挿入部と上記U相裏面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第2軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相裏面側渡り部につなげるU相裏面側集約部と、を有し、
上記ステータ鉄心の表面上において、
複数の上記W相コイルのW相表面側渡り部は、いずれも、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
複数の上記V相コイルのV相表面側渡り部は、いずれも、
上記U相スロットの上記第1軸線方向において、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
このW相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
複数の上記U相コイルのU相表面側渡り部は、いずれも、
上記W相スロットの上記第1軸線方向において、上記V相表面側渡り部にU−V相
間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
このV相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第1軸線方向に配置されてなり、
上記ステータ鉄心の裏面上において、
複数の上記W相コイルのW相裏面側渡り部は、いずれも、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
複数の上記V相コイルのV相裏面側渡り部は、いずれも、
上記U相スロットの上記第2軸線方向において、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
上記W相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
複数の上記U相コイルのU相裏面側渡り部は、いずれも、
上記W相スロットの上記第2軸線方向において、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
このV相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第2軸線方向に配置されてなり、
上記U相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側集約部と上記U相裏面側集約部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
上記V相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側集約部と上記V相裏面側集約部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
上記W相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側集約部と上記W相裏面側集約部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなる
ステータ。 - 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、この順に、それぞれ挿入してなるステータであって、
上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
上記U相コイルをなすU相巻線は、
対を成す上記U相スロットにそれぞれ挿入されたU相スロット内挿入部と、
上記対をなすU相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部、及び裏面上を渡るU相裏面側渡り部と、
上記U相スロット内挿入部と上記U相表面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第1軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相表面側渡り部につなげるU相表面側集約部と、
上記U相スロット内挿入部と上記U相裏面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第2軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相裏面側渡り部につなげるU相裏面側集約部と、を有し、
上記V相コイルをなすV相巻線は、
対を成す上記V相スロットにそれぞれ挿入されたV相スロット内挿入部と、
上記対をなすV相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部、及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部と、
上記V相スロット内挿入部と上記V相表面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第1軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相表面側渡り部につなげるV相表面側集約部と、
上記V相スロット内挿入部と上記V相裏面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第2軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相裏面側渡り部につなげるV相裏面側集約部と、を有し、
上記W相コイルをなすW相巻線は、
対を成す上記W相スロットにそれぞれ挿入されたW相スロット内挿入部と、
上記対をなすW相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部、及び裏面上を渡るW相裏面側渡り部と、
上記W相スロット内挿入部と上記W相表面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第1軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相表面側渡り部につなげるW相表面側集約部と、
上記W相スロット内挿入部と上記W相裏面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第2軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相裏面側渡り部につなげるW相裏面側集約部と、を有し、
上記U相コイル、V相コイル、及びW相コイルは、
U相スロットの上記第1軸線方向において、
上記W相表面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
上記V相表面側渡り部が、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着して、このW相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
上記U相表面側集約部が、上記V相表面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側及び表面側から密着して、このV相表面側渡り部よりも径方向外側及び第2軸線方向に配置されてなり、
U相スロットの上記第2軸線方向において、
上記W相裏面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
上記V相裏面側渡り部が、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着して、このW相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
上記U相裏面側集約部が、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側及び裏面側から密着して、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側及び第1軸線方向に配置されてなり、
V相スロットの上記第1軸線方向において、
上記W相表面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
上記V相表面側集約部が、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側及び表面側から密着して、このW相表面側渡り部よりも径方向外側及び第2軸線方向に配置され、
上記U相表面側渡り部が、上記V相表面側集約部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このV相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相表面側集約部よりも径方向外側に配置されてなり、
V相スロットの上記第2軸線方向において、
上記W相裏面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
上記V相裏面側集約部が、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側及び裏面側から密着して、このW相裏面側渡り部よりも径方向外側及び第1軸線方向に配置され、
上記U相裏面側渡り部が、上記V相裏面側集約部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このV相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相裏面側集約部よりも径方向外側に配置されてなり、
W相スロットの上記第1軸線方向において、
上記W相表面側集約部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側に配置され、
上記V相表面側渡り部が、上記W相表面側集約部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から及び上記表面側から密着して、このW相表面側集約部よりも径方向外側及び第1軸線方向で、かつ、このW相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側から、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側の間に配置され、
上記U相表面側渡り部が、上記V相表面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相表面側渡り部よりも径方向外側に配置されてなり、
W相スロットの上記第2軸線方向において、
上記W相裏面側集約部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側に配置され、
上記V相裏面側渡り部が、上記W相裏面側集約部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から及び上記裏面側から密着して、このW相裏面側集約部よりも径方向外側及び第2軸線方向で、かつ、このW相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側から、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側の間に配置され、
上記U相裏面側渡り部が、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側に配置されてなり、
上記U相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側集約部と上記U相裏面側集約部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
上記V相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側集約部と上記V相裏面側集約部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
上記W相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側集約部と上記W相裏面側集約部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなる
ステータ。 - 請求項1または請求項2に記載のステータであって、
前記U相コイルのうち、
前記U相表面側渡り部は、少なくとも前記V相スロット及びW相スロットの前記第1軸線方向において、
前記U相裏面側渡り部は、少なくとも前記V相スロット及びW相スロットの前記第2軸線方向において、
いずれも、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端よりも、または、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の近傍で上記径方向外側端より径方向外側の位置よりも、径方向内側に配置されてなる
ステータ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のステータであって、
前記U相巻線は、
このうち、前記U相表面側集約部と、これに続く前記U相スロット内挿入部と、これに続く前記U相裏面側集約部と、からなるU相スロット対応部における上記U相巻線の一続きの巻線部分の長さを、上記U相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、
上記U相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側U相スロット対応部分の長さに比して、上記U相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側U相スロット対応部分の長さが長くされてなり、
前記W相巻線は、
このうち、前記W相表面側集約部と、これに続く前記W相スロット内挿入部と、これに続く前記W相裏面側集約部と、からなるW相スロット対応部分における上記W相巻線の一続きの巻線部分の長さを、W相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、
上記W相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側W相スロット対応部分の長さに比して、上記W相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側W相スロット対応部分の長さが短くされてなり、
前記V相巻線は、
このうち、前記V相表面側集約部と、これに続く前記V相スロット内挿入部と、これに続く前記V相裏面側集約部と、からなるV相スロット対応部分における上記V相巻線の一続きの巻線部分の長さを、V相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、
上記V相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側V相スロット対応部分の長さに比して、上記V相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側V相スロット対応部分の長さが、
等しい、または、
上記U相巻線における上記外側U相スロット対応部分の長さと上記内側U相スロ
ット対応部分の長さとの差、及び、
上記W相巻線における上記外側W相スロット対応部分の長さと上記内側W相スロット対応部分の長さとの差、のいずれよりも小さな差を有して、
長くもしくは短くされてなる
ステータ。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のステータであって、
前記U相スロット、V相スロット、及びW相スロットにそれぞれ挿入された前記U相巻線、V相巻線、及びW相巻線の占積率は、いずれの相についても、50%以上とされてなる
ステータ。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のステータと、
ロータと、
を備えるモータ。 - 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、それぞれ挿入して上記U相コイル、V相コイル、及びW相コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、
上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
上記ステータ鉄心の各U相スロット内に、上記U相コイルをなすU相巻線のU相スロット内挿入部を挿入して、上記U相コイルを組み付けるU相挿入工程と、
上記U相コイルをなす上記U相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するU相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するU相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部を上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第1軸線方向に配置し、上記ステータ鉄心の裏面上を渡るU相裏面側渡り部を、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第2軸線方向に配置する形態に成形するU相コイルエンド部成形工程と、
上記ステータ鉄心の各V相スロット内に、上記V相コイルをなすV相巻線のV相スロット内挿入部を挿入して、上記V相コイルを組み付けるV相挿入工程と、
上記V相コイルをなす上記V相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するV相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するV相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部を上記V相スロット及びU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側で、径方向外側端よりも径方向内側に配置する形態に成形するV相コイルエンド部成形工程と、
上記ステータ鉄心の各W相スロット内に、上記W相コイルをなすW相巻線のW相スロット内挿入部を挿入して、上記W相コイルを組み付けるW相挿入工程と、
上記W相コイルをなす上記W相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するW相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するW相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部及び裏面上を渡りW相裏面側渡り部を、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置する形態に成形するW相コイルエンド部成形工程と、をこの順に備え、
上記U相コイルをなすU相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなり、
上記W相コイルをなすW相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなり、
上記V相コイルをなすV相巻線の各ターンの周長は、等しく巻回され、または、または上記U相巻線の各ターンの周長の違いよりも、及び上記W相巻線の各ターンの周長の違いよりも、小さな違いをもって、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長くあるいは短く巻回されてなり、
上記U相挿入工程は、
上記U相巻線について、
上記U相表面側コイルエンド部と上記U相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付け、
上記V相挿入工程は、
上記V相巻線について、
上記V相表面側コイルエンド部と上記V相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付け、
上記W相挿入工程は、
上記W相巻線について、
上記W相表面側コイルエンド部と上記W相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付ける
ステータの製造方法。 - 請求項7に記載のステータの製造方法であって、
前記U相挿入工程は、
前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入されたU相巻線を、ストリッパで押し上げて前記U相スロット内に挿入すると共に、最後のU相巻線について所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせた後も、ストリッパを前記第1軸線方向に移動させる
ステータの製造方法。 - 請求項7または請求項8に記載のステータの製造方法であって、
前記W相挿入工程は、
前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入されたW相巻線を、ストリッパで押し上げて前記W相スロットに挿入すると共に、少なくとも一部のW相巻線について、所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせる前に、ストリッパの上昇を止め、ウェッジ紙を上記W相スロット内に挿入した後、ストリッパ及び固定ブレードを退避させる
ステータの製造方法。 - 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状の複数相用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットに、各相の対応し巻線を予め巻回して形成した複数のコイルを、それぞれ順に挿入して上記コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、
上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
上記スロットのうち、上記複数相のうち最初に巻線が挿入される第1相スロット内に、第1相コイルをなす第1相巻線の一部を挿入して、上記第1相コイルを組み付ける第1相挿入工程、を備え、
上記第1相コイルをなす第1相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなり、
上記第1相挿入工程は、
上記第1相巻線について、上記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレ
ードとの間に一列に並べて挿入された上記第1相巻線を、ストリッパで押し上げて上記第1相スロット内に挿入すると共に、最後の第1相巻線について所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせた後も、上記固定ブレードの先端を超えてストリッパを前記第1軸線方向に移動させ続けて、
上記第1相巻線の一部を、上記第1相スロット内に挿入して第1相スロット内挿入部とすると共に、上記ステータ鉄心の上記表面よりも上記第1軸線方向に位置する第1相表面側コイルエンド部分と、上記裏面よりも上記第2軸線方向に位置する第1相裏面側コイルエンド部分とが、対称形態となるように組み付ける
ステータの製造方法。 - 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状の複数相用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットに、各相の対応し巻線を予め巻回して形成した複数のコイルを、それぞれ順に挿入して上記コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、
上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
上記スロットのうち、上記複数相のうち最後に巻線が挿入される最終相スロット内に、最終相コイルをなす最終相巻線の一部を挿入して、上記最終相コイルを組み付ける最終相挿入工程と、を備え、
上記最終相コイルをなす最終相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなり、
上記最終相挿入工程は、
上記最終相巻線について、前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入された最終相巻線を、ストリッパで押し上げて上記最終相スロットに挿入すると共に、少なくとも一部の最終相巻線について、所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせる前に、ストリッパの上昇を止め、ウェッジ紙を上記最終相スロット内に挿入した後、ストリッパ及び固定ブレードを退避させて、
上記最終相巻線の一部を、上記最終相スロット内に挿入して最終相スロット内挿入部とすると共に、上記ステータ鉄心の上記表面よりも上記第1軸線方向に位置する最終相表面側コイルエンド部分と、上記裏面よりも上記第2軸線方向に位置する最終相裏面側コイルエンド部分とが、対称形態となるように組み付ける
ステータの製造方法。 - 請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載のステータの製造方法を含む
モータの製造方法。
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