JP4345423B2 - ステータ、モータ、ステータの製造方法、及びモータの製造方法 - Google Patents

ステータ、モータ、ステータの製造方法、及びモータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、内歯形状のステータ鉄心に、ステータ鉄心に予めコイルを成形した巻線を挿入してなるステータ、これを用いたモータ、ステータ鉄心に予めコイルを成形した巻線を挿入するステータの製造方法、これを用いたモータの製造方法に関する。
従来より、予め巻線を巻回してコイルを成形し、これをブレード間に挟持し、ストリッパを用いて挟持された巻線を押し上げて、ステータ鉄心のスロット内にコイルを挿入してステータを形成するいわゆるインサート法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−164122号公報
ところで、特許文献1に示されるインサート法では、複数相(例えば3相)のコイルを順に形成する場合、例えば、特許文献1の図10に示すように、既に挿入されたコイルのコイルエンド部分は、他相のスロットの径方向外側の端よりも外側まで押し拡げるように拡径変形させられる。既に挿入されたコイルのコイルエンド部分が、その後にコイルを挿入しようとしているスロットの上方に位置していると、次にインサート法によって挿入するコイルが挿入しにくいためである。
しかしながら、このようにするため、拡径された後の形状を考慮して、コイルエンド部分の巻線の長さを長く設定しておく必要があり、コイルエンド部分の体積が増え、また銅損、重量、コストが増えるなど、安価、コンパクトで、低損失、高出力のモータの要請に必ずしも沿うものではなかった。
逆に、モータのコンパクト化等のためには、コイルエンド部分の巻線の長さをできるだけ短くすることが望ましい。三相分布巻きのステータに関して言えば、U相、V相、W相の巻線をできるだけ短くするには、これら三相の巻線のそれぞれについて、互いの関係を考慮しつつ、最適のコイル部分の周長やコイルエンド部分の配置を選択するのが望ましい。
ところで、特許文献1には、例えば、コイル部分の周長をコイル巻線機で巻回するにあたって周長を順に長くあるいは順に短くしておき、これをステータ鉄心に挿入して、表面側のコイルエンド部と裏面側のコイルエンド部とが対称形態となる配置とされたものが記載されている(特許文献1の図9、図12参照)。
しかしながら、インサート法では、ストリッパで押し上げられた巻線が先端位置が固定された固定ブレードの先端を乗り越えることで、スロット内に巻線が挿入されるので、単純にストリッパで押し上げるだけでは、ステータ鉄心の表面側及び裏面側のコイルエンド部分を、図示された対称形態にすることが困難である。例えば、裏面側から挿入した場合には、表面側のコイルエンド部分の長さは、径方向外側部分(先に挿入された部分)から径方向内側(後で挿入された部分)まで、ほぼ同じ長さとなる。従って、コイル巻線機でコイル部分の周長を順に長くあるいは順に短くして巻線を成形しても、表面側のコイルエンド部分と裏面側のコイルエンド部分との形態が大きく異なり、表面側、裏面側のいずれにおいても、適切な形態とすることができなかった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、インサート法で形成されたステータでありながら、コイルエンド部分の巻線の長さを短くし、安価、コンパクトで、低損失、高出力のモータとなし得るステータ、及びこれを用いたモータを提供することを目的とする。また、このようなステータの製造に適したステータの製造方法、及びこれを用いたモータの製造方法を提供することを目的とする。
その解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、この順にそれぞれ挿入してなるステータであって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、上記W相コイルをなすW相巻線は、対を成す上記W相スロットにそれぞれ挿入されたW相スロット内挿入部と、上記対をなすW相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部、及び裏面上を渡るW相裏面側渡り部と、上記W相スロット内挿入部と上記W相表面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第1軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相表面側渡り部につなげるW相表面側集約部と、上記W相スロット内挿入部と上記W相裏面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第2軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相裏面側渡り部につなげるW相裏面側集約部と、を有し、上記V相コイルをなすV相巻線は、対を成す上記V相スロットにそれぞれ挿入されたV相スロット内挿入部と、上記対をなすV相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部、及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部と、上記V相スロット内挿入部と上記V相表面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第1軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相表面側渡り部につなげるV相表面側集約部と、上記V相スロット内挿入部と上記V相裏面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第2軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相裏面側渡り部につなげるV相裏面側集約部と、を有し、上記U相コイルをなすU相巻線は、対を成す上記U相スロットにそれぞれ挿入されたU相スロット内挿入部と、上記対をなすU相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部、及び裏面上を渡るU相裏面側渡り部と、上記U相スロット内挿入部と上記U相表面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第1軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相表面側渡り部につなげるU相表面側集約部と、上記U相スロット内挿入部と上記U相裏面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第2軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相裏面側渡り部につなげるU相裏面側集約部と、を有し、上記ステータ鉄心の表面上において、複数の上記W相コイルのW相表面側渡り部は、いずれも、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、複数の上記V相コイルのV相表面側渡り部は、いずれも、上記U相スロットの上記第1軸線方向において、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、このW相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、複数の上記U相コイルのU相表面側渡り部は、いずれも、上記W相スロットの上記第1軸線方向において、上記V相表面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、このV相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第1軸線方向に配置されてなり、上記ステータ鉄心の裏面上において、複数の上記W相コイルのW相裏面側渡り部は、いずれも、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、複数の上記V相コイルのV相裏面側渡り部は、いずれも、上記U相スロットの上記第2軸線方向において、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、上記W相裏面側渡り部よりも径方向外
側で、かつ、上記W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、複数の上記U相コイルのU相裏面側渡り部は、いずれも、上記W相スロットの上記第2軸線方向において、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第2軸線方向に配置されてなり、上記U相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側集約部と上記U相裏面側集約部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、上記V相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側集約部と上記V相裏面側集約部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、上記W相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側集約部と上記W相裏面側集約部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなるステータである。
本発明のステータでは、まず、W相コイルについて見れば、対をなすW相スロット間を渡るW相表面側渡り部及びW相裏面側渡り部は、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置されている。つまり、W相表面側渡り部及びW相裏面側渡り部は、U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも内側の表面上あるいは裏面上を渡る形態とされている。
また、V相コイルについて見れば、対をなすV相スロット間を渡るV相表面側渡り部及びV相裏面側渡り部は、W相表面側渡り部あるいはW相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置されている。つまり、V相表面側渡り部及びV相裏面側渡り部は、W相スロット及びU相スロットの径方向中央位置付近の表面上あるいは裏面上を渡る形態とされている。
さらに、U相コイルについて見れば、対をなすU相スロット間を渡るU相表面側渡り部及びU相裏面側渡り部は、V相表面側渡り部あるいはV相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、W相スロット及びU相スロットの径方向外側端の第1軸線方向あるいは第2軸線方向に配置されている。つまり、U相表面側渡り部及びU相裏面側渡り部は、V相スロット及びW相スロットの径方向外側端付近の表面上あるいは裏面上を渡る形態とされている。具体的には例えば、U相表面側渡り部は、V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の第1軸線方向に位置する部分を含んでいる。
このように、本発明のステータでは、W相表面側渡り部、V相表面側渡り部、及びU相表面側渡り部を、また、W相裏面側渡り部、V相裏面側渡り部、及びU相裏面側渡り部を、互いに径方向に密着させながら、この順に並ぶ配置を有する形態としている。このため、各相の巻線を予め巻回して形成した複数の各相のコイルを、スロットに挿入して形成するインサート法による三相ステータでありながら、それぞれの相のコイルをなす巻線(U相巻線等)の長さがそれぞれ短くなっている。従って、このようなステータは、各相の渡り部の占める体積を小さくできてコンパクトで、軽量、安価となり、銅損も少なく、低損失で高出力のモータとなし得る。
なお、本明細書において、スロットの径方向外側端とは、スロットをステータの軸線を中心とした径方向に見たときの、径方向外側の端をいう。また、スロットの径方向中央位置とは、スロットをステータの軸線を中心とした径方向に見たときの、径方向内側の開口端と上述の径方向外側端のちょうど中央の位置をいう。
さらに、W相表面側集約部は、巻線を、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、W相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側で集約する形態とされていると良い。同じく、W相裏面側集約部は、巻線を、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、W相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側で集約する形態とされていると良い。
また、V相表面側集約部は、巻線を、W相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、V相スロットの径方向外側端よりも径方向内側で集約するする形態とされていると良い。また、V相裏面側集約部は、巻線を、W相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、V相スロットの径方向外側端よりも径方向内側で集約する形態とされていると良い。
さらに、U相表面側集約部は、巻線を、V相表面側渡り部よりも径方向外側で集約するする形態とされていると良い。さらには、U相スロットの径方向外側端の第1軸線方向で集約するる形態とされていると良い。また、U相裏面側集約部は、巻線を、V相裏面側渡り部よりも径方向外側で集約する形態とされていると良い。さらには、U相スロットの径方向外側端の第2軸線方向で集約する形態とされていると良い。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、この順に、それぞれ挿入してなるステータであって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、上記U相コイルをなすU相巻線は、対を成す上記U相スロットにそれぞれ挿入されたU相スロット内挿入部と、上記対をなすU相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部、及び裏面上を渡るU相裏面側渡り部と、上記U相スロット内挿入部と上記U相表面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第1軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相表面側渡り部につなげるU相表面側集約部と、上記U相スロット内挿入部と上記U相裏面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第2軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相裏面側渡り部につなげるU相裏面側集約部と、を有し、上記V相コイルをなすV相巻線は、対を成す上記V相スロットにそれぞれ挿入されたV相スロット内挿入部と、上記対をなすV相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部、及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部と、上記V相スロット内挿入部と上記V相表面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第1軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相表面側渡り部につなげるV相表面側集約部と、上記V相スロット内挿入部と上記V相裏面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第2軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相裏面側渡り部につなげるV相裏面側集約部と、を有し、上記W相コイルをなすW相巻線は、対を成す上記W相スロットにそれぞれ挿入されたW相スロット内挿入部と、上記対をなすW相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部、及び裏面上を渡るW相裏面側渡り部と、上記W相スロット内挿入部と上記W相表面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第1軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相表面側渡り部につなげるW相表面側集約部と、上記W相スロット内挿入部と上記W相裏面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第2軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相裏面側渡り部につなげるW相裏面側集約部と、を有し、上記U相コイル、V相コイル、及びW相コイルは、U相スロットの上記第1軸線方向において、上記W相表面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、上記V相表面側渡り部が、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着して、このW相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、上記U相表面側集約部が、上記V相表面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側及び表面側から密着して、このV相表面側渡り部よりも径方向外側及び第2軸線方向に配置されてなり、U相スロットの上記第2軸線方向において、上記W相裏面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、上記V相裏面側渡り部が、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着して、このW相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、上記U相裏面側集約部が、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側及び裏面側から密着して、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側及び第1軸線方向に配置されてなり、V相スロットの上記第1軸線方向において、上記W相表面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、上記V相表面側集約部が、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側及び表面側から密着して、このW相表面側渡り部よりも径方向外側及び第2軸線方向に配置され、上記U相表面側渡り部が、上記V相表面側集約部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このV相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相表面側集約部よりも径方向外側に配置されてなり、V相スロットの上記第2軸線方向において、上記W相裏面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、上記V相裏面側集約部が、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側及び裏面側から密着して、このW相裏面側渡り部よりも径方向外側及び第1軸線方向に配置され、上記U相裏面側渡り部が、上記V相裏面側集約部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このV相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相裏面側集約部よりも径方向外側に配置されてなり、W相スロットの上記第1軸線方向において、上記W相表面側集約部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側に配置され、上記V相表面側渡り部が、上記W相表面側集約部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から及び上記表面側から密着して、このW相表面側集約部よりも径方向外側及び第1軸線方向で、かつ、このW相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側から、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側の間に配置され、上記U相表面側渡り部が、上記V相表面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相表面側渡り部よりも径方向外側に配置されてなり、W相スロットの上記第2軸線方向において、上記W相裏面側集約部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側に配置され、上記V相裏面側渡り部が、上記W相裏面側集約部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から及び上記裏面側から密着して、このW相裏面側集約部よりも径方向外側及び第2軸線方向で、かつ、このW相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側から、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側の間に配置され、上記U相裏面側渡り部が、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側に配置されてなり、上記U相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側集約部と上記U相裏面側集約部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、上記V相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側集約部と上記V相裏面側集約部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、上記W相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側集約部と上記W相裏面側集約部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなるステータである。
本発明のステータでは、U相コイル、V相コイル、及びW相コイルの各スロット上での配置を見ると、まず、U相スロットの第1軸線方向、つまりU相スロットの表面側において、W相表面側渡り部、V相表面側渡り部、及びU相表面側集積部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。また、U相スロットの第2軸線方向、つまりU相スロットの裏面側において、W相裏面側渡り部、V相裏面側渡り部、及びU相裏面側集積部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。
さらに、V相スロットの第1軸線方向において、W相表面側渡り部、V相表面側集約部、及びU相表面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。また、V相スロットの第2軸線方向において、W相裏面側渡り部、V相裏面側集約部、及びU相裏面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。
さらに、W相スロットの第1軸線方向において、W相表面側集約部、V相表面側渡り部、及びU相表面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。また、W相スロットの第2軸線方向において、W相裏面側集約部、V相裏面側渡り部、及びU相裏面側渡り部が、ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、この順に互いに径方向に密着して配置されている。
このように、本発明のステータでは、U相表面側渡り部、V相表面側渡り部、W相表面側渡り部、U相表面側集約部、V相表面側集約部、及びW相表面側集約部を、また、U相裏面側渡り部、V相裏面側渡り部、W相裏面側渡り部、U相裏面側集約部、V相裏面側集約部、及びW相裏面側集約部を、所定の順序で密着しながら並ぶ配置を有する形態としている。このため、各相の巻線を予め巻回して形成した複数の各相のコイルを、スロットに挿入して形成するインサート法による三相ステータでありながら、それぞれの相のコイルをなす巻線(U相巻線等)の長さがそれぞれ短くなっている。従って、このようなステータは、各相の渡り部の占めるの体積を小さくできてコンパクトで、軽量、安価となり、銅損も少なく、低損失で高出力のモータとなし得る。
さらに、請求項1または請求項2に記載のステータであって、前記U相コイルのうち、前記U相表面側渡り部は、少なくとも前記V相スロット及びW相スロットの前記第1軸線方向において、前記U相裏面側渡り部は、少なくとも前記V相スロット及びW相スロットの前記第2軸線方向において、いずれも、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端よりも、または、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の近傍で上記径方向外側端より径方向外側の位置よりも、径方向内側に配置されてなるステータとすると良い。
本発明のステータでは、U相コイルのU相表面側渡り部及びU相裏面側渡り部をも、V相及びW相スロットの径方向外側端より内側、あるいはその近傍を渡らせる配置としている。このため、U相コイルにおけるU相巻線を短くして銅損を減少させ、ステータを軽量、コンパクトにできる。また、ステータ鉄心の表面及び裏面のうち、スロットが形成されていない径方向外側のリング状部分の表面及び裏面の上部を、各相コイル同士の接続(例えば、各相コイルの中性点同士の接続など)や、各相コイルの電源側端子の配置場所に利用できるなど、これらのスペースを含めて、さらに、ステータのコンパクト化を図ることができる。
なお、径方向外側端の近傍で径方向外側端より径方向外側の位置とは、具体的には、スロットの径方向外側端から測定して、スロットの径方向外側端とステータ鉄心の外周面との間の距離に対し、その1/3以下、さらには、1/5以下の距離の範囲内とすると良い。
このようにすることで、ステータ鉄心の表面あるいは裏面のうち、上方にU相表面側渡り部やU相裏面側渡り部が無い部分の面積を広く取ることができる。つまり、スロットの径方向外側端とステータ鉄心の外周面との間の2/3以上の部分、あるいは4/5以上の部分が利用できるので、この部分を用いてモータの保持や電源端子の配置場所などに容易に利用することができる。
さらに、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のステータであって、前記U相巻線は、このうち、前記U相表面側集約部と、これに続く前記U相スロット内挿入部と、これに続く前記U相裏面側集約部と、からなるU相スロット対応部における上記U相巻線の一続きの巻線部分の長さを、上記U相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、上記U相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側U相スロット対応部分の長さに比して、上記U相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側U相スロット対応部分の長さが長くされてなり、前記W相巻線は、このうち、前記W相表面側集約部と、これに続く前記W相スロット内挿入部と、これに続く前記W相裏面側集約部と、からなるW相スロット対応部分における上記W相巻線の一続きの巻線部分の長さを、W相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、上記W相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側W相スロット対応部分の長さに比して、上記W相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側W相スロット対応部分の長さが短くされてなり、前記V相巻線は、このうち、前記V相表面側集約部と、これに続く前記V相スロット内挿入部と、これに続く前記V相裏面側集約部と、からなるV相スロット対応部分における上記V相巻線の一続きの巻線部分の長さを、V相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、上記V相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側V相スロット対応部分の長さに比して、上記V相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側V相スロット対応部分の長さが、等しい、または、上記U相巻線における上記外側U相スロット対応部分の長さと上記内側U相スロット対応部分の長さとの差、及び、上記W相巻線における上記外側W相スロット対応部分の長さと上記内側W相スロット対応部分の長さとの差、のいずれよりも小さな差を有して、長くもしくは短くされてなるステータとすると良い。
本発明のステータでは、U相巻線について、外側U相スロット対応部分に比して、内側U相スロット対応部分の長さを長くしてある。このような関係としたため、U相表面集約部、U相表面渡り部、U相裏面集約部、及びU相裏面渡り部を前述の形態としたとき、例えば、U相表面渡り部やU相裏面渡り部がV相スロットやW相スロットの径方向外側端の第1軸線方向あるいは第2軸線方向付近を渡る形態としたときに、これら各部の形状を無理なくそのような形状となしうる。
また、W相巻線について、外側W相スロット対応部分に比して、内側W相スロット対応部分の長さを短くしてある。このような関係としたため、W相表面集約部、W相表面渡り部、W相裏面集約部、及びW相裏面渡り部を前述の形態としたときに、これら各部の形状を無理なく上述の形状となしうる。
また、V相巻線について、外側V相スロット対応部分に比して、内側V相スロット対応部分の長さを、等しく、あるいは比較的小さな差を持って長くあるいは短くしてある。このような関係としたため、V相表面集約部、V相表面渡り部、V相裏面集約部、及びV相裏面渡り部を前述の形態としたときに、これら各部の形状を無理なく上述の形状となしうる。
さらに、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のステータであって、前記U相スロット、V相スロット、及びW相スロットにそれぞれ挿入された前記U相巻線、V相巻線、及びW相巻線の占積率は、いずれの相についても、50%以上とされてなるステータとするのが好ましい。
スロット内の巻線の占積率を高くしたステータにおいては、各相コイルの渡り部をスロットの上方(例えば、表面側渡り部について言えば、スロットの第1軸線方向)に配置すると、他の相(例えばU相に対するV相など)の巻線やその渡り部の配置に制限が生じやすい。占積率が高いために、スロット内に余裕が無く、巻線のスロット内での位置を、奥側(径方向外側)や開口側(径方向内側)にずらすことが難しい。このため、このような巻線のスロット内での位置のずらしによって、そのスロットの上方を渡る他の相の巻線(渡り部)との配置を調整できる余裕が少ないからである。
これに対し、本発明のステータでは、各相の渡り部や集約部の配置を前述のようにして、各相相互の関係を調整してある。このため、このような高占積率の場合でも製造でき、コンパクトなステータとすることができる。
なお、65%を超えるような高い占積率を有するステータとすることもできる。
本明細書において、占積率とは、スロット有効断面積に対し、挿入された巻線の断面積の総計の割合をいう。但し、スロット有効断面積は、スロットの断面積から、このスロット内に挿入されているスロット絶縁紙やウェッジ紙などの占める面積を除外した、巻線を挿入しうる部分の断面積をいう。また、巻線の断面積には、絶縁被覆部をも含む。
さらに、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のステータと、ロータと、を備えるモータとすると良い。
本発明のモータによれば、ステータがコンパクト、軽量で、銅損も少ないため、小型軽量で、低損失、高出力のモータとなし得る。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、それぞれ挿入して上記U相コイル、V相コイル、及びW相コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、上記ステータ鉄心の各U相スロット内に、上記U相コイルをなすU相巻線のU相スロット内挿入部を挿入して、上記U相コイルを組み付けるU相挿入工程と、上記U相コイルをなす上記U相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するU相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するU相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部を上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第1軸線方向に配置し、上記ステータ鉄心の裏面上を渡るU相裏面側渡り部を、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第2軸線方向に配置する形態に成形するU相コイルエンド部成形工程と、上記ステータ鉄心の各V相スロット内に、上記V相コイルをなすV相巻線のV相スロット内挿入部を挿入して、上記V相コイルを組み付けるV相挿入工程と、上記V相コイルをなす上記V相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するV相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するV相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部を上記V相スロット及びU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側で、径方向外側端よりも径方向内側に配置する形態に成形するV相コイルエンド部成形工程と、上記ステータ鉄心の各W相スロット内に、上記W相コイルをなすW相巻線のW相スロット内挿入部を挿入して、上記W相コイルを組み付けるW相挿入工程と、上記W相コイルをなす上記W相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するW相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するW相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部及び裏面上を渡りW相裏面側渡り部を、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置する形態に成形するW相コイルエンド部成形工程と、をこの順に備え、上記U相コイルをなすU相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなり、上記W相コイルをなすW相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなり、上記V相コイルをなすV相巻線の各ターンの周長は、等しく巻回され、または、または上記U相巻線の各ターンの周長の違いよりも、及び上記W相巻線の各ターンの周長の違いよりも、小さな違いをもって、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長くあるいは短く巻回されてなり、上記U相挿入工程は、上記U相巻線について、上記U相表面側コイルエンド部と上記U相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付け、上記V相挿入工程は、上記V相巻線について、上記V相表面側コイルエンド部と上記V相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付け、上記W相挿入工程は、上記W相巻線について、上記W相表面側コイルエンド部と上記W相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付けるステータの製造方法である。
本発明のステータの製造方法では、各相コイルの周長を、各相毎にそれぞれ適切な長さに調整したコイル(巻線)を用い、各々の挿入工程で各コイルの表面側コイルエンド部と裏面側コイルエンド部の形態を対称形態となるように挿入、組付けをしている。このあため、鉄心の表面と裏面側とで、同様な形状のコイルエンド部分(渡り部、集約部)を形成できる。
これにより、インサート法を用いながらも、各相のコイルエンド部分の巻線の長さを短くし、安価、コンパクトで、低損失、高出力のモータとなし得るステータを製造することができる。
さらに、請求項7に記載のステータの製造方法であって、前記U相挿入工程は、前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入されたU相巻線を、ストリッパで押し上げて前記U相スロット内に挿入すると共に、最後のU相巻線について所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせた後も、上記固定ブレードの先端を超えてストリッパを前記第1軸線方向に移動させ続けるステータの製造方法とすると良い。
インサート法では、ストリッパで押し上げたU相巻線(U相コイル)を固定ブレードの先端を乗り越えさせることで、乗り越えたU相巻線は、U相スロット内への挿入が完了する。しかるに、位置が固定された固定ブレードの先端部を乗り越えるので、U相巻線の表面側のコイルエンド部分の形状は、先に挿入されたU相巻線と後に挿入されたU相巻線とで比較して、ほとんど同じになる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなるU相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
これに対して、本発明のステータの製造方法では、最後のU相巻線を固定ブレードの先端を乗り越えさせた後にも続けてストリッパをさらに移動させる。一般に、U相巻線は固定ブレードの先端を乗り越えさせるときに、内側に傾くようなクセが付けられる傾向にある。このため、最後のU相巻線を固定ブレードの先端を乗り越えさせた後に、ストリッパを移動させると、最後に固定ブレードを乗り越えたU相巻線(最後のU相巻線という)とストリッパ(ストリッパの押上げブレード部)との間に摩擦が生じ、この最後のU相巻線がストリッパの移動に伴って移動する。するとU相巻線同士の摩擦によって、それぞれのU相巻線がストリッパの移動に引きずられようにして移動する。このため、表面側コイルエンド部分において、内側(最後に挿入された部分)が高く(長く)、外側(最初に挿入された部分)が低い(短い)形状とすることができる。
かくして、ストリッパの移動制御によるだけで、U相巻線について、表面側コイルエンド部と裏面側コイルエンド部分とを容易に同じ形状、具体的には、内側が高く外側が低い形状にすることができる。
さらに、請求項7または請求項8に記載のステータの製造方法であって、前記W相挿入工程は、前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入されたW相巻線を、ストリッパで押し上げて前記W相スロットに挿入すると共に、少なくとも一部のW相巻線について、所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせる前に、ストリッパの上昇を止め、ウェッジ紙を上記W相スロット内に挿入した後、ストリッパ及び固定ブレードを退避させるステータの製造方法とすると良い。
インサート法では、ストリッパで押し上げたW相巻線(W相コイル)を固定ブレードの先端を乗り越えさせ、ウェッジ紙を挿入することで、乗り越えたW相巻線のW相スロット内への挿入が完了する。しかるに、位置が固定された固定ブレードの先端部を乗り越えるので、W相巻線の表面側のコイルエンド部分の形状は、先に挿入されたW相巻線と後に挿入されたW相巻線とで比較して、ほとんど同じになる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなるW相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
これに対して、本発明のステータの製造方法では、少なくとも一部のW相巻線が固定ブレードの先端を乗り越えない状態でストリッパの押し上げ終わらせる。このようにすると、W相巻線のうち未だ固定ブレードを乗り越えていないW相巻線は、先に挿入され乗り越えたW相巻線よりもステータ表面からの飛び出し量が少なくなる。また、未だ固定ブレードを乗り越えていないW相巻線同士を比較すると、ストリッパに近いものほど、ストリッパによる押し上げ量が少ない。
従って、この状態で固定ブレード及びストリッパを退避させれば、表面側コイルエンド部分において、内側(最後に挿入された部分)が低く(短く)、外側(最初に挿入された部分)が高い(長い)形状とすることができる。
なお、ウェッジ紙をスロット内に挿入することで、W相巻線がW相スロットの開口部から飛び出すことが防止され、未だ固定ブレードを乗り越えていないW相巻線を含めすべてのW相巻線がW相スロット内に挿入、保持される。
かくして、ストリッパの移動制御によるだけで、W相巻線について、表面側コイルエンド部と裏面側コイルエンド部分とを容易に同じ形状、具体的には、内側が低く外側が高い形状にすることができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状の複数相用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットに、各相の対応し巻線を予め巻回して形成した複数のコイルを、それぞれ順に挿入して上記コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、上記スロットのうち、上記複数相のうち最初に巻線が挿入される第1相スロット内に、第1相コイルをなす第1相巻線の一部を挿入して、上記第1相コイルを組み付ける第1相挿入工程、を備え、上記第1相コイルをなす第1相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなり、上記第1相挿入工程は、上記第1相巻線について、上記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入された上記第1相巻線を、ストリッパで押し上げて上記第1相スロット内に挿入すると共に、最後の第1相巻線について所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせた後も、上記固定ブレードの先端を超えてストリッパを前記第1軸線方向に移動させ続けて、上記第1相巻線の一部を、上記第1相スロット内に挿入して第1相スロット内挿入部とすると共に、上記ステータ鉄心の上記表面よりも上記第1軸線方向に位置する第1相表面側コイルエンド部分と、上記裏面よりも上記第2軸線方向に位置する第1相裏面側コイルエンド部分とが、対称形態となるように組み付けるステータの製造方法である。
インサート法では、ストリッパで押し上げた第1相巻線(第1相コイル)を固定ブレードの先端を乗り越えさせることで、乗り越えた第1相巻線は、第1相スロット内への挿入が完了する。しかるに、位置が固定された固定ブレードの先端部を乗り越えるので、第1相巻線の表面側のコイルエンド部分の形状は、先に挿入された第1相巻線と後に挿入された第1相巻線とで比較して、ほとんど同じになる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなる第1相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
これに対して、本発明のステータの製造方法では、最後の第1相巻線を固定ブレードの先端を乗り越えさせた後にも続けてストリッパをさらに移動させ、第1相表面側コイルエンド部分と第1相裏面側コイルエンド部分とが対称形態となるように組み付ける。
一般に、第1相巻線は固定ブレードの先端を乗り越えさせるときに、内側に傾くようなクセが付けられる傾向にある。このため、最後の第1相巻線を固定ブレードの先端を乗り越えさせた後に、ストリッパを移動させると、最後に固定ブレードを乗り越えた第1相巻線(最後の第1相巻線という)とストリッパとの間に摩擦が生じ、この最後の第1相巻線がストリッパの移動に伴って移動する。すると第1相巻線同士の摩擦によって、それぞれの第1相巻線がストリッパの移動に引きずられようにして移動する。これにより、表面側コイルエンド部分において、内側(最後に挿入された部分)が高く(長く)、外側(最初に挿入された部分)が低い(短い)形状とすることができる。
かくして、ストリッパの移動制御によるだけで、第1相巻線について、表面側コイルエンド部と裏面側コイルエンド部分とを容易に同じ形状、具体的には、内側が高く外側が低い形状にすることができ、固定ブレードの先端を適切な所定位置に保持することで、第1相表面側コイルエンド部分と第1相裏面側コイルエンド部分とを対称形態とすることができる。従って、インサート法で形成されたステータでありながら、第1相のコイルエンド部分の巻線の長さを短くし、安価、コンパクトで、低損失、高出力のモータとなし得るステータを製造することができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状の複数相用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットに、各相の対応し巻線を予め巻回して形成した複数のコイルを、それぞれ順に挿入して上記コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、上記スロットのうち、上記複数相のうち最後に巻線が挿入される最終相スロット内に、最終相コイルをなす最終相巻線の一部を挿入して、上記最終相コイルを組み付ける最終相挿入工程と、を備え、上記最終相コイルをなす最終相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなり、上記最終相挿入工程は、上記最終相巻線について、前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入された最終相巻線を、ストリッパで押し上げて上記最終相スロットに挿入すると共に、少なくとも一部の最終相巻線について、所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせる前に、ストリッパの上昇を止め、ウェッジ紙を上記最終相スロット内に挿入した後、ストリッパ及び固定ブレードを退避させて、上記最終相巻線の一部を、上記最終相スロット内に挿入して最終相スロット内挿入部とすると共に、上記ステータ鉄心の上記表面よりも上記第1軸線方向に位置する最終相表面側コイルエンド部分と、上記裏面よりも上記第2軸線方向に位置する最終相裏面側コイルエンド部分とが、対称形態となるように組み付けるステータの製造方法である。
インサート法では、ストリッパで押し上げた最終相巻線(最終相コイル)を固定ブレードの先端を乗り越えさせ、ウェッジ紙を挿入することで、乗り越えた最終相巻線の最終相スロット内への挿入が完了する。しかるに、位置が固定された固定ブレードの先端部を乗り越えるので、最終相巻線の表面側のコイルエンド部分の形状は、先に挿入された最終相巻線と後に挿入された最終相巻線とで比較して、ほとんど同じになる。
このため、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなる最終相コイルを用いても、このような手法で挿入したのでは、表面側のコイルエンド部分と、裏面側コイルエンド部分の形状とが大きく異なった形状となってしまいがちである。
これに対して、本発明のステータの製造方法では、少なくとも一部の最終相巻線が固定ブレードの先端を乗り越えない状態でストリッパの押し上げ終わらせる。このようにすると、最終相巻線のうち未だ固定ブレードを乗り越えていない最終相巻線は、先に挿入され乗り越えた最終相巻線よりもステータ表面からの飛び出し量が少なくなる。また、未だ固定ブレードを乗り越えていない最終相巻線同士を比較すると、ストリッパに近いものほど、ストリッパによる押し上げ量が少ない。
従って、この状態で固定ブレード及びストリッパを退避させれば、表面側コイルエンド部分において、内側(最後に挿入された部分)が低く(短く)、外側(最初に挿入された部分)が高い(長い)形状とすることができる。
なお、ウェッジ紙をスロット内に挿入することで、最終相巻線が最終相スロットの開口部から飛び出すことが防止され、未だ固定ブレードを乗り越えていない最終相巻線を含めすべての最終相巻線が最終相スロット内に挿入、保持される。
かくして、ストリッパの移動制御によるだけで、最終相巻線について、表面側コイルエンド部と裏面側コイルエンド部分とを容易に同じ形状、具体的には、内側が低く外側が高い形状にすることができ、固定ブレードの先端を適切な所定位置に保持することで、最終相表面側コイルエンド部分と最終相裏面側コイルエンド部分とを対称形態とすることができる。従って、インサート法で形成されたステータでありながら、第1相のコイルエンド部分の巻線の長さを短くし、安価、コンパクトで、低損失、高出力のモータとなし得るステータを製造することができる。
さらに、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載のステータの製造方法を含むモータの製造方法とすると良い。
本発明のモータの製造方法では、上述のステータの製造方法を用いるので、安価、コンパクトで、低損失、高出力のモータを製造することができる。
次いで、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態にかかるモータ10について、図1を参照して説明する。このモータ10は、ロータ11とステータ20とからなる三相モータである。このうち、ロータ11は、回転軸12を中心とする円筒形のロータ本体13と、マグネット14とからなる8極の永久磁石ロータである。マグネット14は、ロータ本体13に、平面視花びらのように、外周面近傍に沿ってジグザグに形成したスリット13Sにそれぞれ挿入固着してなる。一方、ステータ20はこのロータ11を包囲するように配置されている。
このステータ20は、3相8極の分布巻きステータである。ステータ20は、図2,図3に示すように、平面視リング状で、48ヶのティース(内歯)31及びスロット32を有するステータ鉄心30を有する。また、それぞれ8ヶのU相コイル51,V相コイル61,W相コイル71を備える。これらのコイルは、U相,V相,W相の各相毎にU相巻線50,V相巻線60,W相巻線70を所定のスロット32に挿入しティース31に分布巻きによって巻き付けて形成してなる。U相巻線50,V相巻線60,W相巻線70は、それぞれ一端にU相端子50T,V相端子60T,W相端子70Tを有し、他端は共通端子79によって終端されている。また詳細は後述するが、図2は、U相コイル51,V相コイル61,W相コイル71のうち、ステータ鉄心30の表面30Aよりも外側に位置するU相表面側コイルエンド部58A,V相表面側コイルエンド部68A,W相表面側コイルエンド部78Aを、それぞれステータ鉄心の表面30A側から見たときの、相互の位置関係をも示している。具体的には、U相表面側コイルエンド部58A,V相表面側コイルエンド部68A,W相表面側コイルエンド部78Aは、ステータ鉄心30の径方向外側から径方向内側に向かってこの順に配置されている。なお、図1及び図2では、U相コイル51,V相コイル61,W相コイル71における各相の巻線50,60,70の巻き方(時計回りと反時計回り)の違いを示すため、各相のコイル51等の側部に「ドット(・印)」及び「クロス(×印)」を示した。各相のコイル51等のうち、「ドット」で示される側は、各相の端子50T,60T,70Tに近く、「クロス」で示される側は共通端子79に近いことを示している。これにより理解できるように、各相の8ヶのコイル51,61,71は、それぞれ巻き付け方が交互に逆向きになっており、隣り合うコイルが逆極性となることが判る。
図3(a)、(b)に平面図及び断面図を示すステータ鉄心30は、既に説明したように、平面視リング状で、径方向内側に向かって延びる48ヶのティース31、及びこれらのティース31同士の間に位置する同じく48ヶのスロット32を有している。このステータ鉄心30は、例えば方向性珪素鋼板をプレス打ち抜きして形成した鋼板39を積み重ね互いに固着して構成されている。
このステータ鉄心30に、U相巻線50,V相巻線60,W相巻線70をそれぞれ巻回したU相,V相,W相コイル51,61,71を形成してステータ20とする。本実施例では、各相の巻線50,60,70を予め巻回した複数のコイル51,61,71を、このステータ鉄心30に挿入装着して形成する。U相巻線50,V相巻線60,及びW相巻線70は、それぞれ12本の素線40からなる。
なお、本明細書においては、図3(b)に示すように、ステータ鉄心30の軸線30Xを通りこれに直行する放射状の方向を径方向RXとする。また、ステータ鉄心30の軸線30Xに沿う方向(鉄心の厚さ方向)を軸線方向DXとし、さらにそのうち、裏面30Bから表面30Aに向かう方向を第1軸線方向DX1とし、この逆に、表面30Aから裏面30Bに向かう方向を第2軸線方向DX2とする。
ステータ及びモータを、コンパクトで、軽量、低損失、高出力とするために、コイル51等に用いる巻線の長さを短くすることが望まれる。これにより、軽量化ができ、銅損も減少して低損失高出力となる、また、コイルエンド部の大きさ(体積)を減少させうるので、コンパクト化も可能となる。
そこで、本実施例のステータ20では、コイルエンド部に要する巻線の長さを最大限に短くすべく、各相のコイルのコイルエンド部の配置を以下に示す関係としている。これにより、インサート法によって各相のコイル形成しながらも、コイル等に用いる巻線50等の長さを最大限切りつめ、コンパクトで、軽量、低損失、高出力のステータ20及びモータ10としている。
まず、本実施例にかかるステータ20の各部の形態について説明する。既に説明したように、ステータ20に形成されている各相のコイル51,61,71は、3相8極の分布巻きによって形成されている。そこで、図4に示すように、U相スロット34u、V相スロット34v、及びW相スロット34wについて、それぞれ径方向の断面(U−U断面、V−V断面、W−W断面)における各相コイル51等の形態を、図5、図6、図7を参照してそれぞれ説明する。
なお、以下の説明では、各相のコイル51等を、スロット内に挿入されているスロット挿入部と、スロット外、具体的には、鉄心30の表面30A上(表面30Aよりも第1軸線方向DX1)に位置する表面側コイルエンド部と、裏面30B上(裏面30Bよりも第2軸線方向DX2)に位置する裏面側コイルエンド部とに大別して説明する。またさらに、コイルエンド部は、対をなすスロット間のうちステータ鉄心の表面あるいは裏面上を渡る表面側渡り部あるいは裏面側渡り部と、スロット挿入部から延びた巻線を集約して表面側渡り部や裏面側渡り部につなげる表面側集約部あるいは裏面側集約部に区分して説明することがある。一方、スロット挿入部とその両側に位置する表面側集約部及び裏面側集約部を併せて、スロット対応部とすることもある。
即ち、U相巻線50で構成されるU相コイル51は、U相スロット34u内に位置するU相スロット挿入部53と、表面30A上に位置するU相表面側コイルエンド部58Aと、裏面30B上に位置するU相裏面側コイルエンド部58Bとに大別して説明する。さらに、U相表面側コイルエンド部58Aは、U相表面側渡り部52Aとこの両側に位置するU相表面側集約部56Aとに区分して説明することがある。同様に、U相裏面側コイルエンド部58Bは、U相裏面側渡り部52Bとこの両側に位置するU相裏面側集約部56Bとに区分して説明することがある。また、1つのU相スロット挿入部53とその両側に位置するU相表面側集約部56A及びU相裏面側集約部56Bを併せて、U相スロット対応部57とすることもある。
また、V相巻線60で構成されるV相コイル61も、V相スロット34v内に位置するV相スロット挿入部63と、表面30A上に位置するV相表面側コイルエンド部68Aと、裏面30B上に位置するV相裏面側コイルエンド部68Bとに大別して説明する。さらに、V相表面側コイルエンド部68Aは、V相表面側渡り部62Aとこの両側に位置するV相表面側集約部66Aとに区分して説明することがある。同様に、V相裏面側コイルエンド部68Bは、V相裏面側渡り部62Bとこの両側に位置するV相裏面側集約部66Bとに区分して説明することがある。また、1つのV相スロット挿入部63とその両側に位置するV相表面側集約部66A及びV相裏面側集約部66Bを併せて、V相スロット対応部67とすることもある。
さらに、W相巻線70で構成されるW相コイル71も、W相スロット34w内に位置するW相スロット挿入部73と、表面30A上に位置するW相表面側コイルエンド部78Aと、裏面30B上に位置するW相裏面側コイルエンド部78Bとに大別して説明する。さらに、W相表面側コイルエンド部78Aは、W相表面側渡り部72Aとこの両側に位置するW相表面側集約部76Aとに区分して説明することがある。同様に、W相裏面側コイルエンド部78Bは、W相裏面側渡り部72Bとこの両側に位置するW相裏面側集約部76Bとに区分して説明することがある。また、1つのW相スロット挿入部63とその両側に位置するW相表面側集約部76A及びW相裏面側集約部76Bを併せて、W相スロット対応部77とすることもある。
まず、U相スロット34uにおける断面(U−U断面、図4参照)について、図5を参照して説明する。この図に示すように、U相スロット34u内には、スロット絶縁紙80を介して、多数の素線40からなるU相巻線50が、具体的には、U相コイル51のU相スロット挿入部53が挿入されている。このU相スロット34u内では、各素線40は、概略、後述する手法で挿入されたときの順序に従って、奥側(U相スロット34uの径方向外側、図中左側)から詰め込まれて、軸線30Xに直交する断面で見ると、図8に示すように配置されている。なお、この図8で示すように、スロット34u等に挿入された素線40(U相巻線50等)が、スロットの内側開口34ui等から飛び出す不具合を防止するため、内側開口付近には、断面略U字状のウェッジ紙83が挿入されている。
U相スロット34u内に位置するU相スロット挿入部53よりも第1軸線方向DX1(図中上側)には、このU相スロット挿入部53から延びるU相巻線50(素線40)を、表面30A上において、V相スロット34v及びW相スロット34wの径方向外側端付近に配置したU相表面側渡り部52AにつなげるためのU相表面側集約部56Aが位置している。このため、このU相表面側集約部56Aは、U相スロット34u内でこのU相スロット34uの径方向寸法分に広がって収容されていたU相巻線50(素線40)を径方向寸法で約1/2〜1/3に集約する。具体的には、スロット絶縁紙80のカフス80Aよりも第1軸線方向DX1(図中上側)において、U相巻線50(素線40)を集約すると共に、径方向外側に集めている。さらに、このU相表面側集約部56Aの内側には、U−V相間絶縁紙81を介して、V相表面側渡り部62Aが配置され、さらにその内側には、V−W相間絶縁紙82を介して、W相表面側渡り部72Aが配置されている。
さらに詳細に説明すると、U相スロット34uの第1軸線方向DX1において、W相表面側渡り部72Aが、ステータ鉄心の内周面30Cよりも径方向外側(図中左側)で、かつ、図5において一点鎖線で示すU相スロット34uの径方向中央位置34umよりも径方向内側(図中右側)に配置されている。また、V相表面側渡り部62Aが、W相表面側渡り部72AにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側から密着して、このW相表面側渡り部72Aよりも径方向外側で、かつ、このU相スロット34uの径方向外側端34usよりも径方向内側(図中右側)に配置されている。さらに、U相表面側集約部56Aが、V相表面側渡り部62AにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側(図中左側)及び表面側(図中下側)から密着して、このV相表面側渡り部52Aよりも径方向外側(図中右側)及び第2軸線方向DX2(図中下側)に配置されている。
またU相スロット34uよりも第2軸線方向DX2でも同様である。即ち、U相スロット34u内に位置するU相スロット挿入部53よりも第2軸線方向DX2(図中下側)には、このU相スロット挿入部53から延びるU相巻線50(素線40)を、裏面30B上において、V相スロット34v及びW相スロット34wの径方向外側端付近に配置したU相裏面側渡り部52BにつなげるためのU相裏面側集約部56Bが位置している。このため、このU相裏面側集約部56Bは、U相スロット34u内での径方向寸法をその約1/2〜1/3に集約する。具体的には、スロット絶縁紙80のカフス80Bよりも第2軸線方向DX2(図中下側)において、U相巻線50(素線40)を集約すると共に、径方向外側に集めている。さらに、このU相裏面側集約部56Bの内側には、U−V相間絶縁紙81を介して、V相裏面側渡り部62Bが配置され、さらにその内側には、V−W相間絶縁紙82を介して、W相裏面側渡り部72Bが配置されている。
さらに詳細に説明すると、U相スロット34uの第2軸線方向DX2において、W相裏面側渡り部72Bが、ステータ鉄心の内周面30Cよりも径方向外側(図中左側)で、かつ、U相スロット34uの径方向中央位置34umよりも径方向内側(図中右側)に配置されている。また、V相裏面側渡り部62Bが、W相裏面側渡り部72BにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側から密着して、このW相裏面側渡り部72Bよりも径方向外側で、かつ、このU相スロット34uの径方向外側端34usよりも径方向内側(図中右側)に配置されている。さらに、U相裏面側集約部56Bが、V相裏面側渡り部62BにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側(図中左側)及び表面側(図中上側)から密着して、このV相裏面側渡り部52Aよりも径方向外側(図中左側)及び第1軸線方向DX1(図中上側)に配置されている。
しかも、図5を参照すれば容易に理解できるように、U相スロット34uの第1軸線方向DX1及び第2軸線方向DX2の両方で、U相表面側集約部56AとU相裏面側集約56B、V相表面側渡り部62AとV相裏面側渡り部62B、W相表面側渡り72AとW相裏面側渡り部72Bとが、それぞれ対称形状をなして形成されている。
ついで、V相スロット34vにおける断面(V−V断面、図4参照)について、図6を参照して説明する。この図に示すように、V相スロット34v内には、スロット絶縁紙80を介して、多数の素線40からなるV相巻線60が、具体的には、V相コイル61のV相スロット挿入部63が挿入されている。このV相スロット34v内でも、各素線40は、概略挿入されたときの順序に従って、奥側(図中左側)から詰め込まれて、軸線30Xに直交する断面で見ると、図8に示すように配置されている。
V相スロット34v内に位置するV相スロット挿入部63よりも第1軸線方向DX1(図中上側)には、このV相スロット挿入部63から延びるV相巻線60(素線40)を、表面30A上において、W相スロット34w及びU相スロット34uの径方向外側寄りに配置したV相表面側渡り部62AにつなげるためのV相表面側集約部66Aが位置している。このため、このV相表面側集約部66Aは、V相スロット34v内でこのV相スロット34vの径方向寸法分に広がって収容されていたV相巻線60(素線40)を径方向寸法で約1/2〜1/3に集約する。具体的には、スロット絶縁紙80のカフス80Aよりも第1軸線方向DX1(図中上側)において、V相巻線60(素線40)を集約すると共に、V相スロット34vの径方向外側寄りに集めている。さらに、このV相表面側集約部66Aの径方向外側には、U−V相間絶縁紙81を介して、U相表面側渡り部52Aが配置され、一方、その径方向内側には、V−W相間絶縁紙82を介して、W相表面側渡り部72Aが配置されている。
さらに詳細に説明すると、V相スロット34vの第1軸線方向DX1において、W相表面側渡り部72Aが、ステータ鉄心30の内周面30Cよりも径方向外側(図中左側)で、かつ、図6において一点鎖線で示すこのV相スロット34vの径方向中央位置よりも径方向内側(図中右側)に配置されている。また、V相表面側集約部66Aが、W相表面側渡り部72AにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側(図中左側)及び表面側(図中下側)から密着して、このW相表面側渡り部72Aよりも径方向外側(図中左側)及び第2軸線方向DX2(図中下側)に配置されている。さらに、U相表面側渡り部52Aが、V相表面側集約部66AにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側から、かつ、このV相スロット34vの径方向外側端34vsよりも径方向内側(図中右側)において密着して、このV相表面側集約部66Aよりも径方向外側(図中左側)に配置されている。
またV相スロット34vよりも第2軸線方向DX2でも同様である。即ち、V相スロット34v内に位置するV相スロット挿入部63よりも第2軸線方向DX2(図中下側)には、このV相スロット挿入部63から延びるV相巻線60(素線40)を、裏面30B上において、W相スロット34w及びU相スロット34uの径方向外側寄りに配置したV相裏面側渡り部62BにつなげるためのV相裏面側集約部66Bが位置している。このため、このV相裏面側集約部66Bは、V相巻線60(素線40)をV相スロット34v内の径方向寸法の約1/2〜1/3に集約する。具体的には、スロット絶縁紙80のカフス80Bよりも第2軸線方向DX2(図中下側)において、V相巻線60(素線40)を集約すると共に、W相スロット34wの径方向外側寄りに集めている。さらに、このV相裏面側集約部66Bの径方向外側には、U−V相間絶縁紙81を介して、U相裏面側渡り部52Bが配置され、一方、その径方向内側には、V−W相間絶縁紙82を介して、W相裏面側渡り部72Bが配置されている。
さらに詳細に説明すると、V相スロット34vの第2軸線方向DX2(図中下側)において、W相裏面側渡り部72Bが、ステータ鉄心30の内周面30Cよりも径方向外側(図中左側)で、かつ、このV相スロット34vの径方向中央位置34vsよりも径方向内側(図中右側)に配置されている。また、V相裏面側集約部66Bが、W相裏面側渡り部72BにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側(図中左側)及び裏面側(図中上側)から密着して、このW相裏面側渡り部72Bよりも径方向外側(図中左側)及び第1軸線方向DX1(図中上側)に配置されている。さらに、U相裏面側渡り部52Bが、V相裏面側集約部66BにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側(図中左側)から、かつ、このV相スロット34vの径方向外側端34vsよりも径方向内側(図中右側)において密着して、このV相裏面側集約部66Bよりも径方向外側(図中左側)に配置されている。
しかも、図6を参照すれば容易に理解できるように、V相スロット34vの第1軸線方向DX1及び第2軸線方向DX2の両方で、U相表面側渡り部52AとU相裏面側渡り部52B、V相表面側集約部66AとV相裏面側集約部66B、W相表面側渡り72AとW相裏面側渡り部72Bとが、それぞれ対称形状をなして形成されている。
ついで、W相スロット34wにおける断面(W−W断面、図4参照)について、図7を参照して説明する。この図に示すように、W相スロット34w内には、スロット絶縁紙80を介して、多数の素線40からなるW相巻線60が、具体的には、W相コイル71のW相スロット挿入部73が挿入されている。このW相スロット34w内でも、各素線40は、概略挿入されたときの順序に従って、奥側(図中左側)から詰め込まれて、軸線30Xに直交する断面で見ると、図8に示すように配置されている。
W相スロット34w内に位置するW相スロット挿入部73よりも第1軸線方向DX1(図中上側)には、このW相スロット挿入部73から延びるW相巻線70(素線40)を、表面30A上において、U相スロット34u及びV相スロット34vの径方向内側寄りに配置したW相表面側渡り部72AにつなげるためのW相表面側集約部76Aが位置している。このため、このW相表面側集約部76Aは、W相スロット34w内でこのW相スロット34wの径方向寸法分に広がって収容されていたW相巻線70(素線40)を径方向寸法で約1/2〜1/3に集約する。具体的には、スロット絶縁紙80のカフス80Aよりも第1軸線方向DX1(図中上側)において、W相巻線70(素線40)を集約すると共に、W相スロット34wの径方向内側寄りに集めている。さらに、このW相表面側集約部76Aの径方向外側には、V−W相間絶縁紙82を介して、V相表面側渡り部62Aが配置され、さらにその径方向外側には、U−V相間絶縁紙81を介して、U相表面側渡り部52Aが配置されている。
さらに詳細に説明すると、W相スロット34wの第1軸線方向DX1において、W相表面側集約部76Aが、ステータ鉄心30の内周面30Cよりも径方向外側(図中左側)に配置されている。また、V相表面側渡り部62Aが、W相表面側集約部76AにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側(図中左側)から及び表面30A側(図中下側)から密着して、このW相表面側集約部76Aよりも径方向外側(図中左側)及び第1軸線方向DX1(図中上側)で、かつ、図7において一点鎖線で示すこのW相スロット34wの径方向中央位置34wmよりも径方向内側(図中右側)から、このW相スロット34wの径方向外側端34wsよりも径方向内側(図中右側)の間に配置されている。さらに、U相表面側渡り部52Aが、V相表面側渡り部62AにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側(図中左側)から、かつ、このW相スロット34wの径方向外側端34wsよりも径方向内側(図中右側)において密着して、このV相表面側渡り部62Aよりも径方向外側(図中左側)に配置されている。
またW相スロット34wよりも第2軸線方向DX2でも同様である。即ち、W相スロット挿入部73よりも第2軸線方向DX2(図中下側)には、このW相スロット挿入部73から延びるW相巻線70(素線40)を、裏面30B上において、U相スロット34u及びV相スロット34vの径方向内側寄りに配置したW相裏面側渡り部72BにつなげるためのW相裏面側集約部76Bが位置している。このため、このW相裏面側集約部76Bは、W相スロット34w内の径方向寸法の約1/2〜1/3にW相巻線70(素線40)を集約する。具体的には、スロット絶縁紙80のカフス80Bよりも第2軸線方向DX2(図中下側)において、W相巻線70(素線40)を集約すると共に、W相スロット34wの径方向内側寄りに集めている。さらに、このW相裏面側集約部76Bの径方向外側には、V−W相間絶縁紙82を介して、V相裏面側渡り部62Bが配置され、さらにその径方向外側には、U−V相間絶縁紙81を介して、U相裏面側渡り部52Bが配置されている。
さらに詳細に説明すると、W相スロット34wの第2軸線方向DX2(図中下側)において、W相裏面側集約部76Bが、ステータ鉄心30の内周面30Cよりも径方向外側(図中左側)に配置されている。また、V相裏面側渡り部62Aが、W相裏面側集約部76BにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側(図中左側)から及び裏面30B側(図中上側)から密着して、このW相裏面側集約部76Bよりも径方向外側(図中左側)及び第2軸線方向(図中下側)で、かつ、このW相スロット34wの径方向中央位置34wmよりも径方向内側(図中右側)から、このW相スロット34wの径方向外側端34wsよりも径方向内側(図中右側)の間に配置されている。さらに、U相裏面側渡り部52Bが、V相裏面側渡り部62BにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側(図中左側)から、かつ、このW相スロット34wの径方向外側端34wsよりも径方向内側(図中右側)において密着して、このV相裏面側渡り部62Bよりも径方向外側(図中左側)に配置されている。
しかも、図7を参照すれば容易に理解できるように、W相スロット34wの第1軸線方向DX1及び第2軸線方向DX2の両方で、U相表面側渡り部52AとU相裏面側渡り部52B、V相表面側渡り62AとV相裏面側渡り部62B、W相表面側集約部76AとW相裏面側集約部76Bとが、それぞれ対称形状をなして形成されている。
また、各相のコイル51等のうち、表面側渡り部52A等について注目すると、図4〜図7、及び図2から理解できるように、ステータ鉄心30の表面30上において、W相コイル71のW相表面側渡り部72Aは、いずれも、ステータ鉄心30の内周面30Cよりも径方向外側で、かつ、U相スロット34u及びV相スロット34vの径方向中央位置34um,34vmよりも径方向内側に配置されている。また、V相コイル61のV相表面側渡り部62Aは、いずれも、U相スロット34uの第1軸線方向DX1において、W相表面側渡り部72AにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側から密着し、このW相表面側渡り部72Aよりも径方向外側で、かつ、W相スロット34w及びU相スロット34uの径方向外側端34ws,34usよりも径方向内側に配置されている。さらに、U相コイル51のU相表面側渡り部52Aは、いずれも、W相スロット34wの第1軸線方向DX1において、V相表面側渡り部62AにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側から密着し、このV相表面側渡り部62Aよりも径方向外側で、かつ、V相スロット34v及びW相スロット34wの径方向外側端34vs,34wsの第1軸線方向DX1に配置されている。
同様に、各相のコイル51等のうち、裏面側渡り部52B等について注目すると(図4〜図7、図2参照)、ステータ鉄心30の裏面30B上において、W相コイル34wのW相裏面側渡り部72Bは、いずれも、ステータ鉄心30の内周面30Cよりも径方向外側で、かつ、U相スロット34u及びV相スロット34vの径方向中央位置34um,34vmよりも径方向内側に配置されている。また、V相コイル61のV相裏面側渡り部62Bは、いずれも、U相スロット34uの第2軸線方向DX2において、W相裏面側渡り部72BにV−W相間絶縁紙82を介して径方向外側から密着し、W相裏面側渡り部72Bよりも径方向外側で、かつ、W相スロット34w及びU相スロット34uの径方向外側端34ws,34usよりも径方向内側に配置されている。さらに、U相コイル51のU相裏面側渡り部52Bは、いずれも、W相スロット34wの第2軸線方向DX2において、V相裏面側渡り部62BにU−V相間絶縁紙81を介して径方向外側から密着し、このV相裏面側渡り部62Bよりも径方向外側で、かつ、V相スロット34v及びW相スロット34wの径方向外側端34vs,34wsの第2軸線方向DX2に配置されている。
しかも、U相コイルについてみると、U相表面側渡り部52Aは、少なくともV相スロット34v及びW相スロット34wの第1軸線方向DX1(図6、図7中上側)において、いずれも、これらの径方向外側端34vs,34wsの近傍でこの径方向外側端34vs,34wsより径方向外側の位置よりも、径方向内側に配置されている。また、U相裏面側渡り部52Bは、少なくともV相スロット34v及びW相スロット34wの第2軸線方向DX2(図6、図7中下側)において、いずれも、これらの径方向外側端34vs,34wsの近傍でこの径方向外側端34vs,34wsより径方向外側の位置よりも、径方向内側に配置されている。本実施例では、具体的には、径方向外側端34vs,34wsと鉄心30の外周面との距離に対して、その1/3以内の位置よりも、径方向内側に配置されている。
さらに、各相コイル51等を構成する巻線50等の個々の形態及び長さについて以下に説明する。まず、U相巻線50について、このうち、U相表面側集約部56Aと、これに続くU相スロット内挿入部53と、これに続くU相裏面側集約部56Bと、からなるU相スロット対応部57におけるU相巻線50の一続きの巻線部分の形態について説明する(図5参照)。
まず、U相巻線50のうち、U相スロット34uのうち径方向外側端34usの近傍である径方向外側端部34uspに配置され、図5において破線で示す外側U相スロット対応部分57sに着目する。この外側U相スロット対応部分57sは、U相スロット34u内では、径方向外側端部34uspに配置されると共に、U相表面側集約部56Aでは、カフス80Aより第1軸線方向DX1において、径方向外側(図中左側)に屈曲した形態を有する。同様に、U相裏面側集約部56Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向外側(図中左側)に屈曲した形態を有する。
さらに、U相スロット34uのうち内側開口34uiの近傍である径方向内側端部34uipに配置され、図5において破線で示す内側U相スロット対応部分57iに着目する。この内側U相スロット対応部分57iは、U相スロット34u内では、径方向内側端部34uipに配置されると共に、U相表面側集約部56Aでは、カフス80Aより第1軸線方向DX1において、径方向外側(図中左側)に屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に略放物線状に延びる形態を有する。同様に、U相裏面側集約部56Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向外側(図中左側)に屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に略放物線状に延びる形態を有する。
そして、これら外側U相スロット対応部分57sと内側U相スロット対応部分57iの長さを比較すると、図5から容易に理解できるように、内側U相スロット対応部分57iの方が長くされている。
ついで、W相巻線70についても、このうち、W相表面側集約部76Aと、これに続くW相スロット内挿入部73と、これに続くW相裏面側集約部76Bと、からなるW相スロット対応部77におけるW相巻線70の一続きの巻線部分の形態について説明する(図7参照)。
まず、W相巻線70のうち、W相スロット34wのうち径方向外側端34wsの近傍である径方向外側端部34wspに配置され、図7において破線で示す外側W相スロット対応部分77sに着目する。この外側W相スロット対応部分77sは、W相スロット34w内では、径方向外側端部34wspに配置されると共に、W相表面側集約部76Aでは、カフス80Aより第1軸線方向DX1において、径方向内側(図中右側)に屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に延びる形態を有する。同様に、W相裏面側集約部76Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向内側(図中右側)に屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に延びる形態を有する。
さらに、W相スロット34wのうち内側開口34wiの近傍である径方向内側端部34wipに配置され、図7において破線で示す内側W相スロット対応部分77iに着目する。この内側W相スロット対応部分77iは、W相スロット34w内では、径方向内側端部34wipに配置されると共に、W相表面側集約部76Aでも第1軸線方向DX1(図中上側)に略直線状に延びる形態を有する。同様に、W相裏面側集約部76Bでも第2軸線方向DX2(図中下側)に略直線状に延びる形態を有する。
そして、これら外側W相スロット対応部分77sと内側W相スロット対応部分77iの長さを比較すると、図7から容易に理解できるように、U相の場合とは逆に、内側W相スロット対応部分77iの方が短くされている。
残るV相巻線60についても、このうち、V相表面側集約部66Aと、これに続くV相スロット内挿入部63と、これに続くV相裏面側集約部66Bと、からなるV相スロット対応部67におけるV相巻線60の一続きの巻線部分の形態について説明する(図6参照)。
まず、V相巻線60のうち、V相スロット34vのうち径方向外側端34vsの近傍である径方向外側端部34vspに配置され、図6において破線で示す外側V相スロット対応部分67sを選択する。この外側V相スロット対応部分67sは、V相スロット34v内では、径方向外側端部34vspに配置されると共に、V相表面側集約部66Aでは、カフス80Aより第1軸線方向DX1において、径方向内側(図中右側)に若干屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に延びる形態を有する。同様に、V相裏面側集約部66Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向内側(図中右側)に若干屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に延びる形態を有する。
さらに、V相スロット34vのうち内側開口34viの近傍である径方向内側端部34vipに配置され、図6において破線で示す内側V相スロット対応部分67iを選択する。この内側V相スロット対応部分67iは、V相スロット34v内では、径方向内側端部34vipに配置されると共に、V相表面側集約部66Aでは、カフス80Aより第1軸線方向DX1において、径方向外側(図中左側)に若干屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に延びる形態を有する。同様に、V相裏面側集約部66Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向外側(図中右側)に若干屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に延びる形態を有する。
そして、これら外側V相スロット対応部分67sと内側V相スロット対応部分67iの長さを比較すると、図6から容易に理解できるように、両者はほぼ等しくされている。
本実施例では、詳細には、外側V相スロット対応部分67sよりも内側V相スロット対応部分67iの方が若干長くされている。但し、両者の長さの差は小さく、具体的には、U相巻線50における外側U相スロット対応部分57sと内側U相スロット対応部分57iの長さとの差(図5参照)、及び、W相巻線70における外側W相スロット対応部分77sと内側W相スロット対応部分77iの長さとの差(図7参照)、のいずれよりも小さな差となっている。
なお、V相表面側集約部66A及びV相裏面側集約部66Bの形態によっては、外側V相スロット対応部分67sよりも内側V相スロット対応部分67iの方を若干短くする場合もある。但し、この差は、上述のようにU相やW相における差よりも小さくなっていることは同様である。
本実施例のステータ20は、後述するように、予め巻線を巻回してコイルを形成し、これをステータ鉄心30に挿入成形したものである。このようにインサート法によってコイルを形成した場合、従来では、挿入作業やその後の他相のコイルの挿入作業の容易さ等を考慮し、各コイルを予め巻回するに当たって、その周長を挿入後に必要となる寸法よりも十分に長くしておくのが通常であった。しかし、このようにすると、挿入作業等は容易となるが、コイルを鉄心に挿入した後には、巻線(素線)がコイルエンド部分で余ることとなる。このため、U相コイルの渡り部が、V相、W相スロット34v,34wのも径方向外側端34vs,34wsよりも径方向外側に配置されたり、各相コイルの渡り部が上下、左右にうねりつつ渡るように配置されるなど、各相のコイルエンド部相互の配置関係は、上述の関係とはならず、個々のステータ毎に異なる配置となり、互いの関係も各所で一定の関係とならなかった。このような、ステータでは、各相巻線の長さに不要部分が含まれており、コンパクト化、軽量化の要請に反し、銅損が増加し、出力も相対的に低いものとなっていた。
これに対し、本実施例のステータ20では、U相コイル51,V相コイル61,及びW相コイル71が、上述のような配置及び形態を有し、各スロットの断面などの各所で、互いに所定の配置となっている。このような配置が可能となっているのは、各相のコイル、特にコイルエンド部58A等において、3相のコイル51等を構成するのに必要最低限の長さに止めているためであり、これによって、ステータ20及びこれを用いたモータ10について、コンパクト化、軽量化を図り、低損失高出力とすることができる。
また、本実施例のステータ20では、各スロット34u等内に挿入配置される巻線50等(素線40)の占積率を、50%以上の高い値、具体的には約70%としている。このように占積率を高くしたステータ20では、各相コイル51等の渡り部52A等を他相のスロットの上方(例えば、U相表面側渡り部52Aについて言えば、V相,W相スロット34v,34wの第1軸線方向DX1)に配置すると、他相(例えばU相に対するV相、W相)の巻線やその渡り部(V相,W相巻線60,70やV相表面側渡り部62A、W相表面側渡り部72Aなど)の配置に制限が生じやすい。占積率が高いために、各スロット34u等の内部に余裕が無く、巻線50等のスロット内での位置を、奥側(径方向外側)や開口側(径方向内側)にずらすことが難しい。このため、巻線50等のスロット34内での位置のずらしによって、そのスロット34の上方(例えば第1軸線方向DX1)を渡る他の相の巻線(渡り部)との配置を調整できる余裕が少ないからである。これに対し、本実施例のステータ20では、各相コイル51等の渡り部52A等や集約部56A等の配置を前述のようにして、各相相互の関係を調整してある。このため、50%以上の高占積率の場合でも製造でき、コンパクトで低損失のステータ20とすることができる。
特に、本実施例のステータ20のように、占積率を65%以上(本例では70%)の高い占積率とした場合には、前述のようにして各相コイル51等の渡り部52A等や集約部56A等の配置関係を調整することで、コンパクトで低損失のステータ20とすることができる。
ついで、本実施例にかかるステータ20の製造方法について、図9〜図28を参照して説明する。本実施例のステータ20の製造方法では、まず、U相コイル51をステータ鉄心30に挿入し、ついで、V相コイル61を挿入し、さらに、W相コイル71を挿入する。
そこで最初に、U相コイル51の挿入の工程について説明する。まず、図9に示すように、巻線装置110を用い、図示しないフライヤによって、U相巻線50を巻枠111に巻き付けて略長円形状に成形して、U相コイル51を成形する。この巻枠111は、位置が固定された固定側巻枠111Fと、図中二点鎖線で示すように、平行移動可能な移動側巻枠111Mとを有している。さらに、移動側巻枠111Mは、図中下方ほど幅太となる六段の段差形状を有している。そこで、U相巻線50を図示するように、固定側巻枠111F移動側巻枠111Mとの間で、この移動側巻枠111Mの各段に1ターンずつ巻き付けられるようにして巻回する。その後、移動側巻枠111Mを固定側巻枠111Fに近づけるよう(図中右側)に移動させ、巻回されたU相巻線50を矢印に示すように下方に落とすことで、U相巻線50を成形したU相コイル51が得られる。
なお、前述したように、U相巻線50は、12本の素線40からなっている。
ここで、このU相コイル51は、上述の巻線装置を用いてU相巻線50を巻回成形したので、このU相コイル51をなすU相巻線50(素線40)のうち、図中下側に位置する巻線部分ほど、その周長が長くされている。なお、後述するようにして、このU相コイル51を鉄心30のU相スロット34uに挿入、装着するので、U相コイル51をなすU相巻線50の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回された形態をなしていることになる。また、図中に破線で示すように、図中、最も下側に位置する巻線部分は前述の内側U相スロット対応部分57iを含み、最も上側に位置する巻線部分は外側U相スロット対応部分57sを含むこととなる。
成形されたU相コイル51は、図10に示すように、固定ブレード121の上方から、この固定ブレード121に掛けるようにして、インサータ120にセットされる。このインサータ120は、公知の構成を有している。具体的には、移動ブレード122と固定ブレード121との間に素線40一本ずつ並んだ状態で保持されたU相コイル51を、ストリッパ125のストリッパ本体部125Hからその径方向に突設され、移動ブレード122と固定ブレード121との間に挿入される押上げブレード部125Pで、図中上方に押し上げることができるように構成されている(図12参照)。
インサータ120に、U相コイル51をセットした後、さらに、図11に示すように、ステータ鉄心30をその所定位置にセットする。このステータ鉄心30の各スロット34内には、カフス80A,80Bが表面30A及び裏面30Bよりも突出した状態で、スロット絶縁紙80が既に挿入されている。具体的には、固定ブレード121及び移動ブレード122の外側面121S,122Sに、この鉄心30の内周面30Cが沿うように、かつ、U相スロット34uの内側開口34uiと移動ブレード122−固定ブレード121間の間隙とが対向する位置となるように、鉄心30を配置する(図12参照)。
次いで、図13に示すように、ストリッパ125を第1軸線方向DX1に移動(上昇)させると、ストリッパ125の押上げブレード125Pによって、U相コイル51の各素線が一列に並んだ状態で押し上げられ、U相スロット34u内にU相コイル51をなす素線40が順に挿入される。この際、U相コイル51のうち、上側に位置する素線ほど、U相スロット34u内に、先に挿入される。
そして、図14に示すように、さらにストリッパ125を上昇させると、U相コイル51をなすU相巻線50(素線40)が順に固定ブレード121の先端121Tを乗り越えて順に径方向外側(図中左側)に移動する。すべての素線40が固定ブレード121の先端121Tを乗り越えた時点(図15参照)で、U相コイル51の挿入は完了する。
この時点では、固定ブレード121の先端121Tの第1軸線方向DX1の位置が押上げの期間中変化していないため、各素線40のうち、鉄心30の表面上に位置する部分の高さは、どの素線についてもほぼ同じとなっている。従って、このような手法でU相コイル51をU相スロット34uに挿入した場合には、折角、図9に示すような巻線装置110を用いて、U相コイル51をなすU相巻線50の各ターンの周長を、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回された形態としたにも拘わらず、挿入後のU相コイル51の形態は、鉄心30の表面30A上と、裏面30B上とで大きく異なって非対称の形状となる。従って、このままの形状としておくと、後述するようにして、U相コイル51の渡り部52A等を拡径、整形するときに、各渡り部52A等で、この部分の巻線の長さが不足したり逆に余ったりすることにより、適切な形状のコイルエンド部に成形することができないこととなる。
そこで、本実施例では、図16に示すように、引き続きストリッパ125をさらに上昇させる。ところで、固定ブレード121の先端121Tを乗り越えた各素線40は、鉄心30の表面30Aより第1軸線方向DX1(図中上側)において、やや内側に傾くクセが付けられている(図15参照)。このため、すべての素線40が固定ブレード121の先端121Tを乗り越えた後に、引き続いてストリッパ125をさらに上昇させると、ストリッパ125の押上げブレード125Pの上昇に伴って、これに接する素線も摩擦によって、これに引きずられるようにして上昇させられる。
すると、この素線に隣接する素線も上昇させられる。このようにして、各素線40が順に引き上げられて、図16に示すように、U相コイル51をなす巻線50(素線40)のうち、内側に位置するものほど、鉄心30の表面30A上において、高く引き出された配置となる形態で、U相コイル51がU相スロット34uに挿入される。しかも、U相スロット34u内で、径方向外側端部34uspに位置する外側U相スロット対応部分57sは、径方向内側端部34uipに位置する内側U相スロット対応部分57iに比して、その長さが短くなっている。
また、U相コイル51の挿入に当たり、固定ブレード121の先端121Tの位置を適切に設定することで、図16に示すように、U相コイル51をなす巻線50(素線40)のうち、鉄心30の表面30A上(図中上側)に位置する部分と、裏面30B上(図中下側)に位置する部分とが対称形状となるようにできる。
なお、U相スロット34u内にU相コイル51を挿入した後には、公知の手法によりウェッジ紙83をU相スロット34uの内側開口34ui付近に挿入配置して、U相巻線50(素線40)が、開口から内側にはみ出すのを防止する。かくして、U相コイル51を鉄心30に挿入配置することができた。
次いで、公知の手法により、U相コイル51のコイルエンド部58A等を、具体的には、V相スロット34v及びW相スロット34wの第1軸線方向DX1(図中上側)及び第2軸線方向DX2(図中下側)に位置するU相表面側渡り部52A及びU相裏面側渡り部52Bを、径方向外側に向けて押圧して、これらを、各スロット34u等において、図17(a),(b),(c)に示すような形態とする。具体的には、V相スロット34v及びW相スロット34wの第1軸線方向DX1(図中上側)及び第2軸線方向DX2(図中下側)において、U相表面側渡り部52A及びU相裏面側渡り部52Bを、径方向外側に向けて押圧するが、少なくともこれらの一部が、V相スロット34vの径方向外側端34vs及びW相スロット34wの径方向外側端34wsよりも、径方向内側(図中右側)に位置する程度にのみ押圧する。このようにすることで、U相スロット34uにおいて、U相表面側集約部56A及びU相裏面側集約部56Bが、図17(a)に示す形態となる。
ここで、U相表面側集約部56A,U相スロット挿入部53,及びU相裏面側集約部56BからなるU相スロット対応部57における一続きの巻線部分のうち、径方向外側端部34uspを通る外側U相スロット対応部分57sは、図17(a)に破線で示すように、スロット絶縁紙80のカフス80Aよりも第1軸線方向DX1(図中上側)において、また、カフス80Bよりも第2軸線方向DX2(図中下側)において径方向外側(図中左側)に向けて屈曲する形態とされる。
一方、径方向内側端部34uipを通る内側U相スロット対応部分57iは、同じく図17(a)に破線で示すように、カフス80Aよりも第1軸線方向DX1において、径方向外側(図中左側)に屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に略放物線状に延びる形態とされる。また、U相裏面側集約部56Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向外側(図中左側)に屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に略放物線状に延びる形態とされる。
逆にいえば、図9に示すように、予め、U相コイル51をなすU相巻線50の各ターンの周長を、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回された形態としておき、また、このU相コイル51をU相スロット34uに挿入するに当たって、図16に示すU相コイル51の形態となるように、前述した手法を用いたことによって、無理なく、図17(a),(b),(c)に示すU相コイルエンド部58A,58Bの形態とすることができたといえる。
なお、U相コイル51の整形後、U−V相間絶縁紙81をU相コイルエンド部58A,58Bに径方向内側(図中右側)から当接するように配置する。
次いで、V相コイル61の挿入の工程について説明する。まず、図18に示すように、図示しない巻線装置を用いて、V相コイル61を成形する。このV相コイル61は、このV相コイル61をなすV相巻線60(素線40)の各ターンごとの巻線部分の周長は、いずれもほぼ等しくされている。なお、後述するようにして、このV相コイル61を鉄心30のV相スロット34vに挿入、装着するので、V相コイル61をなすV相巻線60の各ターンの周長もほぼ等しいことになる。また、図中に破線で示すように、図中、最も下側に位置する巻線部分は前述の内側V相スロット対応部分67iを含み、最も上側に位置する巻線部分は外側V相スロット対応部分67sを含むこととなる。
成形されたV相コイル61は、U相コイル51と同様に、固定ブレード121の上方から、これに掛けるようにして、インサータ120にセットされる(図18参照)。
インサータ120に、V相コイル61をセットした後、さらに、図19に示すように、既にU相コイル51が挿入されたステータ鉄心30をその所定位置にセットする。なお、この図19では、V相スロット34vで破断した断面を示しているので、U相コイル51のうち、渡り部52A,52Bが図中に表れている。具体的には、固定ブレード121及び移動ブレード122の外側面121S,122Sに、この鉄心30の内周面30Cが沿うように、かつ、V相スロット34vの内側開口34viと移動ブレード122−固定ブレード121間の間隙とが対向する位置となるように、鉄心30を配置する(図12参照)。
次いで、図20に示すように、ストリッパ125を第1軸線方向DX1に移動(上昇)させると、ストリッパ125の押上げブレード125Pによって、V相コイル61の各素線が一列に並んだ状態で押し上げられ、V相スロット34v内にV相コイル61をなす素線40が順に挿入される。この際、V相コイル61のうち、上側に位置する素線ほど、V相スロット34v内に、先に挿入される。この際、既に挿入されているU相コイル51のU相裏面側渡り部52Bが、V相スロット34vの第2軸線方向DX2に存在している。しかし、挿入幅Wvとして、V相スロット34vの径方向寸法の1/2以上の大きさが確保されており、挿入に問題は生じない。V相コイル61の挿入の際にこれと干渉する部分については、素線40が内側に屈曲するように形態や場所を変えながら挿入されてゆく。
そして、図21に示すように、さらにストリッパ125を上昇させると、V相コイル61をなすV相巻線60(素線40)が順に固定ブレード121の先端121Tを乗り越えて、その順に径方向外側(図中左側)に移動する。すべての素線40が、固定ブレード121の先端121Tを乗り越えればV相コイル61の挿入は完了する(図22参照)。
固定ブレード121の先端121Tの第1軸線方向DX1の位置は、押上げの期間中変化していないため、各素線40のうち、鉄心30の表面上に位置する部分の高さは、どの素線についてもほぼ同じとなる。しかも、V相スロット34v内で、径方向外側端部34vspに位置する外側V相スロット対応部分67sは、径方向内側端部34vipに位置する内側V相スロット対応部分67iに比して、その長さがほぼ同じとなっている。
また、V相コイル61の挿入に当たり、固定ブレード121の先端121Tの位置を適切に設定することで、図22に示すように、V相コイル61をなす巻線60(素線40)のうち、鉄心30の表面30A上(図中上側)に位置する部分と、裏面30B上(図中下側)に位置する部分とが対称形状となるようにできる。
その後、V相スロット34vにV相コイル61を挿入した後には、U相の場合と同じく、ウェッジ紙83をV相スロット34vの内側開口34vi付近に挿入配置する。かくして、V相コイル61を鉄心30に挿入配置することができた。
なお、前述したように、実際には、外側V相スロット対応部分67sよりも内側V相スロット対応部分67iの方が若干長くなるように、V相コイル61の各ターンの周長を調整しているので、前述したU相コイル51の場合と同様に、V相コイル61をなす各素線40が固定ブレード121の先端121Tを乗り越えた後にも、ストリッパ125を上昇させて、各素線40のうち、鉄心30の表面上に位置する部分の高さを、内側のものほど高くなるように微調整すると良い。
次いで、公知の手法により、V相コイル61のコイルエンド部68A等を、具体的には、W相スロット34w及びU相スロット34uの第1軸線方向DX1(図中上側)及び第2軸線方向DX2(図中下側)に位置するV相表面側渡り部62A及びV相裏面側渡り部62Bを、径方向外側に向けて押圧して、これらを、各スロット34v等において、図23(a),(b),(c)に示すような形態とする。具体的には、W相スロット34w及びU相スロット34uの第1軸線方向DX1(図中上側)及び第2軸線方向DX2(図中下側)において、V相表面側渡り部62A及びV相裏面側渡り部62Bを、径方向外側に向けて押圧する。但し、少なくともこれらの一部が、W相スロット34wの径方向中央位置34vm及びU相スロット34uの径方向中央位置34umよりも、径方向内側(図中右側)に位置する程度にのみ押圧する。このようにすることで、V相スロット34vにおいて、V相表面側集約部66A及びU相裏面側集約部66Bが、図23(b)に示す形態となる。
ここで、V相表面側集約部66A,V相スロット挿入部63,及びV相裏面側集約部66BからなるV相スロット対応部67における一続きの巻線部分のうち、径方向外側端部34vspを通る外側V相スロット対応部分67sは、図23(b)に破線で示すように、スロット絶縁紙80のカフス80Aよりも第1軸線方向DX1(図中上側)において、また、カフス80Bよりも第2軸線方向DX2(図中下側)において径方向内側(図中右側)に向けて若干屈曲すると共に第1軸線方向DX1(図中上側)あるいは第2軸線方向DX2(図中下側)に延びる形態とされる。
一方、径方向内側端部34vipを通る内側V相スロット対応部分67iは、同じく図23(b)に破線で示すように、カフス80Aよりも第1軸線方向DX1において、径方向外側(図中左側)に若干屈曲しつつ第1軸線方向DX1(図中上側)に延びる形態とされる。また、V相裏面側集約部66Bでは、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、径方向外側(図中左側)に若干屈曲しつつ第2軸線方向DX2(図中下側)に延びる形態とされる。
逆にいえば、図18に示すように、予め、V相コイル61をなすV相巻線60の各ターンの周長を、各ターンについて略等しく巻回された形態としておき、また、このV相コイル61をV相スロット34vに挿入するに当たって、前述した手法により、図22に示すV相コイル61の形態となるように挿入したことによって、無理なく、図23(a),(b),(c)に示すV相コイルエンド部68A,68Bの形態とすることができたといえる。
なお、V相コイル61の整形後、V−W相間絶縁紙82をV相コイルエンド部68A,68Bに径方向内側(図中右側)から当接するように配置する。
さらに、W相コイル71の挿入の工程について説明する。まず、図24に示すように、U相の場合と同様に、巻線装置110を用い、W相巻線60を巻枠112に巻き付けて略長円形状に成形して、W相コイル71を成形する。この巻枠112は、位置が固定された固定側巻枠112Fと、図中二点鎖線で示すように平行移動可能な移動側巻枠112Mとを有している。さらに、移動側巻枠112Mは、前述の移動側巻枠111Mとは逆に、図中下方ほど幅狭となる六段の段差形状を有している。そこで、W相巻線70を図示するように、固定側巻枠112F移動側巻枠112Mとの間で、この移動側巻枠112Mの各段に1ターンずつ巻き付けられるようにして巻回する。その後、移動側巻枠1112を固定側巻枠112Fに近づけるよう(図中右側)に移動させ、巻回されたW相巻線70を矢印に示すように下方に落とすことで、W相巻線70を成形したW相コイル71が得られる。
ここで、このW相コイル71は、上述の巻線装置110を用いて成形したので、このW相コイル71をなすW相巻線70(素線40)のうち、図中下側に位置する巻線部分ほど、その周長が短くされている。なお、後述するようにして、このW相コイル71を鉄心30のW相スロット34wに挿入、装着するので、W相コイル71をなすW相巻線70の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回された形態をなしていることになる。また、図中に破線で示すように、図中、最も下側に位置する巻線部分は前述の内側W相スロット対応部分77iを含み、最も上側に位置する巻線部分は外側W相スロット対応部分77sを含むこととなる。
成形されたW相コイル71は、U相コイル51と同様に、固定ブレード121の上方から、これに掛けるようにして、インサータ120にセットされる(図25参照)。
インサータ120に、W相コイル71をセットした後、図26に示すように、既にU相コイル51及びV相コイル61が挿入されたステータ鉄心30をその所定位置にセットする。なお、この図26では、W相スロット34wで破断した断面を示しているので、U相,V相コイル51,61のうち、渡り部52A,52B,62A,62Bが図中に表れている。具体的には、固定ブレード121及び移動ブレード122の外側面121S,122Sに、この鉄心30の内周面30Cが沿うように、かつ、W相スロット34wの内側開口34wiと移動ブレード122−固定ブレード121間の間隙とが対向する位置となるように、鉄心30を配置する(図12参照)。
次いで、図27に示すように、ストリッパ125を第1軸線方向DX1に移動(上昇)させると、ストリッパ125の押上げブレード125Pによって、W相コイル71の各素線が一列に並んだ状態で押し上げられ、W相スロット34w内にW相コイル71をなす素線40が順に挿入される。この際、W相コイル71のうち、上側に位置する素線ほど、W相スロット34w内に、先に挿入される。この際、既に挿入されているU相コイル51のU相裏面側渡り部52B、及びV相コイル61のV相裏面側渡り部62Bが、W相スロット34wの第2軸線方向DX2に存在している。しかし、挿入幅Wwとして、W相スロット34wの径方向寸法の1/3以上の大きさが確保されており、挿入に問題は生じない。W相コイル71の挿入の際にこれらと干渉する部分については、素線40が内側に屈曲するように形態や場所を変えながら挿入されてゆく。
そして、図28に示すように、さらにストリッパ125を上昇させると、W相コイル71をなすW相巻線70(素線40)が順に固定ブレード121の先端121Tを乗り越えて、その順に径方向外側(図中左側)に移動する。但し、本実施例では、一部の素線のみ、固定ブレード121の先端121Tを乗り越えさせるに止め、残りの素線は未だ先端121Tを乗り越えないで、固定ブレード121に係止された状態で、このW相コイル71の挿入を完了する。
なお、この後、U相、V相の場合と同じく、ウェッジ紙83をW相スロット34wの内側開口34wi付近に挿入配置する。これにより、W相コイル71をなす素線40の一部が、固定ブレード121に係止された状態ではあるが、W相巻線(素線40)が内側開口34wiからはみ出すのを防止することができ、W相コイル61を鉄心30に挿入配置することができた。その後、ストリッパ125を下降、退避させる。
固定ブレード121の先端121Tの第1軸線方向DX1の位置は、押上げの期間中変化していないため、各素線40のうち、この先端121T乗り越えた素線については、鉄心30の表面上に位置する部分の高さはどの素線についてもほぼ同じとなる。
しかし、各素線40のうち、未だこの先端121T乗り越えていない素線については、先端121Tに届かなかった分だけ押上げ量が不足したということになる。しかも、各素線は、固定ブレード121−移動ブレード122間の間隙で一列に並んで保持されているから、隣接する素線同士で比較すると、概略、各素線の直径分だけ押上げ高さに違いが生じると考えられる。つまり、固定ブレード121−移動ブレード122間において、下方で保持されている素線ほど、押上げ高さが不足しているから、鉄心30を持ち上げる等により固定ブレード121を軸線方向に相対移動させてこれを退避させると、各素線のうち、後に挿入される素線ほど、鉄心30の表面30A上の高さが低くなる形態で、W相コイル71が挿入されたことになる。
しかも、W相スロット34w内で、径方向外側端部34wspに位置する外側V相スロット対応部分77sは、径方向内側端部34wipに位置する内側W相スロット対応部分77iに比して、その長さが長くなっている。
また、W相コイル71の挿入に当たり、固定ブレード121の先端121Tの位置を適切に設定することで、図28の形態から理解できるように、W相コイル71をなす巻線70(素線40)のうち、鉄心30の表面30A上(図中上側)に位置する部分と、裏面30B上(図中下側)に位置する部分とが対称形状となるようにできる。
次いで、公知の手法により、W相コイル71のコイルエンド部78A,78Bを、具体的には、W相表面側渡り部72A、W相表面側集約部76A、W相裏面側渡り部72B、及びW相裏面側集約部76Aを径方向外側に向けて押圧して、図5〜図7に示すように、これらを、いずれも鉄心30の内周面30Cよりも径方向外側に位置させる。
かくして、W相表面側集約部76A、W相スロット挿入部73,及びW相裏面側集約部76BからなるW相スロット対応部77における一続きの巻線部分のうち、径方向外側端部34uwpを通る外側W相スロット対応部分77sは、図7に破線で示すように、スロット絶縁紙80のカフス80Aよりも第1軸線方向DX1(図中上側)において、径方向内側(図中左側)に向けて屈曲すると共に、第1軸線方向DX1(図中上側)に延びる形態とされる。また、カフス80Bよりも第2軸線方向DX2(図中下側)において、径方向内側(図中左側)に向けて屈曲すると共に、第2軸線方向DX2(図中下側)に延びる形態とされる。
一方、径方向内側端部34wipを通る内側W相スロット対応部分77iは、同じく図7に破線で示すように、カフス80Aよりも第1軸線方向DX1において、第1軸線方向DX1(図中上側)に略直線状に延びる形態とされる。また、カフス80Bより第2軸線方向DX2において、第2軸線方向DX2(図中下側)に略直線状に延びる形態とされる。
逆にいえば、図24に示すように、予め、W相コイル71をなすW相巻線70の各ターンの周長を、後に挿入される各ターンの周長ほど短くなるように巻回された形態としておき、また、このW相コイル71をW相スロット34wに挿入するに当たって、前述した手法により、図28に示すW相コイル71の形態となるように挿入したことによって、無理なく、図5〜図7に示すW相コイルエンド部78A,78Bの形態とすることができたといえる。
かくして、鉄心30に、U相,V相,W相コイル51,61,71をそれぞれ挿入してなるステータ20を製造することができた。
さらに、以上で説明した製造方法で製造したステータ20と、公知の手法によって製造したロータ11とを、公知の手法によって組み付けることによって、モータ10が完成する。
なお、本実施例では、各スロット34u等についての、巻線(素線)の占積率が約70%とされており、素線40が断面円形である場合、理論的には78%程度が上限であることを考慮すると、非常に高い値となっている。
ここで、占積率とは、本実施例で言えば、スロット34u等の断面積のうち、スロット絶縁紙80やウェッジ紙83等の面積を除外した巻線50等(素線40)を挿入しうる部分の断面積である有効スロット断面積に対する、挿入された巻線50等(素線40)の断面積(絶縁被覆部含む)の総計の占める割合である。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、本実施例では、図9あるいは図24に示す巻枠111,112を用いて、U相コイル51及びW相コイル71を成形した例を示したが、他の形態の巻線装置を用いてU相コイルやW相コイルを成形しても良い。
また、本実施例では、W相コイル71の挿入に際して、図28に示すように、複数の素線40のうち一部が、未だ固定ブレード121の先端121Tを乗り越えさせない状態でストリッパの上昇を終了させて挿入工程を終了した。しかし、他の手法よって、後の挿入される素線ほど押し上げ高さが低くなるように調整しても良い。
さらに、本実施例のステータ20では、図6及び図7に示すように、U相コイル51のうち、U相表面側渡り部52A及びU相裏面側渡り部52Bの大部分が、V相スロット34vの径方向外側端34vs及びW相スロット34wの径方向外側端34wsよりも径方向外側(図中左側)に位置する配置とした。しかし、これらを本実施例よりも径方向内側に位置させるようにしてもよく、U相表面側渡り部52A及びU相裏面側渡り部52Bの大部分が、径方向外側端34vs及び径方向外側端34wsよりも径方向内側に位置する配置としても良い。さらには、これらのすべてが径方向外側端34vs及び径方向外側端34wsよりも径方向内側に位置する配置としても良い。
また、本実施例では、3相8極のステータ及びモータに本発明を適用した例を示したが、本実施例においてU相コイルあるいはW相コイルの挿入に用いた手法は、多相のステータを製造する場合の第1相目の挿入、及び最終相の挿入の際に用いることもできる。
実施例にかかるモータの模式図である。 実施例にかかるステータの模式図である。 (a)はステータ鉄心の平面図、(b)はステータ鉄心の縦断面図である 実施例にかかるステータについて、スロットとコイル及びその部分との関係を示す説明図である。 実施例にかかるステータについての図4のU−U断面矢視図である。 実施例にかかるステータについての図4のV−V断面矢視図である。 実施例にかかるステータについての図4のW−W断面矢視図である。 ステータのスロット内に巻線(素線)が挿入された状態を示す部分拡大断面図である。 巻線装置を用いてU相巻線を巻回し、U相コイルを成形する様子を示す説明図である。 成形したU相コイルをインサータにセットする様子を示す説明図である。 インサータにさらにステータ鉄心をセットした状態を示す説明図である。 図11に示す状態におけるY−Y断面矢視図である。 インサータにセットしたU相コイルをストリッパでさらに押し上げ、U相コイルの一部をステータのU相スロット内に挿入した状態を示す説明図である。 インサータにセットしたU相コイルをストリッパで押し上げ、U相コイルの一部について固定ブレードの先端を乗り越えさせた状態を示す説明図である。 インサータにセットしたU相コイルをストリッパでさらに押し上げ、U相コイルをなす素線のいずれについても固定ブレードの先端を乗り越えさせ、ウェッジ紙を挿入する様子を示す説明図である。 図15に示す状態から、さらにストリッパを上昇させた状態を示す説明図である。 ステータ鉄心に挿入、装着されたU相コイルのうち、U相表面側渡り部及びU相裏面側渡り部を拡径し、U−V相間絶縁紙を配置した状態を示し、(a)はU相スロットにおける断面図、(b)はV相スロットにおける断面図、(c)はW相スロットにおける断面図である。 成形したV相コイルをインサータにセットする様子を示す説明図である。 インサータにさらにU相コイルが既に挿入装着されたステータ鉄心をセットした状態を示す説明図である。 インサータにセットしたV相コイルをストリッパで押し上げ、V相コイルの一部をステータのV相スロット内に挿入した状態を示す説明図である。 インサータにセットしたV相コイルをストリッパでさらに押し上げ、V相コイルの一部について固定ブレードの先端を乗り越えさせた状態を示す説明図である。 インサータにセットしたV相コイルをストリッパでさらに押し上げ、V相コイルをなす素線のいずれについても固定ブレードの先端を乗り越えさせ、ウェッジ紙を挿入する様子を示す説明図である。 ステータ鉄心に挿入、装着されたV相コイルのうち、V相表面側渡り部及びV相裏面側渡り部を拡径し、V−W相間絶縁紙を配置した状態を示し、(a)はU相スロットにおける断面図、(b)はV相スロットにおける断面図、(c)はW相スロットにおける断面図である。 巻線装置を用いてW相巻線を巻回し、W相コイルを成形する様子を示す説明図である。 成形したW相コイルをインサータにセットする様子を示す説明図である。 インサータにさらにU相コイル及びV相コイルが既に挿入装着されたステータ鉄心をセットした状態を示す説明図である。 インサータにセットしたW相コイルをストリッパでさらに押し上げ、W相コイルの一部をステータのW相スロット内に挿入した状態を示す説明図である。 インサータにセットしたU相コイルをストリッパで押し上げ、U相コイルの一部について固定ブレードの先端を乗り越えさせ、ウェッジ紙を挿入する様子を示す説明図である。
符号の説明
DX 軸線方向
DX1 第1軸線方向
DX2 第2軸線方向
10 モータ
11 ロータ
20 ステータ
30 ステータ鉄心
30X (ステータ鉄心の)中心軸(軸線)
30A (ステータ鉄心の)表面
30B (ステータ鉄心の)裏面
30C (ステータ鉄心の)内周面
31 (ステータ鉄心の)ティース(内歯)
32 (ステータ鉄心の)スロット
34u U相スロット(第1相スロット)
34us (U相スロットの)径方向外側端
34usp (U相スロットの)径方向外側端部
34ui (U相スロットの)内側開口
34uip (U相スロットの)径方向内側端部
34um (U相スロットの)径方向中央位置
34v V相スロット
34vs (V相スロットの)径方向外側端
34vsp (V相スロットの)径方向外側端部
34vi (V相スロットの)内側開口
34vip (V相スロットの)径方向内側端部
34vm (V相スロットの)径方向中央位置
34w W相スロット(最終相スロット)
34ws (W相スロットの)径方向外側端
34wsp (W相スロットの)径方向外側端部
34wi (W相スロットの)内側開口
34wip (W相スロットの)径方向内側端部
34wm (W相スロットの)径方向中央位置
40 素線
50 U相巻線(第1相巻線)
51 U相コイル
52A U相表面側渡り部
52B U相裏面側渡り部
53 U相スロット挿入部
56A U相表面側集約部
56B U相裏面側集約部
57 U相スロット対応部
57s 外側U相スロット対応部分
57i 内側U相スロット対応部分
58A U相表面側コイルエンド部
58B U相裏面側コイルエンド部
60 V相巻線
61 V相コイル
62A V相表面側渡り部
62B V相裏面側渡り部
63 V相スロット挿入部
66A V相表面側集約部
66B V相裏面側集約部
67 V相スロット対応部
67s 外側V相スロット対応部分
67i 内側V相スロット対応部分
68A V相表面側コイルエンド部
68B V相裏面側コイルエンド部
70 W相巻線(最終相巻線)
71 W相コイル
72A W相表面側渡り部
72B W相裏面側渡り部
73 第1W相スロット挿入部
74 第2W相スロット挿入部
76A W相表面側集約部
76B W相裏面側集約部
77 W相スロット対応部
77s 外側W相スロット対応部分
77i 内側W相スロット対応部分
78A W相表面側コイルエンド部
78B W相裏面側コイルエンド部
111,112 巻枠
121 固定ブレード
121T (固定ブレードの)先端
125 ストリッパ
125P (ストリッパの)押上げブレード部

Claims (12)

  1. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、この順にそれぞれ挿入してなるステータであって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
    上記W相コイルをなすW相巻線は、
    対を成す上記W相スロットにそれぞれ挿入されたW相スロット内挿入部と、
    上記対をなすW相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部、及び裏面上を渡るW相裏面側渡り部と、
    上記W相スロット内挿入部と上記W相表面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第1軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相表面側渡り部につなげるW相表面側集約部と、
    上記W相スロット内挿入部と上記W相裏面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第2軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相裏面側渡り部につなげるW相裏面側集約部と、を有し、
    上記V相コイルをなすV相巻線は、
    対を成す上記V相スロットにそれぞれ挿入されたV相スロット内挿入部と、
    上記対をなすV相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部、及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部と、
    上記V相スロット内挿入部と上記V相表面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第1軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相表面側渡り部につなげるV相表面側集約部と、
    上記V相スロット内挿入部と上記V相裏面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第2軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相裏面側渡り部につなげるV相裏面側集約部と、を有し、
    上記U相コイルをなすU相巻線は、
    対を成す上記U相スロットにそれぞれ挿入されたU相スロット内挿入部と、
    上記対をなすU相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部、及び裏面上を渡るU相裏面側渡り部と、
    上記U相スロット内挿入部と上記U相表面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第1軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相表面側渡り部につなげるU相表面側集約部と、
    上記U相スロット内挿入部と上記U相裏面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第2軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相裏面側渡り部につなげるU相裏面側集約部と、を有し、
    上記ステータ鉄心の表面上において、
    複数の上記W相コイルのW相表面側渡り部は、いずれも、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
    複数の上記V相コイルのV相表面側渡り部は、いずれも、
    上記U相スロットの上記第1軸線方向において、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
    このW相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
    複数の上記U相コイルのU相表面側渡り部は、いずれも、
    上記W相スロットの上記第1軸線方向において、上記V相表面側渡り部にU−V相
    間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
    このV相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第1軸線方向に配置されてなり、
    上記ステータ鉄心の裏面上において、
    複数の上記W相コイルのW相裏面側渡り部は、いずれも、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
    複数の上記V相コイルのV相裏面側渡り部は、いずれも、
    上記U相スロットの上記第2軸線方向において、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
    上記W相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記W相スロット及びU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
    複数の上記U相コイルのU相裏面側渡り部は、いずれも、
    上記W相スロットの上記第2軸線方向において、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から密着し、
    このV相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第2軸線方向に配置されてなり、
    上記U相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側集約部と上記U相裏面側集約部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
    上記V相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側集約部と上記V相裏面側集約部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
    上記W相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側集約部と上記W相裏面側集約部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなる
    ステータ。
  2. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、この順に、それぞれ挿入してなるステータであって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
    上記U相コイルをなすU相巻線は、
    対を成す上記U相スロットにそれぞれ挿入されたU相スロット内挿入部と、
    上記対をなすU相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部、及び裏面上を渡るU相裏面側渡り部と、
    上記U相スロット内挿入部と上記U相表面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第1軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相表面側渡り部につなげるU相表面側集約部と、
    上記U相スロット内挿入部と上記U相裏面側渡り部との間に介在し、上記U相スロットの第2軸線方向において、上記U相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記U相裏面側渡り部につなげるU相裏面側集約部と、を有し、
    上記V相コイルをなすV相巻線は、
    対を成す上記V相スロットにそれぞれ挿入されたV相スロット内挿入部と、
    上記対をなすV相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部、及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部と、
    上記V相スロット内挿入部と上記V相表面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第1軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相表面側渡り部につなげるV相表面側集約部と、
    上記V相スロット内挿入部と上記V相裏面側渡り部との間に介在し、上記V相スロットの第2軸線方向において、上記V相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記V相裏面側渡り部につなげるV相裏面側集約部と、を有し、
    上記W相コイルをなすW相巻線は、
    対を成す上記W相スロットにそれぞれ挿入されたW相スロット内挿入部と、
    上記対をなすW相スロットの間のうち、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部、及び裏面上を渡るW相裏面側渡り部と、
    上記W相スロット内挿入部と上記W相表面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第1軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相表面側渡り部につなげるW相表面側集約部と、
    上記W相スロット内挿入部と上記W相裏面側渡り部との間に介在し、上記W相スロットの第2軸線方向において、上記W相スロット内挿入部から延びた巻線を集約して上記W相裏面側渡り部につなげるW相裏面側集約部と、を有し、
    上記U相コイル、V相コイル、及びW相コイルは、
    U相スロットの上記第1軸線方向において、
    上記W相表面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
    上記V相表面側渡り部が、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着して、このW相表面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
    上記U相表面側集約部が、上記V相表面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側及び表面側から密着して、このV相表面側渡り部よりも径方向外側及び第2軸線方向に配置されてなり、
    U相スロットの上記第2軸線方向において、
    上記W相裏面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
    上記V相裏面側渡り部が、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から密着して、このW相裏面側渡り部よりも径方向外側で、かつ、このU相スロットの径方向外側端よりも径方向内側に配置され、
    上記U相裏面側集約部が、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側及び裏面側から密着して、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側及び第1軸線方向に配置されてなり、
    V相スロットの上記第1軸線方向において、
    上記W相表面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
    上記V相表面側集約部が、上記W相表面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側及び表面側から密着して、このW相表面側渡り部よりも径方向外側及び第2軸線方向に配置され、
    上記U相表面側渡り部が、上記V相表面側集約部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このV相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相表面側集約部よりも径方向外側に配置されてなり、
    V相スロットの上記第2軸線方向において、
    上記W相裏面側渡り部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、かつ、このV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置され、
    上記V相裏面側集約部が、上記W相裏面側渡り部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側及び裏面側から密着して、このW相裏面側渡り部よりも径方向外側及び第1軸線方向に配置され、
    上記U相裏面側渡り部が、上記V相裏面側集約部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このV相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相裏面側集約部よりも径方向外側に配置されてなり、
    W相スロットの上記第1軸線方向において、
    上記W相表面側集約部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側に配置され、
    上記V相表面側渡り部が、上記W相表面側集約部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から及び上記表面側から密着して、このW相表面側集約部よりも径方向外側及び第1軸線方向で、かつ、このW相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側から、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側の間に配置され、
    上記U相表面側渡り部が、上記V相表面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相表面側渡り部よりも径方向外側に配置されてなり、
    W相スロットの上記第2軸線方向において、
    上記W相裏面側集約部が、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側に配置され、
    上記V相裏面側渡り部が、上記W相裏面側集約部にV−W相間絶縁紙を介して径方向外側から及び上記裏面側から密着して、このW相裏面側集約部よりも径方向外側及び第2軸線方向で、かつ、このW相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側から、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側の間に配置され、
    上記U相裏面側渡り部が、上記V相裏面側渡り部にU−V相間絶縁紙を介して径方向外側から、かつ、このW相スロットの径方向外側端よりも径方向内側において密着して、このV相裏面側渡り部よりも径方向外側に配置されてなり、
    上記U相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側集約部と上記U相裏面側集約部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
    上記V相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側集約部と上記V相裏面側集約部、上記W相表面側渡り部と上記W相裏面側渡り部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなり、
    上記W相スロットの上記第1軸線方向及び上記第2軸線方向で、上記U相表面側渡り部と上記U相裏面側渡り部、上記V相表面側渡り部と上記V相裏面側渡り部、上記W相表面側集約部と上記W相裏面側集約部とが、それぞれ対称形状をなして形成されてなる
    ステータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のステータであって、
    前記U相コイルのうち、
    前記U相表面側渡り部は、少なくとも前記V相スロット及びW相スロットの前記第1軸線方向において、
    前記U相裏面側渡り部は、少なくとも前記V相スロット及びW相スロットの前記第2軸線方向において、
    いずれも、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端よりも、または、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の近傍で上記径方向外側端より径方向外側の位置よりも、径方向内側に配置されてなる
    ステータ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のステータであって、
    前記U相巻線は、
    このうち、前記U相表面側集約部と、これに続く前記U相スロット内挿入部と、これに続く前記U相裏面側集約部と、からなるU相スロット対応部における上記U相巻線の一続きの巻線部分の長さを、上記U相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、
    上記U相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側U相スロット対応部分の長さに比して、上記U相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側U相スロット対応部分の長さが長くされてなり、
    前記W相巻線は、
    このうち、前記W相表面側集約部と、これに続く前記W相スロット内挿入部と、これに続く前記W相裏面側集約部と、からなるW相スロット対応部分における上記W相巻線の一続きの巻線部分の長さを、W相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、
    上記W相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側W相スロット対応部分の長さに比して、上記W相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側W相スロット対応部分の長さが短くされてなり、
    前記V相巻線は、
    このうち、前記V相表面側集約部と、これに続く前記V相スロット内挿入部と、これに続く前記V相裏面側集約部と、からなるV相スロット対応部分における上記V相巻線の一続きの巻線部分の長さを、V相スロット内の配置に応じて互いに対比したとき、
    上記V相スロットのうち径方向外側端部に配置された外側V相スロット対応部分の長さに比して、上記V相スロットのうち径方向内側端部に配置された内側V相スロット対応部分の長さが、
    等しい、または、
    上記U相巻線における上記外側U相スロット対応部分の長さと上記内側U相スロ
    ット対応部分の長さとの差、及び、
    上記W相巻線における上記外側W相スロット対応部分の長さと上記内側W相スロット対応部分の長さとの差、のいずれよりも小さな差を有して、
    長くもしくは短くされてなる
    ステータ。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のステータであって、
    前記U相スロット、V相スロット、及びW相スロットにそれぞれ挿入された前記U相巻線、V相巻線、及びW相巻線の占積率は、いずれの相についても、50%以上とされてなる
    ステータ。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のステータと、
    ロータと、
    を備えるモータ。
  7. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット、V相スロット、及びW相スロットに、U相巻線を予め巻回して形成した複数のU相コイル、V相巻線を予め巻回して形成した複数のV相コイル、及びW相巻線を予め巻回して形成した複数のW相コイルを、それぞれ挿入して上記U相コイル、V相コイル、及びW相コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
    上記ステータ鉄心の各U相スロット内に、上記U相コイルをなすU相巻線のU相スロット内挿入部を挿入して、上記U相コイルを組み付けるU相挿入工程と、
    上記U相コイルをなす上記U相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するU相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するU相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るU相表面側渡り部を上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第1軸線方向に配置し、上記ステータ鉄心の裏面上を渡るU相裏面側渡り部を、上記V相スロット及びW相スロットの径方向外側端の上記第2軸線方向に配置する形態に成形するU相コイルエンド部成形工程と、
    上記ステータ鉄心の各V相スロット内に、上記V相コイルをなすV相巻線のV相スロット内挿入部を挿入して、上記V相コイルを組み付けるV相挿入工程と、
    上記V相コイルをなす上記V相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するV相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するV相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るV相表面側渡り部及び裏面上を渡るV相裏面側渡り部を上記V相スロット及びU相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側で、径方向外側端よりも径方向内側に配置する形態に成形するV相コイルエンド部成形工程と、
    上記ステータ鉄心の各W相スロット内に、上記W相コイルをなすW相巻線のW相スロット内挿入部を挿入して、上記W相コイルを組み付けるW相挿入工程と、
    上記W相コイルをなす上記W相巻線のうち、上記表面より第1軸線方向に位置するW相表面側コイルエンド部、及び、上記裏面より第2軸線方向に位置するW相裏面側コイルエンド部を拡径して、上記ステータ鉄心の表面上を渡るW相表面側渡り部及び裏面上を渡りW相裏面側渡り部を、上記ステータ鉄心の内周面よりも径方向外側で、上記U相スロット及びV相スロットの径方向中央位置よりも径方向内側に配置する形態に成形するW相コイルエンド部成形工程と、をこの順に備え、
    上記U相コイルをなすU相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなり、
    上記W相コイルをなすW相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなり、
    上記V相コイルをなすV相巻線の各ターンの周長は、等しく巻回され、または、または上記U相巻線の各ターンの周長の違いよりも、及び上記W相巻線の各ターンの周長の違いよりも、小さな違いをもって、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長くあるいは短く巻回されてなり、
    上記U相挿入工程は、
    上記U相巻線について、
    上記U相表面側コイルエンド部と上記U相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付け、
    上記V相挿入工程は、
    上記V相巻線について、
    上記V相表面側コイルエンド部と上記V相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付け、
    上記W相挿入工程は、
    上記W相巻線について、
    上記W相表面側コイルエンド部と上記W相裏面側コイルエンド部とが、対称形態となるように組み付ける
    ステータの製造方法。
  8. 請求項7に記載のステータの製造方法であって、
    前記U相挿入工程は、
    前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入されたU相巻線を、ストリッパで押し上げて前記U相スロット内に挿入すると共に、最後のU相巻線について所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせた後も、ストリッパを前記第1軸線方向に移動させる
    ステータの製造方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載のステータの製造方法であって、
    前記W相挿入工程は、
    前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入されたW相巻線を、ストリッパで押し上げて前記W相スロットに挿入すると共に、少なくとも一部のW相巻線について、所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせる前に、ストリッパの上昇を止め、ウェッジ紙を上記W相スロット内に挿入した後、ストリッパ及び固定ブレードを退避させる
    ステータの製造方法。
  10. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状の複数相用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットに、各相の対応し巻線を予め巻回して形成した複数のコイルを、それぞれ順に挿入して上記コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
    上記スロットのうち、上記複数相のうち最初に巻線が挿入される第1相スロット内に、第1相コイルをなす第1相巻線の一部を挿入して、上記第1相コイルを組み付ける第1相挿入工程、を備え、
    上記第1相コイルをなす第1相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど長く巻回されてなり、
    上記第1相挿入工程は、
    上記第1相巻線について、上記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレ
    ードとの間に一列に並べて挿入された上記第1相巻線を、ストリッパで押し上げて上記第1相スロット内に挿入すると共に、最後の第1相巻線について所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせた後も、上記固定ブレードの先端を超えてストリッパを前記第1軸線方向に移動させ続けて、
    上記第1相巻線の一部を、上記第1相スロット内に挿入して第1相スロット内挿入部とすると共に、上記ステータ鉄心の上記表面よりも上記第1軸線方向に位置する第1相表面側コイルエンド部分と、上記裏面よりも上記第2軸線方向に位置する第1相裏面側コイルエンド部分とが、対称形態となるように組み付ける
    ステータの製造方法。
  11. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状の複数相用ステータ鉄心のうち、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットに、各相の対応し巻線を予め巻回して形成した複数のコイルを、それぞれ順に挿入して上記コイルを上記ステータ鉄心に組み付けてなるステータの製造方法であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向としたとき、
    上記スロットのうち、上記複数相のうち最後に巻線が挿入される最終相スロット内に、最終相コイルをなす最終相巻線の一部を挿入して、上記最終相コイルを組み付ける最終相挿入工程と、を備え、
    上記最終相コイルをなす最終相巻線の各ターンの周長は、後に挿入されるターンの巻線部分ほど短く巻回されてなり、
    上記最終相挿入工程は、
    上記最終相巻線について、前記ステータ鉄心の裏面側から、固定ブレードと移動ブレードとの間に一列に並べて挿入された最終相巻線を、ストリッパで押し上げて上記最終相スロットに挿入すると共に、少なくとも一部の最終相巻線について、所定位置に保持した固定ブレードの先端を乗り越えさせる前に、ストリッパの上昇を止め、ウェッジ紙を上記最終相スロット内に挿入した後、ストリッパ及び固定ブレードを退避させて、
    上記最終相巻線の一部を、上記最終相スロット内に挿入して最終相スロット内挿入部とすると共に、上記ステータ鉄心の上記表面よりも上記第1軸線方向に位置する最終相表面側コイルエンド部分と、上記裏面よりも上記第2軸線方向に位置する最終相裏面側コイルエンド部分とが、対称形態となるように組み付ける
    ステータの製造方法。
  12. 請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載のステータの製造方法を含む
    モータの製造方法。
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