JP4345242B2 - 車両用エンジンの自動始動制御装置 - Google Patents

車両用エンジンの自動始動制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一時的に停車している車両の発進に際し、エンジンを自動的に始動させるようにした車両用エンジンの自動始動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等の車両においては、資源問題や排気ガスによる環境汚染問題から、二酸化炭素の削減、燃費の向上、排気ガスの低減等が要望されている。こうした要望から、信号待ち等で車両を一時的に停車させる場合にはエンジンを自動的に停止させ、車両を発進させる場合にはエンジンを自動的に始動させる装置が従来から提案されている。
【0003】
前記装置では、エンジンの始動後、そのトルクが駆動輪に伝わって車両が走行を始めるまでにある程度の時間がかかる。これは、(1)停止しているエンジンの回転速度が、始動にともないアイドル回転速度になるまでに若干の時間を要すること、(2)自動変速機を搭載した車両にあっては、その自動変速機において、油圧の応答遅れに起因して、トルクの入力から出力までに若干の時間を要すること等による。このため、前記装置は、車両発進時に交差点で右折する場合や、本線に合流する場合等、素早い発進が要求されるときに、その要求に応ずることが難しい。
【0004】
これに対しては、例えば、特開平11−270378号公報において、停車中の車両に関し、サービスブレーキ機構のマスタシリンダ内の液圧に基づいてエンジンを始動させるようにした自動始動制御装置が記載されている。この制御装置は、車両の発進のためにアクセルペダルが踏込まれる前には、通常、サービスブレーキ機構のブレーキペダルが緩められることに着目してなされたものである。同制御装置では、ブレーキペダルの踏力が緩められて、マスタシリンダ内の液圧が所定のしきい値を下回り、その状態が所定時間続いたとき、運転者に発進の意志があるとして、エンジンを自動的に始動させている。同制御装置によると、前記のようにエンジンや自動変速機に遅れがあったとしても、運転者が車両を発進させようとしてアクセルペダルを踏込むときには、既にエンジンが始動された状態となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述した公報に記載された自動始動制御装置では、単にマスタシリンダ内の液圧としきい値との比較判定に基づき、エンジンを始動させるかどうかを決定している。このため、運転者の発進の意志を早い時期に推定して素早い発進が可能となるものの、運転者に違和感を与える等の問題がある。例えば、運転者は、停車中に疲労によりブレーキペダルに対する踏力をゆっくりと緩める場合がある。この場合、運転者には発進の意志はない。しかし、運転者がブレーキペダルをゆっくり緩めている過程で、マスタシリンダ内の液圧がしきい値を下回った状態がある程度続くと、運転者の意志に反してエンジンが始動されてしまう。
【0006】
また、車両の発進のために、ブレーキペダルに対する踏力を素早く緩める場合がある。この場合、マスタシリンダ内の液圧が前記しきい値よりも高いと、運転者の発進の意志に反して、エンジンが始動されない。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、運転者の意図に沿ってエンジンを始動させることができ、運転者に与える違和感を少なくすることのできる車両用エンジンの自動始動制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、動力源としてのエンジンと、制動操作部材の操作に応じて車輪に制動力を付与する制動機構とを備える車両に用いられ、前記車両の停車にともない一時的に運転停止されている前記エンジンを、車両の発進に際し始動させるようにした車両用エンジンの自動始動制御装置において、前記制動機構による制動力を緩和するための前記制動操作部材の操作状態を直接又は間接的に検出する操作状態検出手段と、前記操作状態検出手段による操作状態の時間当りの変化量を算出する変化量算出手段と、前記操作状態検出手段による操作状態が所定の領域に属し、かつ前記変化量算出手段による変化量が所定の判定値未満である場合、前記車両の停車にともない運転停止されているエンジンを始動させる始動制御手段とを備えている。
そして、前記制動機構は、前記制動操作部材に加えられた力をマスタシリンダで液圧に変換し、その液圧により制動力を発生するものであり、前記操作状態検出手段は、前記マスタシリンダ内の液圧を前記制動操作部材の操作状態として検出するものであり、前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段による液圧が所定の変化量判定領域に属し、かつ前記変化量算出手段による変化量が前記判定値未満である場合、前記エンジンを始動させるものである。
さらに、前記始動制御手段による変化量の判定値を、前記制動操作部材の操作量に対する前記マスタシリンダの液圧の変化量が大きい領域ほど前記マスタシリンダの液圧の変化量が小さい領域よりも小さく設定する変化量判定値設定手段をさらに備える。
【0009】
上記の構成によれば、制動機構による制動力を緩和するために、運転者により制動操作部材が操作されると、その操作状態が操作状態検出手段により直接又は間接的に検出される。前記操作状態の時間当りの変化量が変化量算出手段によって算出される。そして、操作状態検出手段による操作状態が所定の領域に属し、かつ変化量算出手段による時間当りの変化量が所定の判定値未満であると、制動力を緩和するための操作が速く行われていることから、運転者に発進の意志があるとして、車両の停車にともなって運転停止されているエンジンが始動される。この始動のタイミングは、運転者が発進したいと考えて、アクセル操作を行うよりも前のタイミングである。また、時間当りの変化量が判定値以上であると、制動力緩和のための前記操作がゆっくりと行われていることから、運転者に発進の意志がないとして、エンジンが停止され続ける。
【0010】
このように、運転者の発進の意志を早い時期に推定して車両を素早く発進させることが可能となるだけでなく、運転者の意図に沿ってエンジンを始動させ、運転者に与える違和感を少なくすることができる。
【0012】
また、上記の構成によれば、運転者により制動機構の制動操作部材が操作されると、その操作にともない制動操作部材に加えられた力が、マスタシリンダで液圧に変換される。この液圧により制動力が発生する。マスタシリンダ内の液圧は、制動操作部材の操作量が少ない場合には低く、操作量が多くなるに従い上昇する。この液圧の特性に着目し、操作状態検出手段では、マスタシリンダ内の液圧が、制動操作部材の操作状態相当値として検出される。また、前記液圧の時間当りの変化量が変化量算出手段によって算出される。そして、操作状態検出手段によって検出される液圧が所定の変化量判定領域に属し、かつ変化量算出手段による液圧の時間当りの変化量が所定の判定値未満であると、制動力緩和のための操作が速く行われていることから、運転者に発進の意志があるとして、車両の停車にともなって運転停止されているエンジンが始動される。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記制動操作部材は、前記マスタシリンダの液圧が高い領域では、前記マスタシリンダの液圧が低い領域よりも前記操作量に対する前記マスタシリンダの液圧の変化量が大きいものであり、前記変化量判定値設定手段は、前記マスタシリンダの液圧が高い領域では、低い領域よりも変化量判定値を小さな値に設定するものであるとする。
上記の構成によれば、変化量判定値設定手段では、マスタシリンダの液圧が高い領域では、低い領域よりも変化量判定値が小さな値に設定される。液圧の高い領域では、制動操作部材の操作量に対する液圧の変化量が多く、液圧の低い領域では同液圧の変化量が少ないが、前記のように液圧の領域に応じて変化量判定値を異ならせることにより、液圧の領域に応じた同液圧の変化度合の相違を確実に吸収することができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段による液圧が、前記変化量判定領域の下側の領域に属する場合、前記変化量算出手段による変化量にかかわらず前記エンジンを始動させるものであるとする。
【0014】
上記の構成によれば、制動機構の制動力が小さく、操作状態検出手段によって検出された液圧が変化量判定領域の下側の領域に属している場合、運転者には、車両を停車状態に維持する意志がなく、むしろ発進の意志があると考えられることから、変化量算出手段による液圧の変化量にかかわらず、エンジンが始動される。従って、車両を発進させたいという運転者の意図により一層沿うことができる。
【0019】
請求項記載の発明では、請求項1〜のいずれか1つに記載の発明において、前記車両の停車後、所定時間が経過するまで前記始動制御手段による始動を禁止する始動禁止手段をさらに備えるものであるとする。
【0020】
上記の構成によれば、車両の停車後、所定時間が経過するまで始動制御手段による始動が禁止される。従って、制動機構により車両が停車する前後には、一般に、発進意志がなくても運転者による制動操作部材の操作が頻繁に行われ、操作量の変化が多いが、その変化量に基づくエンジンの始動を抑制することができる。
【0021】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段により前記制動操作部材の非操作状態が検出された場合、前記始動禁止手段による始動禁止の有無にかかわらず、前記エンジンを始動させるものであるとする。
【0022】
上記の構成によれば、操作状態検出手段により制動操作部材の非操作状態が検出された場合には、始動禁止手段によってエンジンの始動が禁止されていてもいなくても、始動制御手段によりエンジンが始動される。従って、停車後、所定時間が経過していなくても、制動操作部材に力が加えられないことから、運転者に明らかに発進の意志があると考えれられる場合には、エンジンを始動させて、車両を発進させることができる。
【0023】
請求項記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発明において、前記車両が停車している路面の斜度を検出する路面斜度検出手段と、前記路面斜度検出手段による路面の斜度に応じた液圧の判定値を設定する液圧判定値設定手段とをさらに備え、前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段による液圧が所定の変化量判定領域に属する場合、前記変化量算出手段による変化量が前記変化量判定値以上であっても、前記操作状態検出手段による液圧が前記液圧判定値未満であると、前記エンジンを始動させるものであるとする。
【0024】
上記の構成によれば、車両が停車している路面の斜度が路面斜度検出手段によって検出され、その検出された路面斜度に応じた液圧判定値が液圧判定値設定手段によって設定される。そして、操作状態検出手段により検出された液圧が所定の変化量判定領域に属し、かつ変化量算出手段による変化量が判定値以上であっても、操作状態検出手段による液圧が液圧判定値未満であると、始動制御手段によりエンジンが始動される。従って、車両が停車している路面の斜度に応じて、その停車状態を維持するために要求される制動機構の制動力が異なり、これにともない、運転者に要求される制動操作部材の操作量や、マスタシリンダ内の液圧も異なるが、前記のように、路面斜度を考慮して液圧判定値の設定等を行うことにより、路面斜度がエンジン始動に及ぼす影響を排除することが可能となる。
【0025】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、前記液圧判定値設定手段は、前記路面斜度検出手段による路面斜度の大きな領域では、小さな領域よりも前記液圧判定値を大きな値に設定するものであるとする。
【0026】
上記の構成によれば、路面斜度の大きな領域では、小さな領域よりも液圧判定値が大きな値に設定される。従って、路面斜度の大きな領域では小さな領域に比べ、停車状態を維持するために大きな制動力が要求される。これにともない、運転者に要求される制動操作部材の操作量が多く、また、マスタシリンダに要求される液圧が高くなるが、前記のように液圧判定値を設定等することにより、路面斜度がエンジン始動に及ぼす影響をより確実に排除することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。図1は、自動始動制御装置が適用されるエンジン、及びその周辺装置の概略構成を示している。車両11には、エンジン12が動力源として搭載されている。このエンジン12が例えばガソリンを燃料とするものである場合、同エンジン12では、ピストン13の往復運動が、コネクティングロッド14によって回転運動に変換された後、同エンジン12の出力軸であるクランク軸15に伝達される。また、燃料噴射弁16から噴射された燃料と、吸気通路を流れる吸入空気との混合気は、点火プラグ17の電気火花によって点火され、燃焼する。点火時期は、点火プラグ17に点火コイル18を介して接続されたイグナイタ19を制御することにより調整される。混合気の燃焼にともない生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン13が往復動され、クランク軸15が回転されて、エンジン12の駆動力(出力トルク)が得られる。なお、エンジン12は前述したものとは異なるタイプ、例えば、直噴ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであってもよい。
【0028】
前記エンジン12の運転は、例えば車両走行中における信号待ちといった一時的な車両停止時に停止され、運転者の始動要求に応じて再開される。本実施形態では、エンジン12の通常の運転停止・開始と区別するために、上記状況でのエンジン12の運転停止を「自動停止」といい、運転再開を「自動始動」というものとする。
【0029】
エンジン12の近傍には、各種補機21と、回転機能及び発電機能を兼ね備えるモータジェネレータ(以下「MG」という)22とが配置されている。MG22は、インバータ23を介して高電圧バッテリ24に接続されるとともに、インバータ23及びDC/DCコンバータ25を介してバッテリ26に接続されている。高電圧バッテリ24は専らMG22を駆動するための電源として用いられ、同MG22が発電機(オルタネータ)として機能しているときには、発電された電力を蓄電する。DC/DCコンバータ25は、高電圧バッテリ24の電圧又はMG22によって発電された電力の電圧を降圧して、バッテリ26を充電する。バッテリ26は、各種電気負荷(後述するECU49等を含む)に電力を供給する電源として用いられている。なお、バッテリ26を省略し、ECU49等に対しては、DC/DCコンバータ25を介して降圧された電力を供給するようにしてもよい。
【0030】
クランク軸15には、電磁クラッチ付クランクダンパ28が取付けられている。各補機21及びMG22には、それぞれプーリ31,32が一体回転可能に取付けられており、これらのプーリ31,32と、クランクダンパ28のプーリ29とに伝動ベルト33が掛けられている。この伝動ベルト33により、クランク軸15から補機21への動力伝達、MG22から補機21への動力伝達、クランク軸15及びMG22間での動力伝達がそれぞれ可能である。電磁クラッチ27は、エンジン12の自動停止にともない切断され、エンジン12の自動始動にともない接続される。
【0031】
クランク軸15には、トルクコンバータ34を介して自動変速機(AT)35が接続されている。トルクコンバータ34は、流体(オイル)の流れを利用してエンジン12の出力トルクを増幅し、自動変速機35に伝達する。自動変速機35は、運転席に設けられたシフトレバー(図示略)の操作に応じてシフトレンジを切替えるとともに、車速、エンジン負荷(例えばスロットル開度)等に基づき、所定のシフトレンジでの変速段を切替える。シフトレンジとしては、例えばP(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)、2速、1速等が設定されている。
【0032】
自動変速機35の出力軸はドライブシャフト37、ディファレンシャルギヤ38、車軸39等を介して駆動輪41に接続されており、出力軸の回転がこれら各部材37〜39を通じて駆動輪41に伝達される。
【0033】
車両11には、主に、走行する車両11を減速及び停止させるための制動機構として、サービスブレーキ機構(フットブレーキ機構)42が設けられている。同機構42は、制動のために運転者によって操作される部材(制動操作部材)であるブレーキペダル43と、その操作の際にブレーキペダル43に加えられた力(踏力)を液圧に変換するマスタシリンダ44とを備えている。サービスブレーキ機構42では、ブレーキペダル43が運転者によって踏込まれると、その踏力がマスタシリンダ44内で液圧に変換され、その液圧に応じた制動力が、各車輪に取付けられたドラムやディスクに付与される。
【0034】
ここで、ブレーキペダル43の踏込み量と、マスタシリンダ44内の液圧との間には一定の関係が見られる。図4に示すように、ブレーキペダル43の非操作時(踏込み量が実質的に0のとき)には液圧は低い。ブレーキペダル43の踏込み量が多くなるに従い液圧も上昇する。従って、基本的には、運転者がブレーキペダル43を多く(深く)踏込むほどマスタシリンダ44内の液圧が高くなって制動力が増すこととなる。ただし、液圧は踏込み量に対し必ずしも比例せず、踏込み量が多くなるに従い、液圧の増加度合が大きくなる。このため、ブレーキペダル43を同様に(同程度の速度で)踏んでも、踏込み量が多い領域では、少ない領域に比べて液圧が大きく変化する。また、液圧は、同液圧が低い領域に比べ高い領域において、ブレーキペダル43の踏込み量に対し大きく変化する。
【0035】
図1に示すように、車両11の状態を検出するために各種センサが用いられている。例えば、自動変速機35の出力軸等には、車両11の走行速度である車速を検出する車速センサ45が設けられている。マスタシリンダ44の近傍には、その液圧を検出する液圧センサ46が設けられている。この液圧は、前述したようにブレーキペダル43の踏込み量に対応している。ブレーキペダル43の近傍には、プッシュ式のストップランプスイッチ47が設けられている。同スイッチ47は、ブレーキペダル43の操作の有無を検出するためのものであり、通常(非踏込み時)オフ状態となっており、運転者によってブレーキペダル43が所定量以上踏込まれたときにのみオン状態となる。ここでの所定量は、図4において液圧が0よりも高くなり始めるときの値である。図1に示すように、車両11には、その傾きから、停車位置での路面の斜度(傾斜角度)を検出する斜度センサ48が設けられている。
【0036】
前記各種センサ45〜48の検出値に基づき、車両11の各部を制御するために、車両11には電子制御装置(Electronic Control Unit :ECU)49が設けられている。ECU49はマイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラム、初期データ、制御マップ等に従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ(RAM)において一時的に記憶される。
【0037】
ECU49は、各種制御として、例えば、各種センサからの信号に基づき燃料噴射弁16への通電を制御することにより、同噴射弁16から燃料を噴射させる。また、各種センサからの信号に基づきイグナイタ19を制御することにより、点火コイル18で高電圧を発生させ、点火プラグ17に火花放電を起させて混合気に点火する。また、電磁クラッチ27への通電を制御することにより、これを切断又は接続し、クランク軸15とプーリ29(ひいてはMG22)との間で動力を伝達又は遮断する。インバータ23を制御することにより、MG22を電動機又は発電機として機能させる。
【0038】
次に、エンジン12の自動停止制御及び自動始動制御について説明する。ECU49はこれらの制御に際し、図2及び図3のフローチャートに示す「自動停止・始動制御ルーチン」を、所定のタイミングで、例えば所定時間毎に繰り返し実行する。
【0039】
本実施形態では、前記制御に際し、図7に示すように、マスタシリンダ44内の液圧の採り得る領域を、「停止継続領域」、「変化量判定領域」及び「始動領域」の3つの領域に区分している。そして、液圧が属する領域に応じて、自動停止及び自動始動の各制御の態様を異ならせている。
【0040】
停止継続領域は、液圧がP2よりも高い領域である。この領域では、運転者がブレーキペダル43を深く踏込んでいて発進の意志がないと考えられることから、エンジン12の停止状態を継続するようにしている。
【0041】
始動領域は、液圧がP1(<P2)よりも低い領域である。液圧P1は、エンジン12の自動始動時において、車両11にAT車特有のクリープ現象が発生しても、そのクリープ現象に抗して車両11を停車状態に保持するために最低限必要な液圧に設定されている。クリープ現象は、シフトレンジが駆動レンジ(「D」、「2」、「1」、「R」)にあるときに、アイドリング状態でも車両11が動く現象である。始動領域では、上記クリープ現象を利用して車両11をゆっくり発進させようとして、運転者が踏力を緩めていると考えられることから、液圧がこの領域に入ったら即座にエンジン12を自動始動させるようにしている。
【0042】
変化量判定領域は、前記停止継続領域及び始動領域の間の領域である。この領域では、運転者の発進の意志を、液圧の時間当りの変化量に基づき推測し、その推測結果に応じてエンジン12の停止状態を継続、又はエンジン12を自動始動させるようにしている。なお、本実施形態では、液圧P2が4.0MPa に設定され、液圧P1が0.4MPa に設定されているが、これは一例に過ぎず、適宜に変更可能である。
【0043】
また、自動停止・始動制御ルーチンでは、停止判定フラグFが用いられている。同フラグFは、エンジン12が停止されているかどうかを判定するためのものであり、エンジン停止要求が出されたときに「1」に設定され、エンジン始動要求が出されたときに「0」に切替えられる。停止判定フラグFの初期値(エンジン始動時の値)は「0」である。
【0044】
ECU49はまずステップS110において、液圧センサ46によるマスタシリンダ44内の液圧を読込む。この液圧をA/D変換した後、フィルタ処理を施してノイズを除去し、これをマスタ圧MCとする。また、このマスタ圧MCを用い、下記の式(1)に従って基準マスタ圧MCSM(i) を算出する。
【0045】
MCSM(i) =a・MCSM(i-1) +b・MC ……(1)
式(1)中、a,bは、a+b=1、かつa≧bという条件を満たす定数であり、ここでは、a=15/16、b=1/16としている。すなわち、前回制御周期での基準マスタ圧MCSM(i-1) を主体とし、今回制御周期でのマスタ圧MCを1/16だけ反映させたものを、今回の基準マスタ圧MCSM(i) として求める。なお、前述した定数a,bの各値は一例に過ぎず、上記条件を満たす範囲において適宜変更可能である。
【0046】
さらに、前記マスタ圧MC及び基準マスタ圧MCSM(i) を用い、次式(2)に従って、マスタ圧の時間当りの変化量(以下、単に変化量という)ΔMCを算出する。
【0047】
ΔMC=MC−MCSM(i) ……(2)
車両11の停車にともない運転停止されているエンジン12を自動始動させるために、ブレーキペダル43に対する踏力が緩められると、マスタ圧MCが時間の経過にともない低下する。このため、上記式(2)に従って求められる変化量ΔMCは、負の値となる。
【0048】
次に、ステップS120において、停止判定フラグFが「1」であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(F=0)と、ステップS130において、エンジン12の自動停止条件が成立しているか否かを判定する。自動停止条件としては、例えば、「エンジン12の回転速度がアイドル回転速度以下であること」、「車速が0であること」、「アクセルペダルが踏込み操作されていないこと」、「自動変速機35のシフトレンジがD、2速、1速のいずれかであること」等が挙げられる。
【0049】
上記自動停止条件が満たされていると、ステップS140において、車速が0であることが車速センサ45によって検出された後、すなわち、車両11が停車した後、所定時間T1(例えば500ミリ秒)が経過しているか否かを判定する。この処理は、車両11が完全に停車したかどうかを判定するために行われる。
【0050】
ステップS140の判定条件が満たされている(T1経過)と、ステップS150において、クリープ現象のクリープ圧に所定値αを加算した値、すなわち、クリープ力に打勝つ値と、前記ステップS110でのマスタ圧MCとを比較し、後者が前者よりも高いか否かを判定する。ステップS150の処理は、次にエンジン12が自動始動された場合に、クリープ現象により車両11が動かない程度にブレーキペダル43が踏込まれているかどうかを確認するために行われる。
【0051】
ステップS150の判定条件が満たされていると、ステップS160において、点火時期制御処理、燃料噴射量制御処理、電磁クラッチ制御処理等の他の処理に対して、エンジン停止指令(燃料カット信号、電磁クラッチ切断信号等)を出力し、エンジン12を自動的に停止させるとともに、電磁クラッチ27を切断させる。このように、ステップS130,S140,S150の判定条件が全て満たされた場合に、エンジン12が自動停止される。
【0052】
なお、エンジン12の自動停止中には、MG22が回転機能を発揮し(電動機として機能し)、その回転がプーリ32、伝動ベルト33及びプーリ31を介して補機21に伝達され、同補機21が駆動される。この際、プーリ29はクランク軸15上を空回りし、MG22の駆動力はクランク軸15に伝達されない。
【0053】
そして、ステップS170において、停止判定フラグFを「0」から「1」に切替え、その後、このルーチンを終了する。また、前述したステップS130,S140,S150の判定条件のいずれか1つでも満たされないと、このルーチンを終了する。
【0054】
一方、前記ステップS120の判定条件が満たされている(F=1)と、ステップS180において、車両11が停車した後、所定時間T2が経過しているか否かを判定する。所定時間T2は、前述した所定時間T1よりも大きな値であり、例えば2秒である。ステップS180の判定条件が満たされていると、ステップS190〜S220において、エンジン12の自動始動条件が成立しているか否かを判定する。
【0055】
ステップS190では、前記ステップS110で算出した変化量ΔMCに基づき、図5に示す制御マップから変化量判定値を求める。この制御マップでは、前述したブレーキペダル43の踏込み量に対する液圧の特性(図4)を考慮し、変化量判定値が、マスタ圧MCの高い領域では、低い領域よりも小さな値に設定されている。詳しくは、変化量判定値は、マスタ圧MCの上昇にともない小さくなるように設定されている。そして、前記ステップS190では、変化量ΔMCが、前記のようにした求めた変化量判定値以上であるか否かを判定する。
【0056】
ステップS200では、斜度センサ48によって検出された路面斜度に基づき、図6に示す制御マップから液圧判定値を求める。この制御マップでは、液圧判定値は、路面斜度の最小値である場合(路面が水平である場合)に最小となる。液圧判定値は、路面斜度の大きな領域では、上り傾斜、下り傾斜に関係なく、小さな領域よりも大きな値に設定されている。詳しくは、液圧判定値は、路面斜度が大きくなるに従い大きくなるように設定されている。そして、前記ステップS200では、前記マスタ圧MCが液圧判定値以上であるか否かを判定する。
【0057】
ステップS210では、前記マスタ圧MCが始動領域に属しているか否かを判定する。特に、本実施形態では、マスタ圧MCが下限ガード値以上であるか否かを判定する。この下限ガード値は、前述した変化量判定領域と始動領域との境界となる液圧P1(=0.4MPa )よりも若干低い値であり、ここでは0.2MPa に設定されている。
【0058】
ステップS220では、ストップランプスイッチ47がオンされているか否かを判定する。同スイッチ47は、前述したように、ブレーキペダル43の非踏込み時にオフされることから、このオフ状態のとき、運転者には発進の意志があると考えられる。
【0059】
前記ステップS190〜S220の判定条件が全て満たされていると、エンジン12の自動始動条件が成立していないとして、このルーチンを終了する。これに対し、ステップS190〜S220の判定条件のいずれか1つでも満たされていないと、ステップS230において、点火時期制御処理、燃料噴射量制御処理、電磁クラッチの通電制御処理、MG駆動制御処理等の他の処理に対して、エンジン始動要求信号を出力する。この要求信号に応じて燃料噴射弁16からの燃料噴射及び点火プラグ17での点火が開始されるとともに、電磁クラッチ27が接続される。このときには、MG22は電動機として機能し、その回転がプーリ32、伝動ベルト33及びプーリ29を介してクランク軸15に伝達され、同クランク軸15が強制回転(クランキング)される。
【0060】
なお、電磁クラッチ27は自動始動後も接続され続ける。クランク軸15の回転がプーリ29、伝動ベルト33及びプーリ31,32を介して補機21及びMG22に伝達される。この伝達により補機21とともにMG22が駆動され、同MG22が発電機として機能する。
【0061】
次に、ステップS240において、停止判定フラグFを「1」から「0」に切替え、その後、このルーチンを終了する。
前記ステップS180の判定条件が満たされていないと、ステップS190,S200の処理を行うことなくステップS210へ移行する。すなわち、停車後、所定時間T2(=2秒)が経過するまでは、変化量ΔMCと変化量判定値との比較、マスタ圧MCと液圧判定値との比較が禁止される。従って、マスタ圧MCが下限ガード値(=0.2MPa )よりも低いか、ストップランプスイッチ47がオフされていれば、変化量ΔMCに関係なくエンジン12が自動始動されることとなる。
【0062】
ところで、マスタ圧MC、基準マスタ圧MCSM及び車速が、図7のタイミングチャートに示す態様で変化した場合、上述した自動停止・始動制御ルーチンの各処理は次のように行われる。
【0063】
タイミングt1よりも前のタイミングでは車両11が走行している。信号待ち等で、運転者が、車両11を一時的に停車させようとしてブレーキペダル43を踏込み、マスタ圧MCが液圧P2の前後で増加している。そして、車速が時間の経過に従い低下している。この場合には、ステップS120,S130の判定条件がともに満たされない。このため、ステップS110→S120→S130→リターンの順に処理が行われる。
【0064】
車速が0となり(タイミングt1)、その後、自動停止条件が成立し、かつ所定時間T1(=500ミリ秒)が経過し、かつブレーキペダル43が深く踏込まれてマスタ圧MCが高い(タイミングt2)と、ステップS110→S120→S130→S140→S150→S160→S170→リターンの順に処理が行われ、エンジン12が自動停止される。
【0065】
タイミングt1で車両11が停止した後、所定時間T2(=2秒)が経過するタイミングt3までは、ステップS180の判定条件が満たされない。このため、ブレーキペダル43が深くまで踏込まれていて、マスタ圧MCが下限ガード値以上であり、かつストップランプスイッチ47がオンされていれば、ステップS110→S120→S180→S210→S220→リターンの順に処理が行われる。その結果、マスタ圧MCの変化量ΔMCにかかわらずエンジン12が停止し続ける。
【0066】
車両11の停車後、ブレーキペダル43に対する踏力が弱められてマスタ圧MCが低下し、同マスタ圧MCが停止継続領域から変化量判定領域へ移行する。所定時間T2が経過したタイミングt3以降、ブレーキペダル43が多く踏込まれ続けているが、踏力がゆっくりと緩められる。変化量ΔMCが変化量判定値以上であり、マスタ圧MCが液圧判定値及び下限ガード値よりも高く、ストップランプスイッチ47がオンされている。このため、ステップS110→S120→S180→S190→S200→S210→S220→リターンの順に処理が行われる。その結果、エンジン12が停止し続ける。
【0067】
ブレーキペダル43に対する踏力が速く緩められて、変化量ΔMCが変化量判定値未満になる(タイミングt4)と、ステップS110→S120→S180→S190→S230→S240→リターンの順に処理が行われる。その結果、エンジン12が自動始動される。また、停止判定フラグFが「0」に切替えられる。
【0068】
次回の制御周期では、ステップS120の判定条件が満たされなくなる。このため、タイミングt4よりも後に、ステップS130での自動停止条件が成立しない限り、ステップS110→S120→S130→リターンの順に処理が行われ、エンジン12が作動し続ける。ブレーキペダル43に対する踏力の減少、及びアクセルペダルの踏込み操作により、車速が上昇する。
【0069】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)ブレーキペダル43の操作にともなうマスタ圧MC、及びその変化量ΔMCに基づきエンジン12を自動始動させている。このため、車両11を発進させるための発進準備操作として、パーキングブレーキを作動状態から解除する操作を行ったり、シフトレバーを非駆動レンジ(「N」、「P」)から駆動レンジ(「D」、「2」、「1」、「R」)に切替え操作したりする必要はない。上記の煩雑な発進準備操作が不要であり、運転者のブレーキペダル43に対する自然な操作を通じて、エンジン12を円滑に自動始動させることができる。
【0070】
(2)マスタ圧MC、及びその変化量ΔMCに基づくエンジン12の自動始動のタイミングは、運転者が発進したいと考えてアクセルペダルを踏込み操作するよりも前のタイミングである。これは、車両の発進のためにアクセルペダルが踏込まれる前に、通常、ブレーキペダル43が緩められるからである。このため、変化量ΔMCと変化量判定値との比較判定や、マスタ圧MCと液圧判定値との比較判定に基づき、運転者の発進の意志を早い時期に推定することができる。エンジン12のクランキング後、同エンジン12のトルクが駆動輪41に伝わって車両11が走行を始めるまでには少なからず遅れをともなうが、前記の早期推定により、車両11を素早く発進させることが可能となる。アクセルペダルを踏込んでから実際に車両11が発進するまでにタイムラグが少なくなり、そのタイムラグに起因するドライバビリティの悪化を抑制することができる。
【0071】
(3)サービスブレーキ機構42による制動力を緩和するためのブレーキペダル43の操作量相当値として、マスタシリンダ44内の液圧(マスタ圧MC)を検出し、その時間当りの変化量ΔMCを算出している。そして、マスタ圧MCが変化量判定領域に属し、かつ変化量ΔMC(負の値)が変化量判定値を下回っている場合に、車両11の停車にともない運転停止しているエンジン12を自動始動させるようにしている。
【0072】
このため、単に「マスタ圧MCが変化量判定領域に属している」という条件が満たされているだけではエンジン12は自動始動されない。この条件に加え、「マスタ圧MCの時間当りの変化量ΔMCが変化量判定値未満である」という条件が満たされた場合に、エンジン12が自動始動される。このように、制動力を緩和するための操作が素早く行われた場合(時間当りの変化量ΔMCが変化量判定値未満である場合)には、運転者に車両発進の意志があるとして、エンジン12が自動始動される。緩和のための前記操作がゆっくりと行われた場合(時間当りの変化量ΔMCが判定値以上である場合)には、運転者に発進の意志がないとして、エンジン12が停止され続ける。
【0073】
従って、単にマスタシリンダ内の液圧と所定のしきい値とを比較判定し、その判定結果に基づきエンジンを自動始動させるかどうかを決定する従来技術に比べ、運転者の発進意志をより高い精度で推定することができる。運転者の意図により沿った形でエンジン12を自動始動させ、運転者に与える違和感を少なくすることができる。
【0074】
(4)サービスブレーキ機構42による制動力が小さい場合には、運転者には、停車状態を維持する意志がなく、むしろ発進の意志があると考えられる。特に、トルクコンバータ付自動変速機35を搭載した車両では、エンジン運転中に自動変速機35のシフトレンジとして走行用レンジが設定されている場合、制動力が小さくなるとクリープ現象により車両11が動く。従って、運転者がこの現象を期待し、ブレーキペダル43に対する踏力を弱めることにより、サービスブレーキ機構42による制動力を小さくした場合、運転者には発進の意志があると考えられる。
【0075】
この点に関し本実施形態では、制動力が小さく、マスタ圧MCが始動領域に属する場合に、変化量ΔMCにかかわらずエンジン12を自動始動させるようにしている。従って、クリープ現象により車両11の発進を期待している運転者の意図により一層沿うことが可能となる。
【0076】
(5)上記(4)に関連するが、マスタ圧MCが、始動領域内の下限ガード値(変化量判定領域の下限値よりも低い値)よりも低い場合、変化量ΔMCにかかわらずエンジン12を自動始動させるようにしている。
【0077】
このため、単にマスタ圧MCが始動領域に属するとエンジン12を自動始動させるようにした場合に比べ、運転者の発進に対する意思をより確実に推測することができる。そして、運転者の意図により一層沿った形でエンジン12を自動始動させることができるようになる。
【0078】
(6)変化量判定値を、マスタ圧MCに応じた値に設定している。このため、制動力を緩和するためのブレーキペダル43の踏込み操作(踏込み量)とマスタ圧MCとの関係について、同マスタ圧MCの変化の度合が、踏込み量の領域に応じて異なっている(図4参照)ものの、その変化度合の相違を吸収することができる。この吸収により、ブレーキペダル43の操作量が多い領域であっても少ない領域であっても、同ブレーキペダル43が同程度の量操作されれば、いずれも変化量ΔMCが変化量判定値未満となり、エンジン12が始動される。従って、ブレーキペダル43の踏込み量の領域に関し、同ブレーキペダル43が同程度の量踏込まれたにもかかわらず、ある領域ではエンジンが始動されるのに、別の領域では始動されないという現象を解消し、同現象に起因する違和感を運転者に抱かせないようにすることができる。
【0079】
(7)マスタ圧MCの高い領域では低い領域よりも変化量判定値を小さな値に設定している。このため、マスタ圧MCの高い領域では、ブレーキペダル43の踏込み量に対するマスタ圧MCの変化量(減少量)ΔMCが多く、マスタ圧MCの低い領域では、同変化量ΔMCが少ないが、前記のようにマスタ圧MCの領域によって変化量判定値を異ならせることにより、マスタ圧MCの領域に応じた同マスタ圧MCの変化度合の相違を確実に吸収することができる。
【0080】
(8)ブレーキペダル43の踏込み操作により車両11が停車する前後には、一般に、運転者によるブレーキペダル43の操作が頻繁に行われ、操作量の変化が多い。これは、1つには、減速にともなう負の加速度を少しずつ緩和して、停車時のショックを小さくする目的で、ブレーキペダル43に加えている踏力を一時的に弱めてマスタ圧を逃すことによる。そのほかにも、停車状態維持のためにブレーキペダル43を踏込んでいる足を楽にするために踏力を弱めることにもよる。これらの場合には、ブレーキペダル43が緩められているにもかかわらず、運転者には発進の意志がないと考えられる。
【0081】
この点に関し、本実施形態では、車両11の停車後、所定時間T2が経過するまで、基本的には変化量ΔMCと変化量判定値との比較に基づくエンジン12の自動始動を禁止している。従って、車両11の停車直後において、発進の意志のない運転者によってブレーキペダル43が頻繁に操作された場合に、その運転者の意図に反してエンジン12が自動始動されるのを好適に抑制することができる。
【0082】
(9)車両11の停車直後であっても、ブレーキペダル43に力が加えられなくなった場合には、運転者が、再び車両発進のためにエンジン12の自動始動を望んでいると考えられる。このような状況としては、例えば、車両発進のために、ブレーキペダル43に対する踏力を緩め、そのブレーキペダル43からアクセルペダルに足を移してアクセル操作を行う場合が挙げられる。
【0083】
前記の点を考慮し、本実施形態では、ブレーキペダル43に対する踏力が非常に小さくなって(実質的に0となって)、ストップランプスイッチ47がオフになった場合、上記(8)の自動始動禁止の有無にかかわらず、エンジン12を即座に自動始動させている。従って、停車後、所定時間T2が経過していなくても、運転者に明らかに発進の意志があると考えられる場合には、エンジン12を自動始動させて車両11を発進させることができる。
【0084】
(10)車両11が停車している路面の斜度を検出し、その検出結果に基づき液圧判定値を設定している。そして、マスタ圧MCが変化量判定領域に属する場合、変化量ΔMCが変化量判定値以上であっても、マスタ圧MCが液圧判定値未満であると、エンジン12を自動始動させている。
【0085】
従って、路面斜度に応じて、停車状態を維持するために要求されるサービスブレーキ機構42の制動力が異なり、これにともない、運転者によるブレーキペダル43の操作量や、マスタ圧MCも異なるが、前記のように路面斜度を考慮することにより、路面斜度がエンジン12の自動始動に及ぼす影響を排除することができる。
【0086】
(11)路面斜度の大きな領域では小さな領域に比べ、停車状態を維持するために大きな制動力が要求される。これにともない、ブレーキペダル43の多くの操作量と、高いマスタ圧MCとが要求される。これに対し、本実施形態では、路面斜度の大きな領域は、小さな領域よりも液圧判定値を大きな値に設定している。このように路面斜度を考慮することにより、路面斜度がエンジン始動に及ぼす影響をより確実に排除することができる。
【0087】
(12)仮に、ブレーキペダル43があまり踏まれていない状態で、エンジン12が自動停止された場合、踏込み状態が変らないとすると、次回にエンジン12が自動始動されたとき、クリープ現象により、車両11が不用意に動くおそれがある。これに対し、本実施形態では、運転者がある程度ブレーキペダル43を踏んでいる(ステップS150)という条件を満たしているときに、エンジン12を自動停止させている。このため、エンジン12の自動停止時のブレーキペダル43の踏込み状態が次回の自動始動時まで続けられれば、前述した車両11の不用意な動きを未然に防止することができる。
【0088】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・ブレーキペダル43の踏込み状態を直接又は間接的に検出する操作状態検出手段として、前述したマスタ圧を検出する液圧センサ46に代え、ブレーキペダルの踏込み量(ストローク)を検出するブレーキストロークセンサを用いてもよい。また、ブレーキペダルに加えられる踏力を検出する踏力センサを用いてもよい。
【0089】
・変化量ΔMCを前記実施形態とは異なる方法で算出してもよい。例えば、そのときのマスタ圧と、所定時間(例えば200ミリ秒)前のマスタ圧との偏差を求め、これを変化量ΔMCとしてもよい。
【0090】
・本発明は、自動変速機に代え、手動変速機を搭載した車両にも適用することが可能である。
・「自動停止・始動制御ルーチン」のステップS140,S150の少なくともいずれか一方の処理を省略して、エンジン12を自動始動させてもよい。
【0091】
・前記実施形態では、マスタ圧MCが下限ガード値よりも低いと、変化量ΔMCにかかわらずエンジン12を自動始動させるようにしたが、液圧P1よりも低い場合、すなわち始動領域に属している場合に自動始動させてもよい。
【0092】
その他、前記各実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
(A)前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段による液圧が、前記変化量判定領域の下側の領域内の所定値よりも低い場合、前記変化量算出手段による変化量にかかわらず前記エンジンを始動させるものである。
【0093】
上記の構成によれば、操作状態検出手段による液圧が変化量判定領域の下側の領域に属するとエンジンが始動される場合に比べ、運転者の発進に対する意思をより確実に推測することが可能となる。そして、運転者の意図により一層沿った形でエンジンを始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用エンジンの自動始動制御装置の一実施形態についてその構成を示す略図。
【図2】自動停止及び自動始動を制御する手順を示すフローチャート。
【図3】自動停止及び自動始動を制御する手順を示すフローチャート。
【図4】アクセルペダルの踏込み量に対するマスタシリンダ内の液圧の特性を示すグラフ。
【図5】変化量判定値の決定に用いられる制御マップのマップ構造を示す略図。
【図6】液圧判定値の決定に用いられる制御マップのマップ構造を示す略図。
【図7】液圧及び車速の変動態様を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
11…車両、12…エンジン、42…サービスブレーキ機構、43…ブレーキペダル、44…マスタシリンダ、46…液圧センサ、48…斜度センサ、49…ECU(電子制御装置)。

Claims (7)

  1. 動力源としてのエンジンと、制動操作部材の操作に応じて車輪に制動力を付与する制動機構とを備える車両に用いられ、前記車両の停車にともない一時的に運転停止されている前記エンジンを、車両の発進に際し始動させるようにした車両用エンジンの自動始動制御装置において、
    前記制動機構による制動力を緩和するための前記制動操作部材の操作状態を直接又は間接的に検出する操作状態検出手段と、
    前記操作状態検出手段による操作状態の時間当りの変化量を算出する変化量算出手段と、
    前記操作状態検出手段による操作状態が所定の領域に属し、かつ前記変化量算出手段による変化量が所定の判定値未満である場合、前記車両の停車にともない運転停止されているエンジンを始動させる始動制御手段とを備え
    前記制動機構は、前記制動操作部材に加えられた力をマスタシリンダで液圧に変換し、その液圧により制動力を発生するものであり、
    前記操作状態検出手段は、前記マスタシリンダ内の液圧を前記制動操作部材の操作状態として検出するものであり、
    前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段による液圧が所定の変化量判定領域に属し、かつ前記変化量算出手段による変化量が前記判定値未満である場合、前記エンジンを始動させ、
    前記始動制御手段による変化量の判定値を、前記制動操作部材の操作量に対する前記マスタシリンダの液圧の変化量が大きい領域ほど前記マスタシリンダの液圧の変化量が小さい領域よりも小さく設定する変化量判定値設定手段をさらに備えることを特徴とする車両用エンジンの自動始動制御装置。
  2. 前記制動操作部材は、前記マスタシリンダの液圧が高い領域では、前記マスタシリンダの液圧が低い領域よりも前記操作量に対する前記マスタシリンダの液圧の変化量が大きいものであり、
    前記変化量判定値設定手段は、前記マスタシリンダの液圧が高い領域では、低い領域よりも変化量判定値を小さな値に設定する請求項1記載の車両用エンジンの自動始動制御装置。
  3. 前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段による液圧が、前記変化量判定領域の下側の領域に属する場合、前記変化量算出手段による変化量にかかわらず前記エンジンを始動させる請求項1又は2記載の車両用エンジンの自動始動制御装置。
  4. 前記車両の停車後、所定時間が経過するまで前記始動制御手段による始動を禁止する始動禁止手段をさらに備える請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用エンジンの自動始動制御装置。
  5. 前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段により前記制動操作部材の非操作状態が検出された場合、前記始動禁止手段による始動禁止の有無にかかわらず、前記エンジンを始動させる請求項4記載の車両用エンジンの自動始動制御装置。
  6. 前記車両が停車している路面の斜度を検出する路面斜度検出手段と、
    前記路面斜度検出手段による路面の斜度に応じた液圧の判定値を設定する液圧判定値設定手段と
    をさらに備え、
    前記始動制御手段は、前記操作状態検出手段による液圧が所定の変化量判定領域に属する場合、前記変化量算出手段による変化量が前記変化量判定値以上であっても、前記操作状態検出手段による液圧が前記液圧判定値未満であると、前記エンジンを始動させる請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用エンジンの自動始動制御装置。
  7. 前記液圧判定値設定手段は、前記路面斜度検出手段による路面斜度の大きな領域では、小さな領域よりも前記液圧判定値を大きな値に設定する請求項6記載の車両用エンジンの自動始動制御装置
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