JP4345179B2 - 磁界測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)の技術を応用し、磁気記録媒体や磁性膜などの表面近傍の局所的な磁界を測定する場合や、集積回路の微小配線の電流を測定する場合などに使用される磁界測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、磁気記録媒体や磁性膜などの表面近傍の局所的な磁界を高空間分解能で測定する手段として原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)の技術を発展させた磁気力顕微鏡(MFM:Magnetic Force Microscope)が実用化されている。
【0003】
一般的な磁気力顕微鏡は、カンチレバーの自由端に設けた磁性体チップを試料の表面近傍に配置させ、この磁性体チップに働く磁気力を検出することにより、試料の表面近傍の局所的な磁界を測定するというものであるが、磁性体チップは予め磁化したものを使用するとしている。
【0004】
そこで、一般的な磁気力顕微鏡では、磁界の検出感度を上げるために、カンチレバーを共振周波数付近で加振し、カンチレバーの振動の振幅や位相の変化を検出する方法をとっている。しかし、このようにすると、得られる結果が、磁界の勾配像となることや、磁性体チップの磁化方向により変わってしまうことから、測定結果の解釈が困難であるという問題点があった。
【0005】
このような問題点を解決する手法として、磁性体チップの磁化をコントロールすること、特に、変調することが考えられている。このように、磁性体チップの磁化を変調する手法を採用する場合には、試料からの磁界と磁性体チップとの相互作用を変調し、磁界の検出感度の向上を期待することができる。
【0006】
たとえば、アプライド・フィジックス・レターズ・第50巻(1987年)・第1455頁の論文や特開平5−203626号公報には、先端部を探針とするL字形の磁性体カンチレバーを設け、この磁性体カンチレバーの根元近傍にコイルを巻き、このコイルに流す電流を制御することにより、磁性体カンチレバーの先端部の磁化を制御する磁界測定装置が開示されている。
【0007】
また、特開平11−108941号公報には、カンチレバーの自由端に磁性体チップを形成すると共に、カンチレバーの磁性体チップ形成面に磁性体チップの根元が内側に位置するようなコイル部を有する導電路を形成し、この導電路に電流を流すことにより、導電路のコイル部から磁性体チップ付近に磁界を発生させて磁性体チップの磁化を制御する磁界測定装置が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平5−203626号公報に開示の磁界測定装置のように、先端部を探針とするL字形の磁性体カンチレバーを設け、この磁性体カンチレバーの根元近傍にコイルを巻き、このコイルに流す電流を制御することにより先端部の磁化を制御するという構成では、先端部の磁化制御を効率良く行うことができないという問題点があった。
【0009】
また、特開平11−108941号公報に開示の磁界測定装置のように、磁性体チップの根元にコイル部を形成するという構成では、コイル部から発生した磁界が、磁性体チップ以外の部分でも試料からの磁界と相互作用してしまうため、測定の空間分解能を低下させてしまうという問題点があった。
【0010】
ここに、特開平11−166936号公報には、カンチレバーの先端にコイルを設け、このコイルが発生する磁界が磁性体チップの先端に集中し、他の部分に漏れないように工夫した磁界測定装置が開示されている。この磁界測定装置によれば、空間分解能の向上を図ることができるが、プローブの加工に非常に複雑な工程が必要であるという問題点があった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑み、カンチレバーの自由端に設けた磁性体チップの磁化変調を簡単な構成で行うことができ、しかも、試料の表面近傍の局所的な磁界の測定を高感度で行うことができるようにした磁界測定装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁界測定装置は、カンチレバーの自由端に磁化変調可能な磁性体チップを有し、試料に対する位置を相対的に可変可能とされたプローブと、前記磁性体チップの内部に前記カンチレバーの撓み方向に磁化を発生させることができるように前記プローブの外部に配置され、前記試料の表面近傍に配置させた前記磁性体チップに、前記磁性体チップの前記カンチレバーの撓み方向の端部間での磁界の空間変化が1%以下となる交流磁界を与えるコイルと、前記コイルに交流電流を供給して前記交流磁界を発生させる交流電源を有しているというものである。
【0013】
本発明によれば、プローブの外部に配置させたコイルにより、試料の表面近傍に配置させた磁性体チップに交流磁界を与えることができるので、磁性体チップに簡単な構成で磁化変調を起こさせることができると共に、コイルが発生する磁界と試料が発生する磁界との相互作用がカンチレバーの振動に何ら影響を与えないようにすることができる。また、コイルは磁性体チップに、磁性体チップのカンチレバーの撓み方向の端部間での磁界の空間変化が1%以下となる交流磁界を与えるものとしているので、コイルが発生する磁界と磁性体チップとの相互作用によるカンチレバーの振動を小さく抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態の概念図である。図1中、1は試料、2は試料1を保持する試料台、3はプローブであり、プローブ3において、4はカンチレバー、5はカンチレバー4を支持するプローブ基板、6はカンチレバー4の自由端の下側に設けられた磁化変調可能である軟磁性体からなる磁性体チップである。
【0015】
また、7は3軸以上の移動機構を持ち、試料1とプローブ3の相対位置を変化させるために試料台2又はプローブ3を3軸方向以上に駆動可能とされた駆動装置であり、磁界測定時には、磁性体チップ6を試料1の表面近傍に位置させるように動作する。
【0016】
また、8は磁性体チップ6の内部に上下方向の磁化を発生させることができるようにプローブ3の外部に設けられたコイル、9はコイル8に交流電流を供給する交流電源であり、コイル8は、後述するように、内径が磁性体チップ6の大きさに比較して十分に大きく、コイル8が発生する磁界の磁性体チップ6付近における空間変化が非常に小さくなるようにしたものである。
【0017】
また、10はカンチレバー4の自由端の上下方向の撓みを検出する撓み検出器、11は撓み検出器10の出力信号の中から交流電源9の出力である交流電流に同期した成分を検出することにより、試料1の表面近傍の局所的な磁界を検出するロックイン検出器である。
【0018】
本発明の一実施形態は、駆動装置7により磁性体チップ6を試料1の表面近傍に位置させ、コイル8に交流電源9から交流電流を供給し、コイル8が発生する交流磁界により磁性体チップ6を磁化変調し、試料1が発生する磁界から磁性体チップ6が受ける磁気力を周期的に変化させてカンチレバー4の自由端を上下方向に振動させ、カンチレバー4の上下方向の振動を撓み検出器10で検出し、撓み検出器10の出力信号の中から交流電源9の出力である交流電流に同期した成分をロックイン検出器11で検出することにより、試料1の表面近傍の局所的な磁界を測定するというものである。
【0019】
なお、本発明の一実施形態においては、磁性体チップ6を試料1の表面近傍に位置決めし、走査型プローブ顕微鏡で一般的なように、磁性体チップ6を試料表面と接触させずに一定量浮かしたまま磁性体チップ6を試料表面に対して相対的に走査し、各点での磁界を測定する工程が実行されるが、磁性体チップ6の試料1の表面近傍への位置決めは、例えば、駆動装置7により試料台2又はプローブ3を駆動し、試料1と磁性体チップ6との距離を縮め、磁性体チップ6の先端を試料表面に接触させ、撓み検出器10により磁性体チップ6の先端が試料表面に接触したことを検出し、その後、試料1と磁性体チップ6との距離を一定量広げることにより行うことができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態においては、磁性体チップ6の大きさに比べて、十分に大きな内径を持つコイル8により、ほぼ一様な磁界を磁性体チップ6付近に発生させ、磁性体チップ6を磁化変調するが、変調周波数f[Hz]は、磁性体チップ6の磁化がコイル8からの交流磁界に十分に追随できる範囲、かつ、カンチレバー4の機械的共振周波数以下とする。
【0021】
図2はコイル8が発生する交流磁界による磁性体チップ6の磁化状態を説明するための図であり、図2Aは磁性体チップ6に与えられる交流磁界12の向きが上向きの場合、図2Bは磁性体チップ6に与えられる交流磁界12の向きが下向きの場合を示している。
【0022】
図2Aに示すように、磁性体チップ6に与えられる交流磁界12の向きが上向きの場合には、磁性体チップ6の上端及び下端にはそれぞれ正磁荷13及び負磁荷14が発生し、磁性体チップ6は矢印15に示すように磁化され、この場合、たとえば、試料1から上向きの磁界16が与えられると、磁性体チップ6には下向きの磁気力17が発生し、カンチレバー4は下側に撓むことになる。
【0023】
これに対して、図2Bに示すように、磁性体チップ6に与えられる交流磁界12の向きが下向きの場合には、磁性体チップ6の上端及び下端にはそれぞれ負磁荷18及び正磁荷19が発生し、磁性体チップ6は矢印20に示すように磁化され、この場合、たとえば、試料1から上向きの磁界16が与えられると、磁性体チップ6には上向きの磁気力21が発生し、カンチレバー4は上側に撓むことになる。
【0024】
本発明の一実施形態においては、磁性体チップ6は、コイル8から与えられる交流磁界12により、図2Aに示す磁化状態と図2Bに示す磁化状態とを交互に取るように磁化変調されるので、磁性体チップ6が試料1の磁界から受ける磁気力が周波数fで変化し、カンチレバー4は、周波数fで振動することになる。そこで、本発明の一実施形態においては、カンチレバー4の上下方向の撓みを撓み検出器10で検出し、カンチレバー4の上下方向の振動の振幅及び位相をロックイン検出器11で検出するようにしている。
【0025】
ここに、カンチレバー4の上下方向の振動の振幅は、試料1が発生する試料1の表面近傍の磁界の試料表面に垂直な成分の大きさに比例するので、試料1が発生する試料1の表面近傍の垂直方向の磁界の大きさは、カンチレバー4の上下方向の振動の振幅を検出することで分かる。
【0026】
また、図2Aに示すように交流磁界12が上向きの時にカンチレバー4が下側に撓むという位相関係あるいは図2Bに示すように交流磁界が下向きの時にカンチレバー4が上側に撓むという位相関係があるならば、試料1の磁界が上向きであることが分かり、交流磁界が上向きの時にカンチレバー4が上側に撓むという位相関係あるいは交流磁界が下向きの時にカンチレバー4が下側に撓むという位相関係があるならば、試料1の磁界が下向きであることが分かる。
【0027】
なお、図2の例では、磁性体チップ6が受ける磁気力は、磁性体チップ6の下端の表面磁荷14、19が受けるものとしている。なぜなら、磁性体チップ6が試料1から受ける磁気力を磁性体チップ6の下端の表面磁荷14、19が受ける磁気力と、上端の表面磁荷13、18が受ける磁気力に分けて考えると、磁性体チップ6の上端は試料1の表面から遠いので、試料1からの磁界が弱まっていること、及び、試料1の表面の広い部分からの磁界を平均して受けるので、細かい構造をもっている場合には、それらが平均化されることから、磁性体チップ6の下端の表面磁荷14、19が受ける磁気力が支配的になるとみることができ、磁性体チップ6が受ける磁気力は、磁性体チップ6の下端の表面磁荷14、19が受けるものとしても問題はない。
【0028】
このように、本発明の一実施形態では、磁界変調と同期するカンチレバー4の振動を検出するとしているので、試料1からの磁界と無関係にコイル8からの交流磁界12によりカンチレバー4が振動することを避けなければならない。そのため、コイル8の内径を大きくし、磁性体チップ6の大きさの中でのコイル8による磁界の空間変化を小さくするようにしている。なぜなら、空間変化が小さいほど、コイル8の磁界により磁性体チップ6が受ける磁気力が減少するからである。
【0029】
そこで、コイル8が発生する磁界の空間的な一様性として、どの程度が必要となるかを考察する。磁性体チップ6の磁化は、コイル8からの磁界により起こり、試料1からの磁界による磁気力は下端の磁化mに作用し、上端の磁化−mへの磁気力は前述したように無視すると、コイル8からの磁界による磁気力は、下端の磁荷mと上端の磁荷−mへ、ほぼキャンセルするように働くが、空間的な変化分だけ、キャンセルされずに残ることになる。
【0030】
ここに、コイル8から磁性体チップ6に1mTの磁界を印加し、0.01mTの試料1の磁界を測定しようとする場合を考えると、試料1からの磁界による磁気力はm×0.01であり、コイル8からの磁界による磁気力はm×1×空間変化率となるので、この2つが同程度であるためには、磁性体チップ6の上端と下端でのコイル8の磁界の変化量は1%以下でなければならない。
【0031】
たとえば、コイル8の長さを2mm、磁性体チップ6の下端位置とコイル8の上端との距離を1mmとし、磁性体チップ6の大きさとしてコイル8の軸方向に50μmの大きさを仮定すると、コイル8の内径として10mm以上あれば、コイル8からの磁界の空間変化が1%以下となる。つまり、コイル8の内径として磁性体チップ6の大きさ、特に磁化方向の長さの200倍以上が必要となる。
【0032】
なお、コイル8からの磁界による磁気力は、自身で磁化したものに作用するので、コイル8からの磁界が反転すると磁性体チップ6の磁化も反転するので、カンチレバー4の振動周波数は、交流磁界の周波数の2倍(2f)となる。したがって、試料1からの磁界による振動(周波数f)と同程度の振動があっても、ロックイン検出することで影響は小さくなり、試料1からの磁界による振動の測定を高精度で行うことができる。
【0033】
上記では、コイル8からの磁界により振動する周波数2fのカンチレバー4の振動を考察したが、測定に対して影響するものとして、そのほかに磁性体チップ6の残留磁化の影響により生じる周波数fの振動というものがある。残留磁化といったが、地磁気など、環境に存在する磁界によって磁性体チップ6が磁化しているものと考えても良い。このような残留磁化が磁性体チップ6に存在すると、コイル8により交流磁界を印加した場合、残留磁化にコイル8からの僅かだが空間的に変化する磁界が作用してカンチレバー4に周波数fでの振動が生じてしまう。
【0034】
このような残留磁化によるカンチレバー4の振動を抑えるためには、図3に示すように、電流値を可変可能とした直流電流を出力する直流電源22を設け、この直流電源22からコイル8に直流電流を供給し、直流磁界を発生させることが効果的である。このような直流磁界により残留磁化をキャンセルすることができるからである。
【0035】
具体的には、試料1からの磁界が存在しない位置に磁性体チップ6を移動し、コイル8に対して交流電源9からの交流電流と直流電源22からの直流電流を供給し、ロックイン検出値がゼロに近くなるように、すなわち、カンチレバー4の振動が最も小さくなるように、直流電源22から出力される直流電流の値を調整して固定する。
【0036】
また、本発明の一実施形態は、磁気記録媒体や磁性膜などの表面近傍の局所的な磁界を測定する場合のほか、集積回路の微小配線の電流を測定する場合にも使用することができる。図4は本発明の一実施形態を使用して集積回路の配線に流れる電流を測定する方法を説明するための図であり、図4中、23は集積回路、24は配線である。
【0037】
本発明の一実施形態を使用して集積回路23の配線24に流れる電流を測定する場合には、配線24の上方で配線24を横切るように磁性体チップ6を走査し、配線24に流れる電流により発生する磁界を検出してロックイン検出値を測定する。このようにすると、たとえば、図5のようなグラフを得ることができる。縦軸は検出した磁界強度を示し、位相が反転した場合にマイナスとして表している。また、横軸は磁性体チップ6の走査方向の位置を示し、配線24を横切る線上で、検出した磁界強度がゼロ付近に配線24があることが分かる。そして、同図に示した磁界強度の変化量25が配線24の電流値に比例することが確かめられているので、この変化量25から配線24の電流値を算出することができる。
【0038】
図6は本発明の一実施形態の第1具体例を示す図であり、コイル8の形状と試料位置26を図示し、その他の部分は図示を省略している。この例では、コイル8は、内径を50mmとし、長さを10mmとし、試料位置26は、コイル8の軸上で、コイル8の端からの距離が15mmの位置としている。このようにすると、試料位置26で軸上10μm離れた位置での交流磁界の空間変化を0.1%以下とすることができ、10μm程度の大きさの磁性体チップ6を使用する場合に適したものとなる。
【0039】
なお、コイル8が発生する交流磁界の空間変化をより小さくするには、試料位置26をコイル8の内部の中心付近に設定するほうが有利であるが、コイル8の内部に試料位置26を設定すると、試料1の大きさが制限されることから、本発明の一実施形態においては、試料位置26をコイル8の外部としている。また、コイル8の内径は、磁性体チップ6の大きさの5000倍と非常に大きいが、これは空間的な一様性だけでなく、15mm程度離れた位置に小電流で磁界を印加するには、コイル8が大きい方が適しているからである。
【0040】
図7は本発明の一実施形態の第2具体例を示す図であり、本発明の一実施形態の第2具体例においては、試料台2として、透磁率の低い非磁性材質からなるものが使用され、コイル8は試料台2の下部に配置するようにされている。また、駆動装置7として、ピエゾ素子を用いた3軸ステージ27が使用され、プローブ3は、3軸ステージ27の先に固定されており、試料1に対して3軸方向に移動できるようにされている。
【0041】
また、撓み検出器10は、光テコの原理を利用するために、半導体レーザ28と2分割受光器29とで構成されており、半導体レーザ28からカンチレバー4に照射したレーザ光の反射光を2分割受光器29で受けて、2分割受光器29上での反射光の位置を出力するとしている。また、30は支持体であり、コイル8や試料台2の支柱31などは支持体30に固定されている。なお、ロックイン検出器11や交流電源9などは図示を省略している。
【0042】
図8は本発明の一実施形態の第3具体例を示す図である。図8中、32は駆動装置7をなすピエゾ素子を用いた3軸ステージであり、試料台2は3軸ステージ32の上に乗っており、3軸ステージ32は支持体33に固定されている。また、コイル8は、試料1の上方に配置され、支持体33に固定部34を介して固定されており、プローブ3は、コイル8の内部を貫いている支持体33の先端に固定されている。なお、撓み検出器10やロックイン検出器11や交流電源9などは図示を省略している。
【0043】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、プローブ3の外部に配置させたコイル8により、試料1の表面近傍に配置させた磁性体チップ6に交流磁界を与えることができるので、カンチレバー4の自由端に形成された磁性体チップ6に簡単な構成で磁化変調を起こさせることができると共に、コイル8が発生する磁界と試料1が発生する磁界との相互作用がカンチレバー4の振動に何ら影響を与えないようにすることができる。また、コイル8による交流磁界の磁性体チップ6付近の空間変化が小さくなるようにしているので、コイル8が発生する交流磁界と磁性体チップ6との相互作用によるカンチレバー4の振動を無視することができる程度に小さくすることができる。
【0044】
したがって、特開平11−166936号公報に開示の磁界測定装置が備えるような複雑な構成のプローブを用意しなくとも、カンチレバー4の自由端に設けた磁性体チップ6の磁化変調を簡単な構成で行うことができ、しかも、試料1の表面近傍の局所的な磁界測定を高感度で行うことができる。
【0045】
なお、本発明と類似の形態をしているものに、特開平11−142105号公報に開示のプローブ顕微鏡がある。このプローブ顕微鏡は、磁界測定を目的としていないが、磁性体チップを有するカンチレバーと、プローブの外部に配置されたコイルを備え、このコイルに交流電流を流すことが記されている。しかし、このプローブ顕微鏡は、コイルは本発明とは逆に積極的にカンチレバーを振動するためにコイルを使用するものであり、形状もそれに適したもの、すなわち、磁性体チップ付近の空間変化を大きくするものであるはずであり、本発明とは本質的に異なるものである。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、プローブの外部に配置させたコイルにより、試料の表面近傍に配置させた磁性体チップに空間変化の小さい交流磁界を与えることができる構成としたことにより、カンチレバーの自由端に形成された磁性体チップに簡単な構成で磁化変調を起こさせることができ、しかも、試料の表面近傍の局所的な磁界の測定を高感度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の概念図である。
【図2】本発明の一実施形態において、コイルが発生する交流磁界による磁性体チップの磁化状態を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態を使用して集積回路の配線に流れる電流を測定する方法を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態を使用して集積回路の配線に流れる電流を測定する方法を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態の第1具体例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態の第2具体例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態の第3具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 試料
2 試料台
3 プローブ
4 カンチレバー
5 プローブ基板
6 磁性体チップ
7 駆動装置
8 コイル
9 交流電源
10 撓み検出器
11 ロックイン検出器
12 交流磁界
13 正磁荷
14 負磁荷
15 磁化の方向
16 磁界
17 磁気力
18 負磁荷
19 正磁荷
20 磁化の方向
21 磁気力
22 直流電源
23 集積回路
24 配線
25 磁界強度の変化量
26 試料位置
27 3軸ステージ
28 半導体レーザ
29 2分割受光器
30 支持体
31 支柱
32 3軸ステージ
33 支持体
34 固定部

Claims (2)

  1. カンチレバーの自由端に磁化変調可能な磁性体チップを有し、試料に対する位置を相対的に可変可能とされたプローブと、
    前記磁性体チップの内部に前記カンチレバーの撓み方向に磁化を発生させることができるように前記プローブの外部に配置され、前記試料の表面近傍に配置させた前記磁性体チップに、前記磁性体チップの前記カンチレバーの撓み方向の端部間での磁界の空間変化が1%以下となる交流磁界を与えるコイルと、
    前記コイルに交流電流を供給して前記交流磁界を発生させる交流電源を有していることを特徴とする磁界測定装置。
  2. 前記コイルに電流値を可変可能とした直流電流を供給する直流電源を有していることを特徴とする請求項1記載の磁界測定装置。
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