しかるに、上記特許文献1、2においては、単一の対物レンズ(レンズ群)で3波長帯域の光束を、それぞれに対応した光ディスクに対して小さな収差で結像させる設計(トリプル互換方式)となっているため、コスト的には好ましいものの、各々の波長に対する設計マージンが小さく、一般的に設計が難しいという問題がある。また特に、特許文献2による2枚玉構成の対物レンズを用いたトリプル互換方式では、両対物レンズの軸合わせに高い精度が要求されるという問題、あるいは光軸方向の厚みが大きくなるという問題がある。従って、単一の(1群の)対物レンズによってトリプル互換を達成することは、量産性、サイズの面から不利であるといえる。
これに対し、例えば高密度DVDに対して記録光又は再生光を集光させる対物レンズと、DVDとCDに対して記録光又は再生光を集光させる対物レンズとを別に設け、光ディスクの種類に応じて対物レンズを切り替えることでトリプル互換を実現する光ピックアップ装置も開発されている。しかるに、光ディスクが装填される部位は通常1カ所であるから、光ディスクに応じて、使用する対物レンズを切り替えて用いる必要が生じるが、2つの対物レンズを別に設けることにより、適切な情報の記録及び/又は再生を行うために、個々の対物レンズについて対応する光ディスクの傾き等に対するコマ調整を行わなければならない。例えば集光光学系に液晶光学素子などを設ければ、対物レンズにシフトや傾きが生じていたとしても、ある程度その影響を補正できる。しかしながら、傾角が大きくなると液晶光学素子の負担も大きくなるため、対物レンズのシフトや傾きは極力抑えることが好ましい。
ここで、2つの対物レンズともにコマ収差の小さいものをレンズホルダを介してアクチュエータに取り付けた上で、光ディスクの傾きに応じてアクチュエータベースを光ディスクに対して角度調整を行い、両対物レンズのコマ収差を抑制することも考えられる。しかし、この手法だと、対物レンズ単体のコマ収差が小さくなければならず、そのような対物レンズの生産が難しいという問題がある。又、2つの対物レンズをレンズホルダを介してアクチュエータに接着する際の両レンズのチルト差を補正できず、どちらか一方のコマ調整を優先するか、もしくは中間的なコマ調整を行うしかないという問題もある。更には、3つの異なる波長の光源の、組み立て上の位置ズレに伴うコマ収差を補正することができないなどの問題もある。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、3つの異なる波長の光束と2つの対物レンズとを組み合わせて、3種類の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる光ピックアップ装置を組み立てる際に、組立時の手間を軽減できると共に、適切な情報の記録及び/又は再生を可能とする光ピックアップ装置を得ることができる光ピックアップ装置の組立方法及びそれにより組み立てられる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源及び前記第3の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記アクチュエータベースの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズが、前記第2の光源からの光束を、前記第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記レンズホルダに対する前記第2の対物レンズの傾きを調整するステップと、を有することを特徴とする。
まず、「像高優先設計」及び「傾角優先設計」について説明する。像高優先設計とは、球面収差と正弦条件が補正された設計をいう。図1(a)、(b)は、光源LDと、対物レンズOBJと、光ディスクODからなる系を示す概略図である。本来的には、図1(a)の点線の光源LDと実線の対物レンズOBJ、或いは図1(b)の実線の光源LDと点線の対物レンズOBJの関係のように、光ディスクODの法線と対物レンズOBJの光軸が一致し、これらを含む直線L上に光源LDがあるような配置(理想配置)が好ましい。この理想配置に対して、図1(a)に示すように光源LDが直線Lに対して光軸直交方向にシフトすると、光ディスクODの情報記録面に結像されるスポットAにコマ収差が発生する。一方、理想配置に対して、図1(b)に示すように対物レンズOBJが直線Lに対して角度θ傾く(チルトする)と、光ディスクODの情報記録面に結像されるスポットBにコマ収差が発生する。
ここで、対物レンズが像高優先設計の場合、コマ収差は光源のシフトによって発生する対物レンズの入射角にあまり依存せず、小さな値を維持する一方で、対物レンズのチルト角に対する依存性は大きくなる。これに対し、対物レンズが傾角優先設計の場合、像高優先設計に比べレンズチルト角によるコマ収差発生量は大幅に軽減されるが、一方で対物レンズの入射角に対する依存性が高くなる。
図1(c)、(e)は像高優先設計を行った対物レンズの3次コマ収差特性を示す図である。図から明らかなように、像高優先設計の場合には、光源が光ピックアップ装置の光軸に対してシフトしても、コマ収差は殆ど変わらないのに対し、光ディスク又は対物レンズが傾いた場合には、コマ収差が顕著に増加する。
これに対し、傾角優先設計とは、球面収差は補正されたまま、正弦条件が補正されない設計をいう。即ち像高優先設計とは逆であり、図1(b)に示すように、対物レンズOBJがチルト(傾き)を起こすことによって、光ディスクODの情報記録面に結像されるスポットBにコマ収差が生じた場合、傾角に対するそのコマ収差量は比較的小さく抑えられるが、図1(a)に示すように、光源LDが直線Lに対して光軸直交方向にシフトしたときに、光ディスクODの情報記録面に結像されるスポットAにコマ収差が生じた場合、シフト量に対するそのコマ収差量は比較的大きくなるという特性を有する。
図1(d)は傾角優先設計を行った対物レンズの3次コマ収差特性を示す図である。図から明らかなように、対物レンズが傾角優先設計の場合には、像高優先設計に比べレンズチルト角によるコマ収差発生量は大幅に軽減されるが、一方で対物レンズの入射角に対する依存性が高くなることがわかる。
以下に、対物レンズの具体的設計例を示す。λは光源波長であり、NAは開口数であり、tは光情報記録媒体の保護層の厚さである。
(a−1)λ=405±15nm,NA=0.85±0.05、t=0.1±0.03mm
(a−2)λ=405±15nm,NA=0.65±0.05、t=0.6±0.05mm
(b)λ=655±15nm,NA=0.65±0.05、t=0.6±0.1mm
(c)λ=780±15nm,NA=0.50±0.05、t=1.2±0.1mm
上記(a−1)、(a−2)、(b)、(c)の各範囲内における光学設計で、像高優先設計の場合、対物レンズへの入射角が1度のときに生じるコマ収差が0.03λrms以下である。一方、上記(a−1)、(a−2)、(b)の各範囲内における光学設計で、傾角優先設計の場合、対物レンズチルトが1度発生したときに生じるコマ収差が0.08λrms以下であり、上記(c)の範囲内における光学設計で、傾角優先設計の場合、対物レンズチルトが1度発生したときに生じるコマ収差が0.04λrms以下である。
本発明は、これらの設計手法により形成された対物レンズの特性を利用して、最適な組立を達成するものである。なお、調整時における結像スポットのコマ収差の検出については、対物レンズより出射した光を、各光源に対応する情報記録媒体の対物レンズ側の保護膜に相当するガラス又は樹脂基板を介して、その結像スポットを拡大光学系によって観察すれば良いが、この方法に限定するものではない。
請求項1に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、前記第1の対物レンズが、前記第1の光源からの光束に対して像高優先設計がなされており、前記第2の対物レンズが、前記第2の光源及び前記第3の光源からの光束に対して像高優先設計がなされており、従って各対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高いので、各対物レンズの傾きを精度良く調整することで、いずれの光源からの光束を用いても光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができ、それにより適切な情報の記録及び/又は再生を行うことができる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。
尚、本明細書中に述べる光ピックアップ装置の組立方法では、対物レンズの傾き調整(アクチュエータベース又はレンズホルダごとの傾き調整を含む)、又は光源のシフト調整処理の前に、第1の光源、第2の光源、第3の光源からの光束の軸線と、第1の対物レンズ、及び第2の対物レンズの光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整しておけば、対物レンズの傾き調整又は光源のシフト調整処理を短時間で精度良く行うことができるので好ましい。ここで、光ピックアップ装置の基準光軸とは、光ピックアップ装置の集光光学系の基準光軸を指し、実際の設計時又は組立時には、コースアクチュエータの移動用レールなどを基準光軸として用いる場合がある。
図11は、光ピックアップ装置の一例を上面から見た図であり、例えば特開平6−215384号に開示されているものと同じである。光ディスクODを駆動するスピンドルモータSMを搭載したドライブベースBの中央に、シークベースSBが配置され、シークベースSBの片側に移動用レールRAILが配置されている。このレールRAILは、一対のコイル群COIL内を延在しており、これにガイドされるようにして、コースアクチュエータCAが光ディスクODの半径方向に移動可能に配置されている。コースアクチュエータCAは、レンズホルダHDを駆動するアクチュエータベースACTBを支持している。
請求項2に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、前記第3の光源からの光束を入射した際に前記第2の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記アクチュエータベースの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記レンズホルダに対する前記第2の対物レンズの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第3の光源からの光束を第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第3の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置の組立方法によれば、前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束に対して像高優先設計がなされており、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束に対して像高優先設計がなされているので、前記第1の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第1の光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高い。又、前記第2の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第2光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高い。そこで、前記第1の光源からの光束を使用する際における前記第1の対物レンズの傾きと、前記第2の光源からの光束を使用する際における前記第2の対物レンズの傾きとを精度良く調整することで、いずれの光源からの光束を用いても光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができ、それにより適切な情報の記録及び/又は再生を行うことができる。更に、前記第2の対物レンズは、前記第3の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされているので、前記第3の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑えるように調整すれば、前記第3の光源からの光束を用いても第3光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもできる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。
請求項3に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束を入射した際に前記第2の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、前記第3の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記アクチュエータベースの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第3の光源からの光束を第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記レンズホルダに対する前記第2の対物レンズの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第2の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置の組立方法によれば、前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束に対して像高優先設計がなされており、前記第2の対物レンズは、前記第3の光源からの光束に対して像高優先設計がなされているので、前記第1の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第1の光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高い。又、前記第2の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第3の光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高い。そこで、前記第1の光源からの光束を使用する際における前記第1の対物レンズの傾きと、前記第3の光源からの光束を使用する際における前記第2の対物レンズの傾きとを精度良く調整することで、いずれの光源からの光束を用いても光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができ、それにより適切な情報の記録及び/又は再生を行うことができる。更に、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされているので、前記第2の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑えるように調整すれば、前記第2の光源からの光束を用いても第2光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもできる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。
請求項4に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束を入射した際に前記第2の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、前記第3の光源からの光束を入射した際に前記第2の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記アクチュエータベースの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第2の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第3の光源からの光束を第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第3の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置の組立方法によれば、前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束に対して像高優先設計がなされているので、前記第1の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第1の光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高いので、前記第1の光源からの光束を使用する際における前記第1の対物レンズの傾きを精度良く調整することで、前記第1の光源からの光束を用いても前記第1光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができ、それにより適切な情報の記録及び/又は再生を行うことができる。更に、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされており、また前記第2の対物レンズは、前記第3の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされているので、前記第2の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑え、且つ前記第3の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑えるように調整すれば、前記第2の光源からの光束を用いても第2光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもでき、更に前記第3の光源からの光束を用いても第3光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもできる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。尚、第2の光源のシフト調整処理と、第3の光源のシフト調整処理とは、互いに光学的に独立した調整であるため、いずれを先に行っても良い。
請求項5に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束を入射した際に前記第1の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源及び前記第3の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、
前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記アクチュエータベースの傾きを調整するステップと、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第1の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置の組立方法によれば、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束に対して像高優先設計がなされており、且つ前記第3の光源からの光束に対して像高優先設計がなされているので、前記第2の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第2の光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高いので、前記第2の光源からの光束を使用する際における前記第2の対物レンズの傾きを精度良く調整することで、前記第2の光源又は前記第3の光源からの光束を用いても前記第2又は前記第3光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができ、それにより適切な情報の記録及び/又は再生を行うことができる。更に、前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされているので、前記第1の光源からの光束の光軸と、前記第1の対物レンズの光軸とのシフト量を抑えるように調整すれば、前記第1の光源からの光束を用いても第1光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもできる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。
請求項6に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束を入射した際に前記第1の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、前記第3の光源からの光束を入射した際に前記第2の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、
前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記アクチュエータベースの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第3の光源からの光束を第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第3の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第1の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置の組立方法によれば、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束に対して像高優先設計がなされているので、前記第2の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第2の光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高いので、前記第2の光源からの光束を使用する際における前記第2の対物レンズの傾きを精度良く調整することで、前記第2の光源からの光束を用いても前記第2光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができ、それにより適切な情報の記録及び/又は再生を行うことができる。更に、前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされており、前記第2の対物レンズは、前記第3の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされているので、前記第1の光源からの光束の光軸と、前記第1の対物レンズの光軸とのシフト量を抑え、且つ前記第3の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑えるように調整すれば、前記第1の光源からの光束を用いても第1光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもでき、更に前記第3の光源からの光束を用いても第3光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもできる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。尚、第1の光源のシフト調整処理と、第3の光源のシフト調整処理とは、互いに光学的に独立した調整であるため、いずれを先に行っても良い。
請求項7に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束を入射した際に前記第1の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束を入射した際に前記第2の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、前記第3の光源のシフトによる光軸の傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.03λrms以下である特性を有し、
前記第2の対物レンズを介して、前記第3の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記アクチュエータベースの傾きを調整するステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第2の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第1の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置の組立方法によれば、前記第2の対物レンズは、前記第3の光源からの光束に対して像高優先設計がなされているので、前記第2の対物レンズは、コマ収差を所定値以内に抑えるに当たって、第3の光源のシフトによる入射光束の傾きに対しコマ調整感度が低い。一方、その対物レンズのチルトに対してはコマ調整感度が高いので、前記第3の光源からの光束を使用する際における前記第2の対物レンズの傾きを精度良く調整することで、前記第3の光源からの光束を用いても前記第3光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができ、それにより適切な情報の記録及び/又は再生を行うことができる。更に、前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされており、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされているので、前記第1の光源からの光束の光軸と、前記第1の対物レンズの光軸とのシフト量を抑え、且つ前記第2の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑えるように調整すれば、前記第1の光源からの光束を用いても第1光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもでき、更に前記第2の光源からの光束を用いても第2光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることもできる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。尚、第1の光源のシフト調整処理と、第2の光源のシフト調整処理とは、互いに光学的に独立した調整であるため、いずれを先に行っても良い。
請求項8に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、380nm≦λ1≦450nmを満足する第1の波長λ1の光を出射する第1の光源と、600nm≦λ2≦700nmを満足する第2の波長λ2の光を出射する第2の光源と、750nm≦λ3≦850nmを満足する第3の波長λ3の光を出射する第3の光源と、第1の対物レンズと、第2の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを支持するアクチュエータベースと、前記第1、第2又は第3の光源と、前記第1又は第2の対物レンズとの間の光路内に配置された液晶素子と、を有し、前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を、厚さt2(t1≦t2)の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第3光源からの光束を、厚さt3(t2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置の組立方法であって、
前記液晶素子は、前記第1の光源と前記第1の対物レンズ、前記第2の光源と前記第2の対物レンズ、前記第3の光源と前記第2の対物レンズの少なくとも一つの間に配置され、情報の記録及び/又は再生を行おうとする光情報記録媒体の情報記録面に集光された光束におけるコマ収差を制御するようになっており、
前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束を入射した際に前記第1の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源及び前記第3の光源からの光束を入射した際に前記第2の対物レンズの傾きが1度のとき発生するコマ収差が0.08λrms以下である特性を有し、
前記第1の対物レンズを介して、前記第1の光源からの光束を第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第1の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第2の光源からの光束を第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第2の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、
前記第2の対物レンズを介して、前記第3の光源からの光束を第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させるようにした時、該集光スポットのコマ収差が軽減するよう、前記第3の光源に関してシフト調整処理を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置の組立方法によれば、前記第1の対物レンズは、前記第1の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされており、前記第2の対物レンズは、前記第2の光源及び前記第3の光源からの光束に対して傾角優先設計がなされているので、前記第1の光源からの光束の光軸と、前記第1の対物レンズの光軸とのシフト量を抑え、且つ前記第2の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑え、且つ前記第3の光源からの光束の光軸と、前記第2の対物レンズの光軸とのシフト量を抑えるように調整すれば、いずれの光源からの光束を用いてもそれぞれ光情報記録媒体の情報記録面に集光されたスポットにおいてコマ収差を抑えることができる。又、光情報記録媒体の反りなどに起因して生ずるコマ収差や、部品精度や組立精度の限界により残った誤差に起因して生じるコマ収差は、前記液晶素子を利用してより小さく抑えることができる。尚、第1の光源のシフト調整処理と、第2の光源のシフト調整処理と、第3の光源のシフト調整処理とは、各々光学的に独立した調整であるため、いずれを先に行っても良い。
請求項9に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項2〜8のいずれかに記載の発明において、前記シフト調整処理は、調整すべき前記光源を基準光軸直交方向に移動させることで行うことを特徴とする。
請求項10に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記第1の光源と前記第2の光源とが同一の筐体内に収容されていることを特徴とするので、部品点数を抑え、且つ光ピックアップ装置をコンパクトにできる。尚、このように同一筐体内に2つの光源を収容すると、少なくとも一方の光源の光軸は、対物レンズの光軸に対してシフトする恐れがあるが、このシフト量が150μm程度以下であれば、対物レンズに入射する両光束の傾きは1度程度以内に収まるため、光軸に対して傾斜の大きい光束に像高優先設計の対物レンズを適用することにより両光束とも良好な結像スポットとすることができる。
請求項11に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項1〜3、5〜7のいずれかに記載の発明において、前記第2の光源と前記第3の光源とが同一の筐体内に収容されていることを特徴とするので、部品点数を抑え、且つ光ピックアップ装置をコンパクトにできる。尚、このように同一筐体内に2つの光源を収容すると、少なくとも一方の光源の光軸は、対物レンズの光軸に対してシフトする恐れがあるが、このシフト量が150μm程度以下であれば、対物レンズに入射する両光束の傾きは1度程度以内に収まるため、光軸に対して傾斜の大きい光束に像高優先設計の対物レンズを適用することにより両光束とも良好な結像スポットとすることができる。特に、両光束に対して像高優先設計の対物レンズが対応する場合は、より短波長の光束を光軸に近づけるよう光源を調整することが好ましい。
請求項12に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項2,3,4,6、7又は8に記載の発明において、前記第2の光源と前記第3の光源とが同一の筐体内に収容されており、前記筐体には、一方の光源からの光束の出射方向を変更する光軸補正素子が位置調整可能に取り付けられており、前記シフト調整処理は、前記光軸補正素子の光軸方向の移動もしくは光軸に垂直な面内における位置移動によって行うことを特徴とするので、少なくとも一方の光源の光軸が、対物レンズの光軸に対してシフトしていた場合でも、前記光軸補正素子を通過させることで、見かけ上の光束の光軸が対物レンズの光軸により近づくか、又は一致させるようにすることもできる。尚、本明細書中、「光軸補正素子」とは、これを透過又は反射する光束の光軸を波長選択的に変える光学素子を指し、例えば回折格子を利用した例として、特開2003−329969に記載されている。
請求項13に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項1〜12のいずれかに記載の発明において、前記光ピックアップ装置は、前記第2又は前記第3光情報記録媒体の情報記録面から反射した光束の少なくとも一部を分離させる分離手段と、前記反射光を受光する光検出器と、前記分離手段と前記光検出器との間に配置された光軸補正素子とを有することを特徴とする。
前記第2及び第3の光源からの光束を用いたコマ調整において、少なくとも一方の光源に対応する対物レンズが傾角優先設計の場合、上記調整を行うと、その対物レンズに入射する光束の傾きは、光ピックアップ装置個々において不定量異なってしまい、そのため、前記第2及び第3の光源から出射され且つ光情報記録媒体より反射してきた光束のスポット位置が不定量異なることから、前記第2の光源からの光束を受光する光検出器と、第3の光源からの光束を受光する光検出器をそれぞれ別個に設けることが必要となる。ところが、光検出器を別個に設けることはコスト増を招く。かかる場合、前記光軸補正素子を設けることで、同じ光検出器の受光面の所定位置に、いずれの光源からの光束も良好なスポットを結像させることができるようにし、光検出器の共通化を図ることができる。尚、光検出器を共通化する光源の組み合わせは、第2の光源と第3の光源に限られない。
請求項14に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記光ピックアップ装置は、光源から出射した光束を記録又は再生用のメインビームと、トラッキングエラー信号検出用のサブビームに分離するための回折格子素子を有し、前記サブビームにおいて光情報記録媒体の情報記録面上での結像スポットの収差は0.07λrms以下であることを特徴とする。特に、傾角優先設計である対物レンズを用いる場合、像高によりサブビームの結像性能が低下する恐れがあるが、結像スポットの収差を0.07λrms以下であるようにすれば、誤検出の恐れを回避できる。
請求項15に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記レンズホルダは、前記第1の対物レンズ又は前記第2の対物レンズの主点を略中心とした球面の一部を含む支持部を有することを特徴とするので、対物レンズの傾角を調整するのに伴って光源からの光束の光軸に対するシフトが生ずることを抑制できる。
請求項16に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記レンズホルダに対して、傾き調整をすべき対物レンズを非接触な状態に保持したまま、その傾きを調整した後に、前記レンズホルダと前記傾き調整がされた対物レンズとの間の空間に接着剤を充填して、両者を固定することを特徴とする。かかる理由は、前記レンズホルダに前記対物レンズが接触した状態で前記対物レンズの傾き調整を行うと、傾き調整時に前記レンズホルダの姿勢に影響を与える可能性があるからであり、その状態で前記対物レンズの傾き調整を行っても、調整後に前記レンズホルダの姿勢が本来の実使用時の状態に戻ると、前記対物レンズの傾きが調整状態からずれてしまうことになる。請求項15の組立方法によれば、この問題を回避することができる。
請求項17に記載の光ピックアップ装置の組立方法は、請求項1〜3及び15,16のいずれかに記載の発明において、前記レンズホルダに対して前記第1の対物レンズ又は前記第2の対物レンズの傾きを調整する際に、調整する対物レンズを保持するアームとの干渉を回避するための凹部を前記レンズホルダに形成したことを特徴とする。
請求項18に記載の光ピックアップ装置は、請求項1〜17のいずれかに記載の光ピックアップ装置の組立方法により組み立てられたことを特徴とする。
ここで、液晶素子は、広義には、コマ補正用の液晶素子として、対物レンズを透過する光束の波面の位相分布を適当な形に与えることで、結像スポットのコマ収差を補正する手段をいい、例えば特開平10−20263号公報に記載の構成をいうものである。又、補正素子又は光軸補正素子には回折を利用したものであって良い。
本明細書中において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズと共に、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズを指すものとする。
本明細書中において、第1光情報記録媒体とは、例えば、BDやHD DVDなどの高密度DVD系の光ディスクをいい、第2光情報記録媒体とは、再生専用に用いるDVD−ROM,DVD−Videoの他、再生/記録を兼ねるDVD−RAM,DVD−R,DVD−RW等の各種DVD系の光ディスクを含むものである。又、第3光情報記録媒体とは、CD−R,CD−RW等のCD系の光ディスクをいう。尚、第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とは、t1=t2であってもよく、t1<t2であってもよい。
本発明によれば、3つの異なる波長の光束と2つの対物レンズとを組み合わせて、3種類の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる光ピックアップ装置を組み立てる際に、組立時の手間を軽減できると共に、適切な情報の記録及び/又は再生を可能とする光ピックアップ装置を組み立てることができる光ピックアップ装置の組立方法及びそれにより組み立てられる光ピックアップ装置を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。図2は、高密度DVD(第1の光ディスクともいう)、従来のDVD(第2の光ディスクともいう)及びCD(第3の光ディスクともいう)の全てに対して情報の記録/再生を行える、第1の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。図3は、2つの対物レンズを保持するレンズホルダの断面図である。
図3において、レンズホルダHDは、軸線を略平行とする2つの開口HDa、HDbを形成している。開口HDaの図で上面の座繰り部HDcに当接するようにして、対物レンズOBJ1のフランジFL1が取り付けられている。一方、開口HDbの図で上面の座繰り部HDdの内周面は、対物レンズOBJ2の主点Mの位置をほぼ中心とする球面となっている。この内周面にフランジFL2を当接させるようにして、対物レンズOBJ2がレンズホルダHDに取り付けられている。
図2に示すように、レンズホルダHDは、アクチュエータACTにより2次元的に可動に支持されている。アクチュエータACTは、光ピックアップ装置のフレーム(不図示)に対して位置調整可能に取り付けられたアクチュエータべースACTBを有している。対物レンズを支持するレンズホルダHDは、支持する2つの対物レンズの両光軸と略平行に延在する軸線回りに回転可能となっており、第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、図2に示すように、第1の対物レンズOBJ1に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転し、第2の光ディスクOD2又は第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、第2の対物レンズOBJ2に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転するようになっている。尚、対物レンズOBJ1,OBJ2は、図3の位置にこだわらず、後述する光ピックアップ装置の組付方法において、レンズホルダHDに対して傾きを調整する対物レンズを、図3で右側の開口HDbに取り付けるようにできる。
第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図2に示す位置へと回転移動させる。図2において、第1の光源としての第1半導体レーザLD1(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、ビームシェイパBSを通過することで光束の形状を補正された上で、第1コリメートレンズCL1に入射して平行光束となる。第1コリメートレンズCL1から出射した光束は、光源から出射した光束を記録再生用のメインビームとトラッキングエラー信号検出用のサブビームに分離するための光学手段である回折格子Gを通過し、更に第1偏光ビームスプリッタPBS1及びエキスパンダーレンズEXPを通過する。エキスパンダーレンズEXPは、少なくとも一つの光学素子が光軸方向に可動となっていて、平行光束の光束径を変更(ここでは拡大)する機能を有する。尚、ここにエキスパンダーレンズEXPを設けたのは、球面収差補正機能を持たせるほか、例えば高密度DVDが情報記録面を2層に有しているタイプの場合、その光学素子を光軸方向に移動させることで、情報記録面の選択を行えるようにするためでもある。
エキスパンダーレンズEXPを通過した光束は、第1ダイクロイックプリズムDP1を通過し、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第1の対物レンズOBJ1により集光されて、第1の光ディスクOD1の保護層(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第1の対物レンズOBJ1、1/4波長板QWP、液晶素子LCD、第1ダイクロイックプリズムDP1、エキスパンダーレンズEXPを通過して、第1偏光ビームスプリッタPBS1で反射され、更に第1センサレンズSL1を介して第1光検出器PD1の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第1の光ディスクOD1に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第1光検出器PD1上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第1半導体レーザLD1からの光束を第1の光ディスクOD1の情報記録面上に結像するように、第1の対物レンズOBJ1をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第2の光ディスクOD2に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図2に示す位置から回転移動させる。第2半導体レーザLD2(波長λ2=600nm〜700nm)から出射された光束は、第2ダイクロイックプリズムDP2を通過し、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となり、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過して、ミラーMで反射され、第1ダイクロイックプリズムDP1を通過し、液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第2の光ディスクOD2の保護層(厚さt2=0.5〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、第1ダイクロイックプリズムDP1とミラーMと第2偏光ビームスプリッタPBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2と第3ダイクロイックプリズムを透過して第2光検出器PD2の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第2の光ディスクOD2に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第2光検出器PD2上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合も、レンズホルダHDを図2に示す位置から回転移動させる。第3半導体レーザLD3(波長λ3=700nm〜800nm)から出射された光束は、第2ダイクロイックプリズムDP2で反射され、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となり、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過して、ミラーMで反射され、第1ダイクロイックプリズムDP1を通過し、液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第3の光ディスクOD3の保護層(厚さt3=1.1〜1.3mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、第1ダイクロイックプリズムDP1とミラーMと第2偏光ビームスプリッタPBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2を透過し、第3ダイクロイックプリズムで反射されて第3光検出器PD3の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第3の光ディスクOD3に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第3光検出器PD3上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第3半導体レーザLD3からの光束を第3の光ディスクOD3の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
本実施の形態の対物レンズの組付方法について説明する。
(1)第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束に対して像高優先設計がなされており、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2及び第3半導体レーザLD3からの光束に対して像高優先設計がなされている場合(請求項1に対応):
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
かかる状態では、第1の対物レンズOBJ1はレンズホルダHDに接着固定され、第2の対物レンズOBJ2はレンズホルダHDに接着固定されていない。次に、第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1の光ディスクOD1の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、アクチュエータベースACTB(すなわち第1の対物レンズOBJ1)の傾きを調整する。
続いて、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束が、第2の光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、レンズホルダHDに対する第2の対物レンズOBJ2の傾きを調整する。その後、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDに接着固定する。尚、調整しなかった第3の半導体レーザLD3については、光軸に対する角度誤差1度以内の初期調整のままで用いられる。
(2)第1の対物レンズOBJ1は、前記第1半導体レーザからの光束に対して像高優先設計がなされており、前記第2の対物レンズは、前記第2半導体レーザからの光束に対して像高優先設計がなされていると共に、前記第3半導体レーザからの光束に対して傾角優先設計がなされている場合(請求項2に対応):
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
かかる状態では、第1の対物レンズOBJ1はレンズホルダHDに接着固定され、第2の対物レンズOBJ2はレンズホルダHDに接着固定されていない。次に、第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1光ディスクOD1の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、アクチュエータベースACTB(すなわち対物レンズOBJ1)の傾きを調整する。
続いて、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束を第2光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、レンズホルダHDに対する第2の対物レンズOBJ2の傾きを調整する。その後、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDに接着固定する。
更に、第2の対物レンズOBJ2が、第3半導体レーザLD3からの光束を第3光ディスクOD3の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第3半導体レーザLD3を光軸直交方向に位置調整(シフト調整処理ともいう:以下同じ)する。
(3)第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束に対して像高優先設計がなされており、第2の対物レンズOBJ2は、第2半導体レーザLD2からの光束に対して傾角優先設計がなされていると共に、第3半導体レーザLD3からの光束に対して像高優先設計がなされている場合(請求項3に対応):
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
かかる状態では、第1の対物レンズOBJ1はレンズホルダHDに接着固定され、第2の対物レンズOBJ2はレンズホルダHDに接着固定されていない。次に、第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1光ディスクOD1の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、アクチュエータベースACTB(即ち第1の対物レンズOBJ1)の傾きを調整する。
続いて、第2の対物レンズOBJ2が、第3半導体レーザLD3からの光束を第3光ディスクの情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、レンズホルダHDに対する第2の対物レンズOBJ2の傾きを調整する。その後、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDに接着固定する。
更に、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束を第2光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第2半導体レーザLD2を光軸直交方向に位置調整する。
(4)第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束に対して像高優先設計がなされており、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束に対して傾角優先設計がなされていると共に、第3半導体レーザLD3からの光束に対して傾角優先設計がなされている場合(請求項4に対応):
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
ここで、第1の対物レンズOBJ1と第2の対物レンズOBJ2はレンズホルダHDに接着固定されている。第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1光ディスクOD1の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、アクチュエータベースACTB(即ち第1の対物レンズOBJ1)の傾きを調整する。尚、アクチュエータベースACTBでなく、レンズホルダHDに対して第1の対物レンズOBJ1の傾きを調整しても良い。この場合、調整前にレンズホルダHDに対して第1の対物レンズOBJ1を接着固定しないことはいうまでもない。
続いて、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束を第2光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第2半導体レーザLD2を光軸直交方向に位置調整する。
更に、第2の対物レンズOBJ2が、第3半導体レーザLD3からの光束を第3光ディスクOD3の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第3半導体レーザLD3を光軸直交方向に位置調整する。
(5)第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束に対して傾角優先設計がなされており、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2及び第3半導体レーザLD3からの光束に対して像高優先設計がなされている場合(請求項5に対応)。
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
ここで、第1の対物レンズOBJ1と第2の対物レンズOBJ2はレンズホルダHDに接着固定されている。第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束を第2光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、アクチュエータベースACTB(即ち第2の対物レンズOBJ2)の傾きを調整する。尚、アクチュエータベースACTBでなく、レンズホルダHDに対して第2の対物レンズOBJ2の傾きを調整しても良い。この場合、調整前にレンズホルダHDに対して第2の対物レンズOBJ2を接着固定しないことはいうまでもない。
続いて、第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1光ディスクOD1の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第1半導体レーザLD1を光軸直交方向に位置調整する。
(6)第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束に対して傾角優先設計がなされており、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束に対して像高優先設計がなされていると共に、第3半導体レーザLD3からの光束に対して傾角優先設計がなされている場合(請求項6に対応):
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
第1の対物レンズOBJ1と第2の対物レンズOBJ2はレンズホルダHDに接着固定されている。第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束を第2光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、アクチュエータベースACTB(即ち第2の対物レンズOBJ2)の傾きを調整する。尚、アクチュエータベースACTBでなく、レンズホルダHDに対して第2の対物レンズOBJ2の傾きを調整しても良い。この場合、調整前にレンズホルダHDに対して第2の対物レンズOBJ2を接着固定しないことはいうまでもない。
続いて、第2の対物レンズOBJ2が、第3半導体レーザLD3からの光束を第3光ディスクOD3の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第3半導体レーザLD3を光軸直交方向に位置調整する。
更に、第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1光ディスクの情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第1半導体レーザLD1を光軸直交方向に位置調整する。
(7)第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束に対して傾角優先設計がなされており、第2の対物レンズOBJ2は、第2半導体レーザLD2からの光束に対して傾角優先設計がなされているとともに、第3半導体レーザLD3からの光束に対して像高優先設計がなされている場合(請求項7に対応):
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
第1の対物レンズOBJ1と第2の対物レンズOBJ2はレンズホルダHDに接着固定されている。第2の対物レンズOBJ2が、第3半導体レーザLD3からの光束を第3光ディスクの情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、アクチュエータベースACTB(即ち第2の対物レンズOBJ2)の傾きを調整する。尚、アクチュエータベースACTBでなく、レンズホルダHDに対して第2の対物レンズOBJ2の傾きを調整しても良い。この場合、調整前にレンズホルダHDに対して第2の対物レンズOBJ2を接着固定しないことはいうまでもない。
続いて、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束を第2光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第2半導体レーザLD2を光軸直交方向に位置調整する。
更に、第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1光ディスクOD1の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第1半導体レーザLD1を光軸直交方向に位置調整する。
(8)第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束に対して傾角優先設計がなされており、第2の対物レンズOBJ2は、第2半導体レーザLD2及び第3半導体レーザLD3からの光束に対して傾角優先設計がなされている場合(請求項8に対応):
まず、第1の半導体レーザLD1、第2の半導体レーザLD2、第3の半導体レーザLD3の光束の軸線、第1の対物レンズOBJ1、及び第2の対物レンズOBJ2の光軸を、光ピックアップ装置の基準光軸に対して、それぞれ1度以内の傾きに収まるように調整して取り付ける。
更に、第1の対物レンズOBJ1が、第1半導体レーザLD1からの光束を第1光ディスクOD1の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第1半導体レーザLD1を光軸直交方向に位置調整する。
続いて、第2の対物レンズOBJ2が、第2半導体レーザLD2からの光束を第2光ディスクOD2の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第2半導体レーザLD2を光軸直交方向に位置調整する。
更に、第2の対物レンズOBJ2が、第3半導体レーザLD3からの光束を第3光ディスクOD3の情報記録面に集光するようにした時、その集光スポットのコマ収差が所定値以下に小さくなるように、第3半導体レーザLD3を光軸直交方向に位置調整する。尚、位置調整の順序は、以上の例に限られない。
以上の調整により、各半導体レーザから照射された光束を集光させたときにスポット光のコマ収差を極力抑えることができるが、本実施の形態では、実際の情報記録又は再生時に、光検出器からの信号に応じて液晶素子LCDを駆動することで、光ディスクの反りに起因したコマ収差や、残存する誤差に起因したコマ収差を補正するようにしている。但し、組立時にコマ収差を調整することによって、実動作時における液晶素子LCDの負担を軽減させることができ、位相を与えるための領域の数や形状、液晶駆動応答性などにおいて、液晶素子自体及びその駆動回路などの設計・製造が容易になり、コスト削減、小型化、省エネが達成できる。
しかも、対物レンズを第1半導体レーザ専用と、第2半導体レーザ及び第3半導体レーザの共用と、2つ設けているため、各々の波長に対応した光ディスクに対する結像性能の光学設計的余裕が生じる。これは、特にレンズ厚や作動距離(ワーキングディスタンス)を小さくすることが設計的に可能となり薄型の光ピックアップ装置を設計する上で効果的である。また対物レンズ固有の収差マージンが大きくなるため、光ピックアップ装置の他の光学部品の収差を緩和することができる。また光ピックアップ装置の構成部品に高い機械的精度を要求することなく量産性に優れたものを設計することが可能で、光ピックアップ装置のコスト低減を図ることができる。
図4は、高密度DVD(第1の光ディスクともいう)、従来のDVD(第2の光ディスクともいう)及びCD(第3の光ディスクともいう)の全てに対して情報の記録/再生を行える、第2の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。本実施の形態においては、第1半導体レーザLD1と、第2半導体レーザLD2とが、同一の筐体内に収納された、いわゆる2レーザ1パッケージ2L1Pとなっている。
レンズホルダHDに対する2つの対物レンズの支持態様は、上述した実施の形態と同様である(図3参照)。図4に示すように、レンズホルダHDは、アクチュエータACTにより2次元的に可動に支持されている。アクチュエータACTは、光ピックアップ装置のフレーム(不図示)に対して位置調整可能に取り付けられたアクチュエータべースACTBを有している。対物レンズを支持するレンズホルダHDは、支持する2つの対物レンズの両光軸の中間点でそれらと略平行に延在する軸線回りに回転可能となっており、第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、図4に示すように、第1の対物レンズOBJ1に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転し、第2の光ディスクOD2又は第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、第2の対物レンズOBJ2に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転するようになっている。
第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図4に示す位置へと回転移動させる。図4において、第1の光源としての第1半導体レーザLD1(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、2レーザ1パッケージ2L1Pから外部へと出た後、ビームシェイパBSを通過することで光束の形状を補正された上で、第1コリメートレンズCL1に入射して平行光束となる。第1コリメートレンズCL1から出射した光束は、光源から出射した光束を記録再生用のメインビームとトラッキングエラー信号検出用のサブビームに分離するための光学手段である回折格子Gを通過し、更に偏光ビームスプリッタPBS及びエキスパンダーレンズEXPを通過する。
エキスパンダーレンズEXPを通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPを通過し、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第1の対物レンズOBJ1により集光されて、第1の光ディスクOD1の保護層(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第1の対物レンズOBJ1、1/4波長板QWP、液晶素子LCD、ダイクロイックプリズムDP、エキスパンダーレンズEXPを通過して、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、更にセンサレンズSLを介して光検出器PDの受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第1の光ディスクOD1に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、光検出器PD上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第1半導体レーザLD1からの光束を第1の光ディスクOD1の情報記録面上に結像するように、第1の対物レンズOBJ1をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第2の光ディスクOD2に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図4に示す位置から回転移動させる。第2半導体レーザLD2(波長λ2=600nm〜700nm)から出射された光束は、2レーザ1パッケージ2L1Pから外部へと出た後、ビームシェイパBSを通過することで光束の形状を補正された上で、第1コリメートレンズCL1に入射して平行光束となる。第1コリメートレンズCL1から出射した光束は、光源から出射した光束を記録再生用のメインビームとトラッキングエラー信号検出用のサブビームに分離するための光学手段である回折格子Gを通過し、更に偏光ビームスプリッタPBS及びエキスパンダーレンズEXPを通過する。
エキスパンダーレンズEXPを通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPを通過し、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第2の光ディスクOD2の保護層(厚さt2=0.5〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCD、ダイクロイックプリズムDP、エキスパンダーレンズEXPを通過して、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、更にセンサレンズSLを介して光検出器PDの受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第2の光ディスクOD2に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、光検出器PD上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第3半導体レーザLD3はホログラムレーザであり、光検出器を兼ねている。第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合も、レンズホルダHDを図4に示す位置から回転移動させる。第3半導体レーザLD3(波長λ3=700nm〜800nm)から出射された光束は、第2コリメートレンズCL2で平行光束とされた後、ダイクロイックプリズムDPで反射され、液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第3の光ディスクOD3の保護層(厚さt3=1.1〜1.3mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、ダイクロイックプリズムDPで反射され、更に第2コリメートレンズCL2により集光されて第3半導体レーザLD3の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第3の光ディスクOD3に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第3光検出器PD3上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第3半導体レーザLD3からの光束を第3の光ディスクOD3の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
本実施の形態においては、第1半導体レーザLD1と第2半導体レーザLD2とに2レーザ1パッケージを使用しているので、これらは独立して光源位置を調整できないことになる。従って、光ピックアップ装置の組立時には、上述した(1)の調整を行えばよい。
かかる調整により、各半導体レーザから照射された光束を集光させたときにスポット光のコマ収差を極力抑えることができるが、本実施の形態では、実際の情報記録又は再生時に、光検出器からの信号に応じて液晶素子LCDを駆動することで、光ディスクの反りに起因したコマ収差や、残存する誤差に起因したコマ収差を補正するようにしている。但し、組立時にコマ収差を調整することによって、実動作時における液晶素子LCDの負担を軽減させることができ、位相を与えるための領域の数や形状、液晶駆動応答性などにおいて、液晶素子自体及びその駆動回路などの設計・製造が容易になり、コスト削減、小型化、省エネが達成できる。
しかも、対物レンズを第1半導体レーザ専用と、第2半導体レーザ及び第3半導体レーザの共用と、2つ設けているため、各々の波長に対応した光ディスクに対する結像性能の光学設計的余裕が生じる。これは、特にレンズ厚や作動距離(ワーキングディスタンス)を小さくすることが設計的に可能となり薄型の光ピックアップ装置を設計する上で効果的である。また対物レンズ固有の収差マージンが大きくなるため、光ピックアップ装置の他の光学部品の収差を緩和することができる。また光ピックアップ装置の構成部品に高い機械的精度を要求することなく量産性に優れたものを設計することが可能で、光ピックアップ装置のコスト低減を図ることができる。
図5は、高密度DVD(第1の光ディスクともいう)、従来のDVD(第2の光ディスクともいう)及びCD(第3の光ディスクともいう)の全てに対して情報の記録/再生を行える、第3の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。本実施の形態においては、第2半導体レーザLD2と、第3半導体レーザLD3とが、同一の筐体内に収納された、いわゆる2レーザ1パッケージ2L1Pとなっている。
レンズホルダHDに対する2つの対物レンズの支持態様は、上述した実施の形態と同様である(図3参照)。図5に示すように、レンズホルダHDは、アクチュエータACTにより2次元的に可動に支持されている。アクチュエータACTは、光ピックアップ装置のフレーム(不図示)に対して位置調整可能に取り付けられたアクチュエータべースACTBを有している。対物レンズを支持するレンズホルダHDは、支持する2つの対物レンズの両光軸の中間点でそれらと略平行に延在する軸線回りに回転可能となっており、第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、図5に示すように、第1の対物レンズOBJ1に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転し、第2の光ディスクOD2又は第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、第2の対物レンズOBJ2に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転するようになっている。
第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図5に示す位置へと回転移動させる。図5において、第1の光源としての第1半導体レーザLD1(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、ビームシェイパBSを通過することで光束の形状を補正された上で、第1コリメートレンズCL1に入射して平行光束となる。第1コリメートレンズCL1から出射した光束は、補正素子である第1回折格子G1を通過し、更に第1偏光ビームスプリッタPBS1及びエキスパンダーレンズEXPを通過する。
エキスパンダーレンズEXPを通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPを通過し、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第1の対物レンズOBJ1により集光されて、第1の光ディスクOD1の保護層(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第1の対物レンズOBJ1、1/4波長板QWP、液晶素子LCD、ダイクロイックプリズムDP、エキスパンダーレンズEXPを通過して、第1偏光ビームスプリッタPBS1で反射され、更に第1センサレンズSL1を介して第1光検出器PD1の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第1の光ディスクOD1に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第1光検出器PD1上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第1半導体レーザLD1からの光束を第1の光ディスクOD1の情報記録面上に結像するように、第1の対物レンズOBJ1をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第2の光ディスクOD2に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図5に示す位置から回転移動させる。第2半導体レーザLD2(波長λ2=600nm〜700nm)から出射された光束は、2レーザ1パッケージ2L1Pから外部へと出た後、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となる。第2コリメートレンズCL2から出射した光束は、補正素子である第2回折格子G2を通過し、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過する。
第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPで反射され、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第2の光ディスクOD2の保護層(厚さt2=0.5〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、ダイクロイックプリズムDPと、第2偏光ビームスプリッタPBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2を介して第2光検出器PD2の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第2の光ディスクOD2に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第2光検出器PD2上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合も、レンズホルダHDを図5に示す位置から回転移動させる。第3半導体レーザLD3(波長λ3=700nm〜800nm)から出射された光束は、2レーザ1パッケージ2L1Pから外部へと出た後、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となる。第2コリメートレンズCL2から出射した光束は、補正素子である第2回折格子G2を通過し、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過する。
第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPで反射され、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第3の光ディスクOD3の保護層(厚さt3=1.1〜1.3mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、ダイクロイックプリズムDPと、第2偏光ビームスプリッタPBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2を介して第2光検出器PD2の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第3の光ディスクOD3に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第2光検出器PD2上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
本実施の形態においては、第2半導体レーザLD2と第3半導体レーザLD3とに2レーザ1パッケージを使用しているので、これらは独立して光源位置を調整できないことになる。従って、光ピックアップ装置の組立時には、上述した(1)、(3)、(5)、(7)の調整を行えばよい。尚、2レーザ1パッケージのように2つの半導体レーザが同一筐体にパッケージされた場合、発光源の間隔が100μm程度であることもあるが、この間隔が150μm程度以下であれば、第1の対物レンズOBJ2に入射する両光束の傾きは1度程度以内に収まるため、光軸に対して傾斜の大きい光束に像高優先設計の第2の対物レンズOBJ2を適用することにより、両光束とも良好な結像スポットとすることができる。特に、両光束に対して像高優先設計の対物レンズが対応する場合(1)、(5)の調整はより短波長の光束(第2半導体レーザLD2からの光束)を光軸に近づけるようにすることが好ましい。
かかる調整により、各半導体レーザから照射された光束を集光させたときにスポット光のコマ収差を極力抑えることができるが、本実施の形態では、実際の情報記録又は再生時に、光検出器からの信号に応じて液晶素子LCDを駆動することで、光ディスクの反りに起因したコマ収差や、残存する誤差に起因したコマ収差を補正するようにしている。但し、組立時にコマ収差を調整することによって、実動作時における液晶素子LCDの負担を軽減させることができ、位相を与えるための領域の数や形状、液晶駆動応答性などにおいて、液晶素子自体及びその駆動回路などの設計・製造が容易になり、コスト削減、小型化、省エネが達成できる。
しかも、対物レンズを第1半導体レーザ専用と、第2半導体レーザ及び第3半導体レーザの共用と、2つ設けているため、各々の波長に対応した光ディスクに対する結像性能の光学設計的余裕が生じる。これは、特にレンズ厚や作動距離(ワーキングディスタンス)を小さくすることが設計的に可能となり薄型の光ピックアップ装置を設計する上で効果的である。また対物レンズ固有の収差マージンが大きくなるため、光ピックアップ装置の他の光学部品の収差を緩和することができる。また光ピックアップ装置の構成部品に高い機械的精度を要求することなく量産性に優れたものを設計することが可能で、光ピックアップ装置のコスト低減を図ることができる。
図6は、高密度DVD(第1の光ディスクともいう)、従来のDVD(第2の光ディスクともいう)及びCD(第3の光ディスクともいう)の全てに対して情報の記録/再生を行える、第4の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。本実施の形態においては、第2半導体レーザLD2と、第3半導体レーザLD3とが、同一の筐体内に収納された、いわゆる2レーザ1パッケージ2L1Pとなっている。
レンズホルダHDに対する2つの対物レンズの支持態様は、上述した実施の形態と同様である(図3参照)。図6に示すように、レンズホルダHDは、アクチュエータACTにより2次元的に可動に支持されている。アクチュエータACTは、光ピックアップ装置のフレーム(不図示)に対して位置調整可能に取り付けられたアクチュエータべースACTBを有している。対物レンズを支持するレンズホルダHDは、支持する2つの対物レンズの両光軸の中間点でそれらと略平行に延在する軸線回りに回転可能となっており、第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、図6に示すように、第1の対物レンズOBJ1に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転し、第2の光ディスクOD2又は第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、第2の対物レンズOBJ2に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転するようになっている。
第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図6に示す位置へと回転移動させる。図6において、第1の光源としての第1半導体レーザLD1(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、ビームシェイパBSを通過することで光束の形状を補正された上で、第1コリメートレンズCL1に入射して平行光束となる。第1コリメートレンズCL1から出射した光束は、補正素子である第1回折格子G1を通過し、更に第1偏光ビームスプリッタPBS1及びエキスパンダーレンズEXPを通過する。
エキスパンダーレンズEXPを通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPを通過し、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第1の対物レンズOBJ1により集光されて、第1の光ディスクOD1の保護層(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第1の対物レンズOBJ1、1/4波長板QWP、液晶素子LCD、ダイクロイックプリズムDP、エキスパンダーレンズEXPを通過して、第1偏光ビームスプリッタPBS1で反射され、更に第1センサレンズSL1を介して第1光検出器PD1の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第1の光ディスクOD1に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第1光検出器PD1上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第1半導体レーザLD1からの光束を第1の光ディスクOD1の情報記録面上に結像するように、第1の対物レンズOBJ1をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第2の光ディスクOD2に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図6に示す位置から回転移動させる。第2半導体レーザLD2(波長λ2=600nm〜700nm)から出射された光束は、2レーザ1パッケージ2L1Pから外部へと出た後、回折補正素子DEを通過し、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となる。第2コリメートレンズCL2から出射した光束は、補正素子である第2回折格子G2を通過し、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過する。
第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPで反射され、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第2の光ディスクOD2の保護層(厚さt2=0.5〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、ダイクロイックプリズムDPと、第2偏光ビームスプリッタ(分離手段ともいう)PBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2を介した後、光軸補正素子SEを通過して第2光検出器PD2の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第2の光ディスクOD2に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第2光検出器PD2上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合も、レンズホルダHDを図6に示す位置から回転移動させる。第3半導体レーザLD3(波長λ3=700nm〜800nm)から出射された光束は、2レーザ1パッケージ2L1Pから外部へと出た後、回折補正素子DEを通過し、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となる。第2コリメートレンズCL2から出射した光束は、補正素子である第2回折格子G2を通過し、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過する。
第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPで反射され、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第3の光ディスクOD3の保護層(厚さt3=1.1〜1.3mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、ダイクロイックプリズムDPと、第2偏光ビームスプリッタPBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2を介した後、光軸補正素子SEを通過して第2光検出器PD2の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第3の光ディスクOD3に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第2光検出器PD2上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
本実施の形態においては、第2半導体レーザLD2と第3半導体レーザLD3とに2レーザ1パッケージを使用しているので、これらは独立して光源位置を調整できないことになる。しかしながら、2レーザ1パッケージ2L1Pを出た光束は、回折素子DEに入射し、ここでコマ収差補正を行える。補正量は、回折素子DEの回転量に応じて変化する。従って、光ピックアップ装置の組立時には、第3半導体レーザLD3のシフト調整を行う場合、上述した(2)、(4)、(6)、(8)の調整時に、第3半導体レーザLD3を光軸直交方向に移動させる代わりに、回折素子DEを適宜回転させることで、シフト調整処理がなされることとなる。
更に、本実施の形態においては、第2半導体レーザLD2と第3半導体レーザLD3とに2レーザ1パッケージを使用しているので、両光源の間隔が大きい(例えば100μm以上)と、像高優先設計に対応する光路の光軸の傾きが大きくなる可能性がある。ここでトラッキングエラー検出のために、両波長の光束を3ビームに分割して第2光検出器PD2で検出する場合、傾角優先設計側もある程度像高を考慮する必要があり、そのとき像高優先側の正弦条件は多少不満足とする必要がある。よって、像高優先設計側の波長に対する光軸の傾きが大きいとコマ収差が生じてしまい、これを補正するには(3)〜(7)の調整を繰り返し行う必要があり、コストアップとなる。また、分割された3ビームのうち、一対のサブビームの光軸が対物レンズの光軸に対してアンバランスとなるため、両サブビームスポットの品質が異なってしまう可能性がある。そこで、光軸補正素子SEを用いることで、第2半導体レーザLD2の光束と、第3半導体レーザLD3の光束の発光点を一致させるように補正し、上述した問題を解決することができる。
かかる調整により、各半導体レーザから照射された光束を集光させたときにスポット光のコマ収差を極力抑えることができるが、本実施の形態では、実際の情報記録又は再生時に、光検出器からの信号に応じて液晶素子LCDを駆動することで、光ディスクの反りに起因したコマ収差や、残存する誤差に起因したコマ収差を補正するようにしている。但し、組立時にコマ収差を調整することによって、実動作時における液晶素子LCDの負担を軽減させることができ、位相を与えるための領域の数や形状、液晶駆動応答性などにおいて、液晶素子自体及びその駆動回路などの設計・製造が容易になり、コスト削減、小型化、省エネが達成できる。
しかも、対物レンズを第1半導体レーザ専用と、第2半導体レーザ及び第3半導体レーザの共用と、2つ設けているため、各々の波長に対応した光ディスクに対する結像性能の光学設計的余裕が生じる。これは、特にレンズ厚や作動距離(ワーキングディスタンス)を小さくすることが設計的に可能となり薄型の光ピックアップ装置を設計する上で効果的である。また対物レンズ固有の収差マージンが大きくなるため、光ピックアップ装置の他の光学部品の収差を緩和することができる。また光ピックアップ装置の構成部品に高い機械的精度を要求することなく量産性に優れたものを設計することが可能で、光ピックアップ装置のコスト低減を図ることができる。
図7は、高密度DVD(第1の光ディスクともいう)、従来のDVD(第2の光ディスクともいう)及びCD(第3の光ディスクともいう)の全てに対して情報の記録/再生を行える、第5の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。
レンズホルダHDに対する2つの対物レンズの支持態様は、上述した実施の形態と同様である(図3参照)。図7に示すように、レンズホルダHDは、アクチュエータACTにより2次元的に可動に支持されている。アクチュエータACTは、光ピックアップ装置のフレーム(不図示)に対して位置調整可能に取り付けられたアクチュエータべースACTBを有している。対物レンズを支持するレンズホルダHDは、支持する2つの対物レンズの両光軸の中間点でそれらと略平行に延在する軸線回りに回転可能となっており、第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、図7に示すように、第1の対物レンズOBJ1に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転し、アクチュエータACTを移動させ、第2の光ディスクOD2又は第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、第2の対物レンズOBJ2に1/4波長板QWPを通過した光束が入射する位置へと回転するようになっている。
第1の光ディスクOD1に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図7に示す位置へと回転移動させる。図7において、第1の光源としての第1半導体レーザLD1(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、ビームシェイパBSを通過することで光束の形状を補正された上で、第1コリメートレンズCL1に入射して平行光束となる。第1コリメートレンズCL1から出射した光束は、補正素子である第1回折格子G1を通過し、更に第1偏光ビームスプリッタPBS1及びエキスパンダーレンズEXPを通過する。
エキスパンダーレンズEXPを通過した光束は、ダイクロイックプリズムDPを通過し、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第1の対物レンズOBJ1により集光されて、第1の光ディスクOD1の保護層(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第1の対物レンズOBJ1、1/4波長板QWP、液晶素子LCD、ダイクロイックプリズムDP、エキスパンダーレンズEXPを通過して、第1偏光ビームスプリッタPBS1で反射され、更に第1センサレンズSL1を介して第1光検出器PD1の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第1の光ディスクOD1に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第1光検出器PD1上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第1半導体レーザLD1からの光束を第1の光ディスクOD1の情報記録面上に結像するように、第1の対物レンズOBJ1をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第2の光ディスクOD2に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、レンズホルダHDを図7に示す位置から回転移動させる。第2半導体レーザLD2(波長λ2=600nm〜700nm)から出射された光束は、第2ダイクロイックプリズムDP2を通過し、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となる。第2コリメートレンズCL2から出射した光束は、補正素子である第2回折格子G2を通過し、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過する。
第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過した光束は、ミラーM及び第1ダイクロイックプリズムDP1で反射され、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第2の光ディスクOD2の保護層(厚さt2=0.5〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、第1ダイクロイックプリズムDP1、ミラーM及び第2偏光ビームスプリッタ(分離手段ともいう)PBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2を介した後、光軸補正素子SEを通過して第2光検出器PD2の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第2の光ディスクOD2に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第2光検出器PD2上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
第3の光ディスクOD3に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合も、レンズホルダHDを図7に示す位置から回転移動させる。第3半導体レーザLD3(波長λ3=700nm〜800nm)から出射された光束は、第2ダイクロイックプリズムDP2で反射され、第2コリメートレンズCL2に入射して平行光束となる。第2コリメートレンズCL2から出射した光束は、補正素子である第2回折格子G2を通過し、更に第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過する。
第2偏光ビームスプリッタPBS2を通過した光束は、ミラーM及び第1ダイクロイックプリズムDP1で反射され、更に液晶素子LCD及び1/4波長板QWPを通過して、平行光束の状態で第2の対物レンズOBJ2により集光されて、第3の光ディスクOD3の保護層(厚さt3=1.1〜1.3mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2の対物レンズOBJ2、1/4波長板QWP、液晶素子LCDを通過し、第1ダイクロイックプリズムDP1と、ミラーM、及び第2偏光ビームスプリッタPBS2で反射され、更に第2センサレンズSL2を介した後、光軸補正素子SEを通過して第2光検出器PD2の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第3の光ディスクOD3に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、第2光検出器PD2上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータACTが第2半導体レーザLD2からの光束を第2の光ディスクOD2の情報記録面上に結像するように、第2の対物レンズOBJ2をレンズホルダHDごと移動させるようになっている。
本実施の形態の光ピックアップ装置の組立時においては、上述した(1)〜(8)の調整を行えばよいが、光軸補正素子SEを用いることで、第2半導体レーザLD2の光束と、第3半導体レーザLD3の光束の発光点を一致させるように補正することができるため、単一の第2光検出器PD2を用いても、第2半導体レーザLD2又は第3半導体レーザLD3を光軸直交方向に移動させてシフト調整を行う場合に対応できる。
かかる調整により、各半導体レーザから照射された光束を集光させたときにスポット光のコマ収差を極力抑えることができるが、本実施の形態では、実際の情報記録又は再生時に、光検出器からの信号に応じて液晶素子LCDを駆動することで、光ディスクの反りに起因したコマ収差や、残存する誤差に起因したコマ収差を補正するようにしている。但し、組立時にコマ収差を調整することによって、実動作時における液晶素子LCDの負担を軽減させることができ、位相を与えるための領域の数や形状、液晶駆動応答性などにおいて、液晶素子自体及びその駆動回路などの設計・製造が容易になり、コスト削減、小型化、省エネが達成できる。
しかも、対物レンズを第1半導体レーザ専用と、第2半導体レーザ及び第3半導体レーザの共用と、2つ設けているため、各々の波長に対応した光ディスクに対する結像性能の光学設計的余裕が生じる。これは、特にレンズ厚や作動距離(ワーキングディスタンス)を小さくすることが設計的に可能となり薄型の光ピックアップ装置を設計する上で効果的である。また対物レンズ固有の収差マージンが大きくなるため、光ピックアップ装置の他の光学部品の収差を緩和することができる。また光ピックアップ装置の構成部品に高い機械的精度を要求することなく量産性に優れたものを設計することが可能で、光ピックアップ装置のコスト低減を図ることができる。
図8は、2レーザ1パッケージの光源と回折素子とを保持する2つの例を示す断面図であり、2レーザ1パッケージの光源と回折素子とを用いる上述した実施の形態に適用できる。図8(a)において、略中空円筒状の保持枠HFの下面の座繰り部HFaに2レーザ1パッケージ2L1Pが取り付けられ、その上面の座繰り部HFbに回折素子DEが取り付けられる。尚、回折素子DEは、組み付け時に座繰り部HFb内で適宜回転された後、接着剤で固定されると好ましい。
図8(b)において、略中空円筒状の保持枠HFの下面の座繰り部HFaに2レーザ1パッケージ2L1Pが取り付けられ、その上面の座繰り部HFbに、環状の支持部Rを介して回折素子DEが取り付けられる。尚、回折素子DEは、組み付け時に座繰り部HFb内で適宜回転された後、接着剤で固定されると好ましい。
図9は、レンズホルダの変形例を示す図3と同様な断面図である。図3に示す実施の形態に対して、本変形例においては、開口HDbの図で上面の座繰り部HDdの内周面と、対物レンズOBJ2のフランジFL2が当接しておらず、対物レンズOBJ2のレンズホルダHDに対する傾きを調整した後に、両者を接着剤Bで接着している点が異なる。より具体的には、レンズホルダHDに対して非接触の状態で、不図示の治具で対物レンズOBJ2を把持しつつ傾き調整を行い、調整後に対物レンズOBJ2のフランジFL2と、レンズホルダHDの座繰り部HDdとの間の空間に、接着剤Bを充填する。それ以外については共通するので、説明を省略する。
図10は、対物レンズを把持する治具とレンズホルダの別な変形例とを示す図であり、図10(a)はその上面図、図10(b)は、図10(a)の構成をB−B線に沿って切断して矢印方向に見た図であり、図10(c)は、図10(a)の構成をC−C線に沿って切断して矢印方向に見た図である。
本変形例においては、レンズホルダHDの上面に、その長手方向を横切るようにして開口HDbにつながる溝(凹部)HDgが形成されている。対物レンズOBJ2を把持する治具Jは、対向する一対のアームJA、JBからなる。アームJA、JBは、それぞれ先端から奥に向かうにつれて幅が狭くなるテーパ支持部JAa、JBaを有している。それ以外については共通するので、説明を省略する。
傾き調整時に、テーパ支持部JAa、JBaにより対物レンズOBJ2のフランジFL2を把持した治具Jは、レンズホルダHDの上方(図10(b)の上方)から、開口HDbに接近する。このとき、溝HDgが設けられているので、治具JとレンズホルダHDとの干渉が回避される。
図10(c)に示す位置まで治具Jを下降させた後、対物レンズOBJ2の傾き調整を行い、調整後に対物レンズOBJ2のフランジFL2と、レンズホルダHDの座繰り部HDdとの間に、接着剤(不図示)を充填する。接着剤が固化した後に、アームJA、JBを離隔する方向に移動させることで、対物レンズOBJ2の把持を終了する。
以上述べたように、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置の組立方法によれば、第1〜第3半導体レーザから出射されるそれぞれの光束に対して、コマ調整が最適化されているため、対物レンズと光源との間に配置されたコマ抑制のための液晶素子を動作させることで、調整後の実動作時において使用ディスクにチルトバラッキが生じても精度の高いコマ収差抑制が可能となる。また調整時のコマ調整の最適化により、液晶素子にコマ抑制機能の負担を軽減させることができるため、位相を与えるための領域の数や形状、液晶駆動応答性などの面において液晶素子やその駆動回路などの作成が容易になり、コスト削減、小型化が達成できる。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。