JP4344559B2 - 車両の移動禁止装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両に対する作業を実施するときにこの車両の移動を禁止する車両の移動禁止装置に関する。
従来の鉄道の手旗は、四角形の布状の旗と、この旗を取り付けた円筒状のポールと、このポールを把持する把持部とを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような鉄道の手旗は、車両を点検、修理するために電車区などへ車両を誘導したり入れ換え作業などを実施したりする際に信号の伝達手段として使用されている。運転取扱実施基準第248条(移動禁止の表示)には、車両の検査や整備などによって車両の移動を禁止する必要があるときには、これらの作業を開始する前に作業を実施する係員が車両に移動禁止合図を表示し、これらの作業を終了した後にはこの移動禁止合図を解除するように定められている。このような移動禁止合図は、自分以外の作業者に作業中であることを知らせ、パンタグラフの上昇やバッテリ投入のような車両の状態を変える操作をさせないためにも使用されている。
従来の移動禁止合図は、車両の運転台に設置された主幹制御器(マスター・コントローラ)の鍵穴に挿入されるマスター・コントローラ・キー(以下、マスコンキーという)を模擬した擬似マスコンキーと、この擬似マスコンキーに取り付けられ作業中であることを示す赤色札と、作業中であることを示す赤色の移動禁止合図旗と、擬似マスコンキーを着脱自在に装着し移動禁止合図旗を取り付けたポールと、このポール先端に取り付けられた赤色灯などを備えている。このような従来の移動禁止合図では、車両の運転台に上がるときに使用するステップに移動禁止合図旗が掲出され、この移動禁止合図旗から取り外された擬似マスコンキーが主幹制御器の鍵穴に装着される。このような従来の移動禁止合図では、移動禁止合図旗の掲出箇所が現場毎に規則で定められており、上り側又は下り側の先頭車両や乗務員の詰め所に近い側の先頭車両に移動禁止合図旗が掲出されている。現場では、運転士が運転台に上がるときには移動禁止合図旗が掲出されたステップから上がることが規則として定められており、作業者が作業の流れの中で自然と移動禁止合図旗に気が付くような取り組みがなされている。その結果、運転士が移動禁止合図旗に気付かずに車両を移動させようとしてもマスコンキーを挿入する鍵穴に擬似マスコンキーが挿入されているため、車両の移動禁止を運転士に気付かせることができる。
登録実用新案第3087451号公報(段落番号0014及び図1)
従来の移動禁止合図では、車両の移動禁止を係員に気付かせるために様々な工夫が各現場でなされているがいずれも係員の注意力に依存するため、一定の効果は期待できるが係員が確認作業を見落とした場合には車両の移動を完全に禁止することが困難であった。例えば、上下線のいずれの方向にも車両を移動可能な電車区などでは、上り側の先頭車両に移動禁止合図旗が掲出されていても下り側の先頭車両から移動するときには、乗務員が移動禁止合図旗を見落とすおそれがある。また、移動禁止合図旗を掲出する係員は所属する電車区などの規則を知っているため決められた掲出箇所に移動禁止合図旗を掲出するが、移動禁止合図旗を確認する乗務員は移動禁止合図旗の掲出箇所や規則が異なる各電車区に出入りするため、移動禁止合図旗を見落とすおそれがある。
この発明の課題は、大規模な車両の改造を避け低コストで簡単に車両の移動を禁止することができる車両の移動禁止装置を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、車両(2)のドア(5)の開閉状態を検出する検出装置(6c)と、前記検出装置が前記ドアの閉鎖を検出したときに、前記車両を起動させる起動回路(7)を切断状態から接続状態に切り替える切替装置(6d)とを備える車両に対する作業を実施するときにこの車両の移動を禁止する車両の移動禁止装置であって、前記起動回路が切断状態を維持するように、前記ドアの先端部(5c,5d)に着脱自在に装着されてこのドアに挟み込まれこのドアの閉鎖を阻止するドア閉鎖阻止部(11)を備えることを特徴とする車両の移動禁止装置(10)である。
請求項2の発明は、請求項に記載の車両の移動禁止装置において、前記ドアの先端部に前記ドア閉鎖阻止部を締め付ける締付力を回転量に応じて調整する締付力調整部(12;15)と、前記締付力調整部を回転操作する回転操作部(13;16)とを備えることを特徴とする車両の移動禁止装置である。
請求項3の発明は、車両(2)のドア(5)の開閉状態を検出する検出装置(6c)と、前記検出装置が前記ドアの閉鎖を検出したときに、前記車両を起動させる起動回路(7)を切断状態から接続状態に切り替える切替装置(6d)とを備える車両に対する作業を実施するときにこの車両の移動を禁止する車両の移動禁止装置であって、前記起動回路が切断状態を維持するように、前記ドア付近の床面(3a)に引戸レール(5g)を跨ぎ着脱自在に設置されてこのドアに挟み込まれこのドアの閉鎖を阻止するドア閉鎖阻止部(17)前記ドア閉鎖阻止部の姿勢が傾いたときに、このドア閉鎖阻止部の姿勢を復元する方向にこのドア閉鎖阻止部を回転させるバランサ部(20)とを備える車両の移動禁止装置(10)である。
請求項4の発明は、請求項に記載の車両の移動禁止装置において、前記ドア閉鎖阻止部を複数積み重ねて設置するときにこのドア閉鎖阻止部を位置決めする位置決め部(18a)を備えることを特徴とする車両の移動禁止装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車両の移動禁止装置において、前記車両が作業中であることを示す合図を表示する表示部(14)を備えるこを特徴とする車両の移動禁止装置である。
この発明によると、大規模な車両の改造を避け低コストで簡単に車両の移動を禁止することができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置が装着された車両の正面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置が装着された車両の側面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置が装着される車両のブロック図である。図4は、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の装着状態を示す斜視図である。
線路1は、車両2が走行する通路(軌道)である。車両2は、電車や気動車などの先頭車両又は後尾車両である。車両2は、図1及び図2に示す車体3と、台車4と、ドア5と、図3に示す戸閉め装置6と、起動回路7と、駆動装置8と、制御装置9などを備えている。車体3は、乗客を積載し輸送するための構造物であり、図4に示すように乗客が出入する側入口付近の床面3aと、ドア5の外側から床面3aに雨水などが回り込むのを防止する靴ずり3bと、車体3の側を構成する側面3cなどから構成されている。図2に示す台車4は、車体3を支持して線路1上を走行する装置である。ドア5は、車両2の出入口を開閉する構造物である。ドア5は、図2及び図4に示すように、互いに反対方向に開閉する2枚の両引戸5a,5bと、両引戸5a,5bの先端部に取り付けられた戸先ゴム5c,5dと、両引戸5a,5bをそれぞれ収納する戸袋5e,5fと、両引戸5a,5bを開閉自在に案内する引戸レール5gなどから構成されている。
図3に示す戸閉め装置6は、ドア5を開閉する装置である。戸閉め装置6は、ドア5の開閉を操作する戸閉め操作部(車掌スイッチ)6aと、ドア5を開閉駆動する戸閉め機構部(戸閉め機械)6bと、ドア5の開閉状態を検出する戸閉め検出部(戸閉めスイッチ)6cと、戸閉め検出部6cがドア5の閉鎖を検出したときに起動回路7を切断状態から接続状態に切り替える切替部(戸閉め連動継電器)6dなどを備えている。起動回路7は、車両2を起動させる戸閉め回路である。起動回路7は、ドア5が開放した状態で車両2が移動するのを防止するために、戸閉め検出部6cがドア5の閉鎖を検出して切替部6dの継電器が励磁されこの継電器の接点が閉じ接続状態になった後に駆動装置8を駆動する。駆動装置8は、車両2を駆動する装置であり、電気車の場合には主電動機であり気動車の場合には内燃機関などである。制御装置9は、図示しない主幹制御器からの指令に基づいて車両2の種々の動作を制御する装置である。
図5は、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の平面図である。図6は、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の正面図である。図7は、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の右側面図である。
移動禁止装置10は、車両2に対して作業を実施するときにこの車両2の移動を禁止する装置である。移動禁止装置10は、図5〜図7に示すドア閉鎖阻止部11と、締付力調整部12と、回転操作部13と、図4に示す表示部14とを備えている。移動禁止装置10は、例えば、電車区などの車両基地で車両2の点検や整備などの作業を実施する際に、この車両2が作業中であり移動禁止であることを知らせるために、ドア5の両引戸5a,5bの間に挟み込まれ装着される。移動禁止装置10は、両引戸5a,5bのいずれか一方の先端部(戸先)に装着可能であり、以下では図2及び図4〜図7に示すように両引戸5a側に装着した場合を例に挙げて説明する。
ドア閉鎖阻止部11は、図3に示す起動回路7が切断状態を維持するようにドア5の閉鎖を阻止する部分である。ドア閉鎖阻止部11は、図4〜図6に示すように、ドア5の先端部に着脱自在に装着されてこのドア5に挟みこまれる。ドア閉鎖阻止部11は、図5〜図7に示すように、板状部11a,11bと、軸受部11c,11dと、連結軸11eと、ストッパ部11f,11gと、滑り止め部11h〜11jと、緩衝部11kなどから構成されている。ドア閉鎖阻止部11は、ドア5が閉鎖したときに図3に示す起動回路7が接続状態にならないように、図2、図5及び図6に示すように両引戸5aの先端部と両引戸5bの先端部との間に挟み込まれて、所定の隙間Lをあける介在物として機能する。
板状部11a,11bは、両引戸5aの先端部を挟み込む部分であり、図4に示すように板状部11aは両引戸5aの車外側の側面を挟み込み、板状部11bは両引戸5aの車内側の側面を挟み込む。板状部11a,11bの厚さは、ドア閉鎖阻止部11を装着した状態で両引戸5a,5bが戸袋5e,5f内に引き込まれたときに、板状部11a,11bが戸袋5e,5fと衝突しないように、両引戸5a,5bと戸袋5e,5fとの間の隙間よりも薄く設計されている。図5〜図7に示す軸受部11c,11dは、連結軸11eを回転自在に支持する部分であり板状部11a,11bとそれぞれ一体に形成されている。連結軸11eは、板状部11aと板状部11bとを回転自在に連結する部材であり、軸受部11c,11dに嵌め込まれ固定されている。図5及び図6に示すストッパ部11fは、板状部11aと板状部11bとの間に両引戸5aの先端部が挿入される長さを所定の長さに規制する部分であり、板状部11aと一体に形成されている。図5及び図7に示すストッパ部11gは、両引戸5bの閉鎖時の移動量を規制する部分であり、板状部11aの端部を直角に折り曲げて形成されている。ストッパ部11f,11gは、図2及び図5に示すように、ドア閉鎖阻止部11が装着された状態でドア5が閉鎖したときに、両引戸5aの先端部と両引戸5bの先端部との間に生じる隙間Lを所定の範囲内に設定する。
図2、図5及び図6に示す隙間Lは、ドア閉鎖阻止部11がドア5に挟み込まれたときに図3に示す起動回路7を確実に遮断可能な長さに設定する必要がある。現行の車両設計基準では、図3に示す戸閉め検出部6cによって20mm以上の介在物を検知可能なように設計され管理されている。戸閉め機構部6bがドア5の上部に設置されており開閉時の駆動力がドア5の上部に加わる車両の場合には、ドア閉鎖阻止部11をドア5に挟み込むとドア5の下側よりも上側が狭くなるため、起動回路7を確実に遮断することができないおそれがある。このため、この実施形態では、形式の異なる車両についても起動回路7を確実に遮断可能なように、ドア閉鎖阻止部11がドア5に挟み込まれたときに戸先ゴム5c,5dが凹むことを考慮して20〜40mm程度に隙間Lを設定することが好ましい。
図5に示す滑り止め部11h,11iは、板状部11a,11bと両引戸5aとの間の滑りを防止する板状のゴムであり、板状部11a,11bの内側にそれぞれ貼り付けられている。図5及び図6に示す滑り止め部11jは、ストッパ部11fと戸先ゴム5cとの間の滑りを防止する板状のゴムであり、ストッパ部11fの表面に貼り付けられている。緩衝部11kは、戸先ゴム5dがストッパ部11gと衝突したときに発生する衝撃力を緩和する板状のゴムであり、ストッパ部11gの表面に貼り付けられている。
締付力調整部12は、ドア5の先端部にドア閉鎖阻止部11を締め付ける締付力を回転量に応じて調整する機構部である。締付力調整部12は、図5〜図7に示すように、板状部11a,11bを貫通しこれらの間の間隔を調整するねじ部12aと、板状部11bに固定されねじ部12aと噛み合うナット12bと、ねじ部12aの先端部を貫通しこのねじ部12aに固定される割ピン12cと、ナット12bと割ピン12cとの間に配置されねじ部12aが貫通する平座金12dと、ねじ部12aの端部が嵌合する円筒状の旗竿部12eと、ねじ部12aと旗竿部12eとが一体となって回転するようにこれらを連結するスプリングピン12fなどから構成されている。
回転操作部13は、締付力調整部12を回転操作する部分である。回転操作部13は、作業者が把持しねじ部12aを回転操作するノブ部13aと、このノブ部13aと一体に形成されており旗竿部12eに嵌合する軸部13bと、この軸部13bと旗竿部12eとが一体となって回転するようにこれらを連結するスプリングピン13cなどから構成されている。
図4に示す表示部14は、車両2が作業中であることを示す合図を表示する部分である。表示部14は、布又は合成樹脂などからなる旗14aと、この旗14aを旗竿部12eに結び付けて固定する紐14b,14cなどから構成されている。表示部14は、例えば、清掃整備グループが車両2内で清掃作業をするときには、整備中を示す白色の「整」の文字とこの文字を囲む白色の「円」とを赤色旗に表示し、検査グループが車両2内で仕業作業をするときには、仕業作業中を示す「仕」の文字とこの文字を囲む白色の「円」とを赤色旗に表示する。
次に、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の装着方法を説明する。
図2及び図4に示すように、移動禁止装置10を車両2に装着するときには、車両2内の作業グループを表す移動禁止装置10を予め準備する。次に、電車区などの車両基地で車両2を停車させた状態で、ドア5を手動で開閉するための解除ハンドル(ドアコック)を操作してドア5を開く。図5及び図7に示すねじ部12aを緩めた状態で板状部11aと板状部11bとの間に両引戸5aの先端部を嵌め込み、図5及び図6に示す戸先ゴム5cが滑り止め部11jと接触するまでドア閉鎖阻止部11を押し込む。ノブ部13aを回転させると軸部13bと旗竿部12eとが一体となって回転するとともに、旗竿部12eとねじ部12aとが一体となって回転する。ねじ部12aが回転すると、図5に示すようにナット12bの座面及び旗竿部12eの端面から板状部11a,11bが締付力Fを受ける。連結軸11eから僅かにずれた位置で板状部11a,11bが締付力Fを受けるため、連結軸11eを支点として板状部11a,11bがA1,A2方向に撓み、ナット12bの座面と旗竿部12eの端面との間の間隔が僅かに狭くなる。このため、板状部11aと板状部11bとの間に両引戸5aが挟み込まれて締め付けられ、滑り止め部11h,11iが両引戸5aと密着する。その結果、移動禁止装置10が両引戸5aに装着され移動禁止装置10が掲出される。なお、移動禁止装置10をドア5から撤去するときには、ねじ部12aを逆方向に回転させると板状部11a,11bが弾性力によって復元して、板状部11aと板状部11bとの間の間隔が広がり移動禁止装置10が車両2から取り外される。
次に、この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の作用を説明する。
図2及び図4に示すように、移動禁止装置10が両引戸5aに装着されているにもかかわらず乗務員が表示部14を見落として、図3に示す戸閉め操作部6aを操作すると戸閉め機構部6bがドア5を閉鎖する。その結果、両引戸5aの先端部と両引戸5bの先端部との間にドア閉鎖阻止部11が挟み込まれてドア5の完全な閉鎖が阻止される。両引戸5aと両引戸5bとの間の距離が徐々に小さくなり所定の設定長さに達すると、図3に示す戸閉め検出部6cがドア5の完全な閉鎖を検出する。しかし、両引戸5aと両引戸5bとの間に移動禁止装置10が挟み込まれたときの隙間Lがこの所定長さよりも長いため、図3に示す起動回路7を開閉する切替部6dが接続状態に切り替わらず起動回路7が切断状態で維持される。その結果、運転士が主幹制御器を操作して車両2を移動させようとしても起動回路7が強制的に遮断されているため、駆動装置8が動作せず車両2の移動が禁止される。
この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、車両2を起動させる起動回路7が切断状態を維持するようにドア閉鎖阻止部11を車両2に着脱自在に設置してドア閉鎖阻止部11がドア5の閉鎖を阻止する。その結果、新旧様々な車両に対応可能な低コストで簡単な構造の移動禁止装置10によって、起動回路7を強制的に遮断して車両2の移動を禁止することができる。また、作業員の注意力に依存することなく車両2の移動を防止することができる。
(2) この第1実施形態では、ドア閉鎖阻止部11がドア5の先端部に着脱自在に装着されてこのドア5に挟み込まれる。その結果、ドア5に介在物が挟み込まれてドア5が閉鎖しないときには、起動回路7が接続状態に切り替わらず車両2が起動しないという既存の車両構造を利用して、車両2を大規模に改造することなく車両2の移動を禁止することができる。また、ドア5の開閉動作に応じて移動禁止装置10もドア5と一体となって移動するため、ドア5の開閉動作により発生する風圧などによって移動禁止装置10の設置位置がずれるのを防止することができる。さらに、図4に示すように、移動禁止装置10が車両2の床面3aから離れたドア5の先端部に設置されているため、床面3aを清掃するときに移動禁止装置10が清掃作業の支障になるのを防ぐことができる。
(3) この第1実施形態では、ドア5の先端部にドア閉鎖阻止部11を締め付ける締付力を回転量に応じて締付力調整部12が調整し、この締付力調整部12を回転操作部13によって回転操作する。その結果、移動禁止装置10の構造が簡単になりコンパクトになるため携帯性や耐久性に優れ作業性を向上させることができる。特に、この第1実施形態では、市販の部品を組み合わせて移動禁止装置10を構成することができるためこの移動禁止装置10を安価に製造することができる。また、この第1実施形態では、ねじ部12aと旗竿部12eとが一体に回転するため、ねじ部12aのねじピッチを大きくすることによって、少ない回転量で移動禁止装置10をドア5に簡単に着脱することができる。
(4) この第1実施形態では、車両2が作業中であることを示す合図を表示部14が表示する。このため、係員に車両2が作業中であり車両2の移動が禁止されていることを知らせることができるとともに、車両2内で作業を実施している作業グループの存在を知らせることができる。また、車両2を移動禁止するための合図を表示する機能と車両2を物理的に移動禁止する機能とを一つの移動禁止装置10によって実現することができる。さらに、同一の車両2に対して異なる作業が重なって実施される場合には、移動禁止装置10をドア5に複数掲出することができる。
(第2実施形態)
図8は、この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置を車両に装着した状態を示す斜視図である。図9は、この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の平面図である。図10は、この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の正面図である。図11は、この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の右側面図である。図12は、この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の締付力調整部の平面図であり、図12(A)は装着時の状態を示し、図12(B)は取り外し時の状態を示す。以下では、図1〜図7に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示す表示部14は、円筒状の旗竿部14dを備えており、この旗竿部14dの端部は図11に示すように軸受部11cに溶接され固定されている。締付力調整部15は、図9〜図12に示すように、本体部15aと、フランジ部15b,15cと、軸部15dと、カム部15e,15fと、ロック部15gなどから構成されている。本体部15aは、図12に示すように、板状部11aを貫通してこの板状部11aに固定される部分であり、フランジ部15b,15cは板状部11aを挟み込む部分である。軸部15dは、長さ方向にスライド可能な部材であり本体部15aに支持されている。図11に示すカム部15e,15fは、軸部15dを長さ方向にスライド動作させる部分であり、カム部15eは両引戸5aを締め付ける機能を有し、カム部15fは両引戸5aを緩める機能を有する。カム部15eは、カム部15fよりも軸部15dの中心から離れた位置に形成されている。図12に示すロック部15gは、ストッパ部11fと一体にこのストッパ部11fに対して直角に形成されたストッパ部11mと接触及び離間する掛金である。ロック部15gは、本体部15a内の図示しない機構部を介して軸部15dと連結されており、この軸部15dのスライド動作と連動して進退動作が可能なように本体部15aに支持されている。
回転操作部16は、作業者が把持し回転するレバー部16aを備えており、図11に示すようにレバー部16aは軸部15dに回転自在に支持されている。レバー部16aには、カム部15e,15fが連続して一体に形成されている。レバー部16aは、図11に示すB1方向に回転して実線で示すように倒れた状態になると、図12(A)に示すように軸部15dをC1方向にスライドさせてロック部15gをD1方向に進出させる。一方、レバー部16aは、図11に示すB2方向に回転して二点鎖線で示すように立ち上げた状態になると、図12(B)に示すように軸部15dをC2方向にスライドさせてロック部15gをD2方向に後退させる。
次に、この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の装着方法を説明する。
図8に示すように、移動禁止装置10を車両2に装着するときには、図11及び図12(B)に示すようにレバー部16aを立ち上げた状態で板状部11aと板状部11bとの間に両引戸5aの先端部を嵌め込みドア閉鎖阻止部11を押し込む。図11に示すようにレバー部16aをB1方向に回転すると、図11に実線で示すようにフランジ部15cにカム部15eが押し付けられて、図12(A)に示すように軸部15dがC1方向にスライドして図中二点鎖線で示す位置から実線で示す位置まで移動する。このとき、軸部15dのスライド動作に連動してロック部15gがD1方向に突出しストッパ部11mと接触すると、ロック部15gとストッパ部11mとの接触面には締付力Fが作用して板状部11bがE1方向に撓む。その結果、板状部11aと板状部11bとの間に両引戸5aが挟み込まれ締め付けられ、移動禁止装置10が両引戸5aに掲出される。
一方、移動禁止装置10を車両2から撤去するときには、図11及び図12(B)に示すようにレバー部16aをB2方向に回転させて二点鎖線で示すように立ち上げた状態にする。その結果、図11に実線で示すようにフランジ部15cとカム部15fとが接触して、図12(B)に示すように軸部15dがC2方向にスライドし図中二点鎖線で示す位置から実線で示す位置まで移動する。このとき、軸部15dのスライド動作に連動してロック部15gがD2方向に後退しストッパ部11mから離間する。その結果、ロック部15gとストッパ部11mとの接触面に作用していた締付力Fがなくなるため、板状部11bが弾性力によってE2方向に撓み、板状部11aと板状部11bとの間の間隔が広がり移動禁止装置10が車両2から取り外される。
この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置には、第1実施形態の効果に加えて、移動禁止装置10の本体部15a近傍のレバー部16aによって移動禁止装置10を簡単に着脱することができるため、第1実施形態に比べて作業性をより一層向上させることができる。
(第3実施形態)
図13は、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置を車両に装着した状態を示す斜視図である。図14は、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の平面図である。図15は、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の正面図である。図16は、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の右側面図であり、図16(A)はドア外側が平坦面である車両に装着した状態を示し、図16(B)はドア外側が傾斜面である車両に装着した状態を示す。図17は、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置のバランサ部の横断面図である。図18は、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置が傾いた状態を示す正面図である。図19は、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置を重ねて装着した状態を示す斜視図である。
図13に示す移動禁止装置10は、表示部14と、ドア閉鎖阻止部17と、押さえ部18と,挟み込み部19と、バランサ部20とを備えている。ドア閉鎖阻止部17は、ドア5付近の床面3aに着脱自在に設置されてこのドア5に挟み込まれる部分である。ドア閉鎖阻止部17は、図14〜図16に示すように、断面形状が四角形の筒状部材であり、ドア閉鎖阻止部17の先端部には旗竿部14dの端部が嵌め込まれ溶接されている。ドア閉鎖阻止部17の両側面には、図13及び図14に示すように、戸先ゴム5c,5dが衝突したときに発生する衝撃力を緩和する断面半円状のゴムからなる緩衝部17a,17bが貼り付けられている。ドア閉鎖阻止部17の上面には、図14及び図16に示すように、移動禁止装置10を複数積み重ねて設置するための平坦な設置部17cが形成されている。ドア閉鎖阻止部17の幅は、図14に示すように、図2及び図5に示す隙間Lと同じ大きさになるように設計されている。
押さえ部18は、移動禁止装置10の先端部を位置決めする板状部である。押さえ部18は、図16(A)に示すように、靴ずり3bが平坦面であるときには、車両3の側面3cに裏面を接触させて移動禁止装置10の長さ方向の位置を位置決めする。押さえ部18は、図16(B)に示すように、靴ずり3bが傾斜面であるときにはこの靴ずり3bに先端部を接触させて、引戸レール5gを跨ぐようにドア閉鎖阻止部17と床面3aとの間に間隙部を形成する。押さえ部18の先端部には、図13及び図15に示すように、ドア閉鎖阻止部17を複数積み重ねて設置するときにこのドア閉鎖阻止部17を位置決めする位置決め部18aが形成されている。この位置決め部18aは、下側の旗竿部14dと嵌合して上側の移動禁止装置10を位置決めするとともに、この移動禁止装置10の落下を防止する半円状の切欠部であり、挟み込み部19の先端部に接着されている。
挟み込み部19は、靴ずり3bとドア閉鎖阻止部17との間に挟み込まれるゴムからなるライナでありドア閉鎖阻止部17の底面に接着されている。挟み込み部19は、図16(A)に示すように、靴ずり3bが平坦面であるときには、引戸レール5gを跨ぐようにドア閉鎖阻止部17と床面3aとの間に間隙部を形成するとともに、床面3aに対して移動禁止装置10を平行に位置決めする。
図13〜図17に示すバランサ部20は、ドア閉鎖阻止部17の姿勢が傾いたときにこのドア閉鎖阻止部17の姿勢を復元する方向にこのドア閉鎖阻止部17を回転させる部分である。バランサ部20は、図17に示すように、断面形状が台形のゴムでありベース部20bの上面に下が固定されている。バランサ部20の上面には、図14及び図16に示すように、移動禁止装置10を複数積み重ねて設置するための平坦な設置部20aが形成されており、バランサ部20は図16及び図17に示すようにベース部20bと滑り止め部20cとを備えている。ベース部20bは、直角に折り曲げられた先端部がドア閉鎖阻止部17に溶接され固定された板状の部材である。滑り止め部20cは、ベース部20bと床面3aとの間の滑りを防止する板状のゴムからなり、ベース部20bの底面に接着されている。滑り止め部20cは、図19に示すように、ドア閉鎖阻止部17が複数積み重ねて設置されたときには、下側のバランサ部20との間の滑りを防止する。
バランサ部20は、図18に示すように、移動禁止装置10の重心G1に対してバランサ部20の重心G2が外側に位置するため、ドア閉鎖阻止部17が軸線回りに回転して姿勢が傾いたときに、ドア閉鎖阻止部17の姿勢を元に戻すようなモーメントMをこのドア閉鎖阻止部17に作用させる。バランサ部20は、移動禁止装置10を床面3a上に設置したときに移動禁止装置10の先端部側が下がり傾斜するのを防止するために、表示部14及びドア閉鎖阻止部17などの重量よりも重く設計されている。
次に、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の装着方法を説明する。
図13に示すように、移動禁止装置10を車両2に装着するときには、図16に示すように引戸レール5gに対して直交してこの引戸レール5gを横切るように床面3a上に滑り止め部20cを設置する。図19に示すように、複数の移動禁止装置10を車両2に掲出するときには、上側の移動禁止装置10の位置決め部18aを下側の移動禁止装置10の旗竿部14dに嵌め込むとともに、上側の移動禁止装置10の挟み込み部19及び滑り止め部20cを下側の移動禁止装置10の設置部17c,20a上に設置する。その結果、複数の移動禁止装置10が積み重ねられた状態で一つの車両2に掲出される。
次に、この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の作用を説明する。
図14に示すように、ドア5を閉鎖すると両引戸5aの先端部と両引戸5bの先端部との間にドア閉鎖阻止部17が挟み込まれて、ドア5の完全な閉鎖が阻止される。例えば、図18に示すように、戸先ゴム5c,5dが緩衝部17a,17bに衝突して移動禁止装置10が傾くと、バランサ部20の重心G2を中心する矢印方向のモーメントMが移動禁止装置10に作用して、移動禁止装置10が傾いた姿勢から正常な姿勢に復元する。
この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、ドア閉鎖阻止部17がドア5付近の床面3aに着脱自在に設置されてこのドア5に挟み込まれる。その結果、移動禁止装置10を床面3a上に載せるだけで簡単に設置することができるため、第1及び第2実施形態に比べて作業性をより一層向上させることができる。
(2) この第3実施形態では、ドア閉鎖阻止部17の姿勢が傾いたときにこのドア閉鎖阻止部17の姿勢を復元する方向にバランサ部20がドア閉鎖阻止部17を回転させる。このため、移動禁止装置10の姿勢を正常な姿勢に可能な限り復元することができる。その結果、図14及び図16に示すように、ドア閉鎖阻止部17の幅が高さに比べて短い場合であって、図18に示すようにドア閉鎖阻止部17の姿勢が90度傾いた状態でドア5に挟み込まれたときに、図3に示す起動回路7が接続されてしまう不都合を回避することができる。
(3) この第3実施形態では、ドア閉鎖阻止部17を複数積み重ねて設置するときにこのドア閉鎖阻止部17を位置決め部18aが位置決めする。その結果、移動禁止装置10の位置がずれたり移動禁止装置10が落下したりするのを可能な限り防止することができる。
(第4実施形態)
図20は、この発明の第4実施形態に係る車両の移動禁止システムを備える車両のブロック図である。
移動禁止システム21は、車両2に対して作業を実施するときにこの車両2の移動を禁止するシステムである。移動禁止システム21は、図20に示すように、駆動装置8と、制御装置9と、主幹制御器22と、切替装置23と、表示装置24と、予備バッテリ装置25と、駐車ブレーキ装置26と、非常ブレーキ装置27と、遮断装置28と、低圧回路29と、パンタグラフ昇降装置30と、パンタグラフ31と、高圧回路32などを備えている。
制御装置9は、例えば、切替装置23が移動禁止状態に切り替わったときに、車両2が作業中であることを示す合図を表示装置24に表示させたり、ブレーキ試験動作中にブレーキが緩められ車両2が起動されたときに非常ブレーキ装置27を作動させたり、低圧回路29を遮断させたり、パンタグラフ31の上昇を禁止させたりする。主幹制御器22は、運転士のハンドル操作によって力行、ブレーキなどの制御を指令するマスター・コントローラである。切替装置23は、作業を実施するときに車両2を移動禁止状態に切り替える作業スイッチであり、車両2の運転台に設置されており編成中の1箇所で切り替えられると編成全体で機能する。表示装置24は、切替装置23が移動禁止状態に切り替わったときに車両2が作業中であることを示す合図を表示する装置である。表示装置24は、例えば、車両2の運転台の表示画面に「移動禁止」と表示したり、切替装置23がONしたときにこの切替装置23の近傍に設置されたLEDなどを発光させたり、運転台を有する車両2の両側面にそれぞれ1箇所ずつ設置された車側表示灯を点灯させたりする。予備バッテリ装置25は、高圧回路32が加圧されておらずバッテリ装置に負担がかかるようなときに表示装置24などに電力を供給する装置である。
駐車ブレーキ装置26は、車両停車時の車輪の転動を防止するときに動作するブレーキであり、非常ブレーキ装置27は非常時に動作するブレーキである。遮断装置28は、低圧回路29を遮断する切替スイッチであり、切替装置23が車両2を移動禁止状態に切り替わっているときにバッテリ装置のON及びOFFを不可能にする。低圧回路29は、架線の電圧よりも低い電圧が加わる回路である。低圧回路29は、例えば、車両2の起動に必要な電力を供給するバッテリ装置などであり車両2内の機器の動作に必要な電源として機能する。パンタグラフ昇降装置30は、パンタグラフ31を上昇及び下降する装置であり、低圧回路29からの電力によってパンタグラフ31を上昇させる。パンタグラフ31は、架線から電力を受ける装置である。高圧回路32は、パンタグラフ31を通じて架線からの電力が供給される回路であり、架線から電力が供給されると図示しない発電機を作動させて低圧回路29のバッテリ装置を充電する。
次に、この発明の第4実施形態にかかる車両の移動禁止システムの動作を説明する。図21は、この発明の第4実施形態にかかる車両の移動禁止システムの動作を説明するフローチャートである。
ステップ(以下、Sという)100において、切替装置23がONしたか否かが判断される。車両2を停止させた状態で車両2に対して作業を実施するときに、切替装置23が投入(ON)されると車両2が移動禁止状態に切り替わる。切替装置23がONしたか否かを制御装置9が判断し、切替装置23がONしたときにはS200に進み、切替装置23がOFFであるときには一連の動作を終了する。
S200において、駐車ブレーキ装置26が作動する。切替装置23がONすると制御装置9が駐車ブレーキ装置26を作動させ車両2の転動が防止される。S300において、非常ブレーキ装置27が作動する。切替装置23がONすると制御装置9が非常ブレーキ装置27を作動させる。
S400において、低圧回路29が確認される。低圧回路29の加圧又は無加圧を制御装置9が確認する。低圧回路29の状態を変えるような操作がされたときにはこのような操作を制御装置9が無効にする。制御装置9は、例えば、バッテリ装置をON及びOFFするような操作を禁止する。
S500において、パンタグラフ31の上昇が禁止されパンタグラフ31の下降が許可される。高圧回路32が加圧されていないときには、パンタグラフ31が架線と離間しており車両2が低電圧状態である。その結果、パンタグラフ31を架線に接触させて車両2を高電圧状態にすると作業者に危険を及ぼすおそれがあるため、パンタグラフ昇降装置30によるパンタグラフ31の上昇を制御装置9が禁止する。なお、車両2が気動車である場合には、内燃機関の始動を制御装置9が禁止する。一方、高圧回路32が加圧されているときには、パンタグラフ31が架線と接触しており車両2が高電圧状態である。その結果、パンタグラフ31を架線から離間させて車両2を低電圧状態にしても作業者に危険が少ないため、パンタグラフ昇降装置30によるパンタグラフ31の下降を制御装置9が許可する。なお、車両2が気動車である場合には内燃機関の停止を制御装置9が許可する。
S600において、移動禁止状態が表示される。車両2が作業中であり移動禁止状態であることを示す合図を制御装置9が表示装置24に表示させる。
S700において、高圧回路32が加圧されているか否かが判断される。高圧回路32が加圧されているときにはパンタグラフ31が架線と接触しており、架線から高圧回路32に電力が供給されている。高圧回路32が加圧されているか否かを制御装置9が判断し、高圧回路32が加圧されているときにはS800に進み、高圧回路32が加圧されていないときには一連の動作を終了する。
S800において、起動試験を実施するか否かが判断される。主幹制御器22が運転士によって操作されて、起動試験が実施されたと制御装置9が判断したときにはS900に進み、起動試験が実施されていないと制御装置9が判断したときにはS1000に進む。
S900において、起動試験が実施される。S200,S300において駐車ブレーキ装置26及び非常ブレーキ装置27が作動しているため、主幹制御器22を運転士が操作して起動確認などを実施しても車両2が移動しない。
S1000において、ブレーキ試験を実施するか否かが判断される。主幹制御器22が運転士によって操作されてブレーキ試験が実施されたと制御装置9が判断したときにはS1100に進み、ブレーキ試験が実施されていないと制御装置9が判断したときには一連の動作を終了する。
S1100において、緩解確認が実施され非常ブレーキ装置27が解除される。ブレーキ試験時には、ブレーキを緩める緩解確認を実施する必要があるため非常ブレーキ装置27を解除する必要がある。
S1200において、主幹制御器22を運転士が操作して力行ノッチがONしたか否かが判断される。車両2を走行状態にするための力行ノッチがONしたか否かを制御装置9が判断し、力行ノッチがONしたときにはS1300に進み、力行ノッチがOFFであるときにはS1400に進む。
S1300において、非常ブレーキ装置27が作動する。緩解確認時には非常ブレーキ装置27が解除されているため、力行ノッチがONすると車両2が移動を開始するおそれがある。このため、力行ノッチがONすると制御装置9が非常ブレーキ装置27を直ちに作動させて車両2の移動を防ぐ。
S1400において、ブレーキ試験が実施される。力行ノッチがOFFであるときには車両2が移動を開始するおそれがないため、主幹制御器22のブレーキハンドルを運転士が操作したときには、このブレーキハンドルからの指令に基づいて制御装置9がブレーキ装置を制御してブレーキ試験を実施させる。
この発明の第4実施形態に係る車両の移動禁止システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第4実施形態では、車両2に対する作業を実施するときにこの車両2を移動禁止状態に切替装置23が切り替え、この切替装置23が車両2を移動禁止状態に切り替えたときに車両2の駐車ブレーキ装置26及び非常ブレーキ装置27を制御装置9が作動させる。その結果、簡単な操作によって車両2の移動が禁止されるため、車両2に対する作業を安全に実施することができる。
(2) この第4実施形態では、ブレーキ試験動作中にブレーキが緩められ車両2が起動されたときに非常ブレーキ装置27を制御装置9が強制的に作動させる。その結果、ブレーキの緩解確認時に力行ノッチがONして車両2が起動されたときに、直ちに非常ブレーキ装置27を作動させて車両2の移動を防ぐことができる。
(3) この第4実施形態では、切替装置23が車両2を移動禁止状態に切り替えたときにこの車両2が作業中であることを示す合図を表示装置24が表示する。その結果、車両2が作業中であり移動禁止状態であることを係員に知らせることができる。
(4) この第4実施形態では、切替装置23が車両2を移動禁止状態に切り替えたときにこの車両2の低圧回路29のON及びOFFが禁止させる。その結果、低圧回路29の加圧及び無加圧ができなくなるため低圧回路29の状態が変化せず、低圧回路29のバッテリ装置などのON及びOFFもできなくなる。また、低圧回路29から供給される電力によってパンタグラフ昇降装置30がパンタグラフ31を上昇させるのを防ぐことができる。その結果、パンタグラフ31が架線に接触するのを禁止することができるため、高圧回路32の状態が変化せず車両2が高電圧状態に切り替わるのを防止することができる。
(5) この第4実施形態では、切替装置23が車両2を移動禁止状態に切り替えたときにこの車両2のパンタグラフ31の上昇を制御装置9が禁止させる。その結果、パンタグラフ31を通じて架線から高圧回路32に電力が供給されて車両2が高電圧状態になるのを防止することができるため、作業者が安全に作業を実施することができる。
(6) この第4実施形態では、切替装置23が車両2を移動禁止状態に切り替えたときにこの車両2の内燃機関の始動を制御装置9が禁止させる。その結果、車両2が気動車である場合にこの気動車の内燃機関が始動するのを防止することができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、電車や気動車などを例に挙げて説明したが、電気機関車や内燃機関車などに牽引される客車などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、鉄道車両を例に挙げて説明したが自動車、航空機、船舶などの他の交通輸送機関についてもこの発明を適用することができる。さらに、この第1実施形態及び第2実施形態では、移動禁止装置10をドア5側に着脱可能な構造にしているが移動禁止装置10を床面3a側に着脱可能な構造にすることもできる。
(2) この第1実施形態〜第3実施形態では、ドア5が両引戸5a,5bである場合を例に挙げて説明したがこれに限定するものではない。例えば、横方向に開閉する1枚の片開き戸からなる引戸や、戸を閉鎖するときに車体3の開口部に嵌まり込み車体3の側面との間の段差を解消するプラグドアや、ヒンジ結合されて折り畳み可能な複数の戸を開閉する折戸などについてもこの発明を適用することができる。また、この第1実施形態〜第3実施形態では、旗竿部12e,14dの基部を固定しているが、歩行者などがこの旗竿部12e,14dと衝突したときに生ずる衝撃を緩和するために旗竿部12e,14dの基部を折れ曲がり自在の構造にすることもできる。
(3) この第1実施形態〜第3実施形態では、車両2に着脱自在に設置される移動禁止装置10を例に挙げて説明したが、ドア5の閉鎖状態に維持するロック機構をドア5の付近に設置したり床面3aに収納可能に設置したりすることもできる。また、この第3実施形態では、移動禁止装置10を複数積み重ねて設置する場合を例に挙げて説明したが、移動禁止装置10を床面3a上に並列に複数並べて設置することもできる。
(4) この第4実施形態では、S200,S300において駐車ブレーキ装置26及び非常ブレーキ装置27を作動させているが駐車ブレーキ装置26のみを作動させることもできる。また、この第4実施形態では、S500において予備バッテリ装置25を作動させているが予備バッテリ装置25を省略することもできる。この場合には、高圧回路32が加圧されていないときに表示装置24を動作させると、低圧回路29を構成するバッテリ装置に負担がかかる。このため、低圧回路29が加圧されていないときには、表示装置24の動作を省略することもできる。
この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置が装着された車両の正面図である。 この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置が装着された車両の側面図である。 この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置が装着される車両のブロック図である。 この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の装着状態を示す斜視図である。 この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の平面図である。 この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の正面図である。 この発明の第1実施形態に係る車両の移動禁止装置の右側面図である。 この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置を車両に装着した状態を示す斜視図である。 この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の平面図である。 この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の正面図である。 この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の右側面図である。 この発明の第2実施形態に係る車両の移動禁止装置の締付力調整部の構造を示す平面図であり、(A)は装着時の状態を示し、(B)は取り外し時の状態を示す。 この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置を車両に装着した状態を示す斜視図である。 この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の平面図である。 この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の正面図である。 この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置の右側面図であり、(A)はドア外側が平坦面である車両に装着した状態を示し、(B)はドア外側が傾斜面である車両に装着した状態を示す。 この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置のバランサ部の横断面図である。 この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置が傾いた状態を示す正面図である。 この発明の第3実施形態に係る車両の移動禁止装置を重ねて装着した状態を示す斜視図である。 この発明の第4実施形態に係る車両の移動禁止システムを備える車両のブロック図である。 この発明の第4実施形態にかかる車両の移動禁止システムの動作を説明するフローチャートである。
符号の説明
2 車両
3a 床面
5 ドア
5a,5b 両引戸
5c,5d 戸先ゴム
5g 引戸レール
6 戸閉め装置
6c 戸閉め検出部
6d 切替部
7 起動回路
8 駆動装置
9 制御装置
10 移動禁止装置
11 ドア閉鎖阻止部
12 締付力調整部
13 回転操作部
14 表示部
15 締付力調整部
16 回転操作部
17 ドア閉鎖阻止部
17c 設置部
18 押さえ部
18a 位置決め部
20 バランサ部
21 移動禁止システム
23 切替装置
24 表示装置
26 駐車ブレーキ装置
27 非常ブレーキ装置
29 低圧回路
30 パンタグラフ昇降装置
31 パンタグラフ
32 高圧回路

Claims (5)

  1. 車両のドアの開閉状態を検出する検出装置と、
    前記検出装置が前記ドアの閉鎖を検出したときに、前記車両を起動させる起動回路を切断状態から接続状態に切り替える切替装置と、
    を備える車両に対する作業を実施するときにこの車両の移動を禁止する車両の移動禁止装置であって、
    前記起動回路が切断状態を維持するように、前記ドアの先端部に着脱自在に装着されてこのドアに挟み込まれこのドアの閉鎖を阻止するドア閉鎖阻止部を備えること、
    を特徴とする車両の移動禁止装置。
  2. 請求項に記載の車両の移動禁止装置において、
    前記ドアの先端部に前記ドア閉鎖阻止部を締め付ける締付力を回転量に応じて調整する締付力調整部と、
    前記締付力調整部を回転操作する回転操作部とを備えること、
    を特徴とする車両の移動禁止装置。
  3. 車両のドアの開閉状態を検出する検出装置と、
    前記検出装置が前記ドアの閉鎖を検出したときに、前記車両を起動させる起動回路を切断状態から接続状態に切り替える切替装置と、
    を備える車両に対する作業を実施するときにこの車両の移動を禁止する車両の移動禁止装置であって、
    前記起動回路が切断状態を維持するように、前記ドア付近の床面に引戸レールを跨ぎ着脱自在に設置されてこのドアに挟み込まれこのドアの閉鎖を阻止するドア閉鎖阻止部
    前記ドア閉鎖阻止部の姿勢が傾いたときに、このドア閉鎖阻止部の姿勢を復元する方向にこのドア閉鎖阻止部を回転させるバランサ部と、
    備える車両の移動禁止装置。
  4. 請求項に記載の車両の移動禁止装置において、
    前記ドア閉鎖阻止部を複数積み重ねて設置するときにこのドア閉鎖阻止部を位置決めする位置決め部を備えること、
    を特徴とする車両の移動禁止装置。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車両の移動禁止装置において、
    前記車両が作業中であることを示す合図を表示する表示部を備えること
    を特徴とする車両の移動禁止装置。
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