JP4342958B2 - 再生材料を用いたトナー／現像剤用ボトルの製造方法並びにトナー／現像剤用ボトル - Google Patents

Description

本発明は、画像情報を転写材に形成する複写装置、ファクシミリ、レーザプリンタ等、画像形成装置に使用されるトナー／現像剤用ボトルを再生材料を用いて製造する方法、及び該方法により製造されたトナー／現像剤用ボトルに関する。

従来においては、画像形成装置に装着される消耗部品たるトナー／現像剤用ボトルは内蔵するトナー乃至現像剤が無くなると、新品のものに取り替えられ、使用済みのボトルは使い捨てられていた。

しかしながら近年、地球的規模の環境破壊への関心が世界的に高まり、年々増え続けるゴミについては、その減量化と資源の再利用が促されている。その一貫として、トナー／現像剤用ボトルについても、使用済みのものをリサイクルして、資源として有効利用する技術が開発されている。

トナー／現像剤用ボトルの場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂（以下、ＰＥＴともいう。）を用いて製造されたものが一般的で、ＰＥＴについてのリサイクル技術については、例えば、特開平１０−８３１１２８号公報（特許文献１）、特開平１０−１４９００８号公報（特許文献２）、特開２００２−２２１８５８号公報（特許文献３）に開示されている。

しかしながら、特許文献１〜３の技術はＰＥＴを回収して、新たにトナー／現像剤用ボトルを製造するには未だ不十分なものであった。具体的には、次の問題がある。
特許文献１には再生原料の添加率、再生についての具体的な手段が開示されていない。
特許文献２では、再生原料の配合量に制限はないものの、実際には再生ＰＥＴを４０％用いた場合のみしか開示されていない。従って、再生ＰＥＴのみでトナー／現像剤用ボトルを製造するには問題がある。
特許文献３には、リサイクル材は延伸性が悪いので、再生原料のみを用いた場合、高価なフタル酸系等の可塑剤を添加しなければトナー／現像剤用ボトルを製造できないという問題がある。

更に、使用済みのＰＥＴとして回収されるのは、トナー／現像剤用ボトルより飲料用ＰＥＴボトルが多く、飲料用のＰＥＴは樹脂メーカーごとに規格がことなり、品質面のばらつきが多いという問題がある。

このように、品質にばらつきのある再生原料のみを用いたトナー／現像剤用ボトルの製造方法は、未だ確立されていないのが現状である。

特開平１０−８３１１２８号公報 特開平１０−１４９００８号公報 特開２００２−２２１８５８号公報

本発明は、前記従来技術が有していた問題に鑑み、品質にばらつきのある再生原料をのみ用いた場合であっても安価にトナー／現像剤用ボトルを製造できる方法、及び再生原料を用いたトナー／現像剤用ボトルを提供することを目的とする。

本発明によれば、以下に示す、再生材料を用いたトナー／現像剤用ボトルの製造方法並びにトナー／現像剤用ボトルが提供される。
〔１〕 ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする基材樹脂を用いて、少なくとも口部を射出成形により作製するトナー／現像剤用ボトルの製造方法において、該ポリエチレンテレフタレート樹脂として再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、該再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の動粘度を毛細管式粘度計を用いて測定し、該測定された動粘度に対応させて該射出成形の加熱温度、射出時間、冷却時間を、下記のように設定することを特徴とするトナー／現像剤用ボトルの製造方法。
（ａ）上記動粘度が０．６７０ｍｍ^２／ｓ以上の場合、加熱温度を１８０℃以上、射出時間を１２秒以上に設定する。
（ｂ）上記動粘度が０．６４０ｍｍ^２／ｓ以下の場合、加熱温度を２００℃以下、射出時間を８秒以下、冷却時間を１３秒以下に設定する。
〔２〕 少なくとも５０重量％の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と、５０〜０重量％のバージンのポリエチレンテレフタレート樹脂とを用いることを特徴とする前記〔１〕に記載のトナー／現像剤用ボトルの製造方法。
〔３〕 ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも１種を１重量％以上５０重量％未満あわせて用いることを特徴とする前記〔２〕に記載のトナー／現像剤用ボトルの製造方法。
〔４〕 前記〔１〕〜〔３〕のいずれかに記載の製造方法により製造されたトナー／現像剤用ボトルであって、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を少なくとも５０重量％含有することを特徴とするトナー／現像剤用ボトル。
〔５〕 ５０〜０重量％のバージンのポリエチレンテレフタレート樹脂を含有することを特徴とする前記〔４〕に記載のトナー／現像剤用ボトル。
〔６〕 ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも１種を１重量％以上５０重量％未満含有することを特徴とする前記〔４〕又は〔５〕に記載のトナー／現像剤用ボトル。

本発明によれば、再生ＰＥＴのみを用いた場合であっても、可塑剤を添加することなくトナー／現像剤用トナーボトルの成型を容易に行うことができる。

以下、本発明のトナー／現像剤用ボトルの製造方法について詳細に説明する。
本発明のトナー／現像剤用ボトル（以下、単にトナーボトルともいう。）においては、少なくとも口部をポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする基材樹脂を用いて射出成形により作製する。トナーボトル全体は口部と本体からなり、口部と本体とが一体のものと、口部と本体とが別体に分離可能にしたものとがある。本発明のトナーボトルは、少なくとも口部が射出成形されたものである。別体に分離可能な後者の場合、口部のみあるいは口部から本体の任意箇所まで含む部分を射出成形したものと、例えば本体全体又は本体の残りの部分を別体で成形したものの、２つを製造することになる。この場合、管状体が射出成形品でありさえすれば、他の部分の成形法は限定的ではない。
尚、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする基材樹脂とは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を５０重量％以上含有する基材樹脂をいう。

本発明のトナーボトルを口部と本体とを一体のものとして成形する場合、２軸延伸ブロー成形法を用いることが好ましい。２軸延伸ブロー成形法は、口部の成形精度が要求されるトナーボトルを製造する方法として好ましい。但し、本発明は２軸延伸ブロー成形法に限定されるものではない。

上記２軸延伸ブロー成形法は、一般的には樹脂を射出成形によりプリフォームを成形するプリフォーム成形工程（図１）と、つぎに、成形後の型外しされた（冷却された）プリフォーム（パリソン）を加熱し軟化させた後、ブロー成形すると共に延伸する延伸ブロー成形工程（図２）との２段工程からなる。本発明の方法により射出成形されたプリフォームの口部がほぼそのままトナーボトルの口部となる。

尚、図１、図２、図３は２軸延伸ブロー成形法の一例を示す説明図である。本発明によれば、図３（ａ）に示すプリフォームが、延伸ブロー成形工程加熱において、延伸されて（ｂ）（ｃ）の段階を経てトナーボトル（ｃ）に成形される。
但し、本発明は図１〜３に示す方法に限定されるものではない。

本発明においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂として再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、該再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の動粘度を毛細管式粘度計を用いて測定し、該測定された動粘度に対応させて少なくとも口部を射出成形する際の加熱温度、射出時間、冷却時間を設定する。

上記加熱温度、射出時間、冷却時間は、動粘度が高い場合、射出時間を高め、あるいは加熱温度を高めることで成型が容易となる。一方、動粘度が低い場合、射出時間を短くし、あるいは冷却時間を短くし、あるいは加熱温度を低くすることで成型が容易となる。
具体的には、動粘度が０．６７０ｍｍ^２／ｓ以上の場合、加熱温度を１８０℃以上、射出時間を１２秒以上に設定することが好ましい。
加熱温度が１８０℃未満の場合、トナーボトルの首部の成型が不十分になる虞がある。かかる観点から、加熱温度は２００〜２５５℃に設定することがより好ましい。
射出時間が１２秒未満の場合、トナーボトルの首部や底部の成型が不十分になる虞がある。かかる観点から、射出時間は１２〜１５秒に設定することがより好ましい。

また、動粘度が０．６４０ｍｍ^２／ｓ以下の場合、加熱温度を２００℃以下、射出時間を８秒以下、冷却時間を１３秒以下に設定することが好ましい。
加熱温度が２００℃超の場合、底部の成型が不十分になる虞がある。かかる観点から、加熱温度１４５〜２００℃に設定することがより好ましい。
射出時間は５〜８秒に設定することがより好ましい。射出時間が８秒超の場合、トナーボトルの底部の成型が不十分になる虞がある。
冷却時間は１０〜１３秒に設定することがより好ましい。冷却時間が１３秒超の場合、リングバリの成型が不十分になる虞がある。

本発明における動粘度は、図４に示す、毛細管式粘度計として柴田科学器械工業株式会社製の「ウデベーグＳＵ（粘度計番号０Ｃ）」を用い、再生ポリエチレンテレフタレートを１２５±０．２ｍｇを、フェノールと１，１，２，２−テトラクロロエタンを６：４の割合で配合した溶剤２５ｍｌに混ぜ合わせ、恒温槽９５℃×３０ｍｉｎにかけて溶解させる。その後、２５℃に戻した試料を、測定前に細管の掃除として半分を細管を通し、もう半分の１２．５ｍｌを粘度計内に入れて、測時球Ｃ内の試料が毛細管を流出する時間を計測し、下式により求める。
動粘度（ｍｍ^２／ｓ）＝粘度計定数×流出時間（秒）
この粘度計「ウデベーグＳＵ（粘度計番号０Ｃ）」を用いると、液柱差が常に一定に保たれるため精度が高い粘度測定が可能である。

本発明のトナーボトルの製造方法によれば、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂のみでも成型可能であるが、必要に応じて難燃材などを添加することもできる。
また、少なくとも５０重量％以上の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂に、５０〜０重量％のバージンのポリエチレンテレフタレート樹脂を添加してもよく、これらにポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも１種を１重量％以上５０重量％未満あわせて用いてもよい。１重量％未満では添加する意味がなく、５０重量％以上では、成形が困難になる虞がある。

本発明のトナーボトルは、前述した製造方法により製造されたものであって、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を少なくとも５０重量％含有する。該トナーボトルは、品質にばらつきのある再生原料をのみ用いた場合であっても、可塑剤を用いないで製造されたものであり、従来の再生トナーボトルに比較すると安価である。
本発明のトナーボトルは、５０〜０重量％のバージンのポリエチレンテレフタレート樹脂を含有していてもよく、またポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも１種を１重量％以上５０重量％未満含有していてもよい。１重量％未満では含有させる意味がなく、５０重量％以上では、商品として通用しない虞がある。

以下に、本発明のトナーボトルを実施例に基づいて説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。

実施例１〜５、比較例１〜２
再生ポリエチレンテレフタレート樹脂のみを用い、２軸延伸ブロー成形法により本発明のトナーボトルを製造した。
１）射出成形によるプリフォームの作成
先ず、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂のみを、日精ＡＳＢ製の射出成形機（ＡＳＢ−１２Ｎ、金型：１個どり）を用いて、表１に示す射出条件によって、口部（外径；φ３７．５ｍｍ、肉厚；２ｍｍ）、延伸ブロー部（長さ；１５１ｍｍ．肉厚；４．０ｍｍ）からなる、プリフォームを作成した。尚、冷却温度は型を冷やすためにチラー水の温度である。

２）プリフォームの加熱軟化
次に、プリフォームを射出成形の余熱を保持したまま、加熱ポットに移動した。

３）延伸ブロー成形
加熱されたプリフォームをブロー金型に移動し延伸ロッドと高圧エアーによりボトル形状にブロー成形した。
このようにして、図５に示す、外径８６ｍｍ、ブロー部３２５ｍｍ、全長３４６ｍｍのトナーボトルを成形した。尚、図５は得られたトナーボトルの概要図である。但し、参照スパイラルや溝は省略されている。

得られたトナーボトルについて、底部、首部、リングバリの状態で、成型の不出来を下記の基準で判定した結果を表１に示す。表１から判るように、本発明の成形条件の影響は、リングバリ＞首部＞底部の順で大きく現われる。
評価基準
○：優良、△：良好、×：不可

プリフォーム成形工程の説明図である。 延伸ブロー成形工程の説明図である。 プリフォームがトナーボトルになるまでの説明図である。 本発明で用いる毛細管式粘度計の説明図である。 実施例で得られたトナーボトルの説明図である。

Claims (3)

1. ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする基材樹脂を用いて、少なくとも口部を射出成形により作製するトナー／現像剤用ボトルの製造方法において、該ポリエチレンテレフタレート樹脂として再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、該再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の動粘度を毛細管式粘度計を用いて測定し、該測定された動粘度に対応させて該射出成形の加熱温度、射出時間、冷却時間を、下記のように設定することを特徴とするトナー／現像剤用ボトルの製造方法。
   （ａ）上記動粘度が０．６７０ｍｍ^２／ｓ以上の場合、加熱温度を１８０℃以上、射出時間を１２秒以上に設定する。
   （ｂ）上記動粘度が０．６４０ｍｍ^２／ｓ以下の場合、加熱温度を２００℃以下、射出時間を８秒以下、冷却時間を１３秒以下に設定する。
2. 少なくとも５０重量％の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と、５０〜０重量％のバージンのポリエチレンテレフタレート樹脂とを用いることを特徴とする請求項１に記載のトナー／現像剤用ボトルの製造方法。
3. ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも１種を１重量％以上５０重量％未満あわせて用いることを特徴とする請求項２に記載のトナー／現像剤用ボトルの製造方法。