JP4341083B2 - エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形材料、積層板用または接着剤の材料として好適な化合物、樹脂組成物及びその組成物により素子を封止して得られる電子部品装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、成形材料、積層板用、接着剤用材料として、エポキシ樹脂が広範囲に使用され、トランジスタ、IC等の電子部品の素子封止の分野ではエポキシ樹脂組成物が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性にバランスがとれているためである。
【0003】
エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、特開昭55−5929号公報、特開昭56−94761号公報、特開昭56−131620号公報、特開昭58−57427号公報、特開昭57−210647号公報、特開昭59−136321号公報、特開昭61−151231号公報、特開昭63−12627号公報、特開昭63−20325号公報、特開昭63−210121号公報、特開平1−105562号公報、特開平1−236263号公報、特開平1−236264号公報、特開平2−34627号公報、特開平5−9268号公報、特開平5−198940号公報、特開平6−228414号公報、特開平7−228664号公報、特開平7−188395号公報、特開平8−3280号公報、特開平7−330868号公報、特開平8−92355号公報、特開平8−92356号公報、特開平8−157565号公報、特開平8−157564号公報に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、またはそのフェノール塩、フェノールノボラック塩、芳香族カルボン酸塩、芳香族スルホン酸塩、脂肪酸塩、炭酸塩が記載されている。特開平3−116958号公報には1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のシリコン誘導体が記載されている。しかし、これらの硬化促進剤を用いた場合、使用環境での湿度の影響を受け吸湿量に依存して硬化性が低下し、離型不良、ランナーブレイク、ゲートブレイク等種々の成形不良を生じるという問題があった。
【0004】
また、特開昭62−81416号公報、特開平1−65116号公報、特開平3−9919号公報には1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7またはその塩とトリオルガノホスフィンを混合して用いる方法が記載されている。特開昭62−16484号公報、特開平1−38416号公報、特開平2−189331号公報、特開平2−240131号公報、特開平4−65420号公報、特開平4−85321号公報、特開平4−91121号公報、特開平4−96922号公報、特開平4−96930号公報、特開平8−109246号公報には6−ジアルキルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7またはその塩を用いる方法が記載されている。特開昭59−8721号公報、特開昭59−8722号公報、特開平3−16243号公報には1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5を用いる方法が、また特開昭63−146919号公報、特開平2−189330号公報、特開平2−240130号公報にはグアニジン化合物を用いる方法が記載されている。これらの方法は硬化性及び吸湿時の硬化性に優れるが、ポットライフが低いため、溶融粘度の上昇、流動性の低下により、充填不良等の成形上の障害やICチップの金ワイヤーが断線し導通不良が発生するなど成形品の性能低下が生じるという問題があった。このためエポキシ樹脂組成物及びそれを用いた封止用成形材料は冷蔵保存及び冷蔵輸送する必要があり、多大なコストがかかっているのが現状である。
【0005】
特開昭59−75923号公報、特開昭62−246925号公報、特開平3−26901号公報には1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のテトラフェニルボレート塩が、ポットライフの改善に有効であることが記載されている。しかし、該テトラフェニルボレート塩はイオン結合が強力で高融点であるため分散性が低くポットライフは良好であるが、反面良好な硬化性を発現することができない。
【0006】
さらに、近年、IC、LSIなどの半導体封止用成形材料における最も大きな問題として、パッケージを実装する際に発生するクラック、いわゆるはんだリフロークラックの問題があり、耐リフロークラック性を改良するために、無機充填剤を多く含む樹脂組成物が提案されている。しかし無機充填剤量の増加は成形時流動性の低下を招くため無機充填剤の配合量が限られ、耐リフロークラック性の著しい向上が望めないという問題があった。特開平9−157497号公報にはこのような問題点を改良する方法としてトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応生成物を硬化促進剤として用いることが提案されているが、ポットライフが低いという問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでの硬化促進剤では、上記のように、エポキシ樹脂組成物の流動性、吸湿硬化性及びポットライフの全ての特性を満たすことができなかった。
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、流動性、ポットライフ、硬化性及び吸湿硬化性に優れのバランスのよいエポキシ樹脂組成物、およびその組成物で封止され優れた耐リフロー性を備える電子部品装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、アミジン構造を有する化合物とキノン構造を有する化合物との付加反応物、及び有機第3ホスフィンとキノン構造を有する化合物との付加反応物を硬化促進剤として配合することにより、エポキシ樹脂組成物の流動性、吸湿硬化性及びポットライフの諸特性をバランスよく満たすことが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂、(C)硬化促進剤を必須成分として含有し、(C)成分の硬化促進剤がアミジン構造を有する化合物とキノン構造を有する化合物との付加反応物(D)及び有機第3ホスフィンとキノン構造を有する化合物との付加反応物(E)を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
(2)アミジン構造を有する化合物が次式(I)で示されるアミジン化合物である上記(1)記載のエポキシ樹脂組成物、
【化7】
(R1は水素、炭素数1〜12のアルキル基、ジアルキル置換アミノ基、アリール基、アルキル基及びアラルキル基から選ばれ、m、nは互いに独立な2〜5の整数を示す。)
(3)有機第3ホスフィンが次式(III)で示される化合物である上記(1)または(2)記載のエポキシ樹脂組成物、
【化8】
(R2及びR3は同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシル基から選ばれる。)
(4)有機第3ホスフィンが次式(III)で示される化合物である上記(1)または(2)記載のエポキシ樹脂組成物、
【化9】
(R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシル基から選ばれ、lは1又は2の整数を示す。)
(5)キノン構造を有する化合物が次式(IV)で示される化合物である上記(1)〜(4)記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物、
【化10】
(R6は水素、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれ、k1は0〜2、k2は0または1の整数を示す。)
(6)組成物全体に対して55体積%以上の無機充填剤(F)をさらに含有することを特徴とする上記(1)〜(5)記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物、
(7)エポキシ樹脂(A)のエポキシ基とフェノール樹脂(B)のフェノール性水酸基との当量比((B)/(A))が0.5〜2であることを特徴とする上記(1)〜(6)記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物、
(8)(A)成分が次式(V)及び/又は次式(VI)で示されるエポキシ樹脂を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物、
【化11】
(ここで、式中4個のR7、R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素またはメチル基を示す。)
(9)(B)成分が次式(VII)、次式(VIII)及び次式(IX)で示されるフェノール樹脂の少なくともいずれかを含むことを特徴とする上記(1)〜(8)記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物、
【化12】
(ここで、X、Y、Zは0〜10を示す。)
(10)上記(1)〜(9)記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置、
である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる(A)成分のエポキシ樹脂は、一般に使用されているもので特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル、ブタンジオ一ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル、アニリン、イソシアヌール酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものなどのグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシ樹脂、分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられ、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。中でも、下記一般式(V)や(VI)で示されるエポキシ樹脂が流動性並びに耐リフロー性の点で好ましく、耐リフロー性の観点からは4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルが、成形性や耐熱性の観点からは4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニルがより好ましい。これら式(V)、式(VI)のエポキシ樹脂は、それぞれ単独であるいは互いに併用して用いることができるが、性能を発揮するためには、エポキシ樹脂全量に対して、合わせて60%以上使用することが好ましい。
【0011】
【化13】
(ここで、式中4個のR7、R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素またはメチル基を示す。)
【0012】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる(B)成分の1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール樹脂は、特に制限はなく公知のフェノール樹脂を広く使用することができる。例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂などが挙げられ、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。これらのフェノール樹指は、分子量、軟化点、水酸基当量などに制限なく使用することができる。中でも、硬化性の点からは下記一般式(VII)、(VIII)、(IX)で示されるものが好ましく、さらに低吸湿の観点から式(VIII)の構造が好ましい。これら式(VII)、式(VIII)、式(IX)のフェノール樹脂は、それぞれ単独であるいは互いに併用して用いることができるが、性能を発揮するためには、フェノール樹脂全量に対して合わせて60%以上使用することが好ましい。
【0013】
【化14】
上記式(VII)、式(VIII)、式(IX)中のX、Y、Zは0〜10の数を示す 。それぞれが10を越えた場合は(B)成分の溶融粘度が高くなるため、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。したがって、X、Y、Zは0〜10の範囲であることが必要であるが、1分子中の平均で1〜4の範囲に設定されることがより好ましい。
【0014】
本発明において(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分のフェノール樹脂との配合比率は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対するフェノール樹脂の水酸基当量の比率が0.5〜2.0の範囲に設定されることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.3である。0.5未満ではエポキシ樹脂の硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性、耐湿性並びに電気特性が劣りやすい。また、1.5を超えるとフェノール樹脂成分が過剰になり硬化樹脂中に多量のフェノール性水酸基が残るため、電気特性並びに耐湿性が悪くなりがちである。
【0015】
本発明の(C)成分の硬化促進剤に含まれる付加反応物(D)に使用されるアミジン構造を有する化合物としては特に制限はないが、例えば下記一般式(I)で表わされる環状アミジンが挙げられる。このような環状アミジンの具体例としては1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−n−ヘキシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などが挙げられ、単独で用いても2種以上併用してもよい。中でも入手のし易さやコストの点から、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7と1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5が好ましい。
【化15】
(R1は水素、炭素数1〜12のアルキル基、ジアルキル置換アミノ基、アリール基、アルキル基及びアラルキル基から選ばれ、m、nは互いに独立な2〜5の整数を示す。)
【0016】
本発明の(C)成分の硬化促進剤に含まれる付加反応物(E)に使用される有機第3ホスフィンとしては特に制限はないが、例えばトリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシル(pートリル)ホスフィン、ジシクロヘキシル(pーメトキシフェニル)ホスフィン等のアルキル置換ホスフィン、ジフェニル(o−トリル)ホスフィン、ジフェニル(m−トリル)ホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、ジフェニル(アルキル置換フェニル)ホスフィン、ジフェニル(o−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル(m−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル(アルコキシ置換フェニル)ホスフィン、ジ(o−トリル)フェニルホスフィン、ジ(m−トリル)フェニルホスフィン、ジ(p−トリル)フェニルホスフィン、ジ(アルキル置換フェニル)フェニルホスフィン、ジ(o−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、ジ(m−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、ジ(アルコキシ置換フェニル)フェニルホスフィン等の下記一般式(II)で表わされる有機第3ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(oートリル)ホスフィン、トリス(mートリル)ホスフィン、トリス(pートリル)ホスフィン、トリス(アルキル置換フェニル)ホスフィン、トリス(oーメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(mーメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(pーメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシ置換フェニル)ホスフィン、トリス(2ーメチルー4ーメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3,5−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等の下記一般式(III)で表わされる有機第3ホスフィンなどが挙げられ、単独で用いても2種以上併用してもよい。中でも、入手のし易さやコストの点から、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、ジフェニル(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(pートリル)ホスフィン、トリス(pーメトキシフェニル)ホスフィンが好ましい。
【化16】
(R2及びR3は同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシル基から選ばれる。)
【化17】
(R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシル基から選ばれ、lは1又は2の整数を示す。)
【0017】
本発明の(C)成分の硬化促進剤に含まれる付加反応物(D)及び(E)に使用されるキノン化合物としては特に制限はないが、例えば下記一般式(IV)で表わされる化合物が挙げられる。この具体例としては1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノンなどが挙げられ、単独で用いても2種以上併用してもよい。中でも1,4−ベンゾキノンと2,5−トルキノンがコストが安く、付加反応物の単離収率が高く、良好な硬化性を示すので好ましい。
【化18】
(R6は水素、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれ、k1は0〜2、k2は0または1の整数を示す。)
【0018】
(D)成分と(E)成分の付加反応物の製造方法としては特に制限はないが、アミジン構造を有する化合物または有機第3ホスフィンとキノン化合物とを有機溶媒中やフェノール樹脂中等で付加反応させる方法などが挙げられる。(B)成分のフェノール樹脂中で付加反応させた場合には、反応生成物を単離せずにそのままフェノール樹脂中に溶解した状態で硬化促進剤として用いることができる。
【0019】
また、本発明の樹脂組成物には、(D)成分と(E)成分の付加反応物以外に、エポキシ樹脂とフェノール性水酸基を有する化合物の硬化反応を促進する硬化促進剤として一般に用いられているものを1種以上併用することができる。これらの硬化促進剤としては、例えば、1,8ージアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、1,8ージアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体のフェノールノボラック塩、トリエチレンジアミン、ベンジルジメテルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類、2ーメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4一メチルイミダゾール、2ーヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルポレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2ーエチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、Nーメチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン類、またはこれら有機ホスフィンと有機ボロン類との錯体などが挙げられる。
【0020】
これらの硬化促進剤を併用する場合、(D)成分と(E)成分の付加反応物の配合量は、全硬化促進剤量に対して合わせて30重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上である。(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分のフェノール樹脂を使用した樹脂組成物においては、上記第三アミン類は(D)成分と(E)成分とを用いた場合と比較し耐湿性、保存安定性が悪くなり、上記有機ホスフィン類は酸化による硬化性低下の影響を受けやすい欠点があり、上記テトラフェニルボロン塩を用いた場合は接着性に欠点が出やすいため、(D)及び(E)の配合量が30%未満であると本発明の効果が少なくなる。
【0021】
(D)成分と(E)成分を含む硬化促進剤(C)の全配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に限定されるものではないが、(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分のフェノール樹脂の合計量100重量部に対して0.1〜15重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜7.0重量部である。0.1未満では短時間で硬化させることができず、15重量部を超えると硬化速度が早すぎて良好な成形品が得られない場合が生じる。また、(D)成分と(E)成分の配合比率は特に制限はないが、(D)/(E)が1/10以上が好ましく、(D)/(E)が2/8以上がより好ましい。(D)/(E)が1/10未満ではポットライフの著しい向上が達成されない傾向にある。
【0022】
本発明の樹脂組成物に配合される無機充填剤(F)は、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の微粉未、またはこれらを球形化したビーズなどが使用でき、1種類以上用いることができる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛などが挙げられ、これらを単独で用いても併用してもよい。上記の無機充填剤の中で、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。
【0023】
(F)成分の無機充填剤の配合量は、樹脂組成物全体に対して55〜90体積%の範囲であることが好ましい。これら無機充填剤は硬化物の熱膨張係数や熱伝導率、弾性率などの改良を目的に添加するものであり、配合量が55体積%未満ではこれらの特性を充分に改良できず、90体積%を超えると樹脂組成物の粘度が上昇し流動性が低下して成形が困難になりがちである。
また、無機充填剤(F)の平均粒径は1〜50μmの範囲が好ましく、10〜30μmがより好ましい。1μm未満では樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、50μmを超えると樹脂成分と充墳剤とが分離しやすくなり、硬化物が不均一になったりあるいは硬化物特性がばらついたり、更には狭い隙間への充填性が低下しがちである。
流動性の観点からは、(F)成分の無機充填剤の粒子形状は角形より球形が好ましく、且つ粒度分布が広範囲に分布したものが望ましい。例えば、充填剤を75体積%以上配合する場合、その70重量%以上を球状粒子とし、0.1〜80μmという広範囲に分布したものが望ましい。このような充填剤は最密充填構造をとりやすいため配合量を増しても材料の粘度上昇が少なく、流動性の優れた組成物を得ることができる。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いるには、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性を向上させる観点からは、陰イオン交換体(G)を添加することが好ましい。ここで問題とする耐湿性とはICパッケージ等の電子部品装置の耐湿信頼性であり、特にバイアス型高温高湿試験、HAST(Highly Accelerated Humidity and Stress Test)などの電圧印加下での耐湿性試験が対象である。これらの耐湿性試験で発生する不良モードは殆どがICの素子上に形成されているアルミ配線の腐食による断線であるが、本発明の(A)成分のエポキシ樹脂、(B)成分のフェノール樹脂、(D)成分と(E)成分の付加反応物を含む(C)成分の硬化促進剤、及び(F)成分の特定配合量の無機充填剤の組合せからなるエポキシ樹脂組成物を使用することで良好な耐湿信頼性を得ることができる。しかし、更に優れた電圧印加型の耐湿性を得るためには陰イオン交換体の添加が有効である。電圧印加型耐湿試験の場合は陽極側のアルミ配線が特に腐食しやすく、この原因としては以下の現象が考えられる。陽極側の配線またはボンディングパッドは水分が存在する場合、水の電気分解により発生する酸素により陽極酸化を受け、表面に安定な酸化アルミの皮膜が形成されるためアルミ腐食は進行しないはずである。しかし、微量でも塩素などのハロゲンイオンが存在すると酸化アルミ膜を可溶化するため、下地のアルミが溶解する孔食腐食となる。この陽極側の孔食腐食は陰極側の粒界腐食と比較し進行が速いため、電圧印加型耐湿試験では陽極側のアルミ配線腐食が先に進行し不良となる。そこで、陽極側の腐食を防止するためには微量のハロゲンイオンを捕捉できる陰イオン交換体の添加が有効になる。
【0025】
本発明において用いることのできる陰イオン交換体としては特に制限はないが、次式(X)で示されるハイドロタルサイト類や、
【化19】
Mg1-XAlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O ……(X)
(0<X≦0.5、mは正数)
マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物が好ましく、これらを単独用いても2種以上併用してもよい。
【0026】
ハイドロタルサイト類は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを構造中のCO3と置換することで捕捉し、結晶構造の中に組み込まれたハロゲンイオンは約350℃以上で結晶構造が破壊するまで脱離しない性質を持つ化合物である。この様な性質を持つハイドロタルサイト類を例示すれば、天然物として産出されるMg6Al2(OH)16CO3・4H2Oや合成品としてMg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2Oなどが挙げられる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は(B)成分のフェノール樹脂の影響で、純水を使用した硬化物の抽出液がpH値3〜5と酸性を示す。したがって、両性金属であるアルミに対しては腐食しやすい環境となるが、ハイドロタルサイト類は酸を吸着する作用も持つことから抽出液を中性に近づける作用もあり、この作用効果もハイドロタルサイト類添加がアルミ腐食防止に対し有効に働く要因であると推察できる。
マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、アンチモンから選ばれる元素の含水酸化物も、ハロゲンイオンを水酸イオンと置換することで捕捉でき、さらにこれらのイオン交換体は酸性側で優れたイオン交換能を示す。本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料については、前述のように抽出液が酸性側となることから、これらの含水酸化物もアルミ腐食防止に対し特に有効である。これらを例示すればMgO・nH2O、Al2O3・nH2O、TiO2・nH2O、ZrO2・nH2O、Bi2O3・nH2O、Sb2O5・nH2Oなどの含水酸化物が挙げられる。
【0027】
これらの陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に限定されるものではないが、(A)成分のエポキシ樹脂100重量部対して、0.1〜30重量部の範囲に設定されることが好ましく、さらに好ましくは1〜5重量部である。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて樹脂成分と充項剤との接着性を高めるためのカップリング剤として、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知の添加剤を用いることができる。また、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の化合物を着色剤として用いても良い。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成形時に金型との良好な離型性を持たせるため離型剤を添加してもよい。この離型剤としては、酸化型または非酸化型のポリオレフィンを(A)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部添加することが好ましく、より好ましい添加量は0.1〜5重量部である。0.01重量部未満では十分な離型性を得ることができず、10重量部を超えると接着性が阻害されるおそれがある。この酸化型または非酸化型のポリオレフィンとしては、ヘキスト社製H4やPE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、これ以外の離型剤としては、例えばカルナバワックス、モンタン酸工ステル、モンタン酸、ステアリン酸などが挙げられ、単独で用いても2種以上併用してもよい。酸化型または非酸化型のポリオレフィンに加えてこれら他の離型剤を併用する場合、その配合割合は(A)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して通常0.l〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量部である。
【0030】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、電子部品装置に難燃性を付与するために難燃剤を添加してもよい。この難燃剤としては、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む公知の有機または無機の化合物、金属水酸化物などがあり、これらを具体的に例示すると、臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン等が好ましいものとして挙げられる。これらの難燃剤の配合割合は(A)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、より好ましくは2〜15重量部である。
さらに、その他の添加剤として、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて配合することができる。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダーなどで混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使いやすい。
【0032】
本発明で得られるエポキシ樹脂組成物により素子を封止して得られる電子部品装置としては、リードフレーム上に半導体素子を固定し、素子の端子部(ボンディングパッド等)とリード部をワイヤボンディングやバンプ等で接続した後、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止してなる、一般的な樹脂封止型ICパッケージなどが挙げられる。これを例示すればDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等が挙げられ、特に表面実装法により配線板に実装される電子部品装置に適用した場合、優れた信頼性を発揮できる。
また、上記に示したリード(外部接続端子)を有する樹脂封止型パッケージの形態であれば、封止される素子はトランジスタ、サイリスタ、IC、LSI、ダイオードなどの半導体素子ばかりでなく、抵抗体、抵抗アレイ、コンデンサ、ポリスイッチなどのスイッチ類なども対象となり、これらの素子に対しても優れた信頼性を提供できるとともに、各種素子や電子部品をセラミック基板に搭載した後に全体を封止してなるハイブリットICについても優れた信頼性を得ることができる。さらには、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、エポキシ樹脂組成物を用いて素子を封止してなる、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)などの電子部品装置についても優れた信頼性を得ることができる。プリント回路板の製造などにも有効に使用できる。
【0033】
本発明で得られる樹脂組成物を用いて、電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
【0034】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
合成例1:付加反応物(D)の合成例1
温度計、攪拌機、滴下ロート付の3L四つ口フラスコにトルエン(2000ml)及び1,4−ベンゾキノン(220g)を入れた。撹拌してベンゾキノンを溶解した後、溶液の温度が40℃を越えないように適宜冷却・撹拌しながら1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(282g)の混合物を3.5時間で滴下した。滴下終了後、室温でさらに12時間撹拌を行った。次いで、生成した固体を吸引ろ取し、トルエン(1500ml)、引き続きn−ヘキサン(1000ml)で洗浄を行った。得られた固体を減圧下乾燥することにより、次式(XI)で示される構造の化合物(UB1)を緑褐色粉末(446g)として得た。
【0035】
【化20】
【0036】
合成例2:付加反応物(D)の合成例2
温度計、攪拌機、滴下ロート付の3L四つ口フラスコにトルエン(2000ml)及び1,4−ベンゾキノン(220g)を入れた。撹拌してベンゾキノンを溶解した後、溶液の温度が40℃を越えないように適宜冷却・撹拌しながら1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(230g)の混合物を3.5時間で滴下した。滴下終了後、室温でさらに12時間撹拌を行った。次いで、生成した固体を吸引ろ取し、トルエン(1000ml)、引き続きn−ヘキサン(500ml)で洗浄を行った。得られた固体を減圧下乾燥することにより、次式(XII)で示される構造の化合物(NB1)を緑褐色粉末(398g)として得た。
【0037】
【化21】
【0038】
実施例1〜18、比較例1〜14
エポキシ樹脂としてはエポキシ当量196、融点106℃のビフェニル骨格型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、YX−4000H)、エポキシ当量192、融点79℃のジフェニルメタン骨格型エポキシ樹脂(新日鐡化学(株)製、ESLV−80XY)、エポキシ当量393、軟化点80℃、臭素含有量48重量%の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤としては水酸基当量176、軟化点70℃のフェノール・アラルキル樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXL−225)、水酸基当量199、軟化点89℃のビフェニル骨格型フェノールノボラック樹脂(明和化成(株)製、MEHー7851)、水酸基当量197、軟化点79℃のナフトールフェノールノボラック樹脂(新日本製鐵化学(株)製、SNー170)、硬化促進剤としては、(D)成分の付加反応物として上記合成例で得られたUB1またはNB1、(E)成分の付加反応物としてトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物(TPPB1)またはトリ(pートリル)ホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物(TPTPB1)、その他の硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)または1,8ージアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のフェノールノボラック塩(サンアプロ(株)製、U-CAT SA−841)を用い、無機充填剤としては溶融石英粉を用い、その他の添加成分としてはカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、カルナバワックス、三酸化アンチモン、カーボンブラックを、表1及び表2に示す比率で配合(配合単位は、溶融石英が体積%、それ以外は重量部)し、混練温度80〜90℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例1〜18及び比較例1〜14のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
実施例、比較例で得られた合計32種類のエポキシ樹脂組成物について、次の(1)〜(5)の各種特性試験を行った。結果を表3及び表4に示す。
(1)スパイラルフロー
EEMI1−66に準じて、180℃、7Mpa、90秒の条件で成形したときの流動長さ(インチ)を測定した。
(2)熱時硬度
180℃、7Mpa、90秒の条件で成形したときの試験片(50mmφ×3mmt)のショアD硬度を測定した。
(3)吸湿後熱時硬度
25℃/50%RHの条件で72時間保存後の熱時硬度(ショアD)を測定した。
(4)保存安定性
樹脂組成物を25℃にて72時間または144時間保存した後のスパイラルフローを測定した結果を組成物調製直後のスパイラルフローに対する百分率で示した。
(5)耐リフロー性
180℃、7Mpa、90秒の条件で8×10(mm)の素子を搭載した80ピン、外形14×20×2t(mm)のQFPを85℃、85%RHの条件で所定時間加湿し、その後215℃、90秒VPS(Vapor Phase Soldering)処理を行い、パッケージクラックを実体顕微鏡で観察し、クラック数/母数で結果を示した。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
ベース樹脂としてYH−4000HとXL−225とを用いた例では、無機充填剤を74体積%含有する実施例1〜6は、50インチ以上の良好なスパイラルフローに加え、80以上のショアD熱時硬度及び70以上のショアD吸湿熱時硬度を示し、耐リフロー性は72hであった。また、無機充填剤を78体積%とした実施例7、8は40インチ以上のスパイラルフローを示すと共に96h加湿時にもクラックがなく良好な耐リフロー性を示した。これに対して、比較例1、2、4ではスパイラルフローが40インチ未満、比較例2、3ではショアD吸湿熱時硬度が70未満であり、流動性と硬化性が悪い上に耐リフロー性も72hと劣っていた。
また、ベース樹脂として別の組合せを用いた例では、無機充填剤を78体積%含有する実施例9〜18は、40インチ以上のスパイラルフローに加え、80以上のショアD熱時硬度及び77以上のショアD吸湿熱時硬度を示した。耐リフロー性はいずれも96h以上達成できた。これに対して、比較例5〜14は、無機充填剤を74体積%としたにもかかわらずスパイラルフローが40インチ未満か、ショアD吸湿熱時硬度が70未満であり、流動性と硬化性の両者が優れるものはなかった。耐リフロー性は96h以下であった。
また実施例1〜18の保存安定性は72hで80%以上を示したが、比較例の保存安定性は、流動性が低い比較例1及び吸湿硬化性が低い比較例2を除いて72hで75%以下であった。
【0045】
【発明の効果】
実施例で示したように、アミジン構造を有する化合物とキノン構造を有する化合物との付加反応物、及び有機第3ホスフィンとキノン構造を有する化合物との付加反応物を硬化促進剤として含有する本発明のエポキシ樹脂組成物は、流動性、硬化性及び吸湿硬化性の諸特性をバランスよく満たすことが可能であり、また優れた耐リフロー性を示すことから、特に半導体の封止用途の成形材料として好適に用いられ、その工業的価値は大きい。
Claims (9)
- (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂、(C)硬化促進剤、を必須成分として含有し、(C)成分の硬化促進剤が、アミジン構造を有する化合物とキノン構造を有する化合物との付加反応物(D)及び有機第3ホスフィンとキノン構造を有する化合物との付加反応物(E)を含み、付加反応物(D)のアミジン構造を有する化合物が次式(I)で示されるアミジン化合物であり、付加反応物(D)のキノン構造を有する化合物が次式(IV)で示される化合物であるエポキシ樹脂組成物。
- 組成物全体に対して55体積%以上の無機充填剤(F)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)のエポキシ基とフェノール樹脂(B)のフェノール性水酸基との当量比((B)/(A))が0.5〜2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
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