JP4340033B2 - ガラスを加熱する方法と装置 - Google Patents
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Description
本発明は、ガラスを焼鈍炉(tempering furnace)を通じて導くことによって上下から加熱し、空気を焼鈍炉の内部から吸引するような仕方で少なくともガラスの上側面に吹き付けてガラスを加熱し、空気をガラスに吹き戻すように循環させる、ガラスを加熱する方法に関する。
【0002】
更に、本発明はガラスを加熱する装置であって、ガラスを支持し、そのコンベヤを構成するように配置された手段と、焼鈍炉の内部から空気を吸引し、少なくともガラスの上側面に吹き付けるように空気を循環させる手段とを含むガラスを加熱する装置に関する。
【0003】
ガラスを往復運動式ローラ炉によって加熱する場合、加熱の初期段階においてガラスの縁部が上向きに曲がることが問題である。これは、ガラスの上側面への熱の流れと比較して、前記炉に使用されるセラミックローラによって加熱サイクルの初期段階に生じるガラスの下側面への熱の流れが大きいからである。その結果、ガラスの縁部は上向きに曲がり、ガラスの中央部分が光学収差(optical errors)の影響を受け易く、その上、ガラスは不均一に加熱される。選択(selective)ガラスを加熱する場合、該選択ガラスは熱輻射を特に強力に反射するため、状況は特に困難である。選択ガラス面を備えたガラスは、通常、該選択面が上向きになるようにして加熱するので、該ガラスの上側面の加熱は該ガラスの下側面の加熱と比較して際立って難しい。そのため、選択ガラス面の加熱時間は普通透明ガラスの加熱時間より当然長くなり、そのため炉の能力は選択ガラス面を加熱する場合典型的に可成低くなる。
【0004】
フィンランド特許第62043号はガラスの曲がりを阻止する方法を開示している。本方法においては、ガラスの上側面に強制対流によって熱の流れを加え、この熱の流れが下向きのローラからの熱の流れを補正する。強制対流は炉の長手方向に水平方向の狭幅の噴射空気を吹き込むことによって供給され、それはガラスの上側面に噴射効果を有する空気の乱流(turbulence effect)という効果をもたらす。噴射空気は圧縮機によって圧縮された高圧空気を炉の外部にある圧縮空気網から取り込むことによって供給される。フィンランド特許第83072号は噴射空気として吹き込む空気がまた、炉の下側部分を通じて循環させることによって、この付加的な流れの間に空気を加熱するような類似の方法を開示している。同時に、空気に伝達される熱はガラスの下側部分から取り込まれる。前記の双方の方法において、対流の作用は可成低いため、その方法はむしろ非効果的といえる。炉中へ運ぶべき空気は冷たいため、それは炉全体を冷却させ、そのため炉のエネルギ消費を全体的に増大させる。さらに、炉から吹き出される空気の排出が制御されないことも問題である。更に、本方法において強調されている点は加熱の初期段階でのガラスの上側面の加熱を強化することである。かくして、選択ガラスをいずれにしても輻射原理を適用してガラスの下側部分から主として加熱するため、選択ガラスの全体の加熱時間は長い。
【0005】
欧州特許公報第0897896号は長手方向の吹き込みパイプから空気を吹き込むことによってコーティングガラスを加熱する方法を開示している。吹き込むべき空気は炉の外側にある圧縮空気網から取り込まれる。本配置は圧縮機によって過圧を供給する圧縮空気タンクを含む。圧縮空気による装置のため、本方法による構造は複雑となり、かつ高価となる。炉に冷たい空気を吹き込むとすれば、それは炉全体を冷却するので、熱エネルギを何らかの方法で炉中へ導く必要がある。一方、吹き込むべき空気を加熱することは大量のエネルギと容量とを必要とするので、欧州特許公報第0897896号による方法はエネルギの経済性に関しては全体的に劣っている。さらに、炉から吹き出すべき空気の排出を制御できないことも大きな問題である。
【0006】
フィンランド特許公報第962158号は加熱サイクルの初期段階においてガラスの下側にある面を冷却し、それに対応してガラスの下側面に、直接。高温空気を吹き込むことによって加熱サイクルの最終段階における下側の熱伝導を強化する方法を開示している。フィンランド特許公報第962162号は加熱抵抗器が何倍も効率的であって、そのため加熱サイクルの初期段階におけるガラスの加熱が上側の抵抗器のみを使用して行ない得るような要領で加熱抵抗器の寸法を決め、それらの制御を実行する方法を開示している。これらの方法は極めて効率的で、十分機能するが、特に選択ガラスを加熱する場合、加熱時間をより短くすることが望まれる。
【0007】
公知の方法はまた、対流炉として知られるものであって、その意図はガラスの上側面および下側面並びにセラミックローラにも高温空気を吹き込むことによってガラスを加熱しようとするものである。そのような方法において、炉の内側にブロワーを構築させて、空気を炉内で循環させることによって空気の流速を増しており、そのためガラスの表面における空気の作用を増大させることを目的としている。空気は約0.0005−0.01バールの圧力で吹い込まれる。この方法においては、空気をブロワーの前後で加熱する。この方法の問題は特に製造コストが高いことと、炉内で構築した空気流路における大きな質量によって加熱速度が遅いことと、構造体の熱膨張が制御できないことである。
【0008】
米国特許第4505671号は、その上側面および下側面に加熱したガスを吹き込むことによってガラスを加熱する方法を開示している。ガスは独立したガス源から取り出され、個別のヒータによって加熱する。この方法はガス源からの可成の量のガスを消費する。更に、ガスを加熱するにはエネルギを消費する。この方法においては、ガスの流量を増大させ、従って熱伝導係数を高めることは可成困難である。
【0009】
米国特許第4059426号はガラスがガス噴射によって支持され、ブロワーによって空気をガラスシートの表面に吹き込み、空気を循環させてブロワーに戻す方法を開示している。しかしながら、この種の方法はガラスの表面が十分な熱作用を受けないようにしている。更に、特許公報はコアンダ現象(Coanda phenomenon)を利用した炉内で空気を循環させる方法を開示している。炉内での空気の循環はガラスのいずれの面に対しても十分な熱効果を与えない。
【0010】
更に、ガラスを2段階で加熱する方法も公知である。第1の段階において、低温を使用し、約300〜400℃の温度を有する空気をブロワーによって炉内を循環させる。空気を、直接、ガラスの上側面および下側面に吹き込み、ブロワーに先立って加熱する。後者の段階において、主として輻射加熱を使用してガラスを加熱する。この方法においても、問題は炉内で構築した空気流路系と本方法で使用されるブロワーとが高コストであることが判明した。更に、後者の段階におけるガラスの加熱は、特に選択ガラスを加熱する場合には可成長い時間がかかる。
【0011】
本発明の目的はガラスを加熱するための改良された方法と装置とを提供することである。
【0012】
本発明による方法は、ローラで構成されるコンベヤによってガラスを焼鈍炉を通して導き、圧縮機の原理を適用することによって、焼鈍炉から吸入された空気を焼鈍炉の圧力に対して0.1バール以上の過圧に加圧し、加圧された空気を配管系によってローラ上に設置したガラスの表面近傍へ導き、空気をガラスの上側面に実質的に垂直に吹き込むことを特徴とする。
【0013】
更に、本発明による装置は、ガラスを支持し、そのコンベヤを構成するように配置した水平ローラと、加圧装置と、上側の帰還パイプと、ガラスの表面の近傍に配置した上側の吹き込みパイプとを含み、前記帰還パイプが空気を焼鈍炉から加圧装置まで運ぶように配置されており、前記加圧装置が焼鈍炉から運ばれた空気を圧縮機の原理を適用することによって焼鈍炉の圧力に対して0.1バールの過圧まで加圧するように配置され、加圧された空気は高温であり、上側の吹き込みパイプを通じてガラスの上側面に実質的に垂直に吹き込むように配置されている。
【0014】
本発明の基本概念は、焼鈍炉において、ガラスをローラ上でその上側および下側から加熱することである。ガラスの少なくとも上側を、空気をガラスの近傍で配管系によって導くような要領で実質的に垂直に、すなわちガラスの表面の垂直方向に対して45度以下の角度で指向された空気によって加熱し、噴射空気は主として炉の内側から空気を吸引し、炉内から取出された空気を圧縮機の原理を適用することによって焼鈍炉の圧力に対して0.1バールの過圧まで加圧することによって供給する。好適実施例の概念はガラスの下側面も同様に高温の空気噴射によって加熱することである。前記空気噴射は主として炉の内部から空気を取り出し、焼鈍炉の圧力に対して0.1バールの過圧まで加圧することによって供給される。第2の好適実施例の概念は、ガラスを、電気抵抗器によってもまた加熱することである。
【0015】
本発明の利点は、空気の圧力レベルが可成高いので、空気に対して高度の排出速度を達成し、同時にガラスの面において極めて高い熱伝導係数を達成することである。吹き込むべき空気は高温であるので、空気はガラス面まで、直接、吹き込むことが可能であり、また、空気はガラスの加熱サイクルの終わりまで吹き込むことも可能である。更に、圧力レベルが高く、かつ高温空気であるため、少量の空気で熱伝導係数を高くすることが可能であり、そのため本装置の配管系は小型、かつ簡単であって、そのため熱運動に関する危険性はない。本方法において、吹き込むべき空気は炉の内部から取り出すので、炉には過剰空気の排出によって発生するような問題はない。更に、空気の量、および同時に熱伝導係数を何ら制限なく基本的に増大させることができる。空気の量と熱伝導係数とを増大させることは、単に、加圧装置の寸法を増大させることによって簡単に実行可能であり、それによって炉の熱損失は顕著に増大しない。本発明の方法によってガラスに対して顕著に短い加熱時間が達成される。特に、選択ガラスを加熱する場合、本発明による方法では極めて効率的に対流加熱を利用しているため、加熱時間を顕著に短くすることができ、ガラスの表面の輻射特性が対流加熱による効果を顕著に弱化させることはない。加熱線図として公知であるものを電気抵抗器によって炉に対して作ることができ、対流吹き込みは同時に炉の容量を上げることができるようにする。更に、加熱抵抗器を備えた炉は、本発明が単に空気噴射によって加熱を実行しようとする、例えば、対流炉と比較して均衡を保つのが極めて容易である。そのような方法において、ガラスの近傍における流路系の表面はその他の領域と比較して冷たくなり、炉内で不均衡をもたらし得る。本発明の方法は装置や配管系は寸法が小さく、かつ簡単であるため後での装着も極めて容易である。
【0016】
本発明を添付図面を参照して以下詳細に説明する。
【0017】
図1は焼鈍炉1を断面で示す概略端面図である。焼鈍炉1はフレーム2と、ローラ3とを含む。炉1において加熱する間、ガラス4はローラ3上に配置されている。典型的には、ローラ3は、例えば、セラミックローラである。焼鈍炉1は上からガラス4を加熱する上側抵抗器5と、下からガラスを加熱する下側抵抗器6とを含み得る。炉におけるガラス4の温度は、典型的に、ガラスの厚さに応じて、例えば、610〜625℃にまで上昇される。
【0018】
ガラス焼鈍炉1において、加熱の間、ガラス4はそれ自体公知の要領でローラ3によって前後に動かされ、すなわち往復運動させられる。そのため、ローラ3の支持点はガラス4全体にわたる加熱段階を通じて均一(even)とし得る。このようにして、ガラスの支持が不均一(uneven)であることによって生じるガラスの光学特性の変動誤差が最小化される。
【0019】
焼鈍炉1は更に、上側の吹き込みパイプ7を含み、それによって600℃以上の温度を有することが好ましい高温空気がガラス4の上側面に吹き付けられる。吹き込むべき空気の温度は例えば約650℃である。上側の吹き込みパイプ7は炉1において横方向に配置されており、すなわちガラス4の移動方向に対して概ね垂直である。空気は配管系によってガラス4の表面の近傍まで運ばれる。すなわち、ローラ3の表面からの上側吹き込みパイプ7の距離は300ミリメートル以下、例えば、60ミリメートルである。更に、ローラの表面からパイプ7までの距離は、例えば、100〜300ミリメートルである。パイプ7の材質は、例えば、耐酸性鋼であり、内径は、例えば、20ミリメートルである。吹き込み孔の直径は2.5ミリメートル以下、典型的には、例えば、約1.5ミリメートルであり、孔の相互間の距離は、例えば、25ミリメートルである。吹き込み孔は、1つ置きの孔がガラス4の表面の垂直方向に対して約30度の角度で前方向に吹き込み、1つ置きの孔がガラス4の表面の垂直方向に対して約30度の角度で後方向に吹き込むような要領で交互に配置されている。このように、空気はガラス4の表面に概ね垂直に、すなわち、ガラスの表面の垂直方向に対して45度以下の角度で吹き付けられる。
【0020】
空気は上側の送気パイプ8から上側の吹き込みパイプ7に供給される。上側送気パイプ8は炉1の両側縁部においてガラス4の移動方向に長手方向に配置されている。上側送気パイプ8はローラ3の表面から約50ミリメートルの距離に配置されている。上側の吹き込みパイプ7は両方の上側送気パイプ8に取り付けられ、そのため前記パイプは梯子状構造を形成しており、すなわち、上側吹き込みパイプ7の各々に図2に示す要領で両端から空気が供給される。上側送気パイプ8の直径は、例えば、40ミリメートルである。
【0021】
空気は供給パイプ9によって上側送気パイプ8に供給される。上側の供給パイプ9は、例えば、上側送気パイプ8の中央に取り付けることができる。他方、より長い炉においては、上側送気パイプ8の各々に対して1つ以上の上側供給パイプ9を使用してもよい。
【0022】
空気は加圧装置10aによって前記パイプに供給される。加圧装置10aは上側の帰還パイプ11に沿って、前記炉から高温空気を吸引する。加圧装置10は少なくとも2つの点、好ましくは炉の両端から、該炉の天井に沿って炉1の中心線から空気を吸引する。加圧装置10aは空気を主として、押し込み、すなわち圧縮機の原理を適用して加圧する。加圧装置10aの回転速度は毎分15,000回転、好ましくは毎分20,000回転以上であり、それは、例えば、耐熱の圧縮機、あるいはターボチャージャのタービンであてもよい。加圧装置10aは炉1の圧力に対して0.1バール以上、好ましく0.5バール以上、あるいは1バールまでの過圧を提供する。加圧装置の回転速度はこのように高くなければならず、そのため空気は十分高速で可成小さいパイプやノズル孔を通じて吹き込むことができる。
【0023】
焼鈍炉1の下側部分には、例えば、各ローラの間隔で、炉の横方向に配置された吹き込みパイプ14が設けられている。下側の吹き込みパイプ14の寸法は上側の吹き込みパイプ7の寸法に対応し、ローラ3の下側面より下で、例えば、約20ミリメートルに設置されている。吹き込み孔が、例えば、25ミリメートルの間隔で、直接、上向きに向って位置づけられており、それらの孔の寸法は上側吹き込み孔7の孔の寸法と同じである。更に、空気の流れがローラ3と実質的に接触することなく空気がガラスに確実に吹き込まれるようにするノズルが前記孔に配置されている。このようにして、ローラ3には何れの段階においても非制御の熱伝導がないようにされる。
【0024】
下側の吹き込みパイプ14には下側の送気パイプ15から空気が供給される。下側の送気パイプ15は炉1の両側縁部においてガラスの移動方向における長手方向に設置されている。ローラ3の下側面上の下側送気パイプ15の距離は、例えば、50ミリメートルである。下側の吹き込みパイプ14は両側の下側送気パイプ15に取り付けられ、これにより前記パイプは上側のパイプに対応する要領で梯子状構造を形成しており、すなわち、空気は下側吹き込みパイプ14へその両端から送り込まれる。下側の送気パイプの直径は、例えば、40ミリメートルである。
【0025】
更に、前記炉は空気が下側の送気パイプ15に供給される下側の供給パイプ16を含む。下側の供給パイプ16は下側の送気パイプ15の中央に配置されているが、より長い炉においては、各下側送気パイプ15当たり1つ以上の供給パイプ16によって空気を供給するようにしてもよい。
【0026】
下側パイプへ空気を送る加圧装置10bは上側パイプに空気を送る加圧装置10aに対応している。加圧装置10bは、好ましくは炉の壁に沿って炉の中心線から少なくとも2つの点、あるいは炉の両端から底部に沿って下側帰還パイプ17に沿って、焼鈍炉の下側部分から空気を吸引する。下側パイプに吹き込まれる空気の温度は600℃以上、例えば、約650℃であることが好ましい。
【0027】
前記の配管系、孔および空気圧は前記吹き込みパイプ7および14の孔からの空気の流速が極めて高い、例えば、50メートル/秒、好ましくは100メートル/秒以上となるような要領で寸法づけられる。図1は炉内の空気の流れを矢印で指示している。目的とするところはガラス4をできるだけ効率的に加熱すること、すなわち熱伝導φをできるだけ強力にすることである。熱伝導φは以下の等式で表わすことができる。
φ=α*ΔT
但し、 αは加熱係数であり、
ΔTはTi−Tlであり、
Tiは空気の温度であり、
Tlはガラスの温度である。
熱伝導φをできるだけ強力にするためには、熱伝導係数αはできるだけ高くすべきである。熱伝導係数αの方は、排出速度、空気の質量流量、吹き込み孔の直径、吹き込み孔相互間の距離、ガラスからの吹き込み孔の距離によって変わり、要は、前記の変数の関数であり、すなわち
α=f(v,m,d,h,l)
である。
但し、 vは排出速度、
mは空気の質量流量、
dは吹き込み孔の直径、
hは吹き込み孔相互間の距離、
lはガラスからの吹き込み孔の距離である。
【0028】
熱伝導係数αに対する関数の変数の影響は正確に画定することが極めて難しい。更に、1つの変数を変更すると他の変数も変動するので、そのため熱伝導係数αの画定および最適化は極めて困難な課題である。空気の排出速度vを増すと、空気の質量流量mおよび吹き込み孔の直径dが熱伝導係数αを増大させる。しかしながら、空気の質量流量mが大きい場合には、流路における空気の量も多くなり、従って配管系の寸法が大きくなりすぎ、当該装置の構造が高価となる。従って、空気の質量流量mを過度に大きく増大させることは合理的ではない。当該装置の最適な構造については、できるだけ小さい質量によってできるだけ高い熱伝導係数αを得ることを目的とすることである。吹き込み孔の直径dを減少させると、熱伝導係数αは減少するが、吹き込み孔の直径を小さくしても空気の質量流量mは減少する。吹き込み孔の直径が2.5ミリメートル以下である場合、熱伝導係数αを過度に減じることなく空気の質量流量mを合理的に小さくすることが可能である。他方、排出速度vは熱伝導係数αの値に対して可成大きな影響を有しており、そのため空気の排出速度vを50メートル/秒よりも高く設定した場合、本発明による方法では、熱伝導係数αが驚異的に高くなり、それに対応して空気の質量流量mが適度に小さくなるように当該装置の最適化を可能としている。
【0029】
上側加圧装置10aに関連して駆動モータ12aが設けられており、該駆動モータ12aはギアボックスを介して加圧装置10aに接続されるか、あるいは直接使用してもよい。駆動モータは、例えば、インバータ13aによって回転速度が制御されるかご型誘導電動機でよい。同様に、回転速度がインバータ13bによって制御される駆動モータ12bも設けられている。加圧装置10aおよび10bは炉1の外側に配設されているので、それらに接続された流路系とかパイプは当然極めて効率的に断熱されている。フレーム2も良好に断熱されており、そのため炉1内の熱が逃げることはない。炉、流路系、および配管系が良好に断熱されているにもかかわらず、炉の外側での流路系において空気は僅かに冷却される。本発明の方法の目的はガラス4の加熱時間が、本発明と比較して普通ガラスの場合約25〜30%短く、選択ガラスを加熱する場合、本発明と比較して40%まで短くされ得るような要領で炉1の加熱を強化しようとすることである。本発明による方法においては、冷たい空気は炉での損失を生じさせるため、冷たい空気はあまり使用されない。加圧装置10aおよび10bの能力は、例えば、30kWでよい。しかしながら、抵抗器の寸法を決める場合、以前のようにそれ程余裕を考える必要がなく、しかも所要動力はより均一となるので、炉の能力は接続された負荷以上に上がる。このことは、特に、後で炉に加圧装置を設けるような場合には必要不可欠なことである。以前は特殊ガラスの加熱時間は透明ガラスの加熱時間よりも明らかに長かった。加熱時、高温空気が高速でガラスの表面に吹き付けられるので、透明ガラスおよび特殊ガラスの加熱は殆ど同等の速さで行われる。このように、以前の方法と比較して、特殊ガラス用に使用した炉の能力は透明ガラスを加熱する場合よ幾分増大する。
【0030】
ガラス4の加熱工程において、ガラス4は先ず、図2に示す積込コンベヤ18によって炉1中へ搬送される。炉1において、ガラス4はローラ3上で通常の方法で往復運動させられる。炉の温度は、例えば、約670℃の温度に設定されている。ガラス4が炉に到達すると、上側の抵抗器5は、事前に画定した加熱線図に従ってオンの状態にされる。上側の対流吹き込みは最大位置に配置され、下側の対流吹き込みは、例えば、約35%の効率で使用される。加熱が継続すると、上側で対流は減少し始め、対応して、加熱時間の約65%の点において上側の対流と下側の対流とが等しくなるように、下側での対流が増大し始める。上側および下側の抵抗器の効率は対流が働くのと概ね同じ比率に保たれる。最終段階において、下側の対流吹き込みが最大になされ、上側の対流吹き込みは最大に対して65%の値とされる。この後、ガラスは冷却装置19まで移送され、次のガラス4が炉に到達する。
【0031】
図面および関連の説明は本発明の概念を例示するためだけのものである。本発明の細部は特許請求の範囲内で変更可能である。このように、炉内でのパイプの寸法や位置も必要に応じて変更可能である。更に、ガラス4の上側面および下側面は対流吹き込みのみならず、例えば、上側抵抗器5および下側抵抗器6によって加熱してもよいが、対流吹き込み以外の加熱方法は必要でない。他方、対流吹き込みは前述のように、加熱抵抗および(または)ガラス4を加熱するための対流吹き込み以外のその他の方法を使用して達成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による装置の断面の概略正面図を示す。
【図2】 図1に示す装置の線A−Aに沿って見た断面の上側平面図を示す。
Claims (14)
- ガラス(4)を焼鈍炉(1)を通じて導くことによって該ガラス(4)を上下から加熱し、空気を前記焼鈍炉(1)の内部から吸引するような仕方で前記ガラス(4)の少なくとも上側面に該空気を吹き付けて該ガラス(4)を加熱し、前記空気を前記ガラス(4)に対して吹き戻すように循環させる、該ガラスを加熱する方法において、
ローラ(3)から構成されるコンベヤによって前記ガラス(4)を前記焼鈍炉(1)を通じて導き、圧縮機の原理を適用することによって前記焼鈍炉(1)における圧力に対して0.1バール以上の過圧まで前記焼鈍炉(1)から吸引した前記空気を加圧し、加圧した前記空気を配管系によって前記ローラ(3)上に設置した前記ガラス(4)の表面の近傍まで導き、前記ガラス(4)の上側面に実質的に垂直に空気を吹き込み、かつ
空気を加圧するために、回転速度が毎分15,000回転以上である加圧装置(10a,10b)を使用することを特徴とする、ガラスを加熱する方法。 - 前記ガラス(4)の下側面に実質的に垂直に高温の空気噴射を吹き付けることによって該ガラス(4)の下側面を加熱し、前記高温の空気噴射が前記焼鈍炉(1)の内部から前記空気を吸引し、圧縮機の原理を適用することによって前記焼鈍炉(1)から吸引した前記空気を前記焼鈍炉(1)の圧力に対して0.1バール以上の過圧まで加圧して供給することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 吹き込むべき前記空気の温度が600℃以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
- 前記焼鈍炉(1)の圧力に対して1バール以上の過圧まで前記空気を加圧することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
- 電気抵抗器(5、6)によって前記ガラス(4)を加熱することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
- 前記配管系から前記ガラス(4)の表面に向って出てくるときの前記空気の速度を50メートル/秒以上に設定することを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
- 前記配管系が前記ガラス(4)の表面の近傍に設置した吹き込みパイプ(7、14)を含み、前記吹き込みパイプには前記空気を前記ガラス(4)の表面に導くように通す孔を設け、前記孔の直径が2.5ミリメートル以下であることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
- ガラス(4)を支持して、そのコンベヤを構成するように配置した手段と、前記焼鈍炉(1)の内部から空気を吸引して前記ガラス(4)の少なくとも上側面に吹き戻すように該空気を循環させる手段とを含む、ガラスを加熱する装置において、
前記ガラスを支持してそのコンベヤを構成するように配置した水平ローラ(3)と、
加圧装置(10a)と、
上側の帰還パイプ(11)と、
前記ガラス(4)の面の近傍に配置された上側の吹き込みパイプ(7)とを含み、
前記帰還パイプ(11)が前記焼鈍炉(1)から前記空気を前記加圧装置(10a)まで運ぶように配置され、前記加圧装置(10a)が圧縮機の原理を適用することによって前記焼鈍炉(1)から運ばれてきた前記空気を前記焼鈍炉(1)の圧力に対して0.1バールの過圧まで加圧するように配置され、加圧された前記空気は高温であって、前記上側の吹き込みパイプ(7)を通じて前記ガラス(4)の上側面に実質的に垂直に吹き込むように配置され、かつ
前記加圧装置(10a,10b)の回転速度が毎分15,000回転以上であることを特徴とするガラスを加熱する装置。 - 加圧装置(10b)と、下側の帰還パイプ(17)と、下側の吹き込みパイプ(14)とを含み、前記下側の帰還パイプ(17)が前記焼鈍炉(1)から第2の加圧装置(10b)まで前記空気を導くように配置され、前記第2の加圧装置(10b)が圧縮機の原理を適用することによって前記焼鈍炉(1)から運ばれてきた前記空気を前記焼鈍炉(1)の圧力に対して0.1バール以上の過圧まで加圧するように配置されており、加圧された前記空気が高温であって、前記下側の吹き込みパイプ(14)を通じて前記ガラス(4)の下側面に実質的に垂直に吹き込むように配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
- 吹き込むべき前記空気の温度が600℃以上であることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の装置。
- 前記加圧装置(10a,10b)が前記焼鈍炉(1)から運ばれてきた前記空気を前記焼鈍炉(1)の圧力に対して1バール以上の過圧に加圧するように配置されていることを特徴とする、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の装置。
- 前記ガラス(4)を加熱するための電気抵抗器(5、6)を含むことを特徴とする、請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の装置。
- 前記吹き込みパイプ(7、14)から前記ガラス(4)の面に向って出て行くときの前記空気の速度が50メートル/秒以上に設定されていることを特徴とする、請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の装置。
- 前記吹き込みパイプ(7、14)には前記空気が前記ガラス(4)の面に向って通って流れる孔が設けられており、前記孔の直径が2.5ミリメートル以下であることを特徴とする、請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の装置。
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