JP4338879B2 - インクジェット記録媒体用塗工液 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体形成用の塗工液、および該塗工液を使用して得られるインクジェット記録媒体に関する。さらに詳しくは優れた耐光性を有し、染料あるいは顔料インクの受容性、発色性、透明性に優れ、インク吸収速度が向上したインクジェット記録媒体、更にはこれらを満たし、かつ表面光沢性を低減させた(つや消し)インクジェット記録媒体に適したインク受容層を形成し得る塗工液、および該塗工液を使用して得られるインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来使用されている記録方式として、ワイヤードット記録方式、感熱発色記録方式、感熱溶融熱転写記録方式、感熱昇華転写記録方式、電子写真記録方式、インクジェット記録方式等の種々の記録方式がある。この中で、インクジェット方式は記録媒体として普通紙を使用できること、プリントコストが安いこと、装置がコンパクトで騒音がなく、高速記録、カラー化が容易であるなどの特徴がある。
【0003】
これらのインクジェット記録方式でプリントアウトされたものは大型のポスター、ディスプレイ、チラシ等の意匠性を持つメディアとして近年急速にその需要が高まっている。これらのプリンターには一般的に水性のインクが使用されている。この水性インクは染料インクと顔料インクに分類され、鮮明性の点から主に染料インクが使用されている。しかしながら、近年は屋外展示用の大判のポスターなどにも使用されるようになってきたため、染料インクでは十分な耐候性が得られないという欠点も指摘されていた。
【0004】
一方、顔料インクは耐候性に優れるという特徴を持つかわりに、画像にクラックが生じ鮮明な画像が得られない(受容性が劣る。)と言う欠点があった。この画像のクラックを改良する方法として例えば、カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を利用した方法が提案されているが、最近の高画質に対する要求に対しては必ずしも十分とは言えない(特開平9−244224号公報)。さらに透明フィルムを支持体として用いた場合、従来の多孔性インク受容層では光透過率が低いため、透過性が失われてしまう欠点もある。
【0005】
特に最近では、カラーインクジェットプリンターの高速度化、高解像度化に伴うインク吐出量の増加により、インク吸収性の良い、すなわち、インク吸収速度が高く、インク吸収容量が大きい記録媒体が必要となってきた。インク吸収速度を改善した記録媒体として微粒子および/または微小繊維状セルロースをインク受容層に含有させた記録媒体(特開平 9−164760号公報)が開示されているが、セルロース自体の白度が高いために透明性が劣り、画像の鮮明さに欠けるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた耐光性を有し、染料インクや顔料インクの受容性、発色性、透明性に優れ、インク吸収速度の優れたインクジェット記録媒体、及びこれらを満足し、かつ、つや消し表面を有するインクジェット記録媒体を可能とする塗工液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、PCT/JP98/05462において、透明から半透明のセルロース分散体を得ている。本発明者らは、該セルロース分散体をインクジェット記録媒体用の塗工液としての適用を検討した結果、該塗工液を用いたインクジェット記録媒体は耐光性を失うことなく、染料インクや顔料インクの受容性、発色性、透明性に優れ、インク吸収速度も従来のものより向上していることを見出し、さらに適当な条件下ではつや消し表面を持ったインクジェット記録媒体を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
[1]平均重合度(DP)が50以下で、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であり、かつ構成するセルロース粒子の平均粒径が5μm以下であるセルロースを0.001〜5重量%含有し、300nm以下の平均粒径を有するセルロース以外の微粒子をインク吸収剤として塗工液の全固形分に対して70重量%以下及び/又はバインダーとして塗工液の全固形分に対して20重量%以下含有することを特徴とするインクジェット記録媒体用塗工液、
]前記セルロース以外の微粒子が無機微粒子、共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系重合体または共重合体のラテックス及び官能基変性重合体ラテックスから選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする[1]に記載のインクジェット記録媒体用塗工液、
]カチオン変性ポリマーを0.001〜15重量%含有することを特徴とする[1]または[2]に記載のインクジェット記録媒体用塗工液、
]支持体の少なくとも片面に[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット記録媒体用塗工液を用いて形成されたインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体、
]支持体とインク受容層との間に、無水グルコース単位1個あたりの硝酸エステル基置換度が0.2〜2.95であり、カルボキシアルキルエーテル基置換度が0.05〜2.8であるカルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を3〜80重量%、および水性高分子を20〜97重量%含有する下層を設けることを特徴とする[4]に記載のインクジェット記録媒体、
]水性高分子がカチオン変成ポリマーであることを特徴とする[]に記載のインクジェット記録媒体、
である。
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の塗工液は、インクジェット記録媒体のインク受容層を形成するのに用いられる。該塗工液は、平均重合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であり、かつ構成するセルロース粒子の平均粒径が5μm以下であるセルロースを0.001〜5重量%含有することが必要である。
【0010】
本発明で使用しているセルロースは、好適な場合には、水溶性高分子水溶液に匹敵するほどの透明性を持ち、セルロースが高度に分散媒体に分散した状態のものであり、乾燥により塗膜を形成した際にも透明性を発揮し、適度な強度と柔軟性を保持することを可能にするものである。このセルロース分散体の分散体は水であることが好ましいが、アルコール類などの水溶性有機溶媒が含まれていても構わない。さらにこの原料セルロース分散体中には、分散体の安定性を高めるために、水溶性高分子やノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、さらには尿素などの水または水/有機溶媒の混合溶液に溶解し得る有機化合物や無機塩類が含まれていても構わない。
【0011】
本発明においてセルロースは、平均重合度(DP)が100以下、好ましくは50以下である。DPが100を超えると、分散媒体に高度に分散したセルロース分散体を得ることが難しい。本発明のセルロースは、水に不溶なセルロースの分散体であり、DPは20以上である。
また、本発明のセルロースは、セルロースI型結晶成分量(χI)が0.1以下、好ましくは0.06以下であり、セルロースII型結晶成分量(χII)が0.4以下、好ましくは0.3以下の低結晶性であることが必要である。本発明のセルロースの結晶成分の分率は(χc、即ちχIとχIIとの和)は殆ど零に近い値にまですることができる。χIが0.1を超える又はχIIが0.4を超えるセルロースは、白度が高く、分散媒体中でのセルロース粒子間の相互作用力が低くなるため、フィルムを形成した際の透明度や強度・柔軟性が極端に低下する。さらに、インク吸収性や発色性の点でも劣る。
【0012】
本発明のセルロースは、原料となるセルロース分散体において、構成するセルロースの平均粒子径が、後述する測定法で5μm以下、好ましくは3.5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。平均粒子径の下限は、本発明が規定する測定法の検出下限値に近い0.02μm程度にすることができる。5μmを超えると、支持体への定着性が低下し、塗膜の透明性も劣り、印刷物の解像度低下が発生する。
【0013】
本発明で言う構成するセルロースの平均粒子径とは、原料となるセルロース分散体において、分散媒体中で等方的に会合して分散しているセルロースの微小ゲル体を、後述する本発明の平均粒子径の測定法に準じて、超音波等の手段で可能な限り微細に分散化させた時のセルロースが持つ「広がり(直径)」の大きさを意味する。こうした取り扱いが必要なことは、本発明のセルロースが分散媒体中で存在する形態と、既存の微結晶セルロース(MCC)や微小フィブリル化セルロース(MFC)等のセルロース微粒子が懸濁液中で存在する形態とは明らかに異なることを示している。
【0014】
本発明のセルロースは、原料となるセルロース分散体の状態で、既存のセルロース添加剤、例えばMCC等とは異なり、光学顕微鏡による観察では粒子が明確には確認できないほどに、高度に分散媒体中に分散した構造を有し、更に、直径約0.01μm(10nm)の球状粒子が数珠状に連結した構造を有している。
本発明のセルロースは、セルロース分散体の状態で、このような微細な構造体が無数に交絡して網目状構造体を構成していて、ある有限の大きさで会合してミクロゲルとして存在していると推定される。
【0015】
このような本発明のセルロースは、セルロース分散体の状態で、極めて会合性が高く、会合状態の切断度合いによって「広がり」の大きさが変化する。例えば、本発明の分散体の平均粒子径は、長時間静置したままの試料を、超音波処理を施さずに測定した場合には数百μm程度に測定されることもあるのに対し、同じ分散体を本発明で規定する平均粒子径測定法で測定すれば、平均粒子径は5μm以下に測定される。このことは、粒径の小さなセルロースが、本発明の組成物中で極めて高度に会合している証左である。MCCや微小フィブリル化セルロース(MFC)の分散液では、通常、上述したような極端な平均粒子径の変化は観察されない。
【0016】
以下にセルロースの解析方法を示す。
セルロースの平均重合度(DP)、セルロースI及びセルロースII型結晶成分の分率(χIおよびχII)、平均粒子径は、塗工液を製造する際のセルロース分散体原料に対して、下記手順で算出した。
セルロースI型結晶成分の分率(χI)は、セルロース分散体原料を乾燥して得られた乾燥セルロース試料を粉状に粉砕し錠剤に成形し、線源CuKαで反射法で得た広角X線回折図において、セルロースI型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=15.0゜における絶対ピーク強度h0と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1から、下記(1)式によって求められる値を用いた。同様に、セルロースII型結晶成分の分率(χII)は、乾燥セルロース試料を粉状に粉砕し錠剤に成形し、線源CuKαで反射法で得た広角X線回折図において、セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=12.6゜における絶対ピーク強度h0*とこの面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1*から、下記(2)式によって求められる値を用いた。
χI=h1/h0 (1)
χII=h1*/h0* (2)
【0017】
図1に、χIおよびχIIを求める模式図を示す。なお、セルロース試料は、減圧乾燥法等の手段で乾燥して得られる乾燥セルロース試料とした。
本発明で規定する平均重合度(DP)は、上述の乾燥セルロース試料をカドキセンに溶解した希薄セルロース溶液の比粘度をウベローデ型粘度計で測定し(25℃)、その極限粘度数[η]から下記粘度式(3)および換算式(4)により算出した値を採用した。
[η]=3.85×10-2×MW0.76 (3)
DP=MW/162 (4)
【0018】
本発明において構成するセルロースの平均粒子径は、原料となるセルロース分散体に対し、レーザ回折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920;下限検出値は0.02μm)で測定して求められる平均粒子径である。分散媒体中の粒子間の会合を可能な限り切断した状態で粒子径を測定するために、次の工程で試料を調製した。セルロース濃度が約0.5重量%になるようにセルロース分散体原料を水で希釈した後、回転速度15000rpm以上の能力を持つブレンダーで10分間混合処理を行い均一な懸濁液を作る。次いでこの懸濁液に超音波処理を30分間施して得られた分散試料を粒度分布測定装置のセルに供給し、再び超音波処理(3分間)を行った後、粒径分布を測定した。
【0019】
本発明のセルロースを含有するインクジェット記録媒体用塗工液は、セルロースおよび分散媒体からなる。必要に応じてセルロース以外の各種微粒子や水溶性高分子、さらにはインク定着性を高めるために、カチオン変性ポリマー等の添加剤を適宜加えることができる。
該塗工液中のセルロースの含有量は、塗工液の全重量に対して、0.001〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。該範囲内であると 均一な性状の塗工液を好適に与えることができる。粘度などは構成成分の内容に大きく依存するので、使用目的や系に応じて適正な組成を決定すればよい。5重量%を超えると、粘度が高くなってしまい支持体上に塗布する際に均一な塗工ができなくなる。0.001重量%を下回ると、セルロースを添加することによる本発明での効果が発現されない。
【0020】
該塗工液において、セルロースを分散させる媒体としては、水または水と混和性のある有機溶媒からなる水性媒体が用いられる。ここでいう水と混和性のある有機溶媒とは、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール、n− ブチルアルコール、イソブチルアルコール、グリセリン等のアルコール類の他、これら一連のアルコール系化合物のエステル化物、さらにはN-メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルホキサイド等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
水に混和性のある有機溶媒の含有量については塗工液の全重量に対して、60重量%以下であることが好ましい。より好ましくは30重量%以下である。60重量%以下であるとセルロース分散体およびその他配合成分を均一に分散することができる。60重量%を超えるとセルロース分散体自身が液中で凝集し、均一な配合液を得ることができなくなる。
【0022】
次に、本発明の塗工液には300nm以下の平均粒径を持つセルロース以外の微粒子を含有させることが好ましい。
該セルロース以外の微粒子の粒径としては、平均粒径は300nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。300nmを超えるとインク受容層としてふさわしい多孔質構造を形成できないため好ましくない。粒子径の下限は粒子の製造上の観点から3nm以上が好ましい。
【0023】
これらのセルロース以外の微粒子は例えばインク吸収剤やバインダーとして作用する。当然のことながら好ましい添加量は使用する目的によって異なる。例えば、セルロース以外の微粒子をインク吸収剤として使用する場合には、塗工液の全固形成分に対し、添加量は、70重量%以下で使用することが好ましい。70重量%を超えると、インク吸収層の塗膜の強度が低下する。より好ましくは50重量%以下である。
【0024】
また、例えばセルロース以外の微粒子をバインダーとして使用する場合の添加量は、塗工液の固形分の合計量に対して20重量%以下である。添加量が20重量%を越えると画像鮮明性が低下したり、塗工液としての流動性が失われたりする。より好ましくは15重量%以下である。
ここで、微粒子の平均粒径は塗工液調整の原料の段階で電子顕微鏡で観察して100個の任意の粒子の粒径(一次粒子径)を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表わしたものである。
【0025】
より具体的に、該セルロース以外の微粒子を挙げると、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、コロイダル酸化チタン、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト等の無機微粒子、 ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリレートなどからなるプラスチックピグメント、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル共重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系重合体または共重合体のラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスあるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックスなどを使用することができるがこれらに限定される訳ではない。これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0026】
特にセルロース以外の微粒子をインク吸収性を高めるために使用する場合には100nm以下であると透明性が高いため好ましい。この場合には上述した中で特に合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカ系微粒子を用いることが好ましい。
さらにバインダーとしては、例えば、インク受理性、塗工性を改良する目的で親水性高分子を使用することができる。親水性高分子としては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチンなどのゼラチン誘導体、例えばフタール酸、マレイン酸、フマール酸などの二塩基酸の無水物と反応したゼラチン等の各種ゼラチン、酸化でんぷん、エーテル化でんぷんなどのでんぷん類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアルキレンオキサイドおよびそれらの誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸またはそのエステル、塩類及びそれらの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート及びその共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、各種鹸化度のポリビニルアルコール、カルボキシ変性、両性のポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、及びそれらの塩、ポリエチレンイミンなどの合成ポリマーなどがある。これらは単独あるいは併用して使用することができる。また、塗膜の強度、耐水性を向上させる目的でアルデヒド化合物、メラミン樹脂、活性化ビニル化合物、酸無水物、イソシアネート化合物、活性化ビニル化合物、多価金属含有化合物などの水酸基架橋剤を加えても構わない。
【0027】
該親水性高分子の好ましい添加量は、塗工液の固形分の合計量に対して20重量%以下である。添加量が20重量%を越えると画像鮮明性が低下したり、塗工液としての流動性が失われたりする。
また、インクの定着性をあげるために、さらに塗工液中にカチオン変性ポリマーを添加することもできる。該カチオン変性ポリマーの添加量は、塗工液に対して0.001〜15重量%であることが好ましい。15重量%を超えると相分離などの不均一化や塗工液として不適当な高粘性化(ゲル化)を起こす場合がある。より好ましくは0.01〜10重量%の範囲である。
【0028】
カチオン変性ポリマーとしては、アミド基、イミド基、第1級〜第3級アミノ基、1級アンモニウム塩基、2級アンモニウム塩基、3級アンモニウム塩基、および第4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のカチオン基を含むポリマーである。カチオン変性ポリビニルアルコール,ポリアリルアミンあるいはその塩酸塩、ポリアミンスルホンあるいはその塩酸塩、ポリビニルアミンあるいはその塩酸塩、キトサンあるいはその酢酸塩などや、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートジエチルアミノエチルメタアクリレート、メチルエチルアミノエチルアクリレート、メチルエチルアミノエチルメタアクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレンおよびメチルエチルアミノスチレンなどの1〜3級アミンを側鎖に有するカチオン性モノマー、ならびにこれらモノマーから誘導される4級アンモニウム塩基を側鎖に有するモノマーから選択された1種の単独重合体またはこれらモノマーの2種以上からなる共重合体等が挙げられる。ただし、上記のものに限定されるわけではない。
【0029】
その他にも、結晶セルロース等のマット剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、耐光性向上剤、保存性向上剤、などの印字性改良剤等を添加剤として用いることができる。これらの添加剤は2種以上を併用して使用することが出来る。
画像鮮明性を向上する目的で、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用できる。
【0030】
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸およびその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチドなどのカルボン酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアマイドの硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩などの燐酸エステル塩等が挙げられる。
【0031】
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族の第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩や、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼントニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、サポニンなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリニウムベタイン型、レシチン型等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンステロールエーテル型、ポリオキシエチレンラノリン誘導体型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型、脂肪酸グリセリド型、ポリグリセリン脂肪酸エステル型、ソルビタン脂肪酸エステル型、プロピレングリココール脂肪酸エステル型、脂肪酸アルカノールアミド型、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド型、ポリオキシエチレンアルキルアミン型、アルキルアミンオキサイド型等が挙げられる。これらの内、非イオン性界面活性剤が好ましく、特にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル型などのソルビタンエステルエーテル型やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型が好ましい。
【0032】
界面活性剤の量は、塗工液の固形分に対し、添加量は1重量%以下であることが好ましい。1重量%を超えるとインクのにじみの生じる場合がある。
以下に本発明のインクジェット記録媒体用塗工液の調製法を示す。本発明におけるセルロースは、以下に説明する製造方法で得られる水などの分散媒体に分散したセルロース分散体を用いることが好ましい。
セルロース分散体はパルプなどの原料セルロースを50重量%以上溶解させる能力のある鉱酸(例えば硫酸水溶液)に溶解させて、かかる溶液を水中に再沈させて得られるセルロース凝集体の酸分散液を加温し、固相で50〜100℃の温度範囲で加水分解処理を施す。反応時間は温度に応じて異なるが、約5分〜180分の範囲にあることが望ましい。
【0033】
この工程により得られた分散液を濾過、水洗を繰り返すことにより精製する。この間に希薄なアンモニア水のようなアルカリ水溶液などにより中和を行っても構わない。ただし、その際にも中和後、さらに水洗し、中和によって生じる中和塩を洗い流すのが好ましい。こうして得られたpHの値が2以上、好ましくは4以上のゲル状物をそのまま、あるいはエタノールなどの有機溶媒と混合あるいは置換した後、微細化処理を施すことによりセルロースの水分散体あるいは有機溶媒への分散体を調製する。この際の微細化処理としては超高圧ホモジナイザーやビーズミルあるいは超音波処理などの適用が有効である。最後の微細化処理は必要に応じて複数回行っても構わない。この際の原料セルロースとしては木材パルプや綿等の天然セルロースが好適に使用できるが再生セルロースであっても構わない。
【0034】
次にこうして得たセルロース分散体に、上述した各種添加剤を適宜加え、目的に応じた混合処理を施しセルロースを含有する塗工液を製造する。例えば、セルロース分散体と、必要に応じて、界面活性剤などの添加剤とを水性媒体中で予め混合し、ついで均一分散させて、インクジェット記録媒体用塗工液を得るとができる。
本発明のインクジェット記録媒体は、少なくとも支持体の片面に、平均重合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であるセルロースを0.01重量%以上含有するインク受容層を有する。
【0035】
該インクジェット記録媒体は、支持体の片面もしくは両面に、該支持体表面に直接、上述のセルロースを含有したインクジェット記録媒体用塗工液を塗工し、乾燥してインク受容層を形成することで得られる。また、支持体のインク受容層を形成しようとする面に、インク吸収剤およびバインダーを含有し、セルロースを含まない塗布液を塗布して塗布層(以下、下層という。)を形成し、その上に上述のセルロースを含有したインクジェット記録媒体用塗工液を塗工し、乾燥することによってインク受容層を形成することでも得られる。このセルロースを含有する乾燥インク受容層は、親水性であるが水不溶性である。
【0036】
インク受容層中のセルロースの含有量は、0.01重量%以上、好ましくは0.05〜70重量%であり、より好ましくは0.5〜50重量%の範囲である。含量が0.01重量%未満では、本発明におけるセルロースを添加する効果が発現されない。70重量%を超えると、セルロースの持つ強い凝集性によって緻密な層が形成されてしまうため、インク吸収性を上げる何らかの工夫が必要となる傾向がある。
【0037】
セルロース含有量と配合成分の選別によってインク受容層としての機能をコントロールすることができる。さらにインク受容層中のセルロース含有量について大まかに低含有率(0.01〜5重量%)の場合と高含有率(5重量%以上)の場合とでセルロースは異なる機能素材として作用する。およそ0.01〜5重量%の範囲では、セルロースは添加剤として補助的に作用する。この範囲の添加量の場合には該セルロース以外に親水性高分子などをバインダーとして含有させるのが望ましい。セルロースを含有することによって、例えばインク受容性の向上や発色性や透明性を保ったままつや消し効果を附与することが可能である。インク受容層中の他の成分、例えば、インク吸収剤としてのシリカ微粒子や、バインダーとしての親水性高分子などを均一に分散させ、セルロース自体が持つインク吸収性に加え、発色性を向上させ、均質な画像を得ることができる。
【0038】
およそ5重量%以上の範囲では、セルロースはインク吸収剤やバインダーとしても機能する。10重量%を超えると、適当な条件下では、発色性、透明性を維持しつつ、インク吸収性を高めるインク吸収剤として、あるいは染料、顔料、他のインク吸収剤を均一に分散、固定化させるバインダーとして機能し得る。5重量%以上の範囲でセルロースを含有する場合にも他のバインダーやインク吸収剤を用いる配合が現実的だが、特に50重量%以上含有する場合には、他のバインダーやインク吸収剤を用いないで機能を発現させることも可能である。特に高含有率の場合にはセルロースを架橋させることにより、塗膜強度を向上させたり耐水性を向上させることも可能である。
【0039】
本発明においてインク受容層は、単層でも2層以上の複数層でも良く、2層以上の複数層の場合には、本発明で使用するセルロースを含有した層は、いずれかの一部の層であっても全ての層であってもかまわないが、インク吸収性の観点からは少なくとも最上層に有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体の支持体上に設けられるインク受容層の厚みは、0.5〜100μmであることが好ましい。厚みが0.5μm未満になるとインクがにじみ、塗膜強度が低下する。100μmを越えると塗工時の乾燥性や塗工性、カール性が不十分である。好ましくは1〜50μmの範囲である。
【0040】
本発明で使用する支持体としては、透明でも、不透明でも目的に応じて用いることができる。支持体は、加工紙を含む紙またはフィルムが一般的であるが特にこれらに限定されず、固体物質であり、インクジェット記録媒体用の支持体として機能するものであれば使用することができ、例えばガラス板、金属板等であっても構わない。フィルム素材としては、合成樹脂フィルムなどがあげられる。合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−P−フェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどを使用することができる。さらにこれらの共重合体やブレンド物やさらに架橋した物、あるいは顔料を練り込んで不透明化したフィルム、発砲フィルム、光沢フィルムなどを用いることもできる。
【0041】
さらに本発明では、セルロースを含有するインク受容層と支持体との間に、セルロースを含まず、インク吸収剤およびバインダーを含有する下層を設けることが好ましい、特に硝酸エステル基置換度が0.2〜2.95、カルボキシアルキルエーテル基置換度が0.05〜2.8であるカルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を3〜80重量%、好ましくは5〜35重量%、および水性高分子を20〜97重量%、好ましくは65〜95重量%含有する下層を設けることが好ましい。該下層を設けることで耐水性に優れ、インクの吸収性にも優れたインクジェット記録媒体を提供することができる。
【0042】
硝酸エステル基置換度が0.2未満では、下層の耐水性が不十分であり、2.95を越えると、親水性が不十分になる。カルボキシアルキルエーテル基置換度が0.05未満では水への溶解性が不十分になり、下層のインク吸収性が不十分になり、2.8を越えると、下層の耐水性が不十分となる。カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類の硝酸エステル基置換度の好ましい範囲は0.2〜2.2であり、カルボキシアルキルエーテル基置換度の好ましい範囲は0.05〜1.5である。
【0043】
本発明の下層に使用できる水性高分子は、上述のインクジェット記録媒体用塗工液でバインダーとして用いた親水性高分子およびカチオン変性ポリマーが使用できる。具体的には、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチンなどのゼラチン誘導体、例えばフタール酸、マレイン酸、フマール酸などの二塩基酸の無水物と反応したゼラチン等の各種ゼラチン、酸化でんぷん、エーテル化でんぷんなどのでんぷん類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアルキレンオキサイドおよびそれらの誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸またはそのエステル、塩類及びそれらの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート及びその共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、各種鹸化度のポリビニルアルコール、カルボキシ変性、両性のポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性セルロース誘導体、カチオン変性でんぷん、カチオン変性グアガム、ジアリル4級アンモニウム塩重合物、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、アニリン樹脂、ポリチオ尿素、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン類等のカチオン変性ポリマー類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、及びそれらの塩、ポリエチレンイミンなどの合成ポリマー、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル共重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系重合体または共重合体のラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスあるいは、これらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性合成樹脂などの水性接着剤および、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニルコーポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂をあげることができる。これらは単独あるいは併用して使用することができる。
【0044】
これらの中でもインク定着性を高めることができる点で、カチオン変性ポリマーを使用することが好ましい。カチオン変性ポリマーは、アミド基、イミド基、第1級〜第3級アミノ基、1級アンモニウム塩基、2級アンモニウム塩基、3級アンモニウム塩基、および第4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のカチオン基を含むポリマーである。具体例を挙げれば、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリアリルアミンあるいはその塩酸塩、ポリアミンスルホンあるいはその塩酸塩、ポリビニルアミンあるいはその塩酸塩、キトサンあるいはその酢酸塩などや、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートジエチルアミノエチルメタアクリレート、メチルエチルアミノエチルアクリレート、メチルエチルアミノエチルメタアクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレンおよびメチルエチルアミノスチレンなどの1〜3級アミンを側鎖に有するカチオン性モノマー、ならびにこれらモノマーから誘導される4級アンモニウム塩基を側鎖に有するモノマーから選択された1種の単独重合体またはこれらモノマーの2種以上からなる共重合体等が挙げられる。
【0045】
特にカチオン変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。ここで言うカチオン変性ポリビニルアルコールとは、アミド基、イミド基、1級アミノ基、、2級アミノ基、3級アミノ基、1級アンモニウム塩基、2級アンモニウム塩基、3級アンモニウム塩基、4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のカチオン基を含む、カチオン変成量としては0.01モル%以上含有するポリビニルアルコールである。カチオン変成量の好ましい範囲は0.1〜30モル%である。さらには、0.1〜15モル%が好ましい。カチオン基の変性量が0.01モル%未満では塗膜の耐水性が不十分となり好ましくない。平均鹸化度としては、40〜100モル%が好ましい。鹸化度が40モル%未満ではインク吸収性が不十分となる。平均重合度としては、100〜5000が好ましい。さらには200〜3000が好ましい。平均重合度が100未満では、下層の耐水性が低下し、5000を越えると溶液粘度が高すぎて、樹脂の混合や支持体への塗工などの作業性が悪くなる。
【0046】
また、塗膜の強度、耐水性を向上させる目的でアルデヒド化合物、メラミン樹脂、活性化ビニル化合物、酸無水物、イソシアネート化合物、活性化ビニル化合物、多価金属含有化合物などの水酸基架橋剤が挙げられる。水酸基架橋剤の好ましい添加量は、カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類と水性高分子の合計量に対して0.1重量%〜20重量%である。添加量が0.1重量%未満では耐水性が十分に発現されない場合があり、20重量%を越えると染料インクの画像鮮明性が低下する場合がある。
【0047】
インクジェット記録媒体の使用目的によって、軽質炭酸カルシウム、重室炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライトなどの無機微粒子や有機系微粒子であるポリマーピグメントをインク吸収剤として下層に使用することもできる。これらの微粒子の添加量は、下層の全成分に対し、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下である。
【0048】
更に、カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を含有する下層中には、画像鮮明性を向上する目的で、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を使用することもできる。
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸およびその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチドなどのカルボン酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアマイドの硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩などの燐酸エステル塩等が挙げられる。
【0049】
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族の第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩や、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼントニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、サポニンなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリニウムベタイン型、レシチン型等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンステロールエーテル型、ポリオキシエチレンラノリン誘導体型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型、脂肪酸グリセリド型、ポリグリセリン脂肪酸エステル型、ソルビタン脂肪酸エステル型、プロピレングリココール脂肪酸エステル型、脂肪酸アルカノールアミド型、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド型、ポリオキシエチレンアルキルアミン型、アルキルアミンオキサイド型等が挙げられる。これらの内、非イオン性界面活性剤が好ましく、特にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル型などのソルビタンエステルエーテル型やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型が好ましい。
【0050】
界面活性剤の添加量は、カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類と水性高分子の合計量に対して0.1重量%〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%〜10重量%である。0.1重量%以下では画像鮮明性の改良効果が顕著でなく、20重量%以上ではインクのにじみが生じる場合がある。
下層の耐水性を向上させる目的でpH調整剤が使用できる。pH調整剤としては無機酸、有機酸が使用できるが、下層形成用の塗布液の安定性の点から有機酸が好ましい。中でも25℃の水中における酸解離定数の逆数の対数値が1〜6の有機酸が好ましい。この場合、一塩基酸、n塩基酸を問わず、酸解離定数の逆数の対数値は第一段の解離の値を指す。これらの有機酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸などのジカルボン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのオキシ酸などが挙げられる。pH調整剤を使用して得られた塗布液の好ましいpHは2〜8、さらに好ましくは4〜7である。
【0051】
pHが8を越えると下層の耐水性向上の効果が低く、pHが2未満では溶液の増粘が生じるなど作業性が低下する。その他にも炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、結晶セルロース等のマット剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、耐光性向上剤、保存性向上剤、アルミナゾルなどの印字性改良剤等を添加剤として用いることができる。これらは2種以上を併用して使用することが出来る。
【0052】
本発明のカルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を含有する下層の厚みは、0.5〜100μmであることが好まく、1〜50μmであることがより好ましい。
本発明で使用できるカルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類は、水及び/または水を主成分とした有機溶剤に溶解させて塗布液を調製する。それらの溶剤への溶解性を上げるためにカルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類に含まれるカルボキシル基が一部、あるいは全部中和することが好ましい。中和のためにはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アミン等の陽イオンの1種または2種以上を用いることが出来る。この場合、中和の程度は、目的とする溶液の水、有機溶剤等の組成に応じて任意に決定されるが、一般的には、含まれるカルボキシル基の50%以上が中和されていることが好ましい。カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を中和することで溶液の粘度が低下し、支持体への塗布性が向上する。
【0053】
本発明でセルロースを含有するインク受容層の下層に使用できるカルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類の溶解に使用できる有機溶剤としては、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコール類の誘導体、ケトン類、エステル類、カーボネート類等の中から選ばれる1種または2種以上の組み合わせからなる溶剤が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、n−ウンデカノールまたは、これらの異性体、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等があげられる。好ましくは、アルキル炭素数が1〜6個を有するアルコール類である。
【0054】
多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール等があげられる。多価アルコールの誘導体類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸セロソルブ等、または有機合成化学協会編の溶剤ポケットブック(p、479〜p、574),(1990年9月20日、オーム社発行)に記載された多価アルコールとその誘導体類があげられる。
【0055】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等があげられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エステル、酪酸エステル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、及び、ε−カプロラクトン、ε−カプロラクタム等の環状エステル類があげられる。 エーテル類としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等があげられる。カーボネート類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート等があげられる。
【0056】
本発明のインクジェット記録媒体のインク受容層および下層の形成方法は、エアドクタコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、キスコーター、キャストコーティング、スプレイコーター、スロットオリフィスコーター、カレンダコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ロールコーターなどの公知の方法を適用することができる。この際、支持体上には塗布する前に必要に応じて空気中あるいはその他の雰囲気中でのコロナ放電処理やプライマー処理などの公知の表面処理を施すことによって、塗工性が良化する。また、必要に応じて支持体の両面にバインダーを塗工する、あるいは物性の異なる塗膜を支持体上に積層しても良い。尚、塗工液濃度、塗膜乾燥条件は特に限定されるものではないが、塗膜乾燥条件は基材の諸特性に悪影響を及ぼさない範囲で行うのが望ましい。
本発明の塗工液をコーティングすることで得られたインクジェット記録媒体は、染料インクや顔料インクの受容性に特に優れる。
【0057】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。下記実施例及び比較例において、平均粒径、結晶成分の分率、平均重合度(DP)は前述した測定法によって行った
【0058】
【調製例】
セルロースの水分散体を調製した。5mm×5mmのチップに切断したサルファイトパルプシート(DP=760)を、−5℃で65重量%硫酸水溶液にセルロース濃度が6重量%になるように均一溶解し、セルロースドープを得た。このセルロースドープを、重量で2.5倍量の水中(5℃)に攪拌しながら注ぎ、セルロースをフロック状に析出及び凝集させ懸濁液(15℃)を得た。この懸濁液を85℃で60分間加水分解し、次いでpHが4以上になるまで十分に水洗と減圧脱水を繰り返し、セルロース濃度が6.5重量%の透明性を帯びた白色のペースト様のゲル状物を得た。このゲル状物をイオン交換水でセルロース濃度4.0重量%に希釈し、ブレンダーで10000rpmの回転速度で5分間混合した。この希釈後の試料を、超高圧ホモジナイザー(Microfluidizer M−110EH型、みづほ工業(株)製、操作圧力1.7×105MPaで4回処理して、透明性の高いセルロース分散体(J1試料)を得た。J1試料のセルロースは、DPが32、χIが0.0、χIIが0.31、平均粒子径は0.28μmであった。
【0059】
【実施例1】
塗工液1の調製:平均1次粒子径12nmのヒュームドシリカ(日本エアロジル工業(株)製 A200)の80gを純水400ml中に添加し、乳化分散機で分散した後、全量を純水で450mlにした均一に分散されているシリカ分散液に対し、調製例で得られたセルロース分散体J1を 20ml、カチオン変性ポリマー(住友化学製 スミレーズレジン1001)40g(固形分30重量%)、エタノール35ml、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 PVA203)10重量%水溶液8.0g、ホウ酸 2.0g、ほう砂2.0gを添加した。次いで、三和工業社製の高圧ホモジナイザーで 500kg/cm2の条件で分散して均一でほぼ透明な分散液を得た。この分散液を50℃に加熱、撹拌しながら、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 PVA235)5重量%水溶液240gを加え、ほぼ透明な塗工液1を得た。
インクジェット記録媒体1の作製:厚み100μmの白色PETフィルム(東レ(株)製 ルミラー100E08J)を支持体とし、50℃に加熱された塗工液1を膜厚 20 μmになるようにアプリケーターを用い塗工後、室温で乾燥しインクジェット記録媒体を得た。
【0060】
【比較例1】
塗工液2の調整:塗工液1の組成のうちセルロース分散体の代わりに、界面活性剤サポニン4重量%水溶液 20mlを添加した場合の分散液を用いた。
インクジェット記録媒体2の作製:実施例1のインクジェット記録媒体1と同様の方法で塗工液2を塗布することでインクジェット記録媒体2を得た。
記録媒体の性能評価は下記の方法で行った。
【0061】
実施例1および比較例1で作製した記録媒体をインクジェットプリンタ ーEPSON PM−800Cを用いて高精細・PM写真用紙モードにて印刷した。光沢度:ミノルタ工業(株)製の光沢計GM−268を用い、角度60における光沢度(光沢標準板に対する相対反射強度)を測定した。
光透過率・曇り度:透明PETフィルム(東レ(株)製 ルミラーQ80D)を支持体にして塗工したものを測定した。ルミラーQ80Dを基準値とした。
色濃度:マクベス濃度計(RD−914、マクベス社製)
耐光性試験:サンテストCPS+(アトラス社製)で下記条件にて測定した。フィルターCを用い,照射光強度 750W/m2 、BST=60℃で、60hrs照射した。(窓越しの太陽光5.5年換算)
初期色濃度、照射後の色濃度より下記の式から退色率を算出した。
退色率(%)=((照射後の色濃度)−(初期色濃度))/(初期色濃度)*100
実施例1および比較例1の測定結果を表1に示す。参考例として、エプソン社製PM写真用紙(光沢紙)を用いた結果を示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004338879
【0063】
【実施例2】
<下層形成用塗布液の製造>
カルボキシメチルセルロース(セロゲン5A;第一工業製薬(株)製;カルボキシメチルエーテル基置換度=0.7)100gと、硫酸/硝酸/水(=59/20/21重量部)の混酸5000gを5リットルの反応容器中に入れ、5〜10℃で60分間撹拌を継続しながら硝化反応を行う。反応生成物を遠心分離で除酸し、直ちに多量の水で洗浄する。反応生成物を80℃で2時間乾燥して、120gのカルボキシメチルセルロースの硝酸エステルを得た。この硝酸エステルの無水グルコース単位1個あたりの硝酸エステル基置換度は、カルボキシメチルセルロースのカルボキシメチルエーテル基置換度(0.7)と、CHNコーダー(柳下製作所製、MT2型)による窒素含有量の測定より1.9であるとわかった。
【0064】
次に、ここで得られた無水グルコース単位1個あたりの硝酸エステル基置換度が1.9、カルボキシメチルエーテル基置換度が0.7のカルボキシメチルセルロースの硝酸エステル50gとイオン交換水635.7g、イソプロピルアルコール300gを密閉型混合機に入れ、撹拌を行った。さらに中和剤として10重量%アンモニア水を14.3g添加した。加温しながら完全に溶解させ固形分5重量%の溶液を得た(これを塗布液Aとする)。
【0065】
カチオン変成ポリビニルアルコール(クラレ社製 CM318)50g、イオン交換水850g、イソプロピルアルコール100gを混合機にいれ、完全に溶解するまで撹拌を行い、固形分5重量%の溶液を得た(これを塗布液Bとする)。
塗布液Aと塗布液Bを重量比換算で20対80で混合して塗布液Cを調整した。
<下層の形成>
厚み100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(デュポン社製 メリネックスD535)に膜厚が10〜15μmになるように塗布液Cをロッドコーターで塗工し、80℃×15分間乾燥して下層を形成した。
【0066】
次に調製例で得たセルロースJ1/乳化剤(エマルゲン935;花王製、HLB=17.5)/エタノールの重量比が1/0.5/25と成るように塗工液Dを調整し、前述の下層上にロッドコーターにて塗工した後、60℃、30分間乾燥して、インクジェット記録媒体を得た。
なお、インクジェット記録媒体の特性の測定方法は以下の通りである。
<顔料インク受容性の評価方法>
インクジェットプリンター(HP694C;ヒューレットパッカード社製)でインクジェット記録媒体にべた印字する。記録後の顔料インクの割れの程度を目視判定した。
○:割れ無し △ :やや割れあり ×:不良
<耐水性の評価方法>
べた印字したインクジェット記録媒体を室温の水中に1分間浸漬し、インクの流出の程度を目視評価した。
【0067】
○:流出なし △:やや流出 ×:塗膜流出
<インク吸収速度>
べた印字したインクジェット記録媒体に、コピー用紙を重ねてインクの転写の有無を調べた。
○:インクの転写はほとんど認められない
△:転写があるが実用上支障がない程度
×:転写があり汚れた感じになる。実用範囲外。
<透明性>
OHP投影装置にて投影した画像の透明度を目視判定した。
○:明るく、高解像度の画像
△:やや黒ずんだ部分もあるが、全体としては、許容できる。
×:明るさ、鮮明さに欠けるところがある。
実施例2の評価結果は次のようになる。
【0068】
顔料インク受理性:○
耐水性 :○
吸収速度 :○
透明性 :○
【0069】
【比較例2】
塗布液Bを厚み100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(デュポン社製 メリネックスD535)に膜厚が10〜15μmになるようにロッドコーターで塗工し、80℃×15分間乾燥してインクジェット記録媒体を得た。その評価結果は次のようになる。
顔料インク受理性:×
耐水性 :×
吸収速度 :×
透明性 :○
【0070】
【比較例3】
塗布液Cを厚み100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(メリネックスD535)に膜厚が10〜15μmになるようにロッドコーターで塗工し、80℃×15分間乾燥してインクジェット記録媒体を得た。その評価結果は次のようになる。
顔料インク受理性:△
耐水性 :○
吸収速度 :△
透明性 :○
【0071】
【発明の効果】
本発明の塗工液を使用することによって、優れた耐光性を有し、染料インクや顔料インクの受容性、発色性、透明性に優れ、インク吸収速度の向上したインクジェット記録媒体、更には表面光沢性を低減させた(つや消し)インクジェット記録媒体が得られる。このようにして得られたインクジェット記録媒体は、高精細の画像を提供できることから、OHP用シート、カレンダー、シール類(ステッカーなど)、カード類(名刺等)、大判ポスター用として大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】セルロスI型結晶成分の分率(χI)およびII型結晶成分の分率(χII)の求め方を示す模式図である。

Claims (6)

  1. 平均重合度(DP)が50以下で、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であり、かつ構成するセルロース粒子の平均粒径が5μm以下であるセルロースを0.001〜5重量%含有し、300nm以下の平均粒径を有するセルロース以外の微粒子をインク吸収剤として塗工液の全固形分に対して70重量%以下及び/又はバインダーとして塗工液の全固形分に対して20重量%以下含有することを特徴とするインクジェット記録媒体用塗工液。
  2. 前記セルロース以外の微粒子が無機微粒子、共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系重合体または共重合体のラテックス及び官能基変性重合体ラテックスから選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体用塗工液。
  3. カチオン変性ポリマーを0.001〜15重量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体用塗工液。
  4. 支持体の少なくとも片面に請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録媒体用塗工液を用いて形成されたインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  5. 支持体とインク受容層との間に、無水グルコース単位1個あたりの硝酸エステル基置換度が0.2〜2.95であり、カルボキシアルキルエーテル基置換度が0.05〜2.8であるカルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を3〜80重量%、および水性高分子を20〜97重量%含有する下層を有することを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 水性高分子がカチオン変成ポリマーであることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録媒体。
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