JP4300699B2 - インクジェット記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として顔料から成るインク受容層を有するインクジェット記録体に関し、光沢、透明性、耐水性に優れ、かつ画質やインク乾燥性も良好な高性能インクジェット記録体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピューターなどの出力用として、ワイヤードット記録方式、感熱発色記録方式、溶融熱転写記録方式、昇華記録方式、電子写真方式、インクジェット記録方式などの種々の方式が開発されている。この中でインクジェット記録方式は、記録用シートとして普通紙を使用できること、ランニングコストが安価なこと、ハードウェアがコンパクトで安価なことから、パーソナルユーズに適した記録方式として認知されている。さらに近年、フルカラー化及び高解像度化が達成されたことによりカラー画像の手軽な出力手段としても注目され、プリンターの販売台数を急速に伸ばしている。
【0003】
これらインクジェットプリンターの出力に用いられるインクジェット記録体には、水、染料、有機溶媒、添加剤等を含有するインクを素早く吸収し、精細な文字又は画像を再現できること、画像の色濃度が高くかつ色調に偏りがないこと等が基本的性能として必要とされる。この要求を満たすため、高性能インクジェット記録体には基材上に専用のインク受容層が設けられているものが多く、それら受容層は樹脂系と顔料系の2種類に大別することができる。樹脂系受容層は、通常、基材にポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ゼラチンなどの水溶性樹脂の水溶液を基材シートに塗布し、乾燥して形成されるものであり、比較的安価、かつ容易に製造ができる。また、樹脂系受容層は、その高透明性を生かして、透光性が必要とされるオーバーヘッドプロジェクター(以下OHPと略す)用インクジェット記録体としても多く利用されている。その他に、顔料系に比べ受容層の単位重量あたりのインク吸収量が大きいという長所がある。
【0004】
しかし、インクジェット記録体としては既に挙げた画質面への要求だけでなく、インクの乾燥性、印字物の耐水性、長期間屋内外に掲示しても画像が劣化しないこと、積層状態で保存してもブロッキングを生じないこと等の様々な性能が必要とされる。樹脂系受容層は、特にインク乾燥性、耐水性が顔料系受容層に比べ劣っており、それらの改善が必要とされていた。一般的な品質向上策として、架橋剤を用いて受容層の水溶性樹脂を架橋したり、疎水性樹脂を混合することで耐水性を付与する試み等も行われてきた。しかし、どのような架橋剤や疎水性樹脂を用いても、十分な耐水性を付与すると受容層のインク吸収能力が格段に低下してしまい、画質と耐水性を両立することはできなかった。
【0005】
そこで、本発明者らは、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する水溶性樹脂を主成分として含有する水性組成物を基材シートに塗布し、次いで電子線を照射してハイドロゲルを形成させたのち乾燥させてなる樹脂系受容層を提案した(特開平11−157202号公報記載)。この樹脂系受容層は、電子線を照射しなかった未架橋の受容層と比べて画質を大きく劣化させることなく、耐水性が付与された。しかしながら、この樹脂系受容層は多孔質ではなく、膨潤によってインクを吸収する機構であったためインク吸収速度に限界があり、インク吐出量の多い最近のインクジェットプリンターで画質とインク乾燥時間を満足させるには、更なる改良が必要であった。また、耐水性に関しても、樹脂系受容層としては非常に高いレベルであったが、高性能の顔料系受容層の耐水性には劣るものであった。
特開平8−207423号公報、特開平8−267905号公報にはポリアルキレンオキシド系水溶性高分子とコロイダルシリカを含む電子線硬化した外層を有するインクジェット記録シートの例が開示されているが、この受容層は樹脂中に顔料が分散しているだけで多孔質ではないため、インク吸収は樹脂のみで構成される受容層と同様に、受容層の膨潤によってのみ進行するものであった。
【0006】
一方、顔料をバインダー樹脂で固めて製造される顔料系受容層は、顔料の内外に確保された細孔に毛細管現象で素早くインクを受容し画像を形成するため、溶解や膨潤によってインクを吸収する樹脂系受容層に比べ、高いレベルの画質やインク乾燥性が得られやすい。また、顔料系受容層は、バインダー樹脂に耐水性があれば、受容層の耐水性も非常に高くなる。しかし、高品質な画像を得るためには、吐出されるインクに十分対応しうるだけの細孔容量を受容層中に確保しなければならないため、インク吐出量の多い高品質インクジェットプリンターに対応するには、非常に多くの塗工量が必要とされる。
【0007】
現在、製造されている顔料系受容層としては、平均粒子径1〜20μmの粉末状の合成非晶質シリカを水中に分散させ、そこに耐水性バインダー樹脂や添加物を混合した塗料を塗布したものがある。このような顔料系受容層は、耐水性があり、かつインク吸収量も多いが、顔料の平均粒子径が大きいためにインク受容層の透明性が低い。インク受容層の透明性が低いと、透明基材を用いて透光性記録体を製造するのに不適切であるだけでなく、不透明基材を用いた場合でも、画像の印字濃度が低くなるため不利となる。また、ここで用いられる合成非晶質シリカは粒子径が大きく、かつ不均一であるため、受容層の光沢度も低くなり、光沢インクジェット記録体の製造には適さない。
【0008】
以上の点を踏まえ、インク受容層の光沢性やインク吸収力を重視して高品質インクジェット記録体を作製するには、細孔容量が大きく、平均粒径が小さく、かつ均一な微細顔料が好適に用いられる。特に、シリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、及びアルミナなどの微細顔料が好適に用いられる。しかし、これらの微細顔料は、細孔容量が大きく、かつ細孔径が小さいので塗工後の乾燥中に発生する毛管力による収縮が顕著に発生するため、塗工層が非常にひび割れやすい。本発明者等の検討によれば、これら微細顔料を用いて受容層を作製する場合には、バインダー力が強く、乾燥後には結晶化して耐水性となる高重合度の完全けん化ポリビニルアルコールを混合して、低塗工量ずつ数回に分けて多層塗工し、一回の乾燥時に発生する収縮力を低減することで、受容層のひび割れや、ひび割れに起因する光沢や透明性の低下を抑制できる。
しかし、このような多層塗工は、単に製造効率が低いだけでなく、二層目以降の塗工は、下層中に形成された空隙を損なわないよう注意を要し、かつ気泡の発生など操業上の問題が発生しやすい。そのため、可能ならば一回の塗工で必要塗工量を確保できることが望ましい。しかし、ひび割れを防ぐために、単にバインダー樹脂を増量すると、微細顔料が形成する細孔を樹脂が埋めてしまうため、インク吸収性に悪影響を及ぼしてしまう。
【0009】
そこで、特開平7−76161号公報では、微細顔料分散液にポリビニルアルコールとホウ酸又はホウ酸塩を添加して、乾燥中の塗膜をゲル化させ、ひび割れの原因となる微小クラックの発生を抑制することを提案している。乾燥前の塗膜をゲル化させればバインダー力が高まり、ひび割れ防止には効果的と考えられるが、この方法は、塗工液の安定性に問題があった。
その他に乾燥前の塗膜をゲル化させる手法として、特開平6−218324号公報記載の、酸又はアルカリの解膠剤によって安定化されている微細顔料分散液を塗工後、アルカリ又は酸性の気体にさらすことによって解膠剤を除去するゾル塗工方法がある。この手法も、ある程度のひび割れ抑制効果が期待できるが、受容層製造時に高濃度の気体を取り扱う必要があることや、乾燥後の塗膜に臭気が残ったり、最終pHが酸性もしくはアルカリ性に著しく片寄る可能性があるため、実現性には問題がある。
特開平9−263038号公報では、乾燥前に塗膜をゲル化させる方法として、主に無機ゾルと電離放射線硬化性化合物からなる塗工液を塗工後に電離放射線を照射して該電離放射線硬化性化合物を硬化させる工程を経た後、塗膜を乾燥してインク受理層を形成する方法を提案している。しかし、本研究者らがこの方法を試みても、十分な強度を持つゲルを得ることはできず、インク吸収性能の高い細孔容量の大きな微細顔料を用いた場合は、乾燥時に受容層がひび割れてしまった。また、電離放射線硬化性化合物は、比較的低分子量のものや皮膚刺激性が強いものが多いため、未硬化成分による印字品質への悪影響や安全性の面で懸念される点が多い。更に、市販されているほとんどの電離放射線硬化性化合物は親水性が低いため、インクジェット受容層の塗工に一般的な水系塗工には適さず、材料の選択の幅は極端に狭くなってしまう。
一方、一般的手法である化学的架橋剤によるゲル化を試みても、化学架橋にはある程度の熱と時間を要するため、ゲル化速度が塗工層の乾燥速度に追いつかず、ゲル化が進行する前にひび割れが発生してしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ひび割れのない多孔質のインク受容層を有し、光沢、透明性、耐水性に優れ、かつ画質やインク乾燥性も良好な顔料系高性能インクジェット記録体を提供するものである。
また、特に、ひび割れしやすい微細顔料を用い、インク受容層の塗工量が多い場合でもひび割れの生じない顔料系高性能インクジェット記録体を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するため手段】
本発明は上記課題を解決するため下記の構成を採用する。即ち、本発明の第一の発明は「基材上に一層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、少なくとも一層が、(a)3〜40nmの一次粒子が凝集してなる平均粒径8〜800nmの二次粒子で細孔容量が0.4〜2.5ml/gのシリカである微細顔料と、(b)ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂とを、前記(a)100重量部に対して、前記(b)1〜100重量部の割合で含有する水性塗料を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布層をハイドロゲル化させたのち乾燥して形成した多孔質のインク受容層であるインクジェット記録体」である。
【0012】
本発明の第2の発明は、 「基材上に一層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、少なくとも一層が、(c)3〜40nmの一次粒子が凝集してなる平均粒径が8〜800nmの二次粒子のシリカである微細顔料と(d)ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂とを、前記(c)100重量部に対して、前記(d)1〜100重量部の割合で含有する水性塗料を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布層をハイドロゲル化させたのち乾燥して形成した、細孔容量が0.2〜2.0ml/gの多孔質のインク受容層であるインクジェット記録体」である。
【0013】
本発明の第3の発明は、「水に1時間浸漬後の該インク受容層の乾燥重量減少率が10%以下である上記第1または2の発明に記載のインクジェット記録体」である。
【0014】
本発明の第4の発明は、「ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導体、並びにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記第1〜3のいずれかの発明に記載のインクジェット記録体」である。
【0015】
本発明の第5の発明は、「ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂が、カチオン性誘導体である上記第4の発明に記載のインクジェット記録体」である。
【0018】
本発明者らは、画質やインク乾燥性に優れたインク受容層の原材料と成り得るが、乾燥時のひび割れが発生しやすい微細顔料を用いて如何にしてインク受容層を構成するか種々検討した。その結果、インク吐出量が多い最近のインクジェットプリンターに対応できる高塗工量で、かつひび割れのない、高光沢、高透明性のインク受容層を得るためには、塗工層に用いるバインダー樹脂の強度をかなり高めなければならないことを再認識した。しかし、従来の技術では、バインダー樹脂に充分な強度を付与することはできなかった。
【0019】
そこで、先ず、一般的に用いられる微細顔料とバインダー樹脂として完全けん化ポリビニルアルコールを混合した水性塗料を、乾燥重量で塗工量25g/m2になるように基材に塗布し、直ちに電子線を照射したところ、バインダー樹脂が架橋されて塗工層全体が高ゲル強度のハイドロゲルとなることがわかった。更にその塗膜を乾燥させると、架橋により高分子量のゲルとなっているバインダー樹脂の働きで、ひび割れのない高光沢、高透明性のインク受容層が得られた。この塗膜にインクジェットプリンターにて印字したところ、高画質な画像が得られ、インク乾燥性も良好であった。
一方、比較として電子線照射を行わずにインク受容層を作製しようとしても、激しいひび割れが全面に発生したため、インクジェット記録体としては不適となった。
また、電子線照射をしなくてもひび割れずに成膜が可能な低塗工量条件で電子線照射の影響を調べて見たところ、電子線照射を行わなかった塗工層に比べ、電子線照射を施した塗工層は乾燥時に起こる微細顔料の凝集が抑制され、光沢性、透明性が高くなることがわかった。更に、バインダー樹脂が乾燥前にゲル化し、強度が増すため、乾燥中のバインダー樹脂のマイグレーションや受容層表面からの微細顔料の粉落ちが防止されたり、塗膜の耐水性が向上する等の利点もあることが判明した。加えて、この電子線照射によるバインダー樹脂の架橋は、特定官能基を有する樹脂に限定して起きるものではないため、比較的にひび割れが生じ難い完全けん化ポリビニルアルコール以外の種々の親水性樹脂をバインダー樹脂として用いた場合でも、同様のひび割れ防止と、光沢、透明性、及び耐水性向上効果が得られ、かつ画質やインク乾燥性も良好な高性能インクジェット記録体が製造できることが確認され、本発明を完成させるに至った。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明には平均粒径が1μm以下の微細顔料を使用する。これによりインク吸収性に優れ、透明性、光沢性にも優れる受容層が得られる。ここで平均粒径とは動的光散乱法によって測定した粒径(キュムラント法で求められる値)である。種類は限定されないが市販の顔料、例えばシリカ、アルミノシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙或いはインクジェット記録用紙の分野で公知の各種顔料が挙げられる。これらの微細顔料の中でも、特にシリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナは細孔容量が大きく、インク吸収性に優れるので好適に用いられる。
【0021】
特にシリカは細孔容量が最も大きいので好ましい。シリカにはケイ酸アルカリ塩を原料とする湿式法シリカと、四塩化珪素などの揮発性珪素化合物を火炎中で分解する乾式法シリカがあるが、いずれも好ましい。好適なシリカの細孔容量は0.4〜2.1ml/gである。
また、一般にコロイダルシリカと呼ばれるシリカもあるが、これは通常、ケイ酸アルカリ塩水溶液をイオン交換樹脂で処理してケイ酸水溶液を製造し、アルカリを添加してケイ酸水溶液を安定化したのち、加熱して微細なシリカが単分散した液を作り、ケイ酸水溶液を徐々に添加して該シリカ微粒子を成長させて製造されるものである。コロイダルシリカは製造方法からわかるように、シリカ粒子は二次粒子を形成していない。そのため細孔容量は0.2〜0.3ml/gの範囲であり、インク受容層に用いてもインク吸収量が少ないので不利である。
【0022】
高光沢、高透明性のインク受容層を得るために平均粒径1μm以下の微細顔料を使用するが、好ましくは、その微細顔料が平均粒径3〜40nmの一次粒子が凝集してなる平均粒径8〜800nmの二次粒子である。特に二次粒子の粒径は、好ましくは9〜700nm、より好ましくは10〜500nmである。このような二次粒子は二次粒子内部に空隙があるので細孔容量が大きい。さらに二次粒子間の空隙もインク吸収に利用できるためインク吸収能力が高い。また一次粒子は光の波長に比べて充分小さいので二次粒子を形成していない顔料と比較して光の散乱能力が小さく、インク受容層の透明性が高くなる利点がある。
顔料の一次粒子径や二次粒子径が小さすぎるとインク吸収に寄与する空隙を形成し難くなるため、受容層のインク吸収性が劣る恐れがある。逆に、一次粒子径や二次粒子径が大きすぎると記録層の透明性が低下し、高印字濃度を得にくい恐れがある。また、二次粒子径が大きすぎると、受容層の光沢が低下するだけでなく、表面のざらつきや、粉落ちの原因となるおそれがある。なお、本発明でいう顔料の一次粒子径はすべて電子顕微鏡(SEM及びTEM)で観察した粒径(マーチン径)である(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52参照)。また、二次粒子径は、動的光散乱法によって測定した粒径である。
【0023】
また、インク吸収能の高いインク受容層を得るためには、微細顔料の細孔容量は高いほうが好ましいが、本発明に好適に用いられる微細顔料の細孔容量は、0.4〜2.5ml/gである。好ましくは0.4〜2.0ml/gであり、より好ましくは0.6〜1.9ml/g、最も好ましくは0.7〜1.8ml/gである。この細孔容量はガス吸着法による比表面積・細孔分布測定装置を用いて求めた値である。尚、本発明では細孔容量は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容量である。
微細顔料系受容層において、一般には微細顔料の細孔容量が高いほど、塗工層のインク吸収性も高くなるが、塗工後の乾燥時に発生する毛管力による収縮も大きくなるため、一般的な塗工方法ではひび割れによる成膜不良を起こし易く、実用に供し難い。しかし、本発明のインクジェット記録体はそのような成膜不良の懸念を必要としない。
【0024】
これらの微細顔料の製造方法は特に限定されないが、その手段の一つとして市販の顔料(数μm)に機械的手段で強い力を与えることにより粉砕、分散して得る方法が挙げられる。つまり、breaking down法(塊状原料を細分化する方法)によって得られるものである。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラーミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。得られる微細顔料はコロイド状であっても、スラリー状であっても良い。その他の好ましい微細顔料の製造方法として、特開平5−32413号公報や特開平7−76161号公報などに開示されている金属アルコキシドの加水分解による方法が挙げられる。
【0025】
本発明で用いられる水性塗料のもう一つの主成分である、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂としては、完全けん化ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン及びこれらの水溶性誘導体が例示できる。水溶性誘導体には、カチオン変性品、アニオン変性品や、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基を例えばエステル化、エーテル化、アミド化して化学修飾した誘導体、グラフト重合によって他の側鎖を導入した重合体を例示できる。また、前記各樹脂または水溶性誘導体を含む共重合体でもよい。共重合体としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリル酸などのビニルモノマーからなる共重合体、これら重合体を構成するモノマー以外のモノマーを含む共重合体を例示できる。また、これら樹脂を単独で使用するだけでなく二種類以上混合して用いることもできる。これらの親水性樹脂の中ではポリビニルアルコールが微細顔料との混和性が良好なので好ましい。
【0026】
因みにハイドロゲルとは、水を主成分とする溶媒で膨潤した状態の三次元網目構造を持つ高分子であり、流動性のない状態である。本発明における電子線架橋反応は、主として水素引き抜きによって始まるため、特定の官能基が架橋するのではない。
本発明特定の前記親水性樹脂の分子量の最適値は、樹脂の種類毎に性状が異なるので一概にいえないが、あまり高すぎると、微細顔料と混合した際に塗工液がゲル化しやすく、また、ゲル化には至らなくても塗工液が高粘度となる等、塗工性に問題が発生する恐れがある。逆に、分子量が低すぎても、電子線照射によって得られるハイドロゲルのゲル強度が不十分となるため乾燥後の塗膜のひび割れが発生し、本発明の効果が充分に得られない恐れがある。従って、分子量の目安としては代表的な樹脂で1万〜500万程度がよく、より好ましくは、5〜100万のものがよい。
【0027】
前記特定の親水性樹脂の誘導体や共重合体としては、特にカチオン変性物が好適である。例えばカチオン性ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルピロリドン、カチオン性水溶性ポリビニルアセタール、カチオン性ポリ−N−ビニルアセトアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリロイルモルホリン、カチオン性ポリヒドロキシアルキルアクリレート、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性メチルセルロース、カチオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン性ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン性ゼラチン、カチオン性カゼイン等が挙げられる。
インクジェットプリンターに用いられるインク中の着色成分である染料や顔料はアニオン性基を有するものが多いため、インク受容層中にはカチオン性のインク定着剤が好適に使用される。主成分の顔料がシリカなどアニオン性顔料の場合、バインダー樹脂にカチオン性樹脂を用いることは、印字後の画像の耐水性をより強固にするだけでなく、印字後に受容層中で起こる着色物質の移動に伴う経時的な色調変化や、画像のにじみを防止する効果が期待されるため好適である。
また、印字後の経時的な色調変化には、インク中に含まれる親水性高沸点溶剤との親和性の高い樹脂を単独で、または混合して使用することも効果的である。インク中に含まれる親水性高沸点溶剤としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、チオジグリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,5−ペンタンジオール等があり、これらの溶剤との親和性が高い樹脂としては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0028】
インク受容層の主成分である平均粒径が1μm以下の微細顔料と、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂の混合物の割合は、前記微細顔料100重量部に対して前記親水性樹脂を1〜100重量部である。本発明のインクジェット記録体は、主に微細顔料の内外に形成された細孔にインクを受容することで画像を形成するものであるため、インク吸収の観点からは前記親水性樹脂量は最小量に抑えることが好ましい。また、親水性樹脂は受容層中の微細顔料の見かけ粒径を増大させるものであるため、受容層の透明性の観点からも、親水性樹脂はひび割れが発生しない範囲内で少ないほうが良い。以上の理由から、さらに好ましくは、前記微細顔料100重量部に対して前記親水性樹脂を3〜30重量部、最も好ましくは5〜25重量部含有させる。
【0029】
インク受容層は細孔容量が0.2〜2.0ml/gの範囲になるよう調節することが好ましい。微細顔料の細孔容積の選択により、また親水性樹脂の添加量を適切に調節することによりこの範囲内に調節することができる。細孔容量が0.2ml/g未満の場合、塗工量を多くしないとインクを吸収できないのでインクジェット記録体の製造コストが高くなる。また2.0ml/gを越える細孔容量ではインク受容層の機械的強度が低下し、受容層に傷がついたり、剥がれたり、割れたりしやすくなり好ましくない。尚、本発明の細孔容量は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容量である。
【0030】
本発明に用いる水性塗料の好適な固形分濃度は、主成分の微細顔料、樹脂の種類によって大きく異なるが、水性塗料が安定かつ塗工可能な範囲内で、より高濃度であることが好ましい。それは、水性塗料が高濃度である程、電子線照射によって進行する架橋反応の効率が高まるだけでなく、ゲル化後の塗工層にも高ゲル強度が期待でき、乾燥負荷も軽くなるためである。本発明に用いられるラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂の中には、水分を含まない状態で電子線照射を施されると分子鎖が切断される崩壊が優先的に進行し、意図した架橋反応が進まない恐れがあるが、塗工液中に前記親水性樹脂に対して同量以上の水が存在すれば、架橋反応が優勢に進行することが確認されている。実際は、本発明で好適に用いられる微細顔料の水分散液が高濃度になるほどゲル化しやすいため、水性塗料の安定性の面で濃度の上限が決まる場合が多い。以上の点を考慮すると、水性塗料の固形分濃度は、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
【0031】
主成分以外にも、水性塗料の塗工性を著しく悪化させることなく、かつインク吸収に必要な細孔を保ち、受容層の耐水性を大幅に低下させることのない範囲内であれば、インク受容層に他の成分を添加することもできる。これらの添加物自体は、水溶液に電子線を照射してもハイドロゲルを形成しない成分であっても良い。その一例としては、インク定着剤であるカチオン性樹脂が挙げられる。カチオン性樹脂の種類も特に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド四級化物、ビニルイミダゾリウムメトクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、モノアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩等のカチオン性を有する構造単位を含む樹脂が挙げられる。その他、ジシアンジアミド・ポリアルキレンポリアミン縮合物、2級アミン・エピクロロヒドリン付加重合物、ポリエポキシアミン等を含むカチオン性樹脂も利用可能である。また、カチオン性物質として、無機塩やアルミナゾルなどを配合することも可能である。
【0032】
その他にも、添加物として消泡剤を混合して塗工時の作業性を向上したり、基材の濡れ性を良くして均一なインク受容層を得るために界面活性剤を配合することもできるし、記録体のブロッキング防止やプリンターの通紙性向上のため、デンプンや合成樹脂粒子を混合しても良い。また、透明性や表面光沢の調整に、主成分以外の各種顔料を添加することもできるし、印字画像の保存性向上のため、紫外線吸収剤や光安定化剤などの耐光性向上剤を添加することもできる。
【0033】
これら添加物の添加方法としては、予め水性塗料に混合しておいてもよいし、まず塗工層を形成してから添加物を含む溶液を上塗り、噴霧、含浸するなどの方法で、後から添加しても良い。添加物を水性塗料に予め添加する場合、添加のショックで塗料がゲル化してしまった時には、機械的手段を用いて再分散させることも有効な手段である。例えば、シリカなどのアニオン性顔料の分散液にカチオン性樹脂を添加すると、両者の静電特性のため塗料は一時的にゲル化するが機械的手段を用いて再分散させれば塗工は可能であり、乾燥後の塗膜中では両者が静電気的に強固に結着しているため、カチオン性樹脂が特に架橋されていなくても塗膜の耐水性は充分に保たれる。
【0034】
本発明で得られるインク受容層は、一層で充分な表面光沢や、画質、インク乾燥性を発揮することが出来るが、多層構成化することもできる。その場合、「塗布、電子線照射、乾燥」を繰り返しても良いし、塗布し電子線照射後に次の層を塗布しても良いし、塗布後に直ちに次の層を塗布して電子線照射を行っても良い。更に、多層を同時に塗工し、電子線照射を行っても良い。また、必要性のない層については、電子線照射を行わなくとも良い。特に、多層構成にする場合は、非常に高品質の表面性を生かし、前記本発明の受容層を表面層にすることが好適である。
【0035】
電子線を使用しない通常の塗工方法で複数の層を塗布してから一度に乾燥しようとすると、乾燥終了までの間に層間が乱れて各層の塗料が混じりあってしまい、得られる各層の塗工量にムラが生じたり、品質に悪影響を及ぼすことが多い。特に、塗料が低粘度であったり、塗工が低速であったり、高塗工量である場合に各層の混合が起きやすく、このような条件で乱れのない多層を得るためには、各層毎に「塗布、乾燥」を繰り返すことが望ましい。しかし、「塗布、乾燥」を繰り返すことは、操業性が悪いだけでなく損紙の発生や乾燥負荷の増大等も伴うため、生産効率も低くならざるを得ない。更に、処方によっては層間の接着強度も低下しがちで、層間が剥離しやすくなる。その点、電子線照射を用いて塗布後の塗料を直ちにハイドロゲル化してしまえば、層間の大幅な乱れを抑制でき、且つ層間の密着性も高い多層塗工層を得ることができる。
【0036】
中でも複数の層を別々のヘッドで連続塗工する場合は、下層塗布後に電子線照射工程を設けてから上層塗布を行うようにすると、より安定した状態で多層塗工を行うことができるため好適である。また、このような多層塗工方式では下層中の細孔に水が充満した状態で上層塗布を実施することになるため、上層塗料が下層の細孔に入り込んで下層の細孔容量を減少させてしまうことがない。従って、本発明のインクジェット記録体のように塗工層が多孔性を必要とする場合の塗工方法として、非常に好適である。一方、同時多層塗工を行う場合は、別々のヘッドで連続塗工するよりも比較的高精度な多層塗工が可能であるため、多層塗工後直ちに電子線照射を行えば、乾燥中の層間乱れを抑制することができ、充分に精度の高い多層塗工層を得ることができる。
【0037】
基材としては、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、合成樹脂ラミネート紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等、インクジェット記録体の基材として一般的に用いられるシートを利用することが出来るが、これらに限定されるものではない。中でも、合成樹脂ラミネート紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等、表面が平滑で比較的吸液性の低い基材シートを用いた場合は、フィルム転写法やキャスト塗工などの手段を用いなくても非常に高光沢の受容層が得られるため好適である。また、基材にポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の透明性が優れているプラスチックフィルムを用いると、バックプリントやOHPシート等の光透過性記録媒体として利用できるインクジェット記録体を作製することができる。本発明で得られるインク受容層は、非常に高透明性であるため、これら媒体に好適に利用できる。
【0038】
これらの基材はその表面に形成するインク受容層との接着力が不十分な場合には下塗り層を施したり、コロナ放電処理などの各種の易接着処理を施すことができる。
基材の厚さはプリンターの通紙性を考慮すると50〜500μmが好ましい。
【0039】
単層の塗工方法としては公知の塗布装置、例えばバーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いることができるが、これらに限らない。
【0040】
多層塗工に用いる装置としては、公知の塗布装置、例えばスロットダイコーター、スライドダイコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、バーコーター等が挙げられる。同時塗工の場合は、専用の多層式スロットダイコーター、多層式スライドダイコーター、多層式カーテンコーター等などの同時多層塗工装置を好適に用いることができるが、これらに限らない。
【0041】
塗布量は乾燥後の重量として1〜60g/m2程度が好ましく、さらに好ましくは3〜50g/m2程度である。ここで1g/m2より少ないとインクの吸収が不十分となりやすく、60g/m2より多いとカールが発生しやすくなるし、コストもかさむので好ましくない。
【0042】
また、インクジェット記録シートのカール抑制や、搬送性の向上のため、基材シートのインク受容層とは反対側に裏面層を設けることもできる。裏面層の構成及びそれに伴う基材シート裏面の易接着処理等はその用途に応じて選択することができ、特に限定されるものではないが、塗工性、コストを鑑みると親水性樹脂を主成分とする裏面層を設けることが好適である。
【0043】
本発明における電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが採用され、電子線を照射する際の加速電圧は50〜300kV程度が適当である。電子線の照射量は0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが好ましい。0.1Mrad未満では塗工層をゲル化させるのに不十分であり、20Mradを越えるような照射は基材や塗工層の劣化や変色をもたらす恐れがあるため好ましくない。
【0044】
本発明のインクジェット記録体は、非常に高い耐水性を有する。本来、水溶性である樹脂をバインダー樹脂として用いた場合でも、電子線照射によって樹脂が架橋され三次元網目化するため、得られるインクジェット記録体を水につけてもほとんど溶解しない。この記録体に印字を行うと、インク受容層中で樹脂架橋体部分もインクを吸収して膨潤し、体積が膨張するが、その膨潤速度はインク受容層全体の毛細管現象によるインク吸収速度に比べると遅いものであるため、顔料系受容層の長所であるインク吸収性の速さを損なうものではない。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、本実施例で表示するヘイズ以外の%は重量パーセントを意味する。
【0046】
[微細顔料の細孔容量測定方法]
微細顔料の水分散液を105℃で乾燥し、得られた粉体試料をガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置(Coulter社製、SA3100Plus型)を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。細孔容量は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容量(Total Pore Volume)を吸着等温線から求めた値を使用した。
[微細顔料の平均粒径測定方法]
微細顔料の水分散液100mlを500ml容ステンレス製カップに入れ、特殊機化工業(株)製T.K.ホモディスパーを用いて分散処理(3000rpm、5分間)し、水分散液中の3次粒子を粉砕分散した。処理後の水分散液を充分に蒸留水で希釈して試料液とし、動的光散乱法によるレーザー粒度計(大塚電子(株)製、LPA3000/3100)を用いて、平均粒径を測定した。平均粒径はキュムラント法を用いた解析から算出される値を用いた。
【0047】
[シリカゾルA(分散液)の製造方法]
平均粒径3μmの合成無定型シリカ(日本シリカ工業(株)製、商品名:Nipsil HD−2、一次粒径=11nm)を水に分散し、サンドグラインダーにより粉砕分散した後、さらに油圧式超高圧ホモジナイザー(みづほ工業(株)製、マイクロフルイダイザーM110−E/H)で、上記の平均粒径測定方法で測定した平均粒径(平均二次粒径)が168nmになるまで繰り返し粉砕分散し、11%の水分散液とした。この水分散液中のシリカの細孔容量を上記の測定方法で測定したところ、1.2ml/gであった。該分散液100部にインク定着剤としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体(日東紡績(株)製、商品名:PAS−J−81)の11%水溶液を10部加え、ゲル化した混合物を同ホモジナイザーでさらに粉砕分散し、平均粒径422nmのシリカ水分散液を製造した。この分散液は固形分濃度11%であり、シリカ濃度は10%、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体濃度は1%であった。また、該共重合体を含んだ状態で細孔容量を測定したところ1.1ml/gであった。
【0048】
[シリカゾルB(分散液)の製造方法]
気相法にて製造された平均一次粒径7nmのシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:AEROSIL 300)の11%水分散液を、シリカゾルAの製造方法で用いた油圧式超高圧ホモジナイザーにて3回分散した。この水分散液中のシリカの細孔容量を上記の測定方法で測定したところ、1.6ml/gであった。また平均粒径(平均二次粒径)は228nmであった。該分散液100部にシリカゾルAの製造方法で用いたジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体の11%水溶液10部を添加し、ゲル化した混合物を同ホモジナイザーにて更に分散を繰り返し、平均二次粒径376nmのシリカの水分散液を製造した。この分散液は固形分濃度11%であり、シリカ濃度は10%、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体濃度は1%であった。また、該共重合体を含んだ状態で細孔容量を測定したところ1.4ml/gであった。
【0049】
<実施例1>
シリカゾルA100部に部分けん化ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA―420)の10%水溶液を23部混合した固形分濃度10.8%の塗料を、基材である厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム((株)東レ製、商品名:ルミラー100−Q80D)上に乾燥重量で塗工量が25g/m2になるようにバー塗工した。これに直ちに電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量5Mradの電子線を照射した。照射後の塗工面に触ったところ塗料はゼリー状の固体となっており、ハイドロゲルとなったことがわかった。これを100℃の温度で乾燥して、本発明のインクジェット記録体を製造した。
このインクジェット記録体の受容層の状態、75°光沢、ヘイズ、耐水性、更に印字後の画質、インク乾燥性、インク受容層の細孔容量を以下に示す方法で評価し、インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0050】
インクジェット記録体の評価法
[受容層の状態]
インクジェット記録体の塗工層の状態を、目視にて次の5段階に評価した。
5点:亀裂・ひび割れは全くない
4点:塗工層の一部に亀裂が入っている
3点:塗工層の全面に亀裂が入っている
2点:全面にひび割れが発生しており、表面に触れると破片が剥離する
1点:全面にひび割れが発生しており、乾燥中に破片が自然に剥離している
【0051】
[75°光沢]
インクジェット記録体の75°光沢をJIS規格P8142に従って測定した。
【0052】
[ヘイズ]
透明基材を使用したインクジェット記録体のヘイズをJIS規格K7105に従って測定した。
【0053】
[耐水性]
10cm角に切り取り秤量したインクジェット記録体を、1リットルの水に浸漬した。1時間後、インクジェット記録体を取り出し、100℃の熱風にて乾燥後秤量した。水浸漬後のインク受容層の乾燥重量減少率(%)をインクジェット記録体の耐水性の評価基準とした。
【0054】
[画質]
インクジェット記録体にインクジェットプリンター(EPSON製、PM−700C)のスーパーファイン専用紙推奨設定印刷モードで、ISO−400の2種類の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご、p14、画像名称:キャンドル、財団法人
日本規格協会発行)を印字し、目視にて画質を次の5段階に評価した。
5点:インクのあふれがなく、色の境界部もはっきりしており、ベタ部も均一である。
4点:インクのあふれはないが、色の境界部が若干ぼやけている。
3点:インクのあふれはないが、ベタ部に若干ムラがある。
2点:インクが若干あふれている。
1点:インクがあふれており、画像が破綻している。
【0055】
[インク乾燥性]
インクジェット記録体にインクジェットプリンター(EPSON製、PM−700C)のスーパーファイン専用紙推奨設定印刷モードで、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色ベタを印字した。その印字部にPPC用紙を手で押し当てて、インクの転写の有無を目視にて調べ、転写が無くなるまでの時間を測定し、各色の平均値を計算して、次の5段階に評価した。
5点:印字直後で転写なし
4点:1分未満
3点:3分以上5分未満
2点:5分以上10分未満
1点:10分以上
【0056】
[インク受容層の細孔容量測定方法]
基材からインク受容層をカッターナイフで剥離して試料とした。この試料をガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置(Coulter社製、SA3100Plus型)を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。細孔容量は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容量(Total Pore Volume)を吸着等温線から求めた値を使用した。
【0057】
<実施例2>
シリカゾルA100部にカチオン性部分けん化ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:CM−318)の10%水溶液を23部混合した固形分濃度10.8%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録体を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0058】
<実施例3>
シリカゾルA100部に完全けん化ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA―140H)の7%水溶液を33部混合した固形分濃度10.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録体を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0059】
<実施例4>
シリカゾルA100部にヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)製、商品名:メトローズ65SH−50、メトキシル基DS=1.8、ヒドロキシプロポキシル基MS=0.15)の10%水溶液を23部混合した固形分濃度10.8%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録体を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0060】
<実施例5>
シリカゾルA100部にポリエチレンオキサイド(住友精化(株)製、商品名:PEO−1)の10%水溶液を23部混合した固形分濃度10.8%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録体を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0061】
<実施例6>
シリカゾルA100部の代わりにシリカゾルB100部を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録体を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0062】
<実施例7>
基材にポリエチレン系合成樹脂ラミネート紙を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録体を製造した。
このインクジェット記録体を、ヘイズを測定しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で評価し、インク受容層形成方法を表1に、結果を表2に示した。
【0063】
<実施例8>
シリカゾルA100部に実施例1で用いた部分けん化ポリビニルアルコールの10%水溶液を50部混合した固形分濃度10.7%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録体を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0064】
<比較例1>
電子線を照射せずに塗工後直ちに乾燥を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から自然に剥離したため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例1と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0065】
<比較例2>
電子線を照射せずに塗工後直ちに乾燥を行ったこと以外は実施例2と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から自然に剥離したため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例1と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0066】
<比較例3>
電子線を照射せずに塗工後直ちに乾燥を行ったこと以外は実施例3と同様の方法で塗膜の作製を試みた。乾燥中に塗工層に亀裂が入ったが、破片が基材から剥離することはなかったため、実施例1と同様の方法で評価を行った。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0067】
<比較例4>
電子線を照射せずに塗工後直ちに乾燥を行ったこと以外は実施例4と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から自然に剥離したため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例1と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0068】
<比較例5>
電子線を照射せずに塗工後直ちに乾燥を行ったこと以外は実施例5と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から自然に剥離したため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例1と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0069】
<比較例6>
電子線を照射せずに塗工後直ちに乾燥を行ったこと以外は実施例6と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から自然に剥離したため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例1と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0070】
<比較例7>
電子線を照射せずに塗工後直ちに乾燥を行ったこと以外は実施例7と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から剥離したため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例7と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に評価結果を表2に示した。
【0071】
<比較例8>
塗工後直ちに乾燥を行ってから、加速電圧175kV、照射線量5Mradの電子線を照射したこと以外は実施例1と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から自然に剥離した状態は、電子線を照射しても変化しなかったため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例1と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0072】
<比較例9>
シリカゾルA100部に実施例1で用いた部分けん化ポリビニルアルコールの10%水溶液を200部混合した固形分濃度10.3%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で塗膜を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0073】
<比較例10>
コロイダルシリカ(日産化学工業製、商品名:スノーテックス−O、カタログ記載粒径は10〜20nm)の10%水分散液100部に、実施例5で用いたポリエチレンオキシドの10%水溶液100部を混合した固形分濃度10%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で塗膜を製造、評価した。本比較例で用いたコロイダルシリカの動的光散乱法による平均粒径測定値は54nm、細孔容量測定値は0.22ml/gであった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0074】
<比較例11>
繊維状アルミナ水和物(触媒化成工業製、商品名:カタロイドAS−3、カタログ記載粒子径は100nm×10nm)の10%水分散液100部に、電子線硬化性化合物であるペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製、商品名NKエステルA−TMM−3)1部を混合した固形分濃度10.9%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で塗膜を製造、評価した。本比較例で用いたアルミナ水和物の動的光散乱法による平均粒径測定値は788nm,細孔容量測定値は0.57ml/gであった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
<比較例12>
実施例1で用いた部分けん化ポリビニルアルコールの10%水溶液を塗料として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で塗膜を製造、評価した。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
<比較例13>
シリカゾルA100部に、電子線硬化性化合物であるポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学製、商品名NKエステルA−400:アクリロイル当量254)1部を混合した固形分濃度10.9%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で塗膜の作製を試みた。しかし、乾燥中に塗工層がひび割れ、破片が基材から自然に剥離したため、塗工層の状態を目視評価した以外は実施例1と同様の方法で評価を行うことは出来なかった。インク受容層形成方法を表1に、評価結果を表2に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
上記表1および表2において、透明PETは透明ポリエチレンテレフタレートフィルム、ラミ紙はポリエチレン系合成樹脂ラミネート紙、PVAはポリビニルアルコール、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロース、PEOはポリエチレンオキサイド、A−TMM−3はペンタエリスリトールテトラアクリレート、A−400はポリエチレングリコールジアクリレートを示す。表1において樹脂の添加部数は、顔料の固形分100部に対する固形分添加部数を示す。耐水性の数値は、インク受容層の乾燥重量減少率である。また、基材にポリエチレン系合成樹脂ラミネート紙を用いたもの(実施例7、比較例7)は、基材が不透明であるためヘイズの評価は行わなかった。
【0078】
表2の実施例1〜8から明らかなように、本発明のインクジェット記録体は、ひび割れが生じやすい微細顔料を原料として用いた場合でも、ひび割れのない塗工層となり、架橋構造により耐水性も高く、水に浸漬した際の乾燥重量減少率も非常に小さいものであった。更に、インクジェットプリンターで印字した際の画質やインク乾燥性も、微細顔料系受容層の特徴を有しているため非常に高品質となった。特に、実施例6のように二次粒子径が小さく、かつ均一な微細顔料を用いた場合は、非常に高光沢、高透明性の塗工層を得ることができた。また、実施例7のように基材としてポリエチレン系合成樹脂ラミネート紙を用いた場合でも、特別な表面平滑化処理を施すことなく、一層塗工で高塗工量の微細顔料層を得ることが出来た。
【0079】
一方、実施例1、2、4〜7で用いた水性塗料を基材に塗布後、直ちに乾燥を行うと、塗工層が乾燥中にひび割れ、破片が基材から自然に剥離してしまい、インクジェット記録体として使用可能な塗膜が得られなかった(比較例1、2、4〜7)。その塗膜に電子線を照射しても、塗膜の外観に変化はなく、ひび割れのない塗工層は得られなかった(比較例8)。また、実施例3で用いた水性塗料を基材に塗布後、直ちに乾燥した場合は、用いた完全けん化ポリビニルアルコールが非常に高分子量であったためか乾燥中に破片が自然に剥離することはなかったが、目視で容易に確認されるひび割れが塗工層全面に発生し、インクジェット記録体として不適な外観となっただけでなく、印字した場合にもひび割れに沿ってインクが拡散してしまったため、印字画像が大きく破綻した。更に、塗膜を水に浸漬すると、塗工層の一部が剥離し水中に分散してしまった(比較例3)。バインダー樹脂の量が顔料よりも多い場合は、塗膜の外観に問題が発生することはなかったが、顔料の細孔が樹脂で埋められて多孔質のインク受容層が形成されなかったため、毛細管現象によるインク吸収は行われず、画質やインク乾燥性が著しく低下した(比較例9)。顔料として市販のコロイダルシリカを用い、バインダー樹脂をコロイダルシリカ100部に対し100部添加した場合も、多孔質のインク受容層が形成されず、画質とインク乾燥性が著しく低下した(比較例10)。また、顔料としてアルミナ水和物を用い、バインダー樹脂の代わりに電子線硬化性化合物であるペンタエリスリトールテトラアクリレートをアルミナ水和物に対し10部添加した場合は、顔料と電子線硬化性化合物の相溶性が悪かったため、電子線を照射しても塗工層全面をゲル化させることができず、乾燥後も塗工層の一部にひび割れや剥離が生じたためインクジェット記録体としては不適な外観となった。更に、電子線硬化性化合物の硬化も不十分であったためか、インクジェットプリンターで印字を行うと、画像がにじむ部分もあった(比較例11)。微細顔料を使用せず樹脂系受容層とした場合は、受容層の外観は良好であったが受容層内部には細孔が全く形成されなかったため、インクの吸収速度が極端に遅くなり、画質やインク乾燥性が大幅に低下した(比較例12)。
比較例13のように親水性の高い電子線硬化性化合物を用いれば、顔料との相溶性に問題は生じなかったが、電子線照射によって得られるゲルの強度が非常に弱かったため、塗工層は乾燥中にひび割れてしまった。
【0080】
【発明の効果】
本発明により、塗工時にひび割れの発生し易い細孔容量が大きな微細顔料を用いた場合でも、ひび割れのない良好なインク受容層を形成することができる。特に、細孔容量が1.0ml/g以上の微細顔料を使用し、親水性樹脂の量を最小限にして、乾燥重量で20g/m2以上を一層塗工で塗布しても、ひび割れがないインク受容層を形成することができる。該インク受容層を基材上に設けたインクジェット記録体は、光沢、透明性、耐水性に優れ、かつ画質やインク乾燥性も良好なものである。
Claims (5)
- 基材上に一層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、少なくとも一層が、(a)3〜40nmの一次粒子が凝集してなる平均粒径8〜800nmの二次粒子で細孔容量が0.4〜2.5ml/gのシリカである微細顔料と、(b)ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂とを、前記(a)100重量部に対して、前記(b)1〜100重量部の割合で含有する水性塗料を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布層をハイドロゲル化させたのち乾燥して形成した多孔質のインク受容層であるインクジェット記録体。
- 基材上に一層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、少なくとも一層が、(c)3〜40nmの一次粒子が凝集してなる平均粒径8〜800nmの二次粒子のシリカである微細顔料と(d)ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂とを、前記(c)100重量部に対して、前記(d)1〜100重量部の割合で含有する水性塗料を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布層をハイドロゲル化させたのち乾燥して形成した、細孔容量が0.2〜2.0ml/gの多孔質のインク受容層であるインクジェット記録体。
- 水に1時間浸漬後の該インク受容層の乾燥重量減少率が10%以下である請求項1または2記載のインクジェット記録体。
- ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導体、並びにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録体。
- ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂が、カチオン性誘導体である請求項4に記載のインクジェット記録体。
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