JP2007062129A - インクジェット記録体の製造方法 - Google Patents

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【課題】 塗膜の白色度が高く、且つインクの吸収速度や画像保存性に優れた、特に画像のにじみが少ない高品質の銀塩写真調光沢インクジェット記録体の製造方法を提供する。
【解決手段】 基材上に、微細顔料と、少なくとも5員環アミジン構造単位を含有する重合体またはその誘導体であり、重量平均分子量が4万〜40万である水溶性カチオン樹脂と、水溶液に活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含む水性塗料を塗布し、ついで活性エネルギー線を照射して該水性塗料塗工層をハイドロゲル化させた後、乾燥して得られることを特徴とする多孔質インク受容層を有するインクジェット記録体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、白色度が高く、且つインクの吸収速度や画像のにじみが少ない高品質の銀塩写真調光沢インクジェット記録体の製造方法に関する。
これまでにコンピューターなどの出力用として、ワイヤードット記録方式、感熱発色記録方式、溶融熱転写記録方式、昇華記録方式、電子写真方式、インクジェット記録方式などの種々の方式が開発されている。中でもインクジェット記録方式は、記録用シートとして普通紙を使用できること、ランニングコストが安価なこと、ハードウェアがコンパクトで安価なことから、パーソナルユーズに適した記録方式として認知され、プリンターの販売台数を急速に伸ばしてきた。その普及に伴ってハードウエアの改良も進み、フルカラー化や、高速化、高画質化が急速に進展したため、出力用途も単純なモノクロ文字出力から銀塩写真の代替えとなるデジタル画像出力までに拡大しつつあり、必然的に記録紙側に要求される品質も厳しくなってきた。
現在市販されているインクジェット記録紙の中でも、銀塩写真調のフルカラー画像を出力できるメディアとして、光沢紙の販売量が増加傾向にある。光沢紙を製造する技術においては如何にして「インク吸収性と光沢」の両立を計るかが重要な鍵となっている。
光沢紙に要求される「インク吸収性」を満たすためには、吐出されたインクを素早くかつ多量に吸収する必要がある。市販されている写真調光沢インクジェット用紙の多くは、インク受容層の主成分に高細孔容積の微細顔料を用いることで、この要求を満たしているが、高細孔容積で細孔径も非常に小さい微細顔料は、塗工後の乾燥工程で毛管収縮により受容層にひび割れが発生しやすく、通常の塗工設備ではインク吸収に十分な塗工量(即ち、インク受容層の細孔容積)を得ることが難しい。毛管収縮により発生する乾燥時の応力を少しずつ緩和するには多段塗工や長時間乾燥が効果的であるが、操業効率の悪さが問題となる。
そこで現在製造されている写真調インクジェット光沢紙の多くは乾燥中に発生するひび割れを抑制するために、インク受容層のバインダーとしてポリビニルアルコールを使用し、硬膜剤としてポリビニルアルコールを架橋させるホウ素化合物を組み合わせる手法が多く採用されている。硬膜剤となるホウ素化合物の添加方法は、特開2001−341414号(特許文献1)に開示されているように、インク受容層の塗料に予め混合したり、特開平11−192777号(特許文献2)に見られるように、塗工後のインク受容層にも減率乾燥速度を示す前のタイミングでホウ素化合物含有溶液を塗布するなど数多くの提案がなされているが、これらホウ素化合物による架橋反応により硬膜した多孔質顔料層は非常に脆くなりやすく、乾燥後の塗膜が折り曲げなどの軽度な変形や温湿度の環境変化で容易にひび割れが生じやすいという欠点を有している。本発明者らも、これらのホウ素化合物で架橋された塗工層は、比較的高温高湿度環境に長時間曝されると、ホウ素化合物によるポリビニルアルコールの架橋反応がさらに進行するためか、塗膜表面に無数のひび割れが発生することを確認した。逆に、低湿環境下においても、塗工層に含まれる調湿水分が減少するため、塗工層がより一層脆くなるためかプリンターにおける通紙などのような軽度の変形においてもひび割れが発生することが判った。また、業務用に多く見られるロール状の記録紙の場合、塗膜の剛直化により巻き癖が取れ難くなり、印字後の記録紙の取り扱いに支障を及ぼすといった影響も見られた。
これらホウ素架橋に起因する問題点を克服するために、有機系架橋剤(例えば、特開2001−146068号公報:特許文献3)や感温性樹脂(例えば、特開2003−103904号公報:特許文献4)と併用することでホウ素系化合物の使用量を低減することも提案されている。しかし、有機系架橋剤や感温性樹脂の反応速度はホウ素化合物のゲル化反応に比べて遅く、実際の生産ライン上で十分な反応を進めることは難しいレベルであるため、代替え品への置き換えでホウ素化合物の使用量を大幅に削減することは実質的に不可能である。
更に、ホウ素化合物に関しては2001年の水質汚濁防止法の施行令改正により排水規制物質の対象とされるなど、その有害性に懸念点があるため、銀塩写真の代替えとして一般家庭に普及が拡大している記録紙の材料としては、使用しないことが望ましい。
そこで本発明者らは、ホウ素化合物による架橋反応に頼ることなくひび割れを抑制する手段として、特開2002−160439号公報で「基材上に一層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、少なくとも一層が、微細顔料とラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂とを含有する水性塗料を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布層をハイドロゲル化させたのち乾燥して形成した多孔質のインク受容層であるインクジェット記録体」を提案した(特許文献5参照)。この手法において水溶液状態の塗工層に電子線を照射すると、電子線の直接効果や放射線分解した水の間接効果により水素が引き抜かれ活性種となった「ラジカル重合性の不飽和結合を持たない汎用の親水性樹脂」どうしが互いに結合することで架橋反応が成立すると推定される。この架橋反応は、十分に分子鎖の網目構造が広がった水溶液状態で短時間内に進行するため、ホウ素架橋のように架橋構造が過度に緻密化したり、インクジェット記録体を保管中に、徐々に架橋反応が進行し、塗膜が剛直化するなどの懸念が無い。したがってホウ素架橋塗膜のように、温度40℃湿度90%の高温高湿環境下で保管しても塗工層表面にひび割れが生じることは無かった。近年のインクジェットプリンターの普及に伴い、印字物が保管される環境を多様化しているため、前記のような高温高湿環境は夏季の室内等においては充分想定されるべき環境試験といえる。
この製造方法に関して追加検討した結果、基材を低透気性又は非透気性の基材に限定する必要は無く、塗工工程中の張力や吸液による膨潤によって発生しやすい収縮や皺の対策さえ配慮すれば、透気性基材も使用可能であることが判明した。
一方、デジタルカメラやダイレクトプリント機能が標準装備された写真画質が出力可能なインクジェットプリンターの普及が進んだこと、記録紙メーカーが銀塩写真としてユーザーになじみ深いL判サイズの記録紙の販売を強化したことなどが追い風となり、銀塩写真の代替えとして一般家庭でも今まで以上に手軽にインクジェット記録紙が使用されるようになってきた。それに伴い、銀塩写真調の面質や外観のみならず、印字画像の保存性への要求品質も益々高まってきた。
印字画像の保存性としては、写真調プリンタとして最も普及している染料インクで特に生じやすい「にじみ」や「色調変化」、「光やオゾンによる退色」といった項目が挙げられるが、にじみや色調変化を抑制するためには染料の定着能力の高い「1級アミン構造を含む水溶性カチオン樹脂」を定着剤としてインク受容層に添加することが好適であり、例えば特開昭60−61887号公報(特許文献6)に開示されているポリアリルアミン類などが、インクジェット記録体のインク定着剤として古くから利用されている。中でも、特開2004−122769号公報(特許文献7)に記載されている5員環アミジン構造を含むカチオン樹脂は、染料インクの定着性だけでなく画像耐光性や耐オゾン性も比較的良好なため、定着剤としてより好ましい。特開2002−283705号公報(特許文献8)や特開2004−276521号公報(特許文献9)には、このカチオン樹脂を定着剤として非晶質シリカなどの白色顔料と混合して塗布してなるインクジェット記録紙が開示されているが、写真調の高濃度画像を得るためには、定着剤を混合する塗工層は高透明性であることが望ましいため、このような不透明層への適用は効果的ではない。
そこで本発明者らは、粒子径が小さいため透明ではあるがひび割れやすい透明多孔質インク受容層に「5員環アミジン構造を含むカチオン樹脂」を効果的に配合する手段として、活性エネルギー線照射による塗工層のハイドロゲル化を利用する手法を検討してきたが、前述のカチオン樹脂が、電子線などの活性エネルギー線照射やその後の乾燥工程での高温乾燥により比較的変色しやすいこともあり、得られる記録紙の白色度を銀塩写真調インクジェット用紙として充分満足のいくレベルまで高めることが出来なかった。
特開2001−341414号公報 実施例1 特開平11−192777号公報 請求項2 特開2001−146068号公報 請求項1〜3 特開2003−103904号公報 請求項1〜3 特開2002−160439号公報 請求項1 特開昭60−61887号公報 請求項 特開2004−122769号公報 請求項1 特開2002−283705号公報 請求項1 特開2004−276521号公報 実施例1
本発明の目的は、塗膜の白色度が高く、且つインクの吸収速度や画像保存性に優れた、特に画像のにじみが少ない高品質の銀塩写真調光沢インクジェット記録体の製造方法を提供する。
(1)基材上に、微細顔料と、少なくとも5員環アミジン構造単位を含有する重合体またはその誘導体であり、重量平均分子量が4万〜40万である水溶性カチオン樹脂と、水溶液に活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含む水性塗料を塗布し、ついで活性エネルギー線を照射して該水性塗料塗工層をハイドロゲル化させた後、乾燥して得られることを特徴とする多孔質インク受容層を有するインクジェット記録体の製造方法。
(2)前記多孔質インク受容層となる層上に、光沢層用塗布液を塗布し、ついで該光沢層用塗布液層が光沢ロールと接するようにプレスロールでプレスし、該塗布液層を乾燥して光沢層を形成して得られることを特徴とする(1)に記載のインクジェット記録体の製造方法。
(3)前記多孔質インク受容層となる層上にもしくは前記光沢層上に、カチオン性を有する化合物を含む水溶液を塗布、乾燥して得られることを特徴とする(1)または(2)いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
(4)前記基材が、少なくともインク受容層を形成する側に顔料とバインダーを含有する下塗り層を有する基材であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
(5)前記水性塗料がアセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリエチレンオキサイド付加物などの界面活性剤を含有することを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
(6)前記水性塗料に含まれる微細顔料が、前記水溶性カチオン樹脂と複合化された平均粒子径500nm以下のカチオン化シリカであり、その水分散液の1.5質量%水分散液に希釈した状態の光散乱指数(n値)が3.0以上であることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
(7)前記活性エネルギー線として電子線を照射することを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
本発明者らは画像保存性の比較的良好な「5員環アミジン構造を含むカチオン樹脂」と「活性エネルギー線照射による塗工層のハイドロゲル化を利用する手法」を効果的に組み合わせる手法を種々検討した結果、該カチオン樹脂の中でも重量平均分子量が4万以上の樹脂を用いてインク受容層を作成すると、特異的に塗膜の白色度が良好なレベルに維持できることを見出した。通常、インク受容層に配合するカチオン樹脂は、塗工適性を重視して低分子量の樹脂が好適に使用される。但し「5員環アミジン構造を含むカチオン樹脂」のような重縮合反応によって合成される高分子の分子量を低めに制御するには、連鎖移動剤や重合開始剤などの反応性の高い物質を多量に使用するか、もしくは一旦重合した高分子鎖をやはり反応性の高い酸化剤などを多量に添加して切断する工程を経る必要があるため、どちらの手段をとっても活性エネルギー線照射により変色を起こしやすい反応性化合物の残存量が多くなるのではないかと推測される。一方、重量平均分子量が4万以上であれば、合成時に添加する反応性化合物の量をある程度抑制できるため、活性エネルギー線照射による塗膜の変色が生じ難いのではないかと推測される。また、該カチオン樹脂の重量平均分子量が40万以上となると、塗料としてからの塗工適性が悪化しすぎるため不適であった。即ち、重量平均分子量は4万〜40万が適当であり、このように比較的高分子量のカチオン樹脂を定着剤として使用するためか、画像がにじみ難いだけでなく、得られるインクジェット紙の吸収速度も非常に早くなることが判明した。
比較的分子量の高いカチオン樹脂を用いることによる塗料適性の悪化は、塗料処方の調整や微細顔料と複合化などの手段で、ある程度回避可能である。特に、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリエチレンオキサイド付加物などの界面活性剤を添加すると、塗料の粘度低下や経時増粘抑制効果が得られた。また、前述のカチオン樹脂と微細顔料の複合化においては、1.5質量%水分散液に希釈した状態の光散乱指数(n値)が3.0以上であるカチオン化微粒子の水分散液を調整すると、より透明性の高いインク受容層が得られるため好適であった。カチオン化微粒子水分散液のn値を最適範囲内に調整するには、インク受容層用の塗料pHはある程度低く保つ必要があるが、そのpH領域は多孔質インク受容層のひび割れ防止剤としても最も一般的である硼素化合物の架橋反応の最適値から逸脱する方向であるため、硼素化合物による架橋反応では、ひび割れ抑制に限界が生じる。そのため、架橋剤として硼素化合物が想定されている特開2001−150795号公報の「無機顔料微粒子と、水溶性樹脂と、該水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤と、ポリアミジンを含む色材受容層」の事例のように、乾燥工程において、架橋剤をひび割れの始点である塗工層表面に局在化する程度の処理では、十分にひび割れ制御を行うことが出来なかった。一方、特開2004−243555号公報の実施例6に開示されているように架橋剤を使用せず、バインダーを増量してひび割れを防止しても、充分にひび割れを抑制することができないばかりかインク吸収速度がかなり遅くなってしまった。
しかし、高品質の「5員環アミジン構造を有する重量平均分子量が4万〜40万である水溶性カチオン樹脂」を含む受容層を得るために、我々が既に提案した「ひび割れ抑制のための活性エネルギー線照射によるハイドロゲル化」を利用すれば、塗料pHが低くとも特に問題にはならないため、架橋効率の点でも両者の組み合わせは好適と判断される。
このようにして得られる多孔質受容層は微細顔料を主成分としているため、未処理でもある程度の光沢感を有するが、更に光沢感を高めたり耐擦過性を補強するために光沢層を付与してもよい。また、連続高速印刷の様に出力画像の乾燥時間が充分に確保できない状況に対応する必要があれば、生じやすい画像のにじみを抑制するために多孔質インク受容層にカチオン性を有する化合物を別途塗布すると効果的である。
本発明の製造法によれば、白色度が高く、且つインクの吸収速度や画像のにじみが少ない高品質の銀塩写真調光沢インクジェット記録体が得られる。
(基材)
本発明のインクジェット記録体には、インク受容層となる塗工層を問題なく形成できれば、各種基材を使用することができる。特に、王研式透気度が500秒/100ml未満の透気性を有する基材を用いた場合は、光沢層の形成工程において、加熱した光沢ロールにより塗工層を効率的に乾燥することが可能なため、高いインク吸収性能を得られやすい。また、透気性基材は比較的比重が低いこともあり概して吸液性も高いものが多く、基材もインク吸収に寄与できるという点で好適ではあるが、塗工や印字の際の吸液により膨張するため、皺やボコツキが発生しやすい側面がある。その点で支障が出た場合は、下塗り層や裏塗り層の塗設が効果的である。また、これらを懸念する必要がないという点で、低透気性又は非透気性基材が好適に使用できる。
本発明において、低透気性又は非透気性の基材とは、王研式透気度が500秒/100ml以上、好ましくは800秒/100ml以上、より好ましくは1000秒/100ml以上であるような基材を意味する。このような、基材を用いると、基材自身への水蒸気や水分の浸透が防ぐことができ、コックリングなどが抑えられた写真調の質感を有するインクジェット記録体を簡便に得ることが出来る。
使用出来る基材としては、例えば、ポリエチレン樹脂を被覆した、所謂樹脂被覆紙、ポリプロピレンを延伸し、特殊加工を施した、ユポ(商品名:ユポ・コーポレーション社製)に代表される所謂合成紙、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PETなど)、ポリスチレンなどのフィルム、金属蒸着紙、透気度を調節した紙類などが挙げられる。中でも、樹脂被覆紙、合成紙、フィルムの使用が好ましい。
特に、酸化チタンを練り込んだポリエチレンを、紙表面に樹脂被覆した支持体は、仕上がった外観が写真印画紙と同等であるため、好ましく用いられる。ポリエチレン被覆層の厚みは、3〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。ポリエチレン被覆層の厚みが3μm未満の場合は、樹脂被覆時にポリエチレン樹脂の穴等の欠陥が多くなりやすく、厚みのコントロールに困難がある場合が多く、平滑性も得にくくなる。逆に50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。また、後述する内側インク受容層の接着性を高めるため、樹脂層表面にコロナ放電処理を施したり、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどのサブコート層を設けることが好ましい。
このポリエチレン樹脂を被覆した、所謂樹脂被覆紙に用いる紙基材としては、木材パルプを主材料として製造されているものが使用される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができ、これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度が好ましい範囲である。また、所謂ECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、顔料を添加することができる。顔料には、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト等が好ましく使用される。顔料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があり、顔料の添加量は、対木材パルプ1〜20質量%程度が好ましい。
また、基材として、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の透明性が優れているプラスチックフィルムを用いると、バックプリントやOHPシート等の光透過性記録媒体として利用できるインクジェット記録体を作製することができる。本発明で得られるインク受容層は、高透明性であるため、これらの媒体に好適に利用できる。
これらの基材は、その表面に形成するインク受容層との接着力が不十分な場合にはサブコート層を施したり、コロナ放電処理などの各種の易接着処理を施すことができる。
基材の厚さは、プリンターの通紙性を考慮すると50〜500μmが好ましい。特に、吸水性基材の場合は、あまり基材が薄いと湿潤時の強度や寸法安定性の低下が懸念されるため、比較的厚めの100〜500μmが望ましい。
また、インクジェット記録体のカール抑制や、搬送性の向上のため、基材シートのインク受容層とは反対側に裏面層を設けることもできる。特に、透気性もしくは吸水性の高い基材を用いる場合は、手触り感を銀塩写真により近づけるためにも裏面層を塗設することが望ましい。裏面層の構成及びそれに伴う基材シート裏面の易接着処理等はその用途に応じて選択することができ、特に限定されるものではないが、塗工性、コストを鑑みると顔料と親水性樹脂を主成分とする裏面層を設けることが好適である。但し、裏面層の吸水性が高すぎると、印刷後に積層した記録体が貼り付いたり、べたついたりするため好ましくない。
更に両面印刷を想定し、インク受容層を含む塗工層を両面に設けても良く、ラベルやシール用途に対応すべく、裏面に粘着剤を塗布した後、剥離紙と組み合わせても良い。
(下塗り層の形成)
本発明のインクジェット記録体は、上記の基材上に、顔料とバインダーを有する下塗り層を形成してもよい。下塗り層には、基材の寸法安定性や、平滑性、色調を修正したり、インクジェットインク成分中の溶媒を速やかに吸収するなどの機能を付与することができる。インク受容層で定着できなかったインクジェットインク成分中の着色剤、すなわち染料を定着させてもよい。特に吸水性基材を使用する場合は、前述の通り湿潤時の強度や寸法安定性の観点からも下塗り層を塗設する事が好ましい。
下塗り層に使用される顔料としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン等の透明又は白色顔料が例示される。インク受容層や光沢層で使用する顔料も使用できる。これらの内で特に好ましい顔料は、無定形シリカである。
無定形シリカを使用する場合、無定形シリカは、平均一次粒子径3〜70nmで、且つ、平均二次粒子径20μm以下であることが好ましく、平均一次粒子径10〜40nmで、且つ、平均二次粒子径15μm以下のものがより好ましい。下塗り層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径は、インク受容層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径より大きいことが好ましい。下塗り層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径が、インク受容層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径より小さい場合は、インク吸収性が低下する場合がある。
下塗り層のバインダーとしては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等一般に塗工紙用として用いられている従来公知のバインダーが単独、あるいは数種類を組合せて用いられる。
下塗り層における顔料とバインダーの配合割合は、その種類にもよるが、一般に顔料100質量部に対しバインダー1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で調節される。
下塗り層には、インク受容層から浸透してきたインクを捕らえ、染料を固着し、耐水性を付与し、記録濃度を向上させるために、必要に応じてカチオン性化合物を添加することができる。代表的なカチオン性化合物としては、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第2、3級アミン基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ポリビニルアミン類、ポリビニルアミジン類、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物、ジアリルアミン塩−二酸化イオウ共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミン(メタ)アクリレート4級塩重合物、アクリロニトリルとN−ビニルアクリルアミジン塩酸重合体とその加水分解物、ポリアミジン系樹脂、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物等のカチオン樹脂が例示でき、単独又は数種類を組み合わせて使用しても良い。
下塗り層を形成するための塗布液には、上記成分の他に、更に、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、着色剤等の各種助剤が適宜添加される。
下塗り層の塗布量は、0.5〜30g/m程度であり、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等、各種公知の塗工装置で形成できる。特に、エアナイフコーターは、幅広い塗料物性、塗布量に対応可能なため、好適に用いられる。また、ダイコーターやカーテンコーターは、塗布量の均一性に優れるため、特に高精細な記録を目的とする光沢タイプのインクジェット記録体には、好ましい塗工方法である。
(インク受容層の形成)
本発明のインクジェット記録体は、上記の基材上に、或いは基材上に形成した顔料とバインダーを有する下塗り層上に、インク受容層を形成する。
本発明のインクジェット記録体のインク受容層は、微細顔料と、少なくとも5員環アミジン構造単位を含有する重合体またはその誘導体であり重量平均分子量が4万〜40万である水溶性カチオン樹脂と、水溶液に活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含む水性塗料を塗布し、ついで活性エネルギー線を照射して該水性塗料塗工層をハイドロゲル化させた後、乾燥して得られる多孔質層である。
インク受容層に用いる微細顔料としては、平均粒子径が500nm以下、より好ましくは300nm以下の微細顔料を用いることにより、インク吸収性に優れ、透明性、光沢性にも優れる受容層が得られるが、これに限定するものではない。ここで、平均粒子径とは動的光散乱法によって測定した粒子径(キュムラント法で求められる値)である。種類は限定されないが市販の顔料、例えばシリカ、アルミノシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙或いはインクジェット記録体の分野で公知の各種顔料が挙げられる。これらの微細顔料の中でも、特にシリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナは細孔容積が大きく、インク吸収性に優れるので好適に用いられる。
高光沢、高透明性のインク受容層を得るためには、微細顔料として、平均粒子径3〜40nmの一次粒子が凝集して、平均粒子径500nm以下の二次粒子を形成している微細顔料を使用するのが好ましい。特に二次粒子の粒子径は、好ましくは8〜400nm、より好ましくは10〜300nmである。このような二次粒子は二次粒子内部に空隙があるので細孔容積が大きい。さらに二次粒子間の空隙もインク吸収に利用できるためインク吸収能力が高い。また、一次粒子は光の波長に比べて充分小さいので二次粒子を形成していない顔料と比較して光の散乱能力が小さく、インク受容層の透明性が高くなる利点がある。顔料の一次粒子径や二次粒子径が小さすぎるとインク吸収に寄与する空隙を形成し難くなるため、インク受容層のインク吸収性が劣るおそれがある。逆に、一次粒子径や二次粒子径が大きすぎるとインク受容層の透明性が低下し、高印字濃度を得にくいおそれがある。また、二次粒子径が大きすぎると、インク受容層の光沢が低下するだけでなく、表面のざらつきや、粉落ちの原因となるおそれがある。なお、本発明でいう顔料の一次粒子径はすべて電子顕微鏡(SEM及びTEM)で観察した粒子径(マーチン径)である(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52参照)。また、二次粒子径は、動的光散乱法によって測定した粒子径である。
また、インク吸収能の高いインク受容層を得るためには、微細顔料の細孔容積は高い方が好ましいが、本発明に好適に用いられる微細顔料の細孔容積は、0.4〜2.5ml/gである。好ましくは0.4〜2.0ml/gであり、より好ましくは0.6〜1.9ml/g、最も好ましくは0.7〜1.8ml/gである。この細孔容積は、ガス吸着法による比表面積・細孔分布測定装置を用いて求めた値である。尚、本発明では細孔容積は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容積である。微細顔料系受容層において、一般には微細顔料の細孔容積が高いほど塗工層のインク吸収性も高くなるが、塗工後の乾燥時に発生する毛管力による収縮も大きくなるため、一般的な塗工方法ではひび割れによる成膜不良を起こし易く、実用に供し難い。しかし、本発明方法のインクジェット記録体はそのような成膜不良の懸念を必要としない。
これらの微細顔料の製造方法は特に限定されないが、その手段の一つとして市販の顔料(数μm)に機械的手段で強い力を与えることにより粉砕、分散して得る方法が挙げられる。つまり、breaking down法(塊状原料を細分化する方法)によって得られるものである。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラーミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。得られる微細顔料はコロイド状であっても、スラリー状であっても良い。その他の好ましい微細顔料の製造方法として、特開平5−32413号公報や特開平7−76161号公報などに開示されている金属アルコキシドの加水分解による方法が挙げられる。
前述の如き無機顔料の中でも、特にシリカは細孔容積が比較的大きいので好ましい。シリカにはケイ酸アルカリ塩を原料とする湿式法シリカや、四塩化珪素などの揮発性珪素化合物を火炎中で分解する乾式法シリカ、メソポーラスシリカなどがあるが、いずれも好ましい。
また、特開2001−354408号公報に記載されている「窒素吸着法による比表面積が300〜1000m/gで、細孔容積が0.4〜2.0ml/gであるシリカ微粒子がコロイド状に分散した液をシード液とし、該シード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性ケイ酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させることを特徴とする、窒素吸着法による比表面積が100〜400m/g、平均二次粒子径が20〜300nm、かつ細孔容積が0.5〜2.0ml/gのシリカ微粒子がコロイド状に分散したシリカ微粒子分散液の製造方法。」によって製造される微細シリカも、好ましく使用できる。
特開2001−354408号公報で開示されている活性ケイ酸の縮合による方法は、機械的手段によらずに直接、上記の粒子径や細孔容積を有する微細シリカを製造でき、かつ粒度分布が狭いので透明度や光沢が良好な塗工層となるため好ましく用いることができる。ここで、活性ケイ酸とは、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を水素型陽イオン交換樹脂でイオン交換処理して得られるpH4以下のケイ酸水溶液をさす。SiO濃度として1〜6質量%が好ましく、より好ましくは2〜5質量%でかつpH2〜4である活性ケイ酸水溶液が望ましい。アルカリ金属ケイ酸塩としては、市販工業製品として入手できるものでよく、より好ましくはSiO/MO(但し、Mはアルカリ金属原子を表す)モル比として2〜4程度のナトリウム水ガラスを用いるのが好ましい。活性ケイ酸の縮合方法としては、熱水に活性ケイ酸水溶液を滴下するか、活性ケイ酸水溶液を加熱してシード粒子を生成させ、分散液が沈殿を生じる前、若しくはゲル化する前にアルカリを添加してシード粒子を安定化し、次いで該安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液をシード粒子に含まれるSiO1モルに対してSiOに換算して0.001〜0.2モル/分の速度で添加してシード粒子を構成する各一次粒子を成長させたものが好ましい。平均二次粒子径は1μm以下であり、好ましくは20nm〜800nm、最も好ましくは30nm〜700nmである。尚、この平均二次粒子径は動的光散乱法を採用した粒度計で測定し、キュムラント法で解析した値である。
これら各種シリカの細孔容積としては0.4〜2.5ml/gが好適である。一方、一般にコロイダルシリカと呼ばれるシリカもあるが、これは、通常、ケイ酸アルカリ塩水溶液をイオン交換樹脂で処理してケイ酸水溶液を製造し、アルカリを添加してケイ酸水溶液を安定化したのち、加熱して微細なシリカが単分散した液を作り、ケイ酸水溶液を徐々に添加して該シリカ微粒子を成長させて製造されるものである。コロイダルシリカは製造方法からわかるように、シリカ粒子は二次粒子を形成していない。そのため、細孔容積は0.2〜0.3ml/gの範囲であり、インク受容層に用いてもインク吸収量が少ないので不利である。
インク受容層の主成分である微細顔料として前述の各種製造法で得られるシリカなどのアニオン性微細顔料を使用する場合、必須成分である特定のカチオン樹脂などのカチオン性化合物と混合すると凝集が生じる場合がある。その場合、微細顔料を予め各種手段でカチオン化しておくと、混合による増粘や凝集が塗料物性に影響を及ぼさないため好適である。
アニオン性微細顔料のカチオン化剤としては、微細顔料がシリカの場合、1)1級から4級のアミノ基を有するシランカップリング剤、2)1級から4級のアミノ基を有する水溶性カチオン樹脂、3)ポリ塩基性塩化アルミニウム等の多価金属塩化合物などのカチオン化剤が例示できる。本発明では必須成分である特定のカチオン樹脂と微細顔料を予め複合化させておくことが最も好適である。
本発明のインク受容層となる水性塗料に添加される「少なくとも5員環アミジン構造単位を含有する重合体またはその誘導体であり、重量平均分子量が4万〜40万である水溶性カチオン樹脂」としては、樹脂に含まれる5員環アミジン構造単位が含まれていれば、特に高分子の形状や共重合単位は限定されない。更に、該構造単位の比率が樹脂の高分子鎖中でアミジン基のモル比として1〜80モル%のものが好ましく、より好ましくは3〜60モル%であるが、特にこの比率に限定されるものではない。また、塗料に対する樹脂の混合比率としては、微細顔料100質量部に対して該カチオン樹脂が0.5〜30質量部程度、更に好ましくは、2〜20質量部であると良い。また、その水溶性も塗料中で析出沈殿等の支障を及ぼさなければ、水に対する溶解度やpHに制限があっても良い。該カチオン樹脂の分子量は、重量平均分子量として4万〜40万であるが、好ましくは6〜35万、より好ましくは8〜20万である。分子量が低い方と、塗料粘度があまり上昇しないため塗料適性には好適であるが、分子量が高い方が、得られるインク受容層の吸収速度が良好で反応性化合物の混入も少ない可能性が高いため、両者のバランスをとる必要がある。
該カチオン樹脂を塗料化するには、主成分となる微細顔料と単純に混合するだけでも良いが、微細顔料として好適に使用されるシリカのようなアニオン性微細顔料を使用する場合、通常は混合によるショックのため混合液が増粘もしくはゲル化し塗工適性を悪化させるため、前述の通り複合化しておくと好適である。以下に手法を例示するが、この方法に限定するものではない。
水溶性カチオン樹脂とアニオン性微細顔料の複合化手法は、それぞれの材料の特性によって条件は異なるが、両者を混合して凝集・増粘したスラリーを、再度機械分散・粉砕し、凝集体の二次粒子径を所望の粒子径に調整することによって達成される。この手段を経ることにより、水溶性カチオン樹脂はアニオン性微細顔料の周囲を比較的安定した状態でつつみこむため、更にカチオン樹脂が共存した状態でも、アニオン性微細顔料分散液は安定化される。この効果を充分得るためには、複合化に使用する前述の水溶性カチオン樹脂の量がアニオン性微細顔料の量に対して少なすぎると、微細顔料の周囲を安定的に取り囲むことが出来ないため、複合化後のスラリーや塗料の安定性が下がってしまう懸念がある。一方、逆に水溶性カチオン樹脂の量が多すぎても、インク吸収性を阻害するため不適である。具体的には、微細顔料100質量部に対して水溶性カチオン樹脂が0.5〜30質量部程度、更に好ましくは、2〜20質量部であることが適当であるが、水溶性カチオン樹脂の種類や分子量によって最適量は異なるため、この範囲に限定されない。
一度凝集させたアニオン性微細顔料と水溶性カチオン樹脂を再度機械分散・粉砕する手法としては、平均2次粒子径が1μm程度まではホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均2次粒子径を1μm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが必要なため、圧力式分散方式が望ましい。好ましい具体例としては、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中、高圧で連続的に通過させて高速で壁に衝突させるか、スラリー同士で対向衝突させる方式であり、処理圧力は、好ましくは10〜350MPa、より好ましくは20〜300MPa、さらに好ましくは、30〜200MPaである。上記高圧粉砕により処理することで良好な分散あるいは粉砕が達成できる。特に高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることにより分散、或いは粉砕する方式を用いると、より好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐してさらに流路をオリフィスにより狭めることによって流速を加速して対向衝突させ、それによって粒子同士を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。
高圧の圧力式ホモジナイザーとしては、マイクロフルイタイザー(マイクロフルイディックス社製)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン製)、ホモゲナイザー(三和機械株式会社製)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)が用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。このようにして処理されたカチオン化されたアニオン性微細顔料は、一般に固形分濃度が5〜20質量%程度の水分散体(スラリーあるいはコロイド粒子)として得られる。
最も好適に使用されるシリカ以外のアニオン性微細顔料も、同様の方法でカチオン化することが可能である。
以上の手段で複合化されたカチオン樹脂と微細顔料の水分散液は、1.5質量%水分散液に希釈した状態の光散乱指数(n値)が3.0以上となるように調整すると、より透明性の高いインク受容層が得られるため好適であった。n値を適性範囲内とするには、原料の種類や添加量、粉砕条件の選択の他に、添加剤やpH調整などが有効であった。例えば、微細顔料にシリカを用いた場合、カチオン樹脂水溶液のpHを下げた方が、n値が上がり透明性が高くなった。一方、塗料物性に影響を及ぼすゾルの粘度や安定性は、pHが低い方が良好であったため、両者のバランスを取ると最適値は1質量%水溶液のpHとして2〜4、より好ましくは2.5〜3.5であった。但し、この最適値は処方によって異なるため、全ての処方に適用できるものではない。
画像の更なる定着性向上や色調調整、各種品質調整のために、インク受容層となる水性塗料には、本発明に必須となる前述の特定カチオン樹脂のほかにカチオン性化合物を混合しても良い。このカチオン性化合物の種類も特に限定されるものではないが、例えば、下塗り層への添加成分の一例として前述した各種カチオン樹脂、もしくはエマルジョンタイプのカチオン性樹脂、多価金属塩化合物などの各種カチオン性無機塩などが挙げられ、これらを単独又は数種類を組み合わせて配合してもよい。これらは単に塗料に混合するだけでも良いし、上記の方法で微細顔料と複合化しても良い。
本発明のインクジェット記録体のインク受容層に用いられる水性塗料のもう一つの必須成分である、水溶液に活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂としては、水性塗料中に溶解もしくは分散した状態で活性エネルギー線を照射されると、重合反応や架橋反応のように分子量が増加する反応を起こし、塗料をハイドロゲル化する性質を有している物質であれば、特に種類を限定されるものではない。一例として、一般的に光硬化型樹脂と言われる分子末端或いは側鎖にアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有するポリマー又はオリゴマーがあり、それらの中には、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエポキシ系、ポリエーテル系がありいずれも使用できる。また、1分子の中に複数のアクリロイル基又はメタクリロイル基を含むポリマー又はオリゴマーも使用でき、上記の光硬化性ポリマー又はオリゴマーと混合して使用しても良い。
また、光による二量化反応によって分子間架橋を起こす官能基、例えば、スチリルピリジウム基を有するポリマーも使用できる。
その他にも、活性エネルギー線として電子線を使用する場合は、下記に例示するような一般的な親水性樹脂も水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成するため、使用可能である。これらの樹脂は汎用品であるため比較的安価に入手でき、インクジェット受容層の材料として品質や安全性等の実績もあるため、最も好適に利用できる。具体例としては、完全けん化ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン及びこれらの水溶性誘導体が例示できるが、これに限定するものではない。
また、水溶性誘導体には前記各樹脂の構成単位を含む共重合体も含まれる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリル酸などを構成するビニルモノマーからなる共重合体、また、これらのモノマーとそれ以外のモノマーを含む共重合体を例示できる。また、これらの樹脂を単独で使用するだけでなく二種類以上混合して用いることもできる。これらの樹脂は汎用の樹脂であるので安価であり、皮膚刺激性も弱く、分子量を選択する事で電子線照射後に得られるゲルの強度も容易に調整できるため、電子線硬化性成分として好適に用いられる。また前記のアクリロイル基またはメタクリロイル基を含む電子線硬化性ポリマー、オリゴマー、及びモノマーよりも親水性が高い点も好ましい点である。
これらの親水性樹脂の中でも、微細顔料との混和性、塗工適性、得られるインクジェット記録体の品質の観点からポリビニルアルコールもしくはその誘導体が最も好適に使用される。けん化度は特に限定するものではなく、70〜99.9mol%の範囲で適宜使用可能であるが、けん化度が低すぎると親水性が低下し、高すぎるとフィブリル化などのおそれもあるため、好ましくは75〜99.9mol%、より好ましくは78〜99.8mol%である。また、重合度としても200〜4500で適宜使用可能であるが、あまり低すぎると塗料粘度が低くなりすぎたり、電子線を使用しもひび割れを抑制することが出来ないおそれがあり、高すぎると塗料粘度が高くなりすぎるので、好ましくは1000以上、より好ましくは1000〜4500である。
因みに、ハイドロゲルとは、水を主成分とする溶媒で膨潤した状態の三次元網目構造を持つ高分子であり、流動性のない状態である。本発明の方法で使用される活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂の分子量の最適値は、樹脂の種類毎に性状が異なるので一概にいえないが、あまり高すぎると、微細顔料と混合した際に塗工液がゲル化しやすく、また、ゲル化には至らなくても塗工液が高粘度となる等、塗工性に問題が発生するおそれがある。逆に、分子量が低すぎても、活性エネルギー線照射によって得られるハイドロゲルのゲル強度が不十分となるため乾燥後の塗膜のひび割れが発生し、本発明の効果が充分に得られないおそれがある。従って、分子量の目安としては、代表的な樹脂で1万〜500万程度がよく、より好ましくは、5〜100万のものがよい。
また、印字後の経時的な色調変化には、インク中に含まれる親水性高沸点溶剤との親和性の高い樹脂を単独で、又は混合して使用することも効果的である。インク中に含まれる親水性高沸点溶剤としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、チオジグリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,5−ペンタンジオール等があり、これらの溶剤との親和性が高い樹脂としては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
水溶液に活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂の混合物の割合は、微細顔料100質量部に対して前記親水性樹脂を1〜100質量部程度が好ましい。本発明のインクジェット記録体は、主に顔料の内外に形成された細孔にインクを受容することで画像を形成するものであるため、インク吸収の観点からは前記親水性樹脂量を最小量に抑えることが望ましい。また、親水性樹脂はインク受容層中の微細顔料の見かけ粒子径を増大させるものであるため、インク受容層の透明性の観点からも、親水性樹脂はひび割れが発生しない範囲内で少ないほうが良い。以上の理由から、さらに好ましくは、微細顔料100質量部に対して前記親水性樹脂を3〜30質量部、最も好ましくは5〜25質量部含有させる。
本発明のインク受容層は多孔質であるが、具体的には細孔容積が0.2〜2.0ml/gの範囲になるよう調節することが好ましい。微細顔料の細孔容積の選択により、また、親水性樹脂の添加量を適切に調節することによりこの範囲内に調節することができる。細孔容積が0.2ml/g未満の場合、塗布量を多くしないとインクを吸収できないのでインクジェット記録体の製造コストが高くなる。また、2.0ml/gを越える細孔容積ではインク受容層の機械的強度が低下し、インク受容層に傷がついたり、剥がれたり、割れたりしやすくなり好ましくない。尚、本発明の細孔容積は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容積である。
本発明に用いる水性塗料の好適な固形分濃度は、主成分の微細顔料、樹脂の種類によって大きく異なるが、水性塗料が安定かつ塗工可能な範囲内で、より高濃度であることが好ましい。それは、水性塗料が高濃度である程、活性エネルギー線照射によって進行する架橋反応の効率が高まるだけでなく、ゲル化後の塗工層にも高ゲル強度が期待でき、乾燥負荷も軽くなるためである。本発明に用いられる水溶液に活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂の中には、水分を含まない状態で活性エネルギー線照射を施されると分子鎖が切断される崩壊が優先的に進行し、意図した架橋反応が進まないおそれがあるものもあるが、塗工液中に固形分に対して同量以上の水が存在すれば、架橋反応は水溶液中とほぼ同等に進行すると推測される。実際は、本発明で好適に用いられる微細顔料の水分散液が高濃度になるほどゲル化しやすいため、水性塗料の安定性の面で濃度の上限が決まる場合が多い。以上の点を考慮すると、水性塗料の固形分濃度は、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜25質量%である。
主成分以外にも、水性塗料の塗工性を著しく悪化させることなく、かつインク吸収に必要な細孔を保ち、インク受容層の耐水性を大幅に低下させることのない範囲内であれば、インク受容層に他の成分を添加することもできる。これらの添加物自体は、水溶液に活性エネルギー線を照射してもハイドロゲルを形成しない成分であっても良い。
その例としては、消泡剤を混合して塗工時の作業性を向上したり、基材の濡れ性を良くして均一なインク受容層を得るために界面活性剤を配合することもできる。本発明では比較的高分子量のカチオン樹脂を使用するため、塗料粘度の経時増粘やチキソ性増大が起きやすく、塗工適性があまり良くないことが多い。その場合、塗料に界面活性剤を一定量添加すると、塗工適性が良好となるため好適である。その添加量は特に規定するものではないが、塗料の主成分である微細顔料100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部が好適である。界面活性剤の添加量が少なすぎると前述の塗料適正改善効果が充分に得られないため不適となる。一方、添加量が多すぎると、塗工後の塗膜から過剰量の界面活性剤がしみだすことによって生じるブロッキングや裏面への転移のトラブルが発生するため不適となる。
また、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれであってもよい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル塩系等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミン塩系、4級アンモニウム塩系等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系、ポリエチレングリコール系(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物)、多価アルコール系(グリセリンおよびペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アルカノールアミド等)等が挙げられる。
上記界面活性剤の中でも、インクジェットプリンターのインクとの親和性が高いことから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、さらには、ノニオン系界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤は、分子中にアセチレン性三重結合を形成する互いに隣接した炭素原子に酸素原子が結合されているため、ノニオン性でありながら、非常に強い極性を有している。そのため、少量の添加でも表面活性効果が高く、支持体に対する架橋剤含有塗液の濡れ性を向上させることができる。また、一般的に、界面活性剤は気泡形成性が強いため、泡立ちという問題を生ずるが、アセチレングリコール系界面活性剤は消泡性を有しており、泡立ちを抑制できる。
アセチレングリコール系界面活性剤は、分子中にアセチレン結合とアルコール性水酸基とを有する化合物であり、その中でも、アルキニレングリコール化合物とエチレンオキサイドとの付加反応生成物が好ましい。特に好ましいアセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールにエチレンオキサイドを付加した化合物であって、下記化学式(1)により表される化学構造を有する化合物である。とりわけ、化学式(1)において、m+nが6以下であることが好ましく、m+nが2〜5であることがより好ましい。m,nは整数であるが、平均値は勿論整数でない場合がある。
Figure 2007062129
その他に、記録体のブロッキング防止やプリンターの通紙性向上のため、デンプンや合成樹脂粒子を混合する等の添加物が例示できるがこの限りではない。また、透明性や表面光沢の調整に、主成分以外の各種顔料を添加することもできるし、印字画像の保存性向上のため、紫外線吸収剤や光安定化剤などの耐光性向上剤を添加することもできる。
これらの添加物の添加方法としては、予め水性塗料に混合しておいてもよいし、まず塗工層を形成してから添加物を含む溶液を上塗り、噴霧、含浸するなどの方法で、後から添加しても良い。添加物を水性塗料に予め添加する場合、添加のショックで塗料がゲル化してしまった時には、前述のシリカのカチオン化手法と同様に機械的手段を用いて再分散させることも有効な手段である。
本発明で得られるインク受容層は、一層で充分な画質、インク乾燥性を発揮することが出来るが、多層構成とすることもできる。その場合、「塗布、活性エネルギー線照射、乾燥」を繰り返しても良いし、塗布し活性エネルギー線照射後に次の層を塗布しても良いし、塗布後に直ちに次の層を塗布して活性エネルギー線照射を行っても良い。更に、多層を同時に塗工し、活性エネルギー線照射を行っても良い。また、活性エネルギー線照射の必要性のない層については、活性エネルギー線照射を行わなくとも良い。
活性エネルギー線を使用しない通常の塗工方法で複数の層を塗布してから一度に乾燥しようとすると、乾燥終了までの間に層間が乱れて各層の塗料が混じりあってしまい、得られる各層の塗布量にムラが生じたり、品質に悪影響を及ぼすことが多い。特に、塗料が低粘度であったり、塗工が低速であったり、高塗布量である場合に各層の混合が起きやすく、このような条件で乱れのない多層を得るためには、各層毎に「塗布、乾燥」を繰り返すことが好ましい。しかし、「塗布、乾燥」を繰り返すことは、操業性が悪いだけでなく損紙の発生や乾燥負荷の増大等も伴うため、生産効率も低くならざるを得ない。更に、処方によっては層間の接着強度も低下しがちで、層間が剥離しやすくなる。その点、活性エネルギー線照射を用いて塗布後の塗料を直ちにハイドロゲル化してしまえば、層間の大幅な乱れを抑制でき、且つ層間の密着性も高い多層塗工層を得ることができる。
中でも、複数の層を別々のヘッドで連続塗工する場合は、下層塗布後に活性エネルギー線照射工程を設けてから上層塗布を行うようにすると、より安定した状態で多層塗工を行うことができるため好適である。また、このような多層塗工方式では下層中の細孔に水が充満した状態で上層塗布を実施することになるため、上層塗料が下層の細孔に入り込んで下層の細孔容積を減少させてしまうことがない。従って、本発明のインクジェット記録体のように塗工層が多孔性を必要とする場合の塗工方法として、非常に好適である。一方、同時多層塗工を行う場合は、別々のヘッドで連続塗工するよりも比較的高精度な多層塗工が可能であるため、多層塗工後直ちに活性エネルギー線照射を行えば、乾燥中の層間乱れを抑制することができ、充分に精度の高い多層塗工層を得ることができる。
単層の塗工方法としては公知の塗布装置、例えば、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いることができるが、これらに限らない。
多層塗工に用いる装置としては、公知の塗布装置、例えば、スロットダイコーター、スライドダイコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、バーコーター等が挙げられる。同時塗工の場合は、専用の多層式スロットダイコーター、多層式スライドダイコーター、多層式カーテンコーター等などの同時多層塗工装置を好適に用いることができるが、これらに限定されない。
塗布量は、乾燥後の質量として1〜60g/m程度が好ましく、さらに好ましくは3〜50g/m程度である。ここで1g/mより少ないとインクの吸収が不十分となりやすく、60g/mより多いとカールが発生しやすくなるし、コストもかさむので好ましくない。
本発明で使用する活性エネルギー線としては、特に種類を限定するものではないが、α線、β線、γ線、X線、紫外線、電子線などが挙げられる。ただし取り扱いが容易で一般的に普及している紫外線及び電子線を使用するのが好ましい。紫外線は、光重合開始剤や活性基を有する特定の親水性樹脂を使用する必要があるが、照射設備が安価な点が好ましい。中でも、水性塗料中に特に開始剤等を添加しなくても前述の如く汎用の親水性樹脂の多くでハイドロゲルを形成可能な電子線が最も好適に使用できる。
活性エネルギー線として紫外線を使用する場合、照射用の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが用いられ、5000〜8000μW/cm程度の強度を有する紫外線が好ましく照射される。紫外線の照射量は100〜2000mJ/cm程度の範囲で調節するのが好ましい。
また、紫外線を使用する場合には、水性塗料中に光重合開始剤を配合する場合があり、例えばチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテルキサントン、ジメチルキサントン、ベンゾフェノン、アントラセン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジフェニルジスルフィド、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ter−ブチルアントラキノン、N,N’−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどの光重合開始剤の一種類以上が適宜配合される。これらの光重合開始剤の配合量は、ハイドロゲルを形成する親水性樹脂に対して、0.2〜10質量%程度、更に好ましくは0.5〜5質量%の範囲で調節するのがよい。
また、電子線を使用する場合は、照射方式として、例えば、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが採用され、電子線を照射する際の加速電圧は50〜300kV程度が適当である。電子線の照射量は1〜200kGy程度の範囲で調節するのが好ましい。1kGy未満では塗工層をゲル化させるのに不十分であり、200kGyを越えるような照射は基材や塗工層の劣化や変色をもたらすおそれがあるため好ましくない。
(多孔質インク受容層となる塗工層への溶液塗布→カチオン塗布)
本発明の多孔質インク受容層となる塗工層には、必要に応じて各種溶液を塗布しても良い。特に、近年高速化している各種プリンターにおける連続高速印刷の様に、出力画像の乾燥時間が充分に確保できない状況に対応する必要があれば、生じやすい画像のにじみを抑制するためにカチオン性を有する化合物を含む溶液を塗布することも好適である。
このような「カチオン性を有する化合物を含む溶液」(以下カチオン塗布液という。)を塗布する時期は、塗布面に支障を及ぼされない範囲であれば、インク受容層が乾燥前もしくは途中の湿潤状態にあっても良く、更には、インク受容層の乾燥終了後でも、塗布液が光沢面に悪影響を及ぼさないで光沢層を通じて多孔質インク受容層に浸透することが可能な条件であれば、後に示す光沢層を形成した後でも良い。
カチオン塗布液に使用するカチオン性化合物の種類は、特に限定するものではないが、たとえば1級アミン構造を含む水溶性カチオン樹脂のようには、インク定着能は高いが、元々比較的変色性が高い性質を有するため、活性エネルギー線照射により変色性が強まる懸念があるものなどが適している。1級カチオン樹脂の具体例としては市販品の一例をあげると、日東紡株式会社製PAA−10Cなどのアリルアミン重合体、ハイモ株式会社製ハイマックスSC700Mなどの5員環アミジン構造を含有する重合体など、もしくは構造としてはポリビニルアミンなどが例示できるが、これらに限定するものではない。
カチオン塗布液にカチオン樹脂を添加する場合、最適値な分子量はカチオン樹脂の種類によって異なるため一概には規定できないが、平均分子量として、好ましくは500〜10万、より好ましくは800〜9万、更に好ましくは1000〜8万である。分子量が高すぎると、カチオン塗布液の粘度上昇や、カチオン樹脂の分子鎖が立体障害を受けやすくなるため、塗布後のカチオンが多孔質インク受容層の細孔内部まで均一に浸透し難くなるので不適である。また、分子量が低すぎると、意図するインク定着能が充分に得られないため好ましくない。
また、これら以外のカチオン性化合物として、水溶性多価金属塩化合物やカチオン性のエマルジョンを添加しても良い。特に、ポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウムなどに例示される水溶性アルミニウム化合物や、水溶性ジルコニウム化合物、水溶性チタン化合物はインクの定着能力が高いため、好適に用いられる。
その他、インクジェット記録体としての品質向上を目的として各種添加剤を添加しても良い。具体的には色調調成のための蛍光増白剤や着色染料又は顔料、光安定剤や紫外線吸収剤などの画像保存性向上剤、塗布液の浸透性を向上やハジキ防止などを意図した濡れ剤や粘度調整剤などがこれに当たるが、これらに限定するものではない。
塗布液に下塗り層やインク受容層の成分として例示した微細顔料などの分散媒に不溶性の成分を添加しても良いが、これら成分を多量に混合すると、インク吸収性の低下が懸念されるため、カチオン塗布液の固形分の内、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、最も好ましくは10質量%以下がよい。
カチオン塗布液の最適濃度は、添加する成分によって異なるが、低すぎると固形分として所望量を塗工層に添加することが困難となり、高すぎると塗布液の粘度が上昇し、塗布液が多孔質インク受容層の細孔内部まで均一に浸透し難くなるので不適である。好ましくは固形分濃度として0.05〜60質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.5%〜40質量%であるが、これに限定するものではない。
塗布液が多孔質インク受容層に均一に浸透するためには塗布液粘度が重要となる。具体的な粘度は、成分や濃度、塗布条件によって大きく異なるため一概に限定することは出来ないが、25℃でのb型粘度として、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは400mPa・s以下、更に好ましくは300mPa・sである。
この溶液を多孔質インク受容層に均一に浸透させるために、塗布液を加温もしくは冷却しても良い。最適な温度範囲は好ましくは4〜80℃、更に好ましくは8〜70℃、最も好ましくは10〜60℃であるが、成分によっても異なるため、これに限定するものではない。
カチオン塗布液の分散媒としては水が好ましいが、それに限定するものではない。また、浸透性強化や添加成分の溶解性向上のため、各種有機溶媒を添加してもよく、インクとの親和性を高めるために、前述のインク中に含まれる親水性高沸点溶剤を添加しても良い。
カチオン塗布液の最適pHは、使用するカチオンの種類によっても異なるため特に限定するものではないが、多孔質インク受容層とのpHバランスの点から7以上が好ましく、塗布装置の耐久性の観点から13以下が好ましい。
カチオン塗布液の最適な塗布量は、塗工層上に均一に塗布する事が必要なため、基材や塗工層の吸液性や塗布時の塗布面の水分量によって大きく異なる。従って一概に規定することはできないが、好ましくは塗布液として1〜100g/m、より好ましくは3〜80g/m、更に好ましくは5〜60g/mである。
塗工方法としては下塗り層やインク受容層の塗工装置として例示した公知の塗工装置が使用できるが、それらに限定するものではない。但し、この塗布液は、下塗り層やインク受容層の塗料に比べ低粘度であるため、スプレーコーターなどの噴霧装置を使用してインク受容層もしくは後述の光沢層上に塗布液を塗布した後、過剰な塗布液を掻き取るなどの手法も好適に利用できる。
(光沢層の形成)
本発明のインクジェット記録体は、必要に応じて光沢層を形成してもよく、コストを重視したり、使用用途に対して許容範囲内の光沢感が得られている判断される場合は、光沢層を形成しなくとも良い。但し、得られるインクジェット記録体の光沢の観点からは、塗設した方が好ましい。光沢層の形成時期は、多孔質インク受容層となる塗工層形成後であれば、いつでもよく、インク受容層が乾燥前もしくは途中の湿潤状態にあっても、乾燥終了後でも良く、必要に応じて塗工層に塗布されるpH調整液やカチオン性を有する化合物を含む水溶液の塗布前後、もしくは乾燥前・途中・後のいずれでもよい。
この光沢層形成工程は、光沢層用塗布液層を設ける工程、該塗布液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程、及び該塗布液層を乾燥する工程に分類できる。これらの工程は、例えば、図1に図示するような装置で、光沢層用塗布液層を設ける工程と、該塗布液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程と、該塗布液層を乾燥する工程を連続的に実施しても良いし、各工程を個々の設備に分離して実施しても良い。例えば、塗布液層を設ける工程を、後に続く該塗布液層を光沢ロールに接する工程とは切り離して実施する場合は、インク受容層の塗工方法として例示したような公知の塗布設備を使用することが出来る。
図1に示した装置を用いて、各工程を連続的に実施する光沢化手段を例示するが、手段はこれに限定されるものではない。基材もしくは下塗り層を設けた基材2と、その上に設けられた多孔質なインク受容層3からなるシートを、該基材2上のインク受容層3が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間に導く。ここで、インク受容層3上に、光沢層を形成するための塗布液4を供給して、光沢ロール5とプレスロール6との接線の上部に塗布液溜まりを形成する(光沢層用塗布液層を設ける工程)。そして、塗布液4が湿潤状態又は半乾燥状態にあるうちに、該基材2を、塗布液4が供給された面が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間をプレスしながら通過させる(塗布液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程)。次いで、塗布液層7を加熱された光沢ロール5で乾燥するか、塗布液層7を光沢ロール5から剥離後した後、後工程のドライヤー9で乾燥するか、塗布液層7を加熱された光沢ロール5で乾燥し、後工程のドライヤー9でも乾燥する(塗布液層を乾燥する工程)。このようにして、該基材2、インク受容層3、光沢層8からなるインクジェット記録体を製造する。なお、金属ロールで乾燥した後、ドライヤーで乾燥する前後などに蒸気などにより加湿することもできる。
光沢層用塗布液層を、前述のような公知の塗布設備を用いて予め形成する場合は、塗布液4の塗布液溜まりを形成せずに、事前に塗布液が供給されて湿潤状態又は半乾燥状態にある面を直接光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間をプレスしながら通過させてもよく、その後の乾燥工程は上記の通り実施することが可能である。
光沢層用塗布液の処方は、下層となる多孔質インク受容層のインク吸収性を大きく損なうものでなければ特に限定するものではないが、その必要条件を満たし、かつ強度や表面光沢を付与するには、微細顔料を主成分とすると最も好適である。また、その他にもエマルジョンや、コロイダルシリカなどに代表される微細顔料と複合したエマルジョンなども好適に利用出来る。更に、バインダー樹脂やカチオン性化合物、離型剤、消泡剤、防腐剤などの任意のその他成分は必要に応じて適宜配合すればよい。光沢層を形成するための塗布液は、これらの成分を適当に分散媒に分散させることにより調製される。
光沢層に使用される微細顔料としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン等の透明又は白色顔料が例示されるが、これに限定されるものではなく、有機顔料も使用できる。これらの中で、コロイダルシリカ、アルミナ又は無定形シリカが、特に光沢性が向上するので好ましい。コロイダルシリカ又はアルミナを使用する場合、平均一次粒子径5〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましい。さらに好ましくは20〜70nmである。平均粒子径が5nm未満の場合は、インク吸収性が低下する場合があり、平均粒子径が100nmを超えると、透明性が低下するため印字濃度が低下する傾向がある。
無定形シリカを使用する場合、好ましくは平均一次粒子径5〜100nm、より好ましくは5〜40nmのものを用いる。また、無定形シリカは、好ましくは、平均二次粒子径1μm以下、より好ましくは10〜700nmのものを用いる。
本発明における光沢層にも、インク定着能のあるカチオン性化合物を添加しても良い。表層のカチオン強度が高いと、染料インクだけでなく、顔料インクの耐水性も向上するため、好適である。例えば、水溶性カチオン樹脂として、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第2、3級アミン基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ポリビニルアミン類、ポリビニルアミジン類、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物、ジアリルアミン塩−二酸化イオウ共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミン(メタ)アクリレート4級塩重合物、アクリロニトリルとN−ビニルアクリルアミジン塩酸重合体とその加水分解物、ポリアミジン系樹脂、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物等のカチオン性重合体を、単独又は数種類を組み合わせて添加しても良い。
また、これら以外のカチオン性化合物として、カチオン性のエマルジョンや水溶性多価金属塩を添加しても良い。特に、ポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウムなどに例示される水溶性アルミニウム化合物や、水溶性ジルコニウム化合物、水溶性チタン化合物はインクの定着能力が高いため、好適に用いられる。
これら水溶性カチオン樹脂などのカチオン性化合物との混合適性を考慮すると、光沢層に使用する微細顔料もカチオン性であると凝集などのトラブルが軽減されるため、好適である。微細顔料とカチオン性化合物が塗料中で凝集すると、光沢化処理に供しても光沢層の光沢が上がらないため望ましくない。カチオン性コロイド状粒子としては、例えば、前記インク受容層で示した微細顔料が使用でき、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物から選ばれるシリカをカチオン性物質や水溶性金属化合物で装飾処理したカチオン性微細顔料、アルミナ酸化物、アルミナ水和物、カチオン性コロイダルシリカ等が挙げられるが、これに限定するものではない。特にカチオン性コロイダルシリカ、カチオン性物質等で処理した気相法シリカ、アルミナ酸化物は、優れた光沢が得られるので好ましい。
但し、水溶性カチオン樹脂と混合しても凝集を生じない場合は、アニオン性を有する微細顔料を使用しても支障はない。
必須成分では無いが、光沢層にポリビニルアルコールを添加すると、乾燥状態で表層強度が向上するだけでなく、顔料インク印字直後の湿潤状態でも層強度が比較的保持されるため、水溶性カチオン樹脂により向上した顔料インクの印字部擦過性が更に強化されるため、好適である。ポリビニルアルコールのけん化度は特に限定するものではなく、70〜99.9mol%の範囲で適宜使用可能であるが、けん化度が低すぎると親水性が低下し、高すぎるとフィブリル化などのおそれもあるため、好ましくは75〜99.5mol%、より好ましくは78〜99mol%である。また、重合度としても200〜4500で適宜使用可能であるが、あまり低すぎるとインク吸収を阻害するおそれが高く、高すぎると光沢層用塗布液の粘度が高くなるため、好ましくは300〜4000、より好ましくは500〜3000である。また、通常品のほか、例えばカチオン変性品などの共重合体や誘導体であっても好適に使用できる。
ポリビニルアルコールの配合部数は、多すぎるとインク吸収低下のおそれがあるため、所望の表層強度とインク吸収性のバランスを適宜調整する。例えば、主成分となる微細顔料100質量部に対して0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部が適当であるが、これに限定されるものではない。
ポリビニルアルコール以外の親水性樹脂も、過剰添加するとインク吸収性を低下させるおそれがあるが、必要に応じて適宜用いることができる。例えば、ポリビニルピロリドン及びその共重合物、ポリメチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、酸化澱粉、カチオン化澱粉等の変性澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の水性樹脂及びそれらの共重合物、変性物等が挙げられ、単独又は組み合わせて使用できる。これらの内で、スチレン・アクリル系共重合体エマルジョンが特に好ましい。
エマルジョンタイプの親水性樹脂を使用する場合の平均粒子径は、20〜150nmの範囲が好ましく、20nm未満の場合は、インク吸収性が低下する場合があり、150nmを超える場合は、光沢度が低下する場合がある。これらのガラス転移温度は、50〜150℃の範囲が好ましい。ガラス転移温度が、50℃より低い場合は、乾燥時に光沢層の成膜が進みすぎ、光沢層の多孔性が低下し、インク吸収性が低下する場合がある。150℃より高い場合は、成膜が不足し、光沢や強度が不足する場合がある。
光沢層を形成するための塗布液には、更に、形成された塗布液層の表面を光沢ロールからスムーズに安定して剥離させるために、離型剤を添加することができる。
離型剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸類、及びそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、アンモニウム等の塩類、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド及びメチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素類、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類、ロート油、レシチン等の油脂類や脂質類、含フッ素界面活性剤等の各種界面活性剤、四フッ化エチレンポリマーやエチレン−四フッ化エチレンポリマー等のフッ素系ポリマー等が例示される。
これらのうち、特に、脂肪族炭化水素又はその誘導体や変性物、脂肪酸又はその塩、脂質類が好ましく、中でも、脂肪族炭化水素としてはポリエチレンワックスが、脂肪酸としてはステアリン酸又はオレイン酸が、脂質としてはレシチンの使用がより好ましい。
また、光沢層には、上記のほかにも、一般的に塗工紙の製造において使用される各種顔料、分散剤、増粘剤。消泡剤、着色剤、蛍光染料、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
光沢層の塗布量は、乾燥質量として0.01〜10g/mが好ましく、0.1〜5g/mがより好ましく、0.3〜3g/mが更に好ましい。塗布量が0.01g/m未満の場合は、インク吸収性や記録濃度には有利であるが、十分な光沢層を形成することが困難なために、光沢度が低くなりやすい。また、塗布量が10g/mを超えると、光沢度は得やすいが、インク吸収性や記録濃度が低下しやすい。
また、本発明の光沢層は光沢層用塗料が多孔質のインク受容層にプレスされて形成されるため、光沢層用塗料の一部が多孔質のインク受容層に押し込まれた状態となり、光沢層とインク受容層の境界が不明瞭になりがちである。従って、光沢層の厚みはインク受容層の細孔状態によっては大きく異なる。それ故に、光沢層の厚みを一概に規定することは困難であるが、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μm、最も好ましくは20nm〜1μmである。塗工層表面に充分な光沢を得るためには、光沢層塗料が細孔を保持した状態でインク受容層表面を完全に被っていることが最も望ましく、そのために必要な光沢層の厚さは光沢層塗料に微細顔料が含まれる場合は、その直径に等しくなる。また、光沢層の厚さが5μmを超えると、インク吸収性や塗膜の強度に支障を来すおそれがある。
一般のキャスト塗工紙の製造方法では、湿潤可塑化状態にある塗布層表面を、加熱した光沢ロールに圧接、乾燥することによって、光沢ロールの鏡面を写し取る。
本発明においては、湿潤状態にある光沢層用塗布液層表面を、加熱した光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスすることにより、光沢層に使用された顔料をインク受容層に押し込んで、鏡面を写し取るものであるため、光沢層用塗布液層を必ずしも完全に乾燥させる必要はない。したがって、前記塗布液層を、乾燥ゾーンで別途乾燥することも可能である。
光沢ロールの表面温度は、乾燥条件等の操業性、インク受容層への密着性、光沢層表面の光沢性から40〜130℃の範囲が好ましく、70〜120℃の範囲がより好ましく、80〜110℃の範囲が更に好ましい。光沢ロールの表面温度が、40℃未満の場合は、顔料の押し込み不足による塗膜強度が低下したり、光沢性が低下するおそれがあり、130℃を超える場合は、塗膜がひび割れるおそれがある。また、光沢ロールは、耐熱性がよく、優れた鏡面性が得られることから、金属ロールであることが好ましい。
プレスロールの材質は、上記のような光沢ロールとの間での加圧をより均一にするために耐熱樹脂製が好ましい。
プレスロールによる加圧は、光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、50〜3500N/cm、より好ましくは200〜3000N/cmになるように行なうことが好ましい。光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、50N/cm未満の場合は、線圧が均一になり難く光沢性が低下したり、塗布液層のインク受容層への密着性が低下し、表面がひび割れたりするおそれがあり、3500N/cmを超える場合は、インクジェット記録体を過度に加圧することとなって多孔質であるインク受容層を破壊するために、インク吸収性が低下するおそれがある。
本発明において、光沢ロールから剥離した直後の記録体の水分は、その平衡水分より高めになる場合が多い。ベンチスケールでの試験の場合は、常温・常湿でそのまま放置し、平衡水分にしても良い。実機で生産する場合、光沢ロールから剥離した後、ワインダーで巻き取るまでの間に平衡水分に達するような場合には、調湿・乾燥装置は不要である。
しかし、塗布速度が速く、紙水分が高い場合は、光沢ロールから剥離してワインダーまでの間に、調湿装置を有する調湿工程又は乾燥装置を有する乾燥工程が必要である。調湿又は乾燥装置の能力や仕様は、記録体が剥離された時点で持っている水分と平衡水分との差及び塗布速度により、適宜設定される。記録体の水分を平衡水分まで調湿する場合、その水分変化は可能な限り穏やかにするのが好ましい。水分を急激に変化させた場合、塗布層がひび割れたり記録体に強いカールが発生する可能性がある。したがって、常温・常湿の空気中で、調湿に十分な時間を確保するのが最良である。塗布速度が速く、又は空間的な制約で十分な場所を確保できない場合、常温・低湿の空気を満たしたボックスの中を通すのが良い。それでも不足の場合は、ボックス内の温度を上げ、高温・低湿とする必要がある。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%である。
(基材の製造)
《基材A》
CSF(JIS P−8121)が250mlまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、CSFが250mlまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して分散させた。
上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量180g/m、密度1.0g/cmの原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したもので、このサイズプレス液を紙の両面に、合計で25ml/m塗布して、基材A(透気度:1000秒)を得た。
《基材B》
上記基材Aの原紙の両面に、コロナ放電処理した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、支持体Aのフェルト面側に、塗工量25g/mとなるようにして、またポリオレフィン樹脂組成物2を、支持体Aのワイヤー側に、塗工量20g/mとなるように、T型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)で塗布し、フェルト面側を鏡面のクーリングロール、ワイヤー面側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P8138)が93%の樹脂被覆した基材Bを得た。
(ポリオレフィン樹脂組成物1)
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、チバガイギー社製)0.03部、群青(商品名:青口群青NO.2000、第一化成社製)0.09部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.3部を混合し、ポリオレフィン樹脂組成物1とした。
(ポリオレフィン樹脂組成物2)
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)35部を溶融混合し、ポリオレフィン樹脂組成物2とした。
《基材C》
ポリプロピレン合成紙(商品名:ユポGWG−140、ユポコーポレーション社製)
《基材D》
木材パルプ(LBKP;ろ水度400mlCSF)100部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、エンゲルハート社製)5部、アルキルケテンダイマー0.05部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量140g/mの紙基材を製造した。
(下塗り層用塗料の調製)
《下塗り層用塗料a》
市販ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロジェット703A、平均1次粒子径:12nm、平均2次粒子径:約300nmの20%水分散液の固形分100部に対して、固形分として15部分の完全けん化ポリビニルアルコール〔商品名:PVA−140H、重合度=4000、けん化度=99%以上、クラレ社製〕の8%水溶液と、固形分として0.05部分のオルフィンE1004の0.1%水溶液並びに希釈水を混合し、固形分濃度16%の下塗り層用塗料を調製した。
《下塗り層用塗料b》
下記に示す合成非晶質シリカとゼオライトをそれぞれ水に分散し、30%の水分散液とした。更に下記に示すシリル変性ポリビニルアルコールの10%水溶液を調製し、その他材料とともに下記の固形分比率で順次混合し、固形分濃度17%の下塗り用塗料bを調製した。
(下塗り層用塗料bの処方)
合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−60、平均二次粒子径6.0μm、一次粒子径15nm、トクヤマ社製)と80部、ゼオライト(商品名:トヨビルダー、平均粒子径1.5μm、トーソー社製)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、クラレ社製)20部、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド重縮合体(商品名:ユニセンスCP−104、平均分子量20万、センカ社製)15部、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド重縮合体(商品名:ユニセンスCP−101、平均分子量2万、センカ社製)5部、蛍光染料(商品名:Whitex BPSH、住友化学社製)2部。
(インク受容層用塗料の調製)
《インク受容層用塗料A》
イオン交換水880gにカチオン樹脂として5員環アミジン構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合物の10%水溶液(商品名:ハイマックスSC700、平均分子量約30万、10%水溶液pH=2.21、ハイモ株式会社製)を89g添加攪拌し、ついで気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、平均一次粒子径10nm、トクヤマ社製、比表面積300m/g)111gを分散する。この混合分散液にマイクロフルイタイザー(マイクロフルイディックス社製、型番:M110/EH)による粉砕分散処理を50MPaで1回施し、50℃で3日間加温処理を行った。こうして得られた固形分濃度12%のカチオン化シリカゾルAを製造した。この状態のカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は3.6で、細孔容積は1.4ml/gであった。
このカチオン化シリカゾルAの固形分100部に対して、固形分15部となるように前述の完全けん化ポリビニルアルコール8%水溶液と、固形分0.05部となるようにアセチレンジオールのエチレンオキサイド(4モル)付加物(日信化学工業株式会社製、オルフィンE1004)の0.1%水溶液並びに希釈水を混合し、固形分濃度8%のインク受容層用塗料Aを調製した。
(微細顔料の平均二次粒子径測定方法)
微細顔料の水分散液100mlを500ml容のステンレス製カップに入れ、特殊機化工業社製、T.K.ホモディスパーを用いて分散処理(3000rpm、5分間)し、水分散液中の3次粒子を分散した。処理後の分散液を充分に蒸留水で希釈して試料液とし、動的光散乱法によるレーザー粒度計〔大塚電子社製、FPAR−1000〕を用いて、平均粒子径を測定した。平均粒子径はキュムラント法を用いた解析から算出される値を用いた。
(カチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)測定方法)
イオン交換水にて1.5重量%に希釈したカチオン化シリカゾルを調製した。島津製作所株式会社製紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100PC)を使用して、波長460〜700nmの範囲の吸光度を測定し、Journal Ceramic Society of Japan 101[6]707−712(1993)に準じて、log(波長)とlog(吸光度)をプロットして最小二乗法を用いて傾き「−n」を求めた。
《インク受容層用塗料B1》
カチオン化シリカAを調製した際に使用したハイマックスSC700の代わりに、5員環アミジン構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合物(商品名:ハイマックスSC700L、平均分子量約15万、10%水溶液pH=2.25、ハイモ株式会社製)の10%水溶液を使用したこと以外は同様の方法でカチオン化シリカゾルB1を調整した。この状態のカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は3.7で、細孔容積は1.4ml/gであった。
カチオン化シリカゾルAの替わりにカチオン化シリカゾルB1を用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料B1を調製した。
《インク受容層用塗料B2》
イオン交換水880gの代わりに、イオン交換水855gと1N水酸化ナトリウム水溶液25gの混合液を使用した事以外はインク受容層用塗料B1と同様にしてカチオン化シリカゾルB2を調整した。この状態のカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は3.4で、細孔容積は1.4ml/gであった。
カチオン化シリカゾルAの替わりにカチオン化シリカゾルB2を用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料B2を調製した。
《インク受容層用塗料B3》
イオン交換水880gの代わりに、イオン交換水830gと1N水酸化ナトリウム水溶液50gの混合液を使用した事以外はインク受容層用塗料B1と同様にしてカチオン化シリカゾルB2を調整した。この状態のカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は2.8で、細孔容積は1.4ml/gであった。
カチオン化シリカゾルAの替わりにカチオン化シリカゾルB3を用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料B3を調製した。
《インク受容層用塗料B4》
SiO濃度30%、SiO/NaOモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液(商品名:三号珪酸ソーダ、トクヤマ社製)に蒸留水を混合し、SiO濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂〔商品名:ダイヤイオンSK−1BH、三菱化学社製〕が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。得られた活性ケイ酸水溶液中のSiO濃度は4.0%、pHは2.9であった。
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計450g添加し、シード液を調製した。このシード液中のシード粒子の物性は、平均二次粒子径184nm、比表面積832m/g、細孔容積0.60ml/g、細孔径4nmであった。
上記のガラス製反応容器中で、950gの上記シード液に対しアンモニアを0.015モル添加し安定化させ、100℃に加温した。このシード液に対して、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計550g添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱還流を行い、微細シリカ分散液を得た。分散液は青みを帯びた透明溶液であり、pHは7.2であった。この微細シリカ分散液の性状は、平均二次粒子径130nm、比表面積257m/g、細孔容積1.0ml/g、細孔径16nmであった。この分散液をエバポレーターでシリカ濃度10%に濃縮した。
この分散液の固形分100部に対して8部の前述のハイマックスSC700Lの10%水溶液を添加し、前述のマイクロフルイタイザーで、平均粒子径(平均二次粒子径)が376nmになるまで繰り返し粉砕分散し、カチオン化シリカゾルB4を得た。この状態でカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は3.5で、細孔容積を測定したところ0.9ml/gであった。
カチオン化シリカゾルAの替わりにカチオン化シリカゾルB4を用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料B4を調製した。
《インク受容層用塗料B5》
市販沈降法シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均一次粒子径10nm、比表面積280m/g、平均二次粒子径4.5μm、トクヤマ社製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmからなる10%分散液を調製した。該分散液に前述のハイマックスSC700L10%水溶液を該シリカの固形分100部に対して8部を添加し、顔料の凝集と、分散液の増粘を起こさせた後、再度ナノマイザーを用いて、粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmからなる10%分散液を調製しカチオン化シリカB5を得た。この状態のカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は2.8で、細孔容積は1.6ml/gであった
カチオン化シリカゾルAの替わりにカチオン化シリカゾルB3を用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料B5を調製した。
《インク受容層用塗料C》
ハイマックスSC700の代わりに、5員環アミジン構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合物(商品名:ハイマックスSC700M、平均分子量約2万、10%水溶液にpH=4.01、ハイモ株式会社製)の10%水溶液を使用したこと以外はカチオン化シリカゾルAと同様の方法でカチオン化シリカゾルCを調製した。この状態のカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は3.1で、細孔容積は1.4ml/gであった。
カチオン化シリカゾルAの替わりにカチオン化シリカゾルCを用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料Cを調製した。
《インク受容層用塗料D》
ハイマックスSC700の代わりに、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド重縮合体(商品名:ユニセンスCP−105、平均分子量約40万、10%水溶液pH=6.28、センカ社製)の10%水溶液を使用したこと以外はカチオン化シリカゾルAと同様の方法でカチオン化シリカゾルDを調製した。この状態のカチオン化シリカゾルの光散乱指数(n値)は3.5で、細孔容積は1.4ml/gであった。
カチオン化シリカゾルAの替わりにカチオン化シリカゾルDを用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料Dを調製した。
《インク受容層用塗料E》
イオン交換水880gに前述のレオロシールQS−30を120g分散し、カチオンシリカゾルAと同条件で粉砕分散処理しシリカゾルEを調製した。この状態のシリカゾルの光散乱指数(n値)は3.6で、細孔容積は1.6ml/g、平均粒子径(平均二次粒子径)は228nmであった。
カチオン化シリカゾルAの替わりにシリカゾルEを用いたこと以外はインク受容層用塗料Aと同様にして、固形分濃度8%のインク受容層用塗料Eを調製した。
実施例1
基材Bのポリオレフィン樹脂組成物1をラミネートした側(原紙のフェルト面側)に下記条件下でコロナ放電処理を行なった。
(コロナ処理条件)
高周波電源:春日電気社製、AGI−021(出力電力量=1kW)
コロナ電極:春日電気社製、アルミ5型6山(電極長500mm)処理速度15m/分
この処理面に、インク受容層用塗料Aを乾燥質量で塗工量が25g/mとなるように塗工した。これに直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量30kGyの電子線を照射した。照射後の塗工面に触ったところ塗料はゼリー状の固体となっており、ハイドロゲルとなったことがわかった。これを110℃で10分間熱風乾燥して多孔質のインク受容層を形成し、インクジェット記録体を得た。
実施例2
インク受容層用塗料Aにアセチレンジオールのエチレンオキサイド(4モル)付加物を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
実施例3
インク受容層用塗料Aをインク受容層用塗料B1に代えた以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
実施例4
インク受容層用塗料Aをインク受容層用塗料B2に代えた以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
実施例5
インク受容層用塗料Aをインク受容層用塗料B3に代えた以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
実施例6
実施例4で形成した多孔質インク受容層上に、単分散体コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、平均粒子径:0.045μm)固形分100部に対して、離型剤(オレイン酸アンモニウム)を固形分5部添加した固形分濃度5%の光沢層用塗料を塗工し、湿潤状態にあるうちに、表面温度95℃としたクロム鍍金仕上げした鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接し光沢層を形成したのち、100℃、10分間熱風乾燥して、インクジェット記録体を得た。
実施例7
市販のフュームドアルミナ(商品名:PG003、CABOT社製、平均粒子径:150nm、スラリー濃度:40%)固形分100部に対して、離型剤(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)を固形分5部添加した固形分濃度5%の光沢層用塗料を使用したこと以外は実施例6と同様の方法でインク受容層と光沢層を形成し、インクジェット記録体を得た。
実施例8
インク受容層用塗料B2をインク受容層用塗料B4に代えた以外は、実施例6と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
実施例9
インク受容層用塗料B2をインク受容層用塗料B5に代えた以外は、実施例6と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
実施例10
実施例1と同様にしてハイドロゲル化したインク受容層用塗料B2の塗工層を乾燥せずに、カチオン塗布液としてPAA−10C(日東紡社製、分子量約1.5万、ポリアリルアミン)の固形分濃度2%水溶液(pH=11.0)を乾燥質量で塗工量が0.5g/mとなるように積層塗工した後、110℃で10分間熱風乾燥し、多孔質のインク受容層を形成した。この上に実施例6と同様にして光沢層を形成し、インクジェット記録体を得た。
実施例11
実施例4で得られた多孔質のインク受容層の上に、実施例10で使用したカチオン塗布液を乾燥質量で塗工量が0.5g/mとなるように積層塗工した後、乾燥しないまま実施例6と同じ方法で光沢層を形成しインクジェット記録体を得た。
実施例12
実施例4で得られた多孔質のインク受容層の上に実施例10で使用したカチオン塗布液を乾燥質量で塗工量が0.5g/mとなるように積層塗工した後、80℃で2分間熱風乾燥した。この上から実施例6と同じ条件で光沢層を形成しインクジェット記録体を得た。
実施例13
基材Bのポリオレフィン樹脂組成物1をラミネートした側(原紙のフェルト面側)に、下塗り層用塗料aを乾燥質量で塗工量が5g/mとなるように塗工後、110℃で5分間熱風乾燥した。この処理面側に実施例6と同様の方法でインク受容層と光沢層を形成してインクジェット記録体を得た。
実施例14
基材Bを基材Aに代え、コロナ処理を実施せず、フェルト面側に直にインク受容層用塗料B2を塗布したこと以外は実施例6と同様の方法でインク受容層と光沢層を形成してインクジェット記録体を得た。
実施例15
基材Bを基材Cに代え、コロナ処理を実施した面側にインク受容層用塗料B2を塗布したこと以外は実施例6と同様の方法でインク受容層と光沢層を形成してインクジェット記録体を得た。
実施例16
基材Dのフェルト面側に、下塗り層用塗料bを乾燥質量で塗工量が5g/mとなるように塗工後、110℃で2分間熱風乾燥した。この処理面側に実施例4と同様にして多孔質のインク受容層を形成した。この上に前述の単分散体コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、平均粒子径:0.045μm)固形分100部に対して、接着剤としてカチオン変性アクリルエマルションラテックス(三井化学社製、XOM−3020)5部と、離型剤(オレイン酸アンモニウム)を固形分5部添加した固形分濃度5%の光沢層用塗料を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法で光沢層を形成してインクジェット記録体を得た。
比較例1
インク受容層用塗料B2を塗工後、電子線を照射せずに直ちに110℃で熱風乾燥したこと以外は実施例6と同様にしようとしたが、塗工層がひび割れて基材から剥離してしまったため、その後の処理は実施できなかった。
比較例2
実施例4と同様の方法でコロナ処理を実施した基材Bに、インク受容層塗料B2のポリビニルアルコールを感温性ポリマー(商品名:ALB−221、旭化成社製、感温点:24℃)に代えた塗料を乾燥質量で塗工量が25g/mとなるように塗工した後、電子線を照射せずに直ちに110℃で熱風乾燥したところ、塗工層がひび割れて一部が基材から剥離してしまったため、その後の処理は実施できなかった。
比較例3
実施例13と同様の方法で、下塗り層用塗料aを乾燥質量で塗工量が5g/mとなるように塗工した。この塗工面に3.0%硼砂水溶液を塗工量が0.60g/mとなるように塗工し、更にインク受容層用塗料B2を乾燥重量で塗工量が25g/mとなるように塗工した後、電子線を照射せずに直ちに110℃で熱風乾燥したが、塗工層がひび割れて一部が基材から剥離してしまったため、その後の処理は実施できなかった。
比較例4
インク受容層用塗料B2をインク受容層用塗料B3に代えた以外は、比較例3と同様の方法でインクジェット記録体を得た。この塗工層には、部分的にひび割れが生じていたが、その上に実施例6と同様の方法で光沢層を設け、インクジェット記録体を得た。
比較例5
インク受容層用塗料B2をインク受容層用塗料Cに代えた以外は、実施例6と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
比較例6
インク受容層用塗料B2をインク受容層用塗料Dに代えた以外は、実施例6と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
比較例7
インク受容層用塗料B2をインク受容層用塗料Eに代えた以外は、実施例6と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
比較例8
インク受容層用塗料Bをインク受容層用塗料Eに代え、カチオン塗布液として前述のハイマックスSC700Lの固形分濃度2%水溶液を乾燥質量で塗工量が0.5g/mとなるように塗工したこと以外は、実施例12と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
(評価方法)
実施例及び比較例で得たインクジェット記録体を下記の方法で評価し、各記録体の作製条件を表1に、評価結果を表2に示した。
(塗膜面質)
目視評価にて、下記の5段階に評価した。但し、僅差の場合は中間点(0.5点)を設けた。
5点:目視光沢感が高く、面質も平滑感がある。ひび割れはない。
4点:目視光沢感、平滑感はやや劣るが、写真調の質感レベルは満たしている。ひび割れは見られない。
3点:塗工層表面に、ボコツキや小さなひび割れなどのムラや不均一性がやや見られる。
2点:比較的大きなひび割れが見られる。
1点:ひび割れのため、塗工層の一部が基材から剥がれたため、成膜しきれなかった。
(塗膜の白色度)
色差計(スガ試験機製、分光白色度測色計SC−10WN、C光源、2°視野を用い、ISO 2470に基づいて測定した。
(インク吸収速度の評価)
ISO環境(23℃、湿度50%)で各サンプル試料に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタPM−G820(染料インク搭載機)のEPSON写真用紙設定と、キャノン株式会社製インクジェットプリンタ PIXUS4100i(プロフォトペーパー推奨設定)の2機種のプリンタで3cm×3cmのグリーンベタを出力し、印字部の均一性を目視評価した。吸収性の劣るものはムラが生じる。ムラは、先に打ち込まれたインクが、完全に記録体に吸収されないうちに次のインクが打ち込まれた場合に生じる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
5点:ムラなく均一に印字されている。
4点:ややムラが見られるが、ほぼ均一に見える。
3点:ムラが見られる。
2点:印字終了時に記録紙表面にインクの液滴は残っていないが、ムラが目立つ。
1点:印字終了時に記録紙表面にインクの液滴が残っており、吸収した後もムラが目立つ。
(画像の耐熱湿にじみ評価)
L判サイズ(89mm×127mm)に切り取った各記録体を30℃、湿度80%の環境でセイコーエプソン社製インクジェットプリンタPM−970C(染料インク搭載機)のEPSON写真用紙推奨・L判縁無し設定によりJIS−X9204「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/SCID」画像識別番号:N1の画像を1サンプルにつき2枚ずつ続けて出力した。2枚目出力後、排出トレイに2枚重なって出力された記録体をそのままアクリル板の上に移し、その上にL判サイズの厚さ5mmのアクリル板を重ねて静置した。24時間後、1枚目に出力した記録体を取り出してISO環境中で24時間乾燥させた。
ISO環境で1サンプルにつき1枚ずつ同設定条件で出力後、積層せずに24時間乾燥させた通常画像と共に、下記指標をもとに画質を5段階に評価した。
5点:積層画像ににじみは無く、色調も通常画像とほぼ同じで鮮明である。
4点:積層画像ににじみは無い。通常画像と比較すると淡色部の色調が微妙に異なるが、不自然さはなく差違は比較しないと判別できない程度で鮮明である。
3点:積層画像に若干のにじみがある。通常画像と比較すると色調が全体的に異なる。
2点:積層画像ににじみがひどく、色調も色が沈んで不自然な印象がある。
1点:積層画像はにじみが激しく画像が破綻している。通常画像も鮮明性に欠ける。
Figure 2007062129
Figure 2007062129
表1及び表2の実施例1〜16から明らかなように、本発明により塗膜の白色度が高く、且つインクの吸収速度や画像保存性に優れた、画像のにじみが少ない高品質の銀塩写真調光沢インクジェット記録体が得られた。本発明のインクジェット記録体は、主として多孔質インク受容層によりインクを吸収するが、この塗工層を設けただけでもある程度の写真調質感を満たし、インク吸収速度が速く且つ画像適性にも優れた塗膜が得られた(実施例1〜5)。更に光沢層を形成することにより、より高光沢の写真調質感が得られただけでなく(実施例6〜16)、カチオン塗布を実施することにより高速連続印刷にも耐えうる定着能力を付与することも出来た(実施例10〜12)。この画像の定着能力は、カチオン塗布だけでなく、紙などの吸収性基材を用いたり、下塗り層によりインク吸収能力を増加させても、大幅な向上が可能であった(実施例13、14、16)。
一方、比較例1〜3に示したように活性エネルギー線を照射せずにインク受容層を形成すると、ひび割れにより塗工層が剥離した(比較例1〜3)。近年、インクジェット記録紙のインク受容層のひび割れ制御のため、架橋剤として広く用いられているホウ砂化合物でも充分なひび割れ制御が出来なかったのは、本発明で使用されるカチオン樹脂の安定pH域が、ホウ砂架橋の最適pH領域とずれているためだと考えられる。そこで、塗工層の透明性が極端に低下しない範囲でpHを調製した塗料を用いたところ、塗工層が剥離はしなかったものの、ひび割れを完全には抑制することはできなかったため、塗膜外観が悪化した(比較例4)。また、5員環アミジン構造単位は含有しているが本発明の規定から逸脱する重量平均分子量を有するカチオン樹脂を使用した場合、塗膜の白色度が低下したため一般的なインクジェット用紙としては支障があるものとなった(比較例5)。本発明の規定とは構造の異なる4級カチオン樹脂を用いたり、カチオン樹脂を添加しなかった場合、塗膜の白色度は維持されたが、本発明のインクジェット記録紙に比べると画像の定着性やインク吸収速度が劣った(比較例6、7)。また、本発明の規定に該当するカチオン樹脂を、カチオン塗布液としてアニオン性の受容層に後添加しようと試みたが、高分子量由来による高粘度の影響もあり、カチオン樹脂を均一に塗工層中に含浸することはできなかったため、本発明のインクジェット記録体の性能には達しなかった(比較例8)。
塗布装置の概略図を示したものである。
符号の説明
1:インクジェット記録体
2:基材
3:インク受容層
4:塗布液
5:光沢ロール
6:プレスロール
7:塗布液層
8:光沢層
9:ドライヤー




Claims (7)

  1. 基材上に、微細顔料と、少なくとも5員環アミジン構造単位を含有する重合体またはその誘導体であり、重量平均分子量が4万〜40万である水溶性カチオン樹脂と、水溶液に活性エネルギー線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含む水性塗料を塗布し、ついで活性エネルギー線を照射して該水性塗料塗工層をハイドロゲル化させた後、乾燥して得られることを特徴とする多孔質インク受容層を有するインクジェット記録体の製造方法。
  2. 前記多孔質インク受容層となる層上に、光沢層用塗布液を塗布し、ついで該光沢層用塗布液層が光沢ロールと接するようにプレスロールでプレスし、該塗布液層を乾燥して光沢層を形成して得られることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  3. 前記多孔質インク受容層となる層上もしくは前記光沢層上に、カチオン性を有する化合物を含む水溶液を塗布、乾燥して得られることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
  4. 前記基材が、少なくともインク受容層を形成する側に顔料とバインダーを含有する下塗り層を有する基材であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
  5. 前記水性塗料がアセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリエチレンオキサイド付加物などの界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
  6. 前記水性塗料に含まれる微細顔料が、前記水溶性カチオン樹脂と複合化された平均粒子径500nm以下のカチオン化シリカであり、その水分散液の1.5質量%水分散液に希釈した状態の光散乱指数(n値)が3.0以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
  7. 前記活性エネルギー線として電子線を照射することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。




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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010523861A (ja) * 2007-04-12 2010-07-15 ライト−オン−イット! エルエルシー ラベルシステム

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