JPH11180035A - インクジェット記録シート及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録シート及びその製造方法

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JPH11180035A
JPH11180035A JP9353105A JP35310597A JPH11180035A JP H11180035 A JPH11180035 A JP H11180035A JP 9353105 A JP9353105 A JP 9353105A JP 35310597 A JP35310597 A JP 35310597A JP H11180035 A JPH11180035 A JP H11180035A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性に優れ、かつインク乾燥性、画質など
にも優れるインクジェット記録用シートを提供する。ま
た優れた品質を備え、且つOHPシート等の用途に好適
な透明タイプのインクジェット記録用シートを提供す
る。 【解決手段】 ポリアルキレンオキサイドと相溶性が高
く、ラジカル重合性の不飽和結合を有さない水溶性樹脂
と、ポリアルキレンオキサイドとの混合物を主成分とし
て含有する水性組成物を基材シートに塗布し、次いで電
子線を照射してハイドロゲルを形成させたのち乾燥させ
ることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクを使用
するインクジェットプリンター用の記録シートに関し、
耐水性に優れ、かつインク乾燥性、画質などにも優れ、
さらに透明性が必要とされるOHPシートに適したイン
クジェット記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピューターなどの出力用とし
て、ワイヤードット記録方式、感熱発色記録方式、溶融
熱転写記録方式、昇華記録方式、電子写真方式、インク
ジェット記録方式などの種々の方式が開発されている。
この中でインクジェット記録方式は、記録用シートとし
て普通紙を使用できること、ランニングコストが安価な
こと、ハードウェアがコンパクトで安価なことから、パ
ーソナルユーズに適した記録方式として認知されてい
る。さらに近年、フルカラー化及び高解像度化が達成さ
れたことによりカラー画像の手軽な出力手段としても注
目され、広く普及しつつある。
【0003】オーバーヘッドプロジェクター(以下OH
Pと略す)は会議、講演会などに広く使用されるが、近
年OHPにおいてもカラー表示の要望が強く、このた
め、OHP用のインクジェット記録シートが検討されて
いる。OHP用のインクジェット記録シートはポリエチ
レンテレフタレートなどの透明フィルムに透明なインク
受容層を設けたものが使用される。インクジェット記録
方式では、染料、有機溶媒、添加剤等を水に溶解したイ
ンクが使用されるため、OHP用の記録シートは透明フ
ィルムにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、水溶性セルロース誘導体、ゼラチンなどの水溶性高
分子によるインク受容層を設けたものが多く、かつ実際
に市販されている。
【0004】インク受容層に要求される性質としては、
精細な文字又は画像を再現できること、画像の色濃度が
高くかつ色調に偏りがないこと、印字後素早く乾燥する
こと、印字した画像が保存期間中に劣化しないこと、積
層状態で保存してもブロッキングを生じないことなどが
要求される。
【0005】また、高湿度条件で粘着性が生じたり、水
と接触した場合に印字面が溶解してしまったり、印字さ
れた文字や画像が滲んだりしないように耐水性が高いこ
とも必要である。この耐水性をインク受容層に付与する
ことはかなり困難な課題であって、上記した水溶性高分
子によるインク受容層は、元来水溶性であるから、耐水
性は全くない。耐水性を高めるために架橋剤を用いて水
溶性高分子を架橋することは一般的に行われている技術
である。しかし本発明者らの検討結果によれば、水溶性
高分子を架橋して水に不溶とすることによって、耐水性
を付与しようと試みても、インクを吸収しなくなって画
質が極端に悪化する傾向があることがわかった。画質を
保つためには架橋を弱くする必要があり、その結果、耐
水性は不十分なものとなった。この現象はどのような架
橋剤を用いようとも同様の結果であった。
【0006】架橋によらずにインク受容層に耐水性を付
与する方法もいくつか提案されている。例えば特開昭5
7−102391号公報では、親水性高分子と親油性高
分子を混合する方法が提案されているが、親水性高分子
と親油性高分子が相溶しにくいためにインク受容層の透
明性が悪くなるという問題がある。また特公平5−23
597号公報ではポリビニルアセタールからなることを
特徴とするインクジェット記録シート用樹脂が開示され
ている。この方法では、同一の高分子鎖の中に、親水性
の官能基と親油性の官能基が導入されているため、特開
昭57−102391号公報の場合のような相溶性の問
題はなく、透明でありかつ耐水性が高いインク受容層が
得られるという特徴がある。しかしこのインクジェット
用樹脂は水溶性ではないため、水と有機溶媒の混合物に
溶解して塗工しなければならないという欠点があり、ま
たインクの乾燥時間が比較的長いという問題もある。
【0007】また電子線や紫外線などの活性エネルギー
線を用いる方法も提案されている。例えば特開平1−2
29685号公報では水溶性樹脂、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、及び水を必須成分とする
組成物を活性エネルギー線で架橋させた耐水性の高い受
容層を有するインクジェット記録シートが提案されてい
る。また特開昭62−94380号公報では光重合性二
重結合を有するカチオン系合成樹脂を含む樹脂組成物を
活性エネルギー線で硬化させた受容層を設けたインクジ
ェット記録シートが開示されている。さらに特開平1−
286886号公報では電離放射線硬化型の親水性モノ
マー又は/及び親水性オリゴマーの溶液を溶媒を含んだ
状態で電離放射線を照射することにより硬化させた受容
層を有するインクジェット記録シートが示されている。
これらの従来技術に共通することは活性エネルギー線に
よりラジカル重合する二重結合を含む組成物を基材シー
トに塗工後、活性エネルギー線を照射して重合及び架橋
を行って受容層を形成するものである。確かにこれらの
方法では耐水性に富む受容層が得られるが、インクジェ
ットプリンターで印字した場合の画質が劣るという欠点
がある。その理由としては架橋密度が高くなりやすいこ
と、及び重合時間が短いために高分子量のポリマーが生
成しにくいためと推定される。
【0008】二重結合を含まない樹脂組成物を活性エネ
ルギー線で照射して架橋することにより、耐水性の高い
受容層を形成する試みも知られている。例えば特開平7
−81211号公報では水溶性ポリマーのみを含む溶液
を基材シートに塗工し乾燥後、電子線を照射して受容層
を形成する実施例が含まれている。しかしながら本発明
者等の検討結果では10Mrad程度の少ない電子線照
射量で架橋し、水不溶性となる水溶性樹脂はごく種類が
限られていること、十分に架橋を行う場合にはラジカル
反応性の親水性モノマーを併せて用いたり、水溶性ポリ
マー中にラジカル反応性不飽和基を導入する必要がある
ことがわかった。また特開平8−267905号公報に
は基材シート上にポリビニルピロリドンと水性電子線硬
化型化合物を主成分とする電子線硬化した内層を設け、
その上にポリアルキレンオキシド系水溶性高分子の水溶
液を塗工後、乾燥しないうちに電子線を照射し乾燥させ
て外層を設けた二層構成の受容層が含まれている。この
方法では耐水性が高く、画質が良好なインクジェット記
録シートが得られるものの、塗工と電子線照射を2回行
わなければならず生産性が低いという欠点がある。ま
た、ポリアルキレンオキシドは画像の「にじみ」という
問題もある。
【0009】本発明者等は特願平9−324363にお
いてラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液
に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する
水溶性樹脂を主成分として含有する水性組成物を基材シ
ートに塗布し、次いで電子線を照射してハイドロゲルを
形成させたのち乾燥させてなるインク受容層を有するこ
とを特徴とするインクジェット記録シートを提案してい
る。この方法では高い耐水性が得られるが、インク吐出
量が増えている最近のインクジェットプリンターでは画
質とインクの乾燥時間の更なる改良が望ましかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水性
インクを使用するインクジェットプリンター用の記録シ
ートにおいて、特願平9−324363をさらに改良す
ることによって従来技術が有している欠点を改善し、耐
水性に優れ、かつインク乾燥性、画質などにも優れ、さ
らに透明性が必要とされるOHPシートに適したインク
ジェット記録シートを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため下記の構成を採用する。即ち、本発明の第1の
発明は「ポリアルキレンオキサイドと相溶性が高く、ラ
ジカル重合性の不飽和結合を有さない水溶性樹脂と、ポ
リアルキレンオキサイドとの混合物を主成分として含有
する水性組成物を基材シートに塗布し、次いで電子線を
照射してハイドロゲルを形成させたのち乾燥させること
を特徴とするインクジェット記録シートの製造方法」で
ある。
【0012】本発明の第2の発明は、「上記第1の発明
においてポリアルキレンオキサイドと相溶性が高く、ラ
ジカル重合性の不飽和結合を有さない水溶性樹脂がカチ
オン性ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルピ
ロリドン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性
ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性メチルセルロ
ース、カチオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導体か
ら選ばれる単独または二種類以上の混合物であるインク
ジェット記録シートの製造方法」である。
【0013】また、本発明の第3の発明は、上記第1の
発明または第2の発明のいずれかに記載の方法により製
造され、かつ、基材シートが透明であるインクジェット
記録シートである。
【0014】本発明者らはインクジェット記録シートの
画質とインク乾燥時間を改良することを種々検討したと
ころ、大部分の水溶性樹脂はインク吐出量が多い最近の
インクジェットプリンターでは画質やインク乾燥性が不
十分であったが、ポリアルキレンオキサイドは良好な画
質と十分なインク乾燥性を達成できることがわかった。
しかし、ポリアルキレンオキサイドは印字された画像が
経時的に滲むという重大な欠点があり、また球晶が生成
する性質があるので受容層の透明度が低く、OHPシー
トには向かなかった。ポリアルキレンオキサイドのこの
ような欠点を改善するために各種の水溶性樹脂を混合し
ても、ポリアルキレンオキサイドは他の水溶性樹脂との
相溶性が悪く、透明度が著しく低い受容層しか得られな
い場合が多かった。しかし、ポリアルキレンオキサイド
と相溶性が高い特定の樹脂が存在すること、かつその水
溶性樹脂が、ラジカル重合性の不飽和結合を有さずかつ
水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形
成できる場合には、該水溶性樹脂とポリアルキレンオキ
サイドの混合物を主成分とする水性組成物を基材シート
に塗布し、ついで電子線を照射してハイドロゲルとさせ
た後、乾燥してインク受容層とすると上記したポリアル
キレンオキサイドの欠点がなく、耐水性に優れ、かつ良
好な画質と十分なインク乾燥性を達成できることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に使用される水溶性樹脂
は、ポリアルキレンオキサイドと相溶性が高く、ラジカ
ル重合性の不飽和結合を有さない水溶性樹脂である。当
該水溶性樹脂は、単独でその水溶液に電子線を照射した
時にハイドロゲルを形成することが望ましいが、そうで
なくても、ポリアルキレンオキサイドとの混合水溶液に
電子線照射した時にハイドロゲルを形成するものであれ
ば良い。水溶性樹脂水溶液に電子線を照射したときにハ
イドロゲルを形成するか、形成しないかは分子構造によ
って決まるものと思われるが、現在のところ規則は見い
だされていない。
【0016】また本発明では水溶性樹脂とポリアルキレ
ンオキサイドを水溶液状態で混合したときに均一な溶液
となることが必要であるが、ポリアルキレンオキサイド
と他の水溶性樹脂の相溶性に関しても明確な規則性は見
出されていない。しかし概して、水溶性樹脂のイオン性
が高いとポリアルキレンオキサイドとの相溶性が高い傾
向にあり、水溶性樹脂の種類毎に異なるので厳密に規定
することは出来ないが、混合される水溶性樹脂のイオン
性に関しても、低すぎるとポリアルキレンオキサイドと
の相溶性が悪化するため好ましくない。
【0017】好ましい水溶性樹脂の例としてカチオン性
ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルピロリド
ン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ヒドロ
キシエチルセルロース、カチオン性メチルセルロース、
カチオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラ
チン、カゼイン及びこれらの水溶性誘導体が挙げられ
る。これらの水溶性樹脂を単独であるいは二種類以上で
ポリアルキレンオキサイドと混合使用することができ
る。
【0018】これらの樹脂の中でカチオン性の樹脂はイ
ンク中の染料の定着能力が大きいためインク乾燥性、耐
水性の面で有利であり、さらにカチオン性ポリビニルア
ルコールは、インク吸収性も良好であるため本発明に好
適に用いられる。カチオン性ポリビニルアルコールのけ
ん化度は70モル%以上が適しており、カチオン性基の
含有量は全モノマー当たり0.05〜40モル%が好ま
しく、更に好ましくは0.1〜20モル%が適してい
る。
【0019】上記の水溶性樹脂の水溶性誘導体は特に限
定するものではないが、各種のモノマーが共重合やグラ
フト重合された誘導体や、樹脂が有している水酸基、ア
ミノ基、アミド基、カルボキシル基を例えばエーテル
化、エステル化、アミド化、アセタール化して得られる
誘導体、及び架橋剤により部分的に架橋された誘導体な
どを例示することができる。
【0020】上記の水溶性樹脂の好ましい分子量は高分
子の種類毎に異なるので一概にいえないが、例えば1万
〜100万である。
【0021】例として挙げた水溶性樹脂の他に、ポリア
クリル酸ナトリウムの如きアニオン性樹脂の中にも、ポ
リアルキレンオキサイドと相溶性が高く、ラジカル重合
性の不飽和結合を有さず、かつポリアルキレンオキサイ
ドとの混合水溶液に電子線を照射することによりハイド
ロゲルを形成する水溶性樹脂という条件を満たすものが
存在する。しかし、これらアニオン性樹脂は、酸性染料
もしくは直接染料で構成されているインクジェットプリ
ンター用インクの定着能力に欠けるため、インク受容層
の主成分としてはあまり適当ではない。
【0022】ポリアルキレンオキサイドとしてはポリエ
チレンオキサイドが好ましい。分子量は2万〜200万
が好ましく、さらに好ましくは10万〜100万であ
る。分子量が小さ過ぎると、インクジェット受容層の耐
水性が劣る傾向にあり、また球晶が大きく成長しやすい
ので、受容層の透明度が低下すると共に光沢も劣る傾向
がある。逆に分子量が高過ぎる場合には水溶液の粘度が
著しく高いので塗工が困難になるという問題点がある。
【0023】ポリアルキレンオキサイドと相溶性が高
く、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ、ポリ
アルキレンオキサイドとの混合水溶液に電子線を照射す
ることによりハイドロゲルを形成する水溶性樹脂(以
下、本発明の特定水溶性樹脂と略すこともある)と、ポ
リアルキレンオキサイドの割合は、重量比でポリアルキ
レンオキサイド:前記水溶性樹脂=5:95〜60:4
0が適当である。ポリアルキレンオキサイドの割合が5
%より小さい場合には画質およびインク乾燥時間の改善
効果が小さく、60%以上になるとインク吐出量の多い
最近のインクジェットプリンターに対してはポリアルキ
レンオキサイドの欠点である経時的に画像がにじむ現象
が現れてくるため不適である。
【0024】ポリアルキレンオキサイドと相溶性が高
く、ラジカル重合性の不飽和結合を有さない水溶性樹脂
と、ポリアルキレンオキサイドの混合物を主成分として
含有する水性組成物には必要に応じ、各成分の相溶性を
阻害しない範囲内で、各種の補助材料を添加することが
できる。例えばインク中の染料を不溶化して、インク受
容層に定着させる目的で各種のカチオン性物質、例えば
カチオン性樹脂やアルミナゾルなどを配合することは特
に好ましい。また、消泡剤を混合して塗工時の作業性を
向上したり、プラスチックフィルムの濡れ性を良くして
均一なインク受容層を得るために界面活性剤を配合する
こともできるし、シートのブロッキング防止やプリンタ
ーの通紙性向上のため、デンプンや合成樹脂粒子を混合
しても良い。
【0025】さらには、透明性を損なわない微細粒子、
例えばコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、エマル
ジョン、ラテックスを混合することもできるし、OHP
シートを目的とせず、インク受容層が透明でなくても差
し支えない場合には、各種の無機または有機の填料また
は顔料を配合しても良い。例えば、シリカ、アルミナ、
水酸化アルミナ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、二
酸化チタン、ゼオライト、酸化亜鉛、硫酸バリウムなど
が例示される。これらによりインク吸収性を更に優れた
ものとしたり、表面の光沢を調整することができる。
【0026】基材シートとしては、OHPシート等の光
透過性記録媒体として用いる態様では、透明性が優れて
いるプラスチックフィルムを用いることが望ましく、例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、
ポリカーボネート、ポリイミド、セルローストリアセテ
ート、セルロースジアセテート、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のフィルムが例示できる。
【0027】またOHPシートを目的としない記録媒体
では基材シートとしては上質紙、中質紙、コート紙、ア
ート紙、キャストコート紙、板紙、合成樹脂ラミネート
紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等の不透明基材
も使用することができる。この場合、本発明による記録
層は透明度が高いため高い色濃度を示し、かつ転写やキ
ャストなどの手段を用いなくても光沢に優れたインクジ
ェット用記録シートを得ることができる。
【0028】これらの基材シートはその表面に形成する
インク受容層との接着力が不十分な場合には下引き層を
施したり、コロナ放電処理などの各種の易接着処理を施
すことができる。基材シートの厚さはプリンターの通紙
性を考慮すると50〜500μmが好ましい。
【0029】塗工方法としては公知の塗布手段、例えば
バーコーティング法、ロールコーティング法、ブレード
コーティング法、エアーナイフコーティング法、グラビ
アコーティング法、ダイコーティング法、カーテンコー
ティング法などを用いることができる。
【0030】塗布量は乾燥後の重量として1〜50g/
2程度が望ましく、さらに好ましくは3〜20g/m2
程度である。ここで1g/m2より少ないとインクの吸
収が不十分となりやすく、50g/m2以上になるとカ
ールが発生しやすくなるし、コストもかさむので望まし
くない。
【0031】電子線の照射方式としては、例えばスキャ
ニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式
などが採用され、電子線を照射する際の加速電圧は10
0〜300kV程度が適当である。電子線の照射量は
0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが好まし
い。0.1Mrad未満ではハイドロゲルを形成するの
に不十分であり、20Mradを越えるような照射は水
溶性樹脂の着色や基材の劣化をもたらす恐れがあるため
好ましくない。
【0032】本発明においてはポリアルキレンオキサイ
ドと本発明の特定水溶性樹脂の混合物を含有する水溶液
を基材シートに塗布し、次いで電子線を照射する。電子
線の作用により水溶性樹脂の架橋反応が起こり、流動性
の無いゼリー状の状態、すなわちハイドロゲルとなる。
このハイドロゲルを乾燥することにより耐水性が高く、
且つ画質に優れたインク受容層が得られる。
【0033】電子線照射時のポリアルキレンオキサイド
と本発明の特定水溶性樹脂の混合物濃度は重要であって
2〜50重量%が適当であり、さらに好ましくは3〜3
0重量%である。ハイドロゲルが形成されるためには混
合された水溶性樹脂の分子が互いに接触していることが
必要条件であるので、濃度が高いほど、または分子量が
高いほど高分子鎖の重なり度合いが増えるのでハイドロ
ゲルを形成しやすい。濃度が2重量%未満であると非常
に高分子量の水溶性樹脂でないとハイドロゲルを形成し
にくいし、たとえハイドロゲルが形成されたとしても、
インク吸収に必要な塗布量を得るためには多量の水溶性
樹脂水溶液を塗布し、かつ多量の水を蒸発させなければ
ならないので現実的ではない。逆に濃度が高いと本発明
の効果が小さくなり画質が悪化する恐れもある。
【0034】本発明によって耐水性に優れ、かつインク
乾燥性、画質にも優れたインク受容層が得られる原理は
以下のように考えられる。水溶性高分子をインク受容層
とした場合に耐水性を高めるため、架橋剤を混合し、加
熱して架橋することで耐水性を高めることは一般的な技
術であるが、インクを吸収しなくなって画質が極端に悪
化する傾向があることは前述した通りである。このよう
な現象は水溶性高分子の架橋剤による架橋反応が水分の
ない乾燥した塗膜中で起こることに原因があると推定し
ている。架橋剤の反応は高温でないと、事実上起こらな
いため、水溶性高分子と架橋剤の混合水溶液を基材シー
トに塗工し、次いで高温のドライヤーを通すことによっ
て、水分を蒸発させ、次いで架橋反応を行わせる。水溶
液中では高分子は広がった分子形態をしているが、水分
のない乾燥した状態では高分子は収縮した分子形態をと
り、それが複雑に絡み合い、高分子の種類によっては部
分的に結晶化している。乾燥した状態で架橋すること
は、収縮し、絡み合い、部分的に結晶化した状態をいわ
ば“固定”することであり、水と接触しても広がった分
子形態に戻ることができないので水性インクを吸収でき
ず、画質が悪化する。
【0035】それに対し、本発明の好ましい態様では、
高分子鎖が広がった水溶液状態で架橋が起こるため、水
溶液状態の分子形態が“固定”され、乾燥後に水と接触
すると元の水溶液状態の分子形態に戻ろうとして、水を
素早く吸収することができる。即ち、本発明によるイン
ク受容層は通常の架橋剤による架橋とは網目構造が異な
るものと推定される。
【0036】さらに本発明では水溶性高分子としてポリ
アルキレンオキサイドと相溶性の高い特定の水溶性樹脂
とポリアルキレンオキサイドの混合物を主成分として用
いているので、電子線照射によって特定の水溶性樹脂同
志の架橋結合とポリアルキレンオキサイド同志の架橋結
合ばかりでなく、特定の水溶性樹脂とポリアルキレンオ
キサイド間の架橋結合も起こっていると考えられる。水
溶液状態で電子線を照射することにより、水溶性樹脂と
ポリアルキレンオキサイドは一体化していることが考え
られるので、乾燥してもポリアルキレンオキサイドは相
分離することも、球晶を形成することもできなくなり、
透明度が高い受容層が得られるものと推定される。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明は、これらの実施例によって限定される
ものではない。なお、本実施例で表示する%は重量パー
セントを意味する。
【0038】<実施例1>200ミリリットルビーカー
に水85gを入れ、分子量15〜40万のポリエチレン
オキサイド(住友精化(株)製PEO−1)15gを加
えて室温でゆっくり撹拌して完全に溶解させ、15%水
溶液を得た。次に、200ミリリットルビーカーに水8
5gを入れ、けん化度86.0〜91.0モル%、重合
度1800のカチオン性ポリビニルアルコール((株)
クラレ製CM−318)15gを加え、室温でゆっくり
撹拌して完全に溶解させて、濃度15%の水溶液とし
た。200ミリリットルビーカーに前記のポリエチレン
オキサイド水溶液20gとカチオン性ポリビニルアルコ
ール水溶液80gを入れ、素早く撹拌して完全に混合
し、ポリエチレンオキサイドとカチオン性ポリビニルア
ルコールの混合割合が20:80で合計濃度15%の混
合水溶液を用意した。この混合水溶液をスライドガラス
に一滴とり、光学顕微鏡で透過光にて倍率100倍で観
察したところ均一な溶液であった。
【0039】厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフ
タレートフィルム((株)東レ製ルミラー100−Q8
0D)上にこの樹脂混合水溶液を乾燥重量で10g/m
2になるようにバー塗工した。これを直ちに電子線照射
装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧
175kV、照射線量5Mradの電子線を照射した。
照射後の塗工面に触ったところ樹脂混合水溶液はゼリー
状の固体となっておりハイドロゲルとなったことがわか
った。これを130℃の温度で乾燥して、インクジェッ
ト記録用シートを得た。このインクジェット記録用シー
トの耐水性、画質、乾燥性及びヘイズを以下に示す方法
で試験し、結果を表1に示した。
【0040】受容層の耐水強度、画質、及びインク乾燥
性の試験法 <受容層の耐水強度>試験用シートの表面に水を1ml
滴下し、指で強くこすって塗膜が剥がれて基材シート表
面が露出するまでの時間を測定し、次の5段階に評価し
た。 5点: 5分以上 4点: 2分以上5分未満 3点: 10秒以上2分未満 2点: 10秒未満1点: 水溶性
【0041】<画質>試験用シートにインクジェットプ
リンター(EPSON製、PM−700C)でシアン、
マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色でベタ印字
(専用OHPシート印刷モード)を行って印字濃度の均
一性を目視で次の5段階に評価した。 5点: ほぼ均一である 4点: 小さい濃度ムラがあるのみ 3点: 中位の濃度ムラがある 2点: 大きな濃度ムラがある 1点: インクをはじく
【0042】<インク乾燥性>試験用シートにインクジ
ェットプリンター(EPSON製、PM−700C)で
シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色でベ
タ印字(専用OHPシート印刷モード)を行い、PPC
用紙を手で押し当てて、インクの転写の有無を調べ、転
写が無くなるまでの時間を測定し、各色の平均値を計算
して、次の5段階に評価した。 5点: 1分未満 4点: 1分以上3分未満 3点: 3分以上5分未満 2点: 5分以上10分未満 1点: 10分以上
【0043】<ヘイズ>試験用シートのヘイズを透過率
計(村上カラーリサーチラボラトリー製、HR−10
0)でC光により測定して調べた(JIS規格K710
5)。
【0044】<実施例2>200ミリリットルビーカー
にカチオン性ポリビニルピロリドン20%水溶液(ビー
エーエスエフジャパン(株)製Luviquat HM
552、分子量80万、ビニルイミダゾリウムメトク
ロライド・ビニルピロリドン共重合体)75gに水25
gを入れ、室温でゆっくり撹拌して濃度15%に希釈し
た。200ミリリットルビーカーに実施例1で使用した
分子量15〜40万のポリエチレンオキサイド(住友精
化(株)製PEO−1)15%水溶液30gと前記カチ
オン性ポリビニルピロリドン水溶液70gを入れ、素早
く撹拌して完全に混合し、ポリエチレンオキサイドとカ
チオン性ポリビニルピロリドンの混合割合が30:70
で合計濃度15%の混合水溶液を用意した。この混合水
溶液をスライドガラスに一滴とり、光学顕微鏡で透過光
にて倍率100倍で観察したところ均一な溶液であっ
た。厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレート
フィルム上にこの樹脂混合水溶液を乾燥重量で10g/
2になるようにバー塗工した。直ちに実施例1と同様
に加速電圧175kV、照射線量5Mradの電子線を
照射した。電子線照射後の樹脂混合水溶液はゼリー状の
ハイドロゲルとなっていた。これを130℃の温度で乾
燥して、インクジェット記録用シートを得た。このイン
クジェット記録用シートの耐水性、画質、乾燥性、及び
ヘイズを試験し、表1に示した。
【0045】<実施例3>200ミリリットルビーカー
に水93gを入れ、分子量60〜110万のポリエチレ
ンオキサイド(住友精化(株)製PEO−3)7gを加
えて室温でゆっくり撹拌して完全に溶解させ、7%水溶
液を得た。200ミリリットルビーカーに前記のポリエ
チレンオキサイド水溶液40gとカチオン性ポリアクリ
ルアミド(荒川化学工業(株)製ポリストロン619)
7%水溶液60gを入れ、素早く撹拌して完全に混合
し、ポリエチレンオキサイドとカチオン性ポリアクリル
アミドの混合割合が40:60で合計濃度7%の混合水
溶液を用意した。この混合水溶液をスライドガラスに一
滴とり、光学顕微鏡で透過光にて倍率100倍で観察し
たところ均一な溶液であった。厚さ100μmの透明ポ
リエチレンテレフタレートフィルム上にこの混合樹脂水
溶液を乾燥重量で10g/m2になるようにバー塗工し
た。直ちに実施例1と同様に加速電圧175kV、照射
線量5Mradの電子線を照射した。電子線照射後の混
合樹脂水溶液はゼリー状のハイドロゲルとなっていた。
これを130℃の温度で乾燥して、インクジェット記録
用シートを得た。このインクジェット記録用シートの耐
水性、画質、乾燥性、及びヘイズを試験し、表1に示し
た。
【0046】<実施例4>300ミリリットルビーカー
に水65gを入れ、カゼイン(和光純薬工業(株)製)
30gを加え、室温でゆっくり20分撹拌した。次に水
65gと28%アンモニア水6gを加え、撹拌しながら
ウォーターバスで70℃に昇温して、完全に溶解するま
で撹拌を続けた。完全に溶解してから水34gを追加し
て、濃度15%の水溶液とした。200ミリリットルビ
ーカーに実施例1で使用した分子量15〜40万のポリ
エチレンオキサイド(住友精化(株)製PEO−1)1
5%水溶液40gと前記カゼイン水溶液60gを入れ、
素早く撹拌して完全に混合し、ポリエチレンオキサイド
とカゼインの混合割合が40:60で合計濃度15%の
混合水溶液を用意した。この混合水溶液をスライドガラ
スに一滴とり、光学顕微鏡で透過光にて倍率100倍で
観察したところ均一な溶液であった。厚さ100μmの
透明ポリエチレンテレフタレートフィルム上にこの混合
樹脂水溶液を乾燥重量で10g/m2になるようにバー
塗工した。直ちに実施例1と同様に加速電圧175k
V、照射線量5Mradの電子線を照射した。電子線照
射後の混合樹脂水溶液はゼリー状のハイドロゲルとなっ
ていた。これを130℃の温度で乾燥して、インクジェ
ット記録用シートを得た。このインクジェット記録用シ
ートの耐水性、画質、乾燥性、及びヘイズを試験し、表
1に示した。
【0047】<比較例1〜4>実施例1〜4において水
溶性樹脂を塗工後、130℃の温度で乾燥してから加速
電圧175kV、照射線量5Mradの電子線を照射し
た試料を作成し、比較例1〜4とした。このインクジェ
ット記録用シートの耐水性、画質、乾燥性、及びヘイズ
を以下に示す方法で試験し、結果を表1に示した。
【0048】<比較例5>厚さ100μmの透明ポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に実施例1で使用した
分子量15〜40万のポリエチレンオキサイド(住友精
化(株)製PEO−1)15%水溶液を乾燥重量で10
g/m2になるようにバー塗工した。直ちに加速電圧1
75kV、照射線量5Mradの電子線を照射した。電
子線照射後のポリエチレンオキサイド水溶液はゼリー状
のハイドロゲルとなっていた。これを130℃の温度で
乾燥して、比較例5のシートを得た。このインクジェッ
ト記録用シートの耐水性、画質、乾燥性、及びヘイズを
試験し、表1に示した。
【0049】<比較例6>厚さ100μmの透明ポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に実施例1で使用した
けん化度86.0〜91.0モル%、重合度1800の
カチオン性ポリビニルアルコール((株)クラレ製CM
−318)15%水溶液を乾燥重量で10g/m2にな
るようにバー塗工した。直ちに加速電圧175kV、照
射線量5Mradの電子線を照射した。電子線照射後の
カチオン性ポリビニルアルコール水溶液はゼリー状のハ
イドロゲルとなっていた。これを130℃の温度で乾燥
して、比較例6のシートを得た。このインクジェット記
録用シートの耐水性、画質、乾燥性、及びヘイズを試験
し、表1に示した。
【0050】<比較例7>200ミリリットルビーカー
に水85gを入れ、けん化度78.0〜81.0モル
%、重合度2000のポリビニルアルコール((株)ク
ラレ製PVA−420)15gを加え、室温でゆっくり
撹拌して完全に溶解させ、濃度15%の水溶液とした。
200ミリリットルビーカーに実施例1で使用したポリ
エチレンオキサイド水溶液20gと前記ポリビニルアル
コール水溶液80gを入れ、ポリエチレンオキサイドと
ポリビニルアルコールの混合割合が20:80で合計濃
度15%の混合水溶液を得るため、素早く撹拌したが相
分離するため均一溶液にすることはできなかった。厚さ
100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム
上にこの混合水溶液を乾燥重量で10g/m2になるよ
うにバー塗工し、直ちに加速電圧175kV、照射線量
5Mradの電子線を照射した。電子線照射後の混合樹
脂水溶液はゼリー状のハイドロゲルとなってはいたもの
の、相分離状態はそのまま固定されていた。これを13
0℃の温度で乾燥して、比較例7とした。このインクジ
ェット記録用シートの耐水性、画質、乾燥性、及びヘイ
ズを試験し、結果を表1に示した。
【0051】<比較例8>実施例1で用いたポリエチレ
ンオキサイドとカチオン性ポリビニルアルコールの混合
割合が20:80で合計濃度15%の混合水溶液100
gに耐水化剤(架橋剤)として和光純薬工業(株)製グ
リオキサール溶液(濃度40%)を1.875g(対カ
チオン性PVA添加率5%)混合し、実施例1と同様に
透明ポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥重量
で10g/m2になるようにバー塗工した。これを13
0℃の温度で乾燥すると同時に架橋を行って、比較例8
のシートを得た。このインクジェット記録用シートの耐
水性、画質、乾燥性、及びヘイズを以下に示す方法で試
験し、結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】表1の実施例1〜4から明らかなように、
ポリアルキレンオキサイドと相溶性の良い水溶性樹脂と
ポリアルキレンオキサイドを混合し、水溶液を基材シー
トに塗工後、電子線を照射してハイドロゲルとしたの
ち、乾燥させた場合には、耐水性が良好なだけでなく、
画質及び乾燥性も優れており、インクジェット記録シー
トとして非常に品質の良いものであった。特に実施例1
〜3のようにポリアルキレンオキサイドと混合する水溶
性樹脂としてカチオン性樹脂を用いた場合には、カチオ
ン性でない水溶性樹脂を用いた場合(実施例4)よりイ
ンク乾燥性が改善され、さらに好ましい品質であった。
【0054】しかし、実施例1〜4で用いたポリエチレ
ンオキサイドと本発明の特定水溶性樹脂の混合水溶液を
塗工、乾燥してから電子線を照射しても、塗膜は水溶性
のままであり耐水性は付与されなかった。加えて、乾燥
時にポリエチレンオキサイドと特定の水溶性樹脂の相分
離が進行するため、シートの透明性は低下した(比較例
1〜4)。一方、ポリエチレンオキサイドやカチオン性
ポリビニルアルコールを単独で用いた場合、耐水性は付
与されたが、ポリエチレンオキサイド単独では経時的な
滲みが発生し(比較例5)、カチオン性ポリビニルアル
コール単独では画質及び乾燥性が実施例1〜4に比べ劣
った(比較例6)。ポリアルキレンオキサイドと混合さ
せる水溶性樹脂として、ポリアルキレンオキサイドと相
溶性の悪い水溶性樹脂を用いると、塗膜が不均一になる
だけでなく相分離のため透明性、光沢、耐水性も著しく
低下した(比較例7)。また、実施例1で用いたポリエ
チレンオキサイドとカチオン性ポリビニルアルコール混
合系において、耐水化剤によってカチオン性ポリビニル
アルコールを架橋して、耐水性を高めた場合にも、画質
及びインク乾燥性が著しく低下してしまった(比較例
8)。
【0055】
【発明の効果】本発明によるインクジェットプリンター
用記録シートは、耐水性に優れ、かつインク乾燥性、画
質などにも優れ、さらに透明性にも優れているのでOH
Pシートに好適であるばかりでなく、広範囲のインクジ
ェット記録用シートに用いることができるものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンオキサイドと相溶性が高
    く、ラジカル重合性の不飽和結合を有さない水溶性樹脂
    と、ポリアルキレンオキサイドとの混合物を主成分とし
    て含有する水性組成物を基材シートに塗布し、次いで電
    子線を照射してハイドロゲルを形成させたのち乾燥させ
    ることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ポリアルキレンオキサイドと相溶性が高
    く、ラジカル重合性の不飽和結合を有さない水溶性樹脂
    がカチオン性ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビ
    ニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチ
    オン性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性メチル
    セルロース、カチオン性ヒドロキシプロピルメチルセル
    ロース、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導
    体から選ばれる単独または二種類以上の混合物である請
    求項1に記載のインクジェット記録シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2のいずれかに記
    載の方法により製造され、かつ、基材シートが透明であ
    るインクジェット記録シート。
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JP2014133400A (ja) * 2013-01-12 2014-07-24 Mitsubishi Plastics Inc 積層ポリエステルフィルム
JP2014141558A (ja) * 2013-01-23 2014-08-07 Mitsubishi Plastics Inc 積層ポリエステルフィルム

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