JP4338685B2 - 中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法 - Google Patents

中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4338685B2
JP4338685B2 JP2005250691A JP2005250691A JP4338685B2 JP 4338685 B2 JP4338685 B2 JP 4338685B2 JP 2005250691 A JP2005250691 A JP 2005250691A JP 2005250691 A JP2005250691 A JP 2005250691A JP 4338685 B2 JP4338685 B2 JP 4338685B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
product
temperature
solid
food
oven
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005250691A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006068013A (ja
Inventor
勲 齋藤
Original Assignee
勲 齋藤
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 勲 齋藤 filed Critical 勲 齋藤
Priority to JP2005250691A priority Critical patent/JP4338685B2/ja
Publication of JP2006068013A publication Critical patent/JP2006068013A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4338685B2 publication Critical patent/JP4338685B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)

Description

本発明は、目的毎の栄養処方量に応じて、一食当たりのエネルギーおよび炭水化物(糖
質、繊維)、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラル等の栄養成分の量を調整し、コンパクト
な中実肉厚形態とした栄養調整食品の焼成方法に関する。
本発明が対象とする中実肉厚形態に成型した栄養調整食品は、外観、食品原材料等から
見るとビスケットやバタークッキーに似ているが、その性状および製法は全く異なってい
る。
公正競争規約の品質表示基準では「ビスケットとは小麦粉、糖類、食用油脂、および食
塩を原料とし、必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物等の原材料を配合
し、または、添加したものを混合機、成型機及びビスケットオーブンを使用して製造した
食品をいう」とある。これが従来製品の成分であり、基本的な作り方である。
本発明にかかる栄養調整食品は、外観、原材料、製造装置、製造工程等において表面的
には従来のビスケット類と似ているが、従来のビスケットやクッキーの製造原理、製造方
法を用いると極めてまずく固くて、食し難い製品となる。
その原因は、本発明の栄養調整食品には原材料に多種多量の栄養物質、すなわち、炭水
化物(糖質、繊維)、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラル等がそれぞれ決められた量が配
合されているからである。
それぞれの物質はビスケットやクッキーの原材料として添加されることもあるが、これ
らの物質を含む生地を通常のクッキー製造方法に従って製造すると、ビスケットやクッキ
ーとは全く物性、食感、食味の異なる食用に耐えない動物の飼料の様な固い製品となる。
これらの栄養物質を添加配合した栄養調整食品を製造する場合に、第1に食べ易い食感
の特徴であるショートネス性を得るため、小麦粉の蛋白質の含有量を考慮して小麦粉を選
定する必要がある。どの小麦粉を用いるかは別にして、水で捏ねることをせず、いわゆる
小麦粉蛋白のグルテンを出さないことが肝要である。
また、栄養調整食品では、蛋白質成分として蛋白質含量の高い卵製品、乳製品、ナッツ
製品等に加え、小麦蛋白、大豆蛋白、乳蛋白の高濃度蛋白質粉末を小麦粉の蛋白質含量以
上配合しなければならないので必然的に蛋白質の量が多くなり、焼成時には、この蛋白質
成分のためにショートネス性は失われて固く食べ難いものとなる。
また、脂質の調整で小麦粉100部に対し50〜60部の油脂を添加するとクリーミン
グ性(空気を抱き込む性質あるいは抱脂性)が上昇し、油脂温度が室温近くであるとさら
にクリーミング性が増し、その結果生地はゆるくなり、中実肉厚状の成型は困難となると
同時に加熱焼成で油脂が溶け、形状は不定形となる。また、これを用いた製品は空気泡に
より膨化して、容積が増えるだけでなく内部に巣ができる。
従来の製造方法は、空気を一杯抱き込んだ軽い触感(サクサク感)の不定形のホームメ
イド的クッキーには適当であるが、中実肉厚状で1本当たりのカロリー、栄養成分が調整
され、コンパクトに少量を食す栄養調整食品には採用することができない。
ビタミン類、ミネラル類の添加は粉体や液状のものが使用され、その性質上特有の臭い
がする、金物の味がする、ざらつく、粉っぽいという食味上の問題もあるが、最大の課題
としてビタミン類は熱に弱く、ビスケットやクッキーのように焼いて小麦粉が焦げるよう
な製品にビタミンを添加することは比較的熱に強いビタミンB群を除いて困難であり、特
に熱に弱いビタミンCは消失し、添加は不可能であるというのが通説である。即ち、ビス
ケットのような焼菓子様食品にビタミン類、ミネラル類等の栄養物質を添加することは従
来技術では困難であった。
ビスケットやクッキーの場合、形状形成材料としての小麦粉と油脂、砂糖、塩が主成分
となり、サクサク感を有した美味な嗜好品が目的である。他方、本発明の栄養調整食品の
場合は、蛋白質、脂質、炭水化物(糖質、繊維)、ミネラル、ビタミン等の栄養成分が主
成分であり、その原料である小麦粉、加工マーガリン、各種蛋白粉、ミネラル製剤、ビタ
ミン製剤等は嗜好のためではなく、栄養処方のために配合される。
しかしながら病人、半健康人、食事療養、美容ダイエット、睡眠不足による食欲不振、
スポーツにおける第5昼食等ストレスの多い人の食べ物としては、より食べ易く、喉ごし
が良く、継続喫食の可能な美味な物でなければならない。そのためには、単に栄養を調整
するだけではなく、栄養成分に富んだ呈味機能成分、あるいは口さわり触感を良くする食
感栄養成分の添加も求められる。
本発明の目的は、原材料に多種多様の栄養物質が添加される栄養調整食品において、多
種多様な栄養物質を規定量含みつつも中実肉厚状でしっとりとした触感と美味でポロポロ
した喉越しの良い食感を持った製品に焼成することができる焼成方法を提供することにあ
る。
本発明の他の目的は、原材料に熱に弱いビタミン類特にビタミンCが添加される栄養調
整食品において、焼成してもビタミンCが必要量残存するような焼成方法を提供すること
にある。
本発明の中実肉厚形態とした栄養調整食品は、目的に応じて一食当たりのエネルギー、
炭水化物(糖質、繊維)、脂質、蛋白質、調味栄養成分、ビタミン、ミネラル等の栄養成
分を必要量配合し、副成分として必要に応じて呈味機能成分や食感栄養成分を加え、食べ
やすい食感とサイズに成型・焼成したものである。
本発明の目的とする中実肉厚形態の栄養調整食品の概要は以下の通りである。
1)1本当り重量約20g±4g、サイズは長さ75mm、幅25mm、高さ18mm
を標準(±10mm)とする小型軽量の中実肉厚状固形食品である。
2)エネルギーを1本当り80kcal〜100kcalとし、2〜5本(200〜5
00kcal)を1食単位とする。好ましくは1本当り100kcal、1食当り400
kcalとする。
3)1食当りの栄養調整は以下の範囲を標準とする。エネルギー;200〜500kc
al,蛋白質7〜21g、脂質5〜25g、糖質40〜70g、繊維0.1〜5g、ミネ
ラル1/3〜1/6日分所要量、ビタミン1/2〜1/7日分所要量、リノール酸0.6
g以上。
4)触感は均質でない粒の集合体で軟らかく、しっとりとし、ポロポロした口触りの喉
ごしが良い食感である。
5)健康人の体調調整、食欲不振、美容ダイエット、スポーツ、半健康人の栄養補給、
病人の食事療養等にそれぞれ対応する栄養成分と、前記栄養成分の必要量を有する栄養バ
ランス食である。
栄養調整食品では健康食、スポーツ食、医療食といった目的に応じて配合する原材料お
よび配合量を適宜変更する。表1は用途別に添加する栄養素とその栄養素に対応する原材
料の配合を例示している。
Figure 0004338685
(栄養調整食品の材料の選定)
次に栄養調整食品の栄養素毎に原料を選定調整する方法について述べる。
栄養素である炭水化物は糖質と食物繊維から成っている。炭水化物の75%は穀類、豆
類等の炭水化物類から供給される。炭水化物類としては、小麦粉、米粉、上新粉、そば粉
、大豆粉、コーンフラワー等があげられるが、好ましくは小麦粉が用いられる。
炭水化物の20%は糖質としてのグラニュー糖又は健康食等の目的に適応したその他の
糖類によって供給される。残りの5%は、他の原材料に含まれる炭水化物により供給され
る。さらに炭水化物類によって、栄養調製食品の全エネルギーの約35%のカロリーが供
給される。
繊維は食品中の難消化性成分の総体で、利用不可能な炭水化物とされている。天然原料
に含まれる食物繊維の量も少ないので、1日当たりの目標摂取量の1/3〜1/5量を小
麦粉等食品原料によって調整することは困難であり、別途食物繊維を添加する必要がある
。しかし、食物繊維は通常、物性および食味上の問題点が多い。例えば、こんにゃく粉は
30数倍の水を吸水する。他の原料からもたらされる水分の10倍以上の水を吸水する。
しかし水分が不足すると大部分は固形の繊維のまま残るので、硬くざらざらした食感が
あり、多量の水を欲し、喉につかえるような感触となる。
従って、食味を重視する栄養調整食品や大腸検査食等繊維が残渣として残ると困る栄養
調整食には添加せず、繊維が必要である栄養調整食品に添加する場合はポリデキストロー
スのような難消化性多糖類あるいは難消化性澱粉等を1〜5重量%配合添加するのが望ま
しい。難消化性多糖類あるいは難消化性澱粉はマーガリン製造時原料油脂中に混合するか
あるいは生地調整工程でマーガリン等と撹拌混合することによって添加する。これらの繊
維は油脂によって水分を吸収しにくくなるので、所定の物性、食味が得られる。
脂質の供給源としては、本発明では常温で固体をなす固形油脂類を用いる。
固形油脂類の物性で栄養調整食品の物性に最も影響を与えるのは融点である。融点33
℃以下のもので、16℃付近で固体脂と液体脂の比率が半々となる固形油脂類が最も好ま
しい。このような物性の固形油脂類を使用することにより、軟らかく、しっとりとし、ポ
ロポロとした喉越しの良い食感の栄養調整食品が得られる。好ましい固形油脂類としては
マーガリン、バター、ピーナッツバターを挙げることができる。
また、栄養調整食品としては必須脂肪酸のリノール酸含量を18%以上に確保するため
に綿実油等の植物性油脂やバターを使用して脂肪酸組成を調整し、ショートネス性の少な
いマーガリン加工品とする。
さらに、ホイッピング性が少なく、融点の低い、口どけの良い軟らかなマーガリン加工
品とすることにより栄養調整食品の食感を軟らかくポロポロとした口どけの良いものにで
きる。
動物性脂肪と植物性脂肪を1:2に調整する場合、動物性脂肪としてバターを使用し、
植物性脂肪としてマーガリンを使用するが、ミキサーで混合時、バターとマーガリンの硬
さが異なると混合が不良となるため、予めバターとマーガリンをコンパウンドしておく。
通常コンパウンドする場合、予めバターを溶かしておいてマーガリンの製造工程で混合
するが、そうするとバターの乳化が壊れ、バターの物性、風味が失われる。
従って、本発明では、バターを20℃位に緩め、マーガリン加工品と後合わせ混合する
設備を製作しコンパウンドした。この方法によると、25重量%程度のバターの混合でも
、その風味、物性を維持することができた。
蛋白質は小麦粉によって35%強を供給されるが、小麦粉としては蛋白質含量の少ない
薄力粉(6.5%〜9%、好ましくは7〜8%)を使用するのが望ましい。薄力小麦粉を
用いることにより、小麦蛋白によるグルテンの生成量を極力少なくして、グルテンにより
製品が固くなるのを防ぐ。
蛋白質含量(12〜13%)の高い強力小麦粉は、ざらついた食感となり、使用するに
してもその使用限度は全小麦粉の30重量%以内にすることが好ましい。強力粉は捏ねら
れた時、水を吸収すると、厚いグルテン膜を形成し、生地の粘弾性が高くなり、焼成品は
硬い食感となる。また、水が少ないとグルテンは出にくいが粉っぽい食感となる。
蛋白質成分として小麦粉の他、呈味機能成分、食感栄養成分として使用する食品原材料
中の蛋白質を使用する。さらに不足する分を乳蛋白粉、大豆蛋白粉、小麦蛋白粉で補う。
蛋白質1gは小麦粉12.5g分に相当するから、蛋白質の食感に与える影響をより少な
くするために、高濃度含量の蛋白粉を併用し、少量使用するのが肝要である。
乳蛋白粉はカゼイン臭があり、生地を軟らかくする特徴がある。大豆蛋白粉は泡油性と
大豆臭、粉っぽいザラついた食感があり、小麦蛋白粉はグルテン臭があり、製品の外観を
暗灰色にし、食感は固いものになる。いずれも共通しているのは強い乳化力とゲル化力で
、焼成品が膨らんだり、あるいは固くしまった状態となり乾パン様の食感を呈したりする
。試作試験を行ったところ、それぞれ異なった特性を有する乳蛋白粉(蛋白質含量90%
以上)、大豆蛋白粉(蛋白質含量80%以上)、小麦蛋白粉(蛋白質含量70%以上)を
2:1:1の比率で混合した蛋白質ミックスを用いると、臭いも無く、外観が良く、食感
の良好な製品が得られることが判った。
ビタミン類
ビタミン類の内、脂溶性のA,D,Eはマーガリンを製造する際にその原料油脂に添加
すると安定する。水溶性のビタミンCはアスコルビン酸と言われ酸性が強く、蛋白質を変
性させ、生地の物性を変える。その影響を少なくするには被覆したアスコルビン酸製剤を
使用する。物性の変化のみならず焼成時及び製品の保存中のビタミンCの酸化による褐変
を軽減し、製品の色が暗くなるのを防止する。熱に弱いビタミンCは製菓ハンドブックに
よれば、通常ビスケット類のような焼き菓子には添加不能と言われている。
本発明による栄養調整食品の場合、焼成工程に特徴があり、焼くのではなく、蒸煮する
ことにより加熱損失を40%、製品の保存中の酸化による損失を30%見込み、標示所要
量にプラスして添加することで、ビタミンCを十分な量で製品に残存させることができる
。すなわち、ビタミン類は原料中に所定表示量の70〜200重量%添加する。ビタミン
B1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸等の微量成分はアスコルビ
ン酸に混合した後、ミネラル類、蛋白粉と倍散混合し、マーガリン加工品、加塩全卵と乳
化混合し、最終的には小麦粉生地に分散混合させる。
以下の表2〜表4は、添加成分としてのビタミンミックスを例示している。下記の表記
載のビタミン類が配合成分として混合される。
Figure 0004338685
Figure 0004338685
Figure 0004338685
ミネラル類
ミネラルとして添加する製剤は、コハク酸クエン酸鉄ナトリウムのように有機物と結合
したものが、硫酸第二鉄のような無機物より体内吸収が良いだけでなく、油脂の酸化等の
品質、味、食感に与える影響が少なく良好である。しかしカルシウムのように牛骨粉、魚
骨粉、卵殻粉等を破砕した食物に近い有機カルシウム粉はカルシウム含量が少ないために
多量を要し、食感を粉っぽくザラつかせ、臭く、色が悪くなる。このような場合は色が白
く含量の高い炭酸カルシウムを使用する方が外観、食感への影響は少ない。炭酸マグネシ
ウムも炭酸カルシウムと同様の効果がある。ミネラル類は体内吸収率を考慮し、少なくと
も10%以上多く添加する。
副材料として呈味機能成分、食感栄養成分、繊維質物および調味栄養成分よりなる群か
ら選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
呈味機能成分として、アーモンド粉、チーズ粉、フルーツ粉、野菜粉、カカオ粉、ナリ
ンジン粉末、アミノ酸粉末等を挙げることができきる。
呈味機能成分としてのカカオ粉、ナリンジン粉末等は呈味だけでなく栄養調整食品に機
能性を有する微量栄養成分を付加する。アーモンド粉、チーズ粉等は食味を特徴づけるだ
けでなく、蛋白成分の補給としての役割が重要である。アーモンド粉、チーズ粉は例えば
、1食400kcal当たりに必要な蛋白質量7〜14gを食味を損なうことなく添加す
ることができる。ゴマ粒はゴマ味の範囲で蛋白量15〜20gに処方することができ、運
動選手等に必要な所要量となる。アーモンド粉は荒い食感で、小麦粉のかわりに使用し、
歯へのくっつきを少なくする。チーズ粉は蛋白含量が35%と多く、荒い粒子で食感を良
くし、その味は食べ応えと腹持ちを与える。
食感栄養成分としてのアーモンド粒、ピーナッツ粒、フルーツピール粒、ゴマ粒、野菜
粒等の粒状物はそれぞれの歯ごたえのある食感と共に栄養調整食品全体の食感をポロポロ
した触感にする効果がある。また、これらの食材は蛋白質やミネラル、ビタミン、リノー
ル酸等の天然栄養成分の補給源としても重要である。
調味栄養成分は上記の栄養成分を補給すると同時に栄養調整食品の食味を良くするため
の調味を主体として添加される。グラニュー糖は適度な甘味を付与するために添加するが
糖質の20%を補給する。加塩全卵は生全卵に10%の食塩を添加し、保存性を付与した
ものであるが、卵はつなぎ材としての水分の他に蛋白質の補給の役目をする。加塩全卵中
の食塩はナトリウムの補給より塩味の調味料として使用され、チーズ中の3%、油脂中の
1%の食塩とあわせ製品中1%の食塩量とし、食味を美味に調整する。
(栄養調整食品の製造方法)
このような中実肉厚形態の栄養調整食品の製造方法は、低温保冷した固体状の油脂類、
糖類、蛋白質物、ビタミン類、ミネラル類を温度管理しながら混合する低温保冷混合工程
、上記低温保冷混合工程で得られた混合物に低温保冷した加塩全卵を加えて撹拌混合して
クリームを生成する乳化工程、上記乳化工程で得られたクリームに上記クリームよりも高
い温度に保たれた粉末状の小麦粉を混合、撹拌して脂質中の固体の油脂の一部を液体状の
油脂に変化させながら生地を生成する生地生成工程、上記生地生成工程で得られた生地を
中実肉厚形状の成型品に成型する成型工程、および上記成型工程で得られた中実肉厚状の
成型品をオーブンで焼成する焼成工程よりなっている。
本発明では中実肉厚形態の栄養調整食品の製造方法の中で、特に、焼成工程に改良を加
えることによって、しっとりとし、ポロポロした口触りと喉越しの良い食感の焼成品が得
られると共に、ビタミンCの残存率を飛躍的に高めることを可能にした。
すなわち、本発明の中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法は、炭水化物類、固形油脂
類、糖類、蛋白質物、ビタミン等の栄養物質を主成分とする生地を中実肉厚形態に成型し
てなる成型品の品温がオーブン挿入直前に16℃±3℃になるように生地および環境温度
を調整管理する成型品品温調整管理工程、上記工程で品温が調整管理された成型品をオー
ブンに挿入して低温で煮熟焼成する煮熟焼成工程および上記工程で煮熟焼成された焼成品
をオーブン内で加熱乾燥させる加熱乾燥工程とを含むことを特徴とする。
上記成型品品温調整管理工程において、成型品の品温がオーブン挿入直前に16℃±3
℃となるように成型品の品温を管理すると、成型品中の固形油脂類中の固体脂と液体脂と
の割合がほぼ半々となり、形状が定型に保たれ、この成型品をオーブン内で煮熟焼成する
と、柔らかくポロポロとした喉越しのよい食感を持つ中実肉厚形状の焼成品が得られる。
上記煮熟焼成工程において成型品の品温が100℃を超えないように煮熟焼成して炭水
化物の澱粉を糊化させることによって、内部が柔らかくてポロポロとした喉越しのよい焼
成品が得られると共にビタミンCの残存率を約65〜90%に高めることができる。なお
、煮熟焼成とは、炭水化物系食品をその表面が焦げないように食品内部の水分と油分で蒸
煮して澱粉を糊化させる焼成方法で、オーブン内の水蒸気をなるべく逃がさないようにし
て加熱することが肝要である。その結果、小麦粉中の澱粉が水を吸い、焼成による加熱で
澱粉が糊化し、炊飯米と同じように軟らかくポロポロした食感の製品ができる。
オーブンとしては、比較的小規模な生産工程においては固定式オーブンを使用すること
もできるが、大量生産方式においては、焼成条件を任意に設定でき、効率よく一貫して焼
成できる移動式オーブンを使用することを推奨する。
固定式オーブンとしては平釜、例えば、ピールオーブン、または回転釜、例えばリール
オーブンが用いられる。しかし、リールオーブンは熱源上部に熱が蓄積され、オーブン内
の蒸気が不足し、煮熟が十分に行われないうちに乾燥され、いわゆる乾燥焼になるので、
水を入れたトレイを搬入し、蒸気を補充する必要がある。
このような固定式オーブンで焼成する場合は、煮熟焼成された焼成品を一旦オーブン外
に短時間取り出して焼成品の粗熱を除去した後、再度オーブン内に挿入して加熱乾燥させ
操作が、焼成品の過熱を防ぎ、ビタミンCの残存率を高める上で必要であるが、焼成途
中で焼成品を並べた天板を手作業で出し入れする作業が増えるという欠点がある。
移動式オーブンとしてはトンネルオーブン、スチールバンドオーブン等が用いられる。
スチールバンドオーブンはトンネル状の炉体内を回転するスチールバンドコンベヤー上に
生地成型品を直接乗せて焼成するオーブンであるが、特に、そのバーナーが上火、下火に
分けられ、さらに1ゾーン各10〜12本のガスバーナーが3ゾーンあるいは4ゾーンに
分かれて配置されていて、多様の温度設定が可能であり、工業的に大量生産する場合には
最適である。
このような移動式バンドオーブンの場合は、細かい温度設定が可能であるので、焼成品
の過熱を防ぐために、乾燥工程に移行する前に焼成品をオーブン外に取り出して粗熱を除
去する必要はない。
移動式バンドオーブンを使用する煮熟焼成工程では、成型品の下部を強火で焙焼して成
型品の底部を固化させるステップ、成型品の上部から中火で加熱して成型品の上部を固化
させるステップおよび炉内温度を120℃〜150℃に設定して成型品の内部の生地を煮
熟焼成して澱粉を70℃〜100℃の温度で糊化させるステップを連続して行う。この方
法によると、焼成品の型くずれがなく、しかも内部が柔らかくポロポロとした食感の製品
が得られる。
加熱乾燥工程では、炉内温度を140℃〜150℃に設定して、焼成品の品温は103
℃までとして、ダンパーはすべて開き、蒸気がこもらないように常時排気して、焼成品の
水分を水分活性0.55〜0.65に相当する水分含有率にまで乾燥させる。この方法に
よれば、水分の含有量は7%前後となり、ビスケット類の3%に比べて多くしっとり感の
ある食感が得られるが、かびや微生物の繁殖は阻止される。
成型品品温調整管理工程において、オーブンに挿入する直前に16℃±3℃になるよう
に成型品の品温を管理することにより、成型品中の固形油脂類の固体脂と液体脂との割合
がほぼ半々になり、成型品の形状が保たれ、所定サイズの中実肉厚形態の焼成品が得られ
た。
成型品の煮熟焼成工程において、成型品の品温が100℃を超えないように煮熟焼成し
、炭水化物の澱粉を糊化させることによって、内部が柔らかくてポロポロとした喉越しの
よい焼成品が得られると共に、ビタミンCの残存率を約65〜90%に高めることができ
た。
固定式オーブンで焼成する場合は、煮熟焼成された焼成品を一旦オーブン外に短時間取
り出して焼成品の粗熱を除去した後、再度オーブン内に挿入して加熱乾燥させることによ
り、焼成品の過熱を防ぐことが必要である。
移動式オーブンで焼成する場合は、最初は成型品の下部を強火で焙焼して成型品の底部
を固化させ、次に、成型品の上部から中火で加熱して成型品の上部を固化させ、周りが固
くなった成型品の内部の生地を煮熟焼成して澱粉を100℃以下の温度で糊化させること
によって、焼成品の型くずれがせず、しかも内部が柔らかくポロポロした食感の製品が得
られるようになった。
移動式オーブンで焼成する場合、加熱乾燥工程で、炉内温度を140℃〜150℃に設
定して、焼成品の水分を水分活性0.55〜0.65に相当する水分含有率にまで乾燥さ
せることにより、得られた焼成品はしっとり感のある食感が得られるが、かびや微生物の
繁殖は阻止された。
本発明の中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法についての実施例を次に記載する。
図1は、中実肉厚形態の栄養調整食品を製造するためのフローである。この製造方法は
、大別すると、前処理工程、調整工程、成型工程、焼成工程、包装工程より構成される。
原材料の炭水化物としては小麦粉(主として薄力粉)、糖質としてはグラニュー糖、脂
質としては加工マーガリンおよびバター、ビタミンとしてはビタミンミックス、ミネラル
としてはミネラルミックス、蛋白質としては蛋白粉ミックス、調味栄養成分としては加塩
全卵、呈味機能成分としてはチーズ粉及びグレープフルーツ粉、食感栄養成分としてはア
ーモンド粒及びフルーツピール粒をそれぞれ使用する。
それぞれの原材料は品温管理が重要である。前処理工程で最も大事なことはすべての原
料の品温を設定温度に管理することであり、設定された環境温度の下、撹拌混合した生地
の温度を所定の温度に仕上げることである。
定温保冷
倍散混合、ミキサー混合、振動篩にかけられ秤量された原料は、油脂類、糖類、ミネラ
ル、ビタミン、蛋白粉ミックス、加塩全卵、呈味機能成分、食感栄養成分を1バッチ分ず
つ専用バットに秤取小分けし、専用台車に収納、設定温度0℃の保冷庫に貯蔵する。2時
間に4台のペースで順次貯蔵された原料の品温を−1〜4℃で管理し、好ましくは0〜3
℃の温度で次の調整工程に送り出す。
多量の小麦粉については、原料受入れ後直ちに設定温度15℃の小麦粉投入室に2日以
上保管し、最後に輸送ホッパーで計量搬送し、品温15±2.5℃で乳化された他の保冷
原料と混合するために送り出される。
調整工程
保冷庫より専用台車を取り出し各原料の品温をチェックする。縦型ボウルミサーを使用
し、乳化、混捏の撹拌混合を19±2℃に設定された調整室で行う。
乳化
図2は原料の混合方法を例示するフローである。
第1混合
ミキサーのボウルにグラニュー糖、加工マーガリン、ミネラル、ビタミン、蛋白粉の倍
散ミックス品の順序で投入する。110rpmで20秒撹拌する。グラニュー糖の粒で固
形の加工マーガリンを細粒状に破砕する。油脂は約1℃程度に冷却され殆どが固体脂であ
り、撹拌による空気の抱きこみが少なく、またクリーミングし難い低速で短時間撹拌する
第2混合
ミキサーのスピードを140rpmで30〜40秒間、蛋白粉、ミネラル、ビタミンミ
ックスを油脂で塗付するように混合する。これは蛋白粉を油脂で覆って蛋白質が水を吸っ
てグルテンが出るのを防ぐためである。又ビタミン、ミネラルも油脂で被覆され、水を吸
わないので性状が安定する。
第3混合
加塩全卵をホッパーに投入し、ミキシングスイッチを入れ、バルブを開け210rpm
で30秒間、高速で素早く撹拌し、空気を抱き込まないクリームとする。生地の水分の2
0%強が液体卵より供給され、蛋白粉が水を吸わないように素早く撹拌する。クリームの
温度をチェックし、6±2℃でクリーム品温を管理する。
クリームの品温管理
菓子用のクリームは撹拌によって抱きこまれた空気のあわの周りに、蛋白質皮膜ができ
、脂肪粒子が液層界面または液層中に凝集することによって構造がしっかりする。菓子用
クリームの場合、バタークリームの油脂をあわ立てる時は、固体脂20%、液体脂80%
ぐらいのものが良いとされている。
しかし、栄養調整食品用のクリームは固体脂の粒のまわりに液体脂と混ざり合った蛋白
粉が液体卵と滑らかな乳状物を形成している状態が良く、油脂でいえば、固体脂と液体脂
の割合は菓子とは逆に固体脂が液体脂よりも多いほうが良い。従って油脂のみならず原料
を保冷庫で冷却し、クリームの品温が6±2℃になるように調整する。
混捏
第4混合
第3混合で得られたクリームに、例えば呈味機能成分であるチーズ粉及びアーモンド粉
、及び、食感栄養成分であるアーモンド粒を加え、120rpmで30秒間、均一に分散
されるように撹拌混合する。
第5混合
前工程で得られた6±2℃に保たれたクリームに小麦粉投入室で2日以上冷却された1
5±2.5℃の小麦粉を投入する。その結果、クリーム中の粒状の油脂の温度が上がり固
体脂周辺の液体脂の割合が増える状況で、木の葉型のビーターを使用し、100rpmの
低速で70秒間、ざっくりと混合する。固体脂を核とした軟らかい粒状物の塊のように混
合された生地の品温は12±2℃となる。
フロアー
混捏された生地はエクストルーダに移し、回転する櫛歯状棒で少塊にほぐし、成型機ホ
ッパーに送る。フロアーの環境温度は19±2℃に設定され、生地周辺は17℃の冷風の
吹き出口を設置し、生地少塊の温度は12.5±2℃に管理する。
成型工程
成型
生地生成工程で得られた生地を柔らかく押し固めて中実肉厚形態に成型する。
通常、菓子クッキーの成型に使用される伸展式成型装置はベルトとローラーで生地を押
し広げ延展することでグルテンが形成され生地の性状が変わり、焼成された製品は硬くモ
サモサした食べ難い食感となり栄養調整食品の所定の物性と異なる。押出式成型装置はホ
ッパーに投入された生地はスクリューコンベアで密封路を加圧捻転圧送され、グルテンが
形成される。先端ノズルから押し出される際も表面に蛋白質の膜ができ、焼成品の内部に
巣ができる。いずれも栄養調整食品の所望の食感を成型によって壊す結果となり使用でき
ない。
成型機
本実施例では新たにドラム式押出成型装置を案出し使用した。ほぐした少塊の生地を投
入する上部が開放されたホッパーと生地を前方に送るスクリューコンベアと成型品の幅、
高さと同サイズの溝を有した回転ドラムから排出される連続した成型品はピンホイラーで
穴を開けると同時にカッターで切断され中実肉厚の成型品となる。
ホッパーに投入される生地は螺旋状のスクリューコンベアに乗って運ばれる程度の量に
制御され、スクリューコンベアによって生地が無理に押し込まれ練られ物性が変わること
が無い量にセンサーによって制御される。円周溝に詰められた生地はドラムが回転するこ
とにより過剰の圧力がかからず連続した一本の成型品となって送り出される。その間、固
形脂を核に添加した栄養成分のクリームと小麦粉がざっくりと混合された米粒様の生地が
回転する溝で握りすしのように潰すことなく中実肉厚状に成型される。
整形
その後、ピンホイラーで上部より複数の針により中部下まで穴を開けると同時に整形カ
ッターで長さ方向に所定寸法でカットし、コンベアのオーブンフェリーへ移送する。中実
肉厚の成型品のサイズは、重量22g以下、長さ67mm以下、高さ16mm以下、幅1
9.5mm以下程度が適当である。
コンベア
成型室は17〜19℃に設定され、17℃の冷風が成型機、カッター、コンベア上の成
型品に向け吹き出し、成型品の品温を13±2℃にコンベア上で14±2℃に管理してい
る。オーブンフェリーの終端部、バンドオーブンの入口に於いて、品温は16℃±3℃に
管理される。
焼成工程
固定式ピールオーブンを使用した場合を参考例として次に説明する。
オーブン入口での成型品の品温が16±3℃になるように管理された成型品をオーブン
に入れ160±10℃の低温で約20分間煮熟加熱し、煮熟焼成品を一旦オーブン外にト
レイ毎1分以下排出し、焼成品の粗熱を取り、再度トレイを搬入して10分間加熱乾燥す
るという焼成方法を案出し、ビタミンCを約65〜75%残存させることに成功した。
即ち油脂が混合された焼成品は高温で焙焼して品温が100℃を超えれば、焼け焦げが
発生し、ビタミンCは破壊される。従って、当初の20分間の加熱で品温を約98℃位の
上限に維持し、小麦粉澱粉を糊化し、品温が100℃を超えないように焼成品を一旦オー
ブン外に出して粗熱を取り、直ちに再度オーブンに搬入し、次の10分間は水分を減少さ
せるための加熱乾燥を焦げないようにして行う。
このようにして焼成した試験例では、1食当り37mgのビタミンCを添加した場合、
焼成後27mg残存し、73.5%のビタミンC残存率となった。
また、この焼成法によればクッキーのように不定形に崩れることなく、形状も一定で包
装に適した中実肉厚の形状となる。
成型品の標準サイズは、長さ65mm、高さ15mm、幅19mm、重量21.7gの
長方形形状をしているが、焼成・冷却後の標準サイズは、長さ73mm、高さ15mm、
底面幅24mm、上面幅21mm、重量19.7gの上面より底面がやや広い台形状の焼
成品となる。
次に移動式バンドオーブンを使用する本発明の焼成方法について述べる。
本実施例で使用する移動式バンドオーブンは、トンネル状の炉体内を回転するスチール
バンドコンベヤー上に生地成型品を直接乗せて焼成する形式のもので、炉体内が3ゾーン
に分かれ、各ゾーンごとにバンドの上下に各12本のガスバーナーが斜めに計72本設置
され番号が付されている。各ゾーン上部には開閉ダンパーが各2箇所設けられ炉温調節の
排気と蒸気の排出がなされる。焼成室の環境温度は30〜32℃のように定温に維持する
と炉体内の温度も安定する。なお煮熟焼成するためにガスバーナーは選択使用される。
第1ゾーン
オーブンフェリーで整列搬送された成型品はバンド上に移乗し、第1ゾーンに入る。第
1ゾーンの下火のガスバーナーは1〜8番、12番に点火、炉体内温度は200〜210
℃に設定され、バンドの表面温度は128〜132℃となり、焼成品のバンドに触れた下
部を強火で焙焼し、焼成品底部の幅と長さを型造り、上火のガスバーナーは10番に点火
、170〜160℃に設定し、焼成品の上部から中火で加熱し、焼成品の品温が上がると
内部の蒸気により焼成品が上部に膨れ上がり高さが決まる。ダンパーは蒸気がこもるよう
に閉とし、蒸焼するが乾燥し過ぎた場合は加熱蒸気を補給する。焼成品の品温は16℃か
ら蒸熱され73℃程度に上昇する。蛋白質は加熱変性し、澱粉は糊化し始める。
第2ゾーン
第2ゾーンの下火は16,20,24番に点火、125〜137℃に設定し、上火は1
4,18,22番に点火、135〜145℃に設定する。ガスバーナーの1/4を使用し
炉体内の温度を低め120〜150℃の弱火で焼成品を焼かずに煮熟する。すなわち焼成
品内部の澱粉を糊化する。焼成品の品温は73℃から上昇し97℃位に保たれ、十分糊化
し柔らかいポロポロの物性を形成すると共にビタミンC等ビタミン類は50〜100%残
存する。炉体内前部のダンパーは閉とし蒸気を逃がさないよう注意する。後部のダンパー
は開き、炉体内温度が上がり過ぎないように排気する。
焼成品が過熱されて、乾燥し過ぎると澱粉が糊化する前に乾燥して、小麦粉をそのまま
焼き固めたような物になる。即ち、炉体内の温度の設定は、小麦粉を焙焼するような高い
温度ではなく、焼成品の品温を小麦粉澱粉が糊化する70〜100℃に保持するように低
目に設定することが重要である。
第3ゾーン
第3ゾーンでは第2ゾーンで十分に加熱糊化して焼き固まった焼成品を所定水分になる
まで乾燥する。上火は25,28,31,32番バーナーを用い、140〜150℃に設
定し上部から乾燥する。下火は28,32番の2本のみ使用し、バンドと接触している底
面が焦げないように120〜125℃に設定する。バンドの温度は122〜128℃位に
なり、バンドの上周辺は110℃、焼成品の品温は103℃までとなり、ダンパーはすべ
て開き、蒸気がこもらないように常時排気し、乾燥する。
冷却
160℃以下の炉温で25〜31分前後焼成され、まだ熱くホクホクした焼成品をスパ
イラルクーラーで冷却する。周辺環境をクーラーで25℃、湿度をRH50〜60%以下
に設定し、スパイラルコンベヤー上で30〜40分以上冷却し、焼成品の品温を常温の2
5±5℃まで下げ、焼成品全体の水分を均一とする。
焼成品サイズ
スチールバンドオーブンによる実施例では焼成品の規格サイズ、長さ75mm以下、幅
25.5mm以下、高さ18mm以下、重量20.5g以下に対し、焼成品2本入りの三
方ピロー包装のフィルム幅は156mm、フイルムカット長さは125mmとなる。焼成
品の形状は縦断面で台形となるが、底面サイズはスチールバンドオーブンの場合、第1ゾ
ーン下火の温度調節で決められるので、下火をやや強めれば縦断面を正方形にすることも
可能であり、さらにタイトな包装も可能となる。
伸展式成型機等で生地を長さ方向に伸展した場合、蛋白質グルテンも延展され、焼成に
より延展された長さ方向にサイズが伸びて焼きあがる。実施例のデポジター成型機の場合
、蛋白質の物性を出さないで成型できる特徴があり、焼成品のサイズは焼成方法により変
化させることができる。
水分は水分活性0.55〜0.65に相当する水分含有率は7%前後となり、ビスケッ
ト類の3%以下より高めであって、焼成品の食感にしっとり感が出る。
焼成後ビタミンCの残存率
スチールバンドオーブンの3ゾーンを基本的に焙焼蒸焼−蒸熱煮熟−加熱乾燥に機能を
分け、栄養添加調整食品の炭水化物である澱粉を品温70℃〜100℃で10分以上糊化
することを主眼として蛋白質は加熱変性させる焼成方法によって、ビタミン類は残存する
。バンドオーブンを使用する場合、ビタミンC残存率は約70〜90%で平均80±5%
となり、焼成による損失は約20%であり、ピールオーブンで160℃30分、焼成した
場合の焼成ロス30%より10%少なくなった。
また、設備的にスチールバンドオーブンの第2ゾーンの設定温度を上火145±5℃、
下火135±5℃から上火135±3℃、下火125±3℃に炉体内温度を約10℃低く
、設定幅も少なくすると、ビタミンCの残存率は平均86±1%となり、焼成ロスはさら
に5%少なくなった。
包装工程
栄養調整食品の場合、成分として蛋白質と糖質の添加により助長されるアミノカルボニ
ル反応による褐変等の品質変化、油脂の酸化変敗またビタミン類等添加栄養成分の劣化、
特にビタミンCの保存中における酸化分解による褐変、消失に対して、包装による防止抑
制は重要である。また、栄養調整食品の場合は水分活性0.55〜0.65に相当する水
分は7%前後と高めであり、それ以上に湿気るとカビの発生につながる。よって水分や酸
素を通さないアルミ箔を貼り合わせた包材を使用し、酸素を窒素ガス等のガスで置換し密
封包装することが必要である。
従来の真空ガス置換包装は、酸素透過性の無いあるいは少ない材質で作られた個包装袋
に製品を収納し、真空包装機のチャンバー内に包装袋の開放部を上向きにしてセットし、
真空に近いところまで脱気し、包装袋中の空気が除かれたと思われる時窒素ガス等をチャ
ンバー内に注入し、上部開放部を熱シールして密封する。このようにガス置換包装した場
合、包装内酸素のガス置換率は良くて95%程度(食品中の残存酸素を計算すると約90
%以下)であり、食品内部に残存した酸素により酸化褐変し、ガス置換の効果が少ないと
もいわれている。
栄養調整食品の場合、例えば2本を一緒に個包装すると、包装内空気量は35〜40c
cあり、内食品2本中に7〜8cc含まれている。包装内の28〜32ccの空気が10
0%ガス置換されても、品物中の7〜8ccが置換されず全部残存したとすれば、包装内
の実際のガス置換率は80%(100−7/35)となる。従ってガス置換包装を実施す
る場合、いかにして食品中の酸素を効率良くガスと置換するかが最重要課題となる。
通常菓子を連続包装する場合、三方ピローガス置換包装機が使用されるが、前記真空包
装機のような真空脱気が無く袋内にガスを噴射するだけであり、ガス置換率は悪い。
ピローガス置換包装において、ガス置換率を高めるために次のような改良を行った。す
なわち、ピローガス置換包装を行う前に予め製品を真空脱気機により−50〜−76Cm
Hgに達するまで真空脱気を行い、およそその値に達したら真空脱気を一旦開放する。こ
の操作を行った後、通常通りガス流量45l/minでピロー窒素ガス置換包装を行うと
、製品中の空気も含めたガス置換率は92〜97%,平均95±1%となった。
この真空脱気は直前に行う必要は無く、1日以上前に行った試験品でも有効であった。
工業的にはピロー包装機に搬送されてくるゴム製ベルトコンベヤー上の製品の上部より真
空チャンバーを降下して被せ、走行しながら真空脱気、開放し、その後製品を整列させて
ピロー窒素ガス置換包装を通常通り行うと製品内部の空気も含め、90〜95%以上のガ
ス置換が達成された。
従来法の真空包装機による真空ガス置換包装により95%ガス置換包装をし、50℃で
2週間保存した場合ビタミンCの残存率は60%であったが、本発明の真空脱気した後三
方ピローガス置換包装機で、96%ガス置換したテスト品の残存率は約78%となった。
真空脱気した後ガス置換包装した方が明らかにビタミンCの残存率が良く、この差は製
品内部の酸素が窒素ガスで置換されたことによるものである。
40℃で2ヶ月の保存試験ではビタミンCの残存率70〜90%、平均78±9%とな
り、保存ロスは約20%と見込まれ、前述した従来法の真空ガス置換包装による95%ガ
ス置換包装による保存ロス30%より10%少なくなった。従ってビタミンCの添加量も
225重量%が170重量%の添加迄減少することができ、使用量が45%軽減された。
製品
本発明により得られた栄養調整食品は最終的に水分活性(AW)0.55〜0.65で
、水分としては、7%前後に調整され、しっとり感のある良好な触感となるとともに、長
期保存が可能となった。
水分活性AW0.65以下はカビ類が生育できない水分範囲であり、また、それに相当
する水分7%前後は食感にビスケット類のような乾いた感じを与えず、しっとりとした食
感を与え、継続的食事にも適当である。高水分域における脂質酸化や蛋白質、糖質による
褐変、ビタミン類の劣化はガス置換包装により防止され、3年以上保管の非常食、救難食
料としての長期保存も可能となった。
また、ビタミンCの対標示値183%量添加、製品残存値143%量、年平均気温19
℃、最高気温35℃、最低気温3℃での室温3年保存のビタミンCの残存は115%量と
なり、3年以上の長期保存が可能となった。
本発明の対象とする中実肉厚形態の栄養調整食品を製造するためのフロー 原料の混合方法を例示するフロー

Claims (3)

  1. 目的毎の栄養処方量に応じて、エネルギーおよび炭水化物、脂質、蛋白質、ビタミン、
    ミネラル等の栄養成分の必要量を含有させた中実肉厚形態の栄養調整食品を得るために、
    炭水化物類、固形油脂類、糖類、蛋白質物、ビタミン、ミネラル等の栄養物質を主成分と
    する生地を中実肉厚形態に成型した後、オーブンで焼成する方法において、上記オーブン
    として移動式バンドオーブンを使用し、該移動式バンドオーブン内に挿入した上記成型品
    の下部を強火で焙焼して成型品の底部を固化させる底部固化工程上記成型品の上部から
    中火で加熱して成型品の上部を固化させる上部固化工程および炉内温度を120℃〜15
    0℃に設定して上記成型品の内部の生地を煮熟焼成して澱粉を70℃〜100℃の温度で
    糊化させる煮熟焼成工程を連続して行うことを特徴とする中実肉厚形態の栄養調整食品の
    焼成方法。
  2. 上記煮熟焼成工程の後に、煮熟焼成された焼成品を上記移動式バンドオーブン内で加熱
    乾燥させる加熱乾燥工程を連続して行うことを特徴とする請求項1の中実肉厚形態の栄養
    調整食品の焼成方法。
  3. 上記加熱乾燥工程において、炉内温度を140℃〜150℃に設定して焼成品の水分を
    焼成品の水分活性0.55〜0.65に相当する水分含有率にまで乾燥させることを特徴
    とする請求項の中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法。
JP2005250691A 2005-08-31 2005-08-31 中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法 Active JP4338685B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005250691A JP4338685B2 (ja) 2005-08-31 2005-08-31 中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005250691A JP4338685B2 (ja) 2005-08-31 2005-08-31 中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004256711 Division 2004-09-03 2004-09-03

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006068013A JP2006068013A (ja) 2006-03-16
JP4338685B2 true JP4338685B2 (ja) 2009-10-07

Family

ID=36149262

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005250691A Active JP4338685B2 (ja) 2005-08-31 2005-08-31 中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4338685B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101156660A (zh) * 2006-10-03 2008-04-09 株式会社东芝 加热烹调器和增加维生素c的烹调方法
JP5762724B2 (ja) * 2010-11-18 2015-08-12 テルモ株式会社 分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006068013A (ja) 2006-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2345284T3 (es) Produccion de productos alimenticios compuestos que tienen granos enteros.
JP4330990B2 (ja) ペットフード製品および製造方法
US5505978A (en) Baked corn-based product and process
WO1989006908A1 (en) Protein-rich nutrient food and process for its production
KR101303529B1 (ko) 식품용 결착제 조성물 및 이를 포함하는 식품 바용 프리믹스
WO2012053536A1 (ja) 中空菓子及びその製造方法
CN102960389A (zh) 加热食品用材料及其应用加热食品用材料的加热食品
JP4322237B2 (ja) 中実肉厚形態の栄養調整食品の包装方法
KR101893507B1 (ko) 부드러운 식감이 향상된 봉긋한 구름형상의 빵 및 이의 제조방법
CN1125521A (zh) 糙米酥及其加工工艺
JP4338685B2 (ja) 中実肉厚形態の栄養調整食品の焼成方法
JP4257324B2 (ja) 中実肉厚形態の栄養調整食品の製造方法
JP2791141B2 (ja) 膨化食品
Seker Extrusion of snacks, breakfast cereals, and confectioneries
JP2007267621A (ja) 皮にイモ類を含む饅頭及びその製造方法
KR20090041034A (ko) 즉석 누룽지의 제조방법
KR20090109944A (ko) 주먹밥 만두 및 그 제조방법
JP2003180256A (ja) 肉様食品素材並びにこれを用いた肉様食品
EP0668022B1 (en) Hamburger-type food material
JP2006136257A (ja) 米粉パンの製造方法及び粉粒状米粉パンの製造方法
KR20120120572A (ko) 호두과자용 반죽 조성물 및 이를 이용한 호두과자의 제조방법
JP5828620B2 (ja) 加工米
JP2784792B2 (ja) 成形穀粒食品及び調理済み容器
JP2007049903A (ja) 餃子様食品及びその製造法
KR101638589B1 (ko) 누룽지 초코 영양 시리얼의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090416

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090623

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4338685

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150710

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250