JP4338477B2 - 多置換アセン類の製造方法 - Google Patents

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本発明は、多置換アセン類の製造方法に関する。
ナフタレン等の多置換アセン類は、機能性材料として有用であり、置換基を導入することにより、その機能、物性を制御することができる。このため、所望の置換基を導入した多置換アセン類の製造法が所望されていた。
従来、置換基を導入した多置換アセン類を合成する方法として、アセチレン類をジルコニウム等の遷移金属上に導入したメタラシクロペンタジエンを予め合成し、このメタラシクロペンタジエンと、2位と3位の炭素にハロゲン原子を有するベンゼン誘導体とを反応させる方法が知られていた(特開平9−301899号公報:特許文献1)。しかしながら、この方法によると、一旦メタラシクロペンタジエンを合成する必要があり、しかも、メタラシクロペンタジエンとベンゼン誘導体との反応は量論反応であったため、高価な遷移金属を量論量使用する必要があった。
特開平9−301899号公報
従って、より簡便に多置換アセン類が得られ、しかも、使用する遷移金属の量が少なくて済む多置換アセン類の製造方法が所望されていた。
本発明の第1態様では、下記式(1)で示される多置換アセン類の製造方法であって、
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3及びA4aは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、ただし、A2及びA3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(B)−で示される基(式中、Bは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、P環は、置換基を有していてもよい芳香環を示し、nは、1〜10の整数である。]第1の金属化合物及び第2の金属化合物の存在下、下記式(2)で示される芳香族化合物と、
Figure 0004338477
[式中、A1a、A2、A3、A4a、P環及びnは、上記の意味を有する。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。]下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンと
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]を反応させることを特徴とする多置換アセン類の製造方法が提供される。
本発明の第2態様では、下記式(4)で示される多置換アセン類の製造方法であって、
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、Q環は、置換基を有していてもよい芳香環を示す。]第1の金属化合物及び第2の金属化合物の存在下、下記式(5)で示される芳香族化合物と、
Figure 0004338477
[式中、Q環は、上記の意味を有する。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。]下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンと
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]を反応させることを特徴とする多置換アセン類の製造方法が提供される。
本発明の第1態様において、P環が、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含む、置換基を有していてもよい5〜7員複素芳香環であってもよく、この場合、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3及びA4aが、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましい。
本発明の第1態様において、前記式(1)で示される多置換アセン類が、下記式(1a)で示される化合物であり、
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3、A4a及びnは、上記の意味を有する。A1b及びA4bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。]前記式(2)で示される芳香族化合物が、下記式(2a)で示される化合物であってもよく、
Figure 0004338477
[式中、A1a、A1b、A2、A3、A4a、A4b、X1、X2、nは、上記の意味を有する。]、この場合、R1、R2、R3、R4、A1a、A1b、A2、A3、A4a及びA4bが、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましい。
また、本発明の第2態様において、Q環が、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含む、置換基を有していてもよい5〜7員複素芳香環であってもよく、この場合、R1、R2、R3及びR4が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましい。
また、本発明の第2態様において、前記式(4)で示される多置換アセン類が、下記式(4a)で示される化合物であり、
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。
1b、A2、A3及びA4bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、ただし、A1b及びA2、A2及びA3、並びに、A3及びA4bは、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(B)−で示される基(式中、Bは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。]前記式(5)で示される芳香族化合物が、下記式(5a)で示される化合物であってもよく、
Figure 0004338477
[式中、A1b、A2、A3、A4b、X1及びX2は、上記の意味を有する。]この場合、R1、R2、R3、R4、A1b、A2、A3及びA4bが、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましい。
本発明の第1態様および第2態様において、前記第1の金属化合物が、後周期遷移金属を含むことが好ましく、前記後周期遷移金属が、パラジウム又はニッケルであることが更に好ましい。
また、本発明の第1態様および第2態様において、前記第2の金属化合物が、銀イオン、銅イオン、タリウムイオン、金イオン又はマンガンイオンを含む金属塩であることが好ましい。
また、本発明の第1態様および第2態様において、X1及びX2が、それぞれ、互いに独立して、同一または異なって、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。
また、本発明の第1態様および第2態様において、前記式(3a)で表されるアセチレンと前記式(3b)で表されるアセチレンとが同一であることが好ましい。
また、本発明の第1態様および第2態様において、R1及びR2、並びに、R3及びR4が、それぞれ同一の基であることが好ましい。
本発明の方法により、遷移金属の使用量を少なくしながら、より簡便に多置換アセン類を得ることができる。
本発明の第1態様では、第1の金属化合物及び第2の金属化合物の存在下、下記式(2)で示される芳香族化合物と、下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンとを反応させることを特徴とする下記式(1)で示される多置換アセン類の製造方法が提供される。
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3、A4a、X1、X2、P環及びnは、上記の意味を有する。]
上記式中、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3及びA4aは、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
本明細書において、「C1〜C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1〜C20炭化水素基」には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリールアルキル基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
本明細書において、「C1〜C20アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C20アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C20アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C18アリール基」は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
本明細書において、「C7〜C20アルキルアリール基」は、C7〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C7〜C20アリールアルキル基」は、C7〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20シクロアルキル基」は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル等を挙げることができる。
本明細書において、「C1〜C20アルコキシ基」は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
本明細書において、「C6〜C20アリールオキシ基」は、C6〜C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「C7〜C20アルキルアリールオキシ基」は、C7〜C12アルキルアリールオキシ基であることが好ましい。アルキルアリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、メチルフェニルオキシ、エチルフェニルオキシ、プロピルフェニルオキシ、ブチルフェニルオキシ、ジメチルフェニルオキシ、ジエチルフェニルオキシ、ジプロピルフェニルオキシ、ジブチルフェニルオキシ、メチルエチルフェニルオキシ、メチルプロピルフェニルオキシ、エチルプロピルフェニルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「C1〜C20アルコキシカルボニル基」は、C1〜C10アルコキシカルボニル基であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C20アリールオキシカルボニル基」は、C6〜C12アリールオキシカルボニル基であることが好ましい。アリールオキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、フェニルフェノキシカルボニル等を挙げることができる。
なお、カルバモイル基(−C(=O)NH2)、ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。)、ホルミル基(−C(=O)−H)などは、シアノ基、アルコキシカルボニル基と互いに変換することができる。
本発明の第1態様において、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3及びA4aで示される「C1〜C20炭化水素基」、「C1〜C20アルコキシ基」、「C6〜C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「C7〜C20アルキルアリールオキシ基」、「C1〜C20アルコキシカルボニル基」、「C6〜C20アリールオキシカルボニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
本発明の第1態様において、A2及びA3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよい。これらの置換基が形成する環は、4員環〜16員環であることが好ましく、4員環〜12員環であることが更に好ましい。この環は、ベンゼン環等の芳香族環あってもよいし、脂肪族環であってもよい。また、これらの置換基が形成する環に、更に単数又は複数の環が形成されていてもよい。
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式―N(B)―で示される基(式中、Bは水素原子またはC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
Bは,水素原子またはC1〜C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1〜C7炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1〜C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
本発明の第1態様において、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3及びA4aが、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基であることがより好ましく、水素原子;C1〜C10アルキル基;C6〜C10アリール基;C2〜C10アルケニル基;C2〜C10アルキニル基であることが更に好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、又は1−ペンチニルであることがより好ましい。
また、本発明の第1態様において、上記式(1)で示される多置換アセン類の製造を容易にし、収率を向上させる観点から、R1とR2、R3とR4とが、それぞれ同一の基であることが好ましい。
本発明の第1態様において、上記式(1)中、P環は、置換基を有していてもよい芳香環を示す。
本明細書において、「芳香環」とは、単環式芳香環、多環式芳香環等を挙げることができる。
「単環式芳香環」としては、ベンゼン環、5員〜7員複素芳香環を挙げることができる。
「5員〜7員複素芳香環」としては、たとえば、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含む芳香環を挙げることができ、たとえば、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、チオピラン、ピリジン、チアゾール、イミダゾール、ピリミジン、1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
「多環式芳香環」としては、多環式芳香族炭化水素、多環式複素芳香環を挙げることができる。
「多環式芳香族炭化水素」としては、ビフェニル、トリフェニル、ナフタレン、インデン、アントラセン、フェナントレン等を挙げることができる。
「多環式複素芳香環」としては、インドール、キノリン、プリン等を挙げることができる。
本発明の第1態様において、P環で示される「芳香環」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第1態様において、P環は、無置換ベンゼン、メチル基等の置換基を有するベンゼン、チオフェン、ピリジン、ピロール、シクロペンタジエンであることが好ましい。
本発明の第1態様において、上記式(1)で示される多置換アセン類が、下記式(1a)で示される化合物であってもよい。
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3、A4a及びnは、上記の意味を有する。]
上記式中、A1b及びA4bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
本発明の第1態様において、上記式(1)で示される多置換アセン類が、上記式(1a)で示される化合物である場合には、R1、R2、R3、R4、A1a、A1b、A2、A3、A4a及びA4bが、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基であることがより好ましく、水素原子;C1〜C10アルキル基;C6〜C10アリール基;C2〜C10アルケニル基;C2〜C10アルキニル基であることが更に好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、又は1−ペンチニルであることがより好ましい。
本発明の第1態様において、nは1〜10の整数であり、1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
本発明の第1態様において、下記式(2)で示される芳香族化合物が用いられる。
Figure 0004338477
[式中、A1a、A2、A3、A4a、P環及びnは、上記の意味を有する。]
上記式中、X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立して、同一または異なって、ヨウ素又は臭素であることが好ましく、ヨウ素であることがより好ましい。
本発明の第1態様において、得られる多置換アセン類が上記式(1a)で示される化合物である場合には、上記式(2)で示される芳香族化合物は、下記式(2a)で示される化合物である。
Figure 0004338477
[式中、A1a、A1b、A2、A3、A4a、A4b、X1、X2、nは、上記の意味を有する。]
本発明の第1態様において、下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンが用いられる。
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
本発明の第1態様において、上記式(1)で示される多置換アセン類の製造を容易にし、収率を向上させる観点から、上記式(3a)で示されるアセチレンと上記式(3b)で示されるアセチレンとが同一であることが好ましい。
本発明の第1態様において、上記式(3a)で示されるアセチレン、上記式(3b)で示されるアセチレンの量は、芳香族化合物(2)1モルに対し、それぞれ、1モル〜10モルであり、好ましくは2モル〜5モルであり、更に好ましくは2モル〜4モルである。
本発明の第1態様では、第1の金属化合物を用いる。
第1の金属化合物は、金属塩であってもよく、金属錯体であってもよい。第1の金属化合物は、後周期遷移金属を含むことが好ましく、パラジウム又はニッケルを含むことがより好ましく、パラジウムを含むことが更に好ましい。
金属塩の場合には、例えば、ニッケル、パラジウム、銅、ルテニウム又はロジウムと、塩酸、硫酸等の無機酸又はカルボン酸のような有機酸の塩であってもよい。例えば、ハロゲン化ニッケル(II)、ハロゲン化パラジウム(II)、ハロゲン化銅(I)、ハロゲン化ルテニウム(III)、ハロゲン化ロジウム(III)のような金属塩であってもよく、特に、塩化パラジウム(II)等のハロゲン化パラジウム(II)等が好ましく用いられる。
第1の金属化合物が金属錯体の場合には、4配位又は6配位であることが好ましい。配位子としては、ホスフィン、ホスファイト、アミン、ニトリル、又は、ハロゲン原子等が好ましい。配位子は、1座(unidentate)であってもよいし、2座(bidentate)、3座(tridentate)、又は、4座(tetradentate)であってもよい。
ホスフィンは、ジフェニルホスフィンのようなジアリールホスフィン、トリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィン、トリエチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンのようなα,ω−ビス(ジアリールホスフィノ)アルカン、P,P,P',P',P",P"−ヘキサフェニル−トリスエチレンテトラホスフィンのようなP,P,P',P',P",P"−六置換−トリスアルキレンテトラホスフィン等であってもよい。ホスファイトは、ホスフィンと同様である。
アミンは、配位子としては、ピリジン、ビピリジン、キノリン等の芳香族アミンであってもよいし、エチレンジアミンのようなアルキレンジアミン、N,N,N',N'−テトラアルキルエチレンジアミンのようなN,N,N',N'−四置換アルキレンジアミン、トリスエチレンジアミンのようなトリスアルキレンジアミン等の脂肪族アミンであってもよい。
ニッケル錯体又はパラジウム錯体は、4配位であることが好ましい。ニッケル錯体は、たとえば、NiX212(式中、Xは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を示し、P1及びP2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ホスフィン、ホスファイト又はアミンを示し、好ましくは、ホスフィン又はアミンを示し、更に好ましくはホスフィンを示す。ただし、P1及びP2は、互いに架橋していてもよい。)であってもよい。ホスフィン、ホスファイト又はアミンについては、上述の通りである。
ニッケル錯体としては、たとえば、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロニッケル、ジクロロ(2,2'−ビピリジン)ニッケルが挙げられる。NiX212で示されるニッケル錯体は、NiX2で示されるニッケル塩と比べて、有機溶媒中での溶解度が向上するので、用途によっては、好ましい。たとえば、NiX2で示されるニッケル塩を反応系が含まれている溶媒に添加し、所望により、更にホスフィンを溶媒に添加して in situで、ニッケルホスフィン錯体を形成してもよい。
パラジウム錯体は、Pd(Q1)(Q2)(Q3)(Q4)[式中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ホスフィン、ホスファイト、アミン、置換基を有していてもよいC1〜C20アルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいC1〜C20アリールカルボニルオキシ基、ニトリル、又は、ハロゲン原子を示し、好ましくは、ホスフィン、アミン、ハロゲン原子を含む置換基を有していてもよいC1〜C20アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子を含む置換基を有していてもよいC1〜C20アリールカルボニルオキシ基、又は、ハロゲン原子を示し、ただし、Q1、Q2、Q3及びQ4の任意の2つ、3つ及び4つが、互いに架橋していてもよい。]であってもよい。ホスフィン、ホスファイト又はアミンについては、上述の通りである。
パラジウム錯体としては、たとえば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のテトラキス(トリアリールホスフィン)パラジウム、ビス(トリブチルホスフィン)ジクロロパラジウム等のビス(トリアルキルホスフィン)ジクロロパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、Pd(O−C(=O)R)2(式中、Rはメチル基等のアルキル基又はアリール基であり、互いに架橋していてもよい。)、[PdX42-(Xはハロゲン原子である。)、PdCl2(2,2'−ビピリジン)等であることが好ましい。
本発明の第1態様において、第1の金属化合物の量は、芳香族化合物(2)1モルに対して、0.0001モル〜10モルであり、好ましくは0.001モル〜1モルであり、更に好ましくは、0.03モル〜0.4モルである。
本発明の第1態様では、第1の金属化合物の他に第2の金属化合物を用いる。
第2の金属化合物は、銀イオン、銅イオン、タリウムイオン、金イオン又はマンガンイオンを含む金属塩であることが好ましく、銀イオンを含む金属塩であることがより好ましい。第2の金属化合物は、例えば、銀、銅、タリウム、金又はマンガンと、硝酸、リン酸、炭酸、塩酸、硫酸等の無機酸又は酢酸等のカルボン酸のような有機酸の塩であってもよい。
本発明の第1態様において、第2の金属化合物は、酢酸銀、リン酸銀、炭酸銀、硝酸銀であることが好ましく、酢酸銀であることがより好ましい。
本発明の第1態様において、第2の金属化合物の量は、芳香族化合物(2)1モルに対して、0.1モル〜10モルであり、好ましくは1モル〜5モルであり、更に好ましくは、1.5モル〜2.5モルである。
本発明の第1態様において、典型的には、上記式(2)で示される芳香族化合物の溶液に、第1の金属化合物、第2の金属化合物、上記式(3a)で示されるアルキン及び上記式(3b)で示されるアルキンを添加し、攪拌して反応混合物を得る。芳香族化合物(2)は単離されたものを用いる必要はなく、溶液中で調製された芳香族化合物をそのまま用いても良い。
本発明の第1態様において、反応は、好ましくは−100℃〜300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜200℃の温度範囲、更に好ましくは80℃〜150℃の温度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール〜2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜10バールの範囲内である。
本発明の第1態様において、溶媒としては、上記式(2)で示される芳香族化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
本発明の第2態様では、第1の金属化合物及び第2の金属化合物の存在下、下記式(5)で示される芳香族化合物と、下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンとを反応させることを特徴とする下記式(4)で示される多置換アセン類の製造方法が提供される。
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3、R4、X1、X2及びQは、上記の意味を有する。]
上記式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
本発明の第2態様において、R1、R2、R3及びR4の説明は、本発明の第1態様においてしたのと同様である。
本発明の第2態様において、R1、R2、R3及びR4が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基であることがより好ましく、水素原子;C1〜C10アルキル基;C6〜C10アリール基;C2〜C10アルケニル基;C2〜C10アルキニル基であることが更に好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、又は1−ペンチニルであることがより好ましい。
また、本発明の第2態様において、上記式(4)で示される多置換アセン類の製造を容易にし、収率を向上させる観点から、R1とR2、R3とR4とがそれぞれ同一の基であることが好ましい。
本発明の第2態様において、上記式(4)中、Q環は、置換基を有していてもよい芳香環を示す。本発明の第2態様におけるQ環の説明は、本発明の第1態様においてP環についてしたのと同様である。
本発明の第2態様において、Q環は、無置換ベンゼン、メチル基等の置換基を有するベンゼン、チオフェン、ピリジン、ピロール、シクロペンタジエンであることが好ましい。
本発明の第2態様において、上記式(4)で示される多置換アセン類が、下記式(4a)で示される化合物であってもよい。
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
上記式中、A1b、A2、A3及びA4bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
本発明の第2態様において、A1b、A2、A3及びA4bの説明は、本発明の第1態様においてしたのと同様である。
本発明の第2態様において、A1b及びA2、A2及びA3、並びに、A3及びA4bは、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(B)−で示される基(式中、Bは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。]
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式―N(B)―で示される基(式中、Bは水素原子またはC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
Bは,水素原子またはC1〜C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1〜C7炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1〜C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
本発明の第2態様において、R1、R2、R3、R4、A1b、A2、A3及びA4bが、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基であることがより好ましく、水素原子;C1〜C10アルキル基;C6〜C10アリール基;C2〜C10アルケニル基;C2〜C10アルキニル基であることが更に好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、又は1−ペンチニルであることがより好ましい。
本発明の第2態様において、下記式(5)で示される芳香族化合物が用いられる。
Figure 0004338477
[式中、Q環は、上記の意味を有する。]
上記式中、X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立して、同一または異なって、ヨウ素又は臭素であることが好ましく、ヨウ素であることがより好ましい。
本発明の第2態様において、得られる多置換アセン類が上記式(4a)で示される化合物である場合には、上記式(5)で示される芳香族化合物は、下記式(5a)で示される化合物である。
Figure 0004338477
[式中、A1b、A2、A3、A4b、X1及びX2は、上記の意味を有する。]
本発明の第2態様において、下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンが用いられる。
Figure 0004338477
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
本発明の第2態様において、上記式(4)で示される多置換アセン類の製造を容易にし、収率を向上させる観点から、上記式(3a)で示されるアセチレンと上記式(3b)で示されるアセチレンとが同一であることが好ましい。
本発明の第2態様において、上記式(3a)で示されるアセチレン、上記式(3b)で示されるアセチレンの量は、芳香族化合物(5)1モルに対し、それぞれ、1モル〜10モルであり、好ましくは2モル〜5モルであり、更に好ましくは2モル〜4モルである。
本発明の第2態様では、第1の金属化合物を用いる。
本発明の第2態様において、第1の金属化合物の説明は、本発明の第1態様においてしたのと同様である。
本発明の第2態様において、第1の金属化合物は、後周期遷移金属を含むことが好ましく、パラジウム又はニッケルを含むことが更に好ましい。
本発明の第2態様において、第1の金属化合物が金属塩である場合には、塩化パラジウム(II)等のハロゲン化パラジウム(II)等であることが好ましく、パラジウム錯体の場合には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のテトラキス(トリアリールホスフィン)パラジウム、ビス(トリブチルホスフィン)ジクロロパラジウム等のビス(トリアルキルホスフィン)ジクロロパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、Pd(O−C(=O)R)2(式中、Rはメチル基等のアルキル基又はアリール基であり、互いに架橋していてもよい。)、[PdX42-(Xはハロゲン原子である。)、PdCl2(2,2'−ビピリジン)等であることが好ましい。
本発明の第2態様において、第1の金属化合物の量は、芳香族化合物(5)1モルに対して、0.0001モル〜10モルであり、好ましくは0.001モル〜1モルであり、更に好ましくは、0.03モル〜0.4モルである。
本発明の第2態様では、第1の金属化合物の他に第2の金属化合物を用いる。
第2の金属化合物は、銀イオン、銅イオン、タリウムイオン、金イオン又はマンガンイオンを含む金属塩であることが好ましく、銀イオンを含む金属塩であることがより好ましい。第2の金属化合物は、例えば、銀、銅、タリウム、金又はマンガンと、硝酸、リン酸、炭酸、塩酸、硫酸等の無機酸又は酢酸等のカルボン酸のような有機酸の塩であってもよい。本発明の第2態様において、第2の金属化合物は、酢酸銀、リン酸銀、炭酸銀、硝酸銀であることが好ましく、酢酸銀であることがより好ましい。
本発明の第2態様において、第2の金属化合物の量は、芳香族化合物(5)1モルに対して、0.1モル〜10モルであり、好ましくは1モル〜5モルであり、更に好ましくは、1.5モル〜2.5モルである。
本発明の第2態様において、典型的には、上記式(5)で示される芳香族化合物の溶液に、第1の金属化合物、第2の金属化合物、上記式(3a)で示されるアルキン及び上記式(3b)で示されるアルキンを添加し、攪拌して反応混合物を得る。芳香族化合物(5)は単離されたものを用いる必要はなく、溶液中で調製された芳香族化合物をそのまま用いても良い。
本発明の第2態様において、反応は、好ましくは−100℃〜300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜200℃の温度範囲、更に好ましくは80℃〜150℃の温度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール〜2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜10バールの範囲内である。
本発明の第2態様において、溶媒としては、上記式(5)で示される芳香族化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
すべての反応は、特に言及しない限り、窒素雰囲気下のもとで標準的なシュレンク手法を用いて行われた。テトラヒドロフラン(THF)はナトリウム金属及びベンゾフェノンで蒸留した。アルキン類は、アルドリッチ化学および東京化学工業から購入したものを用いた。Pd(OAc)2 (パラジウム(II) アセテート)は和光純薬工業から購入したものを、Pd2(dba)3 (トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))はアクロス社から購入したものを用いた。AgOAc (酢酸銀)は関東化学から購入したものを用いた。全ての他の試薬は、市販のものを更なる精製をすることなく用いた。
1H及び13C NMRスペクトルは、CDCl3(1% TMS含有)溶液を用いて、Bruker ARX-400又はJEOL JNM-AL 300 NMRスペクトロメター上で測定した。石英ガラスキャピラリカラムSHIMADZU CBP1-M25-O25 及び SHIMADZU C-R6A-Chromatopac integrator を備えたSHIMADZU GC-14A ガスクロマトグラフで測定した。
実施例1
1,2,3,4-テトラプロピルナフタレン
Figure 0004338477
<試験例1〜7>
1,2-ジヨードベンゼン(130.8 μl, 1.0 mmol)の無水トルエン溶液(7 ml)に、第1の金属化合物としての各種パラジウム触媒、第2の金属化合物としてのAgOAc、及び4-オクチン(880.4 μl, 6.0 mmol)を、室温にて、窒素雰囲気下、添加した。使用した各種金属化合物及びその量を表1に示す。混合物を24時間、110℃にて攪拌し、3N HCl水溶液で反応を終了させ、エーテルで抽出した(3×10 ml)。有機相を集めて水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下、溶媒を除去し、残渣について、溶離液としてヘキサンを用い、シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られた表題化合物の収率を表1に示す。
Figure 0004338477
[表中、第1の金属化合物の量は1,2-ジヨードベンゼンに対するmol%である。収率はGC収率であり、括弧内は単離収率を示す。]
<試験例8〜16>
次に、1,2-ジヨードベンゼン(130.8 μl, 1.0 mmol)の無水トルエン溶液(7 ml)に、Pd(OAc)2 (11.2 mg, 0.05mmol)、第2の金属化合物としての各種金属化合物、及び4-オクチン(880.4 μl, 6.0 mmol)を、室温にて、窒素雰囲気下、添加した。使用した各種金属化合物及びその量を表2に示す。混合物を24時間、110℃にて攪拌し、3N HCl水溶液で反応を終了させ、エーテルで抽出した(3×10 ml)。有機相を集めて水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下、溶媒を除去し、残渣について、溶離液としてヘキサンを用い、シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られた表題化合物の収率を表2に示す。
Figure 0004338477
[表中、収率はGC収率である。]
実施例2
1,2,3,4-テトラメチル-5,6,7,8-テトラプロピルナフタレン
Figure 0004338477
実施例1と同様の手順で行った。ただし、第1の金属化合物としてはPd(OAc)2 (11.2 mg, 0.05mmol)を、第2の金属化合物としてはAgOAc (333.8 mg, 2.0 mmol)を用いた(以下、実施例3〜5についても同様)。また、1,2-ジヨードベンゼンの代わりに、1,2-ジヨード-3,4,5,6-テトラメチルベンゼンを用いた。無色油、NMR収率68%。
1H-NMR (CDCl3, Me4Si): δ0.90 (t, J = 7.5 Hz, 6H), 1.04 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 1.34-1.58 (m, 8H), 2.31 (s, 6H), 2.50 (s, 6H), 2.65-2.70 (m, 4H), 2.86-2.91 (m, 4H); 13C-NMR(CDCl3, Me4Si): δ14.87, 14.99, 16.93, 21.28, 25.03, 25.43, 32.12, 34.25, 128.35, 128.94, 131.77, 133.47, 136.08. 高分解能質量分析: 計算値C26H40 352.3130、実測値352.3140。
実施例3
1,2,3,4-テトラプロピルジベンゾチオフェン
Figure 0004338477
実施例1と同様の手順で行った。ただし、1,2-ジヨードベンゼンの代わりに、2,3-ジヨードベンゾチオフェンを用いた。無色油。
1H-NMR(CDCl3, Me4Si): δ1. 9 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.11 (t, J = 7.5 Hz, 6H), 1.19 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.50-1.63 (m, 4H), 1.71-1.81 (m, 4H), 2.68-2.76 (m, 4H), 2.82-2.87 (m, 2H), 3.14-3.19 (m, 2H), 7.32-7.43 (m, 2H), 7.80-7.83 (m, 1H), 8.14-8.17 (m, 1H); 13C-NMR(CDCl3, Me4Si): δ14.58, 14.86, 15.05, 22.84, 23.08, 25.04, 25.28, 31.63, 32.17, 32.31, 35.45, 122.67, 124.05, 124.61, 125.02, 131.60, 132.25, 135.93, 136.34, 136.83, 137.40, 138.67 139.34; 高分解能質量分析: 計算値C24H32S 352.2225、実測値352.2210。
実施例4
1,3-ジメチル-2,4-ジフェニル-ナフタレン、1,4-ジメチル-2,3-ジフェニル-ナフタレン
Figure 0004338477
実施例1と同様の手順で行った。ただし、4-オクチンの代わりに、1-フェニル-1-プロピンを用いた。
1,3-ジメチル-2,4-ジフェニル-ナフタレン:
白色固体、GC収率48%
1H-NMR(CDCl3, Me4Si): δ1.84 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 7.23-7.51 (m, 13H), 8.08 (d, J = 8.4 Hz, 1H); 13C-NMR(CDCl3, Me4Si): δ16.86, 19.90, 124.27, 125.06, 125.35, 126.65, 126.85, 126.92, 128.36, 128.39, 129.43, 130.41, 130.92, 130.94, 132.06, 132.29, 136.72, 140.26, 140.60, 142.25; 高分解能質量分析: 計算値C24H20 308.1565、実測値308.1565。
1,4-ジメチル-2,3-ジフェニル-ナフタレン:
白色固体、GC収率39%
1H-NMR(CDCl3, Me4Si): δ2.44 (s, 6H), 6.96-7.16 (m, 10H), 7.58-7.61 (m, 2H), 8.14-8.17 (m, 2H); 13C-NMR(CDCl3, Me4Si): δ16.85, 125.03, 125.77, 125.84, 127.24, 129.41, 130.41, 132.02, 139.42, 141.72; 高分解能質量分析: 計算値 C24H20 308.1565、実測値308.1577。
実施例5
1,3-ジプロピル-2,4-ジ(1'-ペンチニル)-ナフタレン、1,4-ジプロピル-2,3-ジ(1'-ペンチニル)-ナフタレン
Figure 0004338477
実施例1と同様の手順で行った。ただし、4-オクチンの代わりに、デカ-4,6-ジインを用いた。
1,3-ジプロピル-2,4-ジ(1'-ペンチニル)-ナフタレン:
無色油、GC収率 45%。
1H-NMR(CDCl3, Me4Si): δ1.03 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.06 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.11 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.13 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.64-1.79 (m, 8H), 2.51 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.58 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.14-3.19 (m, 2H), 3.25-3.30 (m, 2H), 7.41-7.50 (m, 2H), 7.95-7.98 (m, 1H), 8.34-8.37 (m, 1H); 13C-NMR(CDCl3, Me4Si): δ13.67, 14.54, 21.78, 21.89, 22.43, 22.53, 23.34, 23.82, 33.28, 36.44, 77.59, 78.71, 97.35, 98.24, 118.41, 121.56, 124.33, 125.42, 126.20, 126.90, 129.94, 132.99, 141.60, 144.24; 高分解能質量分析: 計算値C26H32 344.2504、実測値344.2493。
1,4-ジプロピル-2,3-ジ(1'-ペンチニル)-ナフタレン
無色油、GC収率 25%。
1H-NMR(CDCl3, Me4Si): δ1.06 (t, J = 7.5 Hz, 6H), 1.13 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 1.67-1.75 (m, 8H), 2.54 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 3.22-3.27 (m, 4H), 7.43-7.47 (m, 2H), 7.98-8.01 (m, 2H); 13C-NMR(CDCl3, Me4Si): δ13.67, 14.57, 21.93, 22.39, 23.67, 33.20, 79.70, 97.21, 122.30, 124.89, 125.80, 131.07, 139.80; 高分解能質量分析:計算値C26H32 344.2504、実測値 344.2499。


Claims (16)

  1. 下記式(1)で示される多置換アセン類の製造方法であって、
    Figure 0004338477
    [式中、R1、R2、R3 及びR 4 、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、
    1a 、A 2 、A 3 及びA 4a は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC 1 〜C 20 炭化水素基;置換基を有していてもよいC 1 〜C 20 アルコキシ基;置換基を有していてもよいC 6 〜C 20 アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC 7 〜C 20 アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC 1 〜C 20 アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC 6 〜C 20 アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH 2 );ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、
    ただし、A2及びA3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(B)−で示される基(式中、Bは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
    P環は、置換基を有していてもよい芳香環を示し、
    nは、1〜10の整数である。]
    第1の金属化合物及び第2の金属化合物の存在下、下記式(2)で示される芳香族化合物と、
    Figure 0004338477
    [式中、A1a、A2、A3、A4a、P環及びnは、上記の意味を有する。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。]
    下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンと
    Figure 0004338477
    [式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
    を反応させることを特徴とする多置換アセン類の製造方法。
  2. P環が、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含む、置換基を有していてもよい5〜7員複素芳香環である、請求項1に記載の多置換アセン類の製造方法。
  3. 1、R2、R3 及びR 4 、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であり、A 1a 、A 2 、A 3 及びA 4a が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC 1 〜C 20 炭化水素基である、請求項1又は2に記載の多置換アセン類の製造方法。
  4. 前記式(1)で示される多置換アセン類が、下記式(1a)で示される化合物であり、
    Figure 0004338477
    [式中、R1、R2、R3、R4、A1a、A2、A3、A4a及びnは、上記の意味を有する。
    1b及びA4bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。]
    前記式(2)で示される芳香族化合物が、下記式(2a)で示される化合物である、
    Figure 0004338477
    [式中、A1a、A1b、A2、A3、A4a、A4b、X1、X2、nは、上記の意味を有する。]
    請求項1記載の多置換アセン類の製造方法。
  5. 1、R2、R3 及びR 4 、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であり、A 1a 、A 1b 、A 2 、A 3 、A 4a 及びA 4b が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC 1 〜C 20 炭化水素基である、請求項4に記載の多置換アセン類の製造方法。
  6. 下記式(4)で示される多置換アセン類の製造方法であって、
    Figure 0004338477
    [式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、
    Q環は、置換基を有していてもよい芳香環を示す。]
    第1の金属化合物及び第2の金属化合物の存在下、下記式(5)で示される芳香族化合物と、
    Figure 0004338477
    [式中、Q環は、上記の意味を有する。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。]
    下記式(3a)で示されるアセチレン及び下記式(3b)で示されるアセチレンと
    Figure 0004338477
    [式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
    を反応させることを特徴とする多置換アセン類の製造方法。
  7. Q環が、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含む、置換基を有していてもよい5〜7員複素芳香環である、請求項6に記載の多置換アセン類の製造方法。
  8. 1、R2、R3及びR4が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基である、請求項6又は7に記載の多置換アセン類の製造方法。
  9. 前記式(4)で示される多置換アセン類が、下記式(4a)で示される化合物であり、
    Figure 0004338477
    [式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。
    1b、A2、A3及びA4bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、
    ただし、A1b及びA2、A2及びA3、並びに、A3及びA4bは、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(B)−で示される基(式中、Bは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。]
    前記式(5)で示される芳香族化合物が、下記式(5a)で示される化合物である、
    Figure 0004338477
    [式中、A1b、A2、A3、A4b、X1及びX2は、上記の意味を有する。]
    請求項6記載の多置換アセン類の製造方法。
  10. 1、R2、R3 及びR 4 、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であり、A 1b 、A 2 、A 3 及びA 4b が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又は置換基を有していてもよいC 1 〜C 20 炭化水素基である、請求項9に記載の多置換アセン類の製造方法。
  11. 前記第1の金属化合物が、後周期遷移金属を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の多置換アセン類の製造方法。
  12. 前記後周期遷移金属が、パラジウム又はニッケルである、請求項11に記載の多置換アセン類の製造方法。
  13. 前記第2の金属化合物が、銀イオン、銅イオン、タリウムイオン、金イオン又はマンガンイオンを含む金属塩である、請求項1〜12のいずれかに記載の多置換アセン類の製造方法。
  14. 1及びX2が、それぞれ、互いに独立して、同一または異なって、ヨウ素又は臭素である、請求項1〜13のいずれかに記載の多置換アセン類の製造方法。
  15. 前記式(3a)で表されるアセチレンと前記式(3b)で表されるアセチレンとが同一である、請求項1〜14のいずれかに記載の多置換アセン類の製造方法。
  16. 1及びR2、並びに、R3及びR4が、それぞれ同一の基である、請求項15に記載の多置換アセン類の製造方法。
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