JP4338340B2 - 高純度ランタンイソプロポキシドの製造方法 - Google Patents

高純度ランタンイソプロポキシドの製造方法 Download PDF

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    • C07C29/685Preparation of metal alcoholates by converting O-metal groups to other O-metal groups

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度ランタンイソプロポキシド製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ランタンイソプロポキシドLa(OiC(以下La(OiPr)と表す)は、不斉合成用触媒の原料として、あるいは酸化ランタン含有の微粒子や薄膜の原料として、有用である。La(OiPr)と光学活性ビナフトール(以下BINOLと表す)とナトリウムターシャリブトキシドとを反応させて得られるLa−Na−BINOL触媒は、不斉マイケル反応に有用であることが、柴崎らによって発明されている(特開平8−291178号)。同様にLa−K−BINOL触媒は、不斉ヒドロホスホニル反応に有用であり(特開平8−325281号)、La−Li−BINOL触媒は、不斉マンニッヒ反応に有用である(特開2000−72727号)。またLa−BINOL触媒は、不斉エポキシ化反応に有用である(特開平10−120668号)。
その触媒性能は、La(OiPr)の製法や物性により、影響されることが、経験的にわかっているがその原因は究明されていない。そこでより高い再現性を与える触媒の原料として、より良いLa(OiPr)が求められている。
【0003】
La(OiPr)の製造方法には以下の方法が公知である。
▲1▼LaCl+3Na(OiPr)=La(OiPr)+3NaCl
▲2▼LaCl.3iPrOH+3nBuLi=La(OiPr).3LiCl+nBuH
▲3▼La(OOCR)+3Na(OiPr)=La(OiPr)+3Na(OOCR)
▲4▼La+3iPrOH=La(OiPr)+3/2H
【0004】
▲1▼の製法では、S.N.Misra,T.N.Misra,R.N.Kapoor and R.C.Mehrotra,Chemistry&Industry,120(1963)が、沸騰イソプロパノール中で、当量仕込みで反応するとLa(OiPr)が得られた。論文は、合成されたLa(OiPr)中の不純物アルカリ金属やClの分析値については、なんら言及していない。具体的な不純物アルカリ金属やClの分析値が記載された文献は少なく、特開平6−1737号にわずかにNaとClの値がある。
▲2▼の製法では、A.Lebrun et al.Tetrahedron Letters,Vol.32,2355(1991)は、LiClがLa(OiPr)に配位し、高純度化しがたいことを記している。
▲3▼の製法の特公昭62−6694では、La含量や不純物Na量が記載されていない。
▲4▼の直接法では、アルカリ金属やClの不純物はない。L.M.Brown and K.S.Mazdiyasni,Inorg.Chem.Vol.9,2783(1970)には、HgCl触媒によるLaとイソプロパノールとの直接合成法でLa(OiPr)が合成できることが記載されているが、昇華データやLa含量、収率などの具体的記述が記載されていない。他の13種のランタノイドイソプロポキシドのデータは、記載されているのであるが。生成したLa(OiPr)は、La−O−La結合のあるLa(OiPr)のような化合物が生成するためか、La含量がしばしば計算値より高くなることを本発明者らは確認した。比較例4のLa含量は、計算値の112%と高かった。
La金属表面の酸化皮膜が強い場合、誘導期が長く、反応時間も長く必要となるので、生成物が変質し易いと考えられる。また触媒としてHg塩を用いるので、工業生産法としては好ましくない。
【0005】
特開平6−1737号には、仕込みのNa(OiPr)が過剰であると、過剰分は全量が生成物のLa(OiPr)と挙動を共にし、それは錯体化しているためかトルエンで何回再結晶しても分離できないと記されている。そのためLaClは、トルエンに不溶なので、LaClの方を少し過剰に用いることが、Na分をなくすためと反応完結までの時間を短縮するために極めて効果的であると記されている。この場合Naはないが、Clが残ることになる。その場合ClはLa(OiPr)17Clのような化合物として含まれていると推定される。これは、R.A.Andersen et al. Inorg.Chem.Vol.17,1962(1978)が、Nd(OiPr)17Clの合成と同定をしてることからの本発明者らの推定である。
【0006】
また合成法や合成条件、精製法によりY(OiPr)は、しばしばYO(OiPr)13であったり、これらを含んでいることが、指摘されており、O.Poncelet et al.Inorg.Chem.Vol.28,263(1989)は、YO(OiPr)13の合成と同定をしている。同様なことが、Ln(OiPr)(Lnはランタノイドを表す)でもおこり、LnO(OiPr)13を一部含んでいたりすることが、指摘されている。
【0007】
La(OiPr)系についての報告はないが、La含量が43.9wt%の計算値より高い場合には、例えばLaO(OiPr)13のような化合物を含んでいると推定される。この化合物はLa−O−iPrのほかにLa−O−Laの結合を含んでいるのである。すなわち純粋のLa(OiPr)とは、La(OiPr)の会合体であり、[La(OiPr)と表せるn量体からなるものであるはずである。La−O−Laのオキシドを含まないことである。高純度La(OiPr)とは、アルカリ金属やClやLa−O−Laのオキシドを僅かしか含まないものである。しかし今までに会合体のnを測定したり、構造解析した文献は少なく、たとえあっても、信頼性に疑問がある。その主原因は、測定した物質が、本来の[La(OiPr)でなかったためと本発明者らは推測する。
【0008】
N.I.Kozlova et al.Koord.Khim.Vol.8,639(1982)は、製造方法▲4▼の直接合成法で得られたLa(OiPr)結晶の質量分析の結果、最大のm/Zで最強のスペクトルがLa(OiPr)11であることより、5量体すなわち[La(OiPr)と結論している。
しかしこの物質の融点は、120〜128℃であったとの記述からすると、本来のLa(OiPr)でなかったと考えられる。本発明者らは、この物質はLaO(OiPr)13.niPrOH(n=2)であったと推定する。イソプロパノールが配位していれば、低融点であってもおかしくないし、La含量もこの仮説からの計算値43.5%によく合う。
【0009】
一方、S.N.Misra,T.N.Misra,R.N.Kapoor
and R.C.Mehrotra,Chemistry&Industry(London)120(1963)は、La(OiPr)は250〜300℃/0.1Torrで昇華し、ベンゼン中で単量体であるとしている。R.C.Mehrotra and J.M.Batwara,Inorg.Chem.Vol.9,2505(1970)では、La(OiPr)の最低の昇華温度は250〜280℃/0.01Torrであった。しかし単量体であれば、分子量から推定して、容易に200℃以下で昇華するはずなので、単量体であるという結果は信頼性がない。
【0010】
D.C.Bradley,R.C.Mehrotra and D.P.Gaur,”Metal Alkoxides”(Academic Press,1978)p104には、ランタノイドイソプロポキシドは、4量体の性質があるとして、構造を推定している。しかしランタノイドでも元素によりイオン半径が大きく異なり、配位数も違うから、La(OiPr)も同じ性質とは言えないはずである。彼等は、La(OiPr)を測定したり、考察しているのではない。以上述べたように本来のLa(OiPr)の会合度や構造は、はっきり決定されていない。ランタノイドの中でも、La(OiPr)は、最も不明な化合物である。
【0011】
La(OiPr)の合成文献でLa含量を分析している例は少ない。特開平6−1737号の実施例1では確かにLa含量は43.7wt%で計算値に近いが、Naが2.3wt%を含むことから、Na(OiPr)の分のOiPrを差し引くと高だかOiPr=54.1−(59/23)×2.3=48.2wt%がLaと結合していることになる。すなわち、
OiPrモル/Laモル=(48.2/59)/(43.7/138.9)=2.60
となり、計算値の3に比べてかなり小さい。Laの分析精確度が±2%としてもかなりの計算値からのずれである。この原因は、La−O−Laの結合をもつ化合物がかなりの量不純物として含まれているためであると推定される。
逆にNaがなくClが0.4wt%の実施例4では、
Clモル/Laモル=(0.4/35.45)/(44.1/138.9)=0.04
となり、La−Cl結合が4%もあることになる。
特開平6−1737号の実施例、比較例のうち、最も高純度のLa(OiPr)は、La44.1%、Na記載なし、Cl0.4%である。Na記載なしは、分析精確度から推定するとNa<0.1%程度であろう。他の文献でLa、Na、Clの3つの分析値が記載されているのは、なかった。すなわち従来の最も高純度のLa(OiPr)はLa44.1%、Na<0.1%、Cl0.4%である。
【0012】
Na(OiPr)の代わりにK(OiPr)を用いたLa(OiPr)の合成反応の挙動や、生成物のLa含量、K、Cl不純物量について言及している文献は見当たらない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
La含量が計算値より大きく、すなわちLa−O−La化合物を含んでいて、NaやClの不純物量が多いLa(OiPr)3は、単純な[La(OiPr)3nで表される会合体でなくなっていると考えられる。すなわちLa5O(OiPr)13やNa(OiPr)やLa6(OiPr)17Clなどの化合物が混入したり、複合化していると考えられる。そのためこのようなLa(OiPr)3は、BINOLと正常に反応せず、このことが、不斉合成触媒の性能を低下せしめていると推定する。よって、高い収率、高いエナンチオマー過剰率を再現性よく反応させる不斉合成触媒の原料であるLa(OiPr)3は、La含量が実質的に計算値であり、Na、Li、KやClを極力含まないものがよいと本発明者らは考えた。La含量が実質的に計算値であるとは、分析値の精確度を考慮して計算値(すなわち43.9%)の97〜103%であることをいう。よって課題はこのような物性を有する高純度La(OiPr)3 製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、LaClとの反応剤として、Na(OiPr)の代わりに、K(OiPr)を使用すると、以下の現象を見出し、発明を完成させた。すなわち、反応時間が半減し、不純物のアルカリ金属、Clが極めて低くでき、La含量が計算値と一致するLa(OiPr)が再現性良くできること、トルエン溶媒に置換することにより、副生物はゼリーとなって下層に固まるので、容易にLa(OiPr)溶液を回収できることである。
【0015】
本発明は、無水塩化ランタンLaCl3とカリウムイソプロポキシドK(OiPr)とを反応させランタンイソプロポキシドLa(OiPr)3を製造する方法において、イソプロパノールとトルエンとの混合溶媒中で、反応させ、次いで、イソプロパノールを留去して、溶媒を全てトルエンに置換し、次いで静置し、デカンテーションと濾過により、透明濾液を得、次いでこの濾液から溶媒を留去、加熱真空乾燥することを特徴とする高純度ランタンイソプロポキシドの製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるLaClは、無水LaClで、不純物としてLaOClやLaCl.nHOを含まないものが良い。また反応速度を大きくするために、できるだけ微粉であることが好ましい。K(OiPr)は、脱水イソプロパノール中にKメタル塊を仕込み、室温から沸点で反応させることにより容易に得られる。合成されたK(OiPr)をイソプロパノール溶液のまま使ってもよいし、一部イソプロパノールを蒸発留去し、濃いK(OiPr)溶液として使っても良い。
【0017】
本発明の反応溶媒は、イソプロパノールとトルエンの混合溶媒である。比較例でわかるように、純イソプロパノールでは、副反応が多くなり、収率が低下し、好ましくない。純トルエンでは反応速度が低下して好ましくない。溶媒のイソプロパノールとトルエンの混合比率は、どちらも実質的に存在する量であることが必要で、好ましくは、およそ3:7〜7:3の範囲である。
【0018】
K(OiPr)のイソプロパノールとトルエンの混合溶媒溶液中にLaCl粉末を一度に仕込み、攪拌下、リフラックス状態で5〜50時間反応させる。仕込みのK(OiPr)/LaClのモル比は、当量の3付近が好ましい。反応の進行につれ、LaCl粉末が消失し、より微粒子の懸濁液となる。生成したLa(OiPr)はイソプロパノールとトルエンの混合溶媒に溶解している。反応途中で攪拌を止め、静置すると、無色透明の上澄み層と白色懸濁液の下層に容易に分かれる。上澄み層をサンプリングし、その10倍容量の水で加水分解し、水相のpHを測定することにより、おおよその反応終点を知ることができる。
このpHが約10.5以下となれば、反応率99.8%以上と計算されるので、次の溶媒置換の工程に移る。
【0019】
溶媒置換工程では、反応液のイソプロパノール部分を全てトルエンに置換する。生成したLa(OiPr)はトルエンに大半が溶解し、副生物のKClやLax(OiPr)Clはゲルを形成し、静置すると、下層にゼリーとなって固まる。そのため副生物の分離が容易になり、上澄みトルエン層の純度が上がる。
本発明者らは、この現象を初めて見出し、本発明に利用した。
トルエンの置換をしない場合は、未反応のK(OiPr)や副生物のLa(OiPr)Clなども溶媒に溶け込み、濾過での分離が難しく、La(OiPr)の純度が低下する。
溶媒置換の方法はいろいろあるが、加熱攪拌して混合溶媒の数分の1を留去し、トルエンをその量加え、また加熱攪拌し、ほぼ同量を留去する。この操作を数回繰り返すことにより、溶媒の全てをトルエンに置換できる。イソプロパノールとトルエンは58wt%:42wt%の組成で、80.6℃で共沸するので、トルエンへの置換は容易である。留出温度がトルエンの沸点になったら、もう1回置換操作をすれば、置換は完全である。
【0020】
トルエンに置換後、加熱攪拌し、静置し、液温を室温に下げる。0.5〜12時間の静置で、60〜80容量%の無色透明の上澄み層と沈殿粒子を含んだ白色ゼリーの下層に分離する。この上澄み層をデカンテーションで濾過器に移し、僅かに含まれる微粒子を濾過する。ここでいうデカンテーションとは、上澄み層を白色ゼリー層から分離する操作一般を言い、容器の傾斜による方法、上澄み層へ挿入した管からの吸い上げによる方法などがある。白色ゼリー層は、デカンテーションの際、上澄み層に混入することがない程度に強固にゼリーになっているので、分離は非常に容易である。静置工程を経ない場合は、ゼリー状とならず、濾過効率が下がり、不純物の混入が増すので好ましくない。
【0021】
このような上澄み層と白色ゼリー層のはっきりした分離現象と強固なゼリー層の生成は、K(OiPr)を使った場合にのみおこることを本発明者らは初めて見つけ発明に利用した。この現象は、先行する文献にはまったく記載されていない。Na(OiPr)の場合には、強固なゼリー層を作らない。
実施例1の白色ゼリー層を回収し、加熱真空乾燥後分析すると、K40%、Cl>30%、La4.0%であり、白色ゼリー層は主にKCl、La(OiPr)Clから形成されていると考えられる。このことが上澄み層にKCl、La(OiPr)Clをなくし、ひいては生成物のLa(OiPr)の中のKとClを少なくしているのである。
【0022】
濾過工程に使用する濾紙は、東洋濾紙製No.131(保留粒子径3μm)程度、あるいはそれより細かいのがよく、濾過時間はほとんど瞬間である。
次いで、濾液を常圧または減圧下で加熱し、トルエン溶媒を留去し、最後に1Torr、100〜1200℃で1〜24時間の真空乾燥を行うと、白色のLa(OiPr)が得られる。
【0023】
最初に形成された白色ゼリー層中のトルエンには、主生成物のLa(OiPr)がまだ溶解しているので、2番晶として、回収することができる。ゼリー層にトルエンを添加し、加熱攪拌すると、ゼリー層は液中に再分散する。次いで静置すると、上澄みトルエン層と白色ゼリーの下層に分離する。この上澄みトルエン層から1番晶と同様にして回収すればよい。得られたLa(OiPr)は1番晶と同様に高純度である。2番晶を回収することにより、収率は10〜20%向上する。
【0024】
回収したLa(OiPr)を分析した。分析手法は、La(OiPr)を濃硝酸で分解し、蒸発乾固後、硝酸に溶解し、希釈してICP−AES、原子吸光の定量分析をすることにより、La、K、Na、Li量を求めた。La含量の精確度は±2%程度であった。Clは、希硫酸で分解し、電位差滴定により求めた。
本発明のLa(OiPr)のLa含量は、計算値の97〜103%で、K<0.3%、(Li+Na)<0.01%、Cl<0.2%であった。この結果、KがすべてK(OiPr)で存在すると仮定しても、
K(OiPr)/La(OiPr)<(0.3/39.1)/(43.9/138.9)=0.024
すなわち97.6モル%がLa(OiPr)で高純度であることがわかる。
なおLa(OiPr)のトルエン溶液のまま使える用途には、トルエンを留去せずに、使うことも可能である。
【0025】
本発明のLa(OiPr)の会合度を知るために、ベンゼン凝固点降下法による分子量の測定を行った。ここで会合度とは、得られた分子量をLa(OiPr)の式量である316.18で割った値である。実施例1で得られたLa(OiPr)1.8185gをベンゼン20.8gに溶解し、凝固点降下を測定した結果、0.237℃であった。この結果より分子量は、1890である。よって会合度は1890/316.18=5.98である。さらに、実施例1の8倍のスケールで合成したLa(OiPr)3.0886gをベンゼン20.0gに溶解し凝固点降下を測定した結果0.396℃であった。この結果より分子量は1997である。よって会合度は1997/316.18=6.32である。
この2つの結果と実験精度を考慮すると、5.5〜6.5が会合度である。
よって本発明のLa(OiPr)は[La(OiPr)と表され、La(OiPr)の6量体が主であると結論される。
【0026】
本発明のLa(OiPr)の溶媒に対する溶解度を調べた。その結果は、25℃で溶媒1Lに対して、トルエンには450g、ヘキサンには390g、THFには500g、イソプロパノールには60gであった。トルエン、ヘキサン、THFに非常によく溶解し、イソプロパノールにはわずかしか溶解しないという特徴があった。
本発明のLa(OiPr)の融点や揮発性について調べた。室温から250℃までの間では融点はなかった。0.5Torrで昇華を試みたが、250℃で一部昇華したが、熱分解が始まり昇華しなかったものが多かった。
【0027】
本発明のLa(OiPr)を用いて作った不斉合成触媒は、不斉合成反応において、高い収率と高いエナンチオマー過剰率を、再現性よく与える。一方La含量が計算値よりかなり大きくなることがある他の製法の、例えば、La金属からのLa(OiPr)は、触媒性能にふれがある。
【0028】
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
【0029】
【実施例1】
攪拌子、リフラックスコンデンサー、仕込み口を有する100ml三口フラスコを、真空アルゴン置換し、脱水イソプロパノール50mlを仕込み、Kメタル塊3.0g(77mmol)を添加した。室温から徐々に反応し最後50℃で、加熱1時間すると、Kは反応しつくし、全量がK(OiPr)に変化した。次いでイソプロパノール22mlを常圧留去し、脱水トルエン33mlを仕込んだ。混合溶媒の比率はイソプロパノール:トルエン=22ml:33ml=0.4:0.6であった。さらに無水LaCl6.3g(26mmol)を仕込み、懸濁液を加熱攪拌し、リフラックス状態に24時間保った。その後、静置、冷却すると、透明上澄み層と白色懸濁層に分離した。上澄み層0.5mlをサンプリングし、5mlのイオン交換水で加水分解し、その水相のPHを測定したところ10.46であったので、99.8%程度の反応率と推定した。
【0030】
次いで、常圧で溶媒28mlを留去し、トルエン28mlを仕込み、2回目の溶媒28mlを留去し、トルエン28mlを仕込み、3回目の溶媒28mlを留去し、トルエン28mlを仕込み、0.5時間加熱攪拌し、静置し、冷却した。
1時間後には、無色透明な上澄み層と沈殿粒子を含んだ白色ゼリー層が形成された。上澄み層をデカンテーションし、東洋濾紙No.131の濾紙で濾過し、無色透明の濾液48mlを回収した。この濾液から、減圧加熱で溶媒を留去し、最後に1Torr、100℃、1時間で真空乾燥し、白色固体5.3gを得た。
この1番晶は、La(OiPr)として17mmolで、収率65%であった。この1番晶の分析結果は、La含量43.1%(計算値の98.2%)、K0.15%、Cl 0.17%、Li<10ppm、Na<10ppm、Ca20ppm、Al<8ppm、Cr<3ppm、Cu<3ppm、Fe<3ppm、Mg<1ppm、Mn<1ppm、Zn 5ppmと高純度であった。
【0031】
白色ゼリー層にトルエン50mlを添加し、加熱攪拌し、静置すると、1回目と同じように無色透明な上澄み層と白色ゼリー層に分離した。1回目と同様な操作をし、2番晶La(OiPr)1.0gを得た。La(OiPr)として3mmolで、収率12%に相当する。この2番晶の分析結果は、La含量44.0%、K0.18%、Cl0.19%であった。
【0032】
この白色ゼリー層の最下部には沈殿粒子があるので、これを除いた白色半透明ゼリー層の約50%、5.5gを回収し、減圧加熱下で、溶媒を留去し、最後に1Torr、100℃、1時間で真空乾燥し、白色固体2.0gを得た。この分析結果は、La4.0%、K40%、Cl>30%であった。またこの中の塩基量を知るべく、加水分解してPHを測定した結果、K(OiPr)は無視できる量しかなかった。すなわち白色ゼリー層中の沈殿粒子は、KCl約2.7gあり、ゼリーは、主にKClと少量のLa(OiPr)あるいはLa(OiPr)17Cl様のものと考えられる。
【0033】
【実施例2】
実施例1において、反応時間を24時間から36時間に代えた他は、実施例1と同じように行った。上澄み層の濾過液から得られた1番晶La(OiPr)は4.4gでその収率は54%であった。La(OiPr)の分析結果は、La44.7%、K0.16%、(Li+Na)<0.01%、Cl0.04%であった。高純度のLa(OiPr)ではあったが、収率は、実施例1より低かった。この原因は反応時間が長すぎて、副反応が多くなったものと推定される。
【0034】
【比較例1】
実施例1において、混合溶媒の代わりに、純イソプロパノール溶液を用いた他は、実施例1と同じように行った。濾過液から得られた1番晶La(OiPr)は3.4gでその収率は42%であった。La(OiPr)の分析結果は、La45.2%、K0.40%、(Li+Na)<0.01%、Cl0.02%であった。実施例1に比較して、低収率であり、Kが多かった。
【0035】
【比較例2】
実施例1において、トルエンへの溶媒置換を行わなかった他は、実施例1と同じように行った。下層はゆるい沈殿物であり、ゼリー状には固まらなかった。上澄み層の濾過は実施例1に比してはるかに遅かった。濾液から得られた1番晶La(OiPr)は5.4gでその収率は67%であった。La(OiPr)の分析結果は、La43.4%、K0.80%、(Li+Na)<0.01%、Cl0.27%であり、高純度のLa(OiPr)ではなかった。
【0036】
【比較例3】
実施例1において、Kの代わりに、Na1.8g(78mmol)を用いた他は、実施例1と同じように行った。白色のゼリー層は形成されず、柔らかい沈殿層であった。1番晶La(OiPr)は4.6gでその収率は57%であった。
La(OiPr)の分析結果は、La44.0%、Na1.97%、(Li+K)<0.01%、Cl0.28%であり、高純度のLa(OiPr)ではなかった。
【0037】
【比較例4】
攪拌子、リフラックスコンデンサー、仕込み口を有する100ml三口フラスコを、真空アルゴン置換し、脱水イソプロパノール40mlとトルエン40mlを仕込み、次いで、La切削片3.0g、塩化水銀HgCl0.03gを仕込んだ。昇温し、リフラックス下で、24時間保った。最初の10時間程度は、反応は全く開始しなかった。その後、反応を開始し、副生物の水素ガスが発生し、Laの大半が反応した。冷却後、そのまま濾過し、溶媒を減圧加熱留去した。次いで、乾固した残留物にトルエン55mlを加え加熱攪拌し、静置、冷却すると、透明な上澄み層と白色懸濁した下層に分かれた。透明層をデカンテーションで回収し、減圧加熱でトルエンを留去し、次いで加熱真空乾燥し、淡黄色の固体2.9gを得た。La(OiPr)として収率42%であった。
このLa(OiPr)を分析した結果、La含量49.2%、(Na+K+Li)<0.01%、Cl<0.1%であった。La含量は計算値の112%と大きかったことにより、La−O−Laの化合物がかなり含まれている。会合度の測定結果は、8.1であった。白色懸濁した下層には、トルエンに溶けないLa−O−Laを含んだLa(OiPr)のような化合物が多く含まれていたと推定する。
更にLa切削片の3つの異なるロットについて同様な反応を行った。反応開始までの時間がロットにより大きく異なり、発生ガスを目安にある程度の反応させる時間は、7時間から32時間と大きく異なった。収率は、23%〜51%とふれ、得られたLa(OiPr)のLa含量は45.4%〜51.7%とふれた。
【0038】
【発明の効果】
不斉合成触媒用原料として好適な真のLa(OiPr)が、再現性良く製造できる。

Claims (1)

  1. 無水塩化ランタンLaCl3とカリウムイソプロポキシドK(OiPr)とを反応させランタンイソプロポキシドLa(OiPr)3を製造する方法において、イソプロパノールとトルエンとの混合溶媒中で、反応させ、次いで、イソプロパノールを留去して、溶媒を全てトルエンに置換し、次いで静置し、デカンテーションと濾過により、透明濾液を得、次いでこの濾液から溶媒を留去、加熱真空乾燥することを特徴とする高純度ランタンイソプロポキシドの製造方法。
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