JP4338267B2 - 内視鏡用生検鉗子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通されて体腔内から生検組織標本を採取するために用いられる内視鏡用生検鉗子に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用生検鉗子は一般に、一体に形成された鉗子カップと駆動レバーとがシースの先端側に配置され、シース内に挿通配置された操作ワイヤを軸線方向に進退操作することにより駆動レバーが支軸を中心に回動し、それによって鉗子カップが嘴状に開閉駆動されるようになっている。
【0003】
そのような従来の内視鏡用生検鉗子においては、図6に示されるように、図示されていない操作ワイヤの先端と駆動レバー8との間に介在するリンク板13が、駆動レバー8と並んで配置され、軸体18により回動自在な状態に連結されている。7は鉗子カップである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、駆動レバー8とリンク板13とは、軸体18によりいわゆる片持ち状態に連結されているので、使用による磨耗やガタつき等によって、例えば図7に示されるように、かしいだ状態になり、軸体18が傾いたり曲がったりして動きが悪くなってしまう場合が少なくない。そして、最悪の場合には軸体18が脱落してしまうこともある。
【0005】
そこで本発明は、リンク板と駆動レバーとの連結部が円滑に作動して鉗子カップを確実に開閉させることができる内視鏡用生検鉗子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用生検鉗子は、一体的に形成された鉗子カップと駆動レバーとがその境界部分付近において支軸を中心に回動自在にシースの先端部分に支持され、駆動レバーの後端側に軸体により回動自在に連結されたリンク板をシース内に挿通配置された操作ワイヤによって作動させることにより、駆動レバーと鉗子カップとが支軸を中心に回動して鉗子カップが嘴状に開閉するようにした内視鏡用生検鉗子において、鉗子カップが開閉動作する際に軸体から離れた位置においてリンク板の一部を駆動レバーとの間に挟み込む突片を、鉗子カップ及び駆動レバーと一体に形成したものである。
【0007】
そしてこの発明の内視鏡用生検鉗子は、駆動レバーとリンク板とが軸体によって片持ち状態で回動自在に連結されている場合でも、上記の構成により連結部が円滑に動作する。
【0008】
なお、突片が、支軸が通される孔を囲む鍔状に形成されていてもよく、その場合、リンク板は、支軸の方に面する縁部が、軸体の位置を中心とする円弧状に形成されていてもよい。
【0009】
なお、鉗子カップと駆動レバーと突片とが、板材からプレス加工によって形成されていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は、本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子の先端部分を示しており、図1は平面断面図、図2は側面断面図である。ただし、両図共に、少ない図面で構造を説明できるように、異なる断面を複合して図示してある。
【0011】
図示されていない内視鏡の鉗子チャンネルに挿脱される可撓性のシース1は、例えばステンレス鋼線を一定の径で密着巻きして形成された密着巻コイルパイプからなる。
【0012】
ただし、シース1は密着巻コイルパイプに可撓性チューブを被覆したものや、その他の構成をとってもよく、その長さは例えば1〜2.5m程度、直径は1.5〜3mm程度である。
【0013】
シース1の内部には、軸線方向に進退自在に操作ワイヤ2が全長にわたって挿通配置されており、シース1の基端側に連結された操作部(図示せず)からの操作によって操作ワイヤ2が進退操作される。
【0014】
シース1の先端には支持本体3が固定的に連結されている。この支持本体3は、シース1の先端に連結される環状連結部31の先側に、コの字状に形成された支持枠部32が固着されて構成されている。
【0015】
この実施の形態の環状連結部31は、シース1の先端外周に螺合する螺旋状の凹凸がキャップ状の部材に形成されて構成され、支持枠部32は、板状の部材をコの字状に曲げてその開放部分を前方に向け、後端部分が環状連結部31に固着されている。そして、環状連結部31と支持枠部32との連結固着部の中心軸線位置には、後述するワイヤ連結リンク12が緩く通る貫通孔が形成されている。
【0016】
支持本体3の先端近傍(即ち支持枠部32の先端近傍)には、軸線方向と直交する向きに支軸受孔4が貫通して穿設され、そこに支軸5が通されてかしめ固定されている。
【0017】
そして、鉗子カップ7と駆動レバー8とが一体に形成された二組の部材が、各々鉗子カップ7と駆動レバー8との境界部分9付近に穿設された軸孔11において支軸5に回動自在に支持され、一対の鉗子カップ7は、開放面どうしがあい対向した状態で支持本体3より前方に突出した位置に配置されている。
【0018】
駆動レバー8は後方に向かって伸びていて、コの字状の支持枠部32の溝32a内に可動に収容されている。その結果、駆動レバー8が支軸5を中心に回動することにより、駆動レバー8と一体に形成された鉗子カップ7が嘴状に開閉動作をする。図3は、鉗子カップ7が開いた状態を示している。
【0019】
鉗子カップ7と駆動レバー8は、一枚のステンレス鋼板を素材としてプレス加工によって形成されており、図4にその部品単体の斜視図が示され、図1には平面断面の一部が示されている。
【0020】
鉗子カップ7と駆動レバー8は、全体として柄の短いスプーン状に形成されている。鉗子カップ7は背部分に孔7aが形成された半長球状であり、開放面の縁部には刃が形成されている。
【0021】
操作ワイヤ2の先端に固着連結された棒状のワイヤ連結リンク12の先側部分が支持本体3の溝32a内に位置しており、ワイヤ連結リンク12の先端部分を挟んで配置された板状の二つのリンク板13が、リベット14によってワイヤ連結リンク12の先端近傍に回動自在に連結されている。
【0022】
リベット14は、ワイヤ連結リンク12の先端近傍に形成された孔に回転自在に緩く嵌挿されて、二つのリンク板13の各々の後端近傍に形成された孔に両端が保持されてかしめられている。
【0023】
また、各リンク板13は、駆動レバー8の後端部分付近に対して回動自在に連結されている。この連結は、駆動レバー8の後端近傍に形成された孔に通されてかしめ付けられた軸体18によって行われている。
【0024】
図5にその連結部分だけの平面断面図が示されるように、リンク板13と駆動レバー8とは単純な片持ち状態に連結されている。なお、軸体18は単独のリベットでもよいが、リンク板13から一体に突出形成してもよい。
【0025】
前述のように鉗子カップ7と駆動レバー8とは一体に形成されているが、さらにそれと一体に、リンク板13を駆動レバー8との間に挟み込む突片10が鉗子カップ7側から突出形成されている。
【0026】
この実施の形態においては、リンク板13は全体に厚さが一様な板状であり、突片10と駆動レバー8との間の隙間は、リンク板13の厚みより僅かに(例えば0.05〜0.15mm程度)広い程度に形成されていて、その隙間内でリンク板13がガタつかずにスムーズに摺動できるようになっている。
【0027】
突片10は、支軸5が通される軸孔11の回りを囲む丸い鍔状に形成されている。またリンク板13は、支軸5の方に面する縁部が軸体18の位置を中心とする円弧状に形成されている。
【0028】
その結果、鉗子カップ7が開閉動作する全範囲において、駆動レバー8と突片10との間にリンク板13が挟み込まれた状態が維持される。Aが、そのように挟み込まれた部分であり、軸体18からは一定の距離離れている。
【0029】
このようにして、ワイヤ連結リンク12と二つのリンク板13及び駆動レバー8によってパンタグラフ状のリンク機構が構成されていて、操作ワイヤ2を手元側から進退操作することにより、それと一体にワイヤ連結リンク12が進退し、リンク板13によって駆動レバー8が支軸5を中心に回動して、鉗子カップ7が嘴状に開閉する。そして使用時には、生体の粘膜組織を一組の鉗子カップ7の間に強く挟み込んで、食いちぎるようにして鉗子カップ7内に採取する。
【0030】
その際に、軸体18によって駆動レバー8とリンク板13とが連結されている部分から離れた位置において、リンク板13の一部分が駆動レバー8と突片10との間に挟み込まれた状態を維持するので、リンク板13と駆動レバー8とが軸体18による連結部分でかしいだり傾いたりせず円滑に動作し、鉗子カップ7が確実に開閉する。
【0031】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えばリンク板13及び突片10の形状は、鉗子カップ7が開閉動作する全範囲においてリンク板13が突片10と駆動レバー8との間に挟み込まれるようにすれば、どのような形状に形成してもよい。また、鉗子カップ7は鰐口状その他どのような形状であっても差し支えない。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、鉗子カップが開閉動作する際に駆動レバーとリンク板とを回動自在に連結する軸体から離れた位置において、駆動レバーと突片との間にリンク板の一部が挟み込まれた状態を維持するので、鉗子カップと一体に形成された駆動レバーがリンク板との連結部でかしいだりせずに円滑に作動して、鉗子カップを確実に開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が閉じた状態の先端部分の平面複合断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が閉じた状態の先端部分の側面複合断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が開いた状態の先端部分の側面部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子の鉗子カップと駆動レバーと突片が一体に形成された部材の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の駆動レバーとリンク板との連結部の平面断面図である。
【図6】従来の内視鏡用生検鉗子の部分平面図である。
【図7】従来の内視鏡用生検鉗子の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 シース
2 操作ワイヤ
5 支軸
7 鉗子カップ
8 駆動レバー
9 境界部分
10 突片
13 リンク板
18 軸体
A 挟み込まれた部分
Claims (5)
- 一体的に形成された鉗子カップと駆動レバーとがその境界部分付近において支軸を中心に回動自在にシースの先端部分に支持され、上記駆動レバーの後端側に軸体により回動自在に連結されたリンク板を上記シース内に挿通配置された操作ワイヤによって作動させることにより、上記駆動レバーと上記鉗子カップとが上記支軸を中心に回動して上記鉗子カップが嘴状に開閉するようにした内視鏡用生検鉗子において、
上記鉗子カップが開閉動作する際に上記軸体から離れた位置において上記リンク板の一部を上記駆動レバーとの間に挟み込む突片を、上記鉗子カップ及び上記駆動レバーと一体に形成したことを特徴とする内視鏡用生検鉗子。 - 上記駆動レバーと上記リンク板とが、軸体によって片持ち状態で回動自在に連結されている請求項1記載の内視鏡用生検鉗子。
- 上記突片が、上記支軸が通される孔を囲む鍔状に形成されている請求項1又は2記載の内視鏡用生検鉗子。
- 上記リンク板は、上記支軸の方に面する縁部が、上記軸体の位置を中心とする円弧状に形成されている請求項3記載の内視鏡用生検鉗子。
- 上記鉗子カップと上記駆動レバーと上記突片とが、板材からプレス加工によって形成されている請求項1、2、3又は4記載の内視鏡用生検鉗子。
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