JP4337813B2 - ハイブリッド車およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車およびその制御方法に関する。
従来、この種のハイブリッド車としては、エンジンと、エンジンのクランクシャフトにキャリアが接続されると共に車軸に連結された駆動軸にリングギヤが接続されたプラネタリギヤと、プラネタリギヤのサンギヤに接続された第1モータと、駆動軸に接続された第2モータと、第1モータおよび第2モータと電力をやりとりするバッテリとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド車では、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれて駆動軸の要求動力が増大したとき、要求動力に基づいてエンジンの運転ポイント(目標回転数と目標トルク)を設定すると共に設定したエンジンの目標回転数に対して一次遅れ処理により徐々に所望の値に移行するようにサンギヤの目標回転数(第1モータの目標回転数)を設定してエンジンと第1モータを制御し、要求動力が駆動軸に出力されるよう第2モータを制御している。
特開2001−164960号公報
上述したハイブリッド車において、目標回転数をもって第1モータを制御する際に第1モータからみたエンジンと第1モータとからなる慣性系のイナーシャトルクが駆動軸側に伝達され、このイナーシャトルクが車両にショックを生じさせる場合がある。特に、車両を加速させる際に生じるイナーシャトルクは車両を減速させる方向のトルクとなるから、運転者によっては違和感を感じる場合もある。こうしたイナーシャトルクを考慮してバッテリからの出力を用いて第2モータを制御することも考えられるが、バッテリの出力を十分に用いることができないときには対応することができない。
本発明のハイブリッド車およびその制御方法は、ドライバビリティをより向上させることを目的の一つとする。また、本発明のハイブリッド車およびその制御方法は、内燃機関を含む慣性系の慣性力に起因して車両にショックが生じるのを抑制することを目的の一つとする。
本発明のハイブリッド車およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車は、
内燃機関と、
走行状態に対して独立して前記内燃機関の出力軸の回転を調整しながら該内燃機関からの動力の少なくとも一部を車軸側に伝達可能な回転調整動力伝達手段と、
前記車軸側に動力を出力可能な電動機と、
該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
運転者により要求される要求動力に基づいて前記内燃機関の運転ポイントを設定し、該設定した運転ポイントにおける回転数の変化に対して該内燃機関を含む慣性系の慣性トルクが連続的に変化するよう該運転ポイントを調整し、該調整した運転ポイントで該内燃機関が運転されると共に該要求動力に基づく動力が前記車軸側に出力されるよう前記内燃機関と前記回転調整動力伝達手段と前記電動機とを制御する制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車では、運転者により要求される要求動力に基づいて内燃機関の運転ポイントを設定し、設定した運転ポイントにおける回転数の変化に対して内燃機関を含む慣性系の慣性トルクが連続的に変化するよう運転ポイントを調整し、調整した運転ポイントで内燃機関が運転されると共に要求動力に基づく動力が車軸側に出力されるよう内燃機関と走行状態に対して独立して内燃機関の出力軸の回転を調整しながら内燃機関からの動力の少なくとも一部を車軸側に伝達可能な回転調整動力伝達手段と車軸側に動力を出力可能な電動機とを制御する。従って、内燃機関の運転ポイントを調整することにより内燃機関を含む慣性系の慣性力に起因して車両にショックが生じるのを抑制することができる。この結果、ドライバビリティをより向上させることができる。ここで、「連続的に変化」には、線形的に変化するものも含まれる。
こうした本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記要求動力に基づいて設定した運転ポイントにおける回転数の変化に対して前記内燃機関の出力軸の回転数が略二次曲線状に変化するよう該運転ポイントを調整する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の出力軸の回転数を略二次曲線状に変化するよう運転ポイントを調整することにより、内燃機関を含む慣性系の慣性トルクを線形的に変化させることができるから、内燃機関を含む慣性系の慣性力に起因して車両にショックが生じるのを抑制することができる。
また、本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記要求動力に基づいて設定した運転ポイントにおける回転数に対して所定の緩変化処理を施すことにより該運転ポイントを調整する手段であるものとすることもできる。この場合、前記制御手段は、前記所定の緩変化処理として時間の経過と共にレートを線形的に増減してなるレート処理を施すことにより前記運転ポイントを調整する手段であるものとすることもできる。こうすれば、レート処理を用いて内燃機関の出力軸の回転数を略二次曲線状に変化させることができる。さらにこの場合、前記制御手段は、前記所定の緩変化処理として前記要求動力に基づいて設定した運転ポイントにおける回転数に対して一次遅れ処理を施すと共に該一次遅れ処理を施した後の回転数に対して前記レート処理を施すことにより前記運転ポイントを調整する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の運転ポイントにおける回転数が変化する際のオーバーシュートを抑制することができる。
所定の緩変化処理を行なう態様の本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記所定の緩変化処理として、前記要求動力に基づいて設定した運転ポイントにおける回転数と現在の前記内燃機関の回転数との偏差に基づいて該内燃機関の回転数の上昇程度または下降程度の制限値を設定し、該制限値の範囲内で該内燃機関の回転数が上昇または下降するよう前記運転ポイントを調整する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の運転ポイントを迅速に変更することができると共にスムーズに収束させることができる。この場合、前記制御手段は、前記偏差が小さいほど前記内燃機関の回転数の上昇程度または下降程度が小さくなる傾向に前記制限値を設定する手段であるものとすることもできる。さらにこの場合、前記制御手段は、前記偏差が小さくなるほど単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇程度または下降程度が非線形的に小さくなるよう前記制限値を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の運転ポイントを更に迅速に変更することができると共にスムーズに収束させることができる。
本発明のハイブリッド車において、前記回転調整動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸と前記車軸に連結された駆動軸と第3の軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の1軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記回転調整動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記車軸に連結された駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、電磁的な作用により該第1の回転子と該第2の回転子とを相対回転させる対回転子電動機であるものとすることもできるし、前記回転調整動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸と前記車軸に連結された駆動軸とに接続され、該内燃機関からの動力を無段階に変速して該駆動軸に出力する無段変速機であるものとすることもできる。
本発明のハイブリッド車の制御方法は、
内燃機関と、走行状態に対して独立して前記内燃機関の出力軸の回転を調整しながら該内燃機関からの動力の少なくとも一部を車軸側に伝達可能な回転調整動力伝達手段と、前記車軸側に動力を出力可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
(a)運転者により要求される要求動力に基づいて前記内燃機関の運転ポイントを設定し、
(b)該設定した運転ポイントにおける回転数の変化に対して該内燃機関を含む慣性系の慣性トルクが連続的に変化するよう該運転ポイントを調整し、
(c)該調整した運転ポイントで該内燃機関が運転されると共に該要求動力に基づく動力が前記車軸側に出力されるよう前記内燃機関と前記回転調整動力伝達手段と前記電動機とを制御する
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車の制御方法によれば、運転者により要求される要求動力に基づいて内燃機関の運転ポイントを設定し、設定した運転ポイントにおける回転数の変化に対して内燃機関を含む慣性系の慣性トルクが連続的に変化するよう運転ポイントを調整し、調整した運転ポイントで内燃機関が運転されると共に要求動力に基づく動力が車軸側に出力されるよう内燃機関と走行状態に対して独立して内燃機関の出力軸の回転を調整しながら内燃機関からの動力の少なくとも一部を車軸側に伝達可能な回転調整動力伝達手段と車軸側に動力を出力可能な電動機とを制御する。従って、内燃機関の運転ポイントを調整することにより内燃機関を含む慣性系の慣性力に起因して車両にショックが生じるのを抑制することができる。この結果、ドライバビリティをより向上させることができる。ここで、「連続的に変化」には、線形的に変化するものも含まれる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態としてのハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモ
ータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド車20の動作について説明する。図2は、実施例のハイブリッド車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の残容量SOC,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなどの制御に必要なデータを入力する処理を行なう(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。残容量SOCは、電流センサにより検出されたバッテリ50の充放電電流に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。入出力制限Win,Woutは、残容量SOCや電池温度などに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22から出力すべき要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用のマップの一例を示す。また、要求パワーPe*は、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50の充放電要求パワーPb*と損失Lossとの和により計算されたものを設定するものとした。ここで、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じることにより求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることにより求めたりすることができる。また、充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量SOCやアクセル開度Accに基づいて設定することができる。
要求パワーPe*を設定すると、設定した要求パワーPe*とエンジン22を効率よく運転させる動作ラインとに基づいてエンジン22の仮目標回転数Netmpと仮目標トルクTetmpとを設定する(ステップS120)。エンジン22の動作ラインの一例および仮目標回転数Netmpと仮目標トルクTetmpとを設定する様子を図4に示す。図示するように、仮目標回転数Netmpと仮目標トルクTetmpは、動作ラインと要求パワーPe*(Ne×Te)が一定の曲線との交点により求めることができる。
仮目標回転数Netmpを設定すると、設定した仮目標回転数Netmpに一次遅れ処理を施して一次遅れ回転数Ne1を計算する(ステップS130)。なお、一次遅れ処理は、周知の技術であるからその説明は省略する。そして、前回このルーチンの後述するステップS160で計算した前回の目標回転数変化量ΔNe*に所定値αを加えたものをレート上限値Nrtmaに設定すると共に前回の目標回転数変化量ΔNe*から所定値αを減じたものをレート下限値Nrtmiに設定し(ステップS140)、計算した一次遅れ回転数Ne1と前回の目標回転数Ne*にレート上限値Nrtmaを加えたものとを比較して小さい方と前回の目標回転数Ne*にレート下限値Nrtmiを減じたものとを比較し、両者のうち大きい方をエンジン22の目標回転数Ne*に設定する(ステップS150)。即ち、一次遅れ回転数Ne1に対してレート上限値Nrtmaとレート下限値Nrtmiとによりレートリミット処理を施したものをエンジン22の目標回転数Ne*として設定するのである。レートリミット処理では、レート上限値Nrtmaとレート下限値Nrtmiとを前回の目標回転数変化量ΔNe*に対して所定値αだけ増減させて設定するから、一次遅れ回転数Ne1がレート上限値Nrtmaよりも高い状態が継続しているときには目標回転数Ne*は二次曲線状に増加していくことになり、一次遅れ回転数Ne1がレート下限値Nrtmiよりも低い状態が継続しているときには目標回転数Ne*は二次曲線状に減少していくことになる。ここで、所定値αは、目標回転数Ne*を二次曲線状に変化させる際の変化の度合いを定めたものである。こうして目標回転数Ne*を設定すると、設定した目標回転数Ne*から前回の目標回転数Ne*を減じて前述したステップS140で用いる目標回転数変化量ΔNe*を計算すると共に(ステップS160)、仮目標トルクTetmpをエンジン22の目標トルクTe*に設定する(ステップS170)。
そして、目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を設定すると共に設定した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて次式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS180)。動力分配統合機構30の各回転要素の回転数とトルクの力学的な関係を示す共線図を図5に示す。図中、左のS軸はサンギヤ31の回転数を示し、C軸はキャリア34の回転数を示し、R軸はリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数Nrを示す。前述したように、サンギヤ31の回転数はモータMG1の回転数Nm1でありキャリア34の回転数はエンジン22の回転数Neであるから、モータMG1の目標回転数Nm1*はリングギヤ軸32aの回転数Nrとエンジン22の目標回転数Ne*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(1)により計算することができる。したがって、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を駆動制御することにより、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させることができる。ここで、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「KP」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「KI」は積分項のゲインである。なお、図5におけるR軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*がリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。
Nm1*=(Ne*・(1+ρ)-Nm2/Gr)/ρ …(1)
Tm1*=前回Tm1*+KP(Nm1*-Nm1)+KI∫(Nm1*-Nm1)dt …(2)
モータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを設定すると、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとに基づいて要求トルクTr*をリングギヤ軸32aに作用させるためにモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを次式(3)により計算すると共に(ステップS190)、バッテリ50の入出力制限Win,WoutとモータM
G1のトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1とモータMG2の回転数Nm2とに基づいて次式(4)および次式(5)によりモータMG2から出力してもよいトルクの下限,上限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを計算し(ステップS200)、計算した仮モータトルクTm2tmpと計算したトルク制限Tm2maxとのうち小さい方と計算したトルク制限Tm2minとを比較して大きい方をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定する(ステップS210)。これにより、モータMG2のトルク指令Tm2*を、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(3)
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(4)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(5)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
図6に、仮目標回転数Netmpの変化に対する目標回転数Ne*の時間変化の様子を示す。いま、運転者がアクセルペダル83を大きく踏み込んだ場合を考える。この場合、リングギヤ軸32aに要求される要求トルクTr*は急増するから、これに伴って要求パワーPe*が急増し仮目標回転数Netmpも急増する。このとき、実施例では、ステップS140,S150で目標回転数Netmpの急激な変化に対して目標回転数Ne*が二次曲線状に変化するように設定され(図中A区間参照)、この設定された目標回転数Ne*でエンジン22が運転されるよう目標回転数Nm1*を設定してモータMG1を制御する。ここで、モータMG1を制御する際におけるモータMG1の回転子に作用するイナーシャトルクは、モータMG1からみたエンジン22とモータMG1とからなる慣性系の慣性モーメントIにモータMG1の回転角加速度ωを乗じたものとなり、これが動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに伝達される。このとき、モータMG1の回転角加速度ωはモータMG1の回転数の時間微分と同意であるから、目標回転数Nm1*の時間微分を線形的に変化、即ち、目標回転数Nm1*に対応する目標回転数Ne*を二次曲線状に変化させることにより、モータMG1からリングギヤ軸32aに伝達されるイナーシャトルクを線形的に変化させることができる。従って、イナーシャトルクに起因してリングギヤ軸32aに作用するトルクのショックを抑制することができる。特に、アクセルペダル83が大きく踏み込まれて仮目標回転数Netmpが増大するときにはモータMG1からリングギヤ軸32aに作用するイナーシャトルクは車両を減速させる方向に働くから、こうした減速感を抑制することができる。ステップS140,S150で仮目標回転数Netmpの変化に対して二次曲線状に変化するよう目標回転数Ne*を設定するのは、こうした理由による。その後、目標回転数Ne*が仮目標回転数Netmpに近づいたときにはステップS130の一次遅れ処理による一次遅れ回転数Ne1がそのまま目標回転数Ne*として設定されるから(図中B区間参照)、モータMG1(エンジン22)のオーバーシュートが抑制される。なお、運転者が踏み込んでいたアクセルペダル83を急激に戻して要求トルクTr*が急減したときも同様に考えることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド車20によれば、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求される要求トルクTr*に基づいてエンジン22を効率よく運転させる運転ポイント(仮目標回転数Netmp,仮目標トルクTetmp)を設定し、設定した仮目標回転数Netmpの変化に対して二次曲線状に変化するようレート処理をもって目標回転数Ne*を設定し、設定した目標回転数Ne*でエンジン22が運転されると共に要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2を制御するから、エンジン22およびモータMG1からリングギヤ軸32aに伝達されるイナーシャトルクを線形的に変化させることができる。この結果、エンジン22およびモータMG1からなる慣性系のイナーシャトルクに起因するトルクショックの発生を抑制することができ、ドライバビリティをより向上させることができる。しかも、仮目標回転数Netmpに対して一次遅れ処理を施した後の一次遅れ回転数Ne1に対してレート処理を施して目標回転数Ne*を設定するから、モータMG1の回転数Nm1がオーバーシュートするのを抑止することができる。
実施例のハイブリッド車20では、仮目標回転数Netmpに対してステップS130による一次遅れ処理を施すと共に一次遅れ処理を施して得られる一次遅れ回転数Ne1に対してステップS140,S150によるレート処理を施すことにより目標回転数Ne*を設定するものとしたが、仮目標回転数Netmpに対して直接ステップS140,S150によるレート処理を施して目標回転数Ne*を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、ステップS140,S150によるレート処理により仮目標回転数Netmpの変化に対して目標回転数Ne*を二次曲線状に変化させるものとしたが、仮目標回転数Netmpの変化に対して目標回転数Ne*を二次曲線状に変化させることができれば他の如何なる処理、例えば、仮目標回転数Netmpに対して二次遅れ要素を適用するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、図2の駆動制御ルーチンのステップS130ででエンジン22の仮目標回転数Netmpに一次遅れ処理を施して一次遅れ回転数Ne1を計算するものとしたが、一次遅れ回転数Ne1に代えて図7に例示する駆動制御ルーチンのステップS130a,S130bによる処理後回転数Ne1を計算するものとしてもよい。以下、図7の駆動制御ルーチンについて説明するが、図7のルーチンの各ステップのうち図2のルーチンのステップの同一の処理については同一のステップ番号を付し、その説明は重複するから省略する。図7の駆動制御ルーチンでは、ステップS120で仮目標回転数Netmpを設定すると、仮目標回転数Netmpから前回の目標回転数Ne*を減じた回転偏差(Netmp−前回Ne*)に基づいてエンジン22の回転数Neの上昇レートおよび下降レートの制限値としての回転数制限ΔNelimを設定し(ステップS130a)、回転数偏差(Netmp−前回Ne*)が正の値のときには仮目標回転数Netmpと前回の目標回転数Ne*に回転数制限ΔNelimを加えた回転数(前回Ne*+ΔNelim)とのうち小さい方を処理後回転数Ne1として設定し、回転数偏差(Netmp−前回Ne*)が負の値のときには仮目標回転数Netmpと前回の目標回転数Ne*に回転数制限ΔNelimを加えた回転数(前回Ne*+ΔNelim)とのうち大きい方を処理後回転数Ne1として設定し(ステップS130b)、ステップS140以降の処理を実行して本ルーチンを終了する。ここで、回転数制限ΔNelimは、この例では、回転偏差(Netmp−前回Ne*)と回転数制限ΔNelimとの関係を予め求めてマップとしてROM74に記憶しておき、回転偏差が与えられるとマップから対応する回転数制限ΔNelimを導出して設定するものとした。このマップの一例を図8に示す。図示するように、回転偏差が小さくなるほど非線形性をもって回転数制限ΔNelimが値0に近づくようマップを作成した。これは、運転者によるアクセルペダル83の急な操作により仮目標回転数Netmpが急変したときにエンジン22の回転数Neを仮目標回転数Netmpに向けて迅速に近づけると共に仮目標回転数Netpmに近づいたときにはエンジン22の回転数Neをスムーズに仮目標回転数Netpmに収束させるためである。なお、この例では、回転偏差が小さくなるほど非線形性をもって値0に近づくよう回転数制限ΔNelimを設定するものとしたが、エンジン22の回転数Neを仮目標回転数Netmpに迅速に近づける効果は若干落ちるが、回転偏差が小さくなるほど線形性をもって値0に近づくよう回転数制限ΔNelimを設定するものとしてもよい。また、この例では、回転偏差を仮目標回転数Netmpから前回の目標回転数Ne*を減じて計算するものとしたが、エンジン22のクランクシャフトに取り付けられた回転数センサによりエンジン22の回転数Neを直接検出するものとし、仮目標回転数Netmpから検出した回転数Neを減じて計算するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20やその変形例では、ステップS170でエンジン22の目標トルクTe*に仮目標トルクTetmpを設定するものとしたが、目標トルクTe*に要求パワーPe*をステップS150で設定した目標回転数Ne*で割ったものを設定するものとしてもよい。こうすれば、目標回転数Ne*に拘わらず要求パワーPe*を出力することができる。
実施例のハイブリッド車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド車320に例示するように、エンジン22と、エンジン22のクランクシャフトにクラッチCLを介して接続されると共に駆動輪63a,63bに接続された駆動軸に接続されエンジン22からの動力を無段階に変速して出力するCVT330と、駆動軸に動力を出力するモータ340とを備えるものとしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車や列車などの車両に関する産業に利用可能である。
本発明の一実施形態としてのハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例および仮目標回転数Netmpと仮目標トルクTetmpを設定する様子を示す説明図である。 動力分配統合機構30の各回転要素の回転数およびトルクの力学的な関係を示す共線図である。 仮目標回転数Netmpの変化に対する目標回転数Ne*の時間変化の様子を示す説明図である。 変形例の駆動制御ルーチンを示すフローチャートである。 回転偏差(Netmp−前回Ne*)と回転数制限ΔNelimとの関係の一例を示すマップである。 変形例のハイブリッド車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド車220の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド車320の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220,320 ハイブリッド車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54
電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74
ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、330
CVT、340 モータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (11)

  1. 内燃機関と、
    走行状態に対して独立して前記内燃機関の出力軸の回転を調整しながら該内燃機関からの動力の少なくとも一部を車軸側に伝達可能な回転調整動力伝達手段と、
    前記車軸側に動力を出力可能な電動機と、
    該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    運転者により要求される要求動力に基づいて前記内燃機関の運転ポイントを設定し、該設定した運転ポイントにおける回転数の変化に対して前記内燃機関の出力軸の回転数が略二次曲線状に変化するよう該運転ポイントを調整し、該調整した運転ポイントで該内燃機関が運転されると共に該要求動力に基づく動力が前記車軸側に出力されるよう前記内燃機関と前記回転調整動力伝達手段と前記電動機とを制御する制御手段と
    を備えるハイブリッド車。
  2. 前記制御手段は、前記要求動力に基づいて設定した運転ポイントにおける回転数に対して所定の緩変化処理を施すことにより該運転ポイントを調整する手段である請求項1記載のハイブリッド車。
  3. 前記制御手段は、前記所定の緩変化処理として時間の経過と共にレートを線形的に増減してなるレート処理を施すことにより前記運転ポイントを調整する手段である請求項記載のハイブリッド車。
  4. 前記制御手段は、前記所定の緩変化処理として前記要求動力に基づいて設定した運転ポイントにおける回転数に対して一次遅れ処理を施すと共に該一次遅れ処理を施した後の回転数に対して前記レート処理を施すことにより前記運転ポイントを調整する手段である請求項記載のハイブリッド車。
  5. 前記制御手段は、前記所定の緩変化処理として、前記要求動力に基づいて設定した運転ポイントにおける回転数と現在の前記内燃機関の回転数との偏差に基づいて該内燃機関の回転数の上昇程度または下降程度の制限値を設定し、該制限値の範囲内で該内燃機関の回転数が上昇または下降するよう前記運転ポイントを調整する手段である請求項または記載のハイブリッド車。
  6. 前記制御手段は、前記偏差が小さいほど前記内燃機関の回転数の上昇程度または下降程度が小さくなる傾向に前記制限値を設定する手段である請求項記載のハイブリッド車。
  7. 前記制御手段は、前記偏差が小さくなるほど単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇程度または下降程度が非線形的に小さくなるよう前記制限値を設定する手段である請求項記載のハイブリッド車。
  8. 前記回転調整動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸と前記車軸に連結された駆動軸と第3の軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の1軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段である請求項1ないしいずれか1項に記載のハイブリッド車。
  9. 前記回転調整動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記
    車軸に連結された駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、電磁的な作用により該第1の回転子と該第2の回転子とを相対回転させる対回転子電動機である請求項1ないしいずれか1項に記載のハイブリッド車。
  10. 前記回転調整動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸と前記車軸に連結された駆動軸とに接続され、該内燃機関からの動力を無段階に変速して該駆動軸に出力する無段変速機である請求項1ないしいずれか1項に記載のハイブリッド車。
  11. 内燃機関と、走行状態に対して独立して前記内燃機関の出力軸の回転を調整しながら該内燃機関からの動力の少なくとも一部を車軸側に伝達可能な回転調整動力伝達手段と、前記車軸側に動力を出力可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
    (a)運転者により要求される要求動力に基づいて前記内燃機関の運転ポイントを設定し、
    (b)該設定した運転ポイントにおける回転数の変化に対して前記内燃機関の出力軸の回転数が略二次曲線状に変化するよう該運転ポイントを調整し、
    (c)該調整した運転ポイントで該内燃機関が運転されると共に該要求動力に基づく動力が前記車軸側に出力されるよう前記内燃機関と前記回転調整動力伝達手段と前記電動機とを制御する
    ハイブリッド車の制御方法。
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