JP4337336B2 - インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接合層で振動板に接合された圧電素子の作動によって圧力室の中のインクを加圧し、ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッド、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12に示すように、圧電素子102の作動でインク滴を記録紙等に飛翔させるピエゾ式インクジェット記録ヘッド100において、圧電素子102と振動板104は、導通を確保するために、導電粒子106を含有する導電性接着剤108で接合されている。(例えば、特許文献1〜3参照)
しかしながら、導電性接着剤108に含有される導電粒子106や、一般的にこの種の接着剤に添加されることが多いフィラー110は粒径が均一ではなく、粒径の大きい大径粒子112が導電性接着剤108に含まれてしまうことがある。
【0003】
このため、圧電素子102を粘着保持する発泡テープ114及び固定板116を介して、圧電素子102を振動板104に加圧接合する際に、この大径粒子112が圧電素子102に集中荷重を与えてしまい、圧電素子102に割れやクラックが発生してしまうという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−82042号公報
【特許文献2】
特開平10−315485号公報
【特許文献3】
特開2000−117992公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、ピエゾ素子と振動板の導通を確保しつつ、ピエゾ素子と振動板を加圧接合する際にピエゾ素子に割れやクラックが発生することを防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドは、ノズルが設けられた圧力室の壁面の一部を形成する振動板と圧電素子が接合層で接合され、前記圧電素子の作動で前記振動板を変形させて前記圧力室の中のインクを加圧し、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドであって、前記接合層は、前記圧電素子と前記振動板の少なくとも一方に接着剤を塗布し、加圧硬化させて、前記圧力室に面する前記圧電素子及び前記振動板を変形させることにより、前記圧力室を形成する隔壁に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と接触させる薄層の薄層部と、前記圧力室に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と非接触とさせる厚層の厚層部と、で形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドでは、圧電素子と振動板が、薄層部と厚層部とで形成された接合層で接合されている。圧電素子と振動板は、接触した状態で薄層部によって接合されているので、接合層に導電粒子を含有させなくても導通する。このため、圧電素子を振動板に加圧接合する際に、導電粒子を介して圧電素子に集中荷重がかからず、割れやクラックが発生しない。
【0008】
また、圧電素子と振動板は、厚層部によって非接触で接合されている。即ち、圧電素子及び振動板の接合面に厚層部により強固な接合層が形成されているため、圧電素子と振動板の接合強度を確保できる。
さらに、厚層部が、圧力室に面する部分に設けられているので、この部分が圧電素子の作動で変形しても、圧電素子が振動板から剥がれることはない。
さらにまた、薄層部が、圧力室を形成する隔壁に面する部分に設けられ、振動板と圧電素子が接触しているので、圧電素子と振動板の導通が確保される。なお、この部分は圧電素子の作動で変形しないので、薄層部が圧電素子及び振動板の接合面の全面に接触していなくても圧電素子が振動板から剥がれることはない。
【0009】
請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドは、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドであって、前記接合層は、前記接着剤を2〜5μmの厚さで塗布して形成されることを特徴とする
【0012】
請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドは、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドであって、前記厚層部が、前記圧力室の中央部に設けられ、前記薄層部が、該厚層部の周囲に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドでは、厚層部が圧力室の中央部に設けられているので、この部分が圧電素子の作動で変形しても圧電素子が振動板から剥がれることはない。
【0014】
また、薄層部が圧電素子の周囲に設けられていることによって、圧電素子と振動板の導通を確保できると共に、圧電素子と振動板を加圧接合する際に薄層部となる接着剤が接合部からはみ出すことを抑制できる。なお、振動板の薄層部が設けられた部分は、該中央部と比して変形量が少ないので、圧電素子が振動板から剥がれることはない。
【0015】
請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドであって、前記厚層部の厚さが2μm以下であることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドでは、厚層部の厚さが2μm以下となっている。接合層の厚さが2μm以上となると、接合層が圧電素子の変位を緩衝吸収してしまうことが後述する実験で確認されている。このため、厚層部の厚さを2μm以下に規定することで振動板を確実に変位させることができる。ここで、厚層部の厚さとは、厚層部全体の平均の厚さをいう。
【0017】
請求項5に記載のインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドであって、前記薄層部の厚さが0.5μm以下であることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載のインクジェット記録ヘッドでは、薄層部の厚さが0.5μm以下となっている。通常、圧電素子及び振動板の表面粗さは数μmとされているので、薄層部は、圧電素子及び振動板の接合面の凹凸の凹部に埋め込まれた状態となり、圧電素子と振動板の表面粗さの頂上部を接触させて接合する。これによって、圧電素子と振動板が導通する。なお、薄層部の厚さとは、薄層部全体の平均の厚さをいう。
【0019】
請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドであって、前記圧電素子及び前記振動板の接合面の少なくとも一方の表面粗さが2〜6μmであることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドでは、圧電素子及び振動板の接合面の少なくとも一方の表面粗さが2〜6μmとなっており、薄層部の厚さを0.5μm以下とした場合、圧電素子と振動板を導通できることが確認されている。
【0021】
請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドであって、前記接合層は、フィラー、導電粒子等の微粒子を含有しない接着剤で形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドでは、接合層が、フィラー、導電粒子等の微粒子を含有しない接着剤で形成されているので、圧電素子を振動板に加圧接合する際に圧電素子に集中荷重が加わることがない。従って、圧電素子に割れやクラックが発生しない。
【0023】
請求項8に記載のインクジェット記録ヘッドは、請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドであって、前記接合層は、熱硬化性のエポキシ接着剤で形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載のインクジェット記録ヘッドでは、接合層が、熱硬化性のエポキシ接着剤で形成されているので、圧電素子と振動板を加圧と共に加熱することによって、接着剤が硬化し圧電素子と振動板は接合される。なお、エポキシ(絶縁性)接着剤で接合層を形成するが、圧電素子と振動板は、薄層部によって接触されているので、導通する。
【0028】
請求項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、ノズルが設けられた圧力室の壁面の一部を形成する振動板と圧電素子が接合層で接合され、前記圧電素子の作動で前記振動板を変形させて前記圧力室の中のインクを加圧し、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、前記接合層を、前記圧電素子と前記振動板の少なくとも一方に接着剤を塗布し、加圧硬化させて、前記圧力室に面する前記圧電素子及び前記振動板を変形させることにより、前記圧力室を形成する隔壁に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と接触させる薄層とした薄層部と、前記圧力室に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と非接触させる厚層とした厚層部と、で形成することを特徴とする。
【0029】
請求項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、圧電素子と振動板を、薄層部では接触させて接合し、厚層部では非接触で接合する。これによって、接合層がいかなる接着剤で形成されていても圧電素子と振動板が確実に導通し、且つ圧電素子と振動板の接合強度が確保される。また、接合層を形成する接着剤に導電粒子等の微粒子を含有する必要がないので、圧電素子と振動板を加圧接合する際に、圧電素子が集中荷重を受けて破損することがない。
また、圧電素子と振動板を、圧力室に面する部分では非接触で接合し、圧力室を形成する隔壁に面する部分では接触させて接合する。これによって、接合層をいかなる接着剤で形成しても圧電素子と振動板が確実に導通し、且つ振動板の圧力室に面する部分が圧電素子の作動で変形しても圧電素子が振動板から剥がれることがない。
【0032】
請求項10に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、請求項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、前記厚層部を、前記圧力室の中央部に形成し、前記薄層部を、前記厚層部の周囲に形成することを特徴とする。
【0033】
請求項10に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、圧電素子と振動板を、圧力室の中央部では非接触で接合し、その周囲では接触させて接合する。これによって、接合層をいかなる接着剤で形成しても圧電素子と振動板が確実に導通し、且つ振動板の圧力室に面する部分が圧電素子の作動で変形しても圧電素子が振動板から剥がれることがない。また、薄層部を形成する接着剤が接合部からはみ出すことを抑制できる。
【0034】
請求項11に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、請求項又は10に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、前記接着剤を厚さ2〜5μmで塗布することを特徴とする。
【0035】
請求項11に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、圧電素子と振動板の少なくとも一方に接着剤を厚さ2〜5μmで塗布し、圧電素子と振動板を加圧接合する。これによって、薄層部では圧電素子と振動板を接触して接合でき、厚層部では圧電素子と振動板を非接触で接合できることが確認されている。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら第1の実施形態について説明する。
【0037】
図1に示すように、第1の実施形態のインクジェット記録ヘッド10は、インクジェット式記録装置1に搭載されている。このインクジェット式記録装置10では、インクジェット記録ヘッド10を主走査方向(図中矢印A方向)に走査しながら、記録用紙2を副走査方向(図中矢印B方向)に搬送して、インクジェット記録ヘッド10から記録用紙2へインク滴を吐出させる。これによって、記録用紙2の全面に画像が記録される。
【0038】
図2、図3に示すように、インクジェット記録ヘッド10には、複数のノズル11a(直径30±0.5μm)がマトリックス状(64行×4列)に形成されたノズルプレート11が備えられている。ノズルプレート11には、圧力室プレート12が接着されている。また、圧力室プレート12のノズルプレート11との接着面の裏面には振動板13(ステンレス製)が接着されている。圧力室プレート12には、振動板13からノズルプレート11に向かって除々に狭くなるテーパー状の4面の隔壁12bが形成され、この隔壁12bとノズルプレート11と振動板13とで圧力室12aが形成され、ノズル11aと同じ数だけ設けられている。
【0039】
振動板13の圧力室プレート12との接着面の裏面には、正方形状(一辺が500±10μm)の圧電素子14aが各圧力室12aに面して、ノズル11aが中心部に位置するように位置決めされて配列されている。また、圧電素子14aの上下面には、電極層34a、34bが形成されている。
【0040】
電極層34aは、半田ボールバンプ16で配線層17に機械的且つ電気的に接合され、電極層34bが、接着剤層35(後述する)で導通可能に振動板13に接着されている。これによって、図示しない制御部からの駆動電圧が配線層17及び半田ボールバンプ16を介して圧電素子14aに印加される。
【0041】
次に、インクジェット記録ヘッド10の製造方法について説明する。
【0042】
先ず、図2に示すノズル11aを圧力室12aに対向させてノズルプレート11を圧力室プレート12に接合する。そして、振動板13を圧力室プレート12のノズルプレート11との接合面の裏面に接合する。
【0043】
次に、圧電素子14aの作製を行う。先ず、図4(a)に示すように、圧電プレート21(厚さ30μm、チタン酸ジルコン酸鉛製)を、熱発泡性を有する接着フィルム22を用いて基板23に接着する。次に、圧電プレート21の全体に感光性フィルム24(ウレタン系)を貼り付け、感光性フィルム24を碁盤目状のマスク(図示せず)で覆った状態で露光する。なお、圧電プレート21の両面には、予め電極層34a(Cr製の0.2μmの金属薄膜)、電極層34b(Au製の0.1μmの金属膜)がスパッタリング法で形成されている。
【0044】
そして、図4(b)、図5に示すように、感光して硬化した升目状部分の感光性フィルム24を残し、これら以外の部分を除去して行列方向に延在する溝パターン19cを形成する。これによって、中央部分に4個の圧電素子パターン19aと、この圧電素子パターン19aを囲むダミーパターン19bとが形成される。
【0045】
次に、炭化珪素砥粒(砥粒径:例えば20μm)を所定の圧力で吹き付け、サンドブラスト加工を施す。これによって、図4(c)に示すように、圧電プレート21は、溝パターン19cの所で研削されて分離溝18が形成される。この分離溝18によって、圧電プレート21には、圧電素子14aとダミー素子14bとに分離された圧電素子ユニット14が形成される。
【0046】
そして、感光性フィルム24を圧電素子ユニット14から剥離する。その後、予め形成しておいた位置決め用のマーク(図示せず)を、顕微鏡で目合わせする方法によって圧電素子ユニット14を振動板13上に位置決めし接合する。
【0047】
そして、電極層34b又は振動板13の表面に接着剤を2〜5μmの厚さで塗布し、加圧加熱して圧電素子14aと振動板13を接着固定する。加圧力は、圧電素子14aの平面積に対し1MPa(パスカル)を付加し、加熱温度は120度とした。
【0048】
この接着剤には、粒径が2μm以下のフィラーや導電粒子等の微粒子を添加した導電性の接着剤を用い、接着固定後の接着剤層35の厚さ(接着剤層35全体の平均の厚さ)が2μm以下になるように塗布する。
【0049】
これは、後述するように接着剤層35が厚くなると圧電素子14aの変位が接着剤層35によって吸収緩衝されてしまうためであり、また、接着剤層35が厚くなる分、厚さのバラツキが大きくなり、圧電素子14aの変位が振動板13へ不均一に伝わるためである。そこで、接着剤層35を上述したように形成して、振動板の性能を維持している。
【0050】
また、接着剤層35に粒径が2μmを超える大径の粒子を含有しないようにしたので、圧電素子14aと振動板13を加圧接合する際に、圧電素子14aに割れやクラックが発生するような荷重が加わることはない。
【0051】
以上のように圧電素子ユニット14と振動板13を接合した後、基板23を圧電素子14a、ダミー素子14bから剥離する。ここで、接着フィルム22は、接着後に所定の温度で加熱されると発泡して接着力が低下する性質を有する。この性質を利用して接着フィルム22を所定温度で加熱し、基板23を圧電素子14aから剥離する。
【0052】
最後に、図2に示すように、圧電素子14aの電極層34aを半田ボールバンプ16を介して、制御部(図示せず)に接続された配線層17に接続する。このようにして製造されたインクジェット記録ヘッド10を搭載するインクジェット式記録装置1は、駆動電圧30V、周波数30kHzで、圧電素子14aが良好に駆動し、対応するノズル11aからインク滴を良好に吐出した。
【0053】
なお、図6の表に示すように、接着剤層35の厚さを1〜5μmと変化させて、印字テストを行ったところ、接着剤層35の厚さが2μmを超えるような場合は、圧電素子14aの性能が悪化することが確認された。
【0054】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0055】
図7、図8に示すように、インクジェット記録ヘッド40には、複数のノズル41a(直径30±0.5μm)がマトリックス状(64行×4列)に形成されたノズルプレート41が備えられている。ノズルプレート41には、圧力室プレート42が接着されている。また、圧力室プレート42のノズルプレート41との接着面の裏面には振動板43(ステンレス製)が接着されている。圧力室プレート42には、振動板43からノズルプレート41に向かって除々に狭くなるテーパー状の4面の圧力室隔壁42bが形成され、この圧力室隔壁42bとノズルプレート41と振動板43とで圧力室42aが形成され、ノズル41aと同じ数だけ設けられている。
【0056】
振動板43の圧力室プレート42との接着面の裏面には、複数の圧電素子44aが各圧力室42aに対向してマトリックス状に配列されている。圧電素子44aは長方形状(短辺450±10μm、長辺750±50μm)をしており、長手方向の一端部は振動板43の圧力室42aに面する部分に位置し、長手方向の他端部は圧力室隔壁42bに面する部分に位置する。そして、幅方向の両端部は圧力室42aよりも狭幅となっている。これによって、圧電素子44aの圧力室42aに面する部分の変形が圧力室隔壁42bによって妨げられないので、圧電素子44aは効率よく変位できる。
【0057】
そして、圧電素子44aの振動板43との接合面には電極層64b(Au製の0.1μmの金属薄膜)が形成され、該接合面の裏面には電極層64a(Cr製の0.2μmの金属薄膜)が形成されている。電極層64aは、半田ボールバンプ46でフレキシブル配線板47に機械的且つ電気的に接合され、電極層64bが、接着剤層65(後述する)で導通可能に振動板43に接着固定されている。これによって、図示しない制御部からの駆動電圧がフレキシブル配線板47を介して圧電素子44aに印加される。
【0058】
次に、インクジェット記録ヘッド40の製造方法について説明する。
【0059】
第2の実施形態の製造方法は、第1の実施形態の製造方法と基本的に同じであるが、残存ダミー素子61が設けられている点と、位置決めの方法、接着剤の塗布方法が異なる。特に、接着方法に関して相違点を詳細に説明する。
【0060】
まず、分離溝62の幅の均一化を目的として、本実施形態は、図8に示すように、隣合う圧電素子44aの間、及び圧電素子44aとダミー素子60の間に、残存ダミー素子61を設けた。位置決めについては図8、9に示すように、圧電プレート51に目合わせマーク66を、圧力室プレート12には位置決めマーク67を、そして基板53には目合わせマーク66に対応して貫通孔68を形成し、振動板43には位置決めマーク67に対応して貫通孔69を形成する。そして、貫通孔68、69を通して、顕微鏡で目合わせマーク66と位置決めマーク67を目合わせし、圧電素子44aを振動板43上に高精度に位置決めし接合する。
【0061】
次に、図8、10に示すように、電極層64b及び振動板43の少なくと一方の表面にフィラーや導電粒子等の微粒子を一切含有しない熱硬化性のエポキシ接着剤を本実施形態では平均3.5μmの厚さで塗布し、加圧加熱して圧電素子44aと振動板43を接着固定する。第1の実施形態と同様に、加圧力は圧電素子44aの平面積に対し1MPa(パスカル)とし、加熱温度は120度とした。
【0062】
この接着固定の際、加圧力を増加していくと、圧電素子44aや振動板43の圧力室42aに面する部分は、圧力室42aが空洞であるため加圧力を受け止められず、図10に示すように変形する。逆に、圧力室隔壁42bに面する部分では、十分な加圧力が作用して接着剤層65が薄くなる。この現象を利用して接着剤層65の圧力室42aに面する部分には、厚さが2μm以下になる厚層部65Aを形成し、厚層部65Aの周囲及び圧力室隔壁42bに面する部分には、厚さが0〜0.5μmになる薄層部65Bを形成する。ここで、厚層部65Aの厚さとは厚層部65A全体の平均の厚さをいい、薄層部65Bの厚さとは薄層部65B全体の厚さをいう。また、圧電素子44aの接着面は表面粗さ6μm、振動板43の接着面は表面粗さ2μmで仕上げられている。
【0063】
これによって、図11(a)に示すように、薄層部65Bでは、圧電素子44aの接着面の凹凸の凸部44bと、振動板43の表面の凹凸の凸部43bが接触する。このため、接着剤層65が導電粒子を含有しないエポキシ接着剤であっても、圧電素子44aと振動板43の導通は確保される。
【0064】
また、薄層部65Bでは、接着剤が圧電素子44a及び振動板43の接着面の凹凸の凹部に埋め込まれた状態で圧電素子44a及び振動板43を接合させている。このため、圧電素子44aの作動により振動板43が変形しても振動板43から剥がれることはない。
【0065】
従って、圧電素子44aと振動板43の接着面の表面粗さが2〜6μm、薄層部65Bの厚さが0.5μm以下の条件で、圧電素子44aと振動板43の導通を確保できると共に、圧電素子44aと振動板43を確実に接着できる。
【0066】
また、図11(b)に示すように、厚層部65Aでは、圧電素子44aと振動板43が非接触となり、厚層部65Aが圧電素子44a及び振動板43の接着面の全体を接合している。これによって、接着強度が確保されているので、圧電素子44aの作動で振動板43が変形しても圧電素子44aが振動板43から剥がれない。
【0067】
このように、接着剤層65にフィラーや導電粒子等の微粒子を含有しないようにしたことによって、圧電素子44aと振動板43を加圧接合する際に、圧電素子44aに局所的に集中荷重が加わることが防止され、圧電素子44aに割れやクラックが発生しない。なお、本実施形態では、接着剤を3.5μmの厚さで塗布したが、2〜5μmの厚さの範囲で塗布した場合に上述したものと同様の効果が得られた。
【0068】
このようにして製造されたインクジェット記録ヘッド40は、駆動電圧30V、周波数30kHzで、圧電素子14aが良好に駆動し、対応するノズル41aからインク滴を吐出した。
【0069】
なお、第1、第2の実施形態では、圧電素子を正方形状、長方形状としたが、これに限らず、円形状や楕円形状等の他の形状でも同様の効果を得ることができる。また、圧電素子をマトリックス状に配列したが、これに限らず、全体で円形状をなすように配列する等、他の配列も適用可能である。
【0070】
【発明の効果】
本発明は上記構成にしたので、圧電素子と振動板の導通を確保すると共に、圧電素子を振動板に加圧接合する際に圧電素子に割れやクラックが発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを搭載するインクジェット式記録装置を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図3】図2の3−3矢視図である。
【図4】(a)第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子の形成工程を示す断面図である。
(b)第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子の形成工程を示す断面図である。
(c)第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子の形成工程を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子パターンを示す平面図である。
【図6】第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの接着剤層の厚さによる圧電素子の性能の判定を示す表である。
【図7】第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図(図8の7−7矢視図)である。
【図8】図7の8−8矢視図である。
【図9】第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子と振動板の接合工程を示す断面図である。
【図10】第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子と振動板の接合工程を示す拡大断面図である。
【図11】(a)第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子と振動板を接合する接着剤層の薄層部を示す拡大断面図である。
(b)第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子と振動板を接合する接着剤層の厚層部を示す拡大断面図である。
【図12】従来例に係るインクジェット記録ヘッドの圧電素子と振動板の接合工程を示す断面図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録ヘッド
11a ノズル
12a 圧力室
13 振動板
14a 圧電素子
35 接着剤層(接合層)
40 インクジェット記録ヘッド
41a ノズル
42a 圧力室
42b 圧力室隔壁(隔壁)
43 振動板
44a 圧電素子
65 接着剤層(接合層)
65A 厚層部
65B 薄層部

Claims (15)

  1. ノズルが設けられた圧力室の壁面の一部を形成する振動板と圧電素子が接合層で接合され、前記圧電素子の作動で前記振動板を変形させて前記圧力室の中のインクを加圧し、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドであって、
    前記接合層は、
    前記圧電素子と前記振動板の少なくとも一方に接着剤を塗布し、加圧硬化させて、前記圧力室に面する前記圧電素子及び前記振動板を変形させることにより、
    前記圧力室を形成する隔壁に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と接触させる薄層の薄層部と、
    前記圧力室に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と非接触とさせる厚層の厚層部と、
    で形成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記接合層は、前記接着剤を2〜5μmの厚さで塗布して形成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記厚層部が、前記圧力室の中央部に設けられ、前記薄層部が、該厚層部の周囲に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記厚層部の厚さが2μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記薄層部の厚さが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記圧電素子及び前記振動板の接合面の少なくとも一方の表面粗さが2〜6μmであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記接合層は、フィラー、導電粒子等の微粒子を含有しない接着剤で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 前記接合層は、熱硬化性のエポキシ接着剤で形成されていることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. ノズルが設けられた圧力室の壁面の一部を形成する振動板と圧電素子が接合層で接合され、前記圧電素子の作動で前記振動板を変形させて前記圧力室の中のインクを加圧し、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
    前記接合層を、
    前記圧電素子と前記振動板の少なくとも一方に接着剤を塗布し、加圧硬化させて、前記圧力室に面する前記圧電素子及び前記振動板を変形させることにより、
    前記圧力室を形成する隔壁に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と接触させる薄層の薄層部と、
    前記圧力室に面する部分の前記振動板を前記圧電素子と非接触とさせる厚層の厚層部と、
    で形成することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 前記厚層部を、前記圧力室の中央部に形成し、前記薄層部を、前記厚層部の周囲に形成することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  11. 前記接着剤を厚さ2〜5μmで塗布することを特徴とする請求項9又は10に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  12. 前記厚層部の厚さを2μm以下にすることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  13. 前記薄層部の厚さを0.5μm以下にすることを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  14. 前記圧電素子及び前記振動板の接合面の少なくとも一方の表面粗さが2〜6μmにすることを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  15. 前記接合層は、熱硬化性のエポキシ接着剤で形成することを特徴とする請求項9乃至14の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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