JP4336850B2 - 2液硬化型水性接着剤 - Google Patents

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本発明は、2液硬化型水性接着剤に関し、より詳細には、木質材料を接着させる際に、気温や材料温度の影響を受けにくく、最長の閉鎖堆積時間および最短の圧締時間をコントロールすることが可能な2液硬化型水性接着剤に関する。
一般的に、「接着剤を、被着材の所定の面に塗布した後、被着材同士を重ね合わせて堆積させて圧締を開始させるまでの時間であって、被着体どうしを密着させて接着させることが可能なように圧締を開始させる際に許容される時間」を「堆積時間」と称し、特に、「接着剤を、被着材の所定の面に塗布した後、被着材同士を重ね合わせて堆積させるまでの、空気中に放置しておく時間であって、被着材同士を重ね合わせて堆積させた後に、被着体どうしを密着させて接着させることが可能なように圧締を開始させる際に許容される時間」を「開放堆積時間」と称し、また、「接着剤を、被着材の所定の面に塗布して、被着材同士を重ね合わせて堆積させた後、圧締を開始させるまでの時間であって、被着体どうしを密着させて接着させることが可能なように圧締を開始させる際に許容される時間」を「閉鎖堆積時間」と称する。また、「接着剤を、被着材の所定の面に塗布し、被着材同士を重ね合わせて堆積させて圧締させた後、圧締を解除するまでの時間であって、被着体どうしを密着させて接着させることが可能なように圧締を継続する際に許容される時間」を「圧締時間」と称している。
従って、接着剤を塗布してから圧締させるまでの時間である堆積時間には、接着剤を塗布してから、被着材同士を重ね合わせて堆積させるまでの時間である開放堆積時間と、被着材同士を重ね合わせて堆積させてから、圧締させるまでの時間である閉鎖堆積時間とが含まれる。そして、圧締を開始してから解圧するまでの時間(圧締養生時間)である圧締時間が、堆積時間又は閉鎖堆積時間の後に継続されることになる。
木質材料が重ね合わせられた木質材料板(フラッシュパネルなど)は、木質材料を重ね合わせて積み上げ、圧締して強固に接着させることにより生産され、木質材料を接着させる際には、従来、酢酸ビニルエマルジョンを主成分とする木工用水性接着剤(「木工用酢ビエマルジョン系水性接着剤」と称する場合がある)が広く使用されてきた。この木工用酢ビエマルジョン系水性接着剤は、接着性が発現される機構が、水分が抜けることにより硬化する機構であるため、接着させる際には、気温や材料温度の影響を大きく受けてしまう欠点がある。具体的には、夏期(例えば、気温が30℃である場合)では、閉鎖堆積時間として、被着体どうしを密着させて接着させることが可能なように圧締を開始させる際に許容される最長の時間(最長の閉鎖堆積時間)や、圧締時間として、被着体どうしを密
着させて接着させることが可能なように圧締を継続する際に許容される最短の時間(最短の圧締時間)が短くなってしまい、一方、冬期(例えば、気温が5℃である場合)では、逆に、最長の閉鎖堆積時間や、最短の圧締時間が長くなり、その差が極端であるため、安定した作業時間を設定しにくいという問題があった。また、木工用酢ビエマルジョン系水性接着剤は、最長の閉鎖堆積時間が、最短の圧締時間よりも短く、1/2程度であるため、圧締するための機械(プレス機)が1台である場合、圧締中には待ち時間が発生してしまい、生産性が低下してしまう欠点もあった。
このような欠点を改善するため、木工用水性接着剤として、例えば、アセトアセチル基含有高分子化合物を含む第1液[(A液)]と、ヒドラジン化合物を含む第2液[(B)液]とからなる2液分別塗布型水性接着剤を使用する方法が採用されている(特許文献1参照)。この2液分別塗布型水性接着剤は、接着性が発現される機構が、化学反応により硬化する機構であるため、接着させる際には、気温や材料温度の影響を受けにくく、また、最長の閉鎖堆積時間と、最短の圧締時間とが同程度であるため、圧締中も待ち時間がほとんどなく、この観点からは有利であるといえる。しかしながら、前記2液分別塗布型水性接着剤は、速硬化型であり、最長の閉鎖堆積時間と、最短の圧締時間とは、ともに1分程度と短く、フラッシュパネルの生産の際には、木質材料を1枚ずつ接着していく工程を採用する必要がある。そのため、フラッシュパネル等の生産において、多品種少量生産の際には、優れた方法であるが、冷圧プレス機を使用した少品種多量生産方式に比べ、生産量が少なくなってしまう欠点がある。
そのため、フラッシュパネル等の木質材料が重ね合わせられた木質材料板の製造において、木質材料を接着させる際に、気温や材料温度の影響を受けにくく、最長の閉鎖堆積時間が長く、且つ最長の閉鎖堆積時間と最短の圧締時間とが同じ時間程度である2液硬化型水性接着剤が求められている。
また、木質材料の接着においては、耐水性を要求される場合が多く、この場合は、水性高分子−イソシアネート系化合物の接着剤(「水性高分子−イソシアネート系接着剤」と称する場合がある)が使用される。この水性高分子−イソシアネート系接着剤も、基本的には、木工用酢ビエマルジョン系水性接着剤と同様に、気温や材料温度の影響を大きく受けてしまうという欠点がある。
さらに、水性高分子−イソシアネート系接着剤は、水分を吸収しない発泡ウレタン板や発泡スチロール板と、水分を僅かに吸収する程度の無機板との接着に使用されているが、乾燥が遅いため、ターンバックルで固定して翌日解圧した部材を切断してみると中央部は未乾燥状態である場合があった。また、このターンバックルで固定・解圧する作業は、ターンバックルが非常に重いため、重労働であり、作業時間も長くなるため、必要な作業員の人数が多く、著しく生産性を低下させる事になっていた。さらまた、ターンバックルの金属疲労のために、ボルト部分が破壊してしまう場合があり、このようなボルト部分の破壊の際には、天井を突き破る程の勢いで飛び出す等、非常に危険な状態となり、作業環境性が非常に危険な状態となっていた。
このような欠点を改善する方法として、アセトアセチル基含有高分子化合物を含む第1液と、ヒドラジン化合物を含む第2液とからなる2液分別塗布型水性接着剤において、第3液として、イソシアネート化合物を用い、この第3液としてのイソシアネート化合物が配合され、耐水性が向上されたアセトアセチル基含有高分子化合物を含む第1液[(A)液]と、ヒドラジン化合物を含む第2液[(B)液]とからなる2液分別塗布型水性接着剤を用いる方法が検討されている。しかしながら、最長の閉鎖堆積時間と、最短の圧締時間とは、ともに、3分程度と短く、そのため、この場合でも、1枚ずつを接着していく工程を採用する必要がある。従って、フラッシュパネル等の生産において、多品種少量生産の際には、優れた方法であるが、冷圧プレス機を使用した少品種多量生産方式に比べ、生産量が少なくなってしまう欠点が、いまだ解決されていないのが、現状である。
特公平1−60192号公報
従って、本発明の目的は、木質材料を接着させる際に、気温や材料温度の影響を受けにくく、最長の閉鎖堆積時間および最短の圧締時間をコントロールすることが可能な2液硬化型水性接着剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、最長の閉鎖堆積時間が従来より長く、且つ最長の閉鎖堆積時間と最短の圧締時間とが同じ時間程度である2 液硬化型水性接着剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アセトアセチル基含有高分子化合物の水性溶液又は水性エマルジョンを第1液[(A)液]とする2液分別塗布型水性接着剤において、第2液[(B)液]として、特定のヒドラジノ基を含有する化合物を用いると、閉鎖堆積時間を制御することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記(A)液及び(B)液からなる2液硬化型水性接着剤である。
(A)分子内にアセトアセチル基を有する高分子化合物(A1)及びイソシアネート系化合物(A2)を含む水性溶液又は水性エマルジョン
(B)分子内にアミド結合部位を有する高分子化合物(B1-a)である蛋白質とヒドラジン(B1-b)との反応生成物(B1)であり、分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上のアミノ基、または分子内に2つ以上のヒドラジドを有するヒドラジド基含有アミド系化合物
本発明の2液硬化型水性接着剤において、前記ヒドラジン(B1-b)としては、ヒドラジン水和物又は無水ヒドラジンを用いることができる。
また、分子内にアセトアセチル基を有する高分子化合物(A1)としては、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールを好適に用いることができる。高分子化合物(A1)を含む水性溶液又は水性エマルジョン(A)中には、さらに、イソシアネート系化合物(A2)が含まれてい
本発明の2液硬化型水性接着剤は、木質材料を接着させる際に、気温や材料温度の影響を受けにくく、最長の閉鎖堆積時間および最短の圧締時間をコントロールすることが可能であり、さらに、最長の閉鎖堆積時間が従来より長く、且つ最長の閉鎖堆積時間と最短の圧締時間とが同じ時間程度である。そのため、前記2液硬化型水性接着剤を用いることにより、優れた生産性で、フラッシュパネル等の木質材料が重ね合わせられた木質材料板を製造することができる。
[(A)液]
本発明では、2液硬化型水性接着剤における第1液[(A)液]として、分子内にアセトアセチル基[アセチル−アセチル基;CH3−C(=O)−CH2−C(=O)−]を有する高分子化合物(A1)(「アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)」と称する場合がある)を含む水性溶液又は水性エマルジョン(A)を用いている。(A)液中のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)は、アセトアセチル基を利用して、2液硬化型水性接着剤における第2液[(B)液]として用いられているヒドラジド基含有アミド系化合物(B)と反応して架橋反応が進行し、この架橋反応により、2液硬化型水性接着剤の接着性が発現されている。
(アセトアセチル基含有高分子化合物(A1))
アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、分子内にアセトアセチル基を少なくとも1つ有する高分子化合物であれば特に制限されない。アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)において、アセトアセチル基は、高分子化合物中に少なくとも1つ含有されていればよく、例えば、高分子鎖の主鎖中(主鎖の内部中や末端など)又は側鎖中(側鎖の内部中や末端など)に含有されている。アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、アセトアセチル基を、主鎖の末端や側鎖の末端に有していることが好ましく、特に、側鎖の末端に有していることが好ましい。
より具体的には、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、例えば、水溶性の高分子化合物(例えば、ポリビニルアルコール; ヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース;デンプンなどのヒドロキシル基含有水溶性高分子化合物など)を公知の方法によりアセトアセチル化した水溶性高分子化合物や、アセトアセチル基含有モノマー[例えば、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニルアセトアセテート;アリルアセトアセテートなど]に対応する(由来する)構成単位(繰り返し単位)を含む水溶性高分子化合物などが挙げられる。なお、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、例えば、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル化ポリビニルアルコール)、分子内にアセトアセチル基を有する変性ヒドロキシアルキルセルロース(アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース)、分子内にアセトアセチル基を有するデンプン(アセトアセチル化デンプン)等の分子内にアセトアセチル基を有する水溶性高分子化合物(アセトアセチル化水溶性高分子化合物)を好適に用いることができ、なかでも、アセトアセチル化ポリビニルアルコールを好適に用いることができる。
なお、前記アセトアセチル化ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール中のヒドロキシル基における水素原子が、アセトアセチル基に変性された変性ポリビニルアルコールである。前記アセトアセチル化ポリビニルアルコールにおいて、その分子中のアセトアセチル化度(アセトアセチル化変性度)は、特に制限されず、例えば、0.1〜20モル%程度の範囲から選択することができ、好ましくは2〜20モル%(特に、3〜10モル%)程度である。アセトアセチル化ポリビニルアルコールにおける分子中のアセトアセチル化度は、2モル%未満であると、アセトアセチル化ポリビニルアルコールとヒドラジノ基含有アミド系化合物(B)との反応が遅くなり、一方、20モル%を超えると、アセトアセチル化ポリビニルアルコールの溶解性の点などで問題があり、2液硬化型水性接着剤組成物の調製が困難になる。
また、アセトアセチル化ポリビニルアルコールの重合度は、特に制限されず、例えば、200〜3000(好ましくは500〜2500、さらに好ましくは1000〜2000)程度の範囲から選択することができる。
さらに、アセトアセチル化ポリビニルアルコールにおいて、そのけん化度も特に制限されず、例えば80〜100モル%(好ましくは85〜98モル%)程度の範囲から選択することができる。なお、アセトアセチル化ポリビニルアルコールとしては、ケン化度が異なる複数のアセトアセチル化ポリビニルアルコールを混合して用いることもできる。
アセトアセチル化ポリビニルアルコールの調製方法は、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコールとジケテン等を反応させる公知の方法などが挙げられる。このようなア
セトアセチル化ポリビニルアルコールとしては、例えば、日本合成化学工業株式会社から
商品名「ゴーセファイマーZ100」、「ゴーセファイマーZ200」、「ゴーセファイマーZ200H」、「ゴーセファイマーZ210」、「ゴーセファイマーZ220」、「ゴーセファイマーZ320」などが市販されている。
(アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液)
(A)液において、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液(「水性溶液(A)」と称する場合がある)としては、分子内にアセトアセチル基を少なくとも1つ有する高分子化合物を含む水性溶液であれば特に制限されない。該水性溶液(A)におけるアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、前記例示のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)(例えば、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース、アセトアセチル化デンプン等のアセトアセチル化水溶性高分子化合物など)から適宜選択して用いることができる。
なお、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)として、アセトアセチル化ポリビニルアルコールを用いる場合、水性溶液(A)中に、アセトアセチル化されていない通常のポリビニルアルコールを添加して(配合して)、作業性等を改善することも可能である。
水性溶液(A)は、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
(アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性エマルジョン)
一方、(A)液において、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性エマルジョン(「水性エマルジョン(A)」と称する場合がある)としては、分子内にアセトアセチル基を少なくとも1つ有する高分子化合物を含む水性エマルジョンであれば特に制限されない。水性エマルジョン(A)におけるアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、前記例示のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)から適宜選択して用いることができる。水性エマルジョン(A)中におけるアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)の含有形態は、特に制限されない。例えば、水性エマルジョン(A)において、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)は、乳化剤として用いられることにより、水性エマルジョン(A)中に含まれていてもよく、エマルジョン粒子を構成する主ポリマー成分として用いられることにより、水性エマルジョン(A)中に含まれていてもよい。
水性エマルジョン(A)において、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)が乳化剤として用いられている場合、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、例えば、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース、アセトアセチル化デンプンなどを用いることができる。この場合、エマルジョン粒子を構成する主成分としては、酢酸ビニル系樹脂、エチレン− 酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂成分や、スチレン− ブタジエンゴム等のゴム成分などが挙げられる。すなわち、水性エマルジョン(A)としては、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)が乳化剤として用いられた各種樹脂エマルジョン(例えば、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンなど)や、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)が乳化剤として用いられたゴムラテックス(例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックスなど)が挙げられる。
また、水性エマルジョン(A)において、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)がエマルジョン粒子を構成する主ポリマー成分として用いられている場合、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)としては、例えば、アセトアセチル化された水溶性高分子化合物(例えば、アセトアセチル化ポリビニルアルコールなど)や、分子内にアセトアセチル基を少なくとも1つ有するモノマー(アセトアセチル基含有モノマー)に対応する構成単位を含む水溶性高分子化合物などを用いることができる。従って、水性エマルジョン(A)は、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)が、必要に応じて乳化剤(例えば、界面活性剤、酸、アルカリなど)や、樹脂エマルジョン等を用いて、エマルジョン化された水性エマルジョンなどが挙げられる。前記乳化剤や樹脂エマルジョンとしては、特に制限されず、公知の乳化剤や樹脂エマルジョンから適宜選択して用いることができる。例えば、樹脂エマルジョンとしては、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン(ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン− 酢酸ビニル系樹脂エマルジョンなど)、アクリル系樹脂エマルジョン(アクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョンなど)、ゴムラテックス(スチレン− ブタジエン系樹脂エマルジョンなど)等が挙げられる。なお、酢酸ビニル系樹脂エマルジョンやアクリル系樹脂エマルジョン等の樹脂エマルジョンは、乳化重合物であってもよく、溶液重合等により得られたポリマーを乳化させた乳化物であってもよい。
なお、水性エマルジョン(A)中のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)において、アセトアセチル基含有モノマーに対応する構成単位を含む水溶性高分子化合物としては、アセトアセチル基含有モノマーと、必要に応じて、前記アセトアセチル基含有モノマーと共重合可能なモノマー(「共重合モノマー」と称する場合がある)との重合(特に乳化重合)により得られる水溶性高分子化合物を好適に用いることができる。前記アセトアセチル基含有モノマーとしては、前記に例示したアセトアセチル基含有モノマーなどが挙げられる。アセトアセチル基含有モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記共重合モノマーとしては、アセトアセチル基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限されず、例えば、各種のエチレン性不飽和単量体を用いることができる。共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどのアクリル系単量体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有ビニル単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基含有ビニル単量体;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やジエン類などが挙げられる。共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、アセトアセチル基含有モノマーに対応する構成単位を含む水溶性高分子化合物は、共重合性モノマー成分として、酢酸ビニルが用いられている場合、少なくとも部分的にケン化されていてもよい。
このように、本発明において、(A)液として用いる水性エマルジョン(A)は、(1)アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を乳化剤として用いて、ポリマーの乳化又はモノマーの乳化重合により得られた水性エマルジョンや、(2)アセトアセチル基含有モノマーと、必要に応じて共重合モノマーとの重合(特に乳化重合)により得られる水溶性高分子化合物の水性エマルジョン等の何れであってもよく、またこれらを2種以上組み合わせたものであってもよい。すなわち、水性エマルジョン(A)は、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
水性エマルジョン(A)としては、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)が乳化剤として用いられた各種樹脂エマルジョン(特に、アクリル系樹脂エマルジョン)が好適である。
(A)液は、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液又は水性エマルジョンであり、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液と、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性エマルジョンとが組み合わせられていてもよい。
(A)液におけるアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)の濃度(固形分濃度)としては、特に制限されないが、例えば、1〜25質量%(好ましくは3〜10質量%)の範囲から選択することができる。アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)の濃度が、(A)液全量に対して1質量% 未満であると、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)との反応性が低下して、初期接着強さが低下し、一方、25質量%を超えると、(A)液全体の粘度が高くなり、塗布しにくくなるなどの作業性が低下する。
なお、本発明では、(A)液としてのアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液又は水性エマルジョン(A)中には、酸、アルカリ、界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤など)等の乳化剤や、樹脂エマルジョン(前記に例示の樹脂エマルジョンなど)の他、充填剤(カオリン、タルク、クレー、炭酸カルシウムなど)、可塑剤、着色剤、防腐剤、防錆剤、防かび剤、粘度調整剤、濡れ促進剤、粘性改良剤、香料等の公知の添加剤などが含まれていてもよく、また、水性の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノールなどのアルコールやグリコールエーテル類など)が含まれていてもよい。
(A)液としてのアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液又は水性エマルジョン(A)の調製方法は、特に制限されず、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)の種類や、水性溶液又は水性エマルジョン等の含有形態などに応じて適宜選択することができる。また、市販されているアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液又は水性エマルジョンを使用することもできる。なお、乳化剤、樹脂エマルジョン、各種添加剤、下記に示されるイソシアネート系化合物(A2)などを用いる場合、これらは、適宜な段階で(例えば、水性溶液や水性エマルジョンの調製中や、調製後などで)配合することができる。
(イソシアネート系化合物(A2))
本発明では、(A)液としてのアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を含む水性溶液又は水性エマルジョン(A)中に、さらに、イソシアネート系化合物(A2)が含まれてい。イソシアネート化合物(A2)を水性溶液又は水性エマルジョン(A)に配合することにより、2液硬化型水性接着剤の耐水性を向上させることができる。このようなイソシアネート化合物(A2)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート系化合物を用いることができる。イソシアネート化合物(A2)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−ト、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシネ−ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
なお、本発明では、イソシアネート系化合物(A2)としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる。
イソシアネート化合物(A2)を、(A)液中に配合することにより、耐水性を向上させることができるが、接着物が全く湿潤状態にならない場合には、使用する必要はない。なお、イソシアネート化合物(A2)の配合量が多くなるに従い、耐水性能は向上するが、イソシアネート化合物(A2)は、接着物が「特殊合板の日本農林規格の2類以上」の耐水性を要求される場合に、用いられることが多い。このように、イソシアネート化合物(A2)を用いる場合、イソシアネート化合物(A2)の添加量としては、(A)液中のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)100質量部に対して、1〜30質量部(好ましくは5〜20質量部)の範囲から選択することができ、15質量部程度であることが好ましい。イソシアネート化合物(A2)の割合が、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)100質量部に対して、1質量部未満であると、耐水性向上に与える効果が少なく、一方、30質量部を超えると、可使時間が短くなるなどの制約が生じ、作業性が低下する。
なお、イソシアネート化合物(A2)は、(B)液中のヒドラジド基含有アミド系化合物(B)におけるヒドラジド基やアミノ基と反応して、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)の架橋に関与していると思われる。
[(B)液]
本発明では、2液硬化型水性接着剤における第2液[(B)液]として、分子内にアミド結合部位[−NH−C(=O)−]を有する高分子化合物(B1-a)である蛋白質とヒドラジン(B1-b)との反応生成物(B1)であり、分子内に1つのヒドラジド基[−C(=O)−NH−NH2]及び1つ以上のアミノ基(−NH2)、または分子内に2つ以上のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有アミド系化合物(B)(単に「ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)」と称する場合がある)を用いている。ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)は、ヒドラジド基やアミノ基が、(A)液中のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)におけるアセトアセチル基(特に、末端のアセチル基)と反応して、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)を架橋させる。
ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)としては、分子内にアミド結合部位を少なくとも1つ有するとともに、分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上のアミノ基を有するヒドラジド基含有アミド系化合物、または分子内にアミド結合部位を少なくとも1つ有するとともに、分子内に2つ以上のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有アミド系化合物であれば特に制限されない。ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、ヒドラジド基含有アミド系化合物が、分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上のアミノ基を有しているヒドラジド基含有アミド系化合物である場合、分子中のアミノ基の数としては、1つ以上であれば特に制限されないが、1つであることが好ましい。また、ヒドラジド基含有アミド系化合物が、分子内に2つ以上のヒドラジド基を有しているヒドラジド基含有アミド系化合物である場合、分子中のヒドラジド基の数としては、2つ以上(例えば、2〜4つ)であれば特に制限されないが、2つであることが好ましい。
なお、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)は、ヒドラジド基を1つ及びアミノ基を1つ以上、またはヒドラジド基を2つ以上有していれば、他の基(例えば、カルボキシル基など)を有していてもよい。また、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)が、ヒドラジド基を2つ以上有しているヒドラジド基含有アミド系化合物である場合、1つ以上のアミノ基を有していてもよい。
本発明では、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)としては、分子内にアミド結合部位を有する高分子化合物(B1-a)である蛋白質とヒドラジン(B1-b)との反応生成物(B1)であり、分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上(特に、1つ)のアミノ基、または分子内に2つ以上(特に、2つ)のヒドラジド基を有し、且つオリゴマー又はポリマーであるヒドラジド基含有アミド系化合物(「ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物」と称する場合がある)を好適に用いることができる。このように、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)として、オリゴマー又はポリマーとしてのヒドラジド基含有アミド系高分子化合物を用いることにより、最長の閉鎖堆積時間および最短の圧締時間を容易にコントロールすることができる。一般的には、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物の分子鎖(主鎖や側鎖など)の長さが長いほど、最長の閉鎖堆積時間を長くすることができる。しかも、最長の閉鎖堆積時間が長くなっていても、最短の圧締時間は長くはならず、最長の閉鎖堆積時間と同程度の時間とすることができる。これは、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)と、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)(特に、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物)との反応(アセチル基とアミノ基との脱水縮合反応に相当する反応)により接着性が発現され、この反応により架橋がある程度進行した後は、急速に硬化を生じさせることができるためである。なお、この反応の際には、水が生成するが、この生成する水は、硬化物の外部に、ほとんど又は全く漏れ出さない。これは、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)として、低分子のヒドラジド基含有化合物ではなく、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物が用いられているためか、生成する水が、硬化物内部に効果的に閉じこめられているため(捕捉されているため)であると思われる。
なお、本発明において、最長の閉鎖堆積時間とは、閉鎖堆積時間として判断される時間のうち最長の時間を意味しており、具体的には、「接着剤を、被着材の所定の面に塗布して、被着材同士を重ね合わせて堆積させた後、圧締を開始させるまでの時間であって、被着体どうしを密着させて接着させることが可能なように圧締を開始させる際に許容される最長の時間」意味している。また、最短の圧締時間としては、圧締時間として判断される時間のうち最短の時間を意味しており、具体的には、「接着剤を、被着材の所定の面に塗布し、被着材同士を重ね合わせて堆積させて圧締させた後、圧締を解除するまでの時間であって、被着体どうしを密着させて接着させることが可能なように圧締を継続する際に許容される最短の時間」を意味している。
ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物は、オリゴマー又はポリマーであるため、その主鎖の構成単位(アミド結合部位間の単位や、末端とアミド結合部位と間の単位)の数は、2以上となっている。ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物における主鎖の構成単位の数としては、2以上であれば、特に制限されず、目的とする最長の閉鎖堆積時間や最短の圧締時間などに応じて適宜選択することができる。具体的には、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物における主鎖の構成単位の数としては、2〜1500の範囲から選択することができる。
ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物において、その重量平均分子量としては、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物がオリゴマー又はポリマーであれば特に制限されず、例えば、146以上の範囲から選択することができる。ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物の重量平均分子量の上限としては、特に制限されず、目的とする最長の閉鎖堆積時間や最短の圧締時間などに応じて適宜選択することができる。具体的には、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物の重量平均分子量としては、例えば、146〜150000の範囲から選択することができる。
ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物としては、例えば、(B1)分子内にアミド結合部位を有する高分子化合物(B1-a)(「アミド結合含有高分子化合物(B1-a)」と称する場合がある)と、ヒドラジン(B1-b)との反応生成物、(B2)末端にカルボキシル基を有するペプチドにおける末端のカルボキシル基が、アルキルエステル化(例えば、メチルエステル化、エチルエステル化など)されたアルキルエステル化ペプチド(B2-a)(「アルキルエステル化ペプチド(B2-a)」と称する場合がある) と、ヒドラジン(B2-b)との反応生成物などが挙げられる。
ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物としては、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)と、ヒドラジン(B1-b)との反応生成物(B1)を好適に用いることができる。ヒドラジン(B1-b)は、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)のアミド結合部位を切断するように作用して、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)が分解され、この分解反応により、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物が生成する。この際、ヒドラジン(B1-b)の割合を調整することにより、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)の分解の程度をコントロールすることができ、オリゴマー又はポリマーとしてのヒドラジド基含有アミド系高分子化合物を得ることができる。すなわち、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)のアミド結合部位をすべて切断するように、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)を分解させてしまうと、分子内にアミド結合部位を有しておらず、且つ分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上のアミノ基、または分子内に2つ以上のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有化合物(「アミド結合部位非含有且つヒドラジド基含有化合物」と称する場合がある)が得られるが、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)のアミド結合部位のうちの一部のアミド結合部位のみを切断するように、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)を部分的に分解させることにより、分子内にアミド結合部位を有するとともに、分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上のアミノ基、または分子内に2つ以上のヒドラジド基を有し、且つオリゴマー又はポリマーであるヒドラジド基含有アミド系高分子化合物を得ることができる。このように、反応生成物(B1)としては、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)と、ヒドラジン(B1-b)との反応により、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)におけるアミド結合部位のうちの一部のアミド結合部位が、ヒドラジン(B1-b)により切断されるように、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)が分解されることにより生成する反応生成物であることが重要である。
このような反応生成物(B1)としては、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)の分解の程度が低いほど[すなわち、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)中のアミド結合部位を切断する割合が少ないほど]、主鎖の構成単位の数が多いヒドラジド基含有アミド系高分子化合物(すなわち、重量平均分子量の大きい又は分子鎖の長いヒドラジド基含有アミド系高分子化合物)が得られ、逆に、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)の分解の程度が高いほど[すなわち、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)中のアミド結合部位を切断する割合が多いほど]、主鎖の構成単位の数が少ないヒドラジド基含有アミド系高分子化合物(すなわち、重量平均分子量の小さい又は分子鎖の短いヒドラジド基含有アミド系高分子化合物)が得られる。従って、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)中のアミド結合部位のモル数に対するヒドラジン(B1-b)の割合等を適宜調整することにより、反応生成物(B1)として、重量平均分子量の大きさが所定の大きさに(分子鎖の長さが所定の長さに)コントロールされたヒドラジド基含有アミド系高分子化合物を得ることができる。
なお、前述のようなアミド結合含有高分子化合物(B1-a)の分解では、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物とともに、副生成物として、アミド結合部位非含有且つヒドラジド基含有化合物が生成する場合がある。この場合であっても、反応生成物(B1)中には、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物が有効成分として含まれているため、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)として反応生成物(B1)を用いることができる。この際、反応生成物(B1)は、精製せずに、アミド結合部位非含有且つヒドラジド基含有化合物をそのまま含んだ状態で用いてもよく、精製により、アミド結合部位非含有且つヒドラジド基含有化合物を除去してから用いてもよい。アミド結合部位非含有且つヒドラジド基含有化合物をそのまま含んだ状態で反応生成物(B1)を用いる場合、アミド結合部位非含有且つヒドラジド基含有化合物は、ヒドラジド基やアミノ基が、(A)液中のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)におけるアセトアセチル基(特に、末端のアセチル基)と反応することが可能なため、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)と反応生成物(B1)との反応性などに応じて、反応生成物(B1)中のアミド結合部位非含有且つヒドラジド基含有化合物の割合を調整するように、ヒドラジン(B1-b)によるアミド結合含有高分子化合物(B1-a)の分解反応を行うことが重要である。
また、反応生成物(B1)中に、ヒドラジン(B1-b)が残存していると、該ヒドラジン(B1-b)が、(A)液中のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)におけるアセトアセチル基(特に、アセチル基)と反応することが考えられるため、反応生成物(B1)中に残存するヒドラジン(B1-b)の量をできるだけ低減することができるように、ヒドラジン(B1-b)を適量用いて、ヒドラジン(B1-b)によるアミド結合含有高分子化合物(B1-a)の分解反応を行うことが重要である。なお、反応生成物(B1)中にヒドラジン(B1-b)が残存する場合、酸を用いて中和にさせることにより、反応生成物(B1)中に残存するヒドラジン(B1-b)を塩の形態にして、残存するヒドラジン(B1-b)の反応性を消失させることが好ましい。このような酸としては、特に制限されず、有機酸(例えば、カルボン酸、スルホン酸、炭酸など)や無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)などが挙げられる。酸としては、有機酸を好適に用いることができ、特にカルボン酸やスルホン酸(中でもスルホン酸)が好適である。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。また、スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸や、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸などが挙げられる。
なお、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物が、アルキルエステル化ペプチド(B2-a)と、ヒドラジン(B2-b)との反応生成物(B2)である場合、反応生成物(B2)は、アルキルエステル化ペプチド(B2-a)におけるアルキルエステル化部位が、ヒドラジン(B2-b)により、ヒドラジド化されたヒドラジド化ペプチドである。
前記反応生成物(B1)において、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)としては、分子内にアミド結合部位を少なくとも1つ有する高分子化合物であれば特に制限されず、天然や合成等のいずれのタイプの高分子化合物であってもよい。具体的には、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)としては、例えば、蛋白質、ペプチド、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、特に、蛋白質を好適に用いることができる。アミド結合含有高分子化合物(B1-a)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アミド結合含有高分子化合物(B1-a)において、蛋白質としては、1種又は2種以上のα−アミノ酸の縮合(脱水縮合)により得られた蛋白質であれば特に制限されず、公知の蛋白質から適宜選択して用いることができる。なお、蛋白質を構成するα−アミノ酸としては、例えば、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−アラニン、L−アルギニン、L−イソロイシン、グリシン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−シスチン、L−システイン、L−セリン、L−チロシン、L−トリプトファン、L−トレオニン、L−バリン、L−ヒスチジン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−メチオニン、L−リシン、L−ロイシン等の天然蛋白質を構成する主要α−アミノ酸の他、アザセリン、L−α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、L−アロイソロイシン、L−アロトレオニン、L−エチオニン、エルゴチオネイン、L−オルニチン、L−カナバニン、S−(カルボキシメチル)−L−システイン、L−キヌレニン、クレアチン、サルコシン、L−シスタチオニン、L−システイン酸、L−シトルリン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、3,5−ジヨード−L−チロシン、タウリン、L−チロキシン、L−ノルバリン、L−ノルロイシン、L−ホモセリン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、L−ランチオニンなどが挙げられる。
本発明では、蛋白質としては、膠、カゼイン、大豆から抽出された蛋白質などを好適に用いることができる。蛋白質としては、例えば、グロブリン、アルブミン、ゼラチン、にかわなどの一般的な蛋白質から適宜選択して用いることができる。より具体的には、蛋白質としては、例えば、牛乳由来のカゼインやカゼインナトリウム、乳清たんぱく等の牛乳由来の蛋白質(牛乳たんぱく質);大豆由来のカゼイン、グロブリン、コングリシニン等の大豆由来の蛋白質(大豆たんぱく質);小麦由来のグルテン、グルテリン、グリアジン等の小麦由来の蛋白質(小麦たんぱく質);その他の種子由来のプロラミン、アラキン、コンアラキン、ツエイン、グロブリン等のその他の種子由来の蛋白質(その他の種子たんぱく質);ムチン、卵白アルブミン、卵黄アルブミン等の卵由来の蛋白質(卵たんぱく質);ミオシン、アクチン、ミオグロビン等の肉由来の蛋白質(肉たんぱく質);絹由来の蛋白質、羊毛由来の蛋白質等の繊維由来の蛋白質( 蛋白質繊維) などが挙げられる。
また、ペプチドとしては、前述のようなα−アミノ酸やそれ以外のアミノ酸を1種又は2種以上縮合(脱水縮合)させることにより得られたペプチドであれば特に制限されず、公知のペプチドから適宜選択して用いることができる。ペプチドとしては、前記蛋白質に由来するペプチドやオリゴペプチドなども用いることができる。
なお、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)が蛋白質やペプチドである場合、蛋白質やペプチドがヒドラジンにより分解された蛋白質の分解物又はペプチドの分解物(ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物)は、同様の組成のアミノ酸の縮合により調製されたものに相当しているので、蛋白質の分解物又はペプチドの分解物における主鎖の構成単位の数としては、いわゆる「アミノ酸残基数」を採用してもよい。
一方、ヒドラジン(B1-b)としては、ヒドラジン水和物(ヒドラジン一水和物など)、無水ヒドラジンのいずれであってもよい。
また、前記反応生成物(B2)において、アルキルエステル化ペプチド(B2-a)としては、末端にカルボキシル基を有するペプチドにおける末端のカルボキシル基が、アルキルエステル化(例えば、メチルエステル化、エチルエステル化など)されたアルキルエステル化ペプチドであれば特に制限されないが、例えば、蛋白質を部分的に加水分解して得られ、且つ末端にカルボキシル基を少なくとも1つ有する蛋白質の部分加水分解物を、アルキルエステル化したアルキルエステル化ペプチドや、アミノ酸を脱水縮合させて得られ、且つ末端にカルボキシル基を少なくとも1つ有するアミノ酸の縮合物を、アルキルエステル化したアルキルエステル化ペプチドなどが挙げられる。また、ヒドラジン(B2-b)としては、ヒドラジン(B1-b)と同様に、ヒドラジン水和物や無水ヒドラジンを用いることができる。
なお、前記反応生成物(B1)において、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)として蛋白質やペプチドを用いた場合、反応生成物(B1)として、分子内にアミド結合部位を有するとともに、分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上のアミノ基を有するヒドラジド基含有アミド系高分子化合物が得られる場合が多い。これは、蛋白質やペプチドを構成するアミノ酸が、分子内にカルボキシル基とアミノ基とを、それぞれ1つ有しているものが多いためである。具体的には、蛋白質やペプチドを構成するアミノ酸として、分子内にカルボキシル基とアミノ基とを、それぞれ1つ有しているものが用いられていると、一方の末端から他方の末端に向かって、アミド結合部位の「−C(=O)−」と「−NH−」との順序が一定になっており、「−C(=O)−」と「−NH−」との結合の順序は、一方の末端から他方の末端に向かって、「〜−C(=O)−NH−〜−C(=O)−NH−〜」、または、「〜−NH−C(=O)−〜−NH−C(=O)−〜」となっている。もちろん、蛋白質やペプチドを構成するアミノ酸として、カルボキシル基とアミノ基とのうち少なくとも何れか一方の基を、2つ以上含有しているものを用いると、分子内にアミド結合部位を有するとともに、分子内に2つ以上のヒドラジド基を有するヒドラジド基含有アミド系高分子化合物を得ることができる。
このようなアミド結合含有高分子化合物(B1-a)におけるアミド結合部位と、ヒドラジン(B1-b)との反応は、例えば、下記の反応式(1)や反応式(2)などで示すことができる。
Figure 0004336850









Figure 0004336850
なお、前記反応式(1)では、「〜−C(=O)−NH−〜」の場合について示されているが、「〜−NH−C(=O)−〜」の場合も同様の反応式で示される。
(B)液は、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)のみから構成された液であってもよく、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液又は水性分散液であってもよい。(B)液としては、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液、またはヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性分散液(水性エマルジョンなど)が好適であり、特にヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液を好適に用いることができる。
(B)液として、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液又は水性分散液(水性エマルジョンなど)を用いる場合、(B)液(水性溶液又は水性分散液)におけるヒドラジド基含有アミド系化合物(B)の濃度(固形分濃度)としては、特に制限されないが、例えば、5質量%以上(5〜30質量%)、好ましくは10〜20質量%)の範囲から選択することができる。ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)の濃度が、(B)液全量に対して5質量%未満であると、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)と、(A)液中のアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)との反応性が低下する。
なお、本発明では、(B)液としてのヒドラジド基含有アミド系化合物(B)中には、酸、アルカリ、界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤など)等の乳化剤や、樹脂エマルジョン(前記に例示の樹脂エマルジョンなど)の他、充填剤(カオリン、タルク、クレー、炭酸カルシウムなど)、可塑剤、着色剤、防腐剤、防錆剤、防かび剤、粘度調整剤、濡れ促進剤、粘性改良剤、香料等の公知の添加剤などが含まれていてもよく、また、水性の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノールなどのアルコールやグリコールエーテル類など)が含まれていてもよい。
(B)液としてのヒドラジド基含有アミド系化合物(B)、またはヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液又は水性分散液としては、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)の調製方法や、水性溶液又は水性分散液等の含有形態などに応じて適宜選択することができる。例えば、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液は、水性溶媒中で、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)とヒドラジン(B1-b)とを反応させて得られる反応生成物(B1)を、精製せずに、そのまま用いることができる。なお、乳化剤、樹脂エマルジョンや、各種添加剤などを用いる場合、これらは、適宜な段階で(例えば、水性溶液や水性エマルジョンの調製中や、調製後などで)配合することができる。また、反応生成物(B1)中に残存するヒドラジン(B1-b)は、中和により、塩の形態にすることができる。
具体的には、アミド結合含有高分子化合物(B1-a)として蛋白質(膠、粉末状の膠、カゼイン、大豆由来の蛋白質など)を用い、ヒドラジン(B1-b)としてヒドラジン・一水和物を用いた場合、例えば、三つ口フラスコに、蛋白質と、蒸留水とを入れ、必要に応じて室温で放置して蛋白質をある程度溶解させた後、ウォーターバス等により、撹拌しながら60〜70℃に加温させて蛋白質を溶解させ、その後、蛋白質の溶液中にヒドラジン・一水和物を加え、70℃で2〜4時間攪拌することにより、反応生成物(B1)としてのヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液を調製することができる。なお、反応生成物(B1)としてのヒドラジド基含有アミド系化合物(B)を含む水性溶液中にヒドラジン(B1-b)が残存している場合、酸を用いて中和することにより、残存するヒドラジン(B1-b)を塩の形態にすることができる。また、蛋白質として、大豆から抽出された蛋白質(大豆蛋白質)を用いた場合、反応生成物(B1)中に残存する大豆蛋白質は分離するので、遠心分離方法等により大豆タンパクを沈殿させて得られる上澄み液(この上澄み液中に、大豆タンパクとヒドラジンとの反応生成物であるヒドラジド基含有アミド系化合物が含まれている)を、(B)液として用いることができる。
[2液硬化型水性接着剤]
本発明の2液硬化型水性接着剤は、第1液[(A)液]としてアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)及びイソシアネート系化合物(A2)を含む水性溶液又は水性エマルジョン(A)が用いられ、且つ第2液[(B)液]としてヒドラジド基含有アミド系化合物(B)が用いられた2 液硬化型の水性接着剤であるので、最長の閉鎖堆積時間および最短の圧締時間をコントロールすることができる。特に、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)として、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物を用いることにより、より一層容易に、最長の閉鎖堆積時間および最短の圧締時間を所定の時間に容易にコントロールすることが可能である。具体的には、最長の閉鎖堆積時間を従来よりも長くすることができ、しかも最長の閉鎖堆積時間と最短の圧締時間とを同じ時間程度にすることができる。さらに、ヒドラジド基含有アミド系高分子化合物の種類(例えば、重量平均分子量の大きさ、分子鎖の長さ)を調整することにより、最長の閉鎖堆積時間を所定の時間に制御することができる。
もちろん、(A)液および(B)液の反応(架橋反応)の反応機構は、化学反応により硬化する機構であるため、2液硬化型水性接着剤は、(A)液と(B)液とを接触させて架橋反応を生じさせ際には、気温や材料温度の影響をほとんど受けずに、架橋反応を進行させることができ、接着させ際には気温や材料温度の影響を受けにくい。
しかも、本発明の2液硬化型水性接着剤は、水性であるので、取り扱い性や作業性が優れており、さらに環境にも優しい。特に、(B)液として、毒性の低い成分を用いているので、人体に対する安全性が高い。
本発明の2液硬化型水性接着剤により接着させることができる被着体としては、例えば、木材、合板、チップボード、パーチクルボード、ハードボードなどの木質材料;スレート板、珪カル板、モルタル、タイルなどの無機質材料;メラミン樹脂化粧板、ベークライト板、発泡スチロールなどのプラスチック材料;段ボール紙、板紙、クラフト紙などの紙質材料などが挙げられる。従って、例えば、フラッシュパネル、化粧合板、プレハブパネル、集成材などにおける木質材料の貼り合わせや、縁貼り、ホゾ、ダボ、トメ、ハギ、角木などを用いた木質材料の組み立てなどの木材工業における木質材料の接着、段ボール、合紙、紙管、紙の製袋などの紙加工などで利用することができる。
本発明の2液硬化型水性接着剤は、(A)液と、(B)液とを組み合わせて用いた2液硬化型の水性接着剤であるので、(A)液及び(B)液の2液を混合して用いてもよいが、(A)液と(B)液とを別々に塗布して用いることが好ましい。すなわち、接着させる2つの被着材のそれぞれの所定の面(被接着面)に、(A)液と(B)液とを塗布して(いわゆる、分別塗布して)用いることが好ましい。
なお、接着させる2つの被接着面の一方の面に、(A)液及び(B)液をのうち何れか一方の液を塗布した後、その塗布面上に他方の液を塗布して(いわゆる、重ね塗り塗布して)、用いることもできる。この重ね塗り塗布では、(B)液を塗布して乾燥させた後、この(B)液の表面に(A)液を重ねて塗布する方法を好適に採用することができる。
もちろん、2液硬化型水性接着剤を塗布した後は、両被接着面を合わせて圧着することにより、被接着面同士を接着させることができる。
なお、本発明の2液硬化型水性接着剤は、最長の閉鎖堆積時間が長いので、例えば、フラッシュパネルの生産等において、複数枚の木質材料を接着させる際には、木質材料を1枚ずつ重ね合わせ圧着させて接着させる必要がなく、各木質材料の所定の面に(A)液又は(B)液を塗布して、各木質材料の所定の面同士が接触するように重ね合わせることにより、複数枚の木質材料を重ね合わせて堆積させた後、これら全体を圧着させて圧締させることにより、複数枚の木質材料を接着させて、フラッシュパネルを生産することができる。しかも、最長の閉鎖堆積時間と、最短の圧締時間とが同程度の時間であるので、重ね合わせられた複数枚の木質材料を圧締させている間には、他のフラッシュパネルを生産するために、各木質材料の所定の面に(A)液又は(B)液を塗布して、各木質材料の所定の面同士が接触するように重ね合わせることにより、複数枚の木質材料を重ね合わせて堆積させることができ、圧締していた複数枚の木質材料を解圧した後は、すぐに、前記圧締中に重ね合わせて堆積させた複数枚の木質材料の圧締を行うことができる。従って、圧締するための機械(プレス機)が1台であっても、圧締中には待ち時間がほとんど発生させない。
このように、本発明の2液硬化型水性接着剤は、気温や材料温度の影響を受けにくく、しかも最長の閉鎖堆積時間および最短の圧締時間がコントロールされているので、該2液硬化型水性接着剤を用いると、複数枚の木質材料を重ね合わせて接着させた木質材料の積層体(例えば、フラッシュパネル、化粧合板、プレハブパネル、集成材など)を、優れた生産性で生産することが可能となる。
[接着方法]
本発明の2液硬化型水性接着剤による被着材の接着方法では、2液硬化型水性接着剤として、前記2液硬化型水性接着剤、すなわち、第1液[(A)液]としてアセトアセチル基含有高分子化合物(A1)及びイソシアネート系化合物(A2)を含む水性溶液又は水性エマルジョン(A)が用いられ、且つ第2液[(B)液]としてヒドラジド基含有アミド系化合物(B)が用いられた2液硬化型の水性接着剤を用いて被着材を接着させている。アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)及びイソシアネート系化合物(A2)と、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)[又は反応生成物(B1)]との反応性は、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)の重量平均分子量の大きさや分子鎖の長さの他、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)における分子中に含有されているヒドラジド基やアミノ基の数、アセトアセチル基含有高分子化合物(A1)に対するヒドラジド基含有アミド系化合物(B)の割合などによりコントロールすることができる。なお、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)としては、ヒドラジド基及びアミノ基の総数が2つ(例えば、ヒドラジド基が1つで且つアミノ基が1つ、またはヒドラジド基が2つ)であるものが好適に用いられるため、ヒドラジド基含有アミド系化合物(B)の重要平均分子量の大きさや分子鎖の長さを調整することにより、閉鎖堆積時間や圧締時間を制御することができる。
なお、被着材に、2液硬化型の水性接着剤を塗布する際には、前述のように、(i)分別塗布方法により、接着させる2つの被着材のそれぞれの所定の面(被接着面)に、(A)液と(B)液とをそれぞれ別に塗布してもよく、(ii)重ね塗り塗布方法により、(A)液及び(B)液をのうち何れか一方の液を塗布した後、その塗布面上に他方の液を塗布してもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
(実施例1)
2液硬化型水性接着剤の各成分として、下記(A)液と、下記(B)液とを用いた。
・(A)液
攪拌羽根を備えたガラス容器に、水:80部と、微量の消泡剤(商品名「ノプコ8034」サンノプコ株式会社製)とを入れ、さらに、商品名「ゴーセファイマーZ200」(日本合成化学工業株式会社製、アセトアセチル化ポリビニルアルコール):20部を攪拌した状態で少しずつ入れ、90℃で60分間加熱し溶解させて、20質量%のアセトアセチル化ポリビニルアルコール水溶液(「20%Z200水溶液」と称する場合がある。)を得た。
その後、攪拌羽根を備えたガラス容器に、20%Z200水溶液:50部、50質量%のアクリル樹脂エマルジョン(商品名「T8201」旭化成工業株式会社製):50部を順次加えて混合し、さらにその後、イソシアネート系接着剤(商品名「CU硬化剤」コニシ株式会社製):15部を加えて十分撹拌して混合して、第1液[(A)液]を得た。
・(B)液
三つ口フラスコに、膠(商品名「FO−1」森川商店製;粉末膠、中粘度;分子量:約80000、アミノ酸残基数;約800);240.1gを入れ、無水ヒドラン20.0gを加え、60℃で3時間撹拌して、ヒドラジンによる膠の分解物を得た。p−トルエンスルホン酸を加えて溶液のpHを中性にし、残存した微量のヒドラジンを塩の形態となるように中和した。その後、ヒドラジンによる膠の分解物(ヒドラジド基含有アミド系化合物)を含む水性溶液の固形分濃度を蒸留水により調整して、50質量%のヒドラジド基含有アミド系化合物の水溶液を得た。
その後、攪拌羽根を備えたガラス容器に、50質量%のヒドラジド基含有アミド系化合物の水溶液:100部を入れ、更に水を150部入れて希釈し、20質量%の水溶液(「高変性ヒドラジド化蛋白質水溶液」と称する場合がある)とし、第2液[(B)液]を得た。
(実施例2)
2液硬化型水性接着剤の各成分として、下記(A)液と、下記(B)液とを用いた。
・(A)液
実施例1と同様にして得られた第1 液[(A)液]を用いた。
・(B)液
三つ口フラスコに、膠(商品名「FO−1」森川商店製;粉末膠、中粘度;分子量:約80000、アミノ酸残基数;約800);240.1gを入れ、無水ヒドラジン10.0gを加え、60℃で3時間撹拌して、ヒドラジンによる膠の分解物を得た。p−トルエンスルホン酸を加えて溶液のpHを中性にし、残存した微量のヒドラジンを塩の形態となるように中和した。その後、ヒドラジンによる膠の分解物(ヒドラジド基含有アミド系化合物)を含む水性溶液の固形分濃度を蒸留水により調整して、50質量%のヒドラジド基含有アミド系化合物の水溶液を得た。
その後、攪拌羽根を備えたガラス容器に、50質量%のヒドラジド基含有アミド系化合物の水溶液:100部を入れ、更に水を150部入れて希釈し、20質量%の水溶液(「高変性ヒドラジド化蛋白質水溶液」と称する場合がある)とし、第2液[(B)液]を得た。
従って、実施例1と、実施例2とでは、ヒドラジンによる膠の分解の程度が異なっており、そのため、ヒドラジンによる膠の分解物(ヒドラジド基含有アミド系化合物)における平均のアミノ酸残基数や重量平均分子量などが異なっている。具体的には、実施例1に係るヒドラジド基含有アミド系化合物(ヒドラジンによる膠の分解物)の方が、実施例2に係るヒドラジド基含有アミド系化合物よりも、分解の程度が大きく、ヒドラジド基含有アミド系化合物における平均のアミノ酸残基数が少ない(約半分である)と推察することができる。従って、実施例1に係るヒドラジド基含有アミド系化合物の方が、実施例2に係るヒドラジド基含有アミド系化合物よりも、重量平均分子量が小さい(約半分である)と思われる。
(比較例1)
2液硬化型水性接着剤の各成分として、下記(A)液と、下記(B)液とを用いた。
・(A)液
実施例1と同様にして得られた第1液[(A)液]を用いた。
・(B)液
攪拌羽根を備えたガラス容器に、水:80部を入れ、コハク酸ジヒドラジド(商品名「SUDH」日本ヒドラジン工業株式会社製):20gを攪拌した状態で少しずつ入れ、溶解させて、20質量%コハク酸ジヒドラジド水溶液(「20%KDH水溶液」と称する場合がある)を調製して、第2液[(B)液]を得た。
比較例2
2液硬化型水性接着剤の各成分として、下記(A)液と、下記(B)液とを用いた。
・(A)液
攪拌羽根を備えたガラス容器に、水:80部と、微量の消泡剤(商品名「ノプコ8034」サンノプコ株式会社製)とを入れ、さらに、商品名「ゴーセファイマーZ200」(日本合成化学工業株式会社製、アセトアセチル化ポリビニルアルコール):20部を攪拌した状態で少しずつ入れ、90℃で60分間加熱し溶解させて、20質量%のアセトアセチル化ポリビニルアルコール水溶液(「20%Z200水溶液」と称する場合がある。)を得た。
その後、攪拌羽根を備えたガラス容器に、20%Z200水溶液:50部、50質量%のアクリル樹脂エマルジョン(商品名「T8201」旭化成工業株式会社製):50部を順次加えて混合し、第1液[(A)液]を得た。
・(B)液
実施例1と同様にして得られた第2液[(B)液]を用いた。
比較例3
2液硬化型水性接着剤の各成分として、下記(A)液と、下記(B)液とを用いた。
・(A)液
比較例2と同様にして得られた第1液[(A)液]を用いた。
・(B)液
実施例2と同様にして得られた第2液[(B)液]を用いた。
比較例4
2液硬化型水性接着剤の各成分として下記(A)液と、下記(B)液とを用いた。
・(A)液
三つ口セパラブルフラスコにポリビニルアルコール:PVA(和光純薬工業株式会社製、完全けん化型、平均重合度400〜600)とジメチルスルホキシド(DMSO)を入れ、ポリビニルアルコールが完全に溶解するまで撹拌した。次に、この溶液にジケテン(Diketene)(和光純薬工業株式会社製)をさらに加え、60℃で1時間撹拌した。その後、反応を停止させ、反応溶液にエタノール溶媒を加えて、アセトアセチル化ポリビニルアルコール沈殿させ、沈殿物を分離して水に溶解させた。その水溶液を透析膜(和光純薬工業株式会社製)を用いて透析し、凍結乾燥して第1液[(A)液]を得た。
上記PVAとジケテンとのモル比を変化させることにより、様々なアセトアセチル化度(AA化度:1.1%、6.6%、10.0%、19.5%)のAA−PVAを合成した。1HNMRによって前記AA(アセトアセチル)化度を確認した。
・(B)液
三つ口フラスコにジムロート冷却管と温度計を取り付け、大豆タンパク2.0gと蒸留水18.0gを入れ、室温で約1時間放置し、大豆タンパクをある程度溶解させた。次に、これを水浴上で60〜70℃に加温しながら攪拌し、大豆タンパクを完全に溶解させた後、ヒドラジン一水和物を加え、70℃で3時間攪拌して反応させ、大豆タンパクがヒドラジン分解された架橋剤である第2液[(B)液]を得た。反応後の水溶液は、遠心分離(3,000rpm、25℃、10分)した後、接着試験に使用した。
参考例1
・(A)液
比較例2と同様にして得られた第1液[(A)液]を用いた。
・(B)液
比較例1と同様にして得られた第2液[(B)液]を用いた。
(評価)
実施例1及び2、比較例1〜4、参考例1により得られた2液硬化型水性接着剤について、下記に示されるようにして、初期接着強さを測定するとともに、最終接着強さを測定した。なお、初期接着強さは、割裂試験で行われるため、初期接着強さの測定値は、被着材の硬さに影響を受ける。そのため、被着材として木質材料同士(木質材料/木質材料)、無機板と発泡スチロール板(無機板/発泡スチロール板)の組み合わせを採用した。
実施例1及び2、比較例1に係る2液硬化型水性接着剤については、下記の「木質材料/木質材料に関する初期接着強さの測定方法」、「木質材料/木質材料に関する最終接着強さの測定方法」、「無機板/発泡スチロール板に関する初期接着強さの測定方法」および「無機板/発泡スチロール板に関する最終接着強さの測定方法」により、初期接着強さを測定するとともに、最終接着強さを測定し、表1及び2に示した。
なお、比較例2及び3、参考例1に係る2液硬化型水性接着剤については、下記の「木質材料/木質材料に関する初期接着強さの測定方法」により、初期接着強さを測定し、その結果を表3に示した。
また、比較例4により得られた2液硬化型水性接着剤については、下記の「木質材料/木質材料に関する圧縮せん断速度による初期接着力測定方法」および「木質材料/木質材料に関する圧縮せん断速度による最終接着力測定方法」により初期接着力を測定するとともに、最終接着力を測定し、結果を図1〜図2に示した。
(木質材料/木質材料に関する初期接着強さの測定方法)
厚さ10mmのパーティクルボード(小名浜合板株式会社製)を8cm×8cmの大きさに切りだす。厚さ3mmのMDF(ネルソンパイン・インダストリーズ・リミテット製)を8cm×9cmの大きさに切り出す。前記の切りだされたパーティクルボードの片面に、前記切りだされたMDFを予め接着する(いわゆる「捨て貼り」)。MDFに、第2液を塗布して乾燥させる。その後、第1液をパーティクルボードに塗布し、該塗布面に、第2液を塗布して乾燥させたMDFの第2液塗布面を重ね合わせて、圧締する。所定の時間(1分、2分、3分、5分、10分、15分、20分、25分、30分)、圧締させた後、圧締を解除して解圧後、直ちにMDFを引きはがし、その際の接着強さ(kgf/cm)を測定する。測定結果は表1及び3(実施例1〜2及び比較例1については表1、比較例2〜3及び参考例1については表)に示した。なお、該試験は、23℃×50%RHの条件下で行った。
なお、第1液の塗布量は、約200g/mであり、一方、第2液の塗布量は、約20g/mである。また、堆積時間は、開放堆積時間が1分以内であり、閉鎖堆積時間は1分以内である。さらにまた、圧締は、23℃の雰囲気下、約2kgf/cmの圧力で、所定の時間(1分、2分、3分、5分、10分、15分、20分、25分、30分)行った。実施例1及び2、比較例1に係る2液硬化型水性接着剤では、イソシアネート系接着剤を混合させて第1液を調製した後、この第1液を早急に用いた。
(無機板/発泡スチロール板に関する初期接着強さの測定方法)
厚さ13mmの無機板(商品名「オーマル」岩倉化学工業株式会社製)を8cm×9cmの大きさに切りだす。厚さ3mmのMDF(ネルソンパイン・インダストリーズ・リミテット製)を8cm×9cmの大きさに切り出す。厚さ40mmの発泡スチロール板(商品名「YBボード」岩倉化学工業株式会社製)を8cm×8cmの大きさに切り出す。切りだされた発泡スチロール板の片面に、切りだされたMDFを予め接着する(いわゆる「捨て貼り」)。切りだされた無機板に、第2液を塗布して乾燥させる。その後、第1液を発泡スチロール板に塗布し、該塗布面に、第2液を塗布して乾燥させた無機板の第2液塗布面を重ね合わせて、圧締する。所定の時間(1分、2分、3分、5分、10分、15分、20分、25分、30分)、圧締させた後、圧締を解除して解圧後、直ちに無機板を引きはがし、その際の接着強さ(kgf/cm)を測定する。測定結果は表に示した。
なお、該試験は、23℃×50%RHの条件下で行った。
なお、第1液の塗布量は、約200g/mであり、一方、第2液の塗布量は、約20g/mである。また、堆積時間は、開放堆積時間が1分以内であり、閉鎖堆積時間は1分以内である。さらにまた、圧締は、23℃の雰囲気下、約2kgf/cmの圧力で、所定の時間(1分、2分、3分、5分、10分、15分、20分、25分、30分)行った。実施例1及び2、比較例1に係る2液硬化型水性接着剤では、イソシアネート系接着剤を混合させて第1液を調製した後、この第1液を早急に用いた。
(木質材料/木質材料に関する最終接着強さの測定方法)
耐煮沸圧縮せん断接着強さ試験:JIS K 6806に準じて、最終接着強さを測定する。具体的には、厚さ10mm、幅25mm、長さ150mmのカバ材と、厚さ10mmのカバ材とを2本用意し、一方に第2液を塗布し、23℃で3時間乾燥させた。また、第1液を、他方のカバ材に塗布し、該塗布面に、先に第2液を塗布して乾燥させたカバ材の第2液塗布面を重ね合わせて、所定の時間堆積させた後、所定の時間圧締させ、解圧後、23℃で5日間養生させた後、接着している面の大きさが25mm×25mmになるように切り出して、試験に供した。
なお、耐水性の評価は、試験片を沸騰水中に4時間浸漬し、60±3℃の燥器で、20時間乾燥させ、さらに、沸騰水中に4時間浸漬させて、室温の水中で、室温までもどしてから、濡れたまま接着強さ(kgf/cm)を測定した。測定結果は表に示した。なお、該接着強さの測定は、23℃×50%RHの条件下で行った。
(無機板/発泡スチロール板に関する最終接着強さの測定方法)
耐煮沸圧縮せん断接着強さ試験:JIS K 6806に準じて、最終接着強さを測定する。具体的には、厚さ13mmの無機板(商品名「オーマル」岩倉化学社製)及び厚さ40mmの発泡スチロール板(商品名「YBボード」岩倉化学工業株式会社製)を30cm×30cmの大きさに切り出す。厚さ13mmの無機板(商品名「オーマル」岩倉化学社製)に第2液を塗布し、23℃で3時間乾燥させた。また、第1液を、厚さ40mmの発泡スチロール板(商品名「YBボード」岩倉化学工業株式会社製)に塗布し、該塗布面に、先に第2液を塗布して乾燥した無機板の第2液塗布面を重ね合わせて、所定の時間堆積させた後、所定の時間圧締させ、解圧後、23℃で5日養生させた後、75mm×75mmの大きさに切り出し、試験に供した。
なお、耐水性の評価は、試験片を沸騰水中に4時間浸漬し、60±3℃の乾燥器で、20時間乾燥させ、さらに、沸騰水中に4時間浸漬させて、60±3℃の乾燥器で3時間乾燥させる。試験片の同一接着層のはく離しない部分の長さがそれぞれの側面において50mm以上であった場合を合格とする。測定結果は表に示した。なお、23℃×50%RHの条件下で、剥離させた。
以下に示す(木質材料/木質材料圧縮せん断速度による初期接着力測定)および(木質材料/木質材料に関する圧縮せん断速度による最終接着力測定方法)には、コールドプレスには神藤金属工業所製YS−5型テストプレス(商品名)を使用し、圧縮せん断試験(引っ張り試験)には、新興通信社製TMC−500型圧縮引張万能試験機(商品名)を使用した。
(木質材料/木質材料に関する圧縮せん断速度による初期接着力測定方法)
試験片(被着材)としてラワン材を用いて、圧縮せん断接着強さ試験法により初期接着力を測定した。接着試験は、第1液および第2液をそれぞれ別の接着面に塗布して貼り合せる、いわゆるハネムーン型接着により行なった。第1液および第2液の塗布量は、それぞれ100g/mおび40g/mとした。接着条件は、プレス圧0.69MPa(7kgf/cm)、圧締時間5分間とし、その他の条件はJIS6852により行なった。最終結果は、10回の試験の平均値により決定した。
詳細には、以下の条件により測定した。まず、被着材として、幅2.5cm、長さ3cm、厚さ1cmのラワン材を2個準備した。次に、一方の被着材の片面に第1液0.0625gを、もう一方の被着材の片面に前記第2液0.025gを塗布した。塗布面積はそれぞれ2.5cm×2.5cmとし、長さ方向の一端から0.5cmは塗布せずに残した。その後、各被着材を4分半開放放置し、塗布面同士を貼り合せてさらに30秒間放置し、そして5分間コールドプレスした。コールドプレス後、圧縮せん断速度(クロスヘッドスピード)2mm/minで初期接着力測定を行なった。
(木質材料/木質材料に関する圧縮せん断速度による最終接着力測定方法)
試験片(被着材)としてラワン材を用いて、圧縮せん断接着強さ試験法により最終接着力を測定した。最終接着力試験は、前記初期接着力試験と同様、第1液および第2液をそれぞれ別の接着面に塗布して貼り合せる、いわゆるハネムーン型接着により行なった。第1液および第2液の塗布量は、それぞれ100g/mおよび40g/mとした。接着条件は、プレス圧0.69MPa(7kgf/cm)、圧締時間5分間とし、その他の条件はJIS6852により行なった。最終結果は、10回の試験の平均値により決定した。
最終接着力(常態試験)は、以下の条件により測定した。まず、ラワン材の幅が12cmであることと、第1液および第2液の塗布量がそれぞれ0.3gおよび0.12gであること以外は前記初期接着力試験と同様にしてコールドプレスを行なった。コールドプレス後、貼り合せた被着材を、48時間養生し、2.5cm幅に切断して試験片を作製し、試験を行なった。圧縮せん断速度は、2mm/minとした。
Figure 0004336850
において、「材破50」とは、「木質材料中で破壊が生じており、その面積が接着面積(16cm)の約50%である」ことを意味している。
Figure 0004336850
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閉鎖堆積時間の評価は、接着する材料の反り(変形)等に影響されるため非常に難しい。しかしながら、木工用酢ビエマルジョンでは、固形分35質量%の場合と、固形分55質量%の場合とで比較すると、経験上、固形分35質量%の場合は、固形分55質量%の場合に比べ、閉鎖堆積時間が長く、圧締時間も長くなる。また、同様に、初期接着強さが低いということは、硬化が進行していないと判断されるため、初期接着強さが低い場合は堆積時間が長いと評価することができる。
表1及び2から明らかなように、本発明に相当する実施例1及び2の2液硬化型水性接着剤は、対応する比較例1に比べて、初期接着強さが低い。しかも、最終接着強さは良好である。従って、実施例1及び2の2液硬化型水性接着剤は、最長の閉鎖堆積時間が長いと判断することができる。
図1〜2が示すように、膠以外のタンパク質である大豆タンパクであっても、ハネムーン型接着剤として優れた初期接着性及び最終接着性を示した。
比較例4の初期接着性に関する図であり、木質材料/木質材料に関する圧縮せん断速度による初期接着力測定結果を示す。 比較例4の最終接着性(常態)に関する図であり、木質材料/木質材料に関する圧縮せん断速度による最終接着力測定結果を示す。

Claims (3)

  1. 下記(A)液及び(B)液からなる2液硬化型水性接着剤。
    (A)分子内にアセトアセチル基を有する高分子化合物(A1)及びイソシアネート系化合物(A2)を含む水性溶液又は水性エマルジョン
    (B)分子内にアミド結合部位を有する高分子化合物(B1-a)である蛋白質とヒドラジン(B1-b)との反応性生物(B1)であり、分子内に1つのヒドラジド基及び1つ以上のアミノ基、または分子内に2つ以上のヒドラジドを有するヒドラジド基含有アミド系化合物
  2. ヒドラジン(B1-b)が、ヒドラジン水和物または無水ヒドラジンである請求項記載の2液硬化型水性接着剤。
  3. 分子内にアセトアセチル基を有する高分子化合物(A1)が、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールである請求項1又は2記載の2液硬化型水性接着剤。
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