JP4334161B2 - 鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置 - Google Patents

鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両駆動用のリニア誘導電動機を駆動制御する鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両をリニア誘導電動機を用いて駆動するには、直流電力を電力変換装置で交流電力に変換してリニア誘導電動機に入力するようにしている。図3は、そのようなリニア誘導電動機を適用した鉄道車両の駆動制御システムの構成図である。
【0003】
架線8から集電器7で入力された直流は、断流器15、フィルタリアクトル13およびフィルタコンデンサ11を介して電力変換装置1に入力される。電力変換装置1は直流電力を三相の交流電力に変換するものであり、複数個のスイッチング素子14U、14V、14W、14X、14Y、14Zから構成されている。電力変換装置1からの交流電力はリニア誘導電動機の一次側コイル3に出力され、二次側に設けられた2次側リアクションプレート4との相互作用により直線的な駆動力を発生する。
【0004】
鉄道車両にはリニア誘導電動機の一次側コイル3が設けられ、2次側リアクションプレート4はレール9側に設けられる。また、鉄道車両はレール9上に車輪6で支持される。
【0005】
制御装置2は、車輪6に設けられた速度検出器5で検出された鉄道車両の速度、電流検出器12で検出された電力変換装置1からリニア誘導電動機の一次側コイル3に供給される出力電流、電圧検出器10で検出された電力変換装置1への入力電圧等に基づいて、電力変換装置1のスイッチング素子14にゲート信号を出力しリニア誘導電動機を駆動制御する。
【0006】
図4は、リニア誘導電動機と鉄道車両との関係の説明図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は鉄道車両下部の正面図である。図4(a)に示すように、鉄道車両の車体31の下部には台車30が取り付けられており、この台車30にはリニア誘導電動機の一次側コイル3および車輪6が取り付けられている。そして、一次側コイル3に電力変換装置1から3相交流電流が供給され、軌道に設置された二次側2次側リアクションプレート4との間に推進力を発生させて駆動力を得るようになっている。図4(b)に示すように、一次側コイル3は2次側リアクションプレート4に対面して設けられている。
【0007】
図5は従来の鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置2の構成図である。電流指令演算手段16は、リニア誘導電動機の磁束指令ΦRefと推進力指令TorqRefが入力され、d軸電流指令IdRefとq軸電流指令IqRefとすべり角周波数ωsを演算して出力する。
【0008】
【数1】
Figure 0004334161
【0009】
ロータ角周波数演算手段19は、速度検出器5の出力である車輪の回転数ωを入力として、リニア誘導電動機のロータ角周波数ωrを演算して出力する。
【0010】
ωr=K×ω …(2)
ωr:ロータ角周波数
K:車輪回転数−ロータ角周波数変換係数
【0011】
電力変換装置1の出力角周波数(1次角周波数)ω1は次式で求められる。
【0012】
ω1=ωr+ωs …(3)
ω1:インバータ出力角周波数
ωr:ロータ角周波数
ωs:すべり角周波数
【0013】
位相角演算手段20は、電力変換装置1の出力角周波数ω1を時間積分して、位相角θを演算し出力する。座標変換手段17は、電流検出器12の出力であるU相電流IuおよびW相電流Iwと、位相角演算手段20の出力である位相角θとを入力として、次の演算を行い、電力変換装置1の出力電流のd軸電流Idとq軸電流Iqを出力する。
【0014】
【数2】
Figure 0004334161
【0015】
電流制御演算手段18は、電流指令演算手段16の出力であるd軸電流指令IdRefおよびq軸電流指令IqRefと、座標変換手段17からの電力変換装置1の出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqとが入力され、下記の(5)式に示す演算が行われる。
【0016】
【数3】
Figure 0004334161
【0017】
すなわち、電流フィードバック制御の比例積分演算によって電力変換装置1の出力電圧のd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを出力する。この比例積分演算によって電流指令値IdRef、IqRefに対して実際の電流Id、Iqが一致するように、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqが調整される。
【0018】
次に、相電圧指令演算手段21は、d軸電圧Vd、q軸電圧Vq、位相角θ、電圧検出器10で検出されたフィルタコンデンサ電圧Vdcを入力として、各相の電圧指令U相電圧指令Vu、V相電圧指令Vv、W相電圧指令Vwを出力する。
【0019】
ゲート信号発生手段24は、相電圧指令演算手段21の出力であるU相電圧指令Vu、V相電圧指令Vv、W相電圧指令Vw が入力され、電力変換装置1のスイッチング素子14U〜14ZへのPWMゲート信号Gu〜Gzを発生し出力する。
【0020】
ここで、リニア誘導電動機では、1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間に推進力が発生して車両の駆動源となる。1次側コイル3は台車30に取り付けられており、2次側リアクションプレート4は、図4(b)に示すようにレール9側の軌道に設置される。1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙は、例えば5ミリメートルから10ミリメートル程度に設計される。
【0021】
図6は、2次側リアクションプレート4の構造図である。2次側リアクションプレート4は、推進力を発生する渦電流を流すための非磁性体(アルミニウムや銅)製のプレート4aと、1次側コイル3から誘起される磁束を通しやすくするための磁性体(鉄など)製のバックアイアン4bとで構成される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙は、車体の重量(荷重)の変化や、2次側リアクションプレート4の設置誤差などのために一定とはならす、数ミリメートルの範囲で変動する。また、2次側リアクションプレート4のバックアイアン4bの材質や厚みHは路線全体で同一とは限らず、路線の区間によってバックアイアン4bの材質や厚みHの異なる2次側リアクションプレート4が設置される場合がある。
【0023】
1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との空隙や、2次側リアクションプレート4のバックアイアン4bが変化すると、リニア誘導電動機の特性すなわち等価回路パラメータが変化する。この等価回路パラメータの変化は、主として相互インダクタンスMの変化として表れる。
【0024】
図7はリニア誘導電動機の等価回路の回路図である。図7において、R1は一次抵抗、l1は一次漏れインダクタンス、Mは相互インダクタンス、l2は二次漏れインダクタンス、R2は二次抵抗、Sはすべり、V1は一次電圧、I1は一次電流、Imは磁束電流、Itはトルク電流である。相互インダクタンスMの値が変化すると、磁束電流Im、トルク電流Itが変化し、リニア誘導電動機の特性が変化する。
【0025】
リニア誘導電動機を安定に制御するためには、電流フィードバック制御が有効である。また、制御される実際の電流の制御応答が速く、かつ実際の電流が指令値に対してオーバーシュートを生じないことが望ましい。電流フィードバック制御を安定にするためには、実際の電流の応答(電流指令値に対する追従)が1次遅れとなるように制御ゲインが選ばれる。
【0026】
図8は、誘導電動機の電圧・電流をベクトルで表し、2次磁束の方向の電圧をVd、電流をId、また2次磁束と直交する方向の電圧をVq、電流をIqと表現した場合の誘導電動機の等価回路ブロック図である。この等価回路は、リニア誘導電動機の場合も回転形誘導電動機の場合も同様である。
【0027】
図8において、IdRefはd軸電流指令、IqRefはq軸電流指令、Idはd軸電流、Iqはq軸電流、Gpは比例ゲイン、Giは積分ゲイン、pは微分演算子、Vdはd軸電圧、Vqはq軸電圧、ω1は1次角周波数、R1は1次抵抗、L1は1次インダクタンス、L2は2次インダクタンス、σは漏れ係数、Mは相互インダクタンス、Φ2dは2次d軸磁束、Φ2dは2次q軸磁束である。
【0028】
電流フィードバック制御は、誘導電動機の等価回路ブロックの「1/(R1+pσL1)」の項に対して1次遅れ応答となるように比例積分演算で構成される。
【0029】
ここで、比例積分演算において比例ゲインGpが小さすぎる場合は、図9に示すように、電流指令値の変化に対して電流の応答がオーバーシュートする。また比例ゲインGpが大きすぎる場合には電流の応答が1次遅れとならず、かつ、指令値への収束が遅くなり電流制御の安定には望ましくない動作になる。
前述の(5)式で示した比例積分演算の場合、その比例ゲインGp、および積分ゲインGiは(6)式で求められる。
【0030】
【数4】
Figure 0004334161
【0031】
ここで、(6)式から、比例ゲインGpの最適値は誘導電動機の相互インダクタンスMに関係することがわかる。
【0032】
車両駆動用リニア誘導電動機では、前述のように等価回路の相互インダクタンスMが、1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙の変化、または、2次側リアクションプレート4のバックアイアン4bの材質によって変化する。
【0033】
しかしながら、従来の鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置では、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化を正確に把握できなかったために、比例ゲインGpは、相互インダクタンスMの予想される変動範囲内で一定の値に設定していた。つまり、車両の走行にともなって逐次変化するリニア誘導電動機の等価回路パラメータに対して、常に安定に制御するための最適な電流フィードバック制御ゲインを得ることができなかった。
【0034】
本発明の目的は、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して最適な電流制御応答を維持して制御できる鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置を提供することである。
【0035】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置は、鉄道車両を駆動するリニア誘導電動機に電力変換装置を介して電力を供給し鉄道車両を駆動制御する鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、前記電力変換装置の出力電圧および出力電流に基づいて前記リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスを演算するパラメータ演算手段と、前記パラメータ演算手段で演算されたリニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスから電流フィードバック制御ゲインの比例ゲインを演算するゲイン演算手段と、前記電力変換装置の出力電流が前記等価回路パラメータにより補正された電流指令値になるように前記ゲイン演算手段で演算された制御ゲインの比例ゲインを用いて前記電力変換装置の出力電圧を調整する電流制御演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0036】
請求項1の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置においては、パラメータ演算手段は、電力変換装置の出力電圧および出力電流に基づいてリニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスを演算し、ゲイン演算手段は、パラメータ演算手段で演算されたリニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスから電流フィードバック制御ゲインの比例ゲインを演算する。そして、電流制御演算手段は、電力変換装置の出力電流が等価回路パラメータにより補正された電流指令値になるようにゲイン演算手段で演算された制御ゲインの比例ゲインを用いて電力変換装置の出力電圧を調整する。これにより、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの変化に対応して最適な電流フィードバック制御ゲインの比例ゲインを得てリニア誘導電動機を安定に制御する。
【0037】
請求項2の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置は、請求項1の発明において、前記パラメータ演算手段は、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を所定値内に制限することを特徴とする。
【0038】
請求項2の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置においては、請求項1の発明の作用に加え、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を所定値内に制限して大幅な変化を伴わずに、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの変化に対応して最適な電流フィードバック制御ゲインの比例ゲインを得て、リニア誘導電動機を安定に制御する。
【0039】
請求項3の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置は、請求項1の発明において、前記パラメータ演算手段は、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を一次遅れフィルタを通して出力することを特徴とする。
【0040】
請求項3の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置においては、請求項1の発明の作用に加え、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を一次遅れフィルタを通して出力し、過渡変動に対してリニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスが異常な演算値となることを防止し、リニア誘導電動機を安定に制御する。
【0041】
請求項4の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置は、請求項1の発明において、前記電流制御演算手段は、前記リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を用いてフィードフォワード電圧を演算し前記リニア誘導電動機の誘起電圧を予め補償することを特徴とする。
【0042】
請求項4の発明に係る鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置においては、請求項1の発明の作用に加え、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を用いてフィードフォワード電圧を演算し、リニア誘導電動機の誘起電圧を予め補償する。これにより、リニア誘導電動機を安定に制御する。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の構成図である。この第1の実施の形態は、図5に示した従来例に対し、電力変換装置1の出力電圧および出力電流に基づいてリニア誘導電動機の等価回路パラメータを演算するパラメータ演算手段22と、パラメータ演算手段22で演算されたリニア誘導電動機の等価回路パラメータから電流フィードバック制御ゲインを演算するゲイン演算手段23とを追加して設け、電流制御演算手段18は電力変換装置1の出力電流が等価回路パラメータにより補正された電流指令値になるように、ゲイン演算手段23で演算された制御ゲインにより、電力変換装置1の出力電圧を調整するようにしたものである。
【0044】
電流指令演算手段16は、リニア誘導電動機の磁束指令ΦRefおよび推進力指令TorqRefと、パラメータ演算手段22から出力された相互インダクタンスMとが入力され、前述の(1)式によってd軸電流指令IdRef、q軸電流指令IqRef、およびすべり角周波数ωsを演算して出力する。
パラメータ演算手段22は、電流制御演算手段18の出力であるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vq、座標変換手段17の出力である電力変換装置1の出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iq、電力変換装置1の出力角周波数(1次角周波数)ω1を入力として、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスMを演算して出力する。
【0045】
ここで、図8の誘導電動機の等価回路ブロックから微分演算子pを含む過渡成分項を除き、2次磁束に関してΦ2=Φ2d、Φ2q=0 が成立していると、誘導電動機の電圧・電流方程式は(7)式で表され、この(7)式から、相互インダクタンスの実際値Mactを求めると(8)式になる。
【0046】
【数5】
Figure 0004334161
【0047】
パラメータ演算手段22は、(8)式で求めた相互インダクタンスの実際値Mactを相互インダクタンスMとして出力する。
【0048】
ここで、パラメータ演算手段22は、(8)式と異なる演算式で相互インダクタンスMを求めることもできる。例えば、相互インダクタンスMの実際値Mactが、予め設定された相互インダクタンスの初期値Morgと一致している場合は、2次磁束Φ2に着目すると「2次磁束Φ2=磁束指令値Φref」となるので、相互インダクタンス実際値Mactと相互インダクタンスの初期設定値Morgとに差があると、2次磁束Φ2と磁束指令値ΦRefの偏差が生じるので、(9)式から相互インダクタンス実際値Mactを求めることができる。
【0049】
【数6】
Figure 0004334161
【0050】
ゲイン演算手段23は、パラメータ演算手段22から出力された相互インダクタンスMを入力として、前述の(6)式によって比例ゲインGpを演算して出力する。
【0051】
電流制御演算手段18は、前記電流指令演算手段16の出力であるd軸電流指令IdRefおよびq軸電流指令IqRef、座標変換手段17の出力である電力変換装置1の出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iq、ゲイン演算手段23の出力である比例ゲインGpが入力され、前述の(5)式の比例積分演算によって電力変換装置1の出力電圧のd軸電圧Vdとq軸電圧Vqとを出力する。
【0052】
これにより、リニア誘導電動機の1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙の変化、または、2次側リアクションプレート4のバックアイアンの材質の変化に伴う等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインを得られ、リニア誘導電動機を安定に制御することができる。
【0053】
なお、以上の説明では、パラメータ演算手段22の入力であるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqには電流制御演算手段18の出力を用いているが、電力変換装置1の三相出力回路に電圧検出器を設置して線間電圧Vuv、Vvw、Vwuのうちの少なくとも2つを直接検出して、座標変換手段17と同様な座標変換によってd軸電圧Vdとq軸電圧Vqを求めても良い。
【0054】
また、2次側リアクションプレート4のプレート4aの材質によってリニア誘導電動機の等価回路パラメータの2次抵抗R2が異なることが一般的に知られており、この2次抵抗R2が変化に対して、制御装置2に2次抵抗R2の変化を補償する機能を付与した場合も、パラメータ演算手段22およびゲイン演算手段23の動作は同様である。
【0055】
また、パラメータ演算手段22において演算されたリニア誘導電動機の相互インダクタンスMactの値に制限を設けて相互インダクタンスMを出力するようにしても良い。すなわち、
LimitL≦Mact≦LimitUのとき
M=Mact
Mact>LimitUのとき
M=LimitU
Mact<LimitLのとき
M=LimitL
LimitU:予め設定した相互インダクタンスの値の上限
LimitL:予め設定した相互インダクタンスの値の下限
【0056】
この機能によって、リニア誘導電動機の相互インダクタンス実際値Mactの演算結果が予想される相互インダクタンスの値を逸脱した場合に制限を与えて、ゲイン演算手段23において演算される電流フィードバック制御の比例ゲインGpが異常な値となることを防止する。
【0057】
これにより、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインを得られ、リニア誘導電動機を安定に制御することができる。
【0058】
また、パラメータ演算手段22において、演算されたリニア誘導電動機の相互インダクタンスMactの値に1次遅れフィルタを設けて相互インダクタンスMを出力する機能を追加するようにしても良い。
【0059】
【数7】
Figure 0004334161
【0060】
この機能によって、台車30に取り付けられている1次側コイル3が2次側リアクションプレート4の継ぎ目などを通過する際に生じる相互インダクタンス実際値Mactの演算値の不要な過渡変化を制限して、ゲイン演算手段23において演算される電流フィードバック制御の比例ゲインGpが異常な値となることを防止する。
【0061】
以上のように、第1の実施の形態によれば、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインを得られ、リニア誘導電動機を安定に制御することができる。
【0062】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態に係る鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の構成図である。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対し、電流制御演算手段18に、フィードフオワード電圧を演算してリニア誘導電動機の誘起電圧を予め補償する機能を追加したものである。
【0063】
電流制御演算手段18は、電流指令演算手段16の出力であるd軸電流指令IdRefおよびq軸電流指令IqRefと、座標変換手段17の出力である電力変換装置1の出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqと、ゲイン演算手段23の出力である比例ゲインGpと、パラメータ演算手段22の出力である相互インダクタンスMと、1次角周波数ω1とが入力され、電力変換装置1の出力電圧のd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを演算して出力する。
【0064】
【数8】
Figure 0004334161
【0065】
この機能によって、d軸電流指令値IdRef、q軸電流指令値IqRef、磁束指令値Φrefから演算したフィードフオワード電圧によって、リニア誘導電動機の誘起電圧を予め補償して電流フィードバック制御をより安定にすることができる。
【0066】
この第2の実施の形態によれば、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインを得るとともに、リニア誘導電動機の誘起電圧を予め補償して、リニア誘導電動機を安定に制御することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置によれば、リニア誘導電動機に電力を供給する電力変換装置の出力電圧と出力電流からリニア誘導電動機の等価回路パラメータを演算し、この等価回路パラメータから電流フィードバック制御ゲインを求めるので、リニア誘導電動機の1次側コイルと2次側リアクションプレートとの間の空隙の変化、または、2次側リアクションプレートのバックアイアンの材質の変化に伴う等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適な制御ゲインを得られる。従って、リニア誘導電動機を安定に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の構成図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の構成図。
【図3】リニア誘導電動機を適用した鉄道車両の駆動制御システムの構成図。
【図4】リニア誘導電動機と鉄道車両との関係の説明図。
【図5】従来の鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置2の構成図。
【図6】鉄道車両用リニア誘導電動機の2次側リアクションプレートの構造の一例を示す説明図。
【図7】リニア誘導電動機の等価回路の回路図。
【図8】誘導電動機の等価回路ブロック図。
【図9】比例ゲインに対する電流制御応答特性の特性図。
【符号の説明】
1…電力変換装置、2…制御装置、3…一次側コイル、4…2次側リアクションプレート、5…、6…車輪、7…集電器、8…架線、9…レール、10…電圧検出器、11…フィルタコンデンサ、12…電流検出器、13…フィルタリアクトル、14…スイッチング素子、15…断流器、16…電流指令演算手段、17…座標変換手段、18…電流制御演算手段、19…ロータ角周波数演算手段、20…位相角演算手段、21…相電圧指令演算手段、22…パラメータ演算手段、23…ゲイン演算手段、24…ゲート信号発生手段、25…、26…、27…、28…、29…、30…台車、31…車体

Claims (4)

  1. 鉄道車両を駆動するリニア誘導電動機に電力変換装置を介して電力を供給し鉄道車両を駆動制御する鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、前記電力変換装置の出力電圧および出力電流に基づいて前記リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスを演算するパラメータ演算手段と、前記パラメータ演算手段で演算されたリニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスから電流フィードバック制御ゲインの比例ゲインを演算するゲイン演算手段と、前記電力変換装置の出力電流が前記等価回路パラメータにより補正された電流指令値になるように前記ゲイン演算手段で演算された制御ゲインの比例ゲインを用いて前記電力変換装置の出力電圧を調整する電流制御演算手段とを備えたことを特徴とする鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。
  2. 前記パラメータ演算手段は、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を所定値内に制限することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。
  3. 前記パラメータ演算手段は、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を一次遅れフィルタを通して出力することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。
  4. 前記電流制御演算手段は、前記リニア誘導電動機の等価回路パラメータの相互インダクタンスの演算値を用いてフィードフォワード電圧を演算し前記リニア誘導電動機の誘起電圧を予め補償することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。
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