JP4332660B2 - 口中清涼フィルム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は口中清涼フィルムに関し、フィルム中に含まれる香料、消臭剤などの揮発成分が製造段階で飛散、変質することがなく、フレッシュな清涼感を強く持続できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来、口中清涼フィルムとしては、メントール、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、ウイキョウ油、ジャスミン油、ユーカリ油、シナモン油、オレンジ油、レモン油、緑茶抽出物、フラボノイド、塩化セチルピリジニウムなどの香料、消臭剤、或は薬剤などを、デンプン又はその分解物、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、カラヤガムなどの水溶性高分子物質の水溶液などに均一に分散(又は溶解)し、85〜90℃付近で熱風乾燥して迅速に成膜し、水溶性フィルム内に上記香料などを含有させたものが一般的である(例えば、特公平5−41602公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、香料、消臭剤、或は薬剤などには揮発成分、芳香成分が多く含有されるため、上記口中清涼フィルムの製造段階において、水溶性高分子物質を熱風乾燥して薄膜状に成膜する際に、当該高分子物質内に分散又は溶解させたこれらの揮発成分、芳香成分などが飛散したり、熱的変性又は変質を受けてしまい、得られた口中フィルムの清涼感が失われたり、酸敗臭などの変質臭が新たに生じて品質が劣化するなどの弊害があった。
【0004】
本発明は、製造段階で香料、消臭剤などの揮発成分が飛散したり、変質することがなく、フレッシュな清涼感を強く持続できる口中清涼フィルムを開発することを技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先ず、ゼイン、シェラックなどが高濃度のエタノールに可溶であることに着目して、多糖類系が多い上記水溶性高分子物質に替えてこれらのゼイン、シェラックなどで可食性フィルムを成膜すると、微温風ないし冷風で乾燥しても効率良くエタノールが飛散して、迅速にフィルムが作成できることを見い出した。
さらには、口中清涼フィルムの製造段階において、上記従来技術のように、香料などを高分子物質の水溶液内に均一分散又は溶解しただけでは、口中フィルム中に充填される香料などの含有密度に限界があり、口中フィルムの清涼感が充分でないという問題点に鑑みて、鋭意研究した結果、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明1は、水に不溶で、且つ、アルコール可溶性の天然高分子物質の薄膜に、香料、消臭剤、薬剤より選ばれた成分を含有する口中清涼フィルムであって、
上記天然高分子物質をエタノール、イソプロピルアルコールより選ばれたアルコール又は含水アルコールに溶解させ、このアルコール溶液を薄膜状に延ばし、この薄膜表面上に香料、消臭剤、薬剤より選ばれた粉末を振りかけ、冷風ないし微温風を吹き付けて60℃以下で乾燥し、成膜したことを特徴とする口中清涼フィルムである。
【0007】
本発明2は、上記本発明1のアルコール可溶の天然高分子物質が、ゼイン、シェラック、グリアジンであることを特徴とする口中清涼フィルムである。
【0008】
上記本発明3は、上記本発明1又は2において、アルコール可溶の天然高分子物質の薄膜に、水溶性天然高分子物質の薄膜を積層したことを特徴とする口中清涼フィルムである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の口中清涼フィルムの製造工程は、天然高分子物質をエタノール、イソプロピルアルコールより選ばれたアルコール又は含水アルコールに溶解させる工程と、この(含水)アルコール溶液を支持基材の上で薄膜状に延ばす工程と、この薄膜表面上に香料、消臭剤、薬剤より選ばれた粉末を振りかける工程と、冷風ないし微温風を吹き付けて60℃以下で乾燥して成膜する工程とから成る。
上記天然高分子物質は水に不溶で、且つ、アルコールに可溶性の物質であり、具体的には、ゼイン、シェラック、グリアジンなどが挙げられる。
この天然高分子物質のアルコール溶液は、薄膜状に流延した後、香料などを振りかけて、60℃以下の低温乾燥に付されるが、この乾燥工程では上記アルコールが円滑に蒸発する必要があるため、アルコールは当該乾燥温度領域以下、或はこれをあまり越えない領域の沸点を有し、速やかに蒸発するものが好ましい。
従って、上記アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられ、エタノールが好ましい。ちなみに、エタノールの沸点は78℃、イソプロピルアルコールは82℃である。
上記アルコール又は含水アルコールの濃度は60〜90(v/v)%程度、アルコール又は含水アルコールに対する天然高分子物質の含有量は5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%である。
【0010】
上記アルコール溶液を薄膜状に展延する工程は、例えば、ポリエステル(PET)フィルムの基材上にアルコール溶液を薄膜状に流延して、キャスティングすることなどが挙げられる。
また、上記振りかけ工程では、ゼイン、シェラックなどの天然高分子物質のキャスティング膜は乾燥前であるため、香料、消臭剤、薬剤より選ばれた粉末を振りかけると、その表面上に自動的に付着し、これを圧着処理することにより確実に膜上に担持・固定できる。香料、消臭剤、薬剤より選ばれた粉末は、直接振りかけても良いが、例えば、デンプン粉末などとの混合粉末にしたうえで振りかけられる。その際の香料、消臭剤などのデンプン粉末などに対する含有量は3〜10程度重量%が好ましく、この混合粉末のキャスティング膜に対する載置量は60〜100g/m2程度が好ましい。
【0011】
上記香料は、ペパーミント精油、スペアミント精油、ハッカ精油、レモン精油、オレンジ精油、グレープフルーツ精油、ライム精油、ユーカリ精油、シナモン精油、ウイキョウ精油、クローブ精油、コリアンダー精油、ローズマリー精油、カルダモン精油、アニス精油、ジャスミン精油、ローレル精油、ゼラニウム精油、ベルガモット精油、チョウジ精油、メントール、カンゾウ、シャクヤク、リョウノウ、ニクズク、サフラン、その他の公知の香料をいう。
上記消臭剤は、緑茶抽出物、マッシュルーム抽出物、笹抽出物、クロロフィリン、フラボノイド、その他の公知の消臭剤をいう。
上記薬剤は、アズレン、塩化セチルピリジニウム、塩化クロルヘキシジン、塩化デカリウム、グルコン酸クロルヘキシジン、サリチル酸メチル、ワサビ抽出物、などのように、殺菌効果、抗菌効果などが期待できるものをいう。
【0012】
上記乾燥工程では、クールドライヤーで冷風乾燥し、或は微温風を吹き付けて60℃以下で乾燥する。いうまでもなく、乾燥温度が60℃を越えると、香料、消臭剤、薬剤の揮発成分、芳香成分が熱変性又は変質したり、飛散するからである。
上記ゼイン、シェラック、グリアジンなどは共に高濃度アルコール(例えば、70〜80%エタノール)に溶解可能であるため、前述したように、当該低温度の乾燥工程であっても、アルコール分は迅速に蒸発して、天然高分子物質製のフィルムを迅速に成膜することができる。
【0013】
上記口中清涼フィルムの形態としては、ゼイン、シェラックなどの高分子物質の層と香料などの載置層から成る2層フィルムでも良いが、ゼインなどの高分子物質の層のうちの香料などの圧着面とは反対側の面に、さらに、水溶性天然高分子物質の薄膜を積層して3層フィルムとすることが好ましい。
上記水溶性天然高分子物質としては、冒述の従来公報にも開示されているように、デンプン分解物、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、キサンタンガムなどが挙げられ、デンプン分解物などが好ましい。この水溶性天然高分子物質の薄膜は、ゼインなどの香料担持層を補強して、口中清涼フィルム全体に強度を持たせる機能を果す。
本発明の口中清涼フィルムはシートを含む概念であり、具体的な厚みとしては、20〜500μm程度が好ましい。
【0014】
【発明の効果】
(1)本発明の口中清涼フィルムは、ゼイン、シェラック、グリアジンなどの天然高分子物質をエタノール、イソプロピルアルコールより選ばれたアルコール又は含水アルコールなどに溶解させて、この溶液を薄膜状に流延して冷風ないし微温風を吹き付け、60℃以下で低温乾燥して成膜するため、フィルム中の香料、消臭剤、薬剤の揮発成分、芳香成分が飛散したり、熱変性又は変質することがなく、清涼感を強く保全できる。
また、ゼイン、シェラックなどの上記天然高分子物質は水に不溶でアルコールに可溶性であるため、そのアルコール溶液の流延層に低温度の乾燥処理を施しても、アルコールが迅速に蒸発して薄膜を容易に形成することができ、口中フィルムの生産効率が高い。
【0015】
(2)本発明の口中清涼フィルムでは、ゼイン、シェラックなどのアルコール溶液を薄膜状に延ばした状態で、その表面上に香料、消臭剤、薬剤などの粉末を振りかけて付着させるため、後述の試験例に示すように、香料などを上記アルコール溶液に均一分散(又は溶解)して乾燥したフィルムに比べて、フィルムの単位面積当たりの香料などの充填量を増大させることができる。即ち、フィルム中の香料などの含有密度が高いので、口中フィルムに強い清涼感を付与することができる。
例えば、特開平4−82821号公報には、シェラック樹脂30〜60重量%のエタノール溶液に、緑茶抽出物などの消臭剤、或は、レモン、オレンジエッセンスなどの香料を添加した歯の美容剤が開示されている。
この美容剤は歯に塗布することにより、エタノールが揮発してシェラックの皮膜が形成され、歯に自然の光沢が付与されるものであるが、香料、消臭剤などはシェラックのエタノール溶液に添加して均一溶解させる方式であるため、この美容剤を口中清涼フィルムの製造に適用しても、やはり、香料などの充填密度の関係で、清涼感の強いフィルムを製造することは容易でない。
【0016】
また、通常、香料などをゼインなどのアルコール溶液に均一分散(又は溶解)する方式では、香料などの種類によって溶解度や分散の均一性に難易があるため、香料などの種類を変化させたり、多種類の香料などを使用する場合には、フィルムの生産性は必ずしも高くないが、香料などをゼインなどのアルコール溶液のキャスティング膜に振りかける本発明の方式では、流延したアルコール溶液の上から香料などの粉末を振動方式などの自動振りかけ機を用いて供給すれば良いだけで、分散の手間が要らないので、上記均一分散方式に比べて、迅速に、且つ、高密度で(場合によっては、1ケタ大きい、或はそれ以上の高密度で)香料などをフィルムに充填できるため、生産性に優れる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の口中清涼フィルムの実施例を順次述べるとともに、この低温乾燥並びに振りかけ方式の口中フィルムを、均一分散方式のフィルム及び熱風乾燥したフィルムと対比した清涼性試験例を説明する。
尚、本発明は下記の実施例及び試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0018】
下記の実施例1〜4において、実施例1はペパーミントの付着層/ゼイン層/デンプン分解物の補強層から成る3層の口中清涼フィルムの製造例であり、実施例2は実施例1の香料をペパーミント精油からL−メントールに代替した例、実施例3は実施例1のフィルム基材をゼインからシェラックに代替した例、実施例4は実施例1のデンプン分解物の補強層を省略した例である。
一方、比較例1はペパーミント精油をデンプン溶液に均一溶解し、これをキャスティングした後、熱風乾燥でフィルムを製造した例、比較例2は上記実施例1を基本としながら、ゼイン溶液のキャスティング層への振りかけ方式に替えて、ゼイン溶液にペパーミント精油を均一溶解し、冷風乾燥したフィルムの製造例である。
【0019】
《実施例1》
デンプン分解物(フードテックス;松谷化学工業社製)を水に分散して35重量%のデンプン分散液を調製し、PETフィルム上に上記デンプン分解物の分散液を流延して、20μm(乾燥時の厚み)のデンプンフィルムを成膜した。
一方、ゼインを含水エタノール溶液(エタノール88容量%/水12容量%)に溶解して20重量%のゼイン溶液を調製し、このゼイン溶液を前記デンプンフィルム上に75μmの厚みで薄膜状にキャスティングした。
ペパーミント精油を10重量%含有するデンプン粉末を、上記ゼインのキャスティング膜上に自動振りかけ機を用いて、80g/m2の付着量で均一に振りかけた後、ペパーミント精油/デンプン粉末の付着層を圧送ロールを用いてゼイン膜上に圧着した。
そして、40℃の微温風でゼインのキャスティング層を乾燥した後、前記PETフィルムから剥離して、ペパーミントの付着層とゼイン層とデンプン補強層から成る3層の口中清涼フィルムを得た。
上記口中清涼フィルムの厚みは400μmであった。
【0020】
《実施例2》
上記実施例1を基本として、香料をペパーミント精油からL−メントールに替えた3層フィルムを製造した。
即ち、デンプンフィルム上にゼイン20重量%の含水エタノール溶液を75μmの厚みでキャスティングした後、L−メントールを5.3重量%含有するデンプン粉末をこのゼイン溶液のキャスティング層上に90g/m2の付着量で均一に振りかけ、圧着した。
そして、クールドライヤーで20℃程度の冷風乾燥を施し、PETフィルムから剥離して、L−メントールの付着層とゼイン層とデンプン補強層から成る3層の口中清涼フィルムを得た。
上記口中清涼フィルムの厚みは450μmであった。
【0021】
《実施例3》
上記実施例1を基本として、フィルム基材をゼイン層からシェラック層に替えた3層フィルムを製造した。
即ち、デンプンフィルム上にシェラック35重量%のエタノール溶液を45μmの厚みでキャスティングした後、ペパーミント精油を10重量%含有するデンプン粉末をこのシェラック溶液のキャスティング層上に80g/m2の付着量で均一に振りかけ、圧着した。
そして、30℃の微温風乾燥を施し、PETフィルムから剥離して、ペパーミント精油の付着層とシェラック層とデンプン補強層から成る3層の口中清涼フィルムを得た。
上記口中清涼フィルムの厚みは400μmであった。
【0022】
《実施例4》
上記実施例1を基本として、デンプン分解物の補強層を省略した2層フィルムを製造した。
即ち、25μmのPETフィルム上にゼイン15重量%の含水エタノール溶液を100μmの厚みでキャスティングした後、ペパーミント精油を10重量%含有するデンプン粉末をこのゼイン溶液のキャスティング層上に80g/m2の付着量で均一に振りかけ、圧着した。
そして、40℃の微温風乾燥を施した後、PETフィルムから剥離して、ペパーミント精油の付着層とゼイン層から成る2層の口中清涼フィルムを得た。 上記口中清涼フィルムの厚みは380μmであった。
【0023】
《比較例1》
イオン交換水1000重量部にデンプン分解物237重量部を加え、70℃に加熱してデンプン溶液を調製した。次いで、このデンプン溶液を50℃に保持して、デンプン溶液100重量部に対してペパーミント精油1.90重量部、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル0.38重量部を加えて撹拌、溶解した後、30℃に冷却した。
このペパーミント精油を含有するデンプン溶液をPETフィルム上に145μmの厚みでキャスティングし、85℃で熱風乾燥を施し、PETフィルムから剥離して、31μmの口中清涼フィルムを得た。
【0024】
《比較例2》
前記実施例1を基本として、ペパーミント精油の粉末をゼインのキャスティング層に振りかける替わりに、ペパーミント精油をゼイン溶液に均一溶解して製造した。
即ち、ゼイン20重量%の含水エタノール溶液100重量部に対して、ペパーミント精油2.0重量部を直接添加して、撹拌、溶解した。
このゼイン溶液をデンプンフィルム上に140μmの厚みでキャスティングした後、クールドライヤーで20℃程度の冷風乾燥を施し、ペパーミント精油を一体含有するゼイン層とデンプン補強層から成る2層の口中清涼フィルムを得た。
【0025】
そこで、上記実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた各口中清涼フィルムを試料として、パネラー5人により口に含んだ際の清涼感の強弱を官能試験した。
上記官能試験は、各実施例を比較例と直接対比するのではなく、粉末状のデンプン分解物(実施例に用いられたものと同じ)にペースト状のペパーミント精油を加えて常温で圧縮した固形物(2cm×3cm)を標準品として、実施例及び比較例の各口中清涼フィルムを当該標準品と対比する方式により試験した。但し、実施例2に対しては、ペパーミント製油に替えてL−メントールを含浸した固形物を標準品とした。
官能試験の項目は、力価、フレッシュ感、変質感、並びにこれらの総合評価からなり、力価はペパーミント精油に含まれるフレーバー成分のうち、いわば、ガスクロマトグラムで最大ピークを示す成分の指標であり、これが多いとその香料特有の強い芳香感が感じられる。
上記フレッシュ感は、ペパーミント精油に含まれるフレーバー成分のうち、熱的に弱いフレーバー成分が失われずに残留していることを示す指標であり、これが多いと、強い爽快感、即ち、フレッシュ感を覚える。
また、上記変質感は、フレーバー成分が熱変性などを受けて、酸敗臭などの変質臭を発生しているか否かの指標であり、これが多いと品質が劣化していると判断できる。
【0026】
そこで、上記3項目の評価基準を示すと下記の通りである。
(1)力価
○:フィルムに含まれる香料特有の強い芳香感が有った。
△:芳香感は少し弱かった。
×:芳香感は弱かった。
(2)フレッシュ感
○:フレッシュ感が有った。
△:フレッシュ感は少し弱かった。
×:フレッシュ感は弱かった。
(3)変質感
○:変質臭はなし。
△:変質臭が少し感じられた。
×:変質臭が感じられた。
【0027】
図1はその試験結果を示す。実施例1〜4では、各パネラー毎に力価、フレッシュ感、変質感をまとめた場合、全部の項目が○の評価であるか、1項目だけ△の評価であることから、総合評価は全て「良」であった。
尚、実施例2は他の実施例或は比較例と異なり、香料にL−メントールを使用したが、この場合でも、ペパーミント精油と同様に、口中清涼フィルムの力価、フレッシュ感、変質感は夫々高い評価であった。
これに対して、ペパーミント精油をデンプン溶液に混合し、熱風乾燥で成膜した比較例1においては、各パネラー毎の力価、フレッシュ感、変質感の評価は2項目で×か△であり、○の評価は全くないことから、総合評価は全て「可」であった。やはり、熱風乾燥により、フィルム中の香料の揮発成分、芳香成分が飛散又は熱変性などを起こしたものと思われる。
また、ゼイン溶液にペパーミント精油を均一溶解して成膜した比較例2では、力価、フレッシュ感の評価は共に△であるか、これに×の評価が混じることから、総合評価はやはり「可」であって、フィルム中での香料の充填量が充分でないことを窺わせた。しかしながら、変質感の評価は概ね○であって、冷風乾燥で成膜した結果、香料の熱変性などは防止されていることが判った。
【0028】
ちなみに、図2はペパーミント精油を含有する実施例1、3〜4及び比較例1〜2の各口中清涼フィルムの単位面積(1m2)当たりの各成分重量を表したものである(従って、L−メントールを含有する実施例2は省く)。
図2によると、均一溶解方式である比較例2のペパーミント精油の含有量は、振りかけ方式の各実施例の含有量に比べてやはり少なかった。
また、比較例1の含有量はペパーミント精油を50℃付近でデンプン溶液に添加、撹拌した後に成膜したので各実施例と同量であるが、乾燥時に加熱したため、上記試験結果にも示すように、比較例1のペパーミント精油に含まれる揮発成分、芳香成分は各実施例と同列には扱えないのである。
以上のように、口中清涼フィルムの清涼感は、製造後にフィルム中に有効残留している香料、消臭剤などの含有密度に依存し、これらの充填密度が高いほど強い清涼感の持続に有利であり、実施例1、3〜4でのペパーミント精油の充填量はこのことを裏付けている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4及び比較例1〜2の各口中清涼フィルムの力価、フレッシュ感、変質感などの官能試験結果を示す図表である。
【図2】実施例1、3〜4及び比較例1〜2のペパーミント精油を含有する口中清涼フィルムの単位面積当たりの成分重量表である。

Claims (3)

  1. 水に不溶で、且つ、アルコール可溶性の天然高分子物質の薄膜に、香料、消臭剤、薬剤より選ばれた成分を含有する口中清涼フィルムであって、
    上記天然高分子物質をエタノール、イソプロピルアルコールより選ばれたアルコール又は含水アルコールに溶解させ、このアルコール溶液を薄膜状に延ばし、この薄膜表面上に香料、消臭剤、薬剤より選ばれた粉末を振りかけて付着させ、冷風ないし微温風を吹き付けて60℃以下で乾燥し、成膜したことを特徴とする口中清涼フィルム。
  2. 請求項1のアルコール可溶の天然高分子物質が、ゼイン、シェラック、グリアジンであることを特徴とする口中清涼フィルム。
  3. アルコール可溶の天然高分子物質の薄膜に、水溶性天然高分子物質の薄膜を積層したことを特徴とする請求項1又は2に記載の口中清涼フィルム。
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