インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の被記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途において急速に普及している。又、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。更に、作成部数が少なくて済む用途においては、写真技術による印画よりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用され、多様化が進んでいる。
多様化はインクジェット被記録媒体やインクに対しても展開され、例えば、インクジェット被記録媒体では従来からある普通紙やマット紙といった光沢のない或いは光沢の低い外観に加え、アート紙、コート紙、キャストコート紙、印画紙等に類似の光沢を有した外観も販売されている。また、インクジェット被記録媒体の構成も支持体が紙、プラスチックフィルム、不織布等、インク吸収層の主成分がシリカまたはアルミナ等の無機顔料やポリビニルピロリドン等の有機物と多様化が進んでいる。同様にインクも染料インク、顔料インク等各プリンタメーカおよびプリンタ機種で様々な種類が販売されている。
また、インクジェット記録装置の形態により、カットシートだけでなく、ロール状の巻き取り製品も取り扱えるタイプのものも市場に販売されている。
さらに、多量のインクジェット被記録媒体を、インクジェット印字処理の自動化と迅速化を図るため、ミニラボタイプの装置も販売され、インクジェット出力専門店が数多く出店されている。しかしながら、現在のように、多種多様のインクジェット被記録媒体やインクジェット記録インクが市場に氾濫しており、特定の組合わせに限定されたり、マッチングが悪いと性能をフルに引き出すことができないばかりか、最悪の場合、前述のインク溢れや、バンディング等の品質故障を起こすことがあり、ユーザーの要望をすべて満足することは非常に難しい状況となっている。
近年においては、インクジェット被記録媒体の低価格化、また印字物の多様化に伴い、ユーザーのインクジェット記録する枚数は増加する一方であり、ユーザーは、インクジェット出力専門店からかなりの枚数の種々のタイプのインクジェット被記録媒体を1度に引き取ることになる。従来は、インクジェット被記録媒体は比較的高価で、種類が少なく、ユーザーが1度に引き受ける枚数が少なかったため、比較的、ユーザーのニーズに応えなくとも問題がなかった。また、汎用の安価なインクジェットプリンターの個人使用では、メーカー推奨のインクジェット被記録媒体と専用のインクジェット記録インクを使用することにより特に問題はなかった。
ところが、ユーザー一人当たりの印字枚数の増加、あるいは、目的の印字画像に合わせて、使用するインクジェット被記録媒体の種類を種々のタイプに変更して出力する要望が高まってきた。大量かつ高速にインクジェット被記録媒体へ記録物を作成することにあり、ユーザーニーズを満足するために、インクジェット被記録媒体とインクジェット記録インクとの最適化が必要となる。
ここ数年来、パソコンの性能が飛躍的に向上したことによって、これまで写真や印刷機でしか表現できなかったものが、A4,A3サイズのインクジェットプリンタでも作成できるようになった。大型のインクジェットプリンタは基本的にA4,A3サイズのインクジェットプリンターと同じであるが、より大きなサイズ(900mm幅ロール紙、1200mmロール紙を使用)にプリントできることや、文字やイラスト、写真などを組み合わせた複雑で大きなデータサイズのものがより正確な色にプリントできる。ここ数年来、大型インクジェットプリンタの性能が向上したことで広告業界、印刷業界で革命が起こっている。デジタルデータを実用サイズで実用のインクジェット被記録媒体(紙、布、糊付きの塩ビシート・ユポ紙、フィルム、ターポリン、電飾用の乳半・透明フィルムなど)に直接プリントすることで、小ロットのポスター、案内サイン、広告看板の制作が安価で、迅速に、綺麗にできるようになった。
大型インクジェットプリントの利点としては、シールステッカー・自動車、店舗・ビルのウィンドウ用がある。タック(糊)付き塩ビフィルムやタック付きのユポ紙にプリント、ラミネート処理後外周カット。比較的簡単な内容のもの(自動車用の社名文字、3〜4色程度のロゴマーク等)はカッティングシートで製作することができ、すっきり仕上げることができる。大型ポスター、ポスターパネル・展示会や催し物・イベント、販売促進用のPOPがある。人目を引くために鮮やかな発色を必要とすることや使用期間が比較的短期なので染料インクを使用することで十分である。
ユーザーは、インクジェット出力専門店に画像データを持ち込み、好みのインクジェット被記録媒体に出力を依頼する。当然、ユーザーは、安価で綺麗に出力する、色合わせを正確に調整してくれるインクジェット出力専門店を選択することになる。デジタルプリントは色が正確に出力し難く、ユーザーの持ち込みデータをそのまま出力すると悲惨な印字結果を見ることが多い。そこで、インクジェット出力専門店は、ユーザーの意見・使用目的を専門的な立場で判断し、インクジェット被記録媒体に最良なインクを選択する。特に、屋外看板や電照看板等に使用する場合は特に注意が必要である。インクジェット出力専門店において、看板に関する専門的な経験・知識のないオペレーターに依頼すると悲惨な結果になる。
また、インクジェット出力専門店では、早く処理しなければならない。デジタルデータをプリントするだけなので安価に作成できる。一度データを作成すれば2回目からは不要である。200枚程度以下の小ロットのポスターの製作なら製版などの工程が省略できるので、印刷機による印刷より安価にできる。比較的単純な内容(例えば文字だらけの看板)の場合、手書きやカッティングシートで作成する方が安価になる。複雑で写真やグラデーションの入った内容の物は、インクジェットの方が有利である。
さらに、部屋の装飾用として、オリジナルポスター、カレンダー、写真パネル、タペストリー等、また、看板製オペレーターの利用では、屋内・屋外の看板、催し物・イベントの案内板として、店舗用看板、電照看板、屋上広告看板、案内地図、壁面広告バナー等種々の用途がある。しかし、これまでの看板の製作手段(ペンキ書き、カッティングシート)よりも短納期で、綺麗な仕上がりが可能である。インクジェット看板の普及によって広告物の内容がこれまでの単純な内容のものから写真やグラデーションの入ったより複雑で高度な内容のものが求められるようになってきた。小ロットの印刷物でも、製版などの途中の工程が必要ではなく、短納期、低価格でできるので、インクジェット出力専門店の利用は需要が高まってきている。
インクジェット被記録媒体の選択は、インクジェット出力専門店と相談して決める方が無難である。広告物、看板などのように長期的にあるいは屋外で使用する場合は耐候性、耐水性、再剥離性が問題となるので、そういう知識のあるオペレーターに依頼する方が無難である。施工(貼り付け)の問題も大切な問題であり、インクジェット印刷物の性質上、現地での貼り付け施工を避けて通れない場合ある。貼る面の素材や形状、凹凸の有無にマッチしたインクジェット被記録媒体を選択しなければならない。大面積の出力物(数メートル各を分割出力した物等)やウィンドウ面に貼る物(裏側から気泡、ゴミ等が見えてしまう)になると専門の施工業者に依頼しないと無理である。
大型インクジェットプリンタは、従来の印刷機等と比較すると小型であり、また画像も優れているため、近年急速に普及しつつある。しかし、このような大型インクジェットプリンタにおいても、異なる種類の用紙上に同様の方法で印字を行うと、用紙によってインクの滲み方や乾き方に差が見られるため、形成された画像の色や濃度がばらついてしまい、元の画像データとは違った画像が出力されてしまう。
すなわち、インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドから微小のインク液滴を吐出して、インクジェット被記録媒体に着弾させることによって、ドットを形成させる。しかし、インク液滴は、インクジェット被記録媒体に着弾した後、滲み、広がり、乾燥するので、1つのインク液滴で形成されるドットの大きさは、インクジェット被記録媒体の滲み易さによって変わってくる(例えば、コート紙タイプのインクジェット被記録媒体は滲み難いが、普通紙タイプの場合は滲み易い)。これは実際には、人間の目にとって濃度の差となって現れる。また、用紙によっては、色が変化する場合もある。
インクジェット記録において良い画像を得るためには、インクとインクジェット被記録媒体で最良のマッチングを図らねばならない。すなわち、所定のプリンタ、インクに対しては最も良い記録媒体を用意する必要がある。この記録媒体を一般には専用紙と言われている。市販の家庭で使われるプリンタの場合は、プリントの際にコンピュータ画面上で使用する用紙や印字モードを選択する行程がある。この選択によって、コンピュータはプリンタにセットされた記録媒体(一般に用紙)に対して最適の画像が得られる様にインクの吐出をコントロールしている。誤った用紙選択が行われた場合には、インク溢れ、後述するバンディングなどの重大問題が発生する場合が多い。特に、美しい写真用途の場合、この用紙選択を誤ると見るに耐えないプリントが出力されてしまう。すなわち、インクと記録媒体の組み合わせを間違えると結果として良い画像が得られない。
ここで印字モードとは、例えばドラフトモード、ノーマルモード、高品位モード、最高品位モード等がある。これらは記録媒体の1ドットラインに対して印字ヘッドが相対走査する回数、すなわち、パス数が異なっている。例えば、ドラフトモードの場合は1パスで、ノーマルモードの場合は2パスで、高品位モードの場合は4パスで、最高品位モードでは8パスで1ドットラインを形成する。パス数の増加に伴い、1ドットラインを形成するためのノズル数が多くなり、その結果、ノズルごとのインク吐出量のばらつきが起因して発生する濃度ムラが低減され、またドット間またはライン間の隙間(バンディング)も目立たなくなるが、単位面積当たりの吐出インク量も多くなる。
これを防止するためには、従来、インクジェット被記録媒体の種類やインク等によって画像処理方法を変えることにより、異なる種類のインクジェット被記録媒体でも同様の画像を出力できるようにすることが行われている。
このためには、当然ながら、インクジェットプリンターにセットされたインクジェット被記録媒体の種類を装置が認識する必要がある。この方法として従来は、コンピュータ上のプリンタドライバや操作パネルから、インクジェットプリントオペレーターがインクジェット被記録媒体の種類を設定する作業を行う必要があった。
ところが、インクジェット被記録媒体だけでは、インクジェットプリントオペレーターには、目視観察により、純正品と汎用品の区別ではできない。そればかりか、近年は、海賊版と称する安価で粗悪な模造品が市場に流通し始めて、印刷トラブルによる被害が大きくなりつつある。前述の通り、インクジェット被記録媒体は、インクジェットプリントオペレーターには、区別できないので、実際に印字しないとわからないことさえある。さらに悪いことに、最初から模造品と分かれば、被害は少ない。しかしながら、純正品に、模造品が混入した場合、多量にインクジェットプリントした後に、不良印字物が発生した場合、インクジェット被記録媒体とインクの印字コストだけでなく、分別回収コストがかさむ。さらに、最悪の場合は、インク溢れ等の頻出故障により、インクジェットプリントシステム全体のメンテナンスが必要となり莫大な損失をインクジェットプリント業者に与えることになり、大きな問題となっている。
従来の技術としては、プリンタに装着されたインクカートリッジが正規なものか否かを自動的に判断するものがある(例えば、特許文献1参照。)。また、記録シートの検知性能が安定し、また検知するマーク部が目障りになるような目立ったものでなく、さらに、プリンターで検出器を設置する際のスペースを小さくできる、各種性能を取り揃えた記録シートを提供するものもある(例えば、特許文献2参照)。さらには、交換可能部品に情報保有手段を追加することなく、装置に備わっている既存の構成を最大限に活用して、交換可能部品の適合性を精度良く判定できる印字出力装置もある(例えば、特許文献3参照)。
特開平7−227972(0003段)
特開2000−238416(0052段)
特開2003−223083(0015段)
以下、本発明の実施するための最良の形態を詳細に説明する。
まず始めに、本発明のインクジェットプリントシステムが運用される一般的な実施形態について説明する。ユーザーは、目的の印字画像をインクジェット被記録媒体に印字出力するため、パーソナルコンピュータ等で作成したデジタルデータをインクジェットプリント専門店に持ち込む。通常、デジタルデータは、インクジェット被記録媒体とインク等の最適な画像出力結果得られるように、画像処理装置により、インクジェット記録装置への印字データとして変換される。印字データは、インクジェット記録装置へ送られ、インクタンクのインクをノズルから吐出させ、目的の画像を形成させる。
本発明のインクジェットプリントシステムは、インクジェット被記録媒体が有する印字制御情報に基づき、該システムが有する一連の装置群を制御することが可能である。例えば、インクジェット被記録媒体を搬送経路に連続的に供給して、駆動させる搬送駆動装置、各種インクのノズルを制御して、インク吐出量を制御するインクジェット記録装置、インクジェット被記録媒体の印字物を所定の長さに裁断するカッター装置、およびカッター装置で裁断した際に、分別回収するためのトレー装置から構成され、これらを統合的制御するものである。
本発明の印字制御情報とは、インクジェット被記録媒体とインクジェット記録インクとの最適なマッチングを得るための情報であり、この情報は、インクジェットプリントシステムに反映される。すなわち、印刷制御情報には、インクジェット被記録媒体に最適なインクの種類(染料、顔料、浸透剤等から選択される)、支持体の種類(パルプ、填料、紙力増強剤、サイズ剤、蛍光染料、着色染料、着色染料等から選択される)、インク受理層(顔料、バインダー、染料定着剤等から選択される)の種類等に関係する種々の情報が含まれるだけではなく、これらの情報に基づいて、インクジェットプリントシステムが有する一連の装置群を制御するための、搬送駆動装置、インクジェット記録装置、およびその装置内のインクノズルの吐出装置、カッター装置、トレー装置等を統合制御するため情報のうち少なくとも1つ以上を含むことが必要である。さらには、必要に応じて、製品オーダーやロット、製品番号等の情報を含んで、製品のトレーサビリティを付与することもできる。また、情報検出センサで検知された認識可能なイメージがあらかじめシステムに登録し、データベース情報として保存しておくことが好ましい。
本発明のインクジェットプリントシステムは、画像処理装置から出力された印字データと、印字制御情報を有するインクジェット被記録媒体から、情報検出センサにより該印字制御情報を情報処理し、インクジェットプリントシステムの画像出力を制御するものであり、インクジェット被記録媒体に記録された印字制御情報に基づき、インクジェット記録インクとインクジェット被記録媒体との最適化を図り、常に最良な画像出力を保証するシステムである。例えば、インクジェット記録インクやインクジェット記録媒体は、多種多様の製品が存在し、組み合わせによりバンディングやインク溢れ等の印字故障が発生することがあったり、インクジェット記録インクやインクジェット被記録媒体が有する固有の性能が発現できず、満足の行く記録画像を得ることができない。
さらに、本発明のインクジェットプリントシステムにおいては、インクジェット被記録媒体が有する印字制御情報により、インクジェット被記録媒体がシステムで最適なパフォーマンスを得られない場合、特に、インクジェットプリントオペレーターが、純正品としてその外見から判断できないインクジェット被記録媒体の粗悪な模造品を使用した場合においても、搬送装置を停止させたり、インクジェット記録装置から吐出されるインクを停止させたり、画像を改変させてインクジェット被記録媒体に印字画像を出力することにより、直ちにインクジェットプリントオペレーターが確認できるだけでなく、インクジェットプリントオペレーターが操作するまでもなく、システムが自動的に制御することができるので、インクジェットプリントオペレーターの負担が軽減でき、目的の印字画像が得られない品質故障を有するインクジェット被記録媒体はブロークにしかならず、特に、公告等の用途で使用される大判のインクジェット被記録媒体では、その費用が高額であるばかりでなく、その処理費用も含める損失や、印字トラブルによる操業損失を極限まで減少させることができる。
本発明のインクジェットプリントシステムは、搬送装置、インクジェット記録装置、カッター装置、およびトレー駆動装置等からなる一連の装置を統合したものであり、インクジェット被記録媒体から得られた該印字制御情報に基づき、これら一連の装置を制御することができる。搬送装置は、搬送駆動装置を有する搬送ロール、ロール紙巻取コア送り出しロール、または、ロール自体に駆動がない各種装置への導入のための抱き角度調整用ロール等からなる。インクジェット記録装置は、多色のインクタンクを有するそれぞれのジェットノズルでインク吐出することが好ましい。カッター装置は、インクジェット被記録媒体に画像が形成された後、所定の長さに裁断する装置であり、該印字制御情報に基づき裁断を制御することも可能である。該印字制御情報の種類により、それぞれの装置を個別に制御することも可能であり、連動して制御することもできる。
以下、本発明のインクジェットプリントシステムについて、一例として図面に従い詳細に説明する。ユーザーは、インクジェットプリントを依頼するため、デジタルカメラ等で撮影したデジタルデータ(画像データe)をインクジェットプリント出力店に提出し、インクジェットプリントを依頼する。依頼されたインクジェットプリントオペレータは、ユーザーが要求する画像データeに応じて、インクジェット被記録媒体、インクジェット記録インク等を適宜選択する。インクジェットプリントオペレータは、ユーザーから依頼された画像データeを画像処理装置1に入力する。入力された画像データeは、画像処理装置1で、インクジェット記録装置で印刷するための印刷情報aに変換され、印刷処理装置2に入力される。
図面では、インクジェット被記録媒体としてロール紙巻取タイプのものを使用している。情報検出センサ5は、インクジェット被記録媒体6裏面のコードイメージを検出して、コードイメージ情報を印刷処理装置2に送る。印刷処理装置2は情報検出センサ5より送られてきた制御情報cにより、印刷処理装置2の内部に保存されているデータベース情報を参照、比較して情報処理を行い、その情報を基にインク溢れ、およびバンディング等の印字欠点がないように、印字条件を変更し、インクジェット被記録媒体に最適な画像が印字できるように、印刷制御情報cで、搬送装置3およびインクジェット記録装置4を制御し、出力情報bをインクジェット印刷出力する準備を行う。なお、インクジェット記録装置には、付帯装置として、各種のインクジェット被記録媒体に最適な画像が得られるよう、各種のインクを有するインクタンクと自動交換可能な印字ノズルを多数有すると好ましい。
印刷処理装置2から、インクジェット印刷出力開始の信号とともに、出力情報bと制御情報cを統合した情報をシステム全体に送る。インクジェット被記録媒体6は、装置搬送装置3のコアの送り出しにより主走査方向aに送られ、インクジェット記録装置により印字された後、印字制御情報に基づき、カッター装置7で所定の長さに切断されてトレイ装置8で、分別して排出される。
同図面において、画像処理装置1は典型的にはパーソナルコンピュータで良く、印刷処理装置2へ送るべき印刷データの作成処理を行うソウトウェアを有している。また、目的の印刷画像を得るための単なるメモリーであっても良い。
印刷処理装置2は、図示していないが、印刷ヘッド駆動回路や、搬送回路や、外部データの入出力回路や、印刷処理装置2全体を制御する中央演算処理装置およびインクジェット記録インクとインクジェット被記録媒体の組み合わせ等による最適な印字条件を保存したデータベース情報などを備えている。
搬送装置3は、一連のインクジェット被記録媒体を駆動させる装置のすべてを図示していないが、紙送りローラユニットと搬送駆動部などから構成され、印刷処理装置2からの印刷情報により、コアに装着されたロール紙巻取状のインクジェット被記録媒体6のカートリッジを図面の矢印走査方向に搬送するものである。搬送駆動はコアを駆動させても良いし、インクジェット被記録媒体をロール等で挟んで送っても良いし、カットシート状のものでも、不具合なく搬送できれば、その手段は問わない。
インクジェット印刷の場合は、インク吐出と同期させて被記録媒体を搬送することが肝要であり、良い画像を得るためには、これズレると目的の画像が得られない。インクジェット記録装置4は、図示していないが、印刷ヘッド、印刷ヘッド駆動装置、ヘッドメンテナンス装置などから構成され、インクを印字ヘッドへ供給するためのインクタンク、あるいは交換可能な種々のインクカートリッジが自動的に着脱自在にセットできる様になっている。
情報検出センサ5は、インクジェット被記録媒体6裏面の認識可能なイメージ、例えば、印刷ロゴ、ドットコード、バーコード等から構成される印刷制御情報cを検出して、印刷するインクジェット被記録媒体に関する印刷制御情報cとして取り込み、印刷処理装置2に送る。
本発明のインクジェットプリンタシステムにおいて、印刷処理装置2が有するデータ処理装置は、情報検出センサ5からの印刷制御情報cにより、インクジェット被記録媒体への最適な印字が得られるよう、印刷条件をデータベース保存情報より選択し、搬送装置3およびインクジェット記録装置4を制御し、印刷情報bの印刷処理を実行する。
以上、述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。例えば、画像処理装置1は一般のパーソナルコンピュータであって、このインクジェットプリンタ装置に内装されていなくとも可能である。
次に、本発明のインクジェットプリントシステムの制御について詳細に説明する。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、該情報検出センサで該印字制御情報cが検知されない場合、−インクジェット被記録媒体が純正品を使用しても、インクが異なり、最適なパフォーマンスが得られない場合や、インクが適合しても、海賊版のようなメーカー純正品ではない模造品を使用して、印字トラブルを発生する場合−には、搬送装置を停止、またはインクジェット記録装置のノズルからのインク吐出の停止等、インクジェット被記録媒体に対して、全く印字させない処理を行ったり、さらには、インクジェット被記録媒体に、搬送駆動装置とインクジェット記録装置を連動させないで、目的の印字画像を形成させない制御を行うことができる。なお、搬送駆動装置の停止によりシステム停止する場合は、インク吐出が停止することが好ましい。すなわち、本発明のインクジェットプリントシステムでは、インクジェット被記録媒体が、純正品の場合は最適なパフォーマンスが得られ、模造品である場合には、品質トラブルの発生を排除することが可能である。
また、本発明のインクジェットプリントシステムでは、該情報検出センサで該印字制御情報が検知されない場合、目的の画像形成を得られないように、該インクジェット記録装置と該搬送駆動装置を連動させずに、画像を出力することができるので、インクジェット被記録媒体の印字画像が不適合であり、インクジェットプリントオペレーターが容易に確認でき、インクジェット被記録媒体か、インクのミスマッチか直ちに、対策が取れ、品質トラブルが発生しないので操業性が高まる。すなわち、インクジェット記録ノズルから吐出されるインク量が同じであれば、該搬送駆動装置の搬送速度を早くすると、伸長した画像となり、逆に、遅くすると、収縮した画像となる。一方、該搬送駆動装置の搬送速度が同じであれば、インクジェット記録ノズルからのインク吐出量を減らせば、印字濃度が低くなり、吐出量を増加させれば、印字濃度が高くなる。経済的かつ、品質トラブルを回避するため、搬送速度は速くした方が良く、インク吐出量は少なくする方が好ましい。さらに、本発明のインクジェットプリントシステムでは、搬送速度とインク吐出量は、それぞれ個別に制御してもかまわない。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、情報処理するため付設される印刷処理装置内に、該インクジェット被記録媒体の印字付与情報に関連する情報がデータベースとして保存されていることが好ましい。該印刷処理装置は、該印字制御情報と該印字データが処理され、インクジェットプリントシステムに反映される。該データベースに保存された情報は、前述の通り、インクジェット被記録媒体に関する支持体の種類、インク受理層の種類に関係する銘柄の情報や、該媒体に適用されるインクジェット記録インクや最適なインクが選ばれるよう、あらゆる情報を記憶することが好ましい。特に、模造品を排除するには、情報検出センサで、検出しうるだけ多くの情報を記憶させ、模造させないようにすることが好ましい。さらに、インクジェット被記録媒体は、製造ロットやオーダーにより多少変動することがあるので、これら製造番号に関する情報も加味して、インクジェット記録装置のインク吐出量や、インクジェット記録インクの選択にフィードバックがかかるシステムが好ましい。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、印刷処理装置の情報処理において、印字制御情報と該データベース保存情報に関して、特定のリンクした情報を有すること必要であり、リンク情報が一致しない場合、搬送装置を停止することができる。該リンク情報は、本発明のインクジェットプリントシステムを構築する際、事前に設定しても構わないし、新規製品の情報をシステム構築後に新たに情報を入力することも可能であり、逆に絶版銘柄の情報を削除する等、適宜リンク情報を変更することも可能である。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、印刷処理装置の情報処理において、印字制御情報とデータベース保存情報が一致しない場合、インクジェット記録装置と搬送駆動装置を連動させずに、目的の画像形成を得られないように画像を改質して出力することができ、インクジェット被記録媒体の印字画像からミスマッチしていることが容易にインクジェットプリントオペレーターが確認することができ、対応が直ちに取れる。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、印刷処理装置の情報処理において、インクジェット被記録媒体から情報検出センサにより得られた印字制御情報とデータベース保存情報が一致しない場合、インクジェット記録媒体を搬送させる搬送駆動装置を停止させることができる。この搬送駆動装置の停止により、無駄な印刷故障や不良印字を起こすインクジェット被記録媒体が著しく減少するので、非常に経済的である。搬送駆動装置を停止した場合は、ロール状の巻取状インクジェット被記録媒体の場合は、搬送駆動装置の逆転により、供給装置へ巻き戻すことができる他、巻取回収装置により巻き取り、回収することも可能である。さらに、カットシート状の場合は、トレー装置で分別回収することができる。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、該印刷処理装置の情報処理において、該印字制御情報と該データベース保存情報が一致しない場合、インクジェット記録装置のインク吐出を停止することができる。この場合は、搬送駆動装置はそのまま稼働して、ロール状巻取の場合は、未印字のまま回収装置で巻き取られ、カットシートの場合は、トレー装置で分別回収することができる。
このように、該印字制御情報と該データベース保存情報の一部でも一致しない場合は、インクジェット記録装置で印字することなしに、不良品として分別することができ、不要な不良印字物や、印字トラブル等がなくなり操業性が高まるため、経済性が優れるばかりか、常に、インクジェット被記録媒体とインクジェット記録インクの最適化が図れた印字物を供給することが可能となる。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、該印字制御情報と該印字データが一致しない場合は、インクジェット記録装置においてインクの吐出量を変化させて、目的の画像形成が得られないように画像データとは異なる画像を出力することができる。しかし、インクジェット被記録媒体のすべて画像データとは異なる画像を印字することは不経済であるので、適宜調整することは可能であるが、カットシート1枚分程度の印字見本を印字して、インクジェット被記録媒体がミスマッチしていることをオペレーターにわかるように、搬送駆動装置を停止することが好ましい。さらに、この場合においては、印字見本を印字後、インクジェット記録インクの吐出停止し、カッター装置でカットシート1枚に裁断され、搬送駆動装置が自動的に停止することが好ましい。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、該インクジェット被記録媒体がコアにロール紙巻取され、インクジェット記録に供すると好ましい。勿論、搬送駆動装置の種類により、カットシート状のインクジェット被記録媒体も使用することができるが、高速印字性、高速搬送性を考慮するとハンドリングの良さからコアにロール紙状に巻取されたインクジェット被記録媒体を使用することが好ましい。なお、コアに巻き取られたインクジェット被記録媒体は、利便性を考慮し、カセット状ケースに保管し、インクジェットオペレーターが容易に、送り出し装置にセットされる機構を有するタイプのものが好ましい。
本発明のインクジェットプリントシステムにおいて、インクジェット記録装置のインク吐出を停止しても、ライン搬送装置が、そのまま駆動して、カットシートに裁断されることなしに、該インクジェット被記録媒体の巻き取り装置で、回収することができる。
さらに、本発明のインクジェットプリントシステムでは、該インクジェット被記録媒体を巻取回収装置で回収することなしに、カッター装置で裁断後、トレー装置により分別回収することもできる。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、印刷処理装置の情報処理において、印字制御情報と印字データが一致する場合、インクジェット被記録媒体を巻き取らずに、目的の印字画像が得られる所定の長さにカッター装置で裁断することができる。
本発明においては、市販のインクジェットプリンター等による既存の装置群からなるダウンサイジングされた小さなシステムも構築できる。情報検出センサは、インクジェット被記録媒体の認識可能な印刷制御情報を読み取り、印刷制御情報をインクジェット記録装置に送る。インクジェット記録装置は情報検出センサより送られてきた印刷制御情報によりデータベース情報を参照し、その情報を基に、インクジェット被記録媒体が最適なパフォーマンスが得られる純正製品か、模造された不適合な海賊製品か判定する。また、純正製品である場合には、インクジェット被記録媒体とインクとの適合性を確認して、インクアフレおよびバンディング等の印字欠点がないように搬送装置およびインク吐出量を制御し、印字モードを変更し、印字する。
画像データは、典型的にはコンピュータを使用して、インクジェット記録装置へ送るべき画像データの作成処理を行うソフトウェアを有している。また、目的の印刷画像を得るための単なるメモリーであっても良い。
インクジェット記録装置には、印字ヘッド駆動回路や、搬送回路や、外部データの入出力回路や、インクジェット記録装置全体を制御するCPUおよびインクとインクジェット被記録媒体の組み合わせによる適正な印字モードを記録したデータベース情報などを備えている。さらに、インクジェット記録装置には、印刷ヘッド、印刷ヘッド駆動装置、ヘッドメンテナンス装置などから構成され、インクを印字ヘッドへ供給するためのインクタンク、あるいは交換可能なインクカートリッジが着脱自在にセットできる様になっている。
搬送装置は、インクジェット被記録媒体送りローラユニットと搬送駆動部などから構成され、印刷処理回路からの信号により巻き取り状ロール紙インクジェット被記録媒体を搬送するものである。搬送駆動はコアを回転させても良いし、記録媒体をロール等で挟んで送っても良いし、その手段は問わない。インクジェット印刷の場合は、インク吐出と同期させて被記録媒体を搬送することが肝要であり、同期化に失敗すると目的の画像が得られない。
情報検出センサは、インクジェット被記録媒体の印刷制御情報を読み取り、インクジェット被記録媒体およびシートに最適なインクの情報等を、インクジェット記録装置で処理を行う。
インクジェット記録装置が有するCPUは、情報検出センサからの情報により、インクジェット被記録媒体への最適な印字条件をデータベース情報より選択し、搬送装置およびインクノズルのインク吐出量を制御し、印字処理を実行する。
以上の一般的な構成からなるインクジェット記録装置が有するCPUの処理手順を簡単に説明する。インクジェット被記録媒体にあらかじめ施された印字制御情報とは、情報検出センサ、好ましくは光学的検出センサにて検出できるものであれば特に限定されないが、読み取り後の判定のためにはコードイメージがより好ましい。インクジェット被記録媒体のコードイメージを検出し、印刷処理装置が有するデータベース情報と比較し、情報が一致であれば、適正な印字モードで印字し、一致しなければ印字させなかったり、画像を改変して出力することができる。
まず、画像処理装置よりインクジェット記録装置へ印字データが送られる。印字データを送られると、搬送装置および情報検出センサを用いて、インクジェット被記録媒体の印字制御情報を検出し、印字制御情報をインクジェット記録装置で処理する。インクジェット記録装置が有するCPUがデータベース情報に登録してある印刷制御情報と比較し、これが一致するか否かを判定する。一致すれば、データベース情報に基づき、適性な印字モードを選択し、搬送装置およびインクノズルのインク吐出量を制御し、印字処理を行う。
もし、インクジェット被記録媒体の印字制御情報が、インクジェット記録装置に内蔵されるデータベース情報に登録されている印刷制御情報と比較し、一致しないと判定された場合、インクジェット記録印字およびインクジェット被記録媒体の搬送を停止し、ユーザーにインクジェット被記録媒体の交換を要求することができる。
インクジェット被記録媒体の交換がおこなわれたか判断し、交換が行われれば、再度上記手順が、印刷制御情報と合致するまで繰り返される。交換が行わなければ、印字を中止または目標とは異なる画像イメージを印字する。
以上のような制御処理によれば、ユーザーが印字モードの選択を気にせずにインクジェット被記録媒体に適応した印字モードをプリンタシステムが選択し、良好な画像イメージを得ることができ、また適応した印字モードがなければ印字を中止または異なる画像イメージを印字し、印字欠点を起こすことがない。
認識可能なコードイメージとは、周知なものがあげられ、例えば、バーコード、2次元コード、その他二値データで「1」および「0」を表すように構成されたコードが使用できる。
本発明のインクジェットプリントシステムで使用されるインクジェット被記録媒体は、印字制御情報を有するものである。該印字制御情報は、前述の通り、支持体の種類、インク受理層の種類に関係する銘柄の情報や必要に応じて、製品オーダーやロット、製品番号等の情報を含んで、製品のトレーサビリティを付与することもできるものである。また、情報検出センサで検知されるべき印字付加情報があらかじめデータベース保存情報に登録されることが好ましい。勿論、本発明のインクジェットプリントシステムを使用するため、新規に該データベース保存情報を登録しても構わない。
本発明のインクジェットプリントシステムで使用される該インクジェット被記録媒体のインクジェット記録するべき面の反対面に、印字制御情報を設けた方が好ましい。インクジェット記録面に印字制御情報を設けた場合や、インクジェット記録層を設ける前の支持体上に印字制御情報を設けた場合は、インクジェット記録時のインクの影響が大きいばかりか、情報検出センサの検出感度が低下するため、好ましくはインクジェット記録面の反対面に印字制御情報を設ける方が良い。
本発明のインクジェットプリントシステムで使用されるインクジェット被記録媒体の該印字制御情報は、可視光で検出されることが好ましい。可視光であれば、情報検出センサに特別な設備を付帯することなしに、室内光で作業を行うことが可能であり、インクジェットプリントオペレーターでもインクジェット被記録媒体を目視観察により、一目瞭然に、本発明で使用できるものか容易にわかり、少なくとも、インクジェット記録印字前に、層別することができ、品質故障を少なくすることが可能である。それでも、悪質な業者は、純正品に類似した粗悪な模造品を作成する可能であり、最後は、インクジェットプリントオペレーターの目視観察に頼らず、本発明のインクジェットプリントシステムで検出される印字制御情報に頼らざると得ない。
本発明のインクジェットプリントシステムで使用される該インクジェット被記録媒体の該印字制御情報が、近赤外光で検出されることが好ましい。この場合、当然、この場合の情報検出センサは、近赤外光で検出できる感度を有するものが使用される。近赤外光を利用するメリットは、該印字付加情報として印刷されるパターンが目視で確認できないことであり、ユーザーには不快や不必要と思われる印刷パターンを見ることなしに処理することができる。
本発明のインクジェットプリントシステムで使用される該インクジェット被記録媒体の該印字制御情報が蛍光を発することが好ましい。この場合は、インクジェット被記録媒体の裏面に設けなければならない。通常、インクジェット被記録媒体のインク受理層には、蛍光増白剤が含まれているため、情報検出センサで検出することができなくなるので、インク受理層の反対面に設ける必要がある。該印字制御情報は、紫外線を照射すると蛍光を発生し、情報検出センサにより情報を得ることができる。蛍光を利用するメリットは、該印字付加情報として印刷されるパターンが目視で確認できないことであり、ユーザーには不快や不必要と思われる印刷パターンを見ることなしに処理することができる。
本発明のインクジェットプリントシステムで使用される該インクジェット被記録媒体の該印字制御情報として、情報表示形態はバーコードに限定されず、絵柄、文字、記号、写真、模様等にすることができる。なお、一般的なロゴ等の該印字制御情報では、情報量が少なく、より多くの情報量を組み込むには、コード情報を使用することが好ましい。コード情報としては、ドットコード、バーコード、二次元バーコード等を使用することができるが、特に限定するものではない。
本発明におけるインクジェット被記録媒体の支持体としては、セルロースパルプを主成分とするものが好ましい。セルロースパルプを主成分とする支持体とは、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプ等の木材パルプ、または、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプを主成分として、従来公知の顔料、接着剤、サイズ剤、定着剤、歩留向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤、調色染料などの各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造された原紙である。その原紙製造過程において、サイズプレス装置等で水溶性高分子類をサイズプレスすることは、なんら差し支えない。但し、サイズプレス液に表面サイズ剤は含有させない。表面サイズ剤を含有すると、原紙の両面に表面サイズ剤を付与することになり、高速プリンターによるインクの高速吸収性を損なうことになるからである。このような原紙に、そのままインク受理層を設けても良いし、平坦化をコントロールするために、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を用いてもかまわない。
本発明における支持体は、インクジェットプリンター装置の高速印字時における搬送性を考慮して、その厚さを100μm以上にするのが好ましい。この支持体にインク受理層及びその反対面に、印字制御情報を印刷することによって、インクジェット被記録媒体の厚さは120μm以上に成るようにするのが好ましい。あまり薄い場合は、インクジェットプリンター装置内での搬送性が悪くなる。上限は特にないが、500μmを超えると剛直性が強くなり、インクジェット記録装置の搬送性が著しく劣り、印字制御が難しくなり、好ましくない場合がありうる。
本発明のインクジェット被記録媒体としては、普通紙、インクジェット専用紙、光沢紙、光沢フィルム、ハガキ、バックプリントフィルム、OHP用シート等の一般に使用されている被記録媒体裏面にあらかじめ普通染料、普通顔料、近赤外染料、近赤外吸収剤で光学的に認識可能なコードイメージを記録することにより使用できる。
本発明においては、支持体の片面あるいは両面に、表面サイズ剤を付与しても良い。表面サイズ剤としては、その主成分がスチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル−ビニルホルマール−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体、オレフィン−マレイン酸系共重合体、アルキルケテンダイマー(AKD)系の表面サイズ剤などが挙げられる。好ましくはスチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタアクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体である。これらを単独で、或いは例えば酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂等の水溶性高分子類と混合して用いることもできる。
本発明において表面サイズ剤を含有する塗工液を塗布する装置には、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーターなどの各種装置を挙げることができる。
本発明において表面サイズ剤の塗工量は、表面サイズ剤の乾燥固形分として、0.05g/m2〜5.0g/m2の範囲である。好ましくは0.1g/m2〜0.3g/m2である。表面サイズ剤が上記範囲より少ないと、印字制御情報を印刷する際に、印刷速度によりパターンが悪化する可能性があり、また上記範囲より多いと、印字制御情報の印刷時、印刷インクの吸収性が遅くなり、裏うつり等の問題が生じる。
また、本発明の支持体は、通常100〜300g/m2の重量のものが用いられる。必要に応じて、支持体の片面、あるいは両面を樹脂で被覆しても良い。支持体を被覆するために用いられるポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、α−オレフィン類、例えばプロピレンなどの単独重合体、前記オレフィンの2種以上の共重合体、および、これらの各種重合体の2種以上の混合物などから選ぶことができる。特に、好ましいポリオレフィン樹脂は低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびこれらの混合物である。ポリオレフィン樹脂の分子量には特に制限はないが、通常20,000〜200,000の範囲のものが用いられる。各被覆層は一般には10〜40g/m2の重量で支持体上に形成される。
樹脂被覆層に用いられるポリオレフィン樹脂に白色顔料、有色顔料、蛍光増白剤、酸化防止剤を添加することはすでに知られている。すなわち、本発明においても、インク受理層に塗布される支持体表面側のポリオレフィン樹脂被覆層にこれらの添加剤を添加しても何等差し支えない。
本発明におけるインク受理層とは、顔料と接着剤を含有する多孔性の塗工層である。
本発明において、インク受理層に用いられる顔料としては、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料などを用いることができる。上述の顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性非晶質合成シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナなどが挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
本発明のインク受理層に用いられる接着剤としては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス;あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂ラテックス;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂ラテックス等が挙げられる。
さらに、染料系インクを併用するインクジェット記録方式に適用する場合には上記の他、カチオン性化合物を含有することが好ましい。また、これらに添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
本発明で使用されるカチオン性化合物とは水性染料インク中に含有される水溶性直接染料や水溶性酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と不溶な塩を形成する2級アミン、3級アミン或いは4級アンモニウム塩を含有するいわゆる染料定着剤である。カチオン性化合物は単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。また、支持体に隣接するインク受理層に適宜添加してもよい。
本発明において、支持体上に設けられるインク受理層の総数および、構成については特に限定されない。つまり、インク受理層を支持体の片面に2層以上設けることも可能である。
インク受理層の塗工量としては、インク受理層のインク吸収容量及び実用に耐えられる程度のインク受理層と支持体間の接着強度を基準に決定することが好ましく、乾燥塗工量が5〜40g/m2の範囲であることが好ましい。乾燥塗工量が5g/m2に満たないと、インク受理層が支持体表面を完全に覆うことが難しく、インクの吸収性が十分ではないため、吸収ムラ等が発生し、インクジェット印字性能に悪影響が生じる。また、乾燥塗工量が40g/m2を超えると、インク受理層と支持体間の接着強度が実用に耐えられないレベルとなり、粉落ちと呼ばれる支持体からの塗層の剥離等が発生し、好ましくない。
本発明においてインク受理層を形成する塗被組成物を塗工または含浸する装置には、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーターなどの各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで用いることができる。
本発明におけるインクジェット記録用シートの製造方法としては、支持体上にインク受理層を設けた後、表面処理をせずにそのままインクジェット記録用シートとして用いても良く、また後処理として、各種カレンダーにより表面粗さをコントロールしてもよい。前記カレンダーの具体例としては、エンボスカレンダー、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられるがこれらに限定はされず、カレンダーの選定はシートの表面構造に関わる素材により適宜行えばよい。
本発明においては、印字制御情報は、インク受理層の反対面の支持体上に設けることが好ましいが、インク受理層の透明性を制御して、情報検出センサで読み取れる範囲で、インク受理層の下の支持体に印字制御情報を印刷しても良い。また、印字制御情報は、インクジェット記録システム中の装置走行中で、インクジェット被記録媒体の表面が摩耗をすることがあり、情報検出センサで誤動作が起こる可能性あるため、支持体上に印刷制御情報を印刷した後、樹脂被覆層を設けると好ましい。本発明の印字制御情報の印刷は、公知の技術によって行うことができ、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、熱転写法、インクジェット法、シルクスクリーン印刷法、凸版印刷法、電子写真法、凹版印刷等を適用することができる。
本発明の印字制御情報の印刷インクに用いられる普通染料や普通顔料としては、周知の染料および顔料が使用できる。
また、近赤外染料および近赤外吸収剤としては、近赤外線(波長が約800nm〜2500nmの赤外線)すなわち可視部に近い領域の赤外線に選択吸収する機能を有するものであり、近年では光学式文字読み取り装置(OCR)、電子写真方式プリンターの感光部または光ディスク用皮膜に使用されている周知のものが使用できる。たとえば、アルミニウム塩としてNIR−AM1,NIR−AM3,NIR−AM4(ナガセケムテックス社製)、アルミニウム系化合物としてIRG−002、IRG−003、ジイモニウム系化合物としてIRG−022、IRG−023(日本化薬株式会社製)などを例示できる。
本発明は750〜1100nmの波長範囲の吸収する染料を使用する。好適な染料としては限定的ではないが、オキソノール、スクアリリウム、カルコゲノピリルアリーリデン、ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン、ビス(アミノアリール)ポリメチン、メロシアニン、3核シアニン、インデン架橋ポリメチン、オキシインドリジン、鉄錯体、キノイド、ニッケルジチオレン錯体、シアニン染料(カルボシアニン、アザカルボシアニン、ヘミシアニン、スチリル、ジアザカルボシアニン、トリアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ポリメチンシアニン、アザポリメチンシアニン、ホロポーラー、インドシアニン、およびジアザヘミシアニン染料)がある。近赤外染料の役割は、近赤外線電磁波を熱に変換することであり、この分野で公知のいかなる近赤外染料を用いてもよい。
本発明における印刷用のインクには、近赤外染料および近赤外吸収剤を含有されるが、情報検出センサの要求に応じた感度の染料、及び/または吸収剤を使用することができる。インクジェット被記録媒体の印刷濃度としては、前述のように、印刷制御情報が識別できる濃度があれば良いため、インク中の染料濃度は少量で良い。
本発明においては、裏面にパターンを目視で観察できるように、本発明印刷用のインクに、着色成分として、カーボンブラックなどの黒色顔料、酸化チタンなどの白色顔料、銅フタロシアニンなどの青色顔料などを、ユーザーの要求に応じた色相の得られる顔料、及び/または染料を使用することができる。インクジェット記録媒体の印刷画像濃度としては、印刷画像が判別できる濃度があれば良いため、インク中の顔料濃度は少量で良い。また、インク中に含有させる樹脂としては、一般的にはセルロース誘導体、シェラック樹脂などが用いられるが、この樹脂も、印刷濃度が低い場合は、顔料同様少量の添加でよい。
該インクジェット被記録媒体は枚用のシート状であっても良いが、コアにロール紙巻取にされている方が、搬送上、給紙の効率上も好ましい。該インクジェット記録装置において印字不能となる手段が、搬送駆動装置を停止することが好ましい。該インクジェット記録装置において印字不能となる手段が、搬送駆動装置がインクジェットノズルからの画像形成と連動させないことが好ましい。該インクジェット記録装置において印字不能となる手段が、インクの吐出を停止させることが好ましい。該インクジェット記録装置において印字不能となる手段が、インクの吐出量を変化させ、目的とする画像とは異なる画像を形成することが好ましい。
該インクジェット被記録媒体裏面のあらかじめ認識可能なイメージが可視光または近赤外光で認識できることがより好ましい。該インクジェット被記録媒体裏面のあらかじめ認識可能なイメージが蛍光を発するイメージであることが好ましい。裏面にあらかじめ認識可能な該イメージがコードイメージであることが好ましい。コードイメージよりも、ロゴ印刷の方が認識し易く良好であるが、コードイメージよりも情報量が少なくなる。特に、情報量が少ない場合は、ロゴ印刷を使用する方が有効であり、情報量が多い場合には、コードイメージを用いる方法が好ましい。インクジェット被記録媒体がロール紙巻取の場合には、正常に印字された被記録媒体を巻き取らずに任意の長さで裁断することはより好ましい態様である。
(実施例1〜6)
以下に本発明を具体的な実施例を事例にして詳細に説明する。
評価に供するインクジェット被記録媒体として、インクジェット被記録媒体Aは、塗工層のない普通紙タイプ(150g/m2、160μm)、インクジェット被記録媒体Bは、塗工層のあるインクジェット専用紙(160g/m2、165μm)、インクジェット被記録媒体Cは、樹脂被覆紙(220g/m2、225μm)であり、それぞれメーカー推奨の純正品の専用紙である。したがって、最適な印字画像を得られるメーカー推奨の純正品のインクジェット記録インクを使用する。インクジェット被記録媒体D、Eは、塗工層のあるインクジェット用紙であるが、メーカー推奨品でなく、インクジェット被記録媒体Bに類似した海賊版と称される模造品を市場から入手して使用する。これらは、既にインクジェットプリント専門店からインク溢れやバンディングが悪いため、ユーザークレイムとして返品された故障品である。以上の5種類のインクジェット被記録媒体を用いて、コア(76mmφ×幅150mm)に幅150mmで1000m巻き、ロール紙巻取を用意する。
各インクジェット被記録媒体A〜C、Eの裏面に、それぞれ、グラビア印刷機を用いて、下記インクを調整して、ロゴ印刷、およびコードイメージを印刷する。また、インクジェット被記録媒体Dには印刷制御情報を印刷せず、そのまま使用する。さらに、インクジェット被記録媒体A〜Cは、メーカー推奨の純正品のインクジェット記録インクを使用して、最適な印字画像が得られるように調整された印刷制御情報を印刷する。しかし、インクジェット被記録媒体Eには、純正品である固有コード情報を除いて、インクジェット被記録媒体Bと同じ印刷制御情報を印刷する。なお、インクジェット被記録媒体Cについては、表面に酸化チタン10重量%と低密度ポリエチレン90重量%を、紙支持体上に溶融押出コーティングし、さらに、紙支持体の裏面にグラビア印刷を施し、その後、高密度ポリエチレンを溶融押出コーティング法で樹脂被覆した。得られた樹脂被覆紙上に、非晶質シリカからなるインク受理層を設けインクジェット被記録媒体を作成する。
[ロゴ印刷用インク]
印刷制御情報を印刷するインクは、着色成分として、カーボンブラックなどの黒色顔料、酸化チタンなどの白色顔料、銅フタロシアニンなどの青色顔料などを、ユーザーの要求に応じた色相の得られるよう顔料、及び/または染料で調整する。また、インク中に含有させる樹脂としては、セルロース誘導体、シェラック樹脂などを用いて、インクジェット記録媒体の印刷画像濃度としては、情報検出センサが印刷画像を認識できるようにインク中の顔料濃度、樹脂濃度を調整する。
[コードイメージ印刷用インク]
上記、印刷インクで、顔料や染料等の着色成分を抜いた以外は、遠赤外線染料、または、蛍光増白剤と前記樹脂を混合してコードイメージ印刷用インクを調整する。
インクジェット被記録媒体Dは、印刷せずに印刷制御情報のないままインクジェット被記録媒体として使用し、また、印刷制御情報が印刷されたインクジェット被記録媒体A〜C、及びEはロール紙巻取として、それぞれカートリッジに収納する。インクジェット被記録媒体Aには、印刷制御情報としてロゴ印刷を施し、インクジェット被記録媒体Bは、遠赤外染料のコードイメージ印刷を施し、さらに、インクジェット被記録媒体Cには、蛍光増白剤のコードイメージ印刷を施す。なお、ロゴ印刷とコードイメージには、前記インクジェット被記録媒体A〜Cが、純正品として、印字画像が最適な状態にとインクジェット記録インクが最適にマッチングするための印刷制御情報が印刷される。さらに、インクジェット被記録媒体Eには、模造品であるが、純正品であるインクジェット被記録媒体Bと同じコードイメージを印字する。インクジェット被記録媒体Eは、前述の通り、印字画像に不具合のあるユーザークレームを受けた物であり、印刷制御情報としては、インクジェット被記録媒体としては、マッチング性に不具合があるが印刷されていることになる。
図1は、本発明一実施形態に係るプリントシステムの全体的な構成を示すブロック図である。印刷処理装置2には、画像処理装置1から送られてきた印字情報aと、情報検出センサ5から、インクジェット被記録媒体6の印刷制御情報cに基づき、搬送装置3およびインクジェット記録装置4を制御し、インクジェット被記録媒体6に画像イメージを印字する。