JP4330755B2 - タイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリーンタイヤを加硫成形するのに用いられるタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種加硫機には、図6〜図8に示しているように、ブラダー2を収納するバグウエル1を備え,該バグウエル1の上端開口外周部1aにブラダー2の開口端部2aを嵌着し、加硫金型3a,3b内に横倒し状態でセットされたグリーンタイヤG(図6(a)参照)をシェーピングする際に、前記バグウエル1内から出たブラダー2がグリーンタイヤG内面に下方側のビード部Bdから上方側のビード部Buに向けて順次当接し(図6(b)参照)、上下加硫金型3a,3bが閉じて(図7(a)参照)シェーピングが行われ、加硫が完了するとブラダー2が加硫後のタイヤT内から出てバグウエル1内に収納されると共に上加硫金型3aが開いて(図7(b)参照)、タイヤTがアンローダー(図示せず)により取り出されるように構成されたマッシュルームタイプのものがある。
【0003】
従来、乗用車用一般タイヤを成型するバグウエル1は、タイヤサイズ12インチ用のものが標準とされており、タイヤサイズが大きくなっても交換されることなく使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、各種タイヤサイズ毎に金型3及びブラダー2の交換が行われるが、上述のように、バグウエル1は交換されないので、タイヤサイズが大きくなると、図8に示しているように、バグウエル1上端の外周とビードリング4の径Dとの間隔が大きくなり、前記ブラダー2のシェーピング姿勢制御が困難となり、不良タイヤが発生するという問題がある。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、各種タイヤサイズに応じてブラダーのシェーピング姿勢を適正に制御しうるタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明に係るタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置は、ブラダーを収納するバグウエルの上端開口外周部にブラダー開口部が嵌着され、金型内にセットされたグリーンタイヤをシェーピングする際に、バグウエル内から出たブラダーが、グリーンタイヤの内面に下方側のビード部から上方側のビード部に向けて順次当接するようにしたタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置であって、前記バグウエルの上端部に、上側に外向き鍔状のブラダー基部押さえ部を備えた保持リングが着脱可能に装着されている点に特徴がある。
【0006】
この場合、前記保持リングは、標準タイヤサイズ以外のタイヤ成型時に交換使用され、予め各タイヤサイズに適応するものをそれぞれ製作し、準備しておき、加硫金型及びブラダー交換と同時に取り替え装着される。そして、タイヤシェーピング時には、前記ブラダーの基部をその上側から下加硫金型のビードリングに押しつけて保持しているので、ブラダー基部が安定し、その姿勢制御が非常に容易になる。従って、成形されるタイヤのブラダー姿勢制御に起因する不良品の発生を防止することができる。
【0007】
また、本発明に係るタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置は、前記保持リングが周方向に複数分割された分割体により構成されている点に特徴がある。
かかる構成によれば、ブラダー開口部内径を拡縮し難い場合や、ブラダー開口部内径に対して前記保持リングのブラダー基部押さえ部の外径がより大きい場合には、保持リングをブラダー開口部からその中に挿入した後、前記バグウエル上端開口に嵌着し、次いで前記ブラダーをバグウエルに装着することができる。
そして、本発明に係るタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置は、前記保持リングの分割体相互を連結部材を介して着脱可能に連結一体化されている構成とすることができる。前記分割体は、ブラダー内に挿入後に連結一体化される。
【0008】
この場合、前記連結部材は、前記バグウエル開口部に嵌脱自在に装着可能なリングとすることができ、また、保持リングの分割部分にだけあてがう連結板とすることができ、これらは複数のボルト・ビス等の締結具により連結一体化することができる。かかる構成によれば、前記保持リングを確実にバグウエルに嵌着することができ、ブラダー基部をより安定にかつ均等に保持することができる。
さらに、本発明に係るタイヤ加硫機の姿勢保持装置は、前記ブラダー基部押さえ部に加硫媒体流通孔が設けられている点に特徴がある。この場合、前記バグウエル基部の内面と保持リングの前記押さえ部下面との間にも、加硫媒体を十分に流通させ、タイヤシェーピングを均等にかつ精度良く行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明に係るタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置10の第一実施形態を示している。
このブラダー姿勢保持装置10は、従来のタイヤ加硫機におけるバグウエル1に着脱自在に嵌着されるもので、タイヤ加硫機そのものは図6及び図7に示すものと全く同一であるから、同符号を付し図6及び図7を参照して説明する。
【0010】
図1,図2に示すように、前記ブラダー姿勢保持装置10は、保持リング11と、該リング11に外嵌されかつ前記バグウエル1の上端開口に嵌脱自在に嵌合されるリング状連結部材12と、該連結部材12と前記リング11を着脱可能に締結するビス13とにより構成されている。
前記保持リング11は、図2に示すように、二つ割り(周方向に二分割)されており、かつリング分割体11a,11bのそれぞれの筒状部上側に、前記バグウエル1の上端開口部端縁1bに当接される外向き鍔状のブラダー基部押さえ部14を備え、該押さえ部14には保持リング11の軸線と平行な加硫媒体流通孔15がそれぞれ複数設けられている。
【0011】
また、前記リング分割体11a,11bの筒状部には、径方向に貫通するビス13の挿通孔16がそれぞれ複数設けられている。そして、連結部材14には、前記ビス13のねじ孔17が前記分割体11a,11bの前記挿通孔16に対応して設けられている。
前記ブラダー基部押さえ部14の外径dは、各タイヤサイズ用の加硫金型3a,3bのビードリング4の外径Dに対応して適正に決定される。すなわち、前記押さえ部14の外径dが、ビードリング4の外径Dよりも若干小さく、グリーンタイヤGのシェーピング時に、グリーンタイヤGのビード部Bdをも十分にかつ確実に、しかも精度良く成形できる大きさとされている。
【0012】
また、前記加硫媒体流通孔15の数は、任意に選択できるが、場合によってはこれを省略することができる。
そして、この実施形態では、前記保持リング11は、最小径の標準以外のタイヤサイズの加硫成形に使用されるが、最小径を除く各種タイヤサイズ毎にブラダー基部押さえ部14の外径dが異なるリング分割体11a,11bをそれぞれ準備し、前記連結部材12は1つを流用することができる。なお、前記連結部材12は、リング分割体11a,11bの筒状部内面側に固着することができる。
【0013】
上記第一実施形態によれば、前記バグウエル1に保持リング11を嵌着する場合、まずタイヤサイズに対応したブラダー2及びリング分割体11a,11bをそれぞれ準備し、リング分割体11a,11bをブラダー2内に入れ、ブラダー開口端部2aからリング分割体11a,11bの筒状部即ち前記連結部材12を外嵌する部分をブラダー2の開口から突出させた状態で上向きにした後、前記リング分割体11a,11bの筒状部に前記連結部材12を外嵌して、リング分割体11a,11bを連結部材12にビス13により連結一体化する。
【0014】
このようにして、ブラダー2内で組み立てられた保持リング11は、前記バグウエル1の上端開口外周部1aにブラダー開口端部2aを嵌合させた後、ブラダー2内で前記連結部材12をバグウエル1の上端開口に嵌合させることにより装着され、前記押さえ部14がブラダー基部を下加硫金型3bのビードリング4の上面に押しつけて保持する。
従って、ブラダー2の基部は、図3に示しているように、グリーンタイヤGのシェーピング作業時に、バグウエル1の上端開口部とグリーンタイヤGのビード部Bdとの間に、相当の間隔が開いていても、前記ブラダー押さえ部14により押さえられて安定よく保持され、ブラダー2が加硫媒体によりグリーンタイヤG内に良好な姿勢で適正に挿入され、均等にかつ精度良くシェーピングが行われる。そのため、シェービング不良タイヤの発生を防止することができる。
【0015】
図4は、本発明に係るタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置10の第二実施形態を示し、第一実施形態と異なるところは、前記連結部材12が湾曲板状とされ、リング分割体11a,11bの筒状部内面に、両分割体11a,11bに跨るように当ててビス13により締結し一体化した点であり、第一実施形態と同等の作用効果を期待することができる。従って、第一実施形態と共通する構成部分には、図1〜図3と同符号を付し、詳細説明を省略する。
図5は、本発明に係るタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置10の第三実施形態を示している。
【0016】
この第三実施形態の第二実施形態と異なるところは、前記連結部材12が、平板状とされ、リング分割体11a,11bの前記ブラダー押さえ部14上面に、両リング分割体11a,11bに跨るように当ててビス13により締結一体化した点であり、第二実施形態とほぼ同等の作用効果を奏する。従って、第二実施形態と共通する構成部分については、図4と同符号を付し詳細説明は省略する。
なお、上記各実施形態において、連結部材12を締結するビス13の数、加硫媒体流通孔15の数は、適宜増減することができる。
【0017】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記保持リング11は、三又は四分割とすることができ、また、分割しない一体ものとすることができ、さらに、バグウエル1の上端開口部に前記保持リング11又はリング分割体11a,11bの筒状部を嵌合させうる環状溝を設けて前記連結部材12を不要としうる構成を採用するなど、適宜設計変更が可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るブラダー姿勢保持装置は、ブラダーを収納するバグウエルの上端開口外周部にブラダー開口部が嵌着され、金型内にセットされたグリーンタイヤをシェーピングする際に、バグウエル内から出たブラダーが、グリーンタイヤの内面に下方側のビード部から上方側のビード部に向けて順次当接するようにしたタイヤ加硫機において、前記バグウエルの上端部に、上側に外向き鍔状のブラダー基部押さえ部を備えた保持リングが着脱可能に装着されているので、前記保持リングを各タイヤサイズ毎に準備しておき、適宜交換使用することで、各種タイヤサイズに応じてブラダーのシェーピング姿勢を適正に制御し、成形不良タイヤの発生を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施形態を示す中央縦断正面図である。
【図2】 同実施形態における保持リングの平面図である。
【図3】 同実施形態における作用説明用の中央縦断正面図である。
【図4】 本発明の第二実施形態の要部である保持リングを示す中央縦断面図である。
【図5】 本発明の第三実施形態の要部である保持リングを示す平面図である。
【図6】 (a),(b)はタイヤ加硫機の作動説明図である。
【図7】 (a),(b)はタイヤ加硫機の作動説明図である。
【図8】 従来のタイヤシェービング時におけるブラダー姿勢の説明用中央縦断面図である。
【符号の説明】
1 バグウエル
1a 上端開口外周部
2 ブラダー
2a ブラダー開口端部
3a 上加硫金型
3b 下加硫金型
10 ブラダー姿勢保持装置
11 保持リング
11a リング分割体
11b リング分割体
12 連結部材
14 ブラダー基部押さえ部
15 加硫媒体流通孔
G グリーンタイヤ
Bd 下ビード部
Bu 上ビード部
Claims (4)
- ブラダーを収納するバグウエルの上端開口外周部にブラダー開口部が嵌着され、金型内にセットされたグリーンタイヤをシェーピングする際に、バグウエル内から出たブラダーが、グリーンタイヤの内面に下方側のビード部から上方側のビード部に向けて順次当接するようにしたタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置であって、
前記バグウエルの上端部に、上側に外向き鍔状のブラダー基部押さえ部を備えた保持リングが着脱可能に装着されている
ことを特徴とするタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置。 - 前記保持リングが周方向に複数分割された分割体により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置。 - 前記保持リングの分割体相互が連結部材を介して着脱可能に連結一体化されている
ことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ加硫機の姿勢保持装置。 - 前記ブラダー基部押さえ部に加硫媒体流通孔が設けられている
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のタイヤ加硫機のブラダー姿勢保持装置。
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