JP4330532B2 - 単鎖抗体およびその利用 - Google Patents

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Description

本出願は、参照によりここに援用されるところの、日本特許出願番号2002−210067からの優先権を請求する。
本発明は抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有する単鎖抗体、及び該抗体のリンカー部分に標識化物質を有することを特徴とする標識化単鎖抗体、並びにそれらの利用方法等に関する。
単鎖抗体は、完全IgGに比較して抗原結合領域のみからなる小さなサイズであるため、細胞に対する非特異的結合が軽減できる点が特徴である。単鎖抗体を抗原抗体反応の解析に用いる場合、免疫反応を追跡する目的で抗体に種々の標識をする方法が開発されいる(Cloutier,S.M.et al.,Mol.Immunol.,37,1067−1077(2000))。抗体を標識する方法としては、抗体のC末またはN末にビオチン等をビオチンリガーゼにより結合する方法(Cloutier,S.M.,et al.,Mol.Immunol.,37,1067−1077(2000))などが提案されているが、該標識により、抗体の抗原との結合活性を低下させる点などが問題であった。
また近年、細胞表面に存在する特異抗原を迅速にかつ多量に検出することなどを目的として、このような抗体をチップやビーズなどに固相化する技術の開発も目覚ましい(Mitchell,P.,Nature Biotechnology,20,225−229(2002))。具体的には、マイクロスポッティング法、マイクロプリンティング法、化学修飾法等が用いられているが、これらはいずれも抗体の抗原への結合活性の低下、高密度化の困難性などの点で問題があった。
一方、タンパク質の固相化基盤に共有結合するストレプトアビジン/ビオチンなどの特異的結合性を有する物質をリンカーとして結合させる方法も提案されている。しかし、該方法においても抗体をその抗原との結合性を保持させて固相化した例はない。
本発明は、抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造の単鎖抗体が抗原との結合活性を保持した抗体であり、さらに該抗体を標識化した標識化単鎖抗体並びにそれらを利用する方法を提供することを目的とする。また、抗体の抗原との結合性を保持したまま該抗体を固相化する方法、および該方法に用いるための標識化単鎖抗体並びに該標識化単鎖抗体を用いた抗原抗体反応の解析方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、抗体の重鎖と軽鎖がリンカーを介して結合している単鎖抗体のリンカー部分にビオチンを結合させ、ストレプトアビジンを表面にコートした基盤に該単鎖抗体を接触させ、該抗体を基盤に結合した。このようにして製造した固相化単鎖抗体に抗原を接触させたところ、該抗体の抗原との結合性が非常に高く保持されていることを見出した。本発明はこられの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明は、
1.抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有することを特徴とする単鎖抗体又は該単鎖抗体のリンカー部分に標識化物質を担持することを特徴とする標識化単鎖抗体。
2.抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有する単鎖抗体又は該単鎖抗体のリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該抗体の重鎖および軽鎖が可変領域であることを特徴とする単鎖抗体又は標識化単鎖抗体。
3.抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
4.抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
5.抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
6.抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
7.抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
8.抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
9.天然型の抗体と同等のKd値を有し、コムギ胚芽を使った無細胞タンパク質翻訳系によって製造された前項1〜8の何れか一に記載の単鎖抗体又は標識化単鎖抗体。
10.特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、リンカーをコードするDNAを介して連結されていることを特徴とするDNA。
11.特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、リンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該抗体の重鎖および軽鎖が可変領域であることを特徴とするDNA。
12.特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、リンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該リンカーをコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むことを特徴とするDNA。
13.特定抗原への結合性を有する抗体の可変領域である重鎖および軽鎖をコードするDNAが、リンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該リンカーをコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むことを特徴とするDNA。
14.特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該標識物質を結合し得る塩基配列が、ビオチンリガーゼにより認識されるアミノ酸配列をコードすることを特徴とするDNA。
15.特定抗原への結合性を有する抗体の可変領域である重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該標識物質を結合し得る塩基配列が、ビオチンリガーゼにより認識されるアミノ酸配列をコードすることを特徴とするDNA。
16.前項10〜15のいずれかに記載のDNAを、標識化物質および特定の酵素の存在下でタンパク質合成系を用いて転写翻訳することを特徴とする標識化単鎖抗体の製造方法。
17.前項10又は11のいずれかに記載のDNAをタンパク質合成系を用いて転写翻訳することを特徴とする単鎖抗体又は標識化単鎖抗体の製造方法。
18.タンパク質合成系が、コムギ胚芽由来の無細胞タンパク質翻訳系であって、その翻訳反応液中の還元剤の濃度が、製造する単鎖抗体のジスルフィド結合が保持され、かつ無細胞タンパク質合成が可能な濃度であることを特徴とする前項16または17に記載の単鎖抗体又は標識化単鎖抗体の製造方法。
19.さらにジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素の存在下で行うことを特徴とする前項18に記載の単鎖抗体又は標識化単鎖抗体の製造方法。
20.コムギ胚芽由来の無細胞タンパク質翻訳系を使い前項19に記載の単鎖抗体又は標識化単鎖抗体の製造方法によって製造された天然型の抗体と同等のKd値を有する単鎖抗体又は標識化単鎖抗体。
21.抗体の標識化物質と特異的に結合する物質を表面に有する複数の領域に区画された基盤に、以下のいずれか1に記載の抗体を接触させることを特徴とする固相化単鎖抗体の製造方法。
1)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持することを特徴とする標識化単鎖抗体。
2)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該抗体の重鎖および軽鎖が可変領域であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
3)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
4)抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
5)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
6)抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
7)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
8)抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
22.前項21に記載の固相化単鎖抗体の製造方法において、複数の領域に区画された基盤上で2種以上の異なる固相化単鎖抗体を固相化することを特徴とする固相化単鎖抗体の製造方法。
23.標識化物質がビオチンであり、該標識化物質と特異的に結合する物質がストレプトアビジンであることを特徴とする前項21または22に記載の製造方法。
24.前項21〜23に記載の製造方法により調製される固相化単鎖抗体。
25.前項24に記載の固相化単鎖抗体に被検物質を接触させ、該固相化単鎖抗体との結合性を解析することを特徴とする抗原抗体反応の解析方法。
26.以下の工程を含む、抗原抗体反応の解析方法。
(1)以下の要素の▲1▼又は▲2▼を含む、単鎖抗体のジスルフィド結合が保持される条件下において、標識化単鎖抗体を調製する工程、
▲1▼特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAを、特定の酵素の存在下でコムギ無細胞系タンパク質合成系を用いて転写翻訳し、標識化単鎖抗体を製造する工程、
▲2▼特定抗原への結合性を有する抗体の可変領域である重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAを、特定の酵素の存在下でコムギ無細胞系タンパク質合成系を用いて転写翻訳し、標識化単鎖抗体を製造する工程、
(2)以下の要素を含む、標識化単鎖抗体の標識化物質が固相化物質である場合における標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を調製する工程、
▲1▼複数の領域に区画された基盤に標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を固定する工程、
▲2▼前記▲1▼の基盤に固定されなかった標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を除去する工程、
▲3▼前記▲1▼又は▲2▼の工程の前後において、適宜基盤における非特異的吸着を除去する工程、
(3)以下の要素を含む、標識化単鎖抗体の標識化物質が固相化物質である場合における固相化標識化単鎖抗体を調製する工程、
▲1▼前記(1)▲1▼又は▲2▼で調製した標識化単鎖抗体の標識化物質を(2)の標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を表面に有する複数の領域に区画された基盤に必要量を添加、接触させる工程、
▲2▼前記▲1▼の基盤上の標識化単鎖抗体と特異的に結合する物質(アダプター物質)に固定されなかった標識化単鎖抗体を除去する工程、
▲3▼前期▲2▼の工程に続いて、適宜基盤における非特異的吸着を除去する工程、
(4)以下の要素を含む、標識化物質がシグナル物質である場合における標識化単鎖抗体を調製する工程、
▲1▼適宜、複数の領域に区画された基盤における非特異的吸着を除去する工程、
▲2▼前記(1)▲1▼又は▲2▼で調製した標識化単鎖抗体の標識化物質を基盤に必要量を添加させる工程、
(5)被検物質を前記(3)又は(4)に記載の各基盤に必要量添加し、標識化単鎖抗体と該被検物質との結合性を解析する工程、
(6)(5)の結合性結果をもとに、標識化単鎖抗体と被検物質との相互作用を質的又は量的に判定する工程。
27.前項25又は26に記載の解析方法に使用される試薬を含む抗原抗体反応の測定用試薬キット。
を提供するものである。
図1は、本発明の単鎖抗体の翻訳鋳型の構造を示す図である。
図2は、ビオチンリガーゼによる単鎖抗体へのビオチンの結合度を示す電気泳動写真である。
図3は、本発明の標識化単鎖抗体の抗原への特異的結合度を示す図である。
図4は、本発明の標識化単鎖抗体と抗原との会合解離曲線を示す図である。
図5は、リンカー部分以外にビオチンを結合させた単鎖抗体と抗原との結合度を示す図である。
図6は、ポリヒスチジンペプチドをリンカー部分に有する単鎖抗体のニッケルカラムへの結合度を示す図である。
(1)単鎖抗体及び標識化単鎖抗体
本発明に用いられる単鎖抗体は、抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して結合しており、かつ該抗体が特異的な結合親和性を有する抗原と結合する活性を有するものであれば如何なるものであってもよい。好ましくは、抗体の重鎖が単鎖抗体分子のN末端に位置するものが用いられる。抗体は、特定の抗原を認識して結合する活性を有するモノクローナル抗体が好ましい。また、抗体の重鎖および軽鎖は、その全長を含む必要はなく、抗原を認識して特異的な親和結合性を有するに充分な部位であればよい。具体的には可変領域が好ましく用いられる。
リンカーは、抗体の重鎖および軽鎖が該リンカーを介して架橋するに十分な長さであり、さらに標識化物質を有するための構造を有するものであれば特に制限はない。一般的には10〜30アミノ酸からなるポリペプチドが好ましく用いられる。具体的な構造については、後述する標識化物質に応じて適宜選択することができる。
標識化物質としては、本発明の単鎖抗体を標識する目的で用いられるもの(以下、これを「シグナル物質」と称することがある)と、本発明の単鎖抗体を固相化する目的で用いられるもの(以下、これを「固相化物質」と称することがある)が好ましい。具体的には、シグナル物質としては、アミノ酸に結合し得る蛍光色素、例えばフルオレセイン系列、ローダミン系列、エオシン系列、NBD系列などや、光増感剤、例えば、メチレンブルーやローズベンガルなどや、あるいは、核磁気共鳴スペクトル(NMR)において特異的シグナルを与える物質、例えばフッ素やリン原子を含むアミノ酸などが挙げられる。また、固相化物質としては、固相表面上に結合させた特定の物質(以下、これを「アダプター物質」と称することがある)と結合する物質であれば如何なるものであってもよい。固相化物質とアダプター物質の組み合わせとしては、例えば、ビオチン/アビジンおよびストレプトアビジンなどのビオチン結合タンパク質、マルトース/マルトース結合タンパク質、グアニンヌクレオチド/Gタンパク質、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオール等の各種受容体タンパク質/そのリガンド等が挙げられる。これらは、いずれが固相化物質でもアダプター物質でもよい。これらの中で、固相化物質がビオチンでアダプター物質がストレプトアビジン、または固相化物質がポリヒスチジンペプチドでアダプター物質がニッケル等が好ましく用いられる。
標識化物質は、そのリンカー部分への結合方法において特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質を用いることもできる。このような物質としては、例えば、ビオチン等が挙げられる。標識物質としてビオチンを用いる場合、特定の酵素としてビオチンリガーゼが挙げられ、リンカーはビオチンリガーゼにより認識されるアミノ酸配列を有するもの等が挙げられる。
また、標識化物質は、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれている物質であってもよく、その具体例としては、ポリヒスチジンペプチドが挙げられる。この場合には、リンカーにはポリヒスチジンペプチドを含むものが用いられる。
標識化物質のリンカー部分への結合、または組み込みは、用いるシグナル物質あるいは固相化物質とアダプター物質との性質に応じて、それ自体既知の方法により行うことができる。
(2)単鎖抗体及び標識化単鎖抗体の製造方法
本発明の単鎖抗体及び標識化単鎖抗体は、例えば以下の方法により製造される。まず(i)目的のタンパク質またはその一部を抗原として認識するモノクローナル抗体を製造し、(ii)該モノクローナル抗体をコードするDNAを取得する。さらにその重鎖および軽鎖をコードする配列を特定し、リンカーをコードする塩基配列を挟んで連結する(以下、このDNA断片を「単鎖抗体ユニット」と称することがある)。(iii)製造した単鎖抗体ユニットがコードするタンパク質をその構造が正しく保持される適当な方法で合成する。合成の際、あるいは合成後、標識化物質をリンカー部分に結合する場合には、これを結合させる。これらの詳細な方法について以下に説明する。
(i)モノクローナル抗体の製造
本発明の単鎖抗体の抗原は特に制限はなく、免疫原性を有するものであれば如何なるものであってもよい。具体的には、例えば、サルモネラ糖鎖等が挙げられる。これらの抗原を特異的に認識するモノクローナル抗体の調製方法としては、通常用いられる公知の方法を用いることができ、抗原として用いられるポリペプチドについても、公知の方法に従って抗原性が高くエピトープ(抗原決定基)として適した配列を選択して用いることができる。エピトープの選択方法としては、例えばEpitope Adviser(富士通九州システムエンジニアリング社製)等の市販のソフトウェアを用いることができる。
上記の抗原として用いるポリペプチドは、公知の方法に従って合成した合成ペプチドを用いることが好ましい。抗原となるポリペプチドは、公知の方法に従って適当な溶液等に調製して、哺乳動物、例えばウサギやマウス等に免疫を行えばよいが、安定的な免疫を行ったり抗体価を高めるために抗原ペプチドを適当なキャリアタンパク質とのコンジュゲートにして用いたり、アジュバント等を加えて免疫を行うのが好ましい。
免疫に際しての抗原の投与経路は特に限定されず、例えば皮下、腹腔内、静脈内、あるいは筋肉内等のいずれの経路を用いてもよい。具体的には、例えばBALB/cマウスに抗原ポリペプチドを数日〜数週間おきに数回接種する方法等が用いられる。また、抗原の摂取量としては、抗原がポリペプチドの場合0.3〜0.5mg/1回が好ましいが、ポリペプチドの種類、また免疫する動物種によっては適宜調節される。
免疫後、適宜試験的に採血を行って固相酵素免疫検定法(以下、これを「ELISA法」と称することがある)やウエスタンブロッティング等の方法で抗体価の上昇を確認し、十分に抗体価の上昇した動物から採血を行う。これに抗体の調製に用いられる適当な処理を行えばポリクローナル抗体を得ることができる。具体的には、例えば、公知の方法に従い血清から抗体成分を精製した精製抗体を取得する方法等が挙げられる。また、該動物の脾臓細胞とミエローマ細胞とを用いて公知の方法に従って融合させたハイブリドーマを用いる(Milstein,et al.,Nature,256,495(1975))ことによりモノクローナル抗体を製造することもできる。モノクローナル抗体は、例えば以下の方法により取得することができる。
まず、上記した抗原の免疫により抗体価の高まった動物から抗体産生細胞を取得する。抗体産生細胞は、形質細胞、及びその前駆細胞であるリンパ球であり、これは個体の何れから取得してもよいが、好ましくは脾臓、リンパ節、末梢血等から取得する。これらの細胞と融合させるミエローマとしては、一般的にはマウスから得られた株化細胞、例えば8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来等)ミエローマ細胞株であるP3X63−Ag8.653(ATCC:CRL−1580)、P3−NS1/1Ag4.1(理研セルバンク:RCB0095)等が好ましく用いられる。細胞の融合は、抗体産生細胞とミエローマ細胞を適当な割合で混合し、適当な細胞融合培地、例えばRPMI1640やイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、あるいはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)等に、50%ポリエチレングリコール(PEG)を溶解したもの等を用いることにより行うことができる。また電気融合法(U.Zimmermann.et al.,Naturwissenschaften,68,577(1981))によっても行うことができる。
ハイブリドーマは、用いたミエローマ細胞株が8−アザグアニン耐性株であることを利用して適量のヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)液を含む正常培地(HAT培地)中で5%CO、37℃で適当時間培養することにより選択することができる。この選択方法は用いるミエローマ細胞株によって適宜選択して用いることができる。選択されたハイブリドーマが産生する抗体の抗体価を上記した方法により解析し、抗体価の高い抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等により分離し、分離した融合細胞を適当な培地で培養して得られる培養上清から硫安分画、アフィニティクロマトググラフィー等の適当な方法により精製してモノクローナル抗体を得ることができる。また精製には市販のモノクローナル抗体精製キットを用いることもできる。さらには、免疫した動物と同系統の動物、またはヌードマウス等の腹腔内で上記で得られた抗体産生ハイブリドーマを増殖させることにより、本発明のモノクローナル抗体を大量に含む腹水を得ることもできる。
(ii)モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAの取得および単鎖抗体ユニットの作製
上記(i)で取得したモノクローナル抗体の重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)をコードするDNAを取得する方法として、具体的には、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマより得られる免疫グロブリンのH鎖、及びL鎖の一部、好ましくは可変領域(V領域)が有するアミノ酸配列の一部のアミノ酸配列を解析し、そのアミノ酸配列を基にこれをコードする遺伝子をクローニングする方法等が挙げられる。ここで、モノクローナル抗体のH鎖およびL鎖の可変領域とは、フレームワーク領域(FR)と超可変領域(CDR)よりなるものが好ましい。
かくして得られるH鎖およびL鎖の可変領域をコードするDNAとしては、例えば、サルモネラ菌のO−抗原を認識する単鎖抗体のものとして、Anand,N.N.,et al.,J.Biol.Chem.,266,21874−21879(1991)に記載の配列からなるDNA等が挙げられる。
かくして得られるH鎖およびL鎖の可変領域をコードするDNAの間にリンカーをコードするDNAを挟んで両DNA断片を適当な方法で結合し、単鎖抗体ユニットを作製する。ここで、単鎖抗体ユニットは、単独でDNA断片として取得する必要はなく、後述する発現用ベクター等への挿入と同時に構築してもよい。リンカーをコードするDNAとしては、(1)に記載したリンカーをコードするDNAであれば何れのものでもよい。具体的に、例えば、ビオチンリガーゼにより認識されるアミノ酸配列(Peter J.Schatz(1993)Biotechnology,11(1138−1143)を含むリンカーをコードするDNAが好ましく、配列番号1に示すもの等が挙げられる。また、標識化物質がリンカー部分の一部として組み込まれている例としては、ポリヒスチジンペプチドをコードする塩基配列を含むもの等が挙げられる。
リンカーをコードするDNAは通常用いられる方法を用いて作製することができるが、化学合成によって作製することが好ましい。
(iii)単鎖抗体の製造
かくして得られる単鎖抗体ユニットは、これを適当なプロモーターの制御下になるように連結し、宿主に導入するか、あるいは適当な方法で転写した後に無細胞タンパク質翻訳系を用いて、製造する単鎖抗体のジスルフィド結合が保持される条件で発現させることにより単鎖抗体を製造することができる。ここで、抗原との結合性の低い抗体は、それ自体既知の進化工学的手法を用いることによりさらに結合性の高い抗体として取得することもできる。
適当なプロモーターとは、用いる宿主、または転写に用いるRNA合成酵素により適宜選択することができる。具体的には、転写にSP6 RNA合成酵素を用いる場合には、SP6プロモーターを用いることが好ましい。また、無細胞タンパク質翻訳系では、プロモーターと単鎖抗体ユニットとの間に、翻訳活性を増強する塩基配列を挿入することが好ましい。翻訳活性を増強させる塩基配列として具体的には、真核生物においては、5’キャップ構造(Shatkin,Cell,9,645−(1976))、コザック配列(Kizak,Nucleic Acid.Res.,12,857−(1984))等があり、また原核生物においてはシャインダルガーノ配列等が知られている。更にはRNAウィルスの5’−非翻訳リーダー配列にも翻訳促進活性があることが見出されており(特許第2814433号公報)、これらの配列を用いてタンパク質合成を効率よく行う方法が開発されている(特開平10−146197号公報)。また、ランダム配列についてそのポリソーム形成への影響を指標として翻訳エンハンス配列を選択する方法によって得られた配列も挙げられる(特願2001−396941明細書)。かくして製造されるDNAを以下、翻訳鋳型と称することがある。
翻訳鋳型の具体例としては、サルモネラ菌のO−抗原を認識するのものとして、例えば図1に示す構造を有するものが挙げられる。
翻訳鋳型を導入する宿主としては、通常タンパク質の合成に用いられるものであって、単鎖抗体が有するジスルフィド結合が保持され得るコムギ胚芽由来の無細胞タンパク質合成系を用いる。これは、他の無細胞タンパク質合成系で製造した抗体では、抗原を認識するための立体構造を十分に保持できないために、低いKd値しか示していない(ALEXANDER ZDANOV.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,Vol 91,pp.6423−6427(1994)、C.Roger Mackenzie.,et al.,THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY.,Vol 271,pp.1527−1533(1998))。本発明に用いられるコムギ胚芽由来細胞抽出液として具体的には、市販のものであるであるPROTEIOSTM(TOYOBO社製)等が挙げられる。
また、分子内ジスルフィド結合を保持され、かつタンパク質が合成される反応液は、上記のコムギ胚芽由来無細胞翻訳系を行う反応液(以下、これを「弱還元型翻訳反応液」と称することがある)のタンパク質合成に必要な成分のうち、還元剤の濃度を調製することにより作製することができる。具体的な還元剤とその濃度としては、ジチオスレイトール(以下これを「DTT」と称することがある)を最終濃度20〜70μM、好ましくは30〜50μM、2−メルカプトエタノールを最終濃度0.1〜0.2mM、グルタチオン/酸化型グルタチオンの濃度が30〜50μM/1〜5μMの範囲等が挙げられる。
このような翻訳反応液中の還元剤濃度は、上記したものに限定されるものではなく、合成しようとするタンパク質により適宜変更することができる。還元剤の至適濃度範囲の選択法としては、特に制限はないが、例えば、ジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素の効果によって判断する方法を挙げることができる。具体的には、還元剤の濃度を様々にふった翻訳反応液を調製し、これらにジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素を添加して分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質合成を行う。また、対照実験として同様の翻訳反応液にジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素を添加しないで同様のタンパク質合成を行う。ここで合成されるタンパク質の可溶化成分を、例えば遠心分離等の方法により分離する。この可溶化成分が全体の50%(可溶化率50%)以上であり、またその可溶化成分がジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素の添加により増加した反応液が、該タンパク質の分子内ジスルフィド結合を保持したまま合成する反応液として適していると判断することができる。さらには、上記のジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素の効果によって選択された還元剤の濃度範囲のうち、合成されるタンパク質量の最も多い還元剤の濃度をさらに好ましい濃度範囲として選択することができる。
このような還元剤濃度を有する反応液の調整方法としては、還元剤を含まないコムギ胚芽由来無細胞タンパク質合成用細胞抽出液を調製し、これにコムギ胚芽由来無細胞タンパク質翻訳系に必要な成分とともに、上記の濃度範囲となるように還元剤を添加する方法や、コムギ胚芽由来無細胞タンパク質合成用細胞抽出液から上記の濃度範囲となるように還元剤を除去する方法等が用いられる。コムギ胚芽由来無細胞タンパク質合成用細胞抽出液はこれを抽出する際に高度の還元条件を必要とするため、抽出後にこの溶液から還元剤を取り除く方法がより簡便である。細胞抽出液から還元剤を取り除く方法としては、ゲルろ過用担体を用いる方法等が挙げられる。具体的には、例えば、セファデックスG−25カラムを予め還元剤を含まない適当な緩衝液で平衡化してから、これに細胞抽出液を通す方法等が挙げられる。
さらにこの細胞抽出液を凍結乾燥することにより凍結乾燥製剤とした後に、これに適当な緩衝液を添加して用いることもできる。凍結乾燥する場合、潮解性の物質の総濃度が60mM以下にして行うことが好ましい。また、該細胞抽出液に上記の翻訳鋳型を添加してから凍結乾燥することもできる。
また、上記凍結乾燥製剤における、潮解性を示す物質(潮解性物質)は、凍結乾燥状態での保存安定性を低下させない含有量は、当該凍結乾燥製剤中に含有されるタンパク質1重量部に対して、0.01重量部以下が好ましく、特に0.005重量部以下が好ましい。なお、ここでいうタンパク質重量は、吸光度(260,280,320nm)を測定することにより算出されるものである。
以上のように還元剤濃度を調整された細胞抽出液を以下弱還元型翻訳反応液ということがある。
また、弱還元型翻訳反応液にさらにジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素を添加して翻訳反応を行えば、分子内のジスルフィド結合が保持されたタンパク質を高効率で合成することができる。ジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素としては、例えばタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ等が挙げられる。これらの酵素のコムギ胚芽由来無細胞翻訳系への添加量は、酵素の種類によって適宜選択することができる。具体的には、コムギ胚芽から抽出した無細胞タンパク質合成用細胞抽出液であって、還元剤としてDTTを20〜70、好ましくは30〜50μM含有する翻訳反応液にタンパク質ジスルフィドイソメラーゼを添加する場合、最終濃度で0.01〜10μMの範囲、好ましくは0.5μMとなるように添加する。また、添加の時期はジスルフィド結合が形成される効率から無細胞翻訳反応開始前に添加しておくことが好ましい。
また、コムギ以外の植物種子由来の無細胞タンパク質翻訳系としては、オオムギ、イネ、コーン等のイネ科植物のものも挙げられる。しかし、このような無細胞タンパク質翻訳系うち、特にコムギ胚芽抽出液を用いることが好ましく、この細胞抽出液を用いる場合を例として、単鎖抗体の製造方法を詳細に説明する。
コムギ胚芽の選別法としては、例えばJohnston,F.B.et al.,Nature,179,160−161(1957)を用いることができ、また胚芽からの細胞抽出液の作製方法としては、Erickson,A.H.et al.,Meth.In Enzymol.,96,38−50(1996)等に記載の方法を用いることができる。
本発明で好適に利用される調製方法により、コムギ胚芽抽出液を回収し、ゲルろ過等により精製することによりコムギ胚芽抽出液を得ることができる。ゲルろ過としては、例えばセファデックスG−25カラム等のゲルろ過装置を用いて行うことができる。ゲルろ過溶液中の各成分の組成・濃度はそれ自体既知であり、無細胞タンパク合成用のコムギ胚芽抽出液の製造法に用いられるものを採用すればよい。ここで、セファデックスG−25カラムを平衡化するための溶液として、還元剤を含まないもの、具体的には、例えば、HEPES−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、又はL型アミノ酸を含むものを用いることによれば、抽出液中に含まれていた還元剤のうちの約97%が吸収される。具体的には、コムギ胚芽から還元剤としてDTTを1mM含む抽出液を用いて抽出を行った場合、最終的に約30μMのDTTを含むコムギ胚芽抽出液を取得することができる。ただし、還元剤濃度を低下させたコムギ胚芽抽出液は凍結保存によりその活性が著しく低下するため、還元剤の除去工程は翻訳反応に用いる直前に行うことが好ましい。
ゲルろ過後の胚芽抽出液には、微生物、特に糸状菌(カビ)などの胞子が混入していることがあり、これら微生物を排除しておくことが好ましい。特に長期(1日以上)の無細胞タンパク質合成反応中に微生物の繁殖が見られることがあるので、これを阻止することは重要である。微生物の排除手段は特に限定されないが、ろ過滅菌フィルターを用いるのが好ましい。フィルターのポアサイズとしては、混入の可能性のある微生物が除去可能なものであれば特に制限はないが、通常0.1〜1マイクロメーター、好ましくは0.2〜0.5マイクロメーターが適当である。ちなみに、小さな部類の枯草菌の胞子のサイズは0.5μm×1μmであることから、0.20マイクロメーターのフィルター(例えばSartorius社製のMinisartTM等)を用いるのが胞子の除去にも有効である。ろ過に際して、まずポアサイズの大きめのフィルターでろ過し、次に混入の可能性のある微生物が除去可能であるポアサイズのフィルターを用いてろ過するのが好ましい。
このようにして得られた細胞抽出液は、原料細胞自身が含有する又は保持するタンパク質合成機能を抑制する物質(トリチン、チオニン、リボヌクレアーゼ等の、mRNA、tRNA、翻訳タンパク質因子やリボソーム等に作用してその機能を抑制する物質)を含む胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されている。ここで、胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されているとは、リボソームが実質的に脱アデニン化されない程度まで胚乳部分を取り除いたコムギ胚芽抽出液のことであり、また、リボソームが実質的に脱アデニン化されない程度とは、リボソームの脱アデニン化率が7%未満、好ましくは1%以下になっていることをいう。
また、このような胚乳成分を取り除いた細胞抽出液は、低分子のタンパク質合成阻害物質(以下、これを「低分子合成阻害物質」と称することがある)を含有しているため、細胞抽出液の構成成分から、これら低分子合成阻害物質を分子量の違いにより分画排除することが好ましい。排除されるべき物質(低分子阻害物質)の分子量は、細胞抽出液中に含まれるタンパク質合成に必要な因子よりも小さいものであればよい。具体的には、分子量50,000〜14,000以下、好ましくは14,000以下のものが挙げられる。
低分子合成阻害物質の細胞抽出液からの排除方法としては、それ自体既知の通常用いられる方法が用いられるが、具体的には透析膜を介した透析による方法、ゲルろ過法、あるいは限外ろ過法等が挙げられる。このうち、透析による方法(透析法)が、透析内液に対しての物質の供給のし易さ等の点において好ましい。以下、透析法を用いる場合を例に詳細に説明する。
透析に用いる透析膜としては、50,000〜12,000の排除分子量を有するものが挙げられる、具体的には排除分子量12,000〜14,000の再生セルロース膜(Viskase Sales,Chicago社製)や、排除分子量50,000のスペクトラ/ポア6(SPECTRUM LABOTRATORIES INC.,CA,USA製)等が好ましく用いられる。このような透析膜中に適当な量の上記細胞抽出液を入れ常法を用いて透析を行う。透析を行う時間は、30分〜24時間程度が好ましい。
低分子合成阻害物質の排除を行う際、細胞抽出液に不溶性成分が生成される場合には、これを阻害する(以下、これを「細胞抽出液の安定化」と称することがある)ことにより、最終的に得られる細胞抽出液(以下、これを「処理後細胞抽出液」と称することがある)のタンパク質合成活性が高まる。細胞抽出液の安定化の具体的な方法としては、上記した低分子阻害物質の排除を行う際に、少なくとも高エネルギーリン酸化合物、例えばATPまたはGTP等を含む溶液中で行う方法が挙げられる。高エネルギーリン酸化合物としては、ATPが好ましく用いられる。また、好ましくは、ATPとGTP、さらに好ましくはATP、GTP、及び20種類のアミノ酸を含む溶液中で行う。
これらの成分(以下、これを「安定化成分」と称することがある)を含む溶液中で低分子阻害物質の排除を行う場合は、細胞抽出液に予め安定化成分を添加し、インキュベートした後、これを低分子阻害物質の排除工程に供してもよい。低分子合成阻害物質の排除に透析法を用いる場合は、細胞抽出液だけでなく透析外液にも安定化成分を添加して透析を行い低分子阻害物質の排除を行うこともできる。透析外液にも安定化成分を添加しておけば、透析中に安定化成分が分解されても常に新しい安定化成分が供給されるのでより好ましい。このことは、ゲルろ過法や限外ろ過法を用いる場合にも適用でき、それぞれの担体を安定化成分を含むろ過用緩衝液により平衡化した後に、安定化成分を含む細胞抽出液を供し、さらに上記緩衝液を添加しながらろ過を行うことにより同様の効果を得ることができる。
安定化成分の添加量、及び安定化処理時間としては、細胞抽出液の種類や調製方法により適宜選択することができる。これらの選択の方法としては、試験的に量及び種類をふった安定化成分を細胞抽出液に添加し、適当な時間の後に低分子阻害物質の排除工程を行い、取得された処理後細胞抽出液を遠心分離等の方法で可溶化成分と不溶化成分に分離し、そのうちの不溶性成分が少ないものを選択する方法が挙げられる。さらには、取得された処理後細胞抽出液を用いて無細胞タンパク質合成を行い、タンパク質合成活性の高いものを選択する方法も好ましい。また、上記の選択方法において、細胞抽出液と透析法を用いる場合、適当な安定化成分を透析外液にも添加し、これらを用いて透析を適当時間行った後、得られた細胞抽出液中の不溶性成分量や、得られた細胞抽出液のタンパク質合成活性等により選択する方法も挙げられる。
このようにして選択された細胞抽出液の安定化条件の例として、具体的には、上記調製したコムギ胚芽抽出液で、透析法により低分子阻害物質の排除工程を行う場合においては、そのコムギ胚芽抽出液、及び透析外液中に,ATPを100μM〜0.5mM、GTPを25μM〜1mM、20種類のL型アミノ酸をそれぞれ25μM〜5mM添加して30分〜1時間以上の透析を行う方法等が挙げられる。透析を行う場合の温度は、タンパク質合成活性が失われず、かつ透析が可能な温度であれば如何なるものであってもよい。具体的には、最低温度としては、溶液が凍結しない温度で、通常−10℃、好ましくは−5℃、最高温度としては透析に用いられる溶液に悪影響を与えない温度の限界である40℃、好ましくは38℃である。
細胞抽出液への安定化成分の添加方法は、特に制限はなく、低分子阻害物質の排除工程の前に添加しこれを適当時間インキュベートして安定化を行った後、低分子合成阻害物質の排除工程を行ってもよいし、安定化成分を添加した細胞抽出液、及び/または安定化成分を添加した該排除工程に用いるための緩衝液を用いて低分子合成阻害物質の排除工程を行ってもよい。
上記した無細胞タンパク質合成用細胞抽出液は、これを上記に記載した範囲の還元剤の濃度範囲に調製し、無細胞タンパク質合成に必要なエネルギー源やアミノ酸、翻訳鋳型、あるいはtRNA等、またジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素を必要に応じて添加してそれぞれ選択されたそれ自体既知のシステム、または装置に投入し、タンパク質合成を行うことができる。タンパク質合成のためのシステムまたは装置としては、バッチ法(Pratt,J.M.et al.,Transcription and Tranlation,Hames,179−209,B.D.&Higgins,S.J.,eds,IRL Press,Oxford(1984))、アミノ酸、エネルギー源等を連続的に反応系に供給する連続式無細胞タンパク質合成システム(Spirin,A.S.et al.,Science,242,1162−1164(1988))、透析法(木川等、第21回日本分子生物学会、WID6)、あるいは重層法(Sawasaki,T.,et al.,FEBS Let.,514,102−105(2002))等が挙げられる。
さらには、合成反応系に、鋳型のRNA、アミノ酸、エネルギー源等を必要時に供給し、合成物や分解物を必要時に排出する方法(特開2000−333673号公報:以下これを「不連続ゲルろ過法」と称することがある)等を用いることができる。
このうち、アミノ酸やエネルギー源の連続、または不連続供給系を使用することにより、反応を長時間維持させることができ、更なる効率化が可能となるが、弱還元型翻訳反応液を用いてタンパク質合成を行う場合は、バッチ法を用いる方がタンパク質合成効率が高い傾向にあるため好ましい。また、上記に記載の方法によりコムギ胚芽抽出液を調製した場合にはtRNAを充分に含んでいるため通常これを添加する必要が無い。
バッチ法によりタンパク質合成を行う場合には、例えば翻訳鋳型を除いた合成反応液を必要に応じて適当時間プレインキュベートした後に翻訳鋳型を添加してインキュベートすること等により行うことができる。合成反応液としては、翻訳反応液として、例えば、10〜50mM HEPES−KOH(pH7.8)、55〜120mM酢酸カリウム、1〜5mM酢酸マグネシウム、0.1〜0.6mMスペルミジン、各0.025〜1mM L−アミノ酸、20〜70μM、好ましくは30〜50μMのDTT、1〜1.5mM ATP、0.2〜0.5mM GTP、10〜20mMクレアチンリン酸、0.5〜1.0U/μl RNase inhibitor、0.01〜10μMタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、及び24〜75%コムギ胚芽抽出液を含むもの等が用いられる。
このような翻訳反応液を用いた場合プレインキュベートは10〜40℃で5〜10分間、インキュベートは同じく10〜40℃、好ましくは18〜30℃、さらに好ましくは20〜26℃で行う。反応時間は、反応が停止するまでの時間であるが、バッチ法では通常10分〜7時間程度である。(Pratt,J.M.et al.,Transcription and Translation,Hames,179−209,B.D.&Higgins,S.J.,eds,IRL Press,Oxford(1984)参照)。
透析法によりタンパク質合成を行う場合には、合成反応液を透析内液とし、透析外液と物質移動が可能な透析膜によって隔離される装置を用いて、タンパク質合成を行う(木川等、第21回日本分子生物学会、WID6参照)。
重層法を用いてタンパク質合成を行う場合には、合成反応液を適当な容器に入れ、該溶液上に、上記透析法に記載した透析外液を界面を乱さないように重層することによりタンパク質合成を行う(Sawasaki,T.,et al.,FEBS Let.,514,102−105(2002)、特許公開番号WO 02/24939 A1参照)
不連続ゲルろ過法を用いてタンパク質合成を行う場合には、合成反応液により合成反応を行い、合成反応が停止した時点で、鋳型のRNA、アミノ酸、エネルギー源等を供給し、合成物や分解物を排出することによりタンパク質合成を行う。具体的には例えば、翻訳鋳型を除いた上記合成反応液を必要に応じて適当時間プレインキュベートした後、翻訳鋳型を添加して、適当な容器に入れ反応を行う。容器としては、例えばマイクロプレート等が挙げられる。この反応下では、例えば容量の48%容のコムギ胚芽抽出液を含む反応液の場合には反応1時間で合成反応は完全に停止する。このことは、アミノ酸のタンパク質への取りこみ測定やショ糖密度勾配遠心法によるポリリボソーム解析(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,97,559−564(2000))により確認することができる。合成反応の停止した上記反応溶液を、予め上記透析法に記載の透析外液と同様の組成の供給液により平衡化したゲルろ過カラムを通す。このろ過溶液を再度適当な反応温度に保温することにより、合成反応が再開し、タンパク質合成は数時間に渡って進行する。以下、この反応とゲルろ過操作を繰り返す。反応温度、及び時間は用いるタンパク質合成系において適宜選択されるが、コムギ胚芽抽出液を用いた系においては26℃で約1時間ごとにゲルろ過を繰り返すのが好ましい。
このような無細胞タンパク質翻訳において、本発明の単鎖抗体に標識化物質を特定の酵素の存在下で結合させる場合には、標識化物質と、それをリンカー部分のポリペプチドに結合し得る酵素の存在下で上記した翻訳反応を行う。具体的には、標識化物質としてビオチンをリンカーに結合させる場合、リンカーに予め挿入したビオチンリガーゼに認識されるアミノ酸を認識してビオチンを結合させる酵素であるビオチンリガーゼ(Avidity,LLC社製等)等の存在下で翻訳反応を行う。ビオチンおよびビオチンリガーゼの添加量は、市販製品(酵素)に添付されている説明書に記載の量が好ましい。
また、標識化物質をタンパク質合成の後に結合する場合には、翻訳反応終了後、翻訳反応液中の単鎖抗体のリンカー部分に、それぞれの標識化物質に適した方法により結合してもよいし、下記の方法で単鎖抗体を精製した後に、それぞれの標識化物質に適した方法により結合してもよい。
かくして得られた本発明の単鎖抗体又は標識化単鎖抗体は、それ自体既知の方法により確認することができる。具体的には例えば、アミノ酸のタンパク質への取りこみ測定や、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動による分離とクマシーブリリアントブルー(CBB)による染色、オートラジオグラフィー法(Endo,Y.et al.,J.Biotech.,25,221−230(1992);Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,97,559−564(2000))等を用いることができる。
また、かくして得られる反応液には、目的の単鎖抗体又は標識化単鎖抗体が高濃度に含まれているので、透析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過等のそれ自体既知の分離、精製法により、該反応液から目的の単鎖抗体又は標識化単鎖抗体を容易に取得することができる。
(3)標識化単鎖抗体の利用
本発明の標識化単鎖抗体は、抗原との結合性を解析することにより抗原抗体反応の解析方法に用いることができる。抗原抗体反応の解析方法は、以下の(I)〜(VI)工程を含むことによって行える。
(I)以下の要素の▲1▼又は▲2▼を含む、単鎖抗体のジスルフィド結合が保持される条件下において、標識化単鎖抗体を調製する工程、
▲1▼特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAを、特定の酵素の存在下でコムギ無細胞系タンパク質合成系を用いて転写翻訳し、標識化単鎖抗体を製造する工程、
▲2▼特定抗原への結合性を有する抗体の可変領域である重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAを、特定の酵素の存在下でコムギ無細胞系タンパク質合成系を用いて転写翻訳し、標識化単鎖抗体を製造する工程、
(II)以下の要素を含む、標識化単鎖抗体の標識化物質が固相化物質である場合の、標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を調製する工程、
▲1▼複数の領域に区画された基盤に標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を固定する工程、
▲2▼前記▲1▼の基盤に固定されなかった標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を除去する工程、
▲3▼前記▲1▼又は▲2▼の工程の前後において、適宜基盤における非特異的吸着を除去する工程、
(III)以下の要素を含む、標識化物質が固相化物質である場合の固相化単鎖抗体を調製する工程、
▲1▼前記(I)▲1▼又は▲2▼で調製した標識化単鎖抗体を(II)に記載の標識化単鎖抗体と特異的に結合する物質(アダプター物質)を表面に有する複数の領域に区画された基盤に必要量を添加、接触させる工程、
▲2▼前記▲1▼の基盤上の標識化単鎖抗体と特異的に結合する物質(アダプター物質)に固定されなかった標識化単鎖抗体を除去する工程、
▲3▼前期▲2▼の工程に続いて、適宜基盤における非特異的吸着を除去する工程、
(IV)以下の要素を含む、標識化物質がシグナル物質である場合の標識化単鎖抗体を調製する工程、
▲1▼適宜、複数の領域に区画された基盤おける非特異的吸着を除去する工程、
▲2▼前記(I)▲1▼又は▲2▼で調製した標識化単鎖抗体の標識化物質を基盤に必要量を添加させる工程、
(V)被検物質を前記(III)又は(IV)に記載の各基盤に必要量添加し、標識化単鎖抗体と該被検物質との結合性を解析する工程、
(VI)(V)の結合性結果をもとに、標識単鎖抗体と被検物質との相互作用を質的又は量的に判定する工程。
上記抗原抗体解析方法における、単鎖抗体のジスルフィド結合が保持される条件とは、標識化単鎖抗体を製造する工程において、製造される標識化単鎖抗体のジスルフィド結合が保持され得る条件であれば特に限定されない。具体的には(iii)単鎖抗体の製造に記載の方法である、翻訳反応液中の還元剤濃度を調整することにより行える。また、アダプター物質及び標識化単鎖抗体を除去する方法とは、通常当業者が用いる洗浄用緩衝液を用いて基盤を数回洗浄することにより、基盤上から除去することである。また、基盤に固定されたアダプター物質における非特異的吸着を除去する方法とは、通常当業者が用いるブッキング液等を基盤に満たし。その後、数回緩衝液で洗浄することにより行える。
単鎖抗体を固相化した場合には、非特異的吸着を減少させるために、当該分野において周知の方法を用いることができる。具体的には、ウシ血清アルブミン(BSA)、還元低脂肪乳、サケ精子DNA、ブタヘパリンなどを用いてアレイ固体支持体をプレコーティングする方法を含む(Ausubel,.et al.,Short Protocols in Molecular Biology,3rd.edition(1995))。
上記抗原抗体解析方法に用いる基盤としては、抗原抗体反応の解析方法あるいは装置に適したものを用いることができる。具体的には、固相酵素免疫検定法(Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA):Crowthjer,J.R.,Methods in Moleculer Biology,42,(1995))をにより解析する場合、通常ELISA法により用いられるプラスチック製のマイクロタイタープレートが好ましい。表面プラズモン共鳴法(Cullen,D.C.et al.,Biosciences,3(4),211−225(1987−88))を用いる場合には、ガラス等の透明基盤上に金、銀、白金等の金属薄膜が構成されたものが好ましい。また、エバネッセント場分子イメージング法(Funatsu,T.,et al.,Nature,374,555−559(1995))を用いる場合には、ガラス等の透明体が好ましく、さらに好ましくは石英ガラス製のものが用いられる。蛍光イメージングアナライズ法を用いる場合には、通常タンパク質等を固定化するのに用いられるニトロセルロースメンブレンやナイロンメンブレン、あるいはプラスチック製のマイクロタイタープレート等も用いることができる。また、複合糖質(例えば、アガロースとセファロース)、アクリル樹脂(例えば、ポリアクリルアミドとラテックスビーズ)、マグネットビーズ、シリコンウェハー等も基盤として用いることができる。
このような基盤へのアダプター物質の結合は、それ自体既知の通常使用される方法を用いることができる。具体的には、ジアゾ法、ペプチド法(酸アミド誘導体、カルボキシクロライド樹脂、無水マレイン酸誘導体、イノシアナート誘導体、臭化シアン活性化多糖体、セルロースカルボナート誘導体等を用いる方法、アルキル法、架橋試薬を用いる方法、Ugi反応による方法等が挙げられる。また、ガラス等の基盤を用いる場合には、物理的に吸着させる方法も用いられる。さらには、ストレプトアビジン−マグネット(Promega社製)のように市販のものを用いることもできる。
かくして得られた標識化単鎖抗体を、1つまたはそれ以上の既知抗原等の被検物質を含む溶液と接触させ、抗原抗体反応を解析することにより、該抗原に対する結合特異性を有する抗体を同定することができる。この抗原はタンパク質であってもよいし、また有機化合物、炭水化物、核酸などであってもよい。これらは、単離されたものでもよいし、また、組換えまたは天然に存在するものであってもよい。使用される抗原の量は、約1〜100ng/μlの範囲が好ましい。抗原抗体反応に要する時間は、通常5分間〜24時間の範囲であり、一般には0.5〜2時間が好ましい。
抗原抗体反応の後、固相化単鎖抗体の場合は、該抗体を結合した固相を界面活性剤等を含む生化学的に用いられる緩衝液により洗浄する工程も付加することができる。緩衝液の組成および洗浄の回数等は抗原抗体反応の強さ等により適宜選択される。
また、上記抗原抗体反応の解析方法は、標識化物質が固相化物質である場合には、固相化単鎖抗体と抗原との結合性を解析し、標識化物質がシグナル物質である場合は、抗原との結合性を溶液中で解析することにより抗原抗体反応を解析することができる。
標識化単鎖抗体と被検物質との相互作用を量的又は質的に判定する方法は、それ自体既知の通常用いられる方法により行うことができる。具体的には、ELISA法、表面プラズモン共鳴法、エバネッセント場分子イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、あるいは放射性同位体ラベルを用いた方法等も挙げられる。
抗原等の被検物質とは、抗原を含む可能性があればよい。具体的には、例えば、血液等の体液、細菌の細胞壁抽出物、タンパク質混合物等が挙げられる。
本発明の標識化単鎖抗体を用いた抗原抗体反応の解析方法及び該解析方法に試薬を含む抗原抗体反応の測定用試薬キットによれば、例えば、ヒトの自己抗体の有無や、がん細胞特異抗原等を解析、診断するツールとなることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1 ビオチン化抗サルモネラ単鎖抗体の製造
(1)サルモネラ単鎖抗体、およびリンカーをコードするDNAの作製
本発明の単鎖抗体として、抗サルモネラ単鎖抗体を選択し、以下の実験を行った。該抗体は既にX線立体構造が解析され、糖鎖に対する分子認識が詳細に調べられている(Cygler,M.,et al.,Science,253,442−445(1991);Bundle,D.R.et al,Biochemistry,33,5172−5182(1994))。サルモネラ細菌の細胞表層には、リポ多糖が存在し、抗サルモネラ抗体は、このリポ多糖の最も細胞外に位置するO−抗原に結合する(Anand,N.N.,et al.,Protein Engin.,3,541−546(1990))。このO−抗原に対して特異的に結合する抗原認識部位であるVL鎖とVH鎖を特定のリンカーでつなげた単鎖抗体を大腸菌で大量発現させた報告がある(Anand,N.N.,et al.,J.Biol.Chem.,266,21874−21879(1991))。単鎖抗体を活性な状態で合成するためには、VL鎖とVH鎖に1個ずつ存在するジスルフィド結合の形成が不可欠である(Zdanov,A.L.Y.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,91,6423−6427(1994))ため、該単鎖抗体を本発明の方法の対象とした。
抗サルモネラ単鎖抗体をコードするDNAは、野生型のサルモネラO−抗原に対する単鎖抗体をコードするDNAを含むプラスミド(Anand,N.N.,et al.,J.Biol.Chem.,266,21874−21879(1991))を鋳型として、配列番号2及び3に記載の塩基配列からなるプライマーを用いてポリメラーゼチェインリアクション(PCR)を行った。取得されたDNA断片をpGEMT−easyベクター(Promega社製)に挿入した後、BglII及びNotIで制限酵素処理した。得られたDNA断片を予め同じ制限酵素で処理したpEUベクターに挿入した。このプラスミドをテンプレートとして配列番号4及び5に記載の塩基配列からなるプライマーを用いてPCRを行い、ストップコドンを導入した。ここで作製したプラスミドをscfv−pEUと称する。
次にリンカー部分にビオチンリガーゼの認識配列をコードするDNA配列(配列番号1)を挿入したDNAを作製した。まず、上記で作製したプラスミドscfv−pEUを鋳型として、配列番号6及び7に記載の塩基配列からなるプライマーによりLA Taq(TAKARA社製)キットを用いてPCRを行った。PCR反応液は、5μl 10×LA buffer、5μl 25mM塩化マグネシウム、8μl 2.5mM dNTP、各1μl 20μMプライマー、0.1ng鋳型プラスミド/50μlに調製し、94℃1分×1サイクル、94℃45秒/55℃1分/72℃1分30秒×30サイクル、72℃5分の反応を行った。増幅されたDNA断片は、常法に従い、KOD T4polymerase(NEB社製)により末端の平滑化を行ったのち、Polynucleotide kinase(NEB社製)によるリン酸化後、Ligation High(東洋紡社製)によりSelf Ligationを行い、環状のプラスミド(図1:以下、これを「scFv−biotin−pEU」と称することがある)を作製した。
(2)弱還元型無細胞タンパク質合成用細胞抽出液の調製
北海道産チホクコムギ種子(未消毒)を1分間に100gの割合でミル(Fritsch社製:Rotor Speed mill pulverisette14型)に添加し、回転数8,000rpmで種子を温和に粉砕した。篩いで発芽能を有する胚芽を含む画分(メッシュサイズ0.7〜1.00mm)を回収した後、四塩化炭素とシクロヘキサンの混合液(容量比=四塩化炭素:シクロヘキサン=2.4:1)を用いた浮選によって、発芽能を有する胚芽を含む浮上画分を回収し、室温乾燥によって有機溶媒を除去した後、室温送風によって混在する種皮等の不純物を除去して粗胚芽画分を得た。
次に、ベルト式色彩選別機BLM−300K(製造元:株式会社安西製作所、発売元:株式会社安西総業)を用いて、次の通り、色彩の違いを利用して粗胚芽画分から胚芽を選別した。この色彩選別機は、粗胚芽画分に光を照射する手段、粗胚芽画分からの反射光及び/又は透過光を検出する手段、検出値と基準値とを比較する手段、基準値より外れたもの又は基準値内のものを選別排除する手段を有する装置である。
色彩選別機のベージュ色のベルト上に粗胚芽画分を1000乃至5000粒/cmとなるように供給し、ベルト上の粗胚芽画分に蛍光灯で光を照射して反射光を検出した。ベルトの搬送速度は、50m/分とした。受光センサーとして、モノクロのCCDラインセンサー(2048画素)を用いた。
まず、胚芽より色の黒い成分(種皮等)を排除するために、胚芽の輝度と種皮の輝度の間に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取り除いた。次いで、胚乳を選別するために、胚芽の輝度と胚乳の輝度の間に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取り除いた。吸引は、搬送ベルト上方約1cm位置に設置した吸引ノズル30個(長さ1cm当たり吸引ノズル1個並べたもの)を用いて行った。
この方法を繰り返すことにより胚芽の純度(任意のサンプル1g当たりに含まれる胚芽の重量割合)が98%以上になるまで胚芽を選別した。
得られたコムギ胚芽画分を4℃の蒸留水に懸濁し、超音波洗浄機を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄した。次いで、ノニデット(Nonidet:ナカライ・テクトニクス社製)P40の0.5容量%溶液に懸濁し、超音波洗浄機を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄してコムギ胚芽を得、以下の操作を4℃で行った。
洗浄した胚芽湿重量に対して2倍容量の抽出溶媒(80mM HEPES−KOH(pH7.8)、200mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、8mMジチオスレイトール、(各0.6mMの20種類のL型アミノ酸を添加しておいてもよい))を加え、ワーリングブレンダーを用い、5,000〜20,000rpmで30秒間ずつ3回の胚芽の限定破砕を行った。このホモジネートから、高速遠心機を用いた30,000×g、30分間の遠心により得られる遠心上清を再度同様な条件で遠心し、上清を取得した。本試料は、−80℃以下の長期保存で活性の低下は見られなかった。取得した上清をポアサイズが0.2μMのフィルター(ニューステラディスク25:倉敷紡績社製)を通し、ろ過滅菌と混入微細塵芥の除去を行った。
次に、このろ液をあらかじめ溶液(40mM HEPES−KOH(pH7.8)、100mM酢酸カリウム、5mM酢酸マグネシウム、各0.3mMの20種類L型アミノ酸混液(タンパク質の合成目的に応じて、アミノ酸を添加しなくてもよいし、標識アミノ酸であってもよい))で平衡化しておいたセファデックスG−25カラムでゲルろ過を行った。得られたろ液を、再度30,000×g、30分間の遠心し、回収した上清の濃度を、A260nmが90〜150(A260/A280=1.4〜1.6)に調整した後、下記の透析処理やタンパク質合成反応に用いるまで、−80℃以下で保存した。
(3)弱還元型翻訳反応液を用いたタンパク質合成(翻訳時にビオチンおよびビオチンリガーゼを添加した場合)
上記(1)で取得された翻訳鋳型DNAについて、SP6 RNA polymerase(TOYOBO社製)を用いて転写を行った。反応液としては、80mM HEPES−KOH(pH7.6)、16mM酢酸マグネシウム、2mMスペルミジン、10mM DTT、NTPs各2.5mM、0.8U/μl RNase inhibitor、50μg/mlプラスミド、及び1.2U/μl SP6 RNA polyMerase/ddw 400μlを用いた。37℃で2時間インキュベートした後、フェノール/クロロフォルム抽出、NICK column(Amersham Pharmacia社製)による精製を行い、エタノール沈殿後、沈殿を精製水35μlに溶解した。
取得されたmRNAを用いて、翻訳反応を行った。翻訳反応液は、1.2mM ATP、0.25mM GTP、15mMクレアチンリン酸、0.4mMスペルミジン、29mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM酢酸カリウム、2.7mM酢酸マグネシウム、0.23mM L型アミノ酸、0.58U/μl RNase inhibitor(Promega社製)、4nCi/μl 14C−Leu、7.5μg mRNA、0.5μM PDI、19.5μMビオチン(ナカライ)、19.5μg/μlビオチンライゲース(avidity社製)、および12μlコムギ胚芽抽出液で、反応は26℃で3時間バッチ法により行った。コントロールとして、ビオチンを添加しない翻訳反応も行った。
翻訳反応3時間後の反応液を15,000rpm、10分間の遠心分離によって可溶化成分を分離し、残存する未反応のビオチンを50mM Tris(pH8.0)で平衡化したG−25スピンカラムにより除去した。スピンカラムの溶出液、20μlを同量の50mM Tris(pH8.0)緩衝液で希釈後、ストレプトアビジンマグネットビーズ(Promega社製)5μlを添加し、室温で穏やかに混合した。磁場によりマグネットビーズを回収した後、上清画分を取得し、SDS−PAGEにより分離した後、オートラジオグラフィにより抗サルモネラ単鎖抗体の量を測定した。この結果を図2のco−transl.biotinylationに示す。図からも明らかなように、ビオチン及びビオチンリガーゼの存在下で翻訳を行ったもの(図中:+biotin)は、ストレプトアビジンとの結合によってマグネットビーズについて回収されたものが多く、逆にビオチンを添加しないで行ったもの(−biotin)は、マグネットビーズに結合した抗体がほとんどないことが示された。このことから、上記した方法により抗サルモネラ単鎖抗体にビオチンが結合していることが明らかとなった。
(4)弱還元型翻訳反応液を用いたタンパク質合成(翻訳反応後にビオチンおよびビオチンリガーゼを添加した場合)
上記(1)〜(3)に記載した抗サルモネラ単鎖抗体の製造方法と同様にして、ビオチン及びビオチンリガーゼを翻訳反応開始から3時間後に添加した結果を図2のpost−transl.biotinylationに示す。図から明らかなように、ビオチンを添加したもの(+)もしないもの(−)も、マグネットビーズについて除去されたビオチン化抗体量はほとんど無いことがわかった。このことから、ビオチンリガーゼおよびビオチンの添加は、翻訳反応中に行うことが好ましいことがわかった。
実施例2 ビオチン化単鎖抗体の固相化及び抗原抗体反応の解析
(1)アルデヒド化サルモネラO−抗原の調製
リポポリサッカライド(SIGMA社製)20mg(2.8μmol)を0.25M水酸化ナトリウム水溶液20μlに溶解し、56℃にて1時間攪拌した。蒸留水に対して透析後、メタ過葉酸ナトリウム200mg(0.8mmol)を添加し、遮光下にて5分間攪拌した。エチレングリコール1mlをさらに添加して1時間攪拌した後、これを蒸留水に対して透析を行い、凍結乾燥によりアルデヒド型サルモネラ糖鎖の粉末を得た。これを0.2mlの20mMホウ酸ナトリウム緩衝液pH9.0に溶解した(10mg/ml)に溶解した。アミノ化マグネットビーズ(NH2−Mag:Polyscience社製)0.1mlを0.4mlの同緩衝液により3回洗浄、平衡化した後、上記アルデヒド型サルモネラ糖鎖の溶液に添加し、6時間室温にて反応を行った。マグネットビーズを同緩衝液0.4mlで3回洗浄した。糖鎖のマグネットビーズ上への固定化率は、上清に残存した糖鎖をフェノール/硫酸法で定量することにより求めた。ここで、該糖鎖のマグネットビーズへの結合率は40%(0.13μmolサルモネラ糖鎖/100μlマグネットビーズ)であった。
(2)ビオチン化抗サルモネラ単鎖抗体とサルモネラ糖鎖との結合
実施例1に記載の方法によりビオチン化単鎖抗体を合成した後(total 38μl)、10mM PBST(pH8.0)、0.6mM CaClで平衡化したG−25 spin columnにより過剰のビオチンをゲルろ過した。そのタンパク質溶液40μlを予め0.6mM CaClを含むコムギ胚芽抽出液25μlで洗浄しておいた10μlの上記(1)で作製した固相化サルモネラ抗原(Sal−Mag)と共に96wellマイクロプレート上に添加した。15分間穏やかに混合した後、40μlの0.15M NaCl/10mM PBST(pH8.0)で4回洗浄し、最後に同量の0.1M glycine−HCl(pH2.4)で4回溶出を行った。初めの洗浄により抗原と結合しなかった単鎖抗体が溶出し、後の溶出により抗原と結合した単鎖抗体が溶出される。各フラクション(5μl)中のタンパク質量は、14C カウントにより求めた。この結果を図3示す。ここには、ビオチン化単鎖抗体が抗原特異性を保持していることを確認する目的で、変異体G102Dを同様にビオチン化した場合の結合結果も示した。図から明らかなように、野生型(Wild type)の場合、pH酸性溶液で溶出される活性画分(no.6)は、全抗体量の5割近く存在するのに対し、変異型G102Dの場合、活性画分は全く存在せず、ほとんどがno.1の素通り画分に出ている。この結果は、ビオチン化単鎖抗体が、本来の抗原結合活性を保持していることを示すものであり、co−translationalなビオチン化は、抗原結合活性を全く損なうことなく進行することが支持された。
(3)生体分子間相互作用解析装置(Iasys)による解離平衡定数の測定
まず、ストレプトアビジン(0.1mg/ml:ナカライ社製)をビオチンキュベット(Affinity Sensors社製)に固定化した(固定化量:674arc sec.、27.2ng、0.97pMol)。次に、実施例1で調製したビオチン化単鎖抗体を、上記(2)の方法により固相化サルモネラ糖鎖抗原(Sal−Mag)を用いて精製した。14C dpm値から換算して8.4pmol/50μlの精製ビオチン化単鎖抗体が得られた。この50μl分を、上記キュベットに添加し、ストレプトアビジン上に固定化した(固定化量:433.6arc sec,,11.5ng,0.4pmol)。ここへ、様々な濃度のサルモネラ糖鎖(2.4、4.8、9.7、12.9,、19.4μM)を添加することにより、会合および解離曲線を測定した。この結果を図4に示し、さらに該曲線から求めた解離平衡定数を表1に示す。また、表1には、同様の方法で大腸菌生細胞を使用して合成した単鎖抗体による値(MacKenzie,C.R.et al.,J.Biol.Chem.,271,1527−1533(1996))も比較のため記載した。図4のresponse曲線から明らかなように、ビオチン化単鎖抗体は、ストレプトアビジン上へ固定化でき、なおかつ抗原を結合しうる機能を保持していることが示された。表1に示すように、この曲線をもとに解離平衡定数Kdを算出した結果、1×10−7〜10−8Mのオーダーであることが判明した。この結果から、実施例1で調製し、ビオチンとストレプトアビジンの結合により固相化した単鎖抗体は、完全抗サルモネラ抗体IgGと同等のKd値を有することが明らかとなった。
Figure 0004330532
比較例1 ビオチンの結合位置による固相化効率の検討
単鎖抗体への化学結合によるビオチンの付加
本方法は、続生化学実験講座、免疫生化学研究法(日本生化学会、東京化学同人(1986))の抗体標識法に記載の方法を用いた。
実施例1に記載の方法で、翻訳反応時にビオチンリガーゼ及びビオチンを添加しないで合成した反応液を、15,000rpm、10分間の遠心を行い、上清を取得した。上清の可溶画分25μlを同量の1M炭酸水素ナトリウム溶液で希釈した後、G−25セファデックスカラムにより緩衝液を交換し、1μlのNHS−biotin(N−hydroxysuccimide−biotin、50mg/ml DMSO)を添加した。これを4℃で一晩反応させた後、以下に示すように抗原との結合性を解析した。
抗原との結合活性の解析
上記(1)で調製した反応液30μlを10mM PBST(pH8.0)、0.6mM CaClで平衡化したG−25 spin columnにより過剰のビオチンをゲルろ過した。そのタンパク質溶液40μlを予め0.6mM CaClを含むコムギ胚芽抽出液25μlで洗浄しておいた10μlの上記実施例2(1)で作製した固相化サルモネラ糖鎖抗原(Sal−Mag)と共に96wellマイクロプレート上に添加した。15分間穏やかに混合した後、40μlの0.15M NaCl/10mM PBST(pH8.0)で4回洗浄し、最後に同量の0.1M glycine−HCl(pH2.4)で4回溶出を行った。この結果を図5に示す。活性の保持した抗体であれば、後半の酸性緩衝液により溶出されるはずであるが、図から明らかなように、フラクション番号10〜13にはタンパク質の存在はみられず、1番目の素通り画分に大半が存在した。このことは、上記の化学的方法で製造したビオチン化単鎖抗体は抗原結合活性を失っていることを示している。
実施例3 ポリヒスチジンペプチドを挿入した単鎖抗体の製造および固相化
(1)ポリヒスチジンペプチドをリンカー部分に含む単鎖抗体の製造
実施例1(1)に記載のscfv−pEUを鋳型として、配列番号8および9に記載の塩基配列からなるプライマーによりLA taq(TAKARA社製)キットを用いてPCRを行った。PCR反応液は、5μl 10×LA buffer、5μl 25mM塩化マグネシウム、8μl 2.5mM dNTP、各1μl 20μMプライマー、0.1ng鋳型プラスミド/50μlに調製し、94℃1分×1サイクル、94℃45秒/55℃1分/72℃1分30秒×30サイクル、72℃5分の反応を行った。増幅されたDNA断片は、常法に従い、KOD T4 polymerase(NEB社製)により末端の平滑化を行ったのち、Polynucleotide kinase(NEB社製)によるリン酸化後、Ligation high(東洋紡社製)によりSelf Ligationを行い、環状のプラスミド(図1:以下、これを「scFV−pHIS−pEU」と称することがある)を作製した。
このプラスミドを鋳型として、実施例1(3)に記載の方法により転写し、mRNAを精製した後に、翻訳反応液中のDTTを200μMのメルカプトエタノールに換えて翻訳反応を行った。翻訳反応3時間後の反応液を15,000rpm、10分間の遠心分離によって可溶化成分を分離し、過剰量のメルカプトエタノールを50mMリン酸緩衝液(pH7.0)、500mM NaCl、5% Glycerol(Binding buffer)で平衡化したG−25スピンカラムにより除去した。
スピンカラムの溶出液、20μlを同量のBinding bufferで希釈後、予めbinding buffe 150μlで6回洗浄したニッケルカラム(Metal affinity resin:TALON社製)200μl(50% resin)に80μl添加し、室温で1時間インキュベートした。このカラムを150μlの50mMリン酸緩衝液(pH7.0)、500mM NaCl、5% Glycerol、6mM Immidazole(washing buffer)で4回洗浄し(図中w1〜w4)、さらに150μlの50mMリン酸緩衝液(pH7.0)、500mM NaCl、150mM Immidazole(elution buffer)で5回溶出(図中e1〜e5)を行った。各フラクションに含まれる単鎖抗体の量は、14C dpm値により測定した。この結果を図6に示す。図中、Cは、カラムにかける前のタンパク質含有液の全量中の14C dpm値を示す。グラフの横軸は、フラクション番号を示し、w1〜w4は、washing bufferにより溶出されたフラクション中の、またe1〜e5はelution bufferにより溶出されたフラクション中の14C dpm直を示す。ETはe1〜e5中の14C dpm値の合計を示す。
フラクション番号e1〜e5は、ニッケルと特異的に結合するポリヒスチジンペプチドを含む単鎖抗体の存在を示している。図から明らかなように、全合成量の約50%近くの単鎖抗体は、ニッケルカラムにより精製できることがわかった。精製した単鎖抗体は、抗原結合活性を保持していることも実施例2に記載の方法により確認できた。この結果は、ポリヒスチジンペプチドをリンカー部分に組み込んだ単鎖抗体は、ニッケル固相上に活性を保持した状態で固定化しうることを示している。
本発明によれば、単鎖抗体又は標識化単鎖抗体であって、抗原との特異的結合活性を保持したものが提供される。該単鎖抗体によれば、標識化物質を介して固相に結合させることも可能であり、抗体チップ等を作製することができる。このような単鎖抗体は、分子内のジスルフィド結合が保持されるような無細胞タンパク質翻訳系により合成することにより、大腸菌のような生細胞内で合成されたものに比べて抗原との特異的結合性が高いものが提供される。

Claims (25)

  1. 単鎖抗体のリンカー部分に標識化物質を担持することを特徴とする標識化単鎖抗体。
  2. 単鎖抗体のリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該抗体の重鎖および軽鎖が可変領域であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  3. 抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  4. 抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  5. 抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  6. 抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  7. 抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  8. 抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  9. 天然型の抗体と同等のKd値を有し、無細胞タンパク質翻訳系によって製造された請求項1〜8の何れか一に記載の標識化単鎖抗体。
  10. 特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、リンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該リンカーをコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むことを特徴とするDNA。
  11. 特定抗原への結合性を有する抗体の可変領域である重鎖および軽鎖をコードするDNAが、リンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該リンカーをコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むことを特徴とするDNA。
  12. 特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該標識物質を結合し得る塩基配列が、ビオチンリガーゼにより認識されるアミノ酸配列をコードすることを特徴とするDNA。
  13. 特定抗原への結合性を有する抗体の可変領域である重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAにおいて、該標識物質を結合し得る塩基配列が、ビオチンリガーゼにより認識されるアミノ酸配列をコードすることを特徴とするDNA。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載のDNAを、標識化物質および特定の酵素の存在下でタンパク質合成系を用いて転写翻訳することを特徴とする標識化単鎖抗体の製造方法。
  15. タンパク質合成系が、無細胞タンパク質翻訳系であって、その翻訳反応液中の還元剤の濃度が、製造する標識化単鎖抗体のジスルフィド結合が保持され、かつ無細胞タンパク質合成が可能な濃度であることを特徴とする請求項14に記載の標識化単鎖抗体の製造方法。
  16. さらにジスルフィド結合交換反応を触媒する酵素の存在下で行うことを特徴とする請求項15に記載の標識化単鎖抗体の製造方法。
  17. コムギ胚芽由来の無細胞タンパク質翻訳系を使い請求項16に記載の標識化単鎖抗体の製造方法によって製造された天然型の抗体と同等のKd値を有する標識化単鎖抗体。
  18. 抗体の標識化物質と特異的に結合する物質に、以下のいずれか1に記載の抗体を接触させることを特徴とする固相化単鎖抗体の製造方法。
    1)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持することを特徴とする標識化単鎖抗体。
    2)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該抗体の重鎖および軽鎖が可変領域であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
    3)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
    4)抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る物質であることを特徴とする標識化単鎖抗体。
    5)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
    6)抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質が、抗体のリンカー部分の一部として組み込まれていることを特徴とする標識化単鎖抗体。
    7)抗体の重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
    8)抗体の可変領域である重鎖および軽鎖がリンカーを介して架橋する構造を有し、かつリンカー部分に、特定の酵素の存在下で抗体のリンカー部分のポリペプチドに結合し得る標識化物質を担持する標識化単鎖抗体において、該標識化物質がビオチンであり、該酵素がビオチンリガーゼであることを特徴とする標識化単鎖抗体。
  19. 請求項18に記載の固相化単鎖抗体の製造方法において、2種以上の異なる固相化単鎖抗体を固相化することを特徴とする固相化単鎖抗体の製造方法。
  20. 標識化物質がビオチンであり、該標識化物質と特異的に結合する物質がストレプトアビジンであることを特徴とする請求項18または19に記載の製造方法。
  21. 請求項18〜20に記載の製造方法により調製される固相化単鎖抗体。
  22. 請求項21に記載の固相化単鎖抗体に被検物質を接触させ、該固相化単鎖抗体との結合性を解析することを特徴とする抗原抗体反応の解析方法。
  23. 以下の工程を含む、抗原抗体反応の解析方法。
    (1)以下の要素の1)又は2)を含む、単鎖抗体のジスルフィド結合が保持される条件下において、標識化単鎖抗体を調製する工程、
    1)特定抗原への結合性を有する抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAを、特定の酵素の存在下で無細胞系タンパク質合成系を用いて転写翻訳し、標識化単鎖抗体を製造する工程、
    2)特定抗原への結合性を有する抗体の可変領域である重鎖および軽鎖をコードするDNAが、翻訳後に特定の酵素の存在下で標識化物質を結合し得る塩基配列を含むリンカーをコードするDNAを介して連結されているDNAを、特定の酵素の存在下で無細胞系タンパク質合成系を用いて転写翻訳し、標識化単鎖抗体を製造する工程、
    (2)以下の要素を含む、標識化単鎖抗体の標識化物質が固相化物質である場合における標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を調製する工程、
    1)標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を固定する工程、
    2)前記1)の固定されなかった標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)を除去する工程、
    3)前記1)又は2)の工程のにおいて、非特異的吸着を除去する工程
    (3)以下の要素を含む、標識化単鎖抗体の標識化物質が固相化物質である場合における固相化標識化単鎖抗体を調製する工程、
    1)前記(1)1)又は2)で調製した標識化単鎖抗体の標識化物質を(2)の標識化単鎖抗体の標識化物質と特異的に結合する物質(アダプター物質)に必要量を添加、接触させる工程、
    2)前記1)の標識化単鎖抗体と特異的に結合する物質(アダプター物質)に固定されなかった標識化単鎖抗体を除去する工程、
    3)前記2)の工程に続いて、非特異的吸着を除去する工程
    (4)以下の要素を含む、標識化物質がシグナル物質である場合における標識化単鎖抗体を調製する工程、
    1)非特異的吸着を除去する工程
    2)前記(1)1)又は2)で調製した標識化単鎖抗体の標識化物質を必要量を添加、させる工程、
    (5)被検物質を前記(3)又は(4)において必要量添加し、標識化単鎖抗体と該被検物質との結合性を解析する工程、
    (6)(5)の結合性結果をもとに、標識化単鎖抗体と被検物質との相互作用を質的又は量的に判定する工程。
  24. 請求項22又は23に記載の解析方法に使用される試薬を含む抗原抗体反応の測定用試薬キット。
  25. 無細胞タンパク質翻訳系を使い請求項18〜20に記載の固相化単鎖抗体の製造方法によって製造され天然型の抗体と同等のKd値を有する固相化単鎖抗体。
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