JP4329955B2 - 用心錠におけるガードアームの基準位置調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、来訪者の確認や郵便物の受け渡し等のため扉の開放角度を小さく制限する用心錠におけるガードアームの基準位置調整装置(以下単に調整装置という)に関する。
【0002】
上記基準位置とは、ガードアームの不使用時扉枠に取り付けられた基板(ストライク板)上におけるガードアームの待機位置又は収納位置を示し、この発明はその位置がデッドボルトやガードアーム係合部材(以下ガードアーム係合杆という)に対し適正となるように調整する新規な装置を提供する。
【0003】
【従来の技術】
従来のこの種の技術としては、例えば実公平5−32602号公報に記載されているものを挙げることができる。
【0004】
同装置はデッドボルトが出入りする側と対応するドア枠の見込み面に固定される取り付けベースに、一端側にデッドボルトの係合穴を設けたアームをその他端側に軸着して見込み方向へ回動可能に取り付け、前記ベースはアームに対してドア枠の内周面に突出したドア当接用突壁側に位置する立ち上がり壁を有し、立ち上がり壁とアームの間にアームの軸着部分を通る垂線に対するアームの角度を変えるアーム当接部を備えた調整体を設けたものであって、長期の使用において、基準位置におけるガードアームの係合穴とデッドボルトとの間にずれが生じて、ガードアーム作動時又は施錠時に、デッドボルトが係合又は貫通不能となったり、引掛かってスムーズな操作に支障を来したりした場合に、ガードアームの基準位置における角度位置を微調整できるようにしたものである。
【0005】
また、本出願人は、先に、特願平7−302114号及び特願平8−61824号を以て、上記とは異なる型式の調整装置を提案した。
【0006】
これら本出願人の先の提案に係る調整装置は、何れも、可動のガードアーム側に調整機構を設けたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の調整装置は、基準位置を無段階或いは多段階に調整できるものであるが、その調整は調整原理を理解して始めて可能になるものであって、実際の建築現場においては作業者はその原理を理解しないので、調整範囲の両端しか使用しない、という不都合がある。
【0008】
また、ねじを弛めたり締めたり、或いは調整体を動かして最適調整位置を探る、等調整作業がかなり面倒で実際的ではない。
【0009】
そこで、この発明は、調整原理の理解及び調整作業が極めて容易であり、しかも実用上充分な調整範囲を有する調整装置を提供し、以て上記した不都合を解消することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、扉枠に取付けられるストライク板と平行な矩形の板の一の隅部を円弧状に成形すると共に、この隅部の表面に工具との係合部を形成し、一方、この一の隅部と対向する他の隅部を斜めに削いで矩形の短辺及び長辺と夫々135度の角度間隔で斜交する傾斜辺を形成して、上記一の隅部の円弧の中心から矩形の短辺、傾斜辺及び長辺に下ろした垂線の長さの差を調整量とした調整カムを構成し、他方、ストライク板に一端を揺動可能に支承され、他端にガードアーム係合杆と係合する係合孔を開口させたガードアームの一方の側端縁に近接して、上記調整カムをその円弧の中心の回りを回動可能に支承し、以て、調整カムの長辺、傾斜辺、及び短辺の何れか一つをガードアームの側端縁に直接かつ選択的に当接可能にすると共に、調整カムの短辺、傾斜辺及び長辺をガードアームの側端縁に向けた角度位置を保つため、上記調整カムの係合部とは反対側の面に係合部と同軸に連設した八角断面部を2枚の板ばねで挟むクリック装置を設けたことを特徴とする。
【0011】
【実施例】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明について説明する。
図1において符号2は図示しない扉枠にねじ2、2で取り付けられるストライク板を示し、このストライク板1の一側方には、折曲げ加工により、横断面形状が下向きのひしゃく形(図2参照)の立ち上がり部3を有する。
【0012】
図示例のストライク板1は、後記のガードアーム4を揺動により図1で矢印P方向に振り出すことができるように、1つの側板を除去して開放させた箱形に形成されている。符号はストライク板1の上下端部に設けたフランジ部である。
【0013】
上記ストライク板1の上端部には、ガードアーム4の上端が揺動可能に支承されている。
【0014】
図示の実施例におけるガードアーム4は、刀の刀身と鞘のように抜き挿し可能に嵌合した二つの部材よりなり、その下端部にはガードアーム係合杆6と係合する係合孔7が開口している。
【0015】
ちなみに、通常の用心錠におけるガードアームには、2段階に突出可能に構成したデッドボルトの先端が係合するが、図示の実施例においては、ストライク板1の下端に開口したデッドボルト係合孔8には通常引戸の錠止に用いられる鈎形のカマが振り入れられて係合するように構成されているので、ガードアーム4と係合するガードアーム係合杆6はデッドボルトとは異なる部材が用いられている。
【0016】
しかしながら、ガードアーム4と係合するガードアーム係合杆6がデッドボルトとは異なる部材であることはこの発明の要旨ではないので、更に詳細な説明は省略する。
【0017】
図1に実線で示したガードアーム4の基準位置を調整する本発明による調整装置は、図1及び図2に示すようにストライク板1の立ち上がり部3に内蔵されており、図1ではその一部であるスリワリを形成した係合部9が立ち上がり部3の上面に開口した円形の開口から覗いている。
【0018】
すなわち、図3及び図4に示すように、この発明による調整装置はストライク板1と平行な調整カム11を備え、この調整カム11は、矩形の板の一の隅部を円弧状に成形すると共に、この一の隅部と対向する他の隅部を斜めに削いで矩形の短辺12及び長辺13と夫々135度の角度間隔で斜交する傾斜辺14を形成した小さな板材である。
【0019】
上記一の隅部の表面(図3で上面)側には、その円弧と同径の小柱体で、中央部に段部を形成して上部を小径にすると共に、上面にスリワリを形成した係合部9が一体に結合されている。
【0020】
また、上記一の隅部の下面側には、係合部9と同軸に、八角断面部15と断面円形の支軸16とが一体に連設されている。これらの諸部材は相互に一体に結合されてカムブロック17を構成している。
【0021】
一方、このカムブロック17の図3における下方には、カムブロック17を回転可能に指示すると共にクリック装置を兼ねたホルダー18が設けられている。
【0022】
このホルダー18は、図3に示すように、例えば剛性樹脂で構成した一対の四角柱19、19の下端部を矩形のブリッジ板21で一体に連結してなる。
【0023】
ちなみに、重量を軽減し、また、材料を節約するため、上記四角柱19は下端面側から肉を盗まれて空洞になっている。
【0024】
なお、四角柱19及びブリッジ板21の幅は、前記ストライク板の立ち上がり部3の内側に形成された溝の内のり寸法と同程度に設定する(図4参照)。
【0025】
上記ブリッジ板21の中央には、上記カムブロックの支軸16と回動可能に嵌合する支軸孔22が開口している。
【0026】
また、一対の四角柱19、19の相互に対向する面の下方には、これらを連結するように一対のばね板23、23が形成されている。
【0027】
このばね板23、23は、ホルダー18を射出成形するときに同時に成形するもので、その材質はホルダー18と同じ合成樹脂である。
【0028】
このばね板23、23の内のり間隔は、前記カムブロックの八角断面部15の相互に対向する側面の間隔よりやや大きくなるように設定されている。
【0029】
そして、このばね板23、23の組及びこれらの間に挿入されるカムブロックの八角断面部15は、角度間隔45度で間欠的に調整カム11の角度位置を保持するクリック装置を構成する。
【0030】
上記のように構成されたカムブロック17及びホルダー18は、前者の支軸16を後者の支軸孔22に差込み、一対のばね板23、23で前者の八角断面部15を挟持するようにしてこれらを一体的に組み付ける。
【0031】
一方、図1、図2及び図4に示すように、ストライク板1の立ち上がり部3の長さ方向における所定の位置に、立ち上がり部3の上面にはカムブロックの係合部9の先端と嵌合する開口(付番せず)を、ガードアーム4に対向する側の側面には操作窓24(図4参照)を予め形成しておく。
【0032】
そして、上記のように一体的に組付けられたカムブロック17及びホルダー18を、図2に示すように、扉枠に取付けられる前のストライク板1の裏面側から立ち上がり部3の空洞部に差込み、カムブロックの係合部9の先端を立ち上がり部3の上面の開口に嵌合させると共に、調整カム11を操作窓24に挿入する。
【0033】
このとき先に調整カム11を操作窓24に挿入すると、組み付け体全体を円滑に立ち上がり部3内に装着することができる。
【0034】
なお、組み付け体を立ち上がり部3内の溝に装着した状態において、ホルダー18は立ち上がり部3の両側面に挟持された状態で摩擦により安定に保持されるが、予めホルダーの四角柱の側面に小さな突起(図示せず)を形成しておき、組み付け体を上記溝に挿入するときこの突起を潰すことにより、上記摩擦を更に大きくすることができる。
【0035】
上記のように構成されたこの発明による調整装置において、調整カム11を有するカムブロック17は、両端を夫々立ち上がり部3の上面の開口及びホルダーの支軸孔22に回動可能に嵌合しており、かつ、その係合部9が立ち上がり部3の上面に露呈している。
【0036】
そこで、この係合部をドライバーなどの工具により左右何れかの方向に回動させると、カムブロック17はクリック感を伴って45度ずつ間欠的に回動する。
【0037】
そこで、図4(B)に示す調整カム11の角度位置を基準にすると、図4(C)及び(A)に示すようにプラスマイナス1段階ずつガードアーム4の基準角度位置を変化させることができる。
【0038】
このとき、ガードアーム4の側端縁を押動する調整カム11の出入りは肉眼で目視できるから、作業者はその調整原理を直ちに理解でき、安心して、かつ容易にガードアームの基準位置の調整作業を行うことができる。
【0039】
図示の実施例では、ガードアーム4の先端の動きに換算してプラスマイナス1.5mmの調整が行えるように諸部材の寸法が設定されており、実際上この調整範囲で充分なガードアームの基準位置の調整を行うことができる。
【0040】
なお、この発明を実施するにあたっては、図示の実施例に限定されることなく種々に変形して実施することができる。
【0041】
例えば、2枚のばね板及び八角柱の組によるクリック装置の他に、通常のクリックボール及びばねよりなるクリック装置を採用できることは勿論である。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、ストライク板に平行な矩形の板の隅部を斜めに削いで傾斜辺を形成し、この傾斜辺、矩形の短辺、及び長辺を夫々ガードアームの側端縁に接合させることによりガードアームの基準位置を設定する調整カムを構成し、これらの調整角度位置をクリック装置で規定するようにしたから、必要にして充分な調整代を有し、構造及び調整操作が簡単な調整装置を得ることができる。
【0043】
また、調整カムの傾斜辺に対向する隅部を円弧状に成形したから、調整カムを回動させてもこの隅部が他の部材と干渉することがなく、したがって調整カムを狭いスペース内に組込むことができる、等種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による調整装置を組込んだガードアーム装置の正面図。
【図2】図1のII−II線による拡大横断面図。
【図3】この発明の一実施例による調整装置の構成を部品を展開して示す斜視図。
【図4】この発明による調整装置の作動を説明するための一部断面拡大正面図。
【符号の説明】
1 ストライク板
3 立ち上がり部
4 ガードアーム
6 ガードアーム係合杆
7 係合孔
9 係合部
11 調整カム
12 短辺
13 長辺
14 傾斜辺
15 八角断面部
16 支軸
17 カムブロック
18 ホルダー
19 四角柱
21 ブリッジ板
22 支軸孔
23 ばね板
24 操作窓
Claims (1)
- 扉枠に取付けられるストライク板と平行な矩形の板の一の隅部を円弧状に成形すると共に、この隅部の表面に工具との係合部を形成し、一方、この一の隅部と対向する他の隅部を斜めに削いで矩形の短辺及び長辺と夫々135度の角度間隔で斜交する傾斜辺を形成して、上記一の隅部の円弧の中心から矩形の短辺、傾斜辺及び長辺に下ろした垂線の長さの差を調整量とした調整カムを構成し、他方、ストライク板に一端を揺動可能に支承され、他端にガードアーム係合杆と係合する係合孔を開口させたガードアームの一方の側端縁に近接して、上記調整カムをその円弧の中心の回りを回動可能に支承し、以て、調整カムの長辺、傾斜辺、及び短辺の何れか一つをガードアームの側端縁に直接かつ選択的に当接可能にすると共に、調整カムの短辺、傾斜辺及び長辺をガードアームの側端縁に向けた角度位置を保つため、上記調整カムの係合部とは反対側の面に係合部と同軸に連設した八角断面部を2枚の板ばねで挟むクリック装置を設けてなる用心錠におけるガードアームの基準位置調整装置。
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JP19943399A JP4329955B2 (ja) | 1999-07-13 | 1999-07-13 | 用心錠におけるガードアームの基準位置調整装置 |
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JP2015044654A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | 株式会社メイキコウ | 電動昇降装置 |
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1999
- 1999-07-13 JP JP19943399A patent/JP4329955B2/ja not_active Expired - Fee Related
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