本発明は、飲料等の容器を収容保持するための容器ホルダ装置に関する。
飲料等の容器を保持するための容器ホルダ装置として、略箱状をなし上方に開口するとともに収容空間を構成するホルダ本体をもち、開口から挿入した容器の底面をこの収容空間に保持させるものが知られている。この容器ホルダ装置には、一般に、ホルダ本体の開口を開閉する蓋体が設けられる。
このような容器ホルダ装置は、例えば自動車の車室内などの狭い空間に配設されるため、嵩張らないような形状にする必要がある。このため、開口を開いた際に蓋体が容器ホルダ装置の外方に突出し嵩張ることを避ける目的で、開口を開いた際に蓋体をホルダ本体に収容できるものが開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示される容器ホルダ装置を模式的に表す断面図を図16に示す。
図16に示される容器ホルダ装置100は、ホルダ本体101と板状の蓋体102とを備えるものである。ホルダ本体101のうち収容空間103の外方には、蓋体102を収容するための退避空間105が上下方向に延設されており、退避空間105の側方には、上下に延びる溝状の案内部106が設けられている。蓋体102は一端に回動軸107をもち、この回動軸107が案内部106と係合している。
この容器ホルダ装置100では、蓋体102は、回動軸107を中心に開口108を覆う閉位置(図16中A位置)から開口108を開く開位置(図16中B位置)にまで回動する。この回動により開口108が開閉される。そして、蓋体102を開位置にまで回動させた後に、回動軸107を案内部106の延設方向に沿って下方にスライドさせることで、蓋体102を退避空間105に収容する。また、ホルダ本体101には、収容空間103内部を上下に移動する載置台110が取付されている。開口108から収容空間103に挿入された容器111の底面をこの載置台110で受けて保持することで、容器111を保持することができる。
ところで、このような容器ホルダ装置100では、容器111の底面を保持するため設けられている載置台110の分だけ部品点数が多くなるために、製造コストが高くなる問題があった。
このため、近年では、蓋体を載置台として利用する容器ホルダ装置が開発されている。この容器ホルダ装置を模式的に表す断面図を図17に示す。
図17に示される容器ホルダ装置120は、蓋体121を下方にスライドさせ収容空間122内に移動させて開口123を開閉するものである。そして、収容空間内122にスライドした蓋体121を載置台として利用し、この蓋体121で容器125の底面を保持する。
しかし、このような容器ホルダ装置120では、容器125を保持する面は、蓋体121のうち、開口123を閉じた状態で容器ホルダ装置120表面に表出する意匠面126である。このため、容器125を保持する際に意匠面126が傷つく場合があり、この場合には容器ホルダ装置120の意匠性を著しく損なう場合があった。また例えば、傷つき防止用のプロテクタを意匠面126に取りつけて、意匠面126が傷つくことを防止することもできるが、この場合にも、開口を123閉じた状態で、容器ホルダ装置120表面にプロテクタが表出するために、容器ホルダ装置120の意匠性が悪くなる問題があった。
特開2003−165370
本発明は、安価に製造され、かつ、意匠性に優れた容器ホルダ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の容器ホルダ装置は、箱状をなし上方に開口するとともに収容空間を構成するホルダ本体と、一表面に意匠面を持つ板状をなす蓋本体と、蓋本体から延び第1係合部を備える脚部と、をもちホルダ本体の開口を開閉する蓋体と、を備え、第1係合部はホルダ本体の内周側壁に枢支され、蓋体は、第1係合部を中心に回動することで、意匠面を上方に向けて開口を覆う閉位置と、意匠面と反対側の保持面を上方に向けて収容空間の内部に収容される開位置と、の間を変位し、開位置で開口から挿入された容器の底面を保持面で受けて保持するように構成されたことを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の他の容器ホルダ装置は、箱状をなし上方に開口するとともに収容空間を構成するホルダ本体と、一表面に意匠面を持つ板状をなす蓋本体と、蓋本体から延び第1係合部を備える脚部と、をもち、ホルダ本体の開口を開閉する蓋体と、を備え、ホルダ本体は、内周側壁に、開口側から収容空間の奥側に向けて延び第1係合部とスライド可能に係合して第1係合部を案内する第1案内部をもち、蓋体は、第1係合部を中心に回動するとともに第1係合部が第1案内部に案内されて移動することで、意匠面を上方に向けて開口を覆う閉位置と、意匠面と反対側の保持面を上方に向けて収容空間の内部に収容される開位置と、の間を変位し、開位置で開口から挿入された容器の底面を保持面で受けて保持するように構成されたことを特徴とする。
本発明の容器ホルダ装置において、上記脚部は、上記第1係合部よりも上記蓋本体に近い位置に設けられている第2係合部を備え、上記ホルダ本体は、内周側壁に、上部から円弧状に下方に延出し第2係合部とスライド可能に係合して第2係合部を案内する第2案内部をもち、上記蓋体は、上記第1係合部を中心に回動するとともに第2係合部が第2案内部に案内されて移動するようにしてもよい。
本発明の容器ホルダ装置において、上記脚部は、上記第1係合部よりも上記蓋本体に近い位置に設けられている第2係合部を備え、上記ホルダ本体は、内周側壁に、鉛直方向に延び上記第1係合部とスライド可能に係合して上記第1係合部を案内する第1案内部と、上部が第1案内部よりも上方で鉛直方向に延びるとともに下部が円弧状に第1案内部の下方に延出し第2係合部とスライド可能に係合して第2係合部を案内する第2案内部とをもち、上記蓋体は、上記第1係合部が第1案内部に案内されて移動するとともに第2係合部が第2案内部に案内されて移動するようにしてもよい。
本発明の容器ホルダ装置は、上記蓋体に接続されている連結部と、連結部に接続されている接続端と上記ホルダ本体の表面に表出している操作端とをもつ操作部とをもち、連結部と操作部とがホルダ本体に対して変位可能なように上記ホルダ本体に取り付けられているリンク部材を備え、操作部の操作端が変位することで、リンク部材は上記蓋体を駆動し変位させることが好ましい。
本発明の容器ホルダ装置において、上記ホルダ本体は上記収容空間の側方に退避空間をもち、上記蓋体は、上記開位置と上記閉位置との間を回動する途中で、上記意匠面および上記保持面を側方に向けて退避空間に収容される退避位置に変位し、蓋体が退避位置に変位しているときに上記開口から挿入された容器の底面を上記ホルダ本体の内周底壁で受けて保持するように構成されていることが好ましい。
本発明の容器ホルダ装置によると、蓋体の一表面が開口を閉じた状態で容器ホルダ装置表面に表出する意匠面となり、意匠面と反対側の面が容器の底面を保持する保持面となる。このため、容器を保持する際に意匠面が傷つくことはなく、容器ホルダ装置の意匠性が損なわれることはない。また、蓋体を載置台として利用するために、載置台を別途設ける必要はなく、容器ホルダ装置の製造コストを低減することができる。
本発明の容器ホルダ装置の一例を模式的に表す断面図を図1〜9に示し、本発明の容器ホルダ装置を図を基に説明する。
本発明の第1形態の容器ホルダ装置の一例を模式的に表す図を図1に示す。
図1に示される第1形態の容器ホルダ装置1において、ホルダ本体2は略箱状の形状に形成される。このホルダ本体2は、上方に開口するとともに箱内部に収容空間3を構成する。このホルダ本体2は内周壁と外周壁とをもつ2重構造になっており、内周壁が収容空間を区画し、外周壁が容器ホルダ装置1の表面に表出している。
開口5は、容器6を保持する際に容器6を挿入するための部分となり、収容空間3は開口5から収容された容器6の少なくとも底部が収容される部分となる。
蓋体7はホルダ本体2の開口5を開閉する。この蓋体7は板状をなし、一表面に意匠面8をもつ。意匠面8は、開口5を閉じる際に容器ホルダ装置1の表面に表出する面となる。
蓋体7はホルダ本体2に回動可能に保持される。そして、回動によって意匠面8を上方に向けて開口5を覆う閉位置(図1中A位置)と、意匠面8と反対側の面である保持面10を上方に向けて収容空間3の内部に収容される開位置(図1中B位置)との間を変位する。さらに蓋体7は、開位置において開口5から挿入された容器6の底面を保持面10で受けて保持する。
本発明の容器ホルダ装置1では、蓋体7が閉位置にまで回動した際に保持面10が上方に配置され、この保持面10で容器6の底面を保持する。このため、容器6を保持する際にも意匠面8が容器6に当接することはなく、意匠面8が容器6によって傷つけられることはない。また、意匠面8が容器6によって傷つけられることがないために、上述した従来の容器ホルダ装置1のように傷つき防止用のプロテクタ等を設ける必要もなく、容器ホルダ装置1の意匠性が損なわれることはない。
そして、蓋体7を載置台として利用するために、載置台を別途設ける必要はなく、容器ホルダ装置1の製造コストを低減することができる。
本発明の容器ホルダ装置1において、蓋体7が回動する回動中心は蓋体7の幅方向(図1中W方向)の端部寄りの位置に設けても良いし、幅方向の中央寄りの位置に設けても良い。回動中心を幅方向の中央寄りの位置に設ける場合には、蓋体7の回動半径を小さくすることができるために、回動の際に蓋体7が開口5の外縁11と干渉することが回避される。したがって、蓋体7を閉位置においてホルダ本体2の表面とを閉位置において略面一に配置することができ、容器ホルダ装置1をさらに意匠性に優れたものにできる利点がある。
また、回動中心は蓋体7のうち意匠面8寄りの位置に設けても良いし、保持面10側に突出した位置に設けても良い。例えば、蓋体7を本体と本体から延びる脚部12とを持つものとし、この脚部12に回動中心を設けることで、回動中心を保持面10側に突出した位置に設ける場合には、蓋体7を回動させ開口5を開閉する際にも、蓋体7が開口5の上方に大きく突出することはなく、容器ホルダ装置1が嵩張ることが回避される。
蓋体7は、自身がホルダ本体2に保持されても良いし、他部材を介して保持されても良い。また蓋体7は、その一部を回動として回動しても良いし、その他の部分を回動中心として回動しても良い。例えば、ホルダ本体2と蓋体7とを連絡部材を介して取りつけ、この連絡部材をホルダ本体2に回動可能に取りつけるとともに蓋体7をこの連絡部材に固定する場合には、連絡部材を回動させることで蓋体7を回動させることができる。この場合には、蓋体7が回動する回動中心は連絡部材の回動軸、すなわち、蓋体7以外の部分となる。
さらに、開位置と閉位置とで蓋体7の回動をロックするロック手段を設けることや、蓋体7を緩やかに回動させるダンパ手段を設けることもできる。ロック手段を設ける場合には、蓋体7を開位置と閉位置とでロックでき、例えば車両が走行する際の衝撃等によって蓋体7が意に反して回動することを防止できる。また、ダンパ手段を設ける場合には、蓋体7が緩やかに回動するために、同様に蓋体7が意に反して回動することを防止でき、さらに、蓋体7の開閉動作を見栄え良くおこなうことができる。なお、ロック手段やダンパ手段としては既知の構造からなるものを利用できる。
本発明の第2形態の容器ホルダ装置1の一例を模式的に表す図を図2に示す。
図2に示される第2形態の容器ホルダ装置1は、第1形態の容器ホルダ装置1と同様にホルダ本体2と蓋体7とをもち、蓋体7が回動することで、閉位置(図2中A位置)と開位置(図2中B位置)との間を変位する。そして開位置において容器6の底面を保持面10で受けて保持する。
この第2形態の容器ホルダ装置1において、蓋体7は蓋本体15と蓋本体15から延びる脚部12とをもつ形状に形成される。そして、この脚部12には蓋体7の回動中心となる第1係合部16が設けられている。
ホルダ本体2のうち内周壁の側面である内周側壁には、略鉛直方向に延び第1係合部16を保持する第1案内部17が設けられている。この第2形態の容器ホルダ装置1では、蓋体7(蓋本体15)は、脚部12に設けられている第1係合部16を中心に回動するとともに第1係合部16が第1案内部17に案内されて移動することで閉位置と開位置との間を変位する。
この場合、蓋本体15を閉位置から開位置にまで変位させる際には、蓋本体15を第1案内部17に沿って下方にスライドさせた上で回動させる。このため、蓋本体15を開口5の外縁11と離れた位置で回動させることができ、回動の際における蓋本体15と開口5の外縁11との干渉がさらになくなる。したがって、蓋本体15の形状を、閉位置において開口5の外縁11と近接する形状に形成することができ、閉位置において開口5の外縁11と蓋本体15との間に生じる隙間を小さくすることができる。したがって第2形態の容器ホルダ装置1は上述した第1形態の容器ホルダ装置1の効果に加えて、容器ホルダ装置1をさらに意匠性に優れたものにできる効果がある。
この容器ホルダ装置1では、第1案内部17を凹形状に形成するとともに第1係合部16を凸形状に形成することもできるし、第1案内部17を凸形状に形成するとともに第1係合部16を凹形状に形成することもできる。第1案内部17を凹形状に形成するとともに第1係合部16を凸形状に形成する場合には、第1案内部17と第1係合部16とを簡単な構造で構成できる利点がある。
本発明の第3形態の容器ホルダ装置1の一例を模式的に表す図を図3に示す。
図3に示される第3形態の容器ホルダ装置1も、第1形態の容器ホルダ装置1と同様に、蓋体7が回動し閉位置(図3中A位置)と開位置(図3中B位置)との間を変位するとともに、開位置において容器の底面を保持面10で受けて保持するものである。
この第3形態の容器ホルダ装置1において、脚部12は、第1係合部16と第1係合部16より上方に設けられている第2係合部22とを備える。なお、ここでいう上方とは、閉位置における蓋体の上方を指す。
ホルダ本体2の内周側壁には、上部から略円弧状に下方に延出する第2案内部20が設けられている。第1係合部16はホルダ本体2の内周側壁に枢支されている。また、第2係合部22は第2案内部20に保持されている。
蓋体7(蓋本体15)が第1係合部16を中心に回動すると、第2係合部22は、上端から円弧状に下方に延出する第2案内部20に案内されて略円弧状に移動する。したがって、第3形態の容器ホルダ装置1によると、上述した第1形態の容器ホルダ装置1の効果に加えて、第2係合部22と第2案内部20とによって蓋本体15が回動する方向を案内することで蓋本体15を滑らか回動させる効果がある。
本発明の第4形態の容器ホルダ装置1の一例を模式的に表す図を図4〜7に示す。
図4〜7に示される第4形態の容器ホルダ装置1では、第1形態の容器ホルダ装置1と同様にホルダ本体2と蓋体7とをもち、蓋体7が回動することで、閉位置と開位置との間を変位する。そして閉位置において容器6の底面を保持面10で受けて保持する。
そして、第2形態および第3形態の容器ホルダ装置1と同様に、蓋体7が蓋本体15と脚部12とをもつ形状に形成されている。
第4形態の容器ホルダ装置1では、ホルダ本体2の内周側壁に第2形態のものと同様の第1案内部17が設けられるとともに、上部が第1案内部17よりも上方で略鉛直方向に延びるとともに下部が略円弧状に第1案内部17の下方に延出する第2案内部20が設けられている。そして、第1係合部16が第1案内部17に保持され第1案内部17に案内されて移動するとともに第2係合部22が第2案内部20に保持され第2案内部20に案内されて移動するようになっている。
この容器ホルダ装置1では、図4に示すように、第1係合部16が第1案内部17の上側に配置され、第2係合部22が第2案内部20の上側である略鉛直に延びる部分に配置されている状態で、蓋体7(蓋本体15)が閉位置(図4中A位置)に配置される。この蓋本体15を開位置にまで変位させる場合には、先ず、図5に示すように第1係合部16および第2係合部22が第1案内部17および第2案内部20によって下方に略鉛直に案内される。次に、図6に示すように第1係合部16を中心に蓋本体15が回動する。このとき、第2係合部22は第2案内部20の円弧状に伸びる部分に沿って下方に案内される。そして、図7に示すように、蓋本体15がさらに回動して第2係合部22が第2案内部20の下端側に配置されると、蓋本体15は開位置(図7中B位置)に配置される。
第4形態の容器ホルダ装置1では、第1形態の容器ホルダ装置1の効果に加えて、第2形態の容器ホルダ装置1と同様に蓋本体15を開口5の外縁11と離れた位置で回動させることで、閉位置において開口5の外縁11と蓋本体15との間に生じる隙間を小さくすることができ、容器ホルダ装置1をさらに意匠性に優れたものにできる効果がある。また、第3形態の容器ホルダ装置1と同様に、蓋本体15が回動する方向を第2係合部22と第2案内部20とによって案内して蓋本体15を滑らかに回動させる効果がある。
なお、ここでは第1案内部17と第2案内部20とを一体に設けた例を示したが、これに限らず、第1案内部17と第2案内部20とを別体に設けても良い。
本発明の第5形態の容器ホルダ装置1の一例を模式的に表す図を図8に示す。
図8に示される第5形態の容器ホルダ装置1は、第1形態の容器ホルダ装置1と同様にホルダ本体2と蓋体7とをもち、蓋体7が回動することで、閉位置(図8中A位置)と開位置(図8中B位置)との間を変位する。そして閉位置において容器の底面を保持面10で受けて保持する。
第5形態の容器ホルダ装置1は、さらに、蓋体7に接続されている連結部25と一端が連結部25に接続され他端がホルダ本体2の表面に表出している操作部26とをもつリンク部材27をもち、操作部26を変位させて蓋体7の変位を駆動するようになっている。
図8に示される第5形態の容器ホルダ装置1では、リンク部材27の連結部25と操作部26とが一体に形成された略L字状に形成されている。連結部25は、一端が蓋体7の幅方向の端側に設けられている第3係合部28に回動可能に接続されている。そして他端に設けられている枢支部30がホルダ本体2の内周側壁の外面側に回動可能に保持されている。連結部25のうち枢支部30が設けられている端部からは、さらに、ホルダ本体2の表面側に向けて操作部26が延びている。この操作部26のうち連結部25と反対側の端部は、ホルダ本体2の上面に設けられている長尺の窓部31を通して外部に表出し、操作端33を構成している。
蓋体7には、上述した第3係合部28以外にも、第1係合部16が設けられている。この第1係合部16は、ホルダ本体2の内周側壁に設けられている湾曲した溝状の第1案内部17に保持されている。そして、蓋体7は第1係合部16を中心に回動するとともに第1案内部17に案内されて移動するようになっている。
蓋体7を閉位置に配置した状態で、リンク部材27の操作部26を矢印a方向に変位させると、リンク部材27の連結部25が枢支部30を中心に回動する。そしてこの連結部25の回動に伴って連結部25の一端に接続されている蓋体7の第3係合部28が矢印b方向に変位するために、蓋体7は連結部25の回動に伴って第1係合部16を中心に回動するとともに第1案内部17に案内されて移動し、閉位置から開位置にまで変位する。
第5形態の容器ホルダ装置1では、第1形態の容器ホルダ装置1の効果に加えて、リンク部材27が設けられていることで、例えば蓋体7を手動で回動させる場合に比べて、容器ホルダ装置1の開閉操作を簡便におこなうことができる。
なお、ここではリンク部材27の一例を示したが、これに限らず、既知の種々の機構を組み合わせたものをリンク部材27として用いることができる。さらに、ここで例示したリンク部材27は、連結部25と操作端33とが一体になったものであるが、連結部25と操作端33とが別体で設けられ接続されてなるものを用いることもできる。さらに、ここで用いたリンク部材27は蓋体7の回動を機械的に操作するものであるが、蓋体7の回動を電気的に操作するものを用いても良い。
本発明の第6形態の容器ホルダ装置1の一例を模式的に表す図を図9に示す。
図9に示される第6形態の容器ホルダ装置1は、第1形態の容器ホルダ装置1と同様にホルダ本体2と蓋体7とをもち、蓋体7が回動することで、閉位置(図9中A位置)と開位置(図9中B位置)との間を変位する。そして閉位置において容器6の底面を保持面10で受けて保持する。
この容器ホルダ装置1では、ホルダ本体2は収容空間3の側方に退避空間35をもつ。そして、蓋体7は、回動によって、閉位置と開位置との他に意匠面8および保持面10を側方に向けて退避空間35に収容される退避位置(図9中C位置)にまで変位する。蓋体7が退避位置に配置されると、収容空間3内部のうち底部分は開放され、収容空間3が見かけ上深くなる。そして、このとき開口5から挿入された容器6の底面をホルダ本体2の内周底壁36で受けて保持することができる。
この場合には、蓋体7を閉位置に配置させ蓋体7の保持面10で容器6を保持する場合よりも丈の高い容器6を安定して保持することができる。したがって、第6形態の容器ホルダ装置1では、蓋体7を閉位置に配置させたときと蓋体7を退避位置に配置させたときとで異なる大きさの容器6を安定して保持でき、第1形態の容器ホルダ装置1の効果に加えて、種々の形状の容器6に対応する効果が発揮される。
以下、本発明の容器ホルダ装置1を図面を基に説明する。
(実施例1)
本実施例の容器ホルダ装置1は、第4形態および第5形態の容器ホルダ装置1の例である。実施例1の容器ホルダ装置1を模式的に表す断面図を図10〜図12に示す。
本実施例の容器ホルダ装置1は、図4〜7に示した第4形態の容器ホルダ装置1と同じ蓋体7を持ち、ホルダ本体2には、図4〜7に示した第4形態の容器ホルダ装置1と同じ第1案内部17と第2案内部20とが設けられている。
この容器ホルダ装置1はリンク部材27をもつ。リンク部材27は各々別体に設けられた操作部26と連結部25とをもつ。リンク部材27は、ホルダ本体2の内周側壁のうち収容空間3の外部側の一面である内周側壁外面40に取りつけられている。
連結部25は、長尺状に延びる長尺部42と、長尺部42の両端部から略同方向に鎌状に屈曲して延びる屈曲部43とを持つ略コ字の板状に形成されている。連結部25のうち長尺部42の一端側には、長尺方向に延びる長溝45が設けられている。この長溝45は、ホルダ本体2の内周側壁に設けられている第2案内部20を貫通し内周側壁外面40に突出している第2係合部22を保持する。
連結部25のうち一方の屈曲部43である第1屈曲部46には、その基部に、孔状の第1枢支部47が設けられている。この第1枢支部47は、ホルダ本体2の内周側壁外面40に設けられている突起状の第1被枢支部48に枢支されている。そして連結部25は、この第1枢支部47を中心に回動するようになっている。連結部25のうち他方の屈曲部43である第2屈曲部50は、端面が湾曲形状に形成されている。この湾曲した端面には第1ラック51が形成されている。そして、ホルダ本体2の内周側壁外面40には、第1ラック51に対面する位置に、第1ラック51と噛み合って回転する第1ピニオン52が配置されている。
操作部26は、略扇形の板状に形成されている。そして、操作部26のうち狭幅の一端部は、ホルダ本体2の上面に設けられている長尺の窓部31を通してホルダ本体2の表面に表出し、操作端33を構成している。また、操作部26の略中央部には、孔状の第2枢支部(図示せず)が設けられている。この第2枢支部は、ホルダ本体2の内周側壁外面40に設けられている突起状の第2枢支部(図示せず)に枢支されている。そして、操作部26はこの第2枢支部を中心に回動するようになっている。なお、本実施例では操作部26と連結部25とは互いに独立して回動する。
操作部26のうち広幅の端部は、端面が湾曲形状に形成されいる。そしてこの湾曲した端面には第2ラック55が形成されている。さらに、ホルダ本体2の内周側壁外面40には、第2ラック55に対面する位置に、第2ラック55と噛み合って回転する第2ピニオン56が配置されている。
ホルダ本体2の内周側壁外面40には、さらに、略円盤状の回転部材57が配置されている。この回転部材57は、中心に孔状の第3枢支部58をもち、内周側壁外面40に設けられている突起状の第3被枢支部60に回転可能に枢支されている。
この回転部材57のうち平板面の外周側部分には、巻きバネからなる第1連結バネ部61の一端が取りつけられている。そして、第1連結バネ部61の他端は、第2ピニオン56の平板面の外周側部分に取りつけられている。
さらに、回転部材57の平板面のうち、第1連結バネ部61が取りつけられている部分と離間した外周側部分には、巻きバネからなる第2連結バネ部62の一端が取りつけられている。この第2連結バネ部62の他端は、連結部25の第1屈曲部46の端部に取りつけられている。
回転部材57の平板面には、さらに、第1連結バネ部61および第2連結バネ部62が取りつけられている部分を避けて、トーションバネからなる付勢手段63の一端が取りつけられている。この付勢手段63の他端は、内周側壁外面40に回動可能に取りつけられている。本実施例の容器ホルダ装置1では、操作部26、連結部25、第1連結バネ部61、第2連結バネ部62、回転部材57、第1ピニオン52、第2ピニオン56、および付勢手段63によって、リンク部材27が構成される。
本実施例の容器ホルダ装置1は、以下のように動作する。
先ず、蓋体7が閉位置に配置されている状態では、リンク部材27は図10に示される各位置に配置される。この状態で操作端33を図10中矢印a方向に変位させると、操作部26が第2枢支部を中心に回動し図11に示す位置に配置される。このとき、操作部26の第2ラック55と噛み合っている第2ピニオン56は図10中矢印b方向に回転する。第2ピニオン56が回転すると、第2ピニオン56に取りつけられている第1連結バネ部61が引っ張られ、第1連結バネ部61の他端に取りつけられている回転部材57が、図10中矢印c方向に回転する。さらに、回転部材57の回転によって第2連結バネ部62が引っ張られる。
ここで、連結部25の第1ラック51には、第1ピニオン52が噛み合っている。この第1ピニオン52は回転し難いように負荷がかかっており、ダンパとして働く。したがって、このとき、回転部材57に取りつけられている第2連結バネ部62は、回転部材57の回転によって引っ張られた分だけ伸び方向に力が加わり、図11に示すように伸び方向に弾性変形する。
回転部材57に取り付けれている付勢手段63には、回転部材57が回転することで縮み方向に力が加わり、図11に示すように縮み方向に弾性変形する。
この状態で、さらに操作端33を図11中矢印a方向に変位させると、操作部26がさらに回動する。このとき、操作部26の第2ラック55と噛み合っている第2ピニオン56は図11中矢印b方向にさらに回転し、第2ピニオン56に取りつけられている第1連結バネ部61がさらに引っ張られて、第1連結バネ部61の他端に取りつけられている回転部材57が、図11中矢印c方向にさらに回転する。
このとき、回転部材57の回転によって第2連結バネ部62が引っ張られる力が閾値を超えるために、第1ピニオン52が回転し、連結部25が図11中矢印d方向に回動する。このとき、連結部25の長溝45に保持されている蓋体7の第2係合部22は、この回動によって動かされ、第2案内部20に案内されて移動する。そして、第2係合部22の移動によって第2係合部22をもつ蓋体7自身も駆動されて、開位置方向に回動しつつ移動する。
さらにこのとき、回転部材57の回転によって付勢手段63に働く力も閾値を超えるために、付勢手段63は内周側壁外面40に取りつけられている部分を中心に図11中矢印e方向に回動し、開き方向に弾性変形する。この付勢部材の回動によって、回転部材57はさらに矢印c方向に回転するために、連結部25はさらに大きく矢印d方向に回動し、蓋体7の回動と移動とはさらに駆動されて、図12に示すように、蓋体7が開位置にまで変位する。
本実施例の容器ホルダ装置1によると、上述した第1形態の容器ホルダ装置1と同じく、保持面10で容器6の底面を保持することで、意匠面8が容器6によって傷つけられることはなく、傷つき防止用のプロテクタ等を設ける必要もない。したがって、容器ホルダ装置1は意匠性に優れたものとなる。そして、蓋体7を載置台として利用することで、載置台に要する製造コストを削減することができる。
そして第5形態の容器ホルダ装置1と同じく、リンク部材27が設けられていることで、容器ホルダ装置1の開閉操作を簡便におこなうことができる。
さらに、リンク部材27を構成する第1連結バネ部材61、第2連結バネ部材62および第1ピニオン52によって、操作部26、連結部25、回転部材57、第2ピニオン56、および蓋体7は緩やかに連動する。このため蓋体7の開閉動作は見栄え良くおこなわれる。そして、第1ピニオン52がダンパとして働くことで、振動等により意に反して蓋体7が回動することが防止される。
なお、図示しないが、蓋体7の脚部12は蓋本体15の対向する位置に2つ設けられ、この脚部12は互いに対称な位置に第1係合部16と第2係合部22とをもつ。そして、ホルダ本体2の内周側壁のうち内周側壁外面40と対向する面にも、内周側壁外面40に設けられているものと同じ第1案内部17と第2案内部20とが設けられている。さらに、ホルダ本体2の内周側壁のうち内周側壁外面40と対向する面にも、上述したものと同じ連結部25が枢支されている。このため、蓋体7の変位はバランス良くおこなわれる。また、蓋体7をさらにバランス良く変位させるために、本実施例で示した位置以外の位置にさらなるリンク手段を設けても良い。
(実施例2)
本実施例の容器ホルダ装置1は、第4形態、第5形態および第6形態の容器ホルダ装置1の例である。実施例2の容器ホルダ装置1を模式的に表す断面図を図13〜15に示す。
本実施例の容器ホルダ装置1は、図4〜7に示した第4形態の容器ホルダ装置1と同じ蓋体7を持ち、ホルダ本体2には、図4〜7に示した第4形態の容器ホルダ装置1と同じ第1案内部17と第2案内部20とが設けられている。
本実施例の容器ホルダ装置1は、実施例1の容器ホルダ装置1と同じ蓋体7を持ち、ホルダ本体2には、実施例1の容器ホルダ装置1と同じ第1案内部17と第2案内部20とが設けられている。そして、この容器ホルダ装置1にもリンク部材27が設けられている。
本実施例2において、リンク部材27は各々別体の操作部26と連結部25とをもつ。リンク部材27は、ホルダ本体2のうち内周側壁外面40に取りつけられている。
連結部25は、長尺状に延びる長尺部42と、長尺部42の一端から屈曲して延びる屈曲部43とをもつ略L字の板状に形成されている。連結部25のうち長尺部42の一端側には、長尺方向に延びる長溝45が設けられている。この長溝45は、ホルダ本体2の内周側壁に設けられている第2案内部20を貫通し内周側壁外面40から突出する第2係合部22を保持する。
屈曲部43の基部には、孔状の第1枢支部65が設けられている。この第1枢支部65は、ホルダ本体2の内周側壁外面40から延びる突起状の第1被枢支部66に枢支されている。そして連結部25は、この第1枢支部65を中心に回動するようになっている。また、屈曲部43の端部には突起状の第2枢支部67が設けられている。
操作部26は略扇形の板状に形成され、操作部26のうち狭幅の端部は、実施例1のものと同様に操作端33を構成している。また、操作部26のうち広幅の端部寄りの部分には、孔状の第3枢支部68が設けられている。この第3枢支部68は、ホルダ本体2の内周側壁外面40から延びる突起状の第3被枢支部70に枢支されている。そして、操作部26はこの第3枢支部68を中心に回動するようになっている。操作部26のうち広幅の端部は、端面が湾曲形状に形成されている。そして、この湾曲した端面には所定の3箇所に切り欠き形状の凹部71が形成されている。操作部26のうち、操作端33寄りの位置には孔状の第2被枢支部72が設けられている。そして、この第2被枢支部72は、連結部25の第2枢支部67を枢支している。本実施例の容器ホルダ装置1では、操作部26と連結部25とからリンク部材27が構成されている。
本実施例の容器ホルダ装置1において、ホルダ本体2には収容凹部71の外側に収容凹部71と連通した退避空間35が設けられている。
また、ホルダ本体2には、内周側壁外面40から延びるロック手段73が設けられている。このロック手段73は板バネからなり、端部側に隆起した凸部75をもつ。この凸部75は操作部26のそれぞれの凹部71に係止する形状になっている。
本実施例の容器ホルダ装置1は、以下のように動作する。
先ず、蓋体7が閉位置に配置されている状態では、リンク部材27は図13に示される各位置に配置される。この状態で操作端33を図13中矢印a方向に変位させると、操作部26が第3枢支部68を中心に回動する。ここで、蓋体7が閉位置に配置されている状態では、操作部26の凹部71のうち端側に配置されている第1凹部76にロック手段73の凸部75が係止して、操作部26の回動がロックされている。しかし、操作端33を変位させ操作部26が回動する際に第1凹部76もまた図13中矢印a方向に回動するため、ロック手段73の凸部75が第1凹部76により押圧されてロック手段73が弾性変形し、第1凹部76が凸部75を乗り越える。すると第1凹部76と凸部75との係止が解除されて、ロックが解除される。
このとき、操作部26の第2被枢支部78に枢支されている連結部25の第2枢支部67は、操作部26の回動に伴って図13中矢印a方向に押圧される。従って、連結部25もまた第1枢支部65を中心に図13中矢印a方向に回動する。この連結部25の回動によって、連結部25の長溝45に保持されている蓋体7の第2係合部22が動かされ、第2案内部20に案内されて移動する。したがって、第2係合部22の移動によって蓋体7自身も駆動されて回動しつつ移動し、図14に示すように、意匠面8と保持面10とを側方に向けた退避位置に配置される。
このとき、操作部26の凹部71のうち中間位置に配置されている第2凹部77にロック手段73の凸部75が係止して、操作部26の回動がロックされる。したがって、蓋体7が退避位置に配置されている状態で蓋体7の回動がロックされる。
次に、操作端33をさらに図14中矢印a方向に変位させると、操作部26がさらに回動してロック手段73の凸部75と操作部26の第2凹部77との係止が解除され、連結部25が回動して、蓋体7の変位が駆動され、図15に示すように、保持面10を上方に向けた開位置に配置される。このとき、操作部26の凹部71のうち第1凹部76と逆側の端部に配置されている第3凹部78にロック手段73の凸部75が係止して、操作部26の回動がロックされる。したがって、蓋体7が開位置に配置されている状態で蓋体7の回動がロックされる。
本実施例の容器ホルダ装置1によると、実施例1のものと同様に、蓋体7を開位置に変位させると保持面10で容器の底面を保持できる。このため、意匠面8が容器によって傷つけられることが防止され、傷つき防止用のプロテクタ等を設ける必要もない。したがって、容器ホルダ装置1は意匠性に優れたものとなる。そして、蓋体7を載置台として利用することで、載置台に要する製造コストを削減することができる。そしてリンク部材27が設けられていることで、容器ホルダ装置1の開閉操作を簡便におこなうことができる。
また、本実施例の容器ホルダ装置1によると、蓋体7を退避位置に変位させると、ホルダ本体2の内周底壁36で容器6を保持することができる。このとき、収容凹部71の底側が開放されるために、収容空間3が見かけ上深くなり、蓋体7を閉位置に配置させ蓋体7の保持面10で容器を保持する場合よりも丈の高い容器を安定して保持することができる。このため、本実施例の容器ホルダ装置1では、種々の形状の容器を安定して保持できる効果が発揮される。
第1形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第2形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第3形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第4形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第4形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第4形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第4形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第5形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
第6形態の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
実施例1の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
実施例1の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
実施例1の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
実施例2の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
実施例2の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
実施例2の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
従来の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
従来の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
符号の説明
100:容器ホルダ装置 101:ホルダ本体 102:蓋体 103:収容空間 110:載置台
120:容器ホルダ装置 121:蓋体 122:収容空間 123:開口 126:意匠面
1:容器ホルダ装置 2:ホルダ本体 3:収容空間 5:開口 6:容器 7:蓋体 8:意匠面 10:保持面 12:脚部 15:蓋本体 16:第1係合部 17:第1案内部 20:第2案内部 22:第2係合部 25:連結部 26:操作部 27:リンク部材 35:退避空間 36:内周底壁