JP4328543B2 - ランプバルブ用アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス - Google Patents

ランプバルブ用アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランプバルブ(ランプの球部もしくはガラス球、以下、ランプバルブという用語を統一して使用する)用のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスに関する。本発明はまた、このガラスの使用に関する。さらにまた、本発明は、このガラスから作製されたランプバルブ及びそれ有するハロゲンランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
高い転移温度Tgと高い歪点SPを有する無着色ガラスは、例えばイルミネーションや自動車部門などのハロゲンランプ用のバルブ材料として使用されている。
プランクの放射法則によれば、これらのハロゲンランプから発出された光の色感覚は、可視スペクトル領域においては付加的なフィルターリング(濾光作用)は稀であるため、白熱フィラメントの温度に依存する。
白熱フィラメントの温度が上昇すると、光の色感覚は青色にシフトする。この「色感覚」は、DIN(ドイツ工業規格)5033に従って測定でき、3つの3色係数(色度座標)x、y、Yで表わされ、これらの指標は色軌跡としても知られている。
【0003】
あるいは別の表示としては、光の「色温度」を与えることも可能である。これは、プランクの黒体の熱放射体が、特徴付けられるべき光とできるだけ類似したスペクトルのシフトを有するときの温度と定義付けられる。色温度の上昇は、色感覚における「青色」へのシフトに相当する。
感知された光の色温度はできるだけ高いことが望ましい。それによって、例えば自動車のヘッドランプなどに要望されるように、ランプは特に明るく印象的に見える。直径16mm、壁厚1.4mmの標準的な無着色硬質ガラスバルブからなる出力65Wのハロゲンランプは、例えば、ウルブリヒト(Ulbricht)球を用いて測定した色温度が例えば約3100Kである。
【0004】
白熱フィラメント温度の上昇、従ってまた色温度の上昇は、バルブ材料だけでなくその熱負荷に耐える能力によっても制限され、特にまたフィラメント材料及びその有効寿命によっても制限される。
ハロゲンランプから発出される光の色感覚は、およそ高圧ランプ又はガス放出ランプの発光色に一致することが望ましい。種々の方法で高圧ランプ及びガス放出ランプの発光色に真似たハロゲンランプは既に市販されている。
【0005】
ランプの色感覚は、例えば標準的なハロゲンランプのバルブに着色皮膜を設けることによって変えることができる。しかしながら、この場合、ランプバルブの製造後に付加的にコストがかかる工程をさらに行なわねばならず、この工程はランプ製造業者にとって通常行なうことができない。また、長期間使用後には、層の剥離の結果として皮膜の劣化現象が生じ、皮膜は光の透過において、従って、光の色感覚において比較的著しい揺らぎを生じる。さらにランプの全表面に一定の層厚を達成することは困難である。
【0006】
付加的に層を適用する方法とは別の方法としては、非常にSiOに富む高価なバイコール(登録商標)ガラス(コーニング社製)として知られるガラスから作製された全体的に着色されたガラス管が用いられる。このガラスは、加工及び溶融における欠点を有し、即ち、例えば、ハロゲンランプに用いられる慣用の硬質ガラスよりも著しく高い温度でのみ加工できる。例えば、市販の硬質ガラスの作業点Vは1250〜1300℃の範囲にあるのに対し、バイコールガラスのそれは>1600℃である。さらに、硬質ガラスとバイコールガラスの熱膨張も異なる。これらの及び他の相違により、バイコールガラスは標準的なハロゲンランプ製造施設では容易に加工することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高い色温度、特に少なくとも3400Kの色温度を有するハロゲンランプ用のバルブ用ガラスを提供することにある。また、標準的なハロゲンランプ製造施設で付加的な加工工程もなくランプバルブを製造可能でなければならない。さらに、ガラスはハロゲンランプガラスに通常求められる要求を満足すべきであり、即ち、モリブデンの熱膨張特性に適合した熱膨張及び充分な熱安定性を示し、アルカリ金属を含有しないことが必要である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明に係るアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスによって達成される。このガラスは、ランプバルブガラスとして適しており、好適には、酸化物基準でSiO2 >55〜64質量%、好ましくは>58〜62質量%;Al23 13〜18質量%、好ましくは13.5〜17.5質量%;B23 0〜5.5質量%;MgO 0〜7質量%;CaO 5〜14質量%、好ましくは5.5〜14質量%;SrO 0〜8質量%;BaO 6〜17質量%、好ましくは6〜10質量%;ZrO2 0〜2質量%;CeO2 0〜0.3質量%;TiO2 0〜0.5質量%の基礎ガラス系からなる。このタイプの基礎ガラスは、例えばドイツ特許DE 197 47 354C1、DE 197 47 355C1及びDE 197 58 481C1に記載されているが、本発明ではさらにCoO 0.01〜0.035質量%、好ましくは0.02〜0.03質量%及びFe23 0.005〜0.05質量%、好ましくは0.015〜0.03質量%を含有する。
【0009】
これらの中でも、例えば、酸化物基準でSiO2 59〜62質量%;Al23 13.5〜15.5質量%;B23 3〜5.5質量%;MgO 2.3〜5質量%;CaO 8.2〜10.5質量%;BaO 8.5〜9.5質量%;ZrO2 0〜1質量%;CeO2 0〜0.3質量%;TiO2 0〜0.5質量%含有する基礎ガラスは、650℃以下のバルブ温度を有するランプバルブ用に特に適しており、一方、酸化物基準でSiO2 >58〜62質量%;Al23 14〜17.5質量%、好ましくは15〜17.5質量%;B23 0〜1質量%、好ましくは0〜0.7質量%;MgO 0〜7質量%;CaO 5.5〜14質量%;SrO 0〜8質量%;BaO 6〜17質量%、好ましくは6〜10質量%;ZrO2 0〜2質量%;CeO2 0〜0.3質量%;TiO20〜0.5質量%含有する基礎ガラスは、650℃を超えるバルブ温度を有するランプバルブ用に特に適している。
【0010】
【発明の実施の形態】
ガラス中のCoO及びFe23含量は本発明にとって必須である。
これらの着色酸化物は、CoOが0.01〜0.035質量%、Fe23が0.005〜0.05質量%の限度内において、ランプにより発出される光のスペクトルを、比較的高温でプランクの黒体の熱放射体のスペクトルと類似するように変え、特にランプが色温度≧3400Kを有するように変える。
ガラスの他の特性に殆ど影響を及ぼさない上記濃度においてさえも、CoOは580〜680nmのスペクトル領域で特に強い吸収(吸光)を示す。ガラスは0.02〜0.03質量%のCoOを含有することが好ましい。
【0011】
Fe23はおよそ450nm及び1000〜1100nmの赤外領域で吸収を示し、比較的に長波長の可視領域においてさえも透過率に著しい影響を及ぼす。但し、Fe23の最大含量は≦0.05質量%に制限されるべきであり、その理由はこれよりも濃度が高いとガラスの他の特性が変化するためである。ガラスは0.015〜0.03質量%のFe23を含有することが好ましい。
さらに、ガラスは0.03質量%以下の量的割合でNiOを含有することができる。NiOは450〜630nmで吸収を示し、特に最も強い吸収帯は450nm、従ってより短波長領域にある。
【0012】
前記2成分、特に前記3成分の着色酸化物を組み合わせて用いることにより、ガラスの色軌跡及び透過率を広い範囲内で狙い通りに正確に設定することが可能となる。
【0013】
ガラスはまた、5質量%以下の量的割合でNd23を含有することができる。Nd23の最も強い吸収帯は580nmと750nmにある。しかしながら、この酸化物は含有しないことが好ましく、その理由は、顕著な作用を達成するために必要な上記比較的高い含量のためだけでなくその低い吸光係数のためにガラスを著しく高価なものにするからである。
ガラスは慣用量で通常の清澄剤を含有することができる。しかしながら、As23及びSb23を含有しないことが好ましい。
【0014】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。
【0015】
実施例1〜3及び比較例
表1は、実施例1〜3と比較例の着色酸化物の含量、測定した色軌跡、それから決定した色温度、及び透過率を示している。
これらの実施例及び比較例の基礎組成は、酸化物基準でSiO2 60.7質量%;Al23 16.5質量%;B23 0.3質量%;CaO 13.5質量%;BaO 7.8質量%;ZrO2 1.0質量%である。
DIN 5033による色軌跡は、この場合x及びyで与えられ(色の明るさを示すY値はここでは考慮されない)、試料厚さ1.4mm、視野(viewing field)2度、プランク3110Kに係る光の条件で測定した。色軌跡に相当する色温度も同様に示されている。
透過率τ[%]も、同様に試料厚さ1.4mm、視野2度、プランク3110Kに係る光の条件で測定した。
【0016】
ガラスは以下のように製造した:原料を計量し、充分に混合した。プロセスにおいては、着色酸化物を混合物として、好ましくはSiO2と共に導入した。これは、要求される少量で計量するときの誤差を最小限にし、着色酸化物が全バッチに亘って均一に分布されるようにすることが可能であるからであり、これはガラスの均質性にとって重要である。ガラスバッチは約1600℃で溶解され、次いで適当な寸法の管状に引き抜かれた。
【0017】
【表1】
Figure 0004328543
比較例と実施例1〜3との対比から、本発明にとって必須の着色酸化物の組合せの影響が明らである。この影響はまた、色軌跡と標準的な高圧ランプの色温度との対比からも明らかであり、値x=0.410、y=0.393とこの標準的なランプの3450Kから、ハロゲンランプのバルブ用の本発明に係るガラスを用いた対象物は高圧ランプの色感覚により近くなったことがわかる。
【0018】
異なるタイプのハロゲンランプは、ランプバルブの直径と壁厚の点において異なる。壁厚は、ランプの色温度に重大な影響を及ぼす。同一のガラス組成でも、壁厚が大きくなるとより低い色温度となる。
色温度に関して前述したことは、約1.4mmのランプバルブ壁厚を有するハロゲンランプに関するものである。実施例2に係るガラスから作製された約1.1mmのランプバルブ壁厚を有するハロゲンランプの場合、比較例に係るガラスから作製された同じ壁厚を有するランプに比べて色温度を250Kだけ上昇させることができ、特に3400Kから3650Kに上昇させることができる。
【0019】
図1は、実施例2に係るガラスについて試料厚さ1.42mmで測定した200〜900nmの範囲の波長に対して分光透過率をプロットしたものである。
短波長可視領域における高い透過率及び比較によって換算される可視スペクトルの長波長領域における透過率は、色感覚が青色にシフトしたことを示している。
【0020】
本発明によればほんの少量の着色酸化物濃度のために、ランプバルブ用、特にハロゲンランプ用に用いるガラスにとって必須の物性、例えば熱膨張率α20/300及び転移温度Tgは、基礎ガラスに比較して殆ど変化しないままである。
例えば、本発明のガラスにおいては、熱膨張率α20/300は4.3×10-6/K〜4.95×10-6/Kの範囲内にあり、転移温度Tgは>700℃である。
従って、また前記スペクトル特性から見て、特に少なくとも2つの着色酸化物CoOとFe23をドープしたガラス、好ましくは3つの着色酸化物CoO、Fe23、NiOをドープしたガラスは、ランプバルブ、特にハロゲンランプバルブ用のバルブ材料としての使用に大いに適している。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係るガラスから作製したランプバルブ、及びこのガラスから作製したバルブを有するハロゲンランプは、それらの色軌跡及び3400K以上の色温度の点から、高圧ランプ及びガス放出ランプの色感覚に著しく近似し、従って、それらの色感覚において従来のハロゲンランプよりもはるかに優れている。ランプバルブの幾何寸法、特にランプバルブ壁厚が適切に選定されれば、本発明に係る3600K以上の色温度を有するハロゲンランプは、さらにより青色で明るい色感覚を達成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2に係るガラスについて、試料厚さ1.42mmで測定した200〜900nmの範囲の波長に対して分光透過率をプロットしたグラフである。

Claims (12)

  1. 酸化物基準で以下の組成
    SiO >55〜64質量%、Al 13〜18質量%、
    0〜5.5質量%、MgO 0〜7質量%、
    CaO 5〜14質量%、SrO 0〜8質量%、
    BaO 6〜17質量%、ZrO 0〜2質量%、
    CeO 0〜0.3質量%、TiO 0〜0.5質量%、
    CoO 0.01〜0.035質量%、
    Fe 0.005〜0.05質量%、
    を有するランプバルブ用のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  2. 酸化物基準で以下の組成
    SiO >58〜62質量%、Al 13.5〜17.5質量%、
    0〜5.5質量%、MgO 0〜7質量%、
    CaO 5.5〜14質量%、SrO 0〜8質量%、
    BaO 6〜10質量%、ZrO 0〜2質量%、
    CeO 0〜0.3質量%、TiO 0〜0.5質量%、
    CoO 0.01〜0.035質量%、
    Fe 0.005〜0.05質量%、
    を有する請求項1に記載のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  3. 酸化物基準で以下の組成
    SiO 59〜62質量%、Al 13.5〜15.5質量%、
    3〜5.5質量%、MgO 2.5〜5質量%、
    CaO 8.2〜10.5質量%、BaO 8.5〜9.5質量%、
    ZrO 0〜1質量%、TiO 0〜0.5質量%、
    CoO 0.01〜0.035質量%、
    Fe 0.005〜0.05質量%、
    を有する請求項1又は2に記載のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  4. 酸化物基準で以下の組成
    SiO >58〜62質量%、Al 14〜17.5質量%、
    0〜1質量%、MgO 0〜7質量%、
    CaO 5.5〜14質量%、SrO 0〜8質量%、
    BaO 6〜17質量%、ZrO 0〜2質量%、
    CeO 0〜0.3質量%、TiO 0〜0.5質量%、
    CoO 0.01〜0.035質量%、
    Fe 0.005〜0.05質量%、
    を有する請求項1に記載のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  5. 酸化物基準で以下の組成
    SiO >58〜62質量%、Al 15〜17.5質量%、
    0〜0.7質量%、MgO 0〜7質量%、
    CaO 5.5〜14質量%、SrO 0〜8質量%、
    BaO 6〜10質量%、ZrO 0〜2質量%、
    CeO 0〜0.3質量%、TiO 0〜0.5質量%、
    CoO 0.01〜0.035質量%、
    Fe 0.005〜0.05質量%、
    を有する請求項1、2又は4に記載のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  6. さらに0.03質量%以下のNiOを含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  7. 0.02〜0.03質量%のCoOを含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  8. 0.015〜0.03質量%のFeを含有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス。
  9. 4.3×10−6/K〜4.95×10−6/Kの熱膨張率α20/300、700℃より高い転移温度Tgを有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガラスの、ランプバルブ用もしくはハロゲンランプバルブ用のバルブ材料としての使用。
  10. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガラスから作製されたランプバルブ。
  11. 色温度≧3400Kを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガラスから作製されたランプバルブを有するハロゲンランプ。
  12. 色温度≧3600Kを有する請求項11に記載のハロゲンランプ。
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