JP4328040B2 - レジンコンクリートセグメントの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジンコンクリートセグメントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レジンコンクリートのセグメントを製造する場合、矩形円弧平板状の中空部の外面を囲った型枠を、上方が凸状になるように設置し、この型枠内に上方よりコンクリートを流し込んで成形する製造技術がある。このような上方よりコンクリートを流し込む成形では、セグメントの外面に多数の気泡が生じたり、セグメントの端部にレジンコンクリートが十分に充填されない充填不足部分を生ずると言う問題がある。このような問題点を解決する手段として本出願人は遠心力成形技術(特許2922196号)を提案している。その技術は、遠心成形ドラム内にセグメントの型枠を取付け、まず粗骨材を含むレジンコンクリート層を1次成形し、レジンモルタル層をその内面に2次成形して一体化させる技術である。この技術は、水密性が高く、軽量で強度が大きく、肉厚を薄くすることが出来、耐食性に富み、内面がなめらかな肌を有し、2次覆工を要しないセグメントを製造する技術として非常に優れた技術である。しかし、遠心成形用の母型及び中型(個別のセグメントの型枠)が必要であり、設備が高額となり、生産効率が低いことは避けられなかった。また、その技術の特色ではあるが、セグメントの外面側に多くの骨材が集まり相対的に樹脂分が偏析し、内面側は樹脂リッチになり内外面での強度がアンバランスであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は優れた特性を有するレジンコンクリートセグメントを簡易な装置を用いて、高能率で製造する技術を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その技術手段は、妻面仕切リングを備えた円筒殻からなる型枠の内周面に繊維入りゲルコート層を形成し、該型枠を円筒軸を中心に回転させ、型枠内にレジンコンクリートを供給してレジンコンクリート円筒を製造し、養生後脱型し、脱型したレジンコンクリート円筒を円周方向複数の切断位置で切断し、切断代に相当するパッキングを用いて切断前の円筒状に組立てることができるセグメントを製造することを特徴とするレジンコンクリートセグメントの製造方法である。妻面仕切リングを備えた円筒殻からなる型枠は、ヒューム管を遠心製造する型枠と同様のものであり、妻面仕切リングには、ほぞ及びシール溝があってもよい。また、継手を取り付ける構造を有する。製造されるレジンコンクリート円筒は、円筒殻からなる型枠の内周面に繊維入りゲルコート層を形成し、型枠を円筒軸を中心に回転させ、型枠内にレジンコンクリートを供給して遠心成形するので、外周側の強度が大きく、内周側の特性が優れたレジンコンクリート円筒を製造することが出来る。レジンコンクリートは、厚さの薄いカッターで切断することが出来、複数の任意の形状に切断したセグメントを、切断代に相当するパッキングを用いて、切断前の円筒状に組立てることができるから、組立工程が簡単であり、正確な組立が可能である。
【0005】
上記方法において、前記切断位置に予めシール材溝形成用中子を型枠に取付けてコンクリートを打設し、コンクリートから該中子を抜き取った後、該シール材溝部を縦断して切断すれば切断面のシール溝を完全に形成できることができ、好適である。このとき用いる中子としては、例えばゴム等の伸縮性を有する材料からなる中実棒又は中空管等を用い、レジンコンクリート硬化後これを牽引して縮径させて引き抜くことによって、簡単に形成することが出来る。この形成されたシール材溝部を縦断して切断しセグメントとするので、切断面に互いに対向するシール溝が形成され、この溝にシール材を充填することによって、セグメントの円周分割面のシールを完全にすることができる。
【0006】
また、前記脱型したレジンコンクリート円筒の妻面に機械加工を施した後、切断することとすれば、妻面に正確なほぞを形成することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明では、中型を使用することなく、母型内にセグメントの妻面を形成する仕切リングを設けて、同時に複数の短円筒を製作することができ、これらの短円筒をその後切断機で縦切断しセグメントに成型するので、装置が簡単で製造が容易である。レジンコンクリートセグメントは径1800〜3000mmまでが主流であるので従来から使用されているヒューム管製造設備を使用することができる。また、妻面形状や妻面シール溝等は円筒の状態で機械加工により削り出し成型するので、容易に精密正確に形成することが可能である。
【0008】
セグメントの内外面における強度アンバランスは、カーボン繊維、ガラス繊維等の腐食しない繊維を外面側にゲルコートと同時に施工することによって解消することができ、セグメントの外面側の欠陥が解消される。
【0009】
セグメント間の円周継ぎ手は、本出願人が開発して特願2000−60523号出願で提案している継ぎ手をリング側に利用して使えばよい。
【0010】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施に用いる母型(遠心成形用円筒型枠)1の説明図である。この母型1は円筒を縦に二つ割りした構造となっており、円筒殻2と妻面仕切リング3を備えている。直径1800〜3000mm程度のレジンコンクリートセグメントの製造には従来から使用されているヒューム管製造設備を使用することができ、セグメント幅(トンネル軸方向寸法)は、900〜1200mmが主であり、ヒューム管製造用型枠は、通常、長さが2430mmであるから1回の製造でセグメント2リング分製造出来る。従って、設備費が安価で、高い生産性が得られる。図2〜図6は本発明方法の工程を示す説明図である。図2は、図1のA−A矢視で円筒殻2かならる型枠1の内周面4に繊維入りゲルコート層5を形成した状態を示す、型枠1の横断面図である。次いで、図3に示すように、型枠1内にレジンコンクリート7を供給管6で供給し、図4に示すように型枠1を円筒軸を中心に回転させ、繊維入りゲルコートの内面にレジンコンクリート層を形成し、レジンコンクリート円筒を製造する工程である。養生後脱型したレジンコンクリート円筒20を図5に示した。図5には円筒継手11、リング継手12を併せて示した。このレジンコンクリート円筒20を円周方向複数の切断位置で切断してセグメント21を製造する。このセグメント21の断面を図7に模式的に示したが、外面側は繊維入りゲルコートが密着したレジンコンクリート22となっており、内面側はレジンコンクリート23となっている。強度が大きく、腐食性、水密性に富む優れた特性を有する。
【0011】
レジンコンクリートとしては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を5〜25質量%(好適には10〜20質量%)、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪砂粉等の充填材を40質量%以下(好適には10〜20質量%)に、骨材を配合した材料を用いると良い。低収縮材、効果促進剤等を加えても良い。このようなレジンコンクリートは遠心成形した後、短時間で脱型することができ、格別の養生期間を要しない。従って、優れた性能を有するセグメントを高能率で生産することができる。
【0012】
図8は、型枠1に中子24を取り付けた状態を示す型枠1の部分図である。製造されたレジンセグメント円筒を切断してセグメントとするとき、切断位置に予めシール材溝形成用中子を型枠に取付けてレジンコンクリートを打設し、レジンコンクリートから中子を抜き取った後、シール材溝部を縦断して切断することによって切断面にシール溝構造を付与することができる。この切断予定位置に中子を取り付けておく。中子24は、例えばゴム管等であり、ボルト25により仕切リング3相互間に取り付ける。中子は外面に離型剤を施して置くとよく、レジンコンクリート硬化後容易に引き抜くことができるように、可撓性を有する材料とすると好適である。
【0013】
図9はレジンコンクリート円筒の中子の取付け位置と形状の例を示したものである。中子の断面形状すなわちシール溝を形成する孔26の断面形状は、円、楕円、台形、多角形等とすればよく、その配置は、切断線27の位置とする。切断線27が孔26を確実に縦断して形成されるためには、切断線のふれの方向の寸法が大きい楕円形の方が外れが少ないので好ましい。図10は、図9のレジンコンクリート円筒の展開図である。セグメントの形状として、矩形31、梯形32、台形33になるように切断線27を形成しておくとセグメントの組立が容易となる。従って、中子の取付けもこのように配置すると良い。
【0014】
図11、図12はセグメント21の円周継手面のシール構造の例を示すものである。上述のように中子を用いてセグメントの端面に形成したシール溝34に、水膨張性のシール材35を嵌めてシールする。また端面36にはパッキング37を施してシールする。図12は、接着剤39を施してシール材38を溝34内に固定した例を示している。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた性能を有するレジンコンクリートセグメントを高能率で生産することができる。レジンコンクリートは硬化収縮が大きいことが欠点であったが、本発明では、硬化後にセグメントの切断、切削加工をするので、硬化収縮の影響を受けずリング組立精度が向上する。また本発明によって製造されたセグメントは外面側は繊維入りゲルコートで補強されているので、遠心力成型による内外面の強度アンバランスを解消したレジンコンクリート本来の高い曲げ強度を活かせる合理的構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる母型(遠心成形用円筒型枠)の説明図である。
【図2】型枠の内周面に繊維入りゲルコート層を形成した型枠の横断面図である。
【図3】レジンコンクリート供給工程の説明図である。
【図4】レジンコンクリート円筒を製造する工程である。
【図5】本発明方法の工程を示す説明図である。
【図6】本発明方法の工程を示す説明図である。
【図7】セグメントの断面図である。
【図8】型枠の部分図である。
【図9】中子の取付け位置と形状の例を示す説明図である。
【図10】図9のレジンコンクリート円筒の展開図である。
【図11】セグメントの円周継手面のシール構造を示す説明図である。
【図12】セグメントの円周継手面のシール構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 型枠
2 円筒殻
3 妻面仕切リング3
4 内周面
5 繊維入りゲルコート層
6 供給管
7 レジンコンクリート
11 円筒継手
12 リング継手
20 レジンコンクリート円筒
21 セグメント
22 繊維入りゲルコートが密着したレジンコンクリート
23 レジンコンクリート
24 中子
25 ボルト
26 孔
27 切断線
31 矩形
32 梯形
33 台形
34 シール溝
35 シール材
36 切断面
37 パッキング
38 シール材
39 接着剤
Claims (3)
- 妻面仕切リングを備えた円筒殻からなる型枠の内周面に繊維入りゲルコート層を形成し、該型枠を円筒軸を中心に回転させ、型枠内にレジンコンクリートを供給してレジンコンクリート円筒を製造し、養生後脱型し、脱型したレジンコンクリート円筒を円周方向複数の切断位置で切断し、切断代に相当するパッキングを用いて切断前の円筒状に組立てることができるセグメントを製造することを特徴とするレジンコンクリートセグメントの製造方法。
- 前記切断位置に予めシール材溝形成用中子を型枠に取付けてコンクリートを打設し、コンクリートから該中子を抜き取った後、該シール材溝部を縦断して切断することを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリートセグメントの製造方法。
- 前記脱型したレジンコンクリート円筒の妻面に機械加工によりほぞ及びシール溝を設けた後、切断することを特徴とする請求項1又は2記載のレジンコンクリートセグメントの製造方法。
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