JPH0363504B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、諸種の配管、および継手管に用いら
れる繊維強化樹脂（以下、FRPという）管の製
造方法に関するものである。

FRPを使つて直管を製作加工する従来の製造
方法においては、FRP材が、押出成型などの連
続成形加工が困難な特性を持つていることから、
金型を用いて手作業により繰返し的に成型加工し
ており、従つて、その都度成型後において金型を
離型させる操作がかなり面倒であつた。

ところで、離型操作を容易にするためには、金
型の抜き出し方向にテーパを付ける必要がある
が、しかし直管のように長さが比較的長尺の場合
には、テーパ角を大きく採ると、製品の径寸に先
細りや先拡がりが出来て、寸法精度を維持するこ
とがむずかしくなることから、余り長尺の直管は
製作が困難であるという問題があつた。

本発明は、このような問題を解消するためにな
されたものであつて、すなわち、本発明の目的
は、テーパを付けない金型を用いて直管を製作加
工する際にも離型操作を容易にしたFRP直管の
製造方法を提供することにある。

その目的を達成する手段として、本発明の製造
方法は、長手円筒形の金型を内筒とし、かつ紙類
の可変形材で作られた芯型を外筒とする二重筒に
より組型を形成させると共に、該組型の外周面に
FRP材を被層成形せしめ、次いでFRP材の硬化
養生後において、上記紙類芯型を溶剤等で膨潤
後、あるいは膨潤後除去した上で、上記内筒を離
型させるようにしたことを特徴とし、さらに管外
壁に分岐開口を設ける場合にも同様の方法で製造
するものである。

以下、図示の一実施例に基づいて本発明を説明
する。

第１図は、実施例の方法に用いられる成型具を
示し、かつ、この成型具によつて成型加工される
長手成形管（直管）は、後述するように、製品完
成後において、３つの管体に切断された上で、
夫々分岐継手管の部品に使われるもので、具体的
には、分岐箇所Ａから図面左方は、分岐受口の径
寸が本管部の径と等寸の分岐継手管の大部を成形
させる部品、また両分断箇所Ａ，Ｂの間は、分岐
受口が小径の分岐継手管の大部を成形させる部
品、更に分断箇所Ｂから右方は、上述等径の分岐
継手管の残部を成形する部品として使用される。

ところで、図示成型具は、不動部に回動自在に
横架された保持シヤフト１と、同保持シヤフト１
の両側に軸着された保持デイスク２と、両端が同
保持デイスク２の周面に保持されて内筒を成す金
型３と、同金型３に外嵌されて外筒を成す内側の
紙類芯型４と、同芯型４の周面の３箇所に外嵌さ
れた外側の紙類芯型５，６，７と、これら内外筒
の軸線上の２箇所に外嵌固定された分岐型１０，
１１との組型により形成されている。

しかして、先ず金型３は、金属、樹脂等の固形
材で作られたストレートな円筒形をなし、分岐型
１０，１１は、同様に金属、樹脂等の固形材で作
られ、二重筒によりなる組型にまたがるように円
筒型の下部がカツトされている。また、内、外側
の両芯型４〜７と、両分岐型の上縁外周に成型さ
れたフランジ部８，９とは、紙等の含水等による
可溶質、可融質の可変形材で作られている。

更に、各外側芯型５，６，７の周面の１箇所な
いし２箇所には、受口のシールリングの嵌入溝を
成形させるためのゴム質リング１２が装着されて
いる。

また、各分岐型１０，１１の上面開口とその周
辺にはFRP分岐部分の剛性を補強する目的から、
不飽和ポリエステル樹脂が含浸されたチヨツプド
ストランドマツト、ガラスロービングクロス等が
積層されている。

ところで、このように形成された組型は、第１
図、第２図および第３図に示すように、上記組型
の全表面に離型層１５を形成した後、ガラスロー
ビング、ガラステープ等の線条材を用いた巻回成
形により成形されるが、その巻回方式は、第３図
に示すほか、第４図ａに示すように分岐型１０，
１１の上面にも巻回させ、更に余る部分を除去す
るようにしても良い。

又、上記巻回成形が施された組型の周面に、従
来の被層成形方法と同様な方式により、FRP材
の積層を成形させることができる。

しかして被層されたFRP材の養生後において、
先ず第４図ｂに示すように積層１６の不要部部分
１６′の切除と整形とを行い、更に全体を水等の
溶剤に浸して各紙類芯型４〜７及びフランジ部
８，９を膨潤させ、あるいは膨潤後除去し、次い
で金型３を離型させた後、これにより製作工程を
終了して、長手成型管すなわち分岐部分のある直
管が得られる。又、金型３は多数の小穴を設ける
ことにより内部より水が浸入し易すくすることが
できる。

しかして製品となつたこの直管を使用するに
は、第５図に示すように、２箇所Ａ，Ｂの分断箇
所で切断した後、図面右側の継手部１７を、本管
部１８と分岐部１９とが一体化された左側の成型
管体の分岐開口面に接着、接合させ、かつその接
合面の外周を、上述チヨツプドストランドマツ
ト、ガラスロービングクロスと同様なチヨツプド
ストランドマツト、ガラスロービングクロス２０
によるFRP材で継ぎ接着して補強すれば、これ
により分岐継手管２１が新たに製作される。

なお、図面中央の残された一体状の本管部と分
岐部とは、小径の本管部を有する別の分岐継手管
と同時に成型された継手部と組合わせて使用され
る。

なお、上述した長手成型管（直管）は、軸線上
の２箇所に分岐開口が穿開されていたが、第６図
に示すように、単純な直管２２を製作加工する際
には、金型２３と、内外側紙類芯型２４，２５と
により組型を形成させた上で、上述方法と全く同
様な方式で製造することができる。

このような加工が行われる実施例の製造方法に
おいては、芯型４〜７又は２４，２５を膨潤ある
いは膨潤後除去された状態で金型３，２３を抜き
出し離型させることから、金型にテーパが付けて
なくとも、離型操作は極めて容易であり、従つ
て、製品（直管）の長さに関係なく、寸法精度の
高い直管が得られる。

以上述べたように、本発明に係るFRP直管の
製造方法によれば、テーパのない金型と同金型に
外嵌する紙類芯型との二重筒より成る組型を用い
てFRP材を積層させるようにしたので、金型の
離型操作が容易であり、従つて、FRP管の成型
加工が効率良く行われるほか、製品の長さに関係
なく品質の良いFRP管が得られ、これにより、
製品加工の経済性と製品の商品性を向上させる効
果がある。

また分岐開口の開口上面にもガラスロービング
と樹脂の被着を行なわせた後、これを欠除させる
と共に紙類芯型を除去させ、しかる後に金型を離
型させることにより、分岐開口を有するFRP管
の製品加工の経済性と製品の商品性を向上させる
ことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例のFRP管の製造
方法に用いられる成型具の断面図、第２図は、第
１図の−線における断面図、第３図は、巻回
成型工程を説明する成型具の一部の正面図、第４
図ａおよび第４図ｂは、巻回成型工程と切除工程
を説明する側面図、第５図は、製造後において分
断された直管の断面図、第６図は、別の実施例の
方法に用いられる成型具の断面図である。 ３，２３…金型、４〜７，２４，２５…芯型、
８，９…フランジ部、１５…離型剤層、１６，２
２…直管としてのFRP積層、および直管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 長手円筒形の金型を内筒とし、かつ紙類の可
   変形材で作られた芯型を外筒とする二重筒により
   組型を形成させると共に、該組型の外周面に繊維
   強化樹脂成形材料を供給し、硬化後、上記外筒を
   溶剤で膨潤させた後、あるいは膨潤後除去した上
   で、上記内筒を離型させるようにしたことを特徴
   とする繊維強化樹脂管の製造方法。 ２ 長手円筒形の金型を内筒とし、かつ紙類の可
   変形材で作られた芯型を外筒とすると共に、この
   内外筒よりなる二重筒の外壁に分岐型を取り付け
   て組型を形成させ、該分岐型の端面開口を含む組
   型の全外周面に繊維強化樹脂成形材料を供給し、
   硬化後、上記分岐型の端面開口に形成された強化
   樹脂材料を除去せしめると共に上記分岐型を除去
   し、しかる後、上記外筒を溶剤で膨潤後、あるい
   は膨潤後除去した上で、上記内筒を離型させるよ
   うにしたことを特徴とする繊維強化樹脂管の製造
   方法。