JP4327330B2 - 帯電防止性化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば家具、建具、電気機器のケーシング、建材などの表面化粧用にベース材料表面に張り付けられるプラスチック製の化粧シートに関する。さらに詳しくは、化粧シート表面へのゴミやホコリの帯電吸着による汚れの発生防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴミやホコリの帯電吸着による汚れが発生しにくい帯電防止性化粧シートとして、基材シートの印刷面に、導電性フィラーを含有する接着剤やポリチオフェン化合物などの導電性接着剤層を介して表面シートを接着し、さらにこの表面シート上に二液硬化型アクリルウレタン樹脂の保護層を設けたものが知られている(特開平11−235804号公報)。加えて、この公報には、基材シートと表面シートの接着にプライマー層を介在させてもよいことが開示されていると共に、このプライマー層として、側鎖に4級アンモニウム塩基およびカルボキシル基を有するビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる共重合高分子と、2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルと、平均分子量が200〜70000のポリエチレンイミンの混合組成物を用いることができる旨も開示されている。
【0003】
また、上記混合組成物をプライマー層として用いると、積層フィルムの密着強度を向上させることができると共に、積層フィルム表面の帯電防止効果が得られることが知られている(特開平8−127755号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記プライマー層を介在させた従来の帯電防止性化粧シートは、周端縁部からプライマー層に浸透する湿気によって、プライマー層部分で基材シートと表面シートの剥離を生じやすい問題がある。
【0005】
また、従来の帯電防止性化粧シートは、基本的には導電性接着剤層によって表面の帯電防止効果を得ようとするもので、そのプライマー層を積極的に利用して表面の帯電防止効果を得ようとするものではない。特に上記従来の帯電防止性化粧シートの導電性接着剤層が導電性フィラーを添加した接着剤の場合、導電性フィラーの偏在などによって帯電防止性がムラになりやすい問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、耐湿性、密着性および帯電防止性のいずれにも優れた帯電防止性化粧シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このために本発明の第1は、化粧用印刷が施された基材シートの印刷面側全面に、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する帯電防止性共重合体を接着剤に添加した接着性組成物の塗膜として帯電防止層が形成されており、この帯電防止層が設けられた印刷面側を覆って透明な表面シートが接着されていることを特徴とする帯電防止性化粧シートを提供するものである。
【0008】
上記本発明の第1は、接着性組成物が、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有するビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる帯電防止性共重合体と、2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルと、エポキシ基開環触媒とを混合した架橋性組成物を水性接着剤に添加したものであること、
接着性組成物が、固形分換算で、40〜60重量%の架橋性組成物と、60〜40重量%の水性接着剤とを合計量が100重量%となるように配合したものであること、
基材シートと表面シートの一方又は両者がポリエステルのフィルムであること、
をその好ましい態様として含むものである。
【0009】
また、本発明の第2は、化粧用印刷が施された基材シートの印刷面側に、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する帯電防止性共重合体を含有する接着性組成物の塗膜として帯電防止層が部分的に設けられており、この帯電防止層が部分的に設けられた印刷面側を覆う透明な表面シートと前記基材シートとが融着されていることを特徴とする帯電防止性化粧シートを提供するものである。
【0010】
上記本発明の第2は、帯電防止層が、基材シートの印刷面側に一様に分布するパターン状に設けられていること、
帯電防止層が、基材シートの印刷面の40〜70%の面積率で設けられていること、
接着性組成物が、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有するビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる帯電防止性共重合体と、2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルと、エポキシ基開環触媒とを混合した架橋性組成物であること、
接着性組成物が、架橋性組成物を水性接着剤に添加したものであること、
基材シートと表面シートの一方又は両者が融着性ポリエステルのフィルムであること、
をその好ましい態様として含むものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1に係る帯電防止性化粧シートの断面図、図2は本発明の第2に係る帯電防止性化粧シートの断面図で、1は基材シート、2は化粧用印刷層、3a,3bは帯電防止層、4は表面シートである。
【0012】
本発明の第1および第2のいずれにおいても、基材シート1と表面シート4はプラスチックシートで、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、ポリ塩化ビニルなどのシートを用いることができる。これらの中でも、焼却処理時に有害物質を生じにくく、しかも熱融着性、強度、成形性などの物性に優れることから、融着性ポリエステルが好ましい。この融着性ポリエステル(PET−G)とは、酸成分としてテレフタル酸、アルコール成分としてエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールを用いたポリエステルで、通常のポリエステルに比して熱融着性を向上させたものをう。特にこのPET−Gは、上記のように良好な物性を有するものではあるが、極めて帯電しやすい性質をも併せ持つ。本発明によれば、このPET−Gの不利な性質を押さえつつ、上記優れた性質を活用することが可能となる。
【0013】
基材シート1と表面シート4は同じプラスチック製であっても、異なる種類のプラスチック製であってもよいが、本発明の第1においては、帯電防止層3aを構成する接着性組成物によりできるだけ良好な密着性が得られるものを選択することが好ましい。また、本発明の第2においては、相互にできるだけ良好な熱融着性を奏するものを選択することが好ましい。
【0014】
基材シート1は、透明であってもよいが、貼り付けるベース材料の色や質感を隠蔽できるよう、着色された不透明シートであることが好ましい。この基材シート1の着色は、これを構成するプラスチックへの顔料の混入などによって行うことができる。基材シート1の色としては、その上に設けられる化粧用印刷層2による装飾の鮮明度が得やすいので白色が好ましいが、淡黄色や淡褐色などの淡色とすることもできる。
【0015】
表面シート4は、化粧用印刷層2を透視する側の層であることから、透明であることが必要である。また、表面シート4には、内側の化粧用印刷層2を保護できるよう、紫外線吸収剤を添加しておくことが好ましい。
【0016】
基材シート1と表面シート4の厚みは同じでも異なっていてもよいが、貼り付ける対象物に応じて50〜500μmの間で選択することが好ましく、後述する化粧用印刷層2の保護機能を高める上では基材シート1より表面シート4を厚くすることが好ましい。
【0017】
化粧用印刷層2は、ベース材料に着色や装飾模様を付与するためのもので、単一着色層であっても、例えば木目模様、マーブル模様、布目模様、幾何学模様などの各種装飾模様を構成するものであってもよい。この化粧用印刷層2は、例えばグラビア印刷など、一般の印刷手法を用いて設けることができる。
【0018】
化粧用印刷層2は、基材シート1上に直接設けてもよいが、特に基材シート1が透明な場合や、裏映りしやすい色に着色されている場合には、基材シート1の全面を覆う隠蔽層(図示されていない)を介して基材シート1上に設けることが好ましい。隠蔽層は、例えば白色や淡色の印刷層として設けることができる。
【0019】
なお、化粧用印刷層2および必要に応じて設けられる隠蔽層は、本発明の第1においては、帯電防止層3aを構成する接着性組成物との良好な接着状態が得られるものを選択することが好ましい。また、本発明の第2においては、基材シート1および表面シート4との良好な熱融着性を有するものを選択することが好ましい。
【0020】
本発明の第1および第2のいずれにおいても、帯電防止層3a,3bは、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する帯電防止性共重合体を含有する接着性組成物の塗膜として構成されているのものであるが、本発明の第1における帯電防止層3bは、上記帯電防止性共重合体を接着剤に添加した接着性組成物の塗膜として構成されているものである。本発明の第2における帯電防止層3bは、この本発明の第1と同じ接着性組成物の塗膜として形成することもできるが、これ以外の接着性組成物の塗膜として形成することもできる。本発明の第2に用いる他の接着性組成物としては、後述する架橋性の帯電防止性共重合体に架橋硬化剤と触媒を加えた架橋性組成物を挙げることができる。
【0021】
本発明の第1における帯電防止層3aは、基材シート1の化粧用印刷層2側全面に設けられているもので、帯電防止機能と共に、基材シート1と表面シート4を貼り合わせる接着剤層としての機能を併せ持つ。この帯電防止層3aは、含有される帯電防止性共重合体により優れた帯電防止性をもたらすと共に、含有される接着剤を適宜選択することにより、良好な密着性と耐湿性をもたらす。
【0022】
本発明の第1において、接着剤に添加する帯電防止性共重合体は、帯電防止層3aの透明性と接着力を損なわないよう、架橋性の帯電防止性共重合体に架橋硬化剤と触媒を加えた架橋性組成物として接着剤に添加することが好ましい。
【0023】
上記架橋性の帯電防止性共重合体としては、例えば、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する、ビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる共重合体を挙げることができる。この架橋性の帯電防止性共重合は、末端に−COOH基を持つ単量体と、4級アンモニウム塩基を持つ単量体と、その他の単量体とを用いて共重合させることで得ることができる。
【0024】
上記末端に−COOH基を持つ単量体としては、例えばアクリル酸(メタを含む)、アクロイルオキシエチルコハク酸、フタル酸などを挙げることができる。上記4級アンモニウム塩基を持つ単量体としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレート(メタを含む)の4級化物(対イオンとして、ハライド、サルフェート、スルフォネート、ナイトレート、アルキルスルフォネートなどのアニオンを含む)が挙げられる。上記その他の単量体としては、アルキルアクリレート(メタを含む)、スチレン、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル、オレフィンなどのビニル誘導体が挙げられる。
【0025】
前記架橋性組成物としては、従来の技術の項で説明したプライマー層として用いられている組成物と同様のものを好適に用いることができる。すなわち、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する、ビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる架橋性の帯電防止性共重合体と、架橋硬化剤としての2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルと、触媒としてのエポキシ基開環反応触媒との混合組成物が好ましい。さらに具体的には、末端に−COOH基を持つ単量体3〜13mol%と、4級アンモニウム塩基を持つ単量体15〜40mol%と、その他の単量体63.5〜79.5%と、2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル0.5〜1.5mol%と、エポキシ基開環反応触媒を2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル10に対して1〜25重量%とからなる混合組成物が好ましい。このような架橋性組成物を接着剤に添加した接着性組成物を用いることにより、得られる帯電防止層3aの接着性と帯電防止性を高めることができる。
【0026】
上記2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、例えば、2官能単量体は、グリセリンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、など、3官能単量体は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなど、4官能単量体としては、ペンタエリスリトール、ネオペンチルなどのテトラグリシジルエーテルなどのエポキシ誘導体が挙げられる。また、上記エポキシ基開環反応触媒としては、2−メチルイミダゾール、2−メチル・4メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体やポリアミン、ポリエチレンイミン誘導体が挙げられ、特に平均分子量が200〜70000のポリエチレンイミンが好ましい。
【0027】
本発明の第1で用いる接着剤としては、前記帯電防止性共重合体もしくは上記架橋性組成物を添加混合した状態で、少なくとも硬化後透明で、基材シート1および表面シート4に対する良好な接着力と耐湿性を有するものであれば特に制限はないが、上記架橋性組成物を用いる場合、上記架橋性組成物が水溶性であることから、水性接着剤が好ましい。水性接着剤とは、水または水と低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール)の混合溶剤を用いた接着剤をいい、例えばエチレン−酢酸ビニル系接着剤を挙げることができる。
【0028】
上記水性接着剤と架橋性組成物の混合は、固形分換算で、水性接着剤60〜40重量%と、架橋性組成物40〜60重量%とを合計量が100重量%となるような割合で行うことが好ましい。水性接着剤の量が少な過ぎると(架橋性組成物の量が多過ぎると)、基材シート1と表面シート4の密着力や耐湿性が不足しやすく、逆に水性接着剤の量が多過ぎると(架橋性組成物の量が少な過ぎると)、得られる帯電防止層3aによる帯電防止効果が不十分となりやすい。
【0029】
本発明の第2においては、帯電防止層3bは前記基材シート1の化粧用印刷層2側に部分的に設けられており、しかも基材シート1と表面シート4とが融着されているものである。この基材シート1と表面シート4の融着は、帯電防止層3bの形成後、帯電防止層3bを設けた化粧用印刷層2側に表面シート4を熱プレスで圧接することで容易に行うことができる。
【0030】
本発明の第2においては、帯電防止層3bが部分的に設けられていることから、帯電防止層3bが熱融着性がないものであっても、帯電防止層3b部分はこれを構成する接着性組成物の接着力により接合され、帯電防止層3bがない部分は熱融着によって接合されることになる。このため、帯電防止層3bが湿気の浸透によって接着力が低下しやすい接着性組成物で構成されていても、基材シート1と表面シート4の接着が融着部分によって維持されるので、耐湿性に優れた帯電防止性化粧シートとすることができる。
【0031】
上記の理由から、本発明の第2における帯電防止層3bを構成する接着性組成物としては、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する帯電防止性共重合体を含有する接着性組成物を広く用いることができる。特に、従来の技術の項で説明したプライマー層として用いられている組成物と同様の前記架橋性組成物は、耐湿性には劣るが帯電防止性には優れていることから、これを接着性組成物として用いた塗膜として帯電防止層3bを構成すると、良好な耐湿性と良好な帯電防止性を得ることができる。
【0032】
また、本発明の第2において、本発明の第1に用いる、前記接着剤添加型の接着性組成物を用いれば、さらに耐湿性を向上させることができる。特に、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する、ビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる帯電防止性共重合体と、2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルと、エポキシ基開環反応触媒とを混合した架橋性組成物を接着性組成物として用い、その塗膜として帯電防止層3bを構成することが好ましい。
【0033】
本発明の第2における帯電防止層3bは、基材シート1の化粧用印刷層2側の面に一様に分布するライン状(平行ライン状、碁盤目状など)または点状(ドット状、網点状など)などの一様に分布するパターン状に設けられていることが好ましい。帯電防止層3bの分布に偏りがあると、基材シート1と表面シート4間の密着力及び帯電防止性能にムラを生じやすくなる。
【0034】
本発明の第2における帯電防止層3bは、基材シート1の化粧印刷層2側の面の40〜70%の面積率で設けられていることが好ましい。帯電防止層3bの占有面積が少な過ぎると帯電防止性能が不十分になりやすく、逆に帯電防止層3bの占有面積が多過ぎると密着性や耐湿性が低下しやすくなる。
【0035】
以上の説明においては、基材シート1および表面シート4は単層のものとして説明したが、基材シート1および表面シート4はそれぞれ積層シートであってもよい。特に表面シート4の外表面は、傷付き保護のため、硬質の保護層を積層しておくことが好ましい。
【0036】
【実施例】
まず、実施例、参考例および比較例で行った評価試験および評価基準について説明する。
【0037】
(1)糸くず落下試験
サンプルの表面を人絹で20往復擦った後、アクリル系の糸くずを振りかけ、直ちにサンプルの表面を下向きにして、糸くずの落下状態および付着状態を観察した。評価は、糸くずが総て落下し、糸くずの残留がなかったものを○、ほとんどの糸くずが落下したが、一部の糸くずの残留が認められたものを△、糸くずがほとんど落下せずに付着残留したものおよび、一部の糸くずが落下したものの、多量の糸くずが付着残留したものを×とした。
【0038】
(2)密着性試験
サンプルの基材シートと表面シート間の密着性を、JAS特殊合板規格FWタイプの平面引張り試験で測定し、密着強度が4kg/cm2以上のものを○、密着強度が4kg/cm2未満のものを×とした。
【0039】
(3)耐湿性試験
サンプルを40℃、90%RHの雰囲気下に24時間放置した後、上記密着性試験を行い、密着強度が4kg/cm2以上のものを○、密着強度が4kg/cm2未満または上記雰囲気下からの取り出し時に周端縁に既に剥離を生じていたものを×とした。
【0040】
実施例1の1〜3、参考例1の1〜7
メチルメタクリレートとアクリル酸とジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩化合物とを重量比で67/3/30の割合で、イソプロパノールと水の混合液(混合比2/1)中で共重合させ、ビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる架橋性の帯電防止性共重合体の溶液を得た。
【0041】
上記溶液に、架橋硬化剤としてのジエチレングリコールジグリシジルエーテルと、エポキシ基開環反応触媒としてのポリエチレンイミン(平均分子量1200)とを、上記溶液の固形分に対してそれぞれ20重量%と3重量%添加混合し、架橋性組成物を得た。
【0042】
上記架橋性組成物をエチレン−酢酸ビニル系水性接着剤に添加して、帯電防止層を構成するための接着性組成物とした。架橋性組成物の添加量は固形分換算で表1に示されるように変化させた。
【0043】
厚み100μmのPET−Gシートを基材シートとし、グラビア印刷によって化粧用印刷を施した後、この化粧用印刷面全面に上記接着性組成物を塗布し、この塗布面に、表面シートとして厚み300μmのPET−Gシートを重ね、熱プレスにより接着し、サンプルを得た。サンプルは、架橋性組成物の添加量を変えたそれぞれの接着性組成物について作成した。
【0044】
得られたサンプルについて行った評価試験の結果を表1に示す。
【0045】
実施例2の1〜4、参考例2の1〜6
実施例1及び参考例1と同様の架橋性組成物を単独で接着性組成物とし、この接着性組成物を実施例1及び参考例1と同じ基材シートの化粧用印刷面に網点印刷し、この網点印刷面に実施例1および参考例1と同じ表面シートを重ね、熱プレスによって熱融着した。接着性組成物の網点面積率は表2に示されるように変化させ、各網点面積率のものについてサンプルを作成した。
【0046】
得られたサンプルについて行った評価試験の結果を表2に示す。
【0047】
比較例1
実施例1および参考例1と同じ基材シートの化粧用印刷面に、実施例1および参考例1と同じ架橋性組成物をアンカーコート層として塗布した後、実施例1および参考例1と同じ水性接着剤をこのアンカーコート層上に塗布した。次いで水性接着剤の塗布面に、実施例1および参考例1と同じ表面シートを重ね、熱プレスにより接着してサンプルとした。
【0048】
得られたサンプルについて評価試験を行ったところ、糸くず落下試験および密着性試験はそれぞれ○であったが、耐湿性試験においては、40℃、90%RHの雰囲気下から取り出したときにサンプルの周端縁部で剥離が生じており、×であった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】
本発明に係る帯電防止性化粧シートは、以上説明したとおり、帯電防止性および密着性に優れているだけでなく、耐湿性にも優れていることから、長期間に亘って装飾性を保持することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1に係る帯電防止性化粧シートの模式的断面図である。
【図2】本発明の第2に係る帯電防止性化粧シートの模式的断面図である。
【符号の説明】
1 基材シート
2 化粧用印刷層
3a 帯電防止層
3b 帯電防止層
4 表面シート
Claims (9)
- 化粧用印刷が施された基材シートの印刷面側全面に、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する帯電防止性共重合体を接着剤に添加した接着性組成物の塗膜として帯電防止層が形成されており、この帯電防止層が設けられた印刷面側を覆って透明な表面シートが接着されていることを特徴とする帯電防止性化粧シート。
- 接着性組成物が、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する、ビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる帯電防止性共重合体と、2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルと、エポキシ基開環反応触媒とを混合した架橋性組成物を水性接着剤に添加したものであることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性化粧シート。
- 接着性組成物が、固形分換算で、40〜60重量%の架橋性組成物と、60〜40重量%の水性接着剤とを合計量が100重量%となるように配合したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の帯電防止性化粧シート。
- 化粧用印刷が施された基材シートの印刷面側に、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する帯電防止性共重合体を含有する接着性組成物の塗膜として帯電防止層が部分的に設けられており、この帯電防止層が部分的に設けられた印刷面側を覆う透明な表面シートと前記基材シートとが融着されていることを特徴とする帯電防止性化粧シート。
- 帯電防止層が、基材シートの印刷面側に一様に分布するパターン状に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の帯電防止性化粧シート。
- 帯電防止層が、基材シートの印刷面の40〜70%の面積率で設けられていることを特徴とする請求項5に記載の帯電防止性化粧シート。
- 接着性組成物が、側鎖に4級アンモニウム塩基とカルボキシル基とを有する、ビニル単量体とアクリルエステル単量体とからなる帯電防止性共重合体と、2〜4価の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルと、エポキシ基開環反応触媒とを混合した架橋性組成物であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の帯電防止性化粧シート。
- 接着性組成物が、架橋性組成物を水性接着剤に添加したものであることを特徴とする請求項7に記載の帯電防止性化粧シート。
- 基材シートと表面シートの一方又は両者が融着性ポリエステルのフィルムであることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の帯電防止性化粧シート。
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