JP3911962B2 - 化粧シート - Google Patents

化粧シート Download PDF

Info

Publication number
JP3911962B2
JP3911962B2 JP2000153397A JP2000153397A JP3911962B2 JP 3911962 B2 JP3911962 B2 JP 3911962B2 JP 2000153397 A JP2000153397 A JP 2000153397A JP 2000153397 A JP2000153397 A JP 2000153397A JP 3911962 B2 JP3911962 B2 JP 3911962B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
decorative sheet
transparent
thermoplastic resin
layer
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000153397A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001334625A (ja
Inventor
豪志 児島
仁 鈴木
孝教 松沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP2000153397A priority Critical patent/JP3911962B2/ja
Publication of JP2001334625A publication Critical patent/JP2001334625A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3911962B2 publication Critical patent/JP3911962B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器や家電製品等の表面化粧に使用するための化粧シートに関するものであり、特に、例えば窓枠材等の様に、高耐候性が要求される用途に好適な、高耐候性を有する化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より上記の様な用途に使用されている化粧シートとしては、透明な熱可塑性樹脂フィルムの裏面に木目等の絵柄の印刷を施したものや、紙や透明又は不透明の熱可塑性樹脂フィルム等からなる基材シートの表面に木目等の絵柄の印刷を施し、更に該印刷面上に透明な熱可塑性樹脂フィルムを積層したものなどが、一般的に使用されて来た。
【0003】
上記熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、従来は安価で加工性や各種物性にも優れたポリ塩化ビニル樹脂が最も多く使用されて来た。ところが、近年になって、環境問題に対する社会的な関心の高まりを受けて、燃焼時に塩化水素ガスやダイオキシン等の有害物質を発生するおそれのあるポリ塩化ビニル樹脂が敬遠される様になっており、環境への悪影響の少ない非塩素系の樹脂を使用した化粧シートが強く要請される様になっている。
【0004】
これを受けて、ポリ塩化ビニル樹脂の代替材料として、例えばオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等を使用した化粧シートも各種開発され、実用化される様になっている。中でも、安価で加工性に富み、ポリ塩化ビニル樹脂に最も近似した物性を示す、熱可塑性オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが、最も有望視されている(特開平6−16832号公報等参照)。
【0005】
係る化粧シートにおいて、基材シートや絵柄層の表面側の透明熱可塑性樹脂フィルムは、基材シートや絵柄層を、例えば器物との接触による傷付きや摩耗、溶剤や薬品の付着による侵食などから保護する目的で設けられるものであるが、直射日光等の強い光に曝される機会の多い外装や準外装の用途では、上記の目的に加えて、基材シートや絵柄層を、紫外線等の有害な光線から保護し、劣化を防止することも目的とされており、この目的のために、上記透明熱可塑性樹脂フィルムには紫外線吸収剤が添加されるのが一般的である。
【0006】
ところで、係る化粧シートの表面には、印刷による平面的な絵柄だけでは表現できない立体的な意匠性を付与する目的で、例えば木目における導管溝状などのエンボスを施す場合もある。すると、エンボスにより凹部となった箇所では、透明熱可塑性樹脂フィルムの厚さが他の部分よりも事実上薄くなっていることから、紫外線等の有害な光線が透過し易くなり、そのために、エンボス凹部の下の絵柄層や基材シートが他の部分よりも多くの紫外線等に曝されて劣化し、変褪色や白化、亀裂等を発生しやすいという問題がある。
【0007】
この問題は、エンボス凹部にワイピング法等により、例えば木目導管色等の様に、不透明の濃い色彩の着色インキを充填した、所謂ワイピング化粧シートにあっては、エンボス凹部に充填された着色インキが紫外線を遮蔽することにより、あまり顕在化することはない。しかし、用途により所望される意匠によっては、エンボス凹部を着色することが望ましくない場合もある。これは、木目以外の、通常ワイピング処理の習慣のない絵柄の化粧シートの場合は勿論のことであるし、木目の化粧シートにあっても、ワイピング加工の施されていないものも広く使用されており、このような化粧シートが問題となる。
【0008】
この問題を回避する方策としては、表面の透明熱可塑性樹脂フィルムに添加する紫外線吸収剤の量を増す手法も考えられる。しかしながら、この手法によっては、エンボス凹部が絵柄層や基材シートの近傍にまで達する非常に深いものである場合には、事実上、その効果を期待することができない。また、そうでなくても、エンボス凹部の薄肉部でも十分な紫外線遮蔽効果が得られるだけの紫外線吸収剤を添加すると、高価な紫外線吸収剤の添加量が非常に多くなって不経済であるほか、紫外線吸収剤が樹脂と十分に相溶し切れずに白化したり、紫外線吸収剤が透明熱可塑性樹脂フィルムの表面にブリードして汚れやブロッキングの原因となったりするなどの問題が発生する。こうした問題は、一般的な紫外線吸収剤との相溶性があまり良くないオレフィン系樹脂からなる透明熱可塑性樹脂フィルムを使用した化粧シートにあっては、特に顕著な問題となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記の様な問題点を解決する目的でなされたものであって、化粧シートのエンボス凹部を不透明の濃い色彩に着色することなく、エンボス凹部の耐候性不足による変褪色や白化、亀裂等の発生が抑止された、高耐候性の化粧シートを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絵柄層上に透明熱可塑性樹脂層を有し、該透明熱可塑性樹脂層の表面にエンボスが施されている化粧シートにおいて、該エンボスの凹部に、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物が充填されていることを特徴とする化粧シートである。
【0011】
また本発明は、基材シート上に透明熱可塑性樹脂層を有し、該透明熱可塑性樹脂層の表面にエンボスが施されている化粧シートにおいて、該エンボスの凹部に、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物が充填されていることを特徴とする化粧シートである。
【0012】
また本発明は、上記化粧シートにあって、前記基材シートと、前記透明熱可塑性樹脂層との間に、絵柄層を有することを特徴とする化粧シートである。
【0013】
また本発明は、上記化粧シートにあって、前記基材シートが、オレフィン系樹脂からなることを特徴とする化粧シートである。
【0014】
また本発明は、上記化粧シートにあって、前記透明熱可塑性樹脂層が、オレフィン系樹脂からなることを特徴とする化粧シートである。
【0015】
また本発明は、上記化粧シートにあって、前記紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物は、耐候性を有する透明樹脂に紫外線吸収剤が添加された組成物であることを特徴とする化粧シートである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に示すのは本発明の化粧シートの一例であって、基材シート6上に絵柄層2及び透明熱可塑性樹脂層1が順次積層され、透明熱可塑性樹脂層1の表面にはエンボス凹部3が施され、エンボス凹部3には紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4が充填されてなるものである。
【0017】
基材シート6の材質は特に限定されるものではなく、例えば建材用薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙、樹脂混抄紙、紙間強化紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、石膏ボード原紙等の各種の紙類や、天然繊維又は合成繊維からなる織布や不織布、アルミニウム箔等の金属箔、木材を薄くスライスした突板、熱可塑性樹脂からなるフィルム乃至シート等、或いはこれらの2種以上の積層体等が使用可能であり、要するに従来より係る化粧シートの基材シートとして使用されているシート状体であれば何であってもよい。
【0018】
中でも各種物性面や取扱性面、加工性面等から最も推奨されるのは熱可塑性樹脂からなるフィルム乃至シートであり、特にVカット加工やラッピング加工等の折り曲げ加工に供せられる化粧シートにあっては、熱可塑性樹脂からなる基材シート6を用いることが最も望ましい。
【0019】
基材シート6用の熱可塑性樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属水和物(所謂アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のハロゲン系樹脂等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、積層体、複合体等を使用することができる。
【0020】
但し、近年頓に社会的な関心が高まりつつある環境問題への対応を考慮すると、塩素等のハロゲン元素を含有しない非ハロゲン系樹脂を使用することが望ましい。化粧シート用途に適した非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等を挙げることができ、中でも特に、適度の柔軟性と強度とのバランスや、折り曲げや切断・切削等の加工適性、耐磨耗性や耐溶剤性、耐候性等の各種の観点から、最も推奨されるのはオレフィン系樹脂である。
【0021】
上記オレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のホモポリマーやそれらの混合物等を使用することができ、ポリプロピレンであればホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、複数種類のオレフィン単量体の共重合体であっても良く、例えばポリプロピレン系共重合体であれば、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1、のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上共重合させたプロピレン−αオレフィン共重合体や、これに更に例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム等の改質剤を適宜添加した樹脂組成物等を使用することができる。
【0022】
基材シート6は透明又は半透明であっても良いし、染料又は顔料等の着色剤の添加により適宜の色彩に着色されていても良い。特に、係る化粧シートには、被貼着基材の表面の色彩や欠陥等に対する隠蔽性が要求される場合が多いので、基材シート6に例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック等の不透明顔料を添加して隠蔽性を付与しておくと、隠蔽性に優れた化粧シートを容易に得ることができる利点がある。
【0023】
その他、基材シート6には必要に応じて、例えば体質顔料、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等、従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。基材シート6の厚さは特に限定されるものではないが、通常10〜500μm程度であり、中でも25〜150μm程度の範囲内が最も一般的である。
【0024】
絵柄層2は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与する目的で設けられるものであって、その絵柄の種類や、絵柄層2の構成材料、形成方法等は特に制限されるものではなく、例えば従来公知の化粧シートにおけるそれと全く同一の要領で設けることができる。絵柄の種類として具体的には、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形、文字又は記号、或いはそれらの2種以上の組み合わせ等を挙げることができる。勿論、絵柄の必要がなければ単色無地であっても良いし、絵柄層2を設けなくても良い。
【0025】
絵柄層2の構成材料として一般的には、染料又は顔料等の着色剤を、適当な結着剤樹脂と共に、適当な溶剤中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料が使用される。絵柄層2の形成方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の各種の印刷方法や、全面ベタ状であれば例えばロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、リップコート法、ダイコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。
【0026】
なお、基材シート6に絵柄層2を施すにあたり、予め基材シート6の表面に例えばコロナ放電処理、オゾン処理、火炎処理、プラズマ処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、アンカー又はプライマー処理等の適宜の表面処理を施すことによって、基材シート6と絵柄層2との密着性を向上することもできる。また、基材シート6の隠蔽性が不足する場合には、基材シート6と絵柄層2との間に、隠蔽性の顔料を大量に含有する印刷インキ又は塗料からなる隠蔽ベタ印刷層を設けることもできる。
【0027】
透明熱可塑性樹脂層1を構成する熱可塑性樹脂の種類も特に限定されるものではなく、例えば既に基材シート6の構成材料として例示した各種の熱可塑性樹脂を使用することができ、基材シート6と同一であっても異なっていても良い。但し、基材シート6の場合と同様、環境問題の観点から、例えばオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の非ハロゲン系樹脂を使用することが望ましく、中でもオレフィン系樹脂が最も適している。
【0028】
透明熱可塑性樹脂層1を構成する熱可塑性樹脂は、完全な無色透明のものに限定される訳では必ずしもなく、少なくとも絵柄層2が透視可能な程度の透明性を具備していれば良く、半透明や着色透明であっても良い。従って、その限りにおいて、染料又は顔料等の着色剤を添加することもできる。この場合、顔料であれば透明性の高い顔料を使用すべきことは言うまでもない。
【0029】
透明熱可塑性樹脂層1には、化粧シートの表面から入射する紫外線が基材シート6や絵柄層2に到達するのを防ぐと共に、それ自体を紫外線から護る目的で、紫外線吸収剤を添加することが望ましい。後者の目的には、ラジカル捕捉剤等の光安定剤の併用が更に効果的である。
【0030】
透明熱可塑性樹脂層1の厚さは特に限定されるものではないが、通常10〜500μm程度であり、中でも25〜150μm程度の範囲内が最も一般的である。
【0031】
透明熱可塑性樹脂層1と基材シート6との積層方法は特に限定されるものではない。図1に示す例では、予め表面に絵柄層2を形成した基材シート6上に、例えば不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂等の熱接着性を有する樹脂と、透明熱可塑性樹脂層1を形成するための透明な熱可塑性樹脂とを、共押し出し積層法によって積層することにより、接着性樹脂層7及び透明熱可塑性樹脂層1が形成されている。その他の積層方法として、例えば適宜の接着剤を介したドライラミネート法又はウェットラミネート法や、接着剤を介した又は介さない熱ラミネート法、溶融押し出し樹脂層を介して積層するサンドラミネート法等によることもできる。
【0032】
透明熱可塑性樹脂層1の表面に設けられるエンボス凹部3の模様の種類も特に限定されるものではなく、木目における導管模様状の他、例えば石目調、布目調、和紙調、抽象柄状、幾何学模様状、地紋状、ヘアライン状等であっても良い。また、これを絵柄層2の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることもできるが、その必要がなければ非同調であっても良く、同調及び非同調の複数種を含む模様のエンボス凹部3を設けることもできる。
【0033】
エンボス凹部3の形成方法は特に限定されるものではないが、金属製のエンボス版若しくはエンボスロールを使用した機械エンボス法が最も一般的である。また、エンボス凹部3の形成の時期も特に限定されるものではなく、基材シート6と透明熱可塑性樹脂層1との積層前、積層と同時又は積層後の中から任意の時期を選択することができる。また、相異なる複数種類の模様のエンボス凹部3を形成する場合には、上記3種から選ばれる複数の時期に複数回に亘ってエンボス加工を施すこともできる。
【0034】
エンボス凹部3の深さは特に限定されるものではないが、ごく浅い場合には意匠性の向上の効果も少ないし、本発明を適用する意義にも乏しい。化粧シートの表面への立体模様の付与による意匠性の向上という目的からは、エンボス凹部3の最大深さが、透明熱可塑性樹脂層1の厚さにもよるが例えば一般的なそれの半分を越える様な、深いエンボス凹部3を設けることが効果的であり、その様な場合にこそ前述した従来の技術における問題点が発生するのであり、本発明の適用の効果が顕著に発現するのである。
【0035】
本発明の化粧シートは、上記したエンボス凹部3に、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4を充填した点に、最も顕著な特徴を有するものである。紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4は、紫外線吸収性の官能基を有する単量体の単独重合体や、紫外線吸収性の官能基を有する単量体と一般の単量体との共重合体等の様に、樹脂自体が紫外線吸収性を有するものであっても良いが、係る樹脂は特殊なものであるために高価であったり入手が困難であったりする場合が多いので、一般的には、紫外線吸収性を有しない通常の樹脂に、適宜の紫外線吸収剤を添加したものが使用される。
【0036】
この透明樹脂組成物4の主体となる樹脂としては、耐磨耗性や耐溶剤性等の各種表面物性や耐候性に優れた樹脂を使用することが好ましく、係る観点からは硬化性樹脂を使用することが好ましい。具体的には、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂や、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂等の紫外線又は電子線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂等を、好適に使用することができる。
【0037】
これに添加する紫外線吸収剤の種類は特に限定されるものではなく、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリド系等、従来公知のものから1種又は2種以上を任意に選択して使用することができる。
【0038】
また、上記透明樹脂組成物4自体の劣化を防止する為には、これに光安定剤を併せて添加しておくことが効果的である。光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、ニッケル錯体系等、従来公知のものから1種又は2種以上を任意に選択して使用することができる。
【0039】
なお、本発明の化粧シートにおいて、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4の「透明」とは、完全な無色透明に限定されるものでは必ずしもなく、半透明や着色透明であっても良い。要するに、該透明樹脂組成物4が紫外線吸収性を有しない場合に、化粧シートの表面から入射する紫外線を十分に遮蔽することができない程度の透明性を有する場合には、本発明の効果が十分に発揮されるのである。従って、その限りにおいて、該透明樹脂組成物4は染料又は顔料等の着色剤や充填剤等を含有していても良い。
【0040】
本発明の化粧シートにおいて、エンボス凹部3に紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4を「充填する」とは、エンボス凹部3が該透明樹脂組成物4によって完全に埋め尽くされて他の部分と同一平面を成すことを意味するものでは必ずしもなく、要するに、エンボス凹部3の内の少なくとも、透明熱可塑性樹脂層1の底面とエンボス凹部3の内面との間の厚さに含有される量の紫外線吸収剤によっては、表面から入射する紫外線を十分に遮蔽し切れない程度となっている深さの部分が、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4によって充填されていれば良い。
【0041】
透明熱可塑性樹脂層1への紫外線吸収剤の添加量を極力削減し、しかも透明樹脂組成物4の充填後も十分に深いエンボス凹部3を残しつつ、優れた耐候性を得る為には、透明樹脂組成物4には、単位厚さ当たりの紫外線吸収能力が透明熱可塑性樹脂層1のそれを上回るだけの紫外線吸収性を持たせる必要がある。一般的な透明熱可塑性樹脂層1への紫外線吸収剤の添加量は0.01〜0.5重量%程度であるのに対し、透明樹脂組成物4への紫外線吸収剤の添加量はそれより多く、0.1〜5重量%程度の範囲内で設計することが好ましい。
【0042】
透明熱可塑性樹脂層1のエンボス凹部3への紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4の充填方法は特に限定されるものではないが、予めエンボス凹部3を設けた透明熱可塑性樹脂層1の表面全面に透明樹脂組成物4を塗布した後に、余剰の透明樹脂組成物4をドクター刃又は布状物等で拭い去る所謂ワイピング法や、エンボス凹部3の形成用のエンボス版又はエンボスロールの凸部に透明樹脂組成物4を付着させておき、エンボス加工を行うと同時に透明樹脂組成物4をエンボス凹部3に転移させる所謂バレープリント法等が、生産性に優れた手法として最も一般的である。
【0043】
本発明の化粧シートの表面に更に優れた表面物性を付与する目的で、透明熱可塑性樹脂層1の表面にトップコート層5を設けることもできる。トップコート層5の構成材料としては、従来より係る化粧シートのトップコート層の構成材料として使用されている公知の各種の塗料から任意に選択して使用することができる。
【0044】
一般的には、耐磨耗性や耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性等の表面物性に優れた硬化性樹脂を主成分とするものを使用することが好ましい。係る硬化性樹脂として具体的には、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂や、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の紫外線又は電子線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂などを好適に使用することができる。
【0045】
また、上記トップコート層5には必要に応じて、例えば着色剤、充填剤、艶調整剤、滑剤、減摩剤、帯電防止剤、結露防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤等の各種の添加剤の1種以上を適宜添加することもできる。
【0046】
ところで、係る化粧シートは一般に、木質系基材や無機質系基材、金属系基材、合成樹脂系基材等の各種の被貼着基材の表面に貼着して使用するものであり、該貼着の際には通常例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用されるが、基材シート6の材質によっては、係る汎用のラミネート用接着剤との接着性が不十分である場合もある。係る場合に備えて、基材シート6の裏面に、上記した汎用のラミネート用接着剤との接着性に優れた樹脂組成物からなる易接着プライマー層8を設けておくこともできる。
【0047】
易接着プライマー層8としては、例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種のプライマー塗工剤が知られており、これらの中から基材シート6の材質に合わせたものを選んで使用する。なお、易接着プライマー層8に例えばシリカ等の微粉末を添加しておくと、易接着プライマー層8の表面が粗面化することにより、化粧シートの巻取保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
【0048】
本発明の化粧シートは、以上に詳述したような、基材シート6及び透明熱可塑性樹脂層1という複数のシート体が積層されてなる、本質的に複層構成の化粧シートに限定されるものではなく、例えば図2に示す様に、透明熱可塑性樹脂層1の裏面に基材シート6を有しない、本質的に単層構成の化粧シートとすることもできる。この場合も、透明熱可塑性樹脂層1を始め、絵柄層2、エンボス凹部3、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物4、トップコート層5等の細部は、基本的に前述した複層構成の化粧シートの場合と全く同様である。
【0049】
なお、この様な単層構成の化粧シートにあっては、被貼着基材の表面の色彩や欠陥に対する隠蔽性が、絵柄層2のみによっては十分に得られない場合もある。そのような場合には、絵柄層2の裏面に、隠蔽性顔料を大量に含有する印刷インキ又は塗料からなる隠蔽ベタ印刷層9を設けることによって、化粧シートに必要とされる隠蔽性を十分に付与することができる。
【0050】
【実施例】
厚さ70μmのポリプロピレン樹脂着色フィルムを基材シートとして、その裏面に、建材用ウレタン系グラビア印刷メジウムにて易接着プライマー層を印刷し、次に基材シートの表面に建材用ウレタン系グラビア印刷インキにて木目柄を印刷し、該印刷面上に、厚さ20μmのエチレン系接着性樹脂層と、光安定剤0.2重量%及び紫外線吸収剤0.3重量%を添加した厚さ60μmのランダム重合ポリプロピレン樹脂層とを、共押し出しラミネート法にて順次積層すると同時にエンボス形状を付与した透明熱可塑性樹脂層を形成し、エンボス凹部に光安定剤0.3重量%及び紫外線吸収剤0.5重量%を添加した透明な2液硬化型ウレタン系樹脂をワイピング塗工法により充填し、最後に透明熱可塑性樹脂層の表面に2液硬化型ウレタン系樹脂をグラビア印刷法にて乾燥後の塗布量6g/m2に塗布してトップコート層を形成し、本発明の化粧シートを作製した。
【0051】
得られた化粧シートについて、サンシャインウェザーメーターによる耐候性試験を実施したところ、3000時間経過後にも特に顕著な外観変化はなく、住宅窓枠用化粧シートとして通常要求される耐候性(サンシャインウェザーメーターにて2500時間程度を目安)を遥かに上回る優れた高耐候性を備えた化粧シートであることが確認された。
【0052】
なお、比較のために、エンボス凹部に充填する2液硬化型ウレタン系樹脂(これ自体には紫外線吸収性は無い)に光安定剤及び紫外線吸収剤を添加せずに、その他は上記と同一条件で作製した化粧シートについて、サンシャインウェザーメーターによる耐候性試験を実施したところ、2000時間経過した時点でエンボス凹部における白化及び亀裂が認められ、耐候性が必ずしも十分でないことが確認された。
【0053】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、基材シート及び/又は絵柄層の表面側に設けられた透明熱可塑性樹脂層のエンボス凹部に、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物が充填されているので、エンボス凹部が不透明な濃い色彩に着色されていないにも拘わらず、化粧シートの表面側からエンボス凹部に入射した紫外線は、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物によって吸収されて、エンボス凹部の下の基材シート及び/又は絵柄層が紫外線から遮蔽される結果、透過紫外線の作用による基材シート及び/又は絵柄層の変褪色、白化、亀裂等の劣化現象の発生が抑止され、外装ないし準外装用途にも十分に堪え得る高耐候性を有する化粧シートである。
【0054】
そして、上記したとおりの原理により、エンボス凹部を不透明な濃い色彩に着色する必要がないので、エンボス凹部を無着色や淡色とすることも可能となって、外装や準外装用途の化粧シートにおける意匠表現の幅が拡がることや、表面側の透明熱可塑性樹脂層に大量の紫外線吸収剤を添加する必要がないので、高価な紫外線吸収剤を節約し製造原価を低減することを可能とすると共に、例えばオレフィン系樹脂等の様に汎用の紫外線吸収剤との相溶性が必ずしも良くない樹脂を透明熱可塑性樹脂層に使用しても、樹脂の白濁による意匠性の低下や、表面へのブリードによる汚れやブロッキング等の問題を発生することなく、高耐候性を有する化粧シートを容易に得ることができることなど、種々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…透明熱可塑性樹脂層
2…絵柄層
3…エンボス凹部
4…紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物
5…トップコート層
6…基材シート
7…接着性樹脂層
8…易接着プライマー層
9…隠蔽ベタ印刷層

Claims (6)

  1. 絵柄層上に透明熱可塑性樹脂層を有し、該透明熱可塑性樹脂層の表面にエンボスが施されている化粧シートにおいて、該エンボスの凹部に、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物が充填後もエンボスの凹部が残るように充填されていることを特徴とする化粧シート。
  2. 基材シート上に透明熱可塑性樹脂層を有し、該透明熱可塑性樹脂層の表面にエンボスが施されている化粧シートにおいて、該エンボスの凹部に、紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物が充填されていることを特徴とする化粧シート。
  3. 前記基材シートと、前記透明熱可塑性樹脂層との間に、絵柄層を有することを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記基材シートが、オレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧シート。
  5. 前記透明熱可塑性樹脂層が、オレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記紫外線吸収性を有する透明樹脂組成物は、耐候性を有する透明樹脂に紫外線吸収剤が添加された組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
JP2000153397A 2000-05-24 2000-05-24 化粧シート Expired - Fee Related JP3911962B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000153397A JP3911962B2 (ja) 2000-05-24 2000-05-24 化粧シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000153397A JP3911962B2 (ja) 2000-05-24 2000-05-24 化粧シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001334625A JP2001334625A (ja) 2001-12-04
JP3911962B2 true JP3911962B2 (ja) 2007-05-09

Family

ID=18658657

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000153397A Expired - Fee Related JP3911962B2 (ja) 2000-05-24 2000-05-24 化粧シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3911962B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006175685A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Takiron Co Ltd 光触媒機能を有する成形品
JP6863118B2 (ja) * 2017-06-19 2021-04-21 凸版印刷株式会社 化粧シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001334625A (ja) 2001-12-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20080098452A (ko) 바닥재용 화장 시트 및 이를 이용한 바닥용 화장재
US20050003174A1 (en) Wallpaper and method for producing thereof
JP4737722B2 (ja) 積層体及びシート
JP4478315B2 (ja) 化粧シート及び化粧材
JP4900015B2 (ja) 化粧シートおよび化粧材
JP4318789B2 (ja) 化粧シート
JP6586747B2 (ja) 化粧シート及び化粧材
JP5287420B2 (ja) 化粧シート及び化粧板
JP4617555B2 (ja) 化粧シート及び化粧材
JP3911962B2 (ja) 化粧シート
JP2001181985A (ja) 床用シート及び床材
JP6737388B1 (ja) 透明性樹脂フィルム、化粧材、及び、化粧材の製造方法
JP2003181996A (ja) 化粧シート及び化粧材
JP6900733B2 (ja) 外装用化粧シート
JP3641946B2 (ja) 化粧シート
JP2005028837A (ja) 化粧シート
JP6586749B2 (ja) 化粧シート及び化粧材
JP4114383B2 (ja) 化粧シート
JP4170404B2 (ja) 耐候性のあるオレフィン系化粧シート
JP6586748B2 (ja) 化粧シート及び化粧材
JP2016169509A (ja) 床用化粧シート及び床用化粧材
JP4154767B2 (ja) 化粧シート
JP2000301682A (ja) 化粧シート
JPH09314791A (ja) 耐候性のあるオレフィン系化粧シート
JP4514849B2 (ja) 化粧シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3911962

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100209

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120209

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130209

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140209

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees