JP4323227B2 - 変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作業機等の変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
変速装置として、選択摺動式変速機構を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
実公平6−43561号公報(第2−3頁、第1図)
【0004】
特許文献1の第1図を以下の図22で説明する。なお、符号は振り直した。
図22は従来の変速装置の断面図であり、変速装置は、ケース301内に入力軸302、第二軸303、第三軸304及び出力軸305を軸支したものであり、入力軸302にギヤ306,307を取付け、第二軸303にギヤ306,307に常時噛み合うギヤ308,309を回転自在に取付け、ギヤ308,309間の第二軸303に、この第二軸303とギヤ308,309の一方とを選択的に接続する機械式クラッチ310を設け、第二軸303にスライドギヤ313をスライド可能にスプライン結合し、同じく第二軸303に遊嵌ギヤ314を回転自在に取付け、入力軸302に、スライドギヤ313のスライドにより係脱するギヤ部315aと遊嵌ギヤ314に常時噛み合うギヤ部315bとを備える伝動ギヤ315を回転自在に取付けたものである。なお、316はスライドギヤ313を移動させるための操作フォークである。
上記のスライドギヤ313、遊嵌ギヤ314及び伝動ギヤ315により、スライドギヤ313のスライド操作で伝動ギヤ315に二種の回転数が得られるギヤスライド式の第一副変速機構317を構成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図22において、スライド式の第ー副変速機構317、即ち、選択摺動式変速機構では、第二軸303と共に回転するスライドギヤ313が遊嵌ギヤ314に噛み合った状態から図の右方に移動して伝動ギヤ315に噛み合う場合には、スライドギヤ313と伝動ギヤ315の各回転軸(即ち第二軸303と入力軸302)が異なるために、ギヤ同士が噛み合いにくく、ギヤ鳴りを起こしたり、ギヤの歯部が摩耗しやすい。
上記したギヤ同士の噛み合いを向上させれば、変速位置での引っ掛かり等がなく、円滑に変速操作ができる。
【0006】
また、上記したように、ギヤ同士が噛み合いにくい場合に、例えば、スライドギヤ313と伝動ギヤ315との間に、回転を同期させてから噛み合わせるシンクロメッシュ式変速機構を介在させることが考えられる。しかし、シンクロメッシュ式変速機構は構成部品の数が多く、しかも、各構成部品の形状が複雑であるから、コストアップ及び重量増を招くことになる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、変速装置を改良することで、コストアップや重量増を抑えつつ、変速レバーの操作性を高めることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、入力側に設けた軸に第1ギヤを取付け、この第1ギヤの近傍に出力側の第2ギヤを設け、これらの第1ギヤと第2ギヤとの間に、第1ギヤ、第2ギヤ間を移動させることで第1ギヤと噛み合った状態で第2ギヤと噛み合い得る歯部を備えた結合部材を設け、この結合部材を第1ギヤ及び第2ギヤに噛み合わせる又は結合部材と第2ギヤとの噛み合いを解除することで変速操作を行う変速装置において、結合部材の歯部とこの歯部に噛み合う第2ギヤの歯部とに、それぞれの側端部に互いに対向するテーパ部を備え、軸に、軸直角方向に開けた穴部と、この穴部の一方の開口から出没自在に設けた突出部材と、軸に対する第1ギヤの回転を規制するために穴部の他方の開口側から突出させることで第1ギヤの内面と係合させた係合片と、これらの突出部材及び係合片を穴部外へ付勢するために突出部材、係合片間に介在させた付勢部材とを備え、第1ギヤの内面に、突出部材が入り込める窪み部及びこの窪み部に周方向に連続するように設けた傾斜面からなるカム部と、係合片を軸の回転方向に所定角度移動可能とする凹部とを備え、付勢部材によって、カム部の底に突出部材を押し当てるとともに凹部の底に係合片を押し当て、突出部材が、付勢部材と協働して係合片を凹部の円周方向の所定位置に位置決め可能であることを特徴とする。
【0009】
ニュートラル時は、付勢部材によって、突出部材が窪み部に押圧されるとともに係合片は凹部内の所定角度移動可能な場所に位置する。
変速するために、結合部材の歯部を第2ギヤの歯部に押し当てると、結合部材の歯部のテーパ部が第2ギヤの歯部のテーパ部に接しながら結合部材は周方向に移動する。即ち、軸に対して第1ギヤ及び結合部材が相対的に回転し、結合部材の歯部が第2ギヤの歯部に噛み合い可能な位置に達する。この状態で結合部材を更に第2ギヤ側に押し付けると、結合部材の歯部が第2ギヤの歯部に噛み合う。このときに、突出部材はカム部の窪み部から傾斜面へ移動する。
更に、軸の駆動トルクによって、第1ギヤは、軸に対して回転することで係合片が凹部の周方向の端の内壁に当たり、軸から第1ギヤに動力が伝わる。
【0010】
このように、本発明は、単に、軸に一体的に取付けたギヤを結合部材を介して第2ギヤに結合するのに比べて、結合部材の歯部及び第2ギヤの歯部にそれぞれテーパ部を備えるとともに係合片を軸の回転方向に所定角度移動可能とする凹部を備えることにより、変速操作の初期に、結合部材の歯部と第2ギヤの歯部とが噛み合う位置に無くても、結合部材の歯部が第2ギヤの歯部に対して噛み合う位置まで周方向に移動できるために、結合部材と第2ギヤとが噛み合い易くなり、結合部材と第2ギヤとの結合をより円滑に行うことができ、変速レバーの操作性を向上させることができる。また、変速レバー操作に熟練を必要としない。
【0011】
更に、上記した変速装置では、変速レバーの操作性を向上させるために、従来に比べて、構成部品として、突出部材、係合片及び付勢部材が増えるだけであるから、コストアップ及び重量増を抑えることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る変速装置を備えた歩行型農作業機の斜視図であり、歩行型農作業機10(以下では単に「農作業機10」と記す。)は、エンジン11から駆動装置12を介して左右の走行車輪13,14(手前側の符号13のみ示す。)及びこれらの走行車輪13,14の前方に配置した左右の耕耘装置15、16へ動力を伝達し、駆動装置12を構成するトランスミッションケース12aの後部に畝立て器等の作業装置を連結する構造を有する農業機械であり、耕耘装置15,16で圃場を耕しながら、例えば畝立て器で畝を立てる。
【0013】
図2は本発明に係る変速装置を備えた農作業機の側面図であり、農作業機10は、機体の上部に配置したエンジン11と、このエンジン11の下部に取付けた駆動装置12と、この駆動装置12の前部に左右の耕耘軸15a,16a(手前側の符号15aのみ示す。)を介して回転可能に取付けた耕耘装置15,16と、駆動装置12の後部に左車軸13a及び右車軸14a(不図示)を介して回転可能に取付けた走行車輪13,14と、トランスミッションケース12aの後部から後方斜め上方に延ばしたハンドル18と、トランスミッションケース12aの後端に取付けた連結機構21とからなる。
【0014】
ここで、17は駆動装置12を構成するクラッチ(後で詳述する。)を収納するクラッチケース、31はトランスミッションケース12aの前端部に上下に位置調整可能に取付けた走行補助輪、32はトランスミッションケース12aの前部及び耕耘装置15,16の上方を覆うフェンダ、33はエンジン11の上方を覆うエンジンカバー、34はエアクリーナ、35は燃料タンク給油口用キャップ、36は変速レバー、37はデフロック用レバー、38はクラッチレバー、41は連結機構21に連結した作業装置を跳ね上げるための跳ね上げレバー、42は連結機構21に連結した作業装置の沈み込み位置を調整する沈み込み位置調整レバーである。
【0015】
図3は本発明に係る変速装置を備えた農作業機の平面図であり、農作業機10は、ハンドル18の右側前部に、エンジン11を始動させるリコイルスタータ用ノブ51と、エンジン11の出力を調整するスロットルレバー52と、前述のデフロック用レバー37とを配置し、ハンドル18の左側後部にエンジン11を停止させるエンジンスイッチ53を取付け、ハンドル18の後部にクラッチレバー38を取付け、駆動装置12(図1参照)の後部中央から後方へ変速レバー36を延ばし、連結機構21の後部左部から後方へ跳ね上げレバー41を延ばしたことを示す。
【0016】
図4は本発明に係る変速装置を備えた駆動装置の断面図であり、駆動装置12は、エンジン11(図2参照)の駆動力を走行車輪13,14(図2参照)及び耕耘装置15,16(図2参照)に伝える装置であり、エンジン11のクランクシャフト11aに接続したクラッチ61と、このクラッチ61に接続した動力伝達機構62と、前述のクラッチケース17と、動力伝達機構62を収納する前述のトランスミッションケース12aとからなる。
【0017】
クラッチ61は、入力側をクランクシャフト11aに接続し、出力側となるクラッチ出力軸61aを動力伝達機構62を構成する入力軸64に接続したものである。
【0018】
動力伝達機構62は、入力軸64と、この入力軸64に一体に設けたベベルギヤ64aに噛み合う入力歯車としてのベベルギヤ66と、このベベルギヤ66を支持する作業軸67と、この作業軸67に取付けた第1ドライブスプロケット68及び第2ドライブスプロケット71と、第1ドライブスプロケット68に第1チェーン72を介して接続した第1ドリブンスプロケット73と、この第1ドリブンスプロケット73を支持する耕耘補助軸74と、この耕耘補助軸74から複数のギヤにより駆動力を受ける前述の耕耘軸15a,16aと、第2ドライブスプロケット71に第2チェーン76を介して接続した第2ドリブンスプロケット77と、この第2ドリブンスプロケット77を支持する走行軸78と、この走行軸78に一体成形した第3ドライブスプロケット81と、この第3ドライブスプロケット81に第3チェーン82を介して接続した第3ドリブンスプロケット83と、この第3ドリブンスプロケット83からの駆動力を受ける前述の左車軸13a及び右車軸14aとを備える。
上記した作業軸67及び走行軸78は、後で詳述する変速装置の一部を構成する部材である。
【0019】
クラッチケース17は、クランクシャフト11aを通すシャフト挿通穴17aを設けた上部ケース86と、この上部ケース86の下部に取付けた下部ケース87とからなる。
【0020】
下部ケース87は、クラッチ出力軸61a及び入力軸64を回転自在に支持するほぼ円筒状の軸受部91と、トランスミッションケース12aに取付けるための第1結合面としてのクラッチ側取付面92とを備える。
【0021】
軸受部91は、トランスミッションケース12aと嵌合する筒状部93を下部に形成した部分である。
図中の90は筒状部93の軸心であり、上記したクラッチ側取付面92は、軸心90に対して垂直な面である。
【0022】
トランスミッションケース12aは、左右2分割とした部材であり、上部に、クラッチケース17の筒状部93に嵌合する嵌合穴94と、クラッチケース17のクラッチ側取付面92に取付けるトランスミッション側取付面95とを設けた部材である。なお、96…(…は複数個を示す。以下同じ。)はクラッチケース17とトランスミッションケース12aとを結合するボルトである。
図中の100は嵌合穴94の軸心であり、軸心90と一致する。上記したトランスミッション側取付面95は、軸心100に対して垂直な面である。
【0023】
図5は本発明に係る駆動装置の断面図(第1の実施の形態)である。
トランスミッションケース12aは、左ケース101と右ケース102とを合わせたものである。
【0024】
駆動装置12の動力伝達機構62は、前述の作業軸67及び走行軸78を備える変速装置111と、この変速装置111に連結するチェーン伝動式の減速装置112と、この減速装置112に連結した差動装置113と、この差動装置113の左右に連結した左車軸13a及び右車軸14aとを備える。なお、15b…及び16b…は耕耘軸15a,16aに取付けた耕耘爪である。
【0025】
減速装置112は、前述の第3ドライブスプロケット81と、第3ドリブンスプロケット83と、これらの第3ドライブスプロケット81及び第3ドリブンスプロケット83に掛け渡した第3チェーン82とからなる。
【0026】
図6は本発明に係る変速装置(第1の実施の形態)の要部断面図であり、変速装置111は、左ケース101及び右ケース102にベアリング116〜119を介してそれぞれ回転自在に取付けた作業軸67及び走行軸78と、作業軸67に設けた常時噛み合い式変速機構としての作業用変速機構122と、走行軸78に設けた走行用変速機構123とからなる。
【0027】
作業軸67は、ベベルギヤ66に設けた雌スプライン66aにスプライン結合する第1雄スプライン67aと、中間部に設けた第2雄スプライン67b及び走行用変速機構123側に噛み合わせるために一体成形した第1ドライブギヤ67cと、第2ドライブスプロケット71に設けた雌スプライン71aにスプライン結合する第3雄スプライン67dと、変速をより円滑に行うための変速補助機構124とを備える。
【0028】
作業用変速機構122は、常時噛み合い式変速機構、即ちコンスタントメッシュ式変速機構であり、作業軸67と、作業軸67の変速補助機構124に係合させた第1ギヤとしての入力側ギヤ126と、この入力側ギヤ126に噛み合う結合部材としての結合スリーブ127と、この結合スリーブ127が移動したときに噛み合う第2ギヤとしてのギヤ部68aを一体成形した前述の第1ドライブスプロケット68とからなり、被結合側である第1ドライブスプロケット68のスプロケット部68bが第1チェーン72を介して第1ドリブンスプロケット73(図4参照)に常時連結している、即ちギヤとした場合は常時噛み合っているために、常時噛み合い式と呼ぶ。
【0029】
走行用変速機構123は、走行軸78と、作業軸67の第1ドライブギヤ67cと、作業軸67の第2雄スプライン67bにスプライン結合する第2ドライブギヤ131及び第3ドライブギヤ132と、第2ドライブスプロケット71と、第2チェーン76と、第2ドリブンスプロケット77と、走行軸78に回転可能に嵌合させるとともに作業軸68側の第1ドライブギヤ67c、第2ドライブギヤ131及び第3ドライブギヤ132にそれぞれ噛み合わせた第1ドリブンギヤ133、第2ドリブンギヤ134及び第3ドリブンギヤ136と、変速のニュートラル位置を規定するために走行軸78に回転可能に嵌合させたニュートラル位置決め還137と、走行軸78の外面に軸方向に形成した縦溝78a内に移動可能に配置したスライドキー138とからなる。
【0030】
上記した走行軸78、スライドキー138、ニュートラル位置決め還137、第1ドリブンギヤ133、第2ドリブンギヤ134、第3ドリブンギヤ136、第2ドリブンスプロケット77は、キースライド式変速機構138Aを構成する部材である。
【0031】
第1ドリブンギヤ133、第2ドリブンギヤ134、第3ドリブンギヤ136及び第2ドリブンスプロケット77は、内面にそれぞれスライドキー138が係合する被係合溝133a、134a、136a及び77aを形成したものである。
【0032】
上記した第1ドライブギヤ67c、第2ドライブギヤ131及び第3ドライブギヤ132は、第1ギヤ列139Aを構成し、上記した第1ドリブンギヤ133,第2ドリブンギヤ134及び第3ドリブンギヤ136は、第2ギヤ列139Bを構成する部材である。
【0033】
ニュートラル位置決め還137は、内面にスライドキー138が係合する被係合凹部137aを形成したものである。
スライドキー138は、係合溝133a、134a、136a,77a及び係合凹部137aに係合させるために設けた係合爪部138aと、この係合爪部138aから延ばした直線部138bと、この直線部138bの端部に設けた係止端部138cとからなり、係合爪部138a及び直線部138bの背面に、スライドキー138を係合溝133a、134a、136a,77a及び係合凹部137aの側へ押し付けるスプリング138eを付設したものである。なお、138fはスライドキー138のストッパであり、走行軸78に取付けたものである。
【0034】
第1ドライブギヤ67c及び第1ドリブンギヤ133は、走行時の前進第1速、第2ドライブギヤ131及び第2ドリブンギヤ134は、走行時の前進第2速、第3ドライブギヤ132及び第3ドリブンギヤ136は、走行時の前進第3速、第2ドライブスプロケット71、第2チェーン76及び第2ドリブンスプロケット77は走行時の後退のためのものである。
【0035】
図7は本発明に係る作業用変速機構(第1の実施の形態)を示す断面図(分解図)であり、作業用変速機構122は、作業軸67に入力側ギヤ126を嵌合させるとともに作業軸67に対する入力側ギヤ126の回転を変速補助機構124で規制し、入力側ギヤ126に形成した歯部126b…に結合スリーブ127に形成した歯部127a…を噛み合わ、この結合スリーブ127を軸方向へスライドさせることで結合スリーブ127の歯部127a…を第1ドライブスプロケット68のギヤ部68aの結合歯68cに噛み合わせるものである。
【0036】
変速補助機構124は、作業軸67に、軸直角方向に開けた穴部67fと、この穴部67fの一方の開口側に設けた軸凹部67gと、穴部67f内に挿入した付勢部材としてのスプリング141と、このスプリング141の一端に当てた状態で穴部67fに対して出没自在に設ける突出部材としてのボール142と、スプリング141の他端に当てた状態で軸凹部67g内に配置する係合片としての円柱状部材143と、作業軸67に入力側ギヤ126を嵌合させたときに、ボール142の一部を収納するために入力側ギヤ126に設けたカム部としての第1溝126d及び円柱状部材143の一部を収納するために入力側ギヤ126に設けた凹部としての第2溝126eとからなる。なお、67hは穴部67の一端に設けた面取りである。
【0037】
作業用変速機構122は、結合する対象である結合スリーブ127と第1ドライブスプロケット68とが同一の作業軸67上にあるために、結合スリーブ127を第1ドライブスプロケット68に結合する際に、結合スリーブ127の歯部127a…が第1ドライブスプロケット68の結合歯68c…にスムーズに噛み合い、ギヤ鳴りを起こしにくく、歯部の摩耗や欠損が発生しにくい。なお、127bは結合スリーブ127の外面に形成した環状溝である。
【0038】
例えば、平行に2本の軸を配置し、一方の軸に取付けた2つのギヤA,Bのどちらかに、他方の軸にスライド可能に取付けたギヤCを選択的に結合させる(このような変速機構を「選択摺動式変速機構」と呼ぶ。)場合には、ギヤA,C(又はギヤB,C)は噛み合いにくく、ギヤ鳴りや歯の欠損が生じやすい。
【0039】
図8は図6の8−8線断面図(第1の実施の形態)である。なお、説明の都合上、円柱状部材143は上方に配置し、ボール142は下方に配置して描いた。
変速補助機構124は、スプリング141によって、第1溝126dの底にボール142を押し当てるとともに第2溝126eの底に円柱状部材143を押し当て、第2溝126eを、作業軸67が入力側ギヤ126に対して回転したときに円柱状部材143が周方向に移動可能な隙間126f、126fが出来るように形成したものである。図中のθ1は入力側ギヤ126の歯部126bの歯先中央と、この歯部126b、その隣の歯部126b間に出来た歯底部126gの中央との間の角度、θ2は円柱状部材143が図の位置から第2溝126eの端の内面に当たるまでの角度(即ち、円柱状部材143が移動可能な角度)であり、θ2>θ1である。
【0040】
図9は本発明に係る入力側ギヤの断面図(第1の実施の形態)であり、第1溝126dは、底になる窪み部としての円弧状底部126jと、この円弧状底部126jの両端部に設けた傾斜した直線部126k、126kと、これらの直線部126k、126kの端部と内周面126m(作業軸67が嵌合する部分である。)とを繋ぐ端部円弧部126n、126nとからなる。
【0041】
第2溝126eは、底になる円弧状底部126pと、この円弧状底部126pの両端に連結した端部円弧部126q、126qとからなり、端部円弧部126qは、円柱状部材143(図8参照)が端部円弧部126qに当たったときに、端部円弧部126qのほぼ全体に円柱状部材143の外周面が接するように形成した部分である。
【0042】
図10(a),(b)は本発明に係る作業用変速機構(第1の実施の形態)の歯部を説明する断面図である。
(a)は結合スリーブ127と第1ドライブスプロケット68とを隣接させた状態を示す。
【0043】
(b)は(a)のb−b線断面図であり、結合スリーブ127((a)参照)の歯部127a…のそれぞれの一端にテーパ部127dを形成し、第1ドライブスプロケット68((a)参照)の結合歯68c…のそれぞれの一端に、テーパ部127dに対向するようにテーパ部68dを形成したことを示す。
【0044】
テーパ部127dは、歯部127aの中心線127fに対して対称としたものであり、その角度はθ3である。また、テーパ部68dは、結合歯68cの中心線68fに対して対称としたものであり、その角度はθ3である。
【0045】
図11(a),(b)は本発明に係る変速装置に付設したシフト部材を示す断面図(第1の実施の形態)であり、(a)は作業用変速機構側、(b)は走行用変速機構側を示す。
(a)は作業用変速機構122に作業用シフト部材145を付設したことを示す。
【0046】
作業用シフト部材145は、トランスミッションケース12aに軸方向にスライド可能に取付けた作業側シフトロッド146と、前述の結合スリーブ127の環状溝127bに挿入するために作業側シフトロッド146の中間部に取付けた作業側フォーク部材147と、変速レバー36(図3参照)に係合させるために、トランスミッションケース12aの外部に突出した作業側シフト部材146の端部に取付けた作業側アーム部材148とからなる。
作業側アーム部材148は、作業側シフトロッド146にボルト149で取付けたものであり、変速レバー36(図3参照)側に係合する被係合凹部148aを備える。
【0047】
作業側シフトロッド146を支持するために、左ケース101は、作業側シフトロッド146の先端部を挿入する穴部101dと、作業側シフトロッド146の先端部に設けた球状凹部146a…にボール151をスプリング152で押し付けることで作業側シフトロッド146をステップ状にスライドさせる作業側ステップスライド機構153とを備え、右ケース102は、作業側シフトロッド146を貫通させる貫通穴102dと、この貫通穴102dに隣接させて設けたダストシール154とを備える。
【0048】
(b)は走行用変速機構123に走行用シフト部材157を付設したことを示す。
走行用シフト部材157は、トランスミッションケース12aに軸方向にスライド可能に取付けた走行側シフトロッド158と、前述のスライドキー138の係止端部138cに係合させた断面H字状の環状部材161と、この環状部材161の外面に形成した環状溝161aに挿入するために走行側シフトロッド158の中間部に取付けた走行側フォーク部材162と、変速レバー36(図3参照)に係合させるために、トランスミッションケース12aの外部に突出した走行側シフトロッド158の端部に取付けた走行側アーム部材163とからなる。
走行側アーム部材163は、走行側シフトロッド158にボルト149で取付けたものであり、変速レバー36に係合する被係合凹部163aを備える。
【0049】
走行側シフトロッド158を支持するために、左ケース101は、走行側シフトロッド158の先端部を挿入する穴部101fと、走行側シフトロッド158の先端部に設けた球状凹部158a…にボール151をスプリング152で押し付けることで走行側シフトロッド158をステップ状にスライドさせる走行側ステップスライド機構165とを備え、右ケース102は、走行側シフトロッド158を貫通させる貫通穴102eと、この貫通穴102eに隣接させて設けたダストシール166とを備える。
【0050】
図12は本発明に係る変速レバーの取付け状態を説明する側面図であり、トランスミッションケース12aの右側面図を示す。
変速レバー36は、右ケース102に設けた支軸186にスイング可能に取付けたベース部材187と、このベース部材187に設けた筒部187aに先端部をスイング可能に取付けたレバー本体188と、このレバー本体188の中間部から上向きに突出させた第1突部191及び第2突部192と、レバー本体188の上端部に取付けたグリップ193とからなるほぼL字状の部材である。
レバー本体188は、トランスミッションケース12aに取付けた変速ガイドパネル195を貫通させた部分である。
【0051】
図13は本発明に係る変速レバーの取付け状態を説明する要部拡大側面図であり、変速レバー36の第1突部191を走行用シフト部材157の走行側アーム部材163に臨ませ、第2突部192を作業用シフト部材145の作業側アーム部材148に臨ませたことを示す。
【0052】
図は変速装置111(図6参照)の走行時のニュートラル状態における変速レバー36の位置を示し、詳しくは、第1突部191は、走行側アーム部材163の被係合凹部163aに係合した状態にあり、第2突部192は、作業側アーム部材148の被係合凹部148aに非係合の状態にある。
また、図中に、作業側フォーク部材147と走行側フォーク部材162とを破線で示した。
【0053】
図14は本発明に係る変速レバーの変速パターンを示す変速ガイドパネルの正面図である。
変速ガイドパネル195は、変速レバー36(図12参照)をガイドするガイド穴197を開けたものである。
【0054】
ガイド穴197は、走行側穴部197aと、この走行側穴部197aと平行に設けた作業側穴部197bと、これらの走行側穴部197a及び作業側穴部197bのそれぞれの端部を繋ぐ垂直穴部197cと、この垂直穴部197cから側方へ突出させた側方穴部197dとからなる。
【0055】
走行側穴部197aでは、変速レバーを、左端から順に、走行側ニュートラル位置36A(走行側のNの位置)と、農作業機を前進させるための前進第1速位置36B(走行側の▲1▼の位置)、前進第2速位置36C(走行側の▲2▼の位置)及び前進第3速位置36D(走行側の▲3▼の位置)とに移動することができる。
【0056】
作業側穴部197bでは、変速レバーを、左端から順に、作業側ニュートラル位置36E(作業側のNの位置)、作業側第1速位置36F(作業側の▲1▼の位置)及び作業側第2速位置36G(作業側の▲2▼の位置)に移動することができる。
作業側第1速位置36Fとは、前述の耕耘装置15,16(図1参照)を作動させながら前進第1速で走行するときの位置であり、作業側第2速位置36Gとは、耕耘装置15,16を作動させながら前進第2速で走行するときの位置である。
側方穴部197dでは、農作業機を後退させるための後退位置36Hへ変速レバーを移動することができる。
【0057】
このように、実施例の変速パターンは、走行側及び作業側で、各ニュートラル位置36A,36Eから順に速度を増すように変速することができ、且つ変速パターンが直感的に理解しやすく、変速操作を容易に行うことができる。
【0058】
図15は本発明に係る変速レバーの状態を示す平面図であり、変速レバー36を走行側ニュートラル位置36A(図14参照)に配置し、変速レバー36の第1突起191を走行用シフト部材157の走行側アーム部材163に係合させ、第2突部192を作業用シフト部材145の作業側アーム部材148に臨ませたことを示す。
【0059】
以上に述べた変速装置111の作用を次に説明する。
図16(a)〜(c)は本発明に係る変速装置の作用を示す第1作用図であり、走行用変速機構123の作用を説明する。
(a)において、変速レバーを走行側ニュートラル位置36Aから前進第1速位置36Bに移動させる。
【0060】
(b)において、このときに、第1突起191は走行側アーム部材163に係合状態にあり、第2突起192は作業側アーム部材148に非係合状態にある。従って、レバー本体188を筒部187aを中心にして紙面手前側へスイングさせて、(a)に示したように、変速レバーを移動させることで、(c)に示すように、第1突起191が移動するのに伴い、走行側シフトロッド158が外方、即ち矢印方向にスライドする。
【0061】
この結果、走行側フォーク部材162が環状部材161を介してスライドキー138の係合爪部138aをニュートラル位置決め還137の被係合凹部137a内から第1ドリブンギヤ133の被係合溝133aへ移動させる。従って、第1ドリブンギヤ133と走行軸78とが一体的に回転できるようになり、第1ドライブギヤ67c(図6参照)から走行軸78へ動力が伝わる。
【0062】
同様に、(a),(c)において、変速レバーを前進第1速位置36Bから前進第2速位置36Cへ移動させると、スライドキー138が第2ドリブンギヤ134と走行軸78とを結合させ、第2ドライブギヤ131(図6参照)から走行軸78へ動力が伝わり、変速レバーを前進第2速位置36Cから前進第3速位置36Dへ移動させると、スライドキー138が第3ドリブンギヤ136と走行軸78とを結合させ、第3ドライブギヤ132(図6参照)から走行軸78へ動力が伝わる。
【0063】
図17(a)〜(c)は本発明に係る変速装置の作用を示す第2作用図であり、走行用変速機構123の作用を更に説明する。
(a)において、変速レバーを走行側ニュートラル位置36Aから後退位置36Hに移動させる。
【0064】
(b)において、このときに、レバー本体188を支軸186を中心に矢印方向へわずかにスイングさせる。第1突起191は走行側アーム部材163に係合状態にあり、第2突起192は作業側アーム部材148に非係合状態にある。従って、レバー本体188を筒部187aを中心にして紙面奥側へでスイングさせて、(a)に示したように、変速レバーを移動させることで、(c)に示すように、第1突起191が移動するのに伴い、走行側シフトロッド158が内方、即ち矢印方向にスライドする。
【0065】
この結果、走行側フォーク部材162が環状部材161を介してスライドキー138の係合爪部138aをニュートラル位置決め還137の被係合凹部137a内から第2ドリブンスプロケット77の被係合溝77aへ移動させる。従って、第2ドリブンスプロケット77と走行軸78とが一体的に回転できるようになり、第2ドライブスプロケット71(図6参照)から走行軸78へ動力が伝わる。このときの走行軸78の回転は図16で説明したのとは逆になる。
【0066】
図18は本発明に係る変速装置の作用を示す第3作用図(第1の実施の形態)であり、作業用変速機構122の作用を説明する。
(a)において、変速レバーを走行側ニュートラル位置36Aから作業側ニュートラル位置36Eを介して作業側第1速位置36Fに移動させる。
【0067】
(b)において、このときに、レバー本体188を支軸186を中心に矢印方向へスイングさせる。これにより、第1突起191は走行側アーム部材163に係合状態になり、第2突起192も作業側アーム部材148に係合状態になる。
【0068】
従って、レバー本体188を筒部187aを中心にして紙面手前側へスイングさせて、(a)に示したように、変速レバーを移動させることで、(c)に示すように、第2突起192が移動するのに伴い、作業側シフトロッド146が外方、即ち矢印方向にスライドする。(このとき、走行側シフトロッド158も図16に示したようにスライドする。)
【0069】
この結果、作業側フォーク部材147が結合スリーブ127を移動させ、結合スリーブ127は第1ドライブスプロケット68のギヤ部68aに噛み合う。従って、作業軸67と第1ドライブスプロケット68とが変速補助機構124を介して一体的に回転し、作業軸67から第1チェーン72(図4参照)を介して耕耘補助軸74(図4参照)へ動力が伝わる。同様にして、(a),(c)において、変速レバーを作業側第1速位置36Fから作業側第2速位置36Gへ移動させると、作業側フォーク部材147は想像線で示す位置まで移動し、結合スリーブ127は更にスライドしてギヤ部68aとの噛み合いを維持する。
【0070】
図19(a)〜(f)は本発明に係る変速補助機構(第1の実施の形態)の作用を示す作用図である。
(a)は、変速補助機構124の作動前の状態を示す。即ち、ボール142は第1溝126dの底に位置するとともに、円柱状部材143は第2溝126eの円周方向の中央に位置し、作業軸67、入力側ギヤ126及び結合スリーブ(不図示)が一体に回転している。198は入力側ギヤ126の一つの歯を126Aとしたときに、この歯126Aの歯先の中心と入力側ギヤ126の回転中心を通る直線である。
【0071】
(b)において、変速操作のために結合スリーブの歯部127a…を第1ドライブスプロケット68(図6参照)の結合歯68cに押し付けた状態を示す。
第1ドライブスプロケット68は、図5及び図6に示したように、第1チェーン72を介して耕耘装置15,16側に連結した状態にあるため、第1ドライブスプロケット68の回転を開始させるには、比較的大きなトルクを必要とする。
【0072】
従って、図19(b)のように、結合スリーブの歯部127a…と、第1ドライブスプロケット68の結合歯68c…とが合わない場合、従来は変速操作を何度かやり直す必要が有った。
本発明では、このまま歯部127a…を結合歯68c…に押し付けた状態を維持する。
【0073】
(c)において、歯部127a…を結合歯68c…に押し付ける力によって、歯部127a…の各テーパ部127d…は、結合歯68c…の各テーパ部68d上を滑り、歯部127a…は結合歯68c…の間に移動し、歯部127a…が結合歯68c…に噛み合い可能な状態になる。
【0074】
(d)は(c)に示した歯部127…aが移動したときの状態、即ち、結合スリーブと共に入力側ギヤ126が一体に反時計回りに回転したときの状態を示す。φ1は入力側ギヤ126の(a)の状態からの回転角度を示す。
このとき、ボール142は第1溝126dの直線部126kに載った状態にある。
【0075】
(e)は結合スリーブを第1ドライブスプロケットに更に押し付けて、歯部127a…を結合歯68c…に噛み合わせた状態を示す。
(f)は結合スリーブの歯部が第1ドライブスプロケットの結合歯に結合した状態で入力側ギヤ126に対して作業軸67が回転して変速補助機構124の円柱状部材143が第2溝126eの端部(即ち、端部円弧部126q)に当たり、作業軸67から入力側ギヤ126へ動力を伝達する状態を示す。
この状態で、動力が作業軸67から入力側ギヤ126へ伝わらなくなると、スプリング141によって、ボール142は、直線部126kから円弧状底部126jへ移動する(即ち、(a)の状態に戻る)。
【0076】
上記の(b)〜(d)に示したように、本発明では、結合スリーブの歯部127aが周方向に移動するのを許容する変速補助機構124、詳しくは第2溝126e内で円柱状部材143が移動できる隙間126f,126fを設けたことで、変速操作時に、結合スリーブの歯部127aと第1ドライブスプロケット68の結合歯68cとが(b)に示したような噛み合わない位置にある場合でも、容易に結合歯68cに歯部127aを噛み合わせることができる。
【0077】
以上の図6〜図9で説明したように、本発明は、入力側に設けた作業軸67に入力側ギヤ126を取付け、この入力側ギヤ126の近傍に出力側の第1ドライブスプロケット68に形成したギヤ部68aを設け、これらの入力側ギヤ126とギヤ部68aとの間に、入力側ギヤ126、ギヤ部68a間を移動させることで入力側ギヤ126と噛み合った状態でギヤ部68aと噛み合い得る歯部127aを備えた結合スリーブ127を設け、この結合スリーブ127を入力側ギヤ126及びギヤ部68aに噛み合わせる又は結合スリーブ127とギヤ部68aとの噛み合いを解除することで変速操作を行う変速装置111において、結合スリーブ127の歯部127aとこの歯部127aに噛み合うギヤ部68aの結合歯68cとに、それぞれの側端部に互いに対向するテーパ部127d,68dを備え、作業軸67に、軸直角方向に開けた穴部67fと、この穴部67fの一方の開口から出没自在に設けたボール142と、作業軸67に対する入力側ギヤ126の回転を規制するために穴部67fの他方の開口側から突出させることで入力側ギヤ126の内面と係合させた円柱状部材143と、これらのボール142及び円柱状部材143を穴部67f外へ付勢するためにボール142、円柱状部材143間に介在させたスプリング141とを備え、入力側ギヤ126の内面に、ボール142が入り込める円弧状底部126j及びこの円弧状底部126jに周方向に連続するように設けた直線部126k,126k、端部円弧部126n,126nからなる第1溝126dと、円柱状部材143を作業軸67の回転方向に所定角度θ2移動可能とする第2溝126eとを備えることを特徴とする。
【0078】
ニュートラル時は、スプリング141によって、ボール142が円弧状底部126jに押圧されるとともに円柱状部材143は第2溝126e内の所定角度θ2移動可能な場所に位置する。
【0079】
変速するために、結合スリーブ127の歯部127aをギヤ部68aの結合歯68cに押し当てると、結合スリーブ127の歯部127aのテーパ部127dがギヤ部68aの結合歯68cのテーパ部68dに接しながら結合スリーブ127は周方向に移動する。即ち、作業軸67に対して入力側ギヤ126及び結合スリーブ127が相対的に回転し、結合スリーブ127の歯部127aがギヤ部68aの結合歯68cに噛み合い可能な位置に達する。この状態で結合スリーブ127を更にギヤ部68a側に押し付けると、結合スリーブ127の歯部127aがギヤ部68aの結合歯68cに噛み合う。このときに、ボール142は第1溝126dの円弧状底部126jから直線部126kへ移動する。
【0080】
更に、作業軸67の駆動トルクによって、入力側ギヤ126は、作業軸67に対して回転することで円柱状部材143が第2溝126eの周方向の端の内壁に当たり、作業軸67から入力側ギヤ126、結合スリーブ127を介して第1ドライブスプロケット68へ動力が伝わる。
【0081】
このように、本発明は、単に、作業軸に一体的に取付けたギヤを結合部材を介して第2ギヤに結合するのに比べて、結合スリーブ127の歯部127a及びギヤ部68aの結合歯68cにそれぞれテーパ部127d,68dを備えるとともに円柱状部材143を作業軸67の回転方向に所定角度θ2移動可能とする第2溝126eを備えることにより、変速操作の初期に、結合スリーブ127の歯部127aとギヤ部68aの結合歯68cとが噛み合う位置に無くても、結合スリーブ127の歯部127aがギヤ部68aの結合歯68cに対して噛み合う位置まで周方向に移動できるために、結合スリーブ127とギヤ部68aとが噛み合い易くなり、結合スリーブ127とギヤ部68aとの結合をより円滑に行うことができ、変速レバー36(図15参照)の操作性を向上させることができる。また、変速レバー操作に熟練を必要としない。
【0082】
更に、上記した変速装置111では、変速レバー36の操作性を向上させるために、従来に比べて、構成部品として、スプリング141、ボール142及び円柱状部材143が増えるだけであるから、コストアップ及び重量増を抑えることができる。
【0083】
しかも、これらの構成部品が作業軸67及び入力側ギヤ126の内側に納まるからコンパクト化を図ることができ、変速装置111、ひいては農作業機10を小型にすることができる。
【0084】
図20(a)〜(c)は本発明に係る変速補助機構(第2の実施の形態)を示す断面図であり、(a)にて構造を説明し、(b),(c)で作用を説明する。
なお、図6〜図8で示した第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
(a)において、変速補助機構210は、作業軸67の穴部67f及び軸凹部67gと、スプリング141と、ボール142と、スプリング141の端に当てた状態で軸凹部67gに配置した係合片としてのキー211と、結合スリーブ127(図8参照)に噛み合った第1ギヤとしての入力側ギヤ212に設けた第1溝126dと、キー211の一部を収納するために入力側ギヤ212に設けた凹部としての第2溝213とからなる。なお、215,215はキー211が第2溝213内を周方向に移動可能とする隙間である。
【0085】
(b)は図19(d)に対応する作用図であり、図19(c)に示したように、結合スリーブの歯部127a…が第1ドライブスプロケットの結合歯68c…の間に移動したときの状態、即ち、図20(b)において、作業軸67に対して入力側ギヤ212が反時計回りに回転したときの状態を示す。
【0086】
(c)は図19(f)に対応する作用図であり、結合スリーブの歯部が第1ドライブスプロケットの結合歯に噛み合った状態で、キー211が第2溝213の端部に当たり、作業軸67から入力側ギヤ212へ動力を伝達する状態を示す。
【0087】
図21(a)〜(c)は本発明に係る変速補助機構(第3の実施の形態)を示す断面図であり、(a)にて構造を説明し、(b),(c)で作用を説明する。
なお、図6〜図8で示した第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
(a)において、変速補助機構220は、作業軸221に軸直角方向に開けた穴部222と、この穴部222内に配置したスプリング141と、ボール142と、作業軸221の外周面から突出させた係合片としての突出部223…と、結合スリーブ127(図8参照)に噛み合った第1ギヤとしての入力側ギヤ224の内周面に形成した第1溝126dと、作業軸221の突出部223…と係合させるために入力側ギヤ224の内周面に設けた凹部としての第2溝226…とからなる。なお、227…は突出部223…が第2溝226…内をそれぞれ周方向に移動可能とする隙間である。
【0088】
(b)は図19(d)に対応する作用図であり、図19(c)に示したように、結合スリーブの歯部127a…が第1ドライブスプロケットの結合歯68c…の間に移動したときの状態、即ち、図20(b)において、作業軸221に対して入力側ギヤ224が反時計回りに回転したときの状態を示す。
【0089】
(c)は図19(f)に対応する作用図であり、結合スリーブの歯部が第1ドライブスプロケットの結合歯に噛み合った状態で、突出部223…が第2溝226の端部に当たり、作業軸221から入力側ギヤ224へ動力を伝達する状態を示す。
【0090】
尚、図20(a)に示した第2の実施の形態において、作業軸67に穴部67fを開け、この穴部67fの端部に軸凹部67gを形成し、この軸凹部67g内にキー211を配置したが、これに限らず、軸凹部67gを設けずに、穴部67f内に円柱状のキーを移動可能に配置してもよい。
【0091】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の変速装置は、結合部材の歯部とこの歯部に噛み合う第2ギヤの歯部とに、それぞれの側端部に互いに対向するテーパ部を備え、軸に、軸直角方向に開けた穴部と、この穴部の一方の開口から出没自在に設けた突出部材と、軸に対する第1ギヤの回転を規制するために穴部の他方の開口側から突出させることで第1ギヤの内面と係合させた係合片と、これらの突出部材及び係合片を穴部外へ付勢するために突出部材、係合片間に介在させた付勢部材とを備え、第1ギヤの内面に、突出部材が入り込める窪み部及びこの窪み部に周方向に連続するように設けた傾斜面からなるカム部と、係合片を軸の回転方向に所定角度移動可能とする凹部とを備え、付勢部材によって、カム部の底に突出部材を押し当てるとともに凹部の底に係合片を押し当て、突出部材が、付勢部材と協働して係合片を凹部の円周方向の所定位置に位置決め可能であるので、単に、軸に一体的に取付けたギヤを結合部材を介して第2ギヤに結合するのに比べて、結合部材の歯部及び第2ギヤの歯部にそれぞれテーパ部を備えるとともに係合片を軸の回転方向に所定角度移動可能とする凹部を備えることにより、変速操作の初期に、結合部材の歯部と第2ギヤの歯部とが噛み合う位置に無くても、結合部材の歯部が第2ギヤの歯部に対して噛み合う位置まで周方向に移動できるために、結合部材と第2ギヤとが噛み合い易くなり、結合部材と第2ギヤとの結合をより円滑に行うことができ、変速レバーの操作性を向上させることができる。従って、農作業機による作業を迅速に行うことができ、また、変速レバーの操作力を小さくすることができて、作業負担を軽減することができる。
更に、変速レバー操作に熟練を必要としないため、経験の浅い者でも農作業機による作業を楽に行うことができる。
【0092】
また更に、上記した変速装置では、変速レバーを操作性を向上させるために、従来に比べて、構成部品として、突出部材、係合片及び付勢部材が増えるだけであるから、コストアップ及び重量増を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る変速装置を備えた歩行型農作業機の斜視図
【図2】本発明に係る変速装置を備えた農作業機の側面図
【図3】本発明に係る変速装置を備えた農作業機の平面図
【図4】本発明に係る変速装置を備えた駆動装置の断面図
【図5】本発明に係る駆動装置の断面図(第1の実施の形態)
【図6】本発明に係る変速装置(第1の実施の形態)の要部断面図
【図7】本発明に係る作業用変速機構(第1の実施の形態)を示す断面図
【図8】図6の8−8線断面図(第1の実施の形態)
【図9】本発明に係る入力側ギヤの断面図(第1の実施の形態)
【図10】本発明に係る作業用変速機構(第1の実施の形態)の歯部を説明する断面図
【図11】本発明に係る変速装置に付設したシフト部材を示す断面図(第1の実施の形態)
【図12】本発明に係る変速レバーの取付け状態を説明する側面図
【図13】本発明に係る変速レバーの取付け状態を説明する要部拡大側面図
【図14】本発明に係る変速レバーの変速パターンを示す変速ガイドパネルの正面図
【図15】本発明に係る変速レバーの状態を示す平面図
【図16】本発明に係る変速装置の作用を示す第1作用図
【図17】本発明に係る変速装置の作用を示す第2作用図
【図18】本発明に係る変速装置の作用を示す第3作用図(第1の実施の形態)
【図19】本発明に係る変速補助機構(第1の実施の形態)の作用を示す作用図
【図20】本発明に係る変速補助機構(第2の実施の形態)を示す断面図
【図21】本発明に係る変速補助機構(第3の実施の形態)を示す断面図
【図22】従来の変速装置の断面図
【符号の説明】
67f,223…穴部、68a…第2ギヤ(ギヤ部)、68c…歯部(結合歯)、68d,127d…テーパ部、111…変速装置、126,212,224…第1ギヤ(入力側ギヤ)、126d…カム部(第1溝)、126e,213,226…凹部(第2溝)、126j…窪み部(円弧状底部)、126k…傾斜面(直線部)、127…結合部材(結合スリーブ)、127a…歯部、141…付勢部材(スプリング)、142…突出部材(ボール)、143,211,223…係合片(円柱状部材、キー、突出部)、θ2…所定角度。
Claims (1)
- 入力側に設けた軸に第1ギヤを取付け、この第1ギヤの近傍に出力側の第2ギヤを設け、これらの第1ギヤと第2ギヤとの間に、第1ギヤ、第2ギヤ間を移動させることで第1ギヤと噛み合った状態で第2ギヤと噛み合い得る歯部を備えた結合部材を設け、この結合部材を第1ギヤ及び第2ギヤに噛み合わせる又は結合部材と第2ギヤとの噛み合いを解除することで変速操作を行う変速装置において、
前記結合部材の歯部とこの歯部に噛み合う第2ギヤの歯部とは、それぞれの側端部に互いに対向するテーパ部を備え、
前記軸は、軸直角方向に開けた穴部と、この穴部の一方の開口から出没自在に設けた突出部材と、軸に対する前記第1ギヤの回転を規制するために穴部の他方の開口側から突出させることで第1ギヤの内面と係合させた係合片と、これらの突出部材及び係合片を穴部外へ付勢するために突出部材、係合片間に介在させた付勢部材とを備え、
前記第1ギヤは、内面に、前記突出部材が入り込める窪み部及びこの窪み部に周方向に連続するように設けた傾斜面からなるカム部と、前記係合片を軸の回転方向に所定角度移動可能とする凹部とを備え、
前記付勢部材によって、前記カム部の底に前記突出部材を押し当てるとともに前記凹部の底に係合片を押し当て、
前記突出部材は、前記付勢部材と協働して前記係合片を前記凹部の円周方向の所定位置に位置決め可能であることを特徴とする変速装置。
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