JP4322346B2 - 成膜装置のクリーニング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体の金属化合物を用いて金属膜を形成する成膜装置のクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの製造においては、シリコン等の半導体ウエハ上に配線を形成するが、このようなLSIの配線としては、AlやCuが用いられており、従来これらは主にスパッタリング法により成膜することにより形成されている。
【0003】
しかしながら、配線の微細化が進んでいる現在、スパッタリングでは要求される微細化レベルの配線を得ることが困難となりつつある。このため、微細化に対応可能なCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて配線を形成することが求められており、種々の検討がなされている。
【0004】
Cu配線をCVDで成膜する場合には、例えばCu(hfac)TMVSやCu(hfac)ATMS等の有機銅化合物が成膜原料として用いられ、これを気化器により気化させてチャンバー内に供給し、チャンバー内に配置された半導体ウエハを加熱しつつ、その上に有機銅化合物が分解して生成されたCuを堆積させる。
【0005】
しかし、このような成膜装置においては、成膜処理中に気化器にCuが堆積し、気化器内に目詰まりが生じ、成膜原料を有効にチャンバー内に導入することができない自体が生じてしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、気化器の目詰まりを有効に解消することが可能な成膜装置のクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、液体状または固体状の金属化合物を含む成膜原料を気化器により気化させてチャンバー内に供給し、チャンバー内の被処理体にCu膜を成膜する成膜装置のクリーニング方法であって、
前記気化器にH(hfac)またはH(acac)と、ハロゲンガスと、水素ガスとを含むクリーニング物質を導入することを特徴とする成膜装置のクリーニング方法が提供される。
【0008】
また、本発明の第2の観点によれば、液体状または固体状の金属化合物を含む成膜原料を気化器により気化させてチャンバー内に供給し、チャンバー内の被処理体にCu膜を成膜する成膜装置のクリーニング方法であって、
前記気化器にH(hfac)またはH(acac)と、AlCl3とを含むクリーニング物質を導入することを特徴とする成膜装置のクリーニング方法が提供される。
【0009】
本発明においては、液体状または固体状の金属化合物を含む成膜原料を気化する気化器にクリーニング物質を直接導入するので、気化器に付着した金属をクリーニングすることができ、気化器の目詰まりを有効に解消することができる。また、気化器を介してさらにチャンバー内にもクリーニング物質を導入すれば、チャンバー内をもクリーニングすることが可能である。
【0013】
上記クリーニング方法において、クリーニング物質を、H(hfac)またはH(acac)と、ハロゲンガスとを含むものとすることにより、気化器に付着した金属とH(hfac)との化合物を形成させて気化器から金属を有効に除去することができる。また、クリーニング物質として、H(hfac)またはH(acac)と、ハロゲンガスと、水素ガスとを含むものを用いることにより、金属とH(hfac)との化合物を形成させて気化器から金属を有効に除去することができるとともに、水素が存在しない時に生じる固体の副生成物、例えばCuCl2の生成を抑制することができ、クリーニング効果を一層高めることができる。この場合に、ハロゲンガスとしては、Cl2ガスまたはF2ガスを用いることが好ましい。
【0014】
また、クリーニング物質として、H(hfac)と、Cl2および/またはAlCl3とを含むものを用いることにより、気化器に付着した金属を有効に除去することができるとともに、AlCl3が存在する場合には、副生成物として蒸気圧の低いAlCuCl2を生成させることができるので、この副生成物を気体状態で容易に排出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るCVD成膜装置を示す断面図である。この成膜装置は、CVDによりCuを成膜するものであり、略円筒状をなし、真空排気可能に構成されたチャンバー1を有している。チャンバー1の中には被処理体である半導体ウエハWを水平に支持するためのサセプター2が支持部材3により支持された状態で配置されている。サセプター2の外縁部には半導体ウエハWをガイドするためのガイドリング4が設けられている。また、サセプター2にはヒーター5が埋め込まれており、このヒーター5は電源6から給電されることにより被処理体である半導体ウエハWを所定の温度に加熱する。電源6にはコントローラー7が接続されており、これにより図示しない温度センサーの信号に応じてヒーター5の出力が制御される。
【0016】
チャンバー1の底壁1bには、排気ポート8が形成されており、この排気ポート8にはターボ分子ポンプ9が接続されている。また、ターボ分子ポンプ9に至る排気路には、自動的に排気量を制御するための自動圧力制御バルブ10が設けられている。ターボ分子ポンプ9の下流側には、バルブ11を介してドライポンプ12が接続されている。これらターボ分子ポンプ9およびドライポンプ12によりチャンバー1内を所定の真空度まで減圧することができる。
【0017】
チャンバー1の天壁1aには、シャワーヘッド13が取り付けられている。シャワーヘッド13は、その内部に空間13aを有しており、またその下壁には多数のガス吐出孔13bを有している。このシャワーヘッド13の側壁には、原料導入ポート14が形成されており、この原料導入ポート14には配管15が接続されている。配管15はバルブ16を介して気化器17に接続されている。
【0018】
気化器17には配管18を介して後述する成膜原料供給系20が接続されており、そこから供給される液体の有機銅化合物であるCu(hfac)TMVSまたはCu(hfac)ATMSが気化器17で気化される。そして、気化器17で気化された原料が配管15を介してシャワーヘッド13のガス吐出孔13bから吐出され、ウエハW上にCu膜が形成される。この場合に、気化器17内においてCu(hfac)TMVSまたはCu(hfac)ATMSは60℃程度に加熱されるが、その際の熱伝達用のキャリアガス(例えば、Heガス、H2ガス)が配管50を介して気化器17に供給される。なお、配管50にはバルブ51が設けられている。
【0019】
一方、気化器17には、配管19を介して、気化器17に付着した金属Cuを除去するためのクリーニング物質を気化器17に供給するためのクリーニング物質供給系30が接続されている。
【0020】
成膜原料供給系20は、図2に示すように、成膜原料として、液体の有機銅化合物であるCu(hfac)TMVSまたはCu(hfac)ATMSが貯留された原料タンク(成膜原料供給源)21を備えている。原料タンク21には成膜原料を圧送するための加圧管22が接続されており、この加圧管22にはバルブ23が設けられている。一方、配管18の気化器17と反対側の端部は、原料タンク21内の原料に浸漬されており、加圧管22からの加圧ガスによって加圧された原料タンク21内の液体原料は配管18によって導かれる。配管18には、上流側から、バルブ24、液体マスフローコントローラ(LMFC)25、バルブ26が設けられている。
【0021】
クリーニング物質供給系30は、図2に示すように、配管19から分岐するように、配管34,42,45,48が設けられており、これら配管の他端側には、それぞれ、H(hfac)またはH(acac)を貯留するタンク31、H2ボンベ41、Cl2ボンベ44、AlCl3ボンベ47が接続されており、クリーニング物質として、H(hfac)またはH(acac)、H2ガス、Cl2ガス、AlCl3ガスが供給可能となっている。そして、このクリーニング物質供給系30から気化器17にこれらクリーニング物質を供給して気化器17に付着したCuを除去するようになっている。
【0022】
上記タンク31には加圧管32が接続されており、この加圧管32にはバルブ33が設けられている。一方、配管34の端部はタンク31内のH(hfac)またはH(acac)に浸漬されており、これらが加圧管32からの加圧ガスによる加圧によって配管34に導かれる。配管34には、上流側から、バルブ35、液体マスフローコントローラ(LMFC)36、バルブ37、気化器38、バルブ39が設けられている。H(hfac)またはH(acac)は気化器38に気化されるので、H(hfac)またはH(acac)をガス状態にして気化器17に導くことができる。なお、気化器38にも気化器17と同様、熱伝達用のキャリアガスが導入される。また、上記配管42,45,48の途中には、それぞれ、バルブ43,46,49が設けられており、これらバルブを開閉することによりクリーニング物質を所望の配合のものにすることができる。
【0023】
上記配管15は、気化器17から下流側に延びシャワーヘッド14に至るが、この配管15から分岐し、チャンバー1をバイパスしてドライポンプ12に至るバイパス管53が設けられている。バイパス管53の分岐部分近傍にはバルブ52が設けられており、このバルブ52と配管15のバルブ16のいずれかを開にすることにより、配管15およびバイパス管53のいずれかに気化器17からのガスを流すことができる。そして、クリーニング物質により気化器17をクリーニングした際のクリーニング物質がバイパス管53に流されるようになっている。バイパス管53のドライポンプ12近傍の下流側部分にはバルブ54が設けられている。また、チャンバー1の底壁1bの側壁近傍部分には、バイパス管53のバルブ54下流側の部分に接続される配管55が設けられている。この配管55の途中にはバルブ56が設けられている。
【0024】
配管15の周囲にはヒーター61が巻回されており、またシャワーヘッド13の内壁にはヒータ62が設けられている。これらによって配管15内およびシャワーヘッド13内を加熱することにより、気化器17からチャンバー1に供給されるガスが液化されることを防止するようになっている。また、バイパス管53のバルブ54に至るまでの部分には、ヒーター63が巻回されており、これによってバイパス管53内を加熱することにより、気化器17をクリーニングした際に生成するクリーニング生成物が液化または固化することを防止して速やかに排気することができる。
【0025】
このように構成される成膜装置においてCu膜を形成するに際しては、まず、チャンバー1内に半導体ウエハWを搬入し、サセプタ2の上に載置する。そして、ターボ分子ポンプ9およびドライポンプ12によりチャンバー1内を減圧しつつ、成膜原料供給系20の原料タンク(成膜原料供給源)21から液体状の有機銅化合物原料、例えば、Cu(hfac)TMVSまたはCu(hfac)ATMSを気化器17でガス化して、配管15および原料導入ポート14を介してシャワーヘッド13内に導入し、多数のガス吐出孔13aからチャンバー1内へ導入する。なお、この場合には、成膜原料をシャワーヘッド13に導入可能なように、バルブ16を開き、バルブ52は閉じている。また、ヒーター61,62により成膜原料ガスが液化することが防止されている。
【0026】
このように、チャンバー1内にCu(hfac)TMVSやCu(hfac)ATMS等の有機銅化合物からなる成膜原料ガスが供給されると、半導体ウエハWはサセプタ2内に埋設されたヒーター5により、原料ガスの分解温度以上に加熱されているため、半導体ウエハWの表面において原料ガスが分解され、半導体ウエハW上にCu膜が成膜される。
【0027】
このようにして成膜処理を繰り返すと、気化器17およびチャンバー1の内壁には、金属Cuが付着する。特に、気化器17の内部に金属Cuが付着すると目詰まりを生じ、チャンバー1内に原料ガスを有効に供給することができない事態が生じる。
【0028】
このため、本実施形態では、所定回数の成膜処理が行われた後、チャンバー1内にウエハWがない状態で、上述したように、配管19を介して気化器17に接続されたクリーニング物質供給系30から適宜のクリーニング物質を気化器17内に供給して気化器17内の金属Cuを除去する。
【0029】
ここでは、上述したように、タンク31からは、H(hfac)またはH(acac)が気化器38で気化された状態で供給可能であり、H2ボンベ41、Cl2ボンベ44、AlCl3ボンベ47から、それぞれH2ガス、Cl2ガス、AlCl3ガスが供給可能となっている。そして、クリーニング物質としてH(hfac)およびCl2ガスを用いた場合には、以下の(1)式の反応が生じる。
2Cu+2Cl2+2H(hfac)→Cu++(hfac)2+2HCl+CuCl2 ……(1)
すなわち、気化器17に付着したCuがクリーニング生成物であるCu++(hfac)2となって除去される。
【0030】
上記の場合には、Cuは除去されるが、固体の副生成物であるCuCl2 が残留するおそれがある。これを残留させないためには、クリーニング物質としてH(hfac)、Cl2ガス、およびH2ガスを用いればよい。この場合には、以下の(2)式の反応が生じる。
Cu+Cl2+2H(hfac)+2H*→Cu++(hfac)2+2HCl+H2 ……(2)
この式に示すように、この場合には、実質的にCuCl2 を生じさせずに気化器17に付着した金属Cuを除去することができる。
【0031】
また、クリーニング物質としてH(hfac)およびCl2ガスに加えて、またはCl2ガスの代わりにAlCl3ガスを用いることにより、蒸気圧の高いCuCl2 に代えて、蒸気圧の低いAlCuCl5を生成させることができるので、クリーニング生成物とともに排出することができる。
【0032】
なお、H(hfac)の代わりにH(acac)を用いても、H(hfac)と同様な反応が生じ、同様の効果を得ることができる。
【0033】
このように気化器17にクリーニング物質を導入する際に、バルブ52を開け、バルブ16を閉じることにより、クリーニング生成物および副生成物をチャンバー1内を通らずにバイパス管53を介してドライポンプ12により系外に排出することができる。すなわち、チャンバー1に何等影響を与えることなく、気化器17のみをクリーニングすることができる。この場合に、ヒーター63によりバイパス管53内を200℃以上に加熱することにより、クリーニング生成物であるCu++(hfac)2を気体状態で排出させることができる。
【0034】
また、バルブ16を開けることにより、クリーニング物質を気化器17から配管15およびシャワーヘッド13を通ってチャンバー1内に導入することができ、気化器17で未反応のクリーニング物質をチャンバー1内のクリーニングに用いることもできる。この場合に、ヒーター61,62、およびヒーター5により配管15およびシャワーヘッド13の内部、ならびにサセプター2を200℃以上に加熱することによってクリーニング生成物であるCu++(hfac)2を気体状態で配管55を介して排出させることができる。
【0035】
このように、本実施形態では、液体状の成膜原料である有機銅化合物を気化する気化器17にクリーニング物質を直接導入するので、気化器17に付着した金属Cuを有効に除去することができ、気化器17の目詰まりを解消することができる。また、気化器17を介してさらにチャンバー1内にもクリーニング物質を導入すれば、チャンバー1内をもクリーニングすることが可能である。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、Cu原料としてCu(hfac)TMVSまたはCu(hfac)ATMSを用いたが、これに限るものではない。
【0037】
また、本発明をCuのCVD成膜に適用した場合について示したが、Cuに限らず、Al、Ti等他の金属膜を成膜する場合であっても適用可能である。
【0038】
さらに、上記実施形態では、クリーニング物質の一つとしてCl2ガスを用いたが、これに限らずF2ガス等、他のハロゲンガスを用いても同様の効果を得ることができる。
【0039】
さらに、上記実施形態では成膜対象として半導体ウエハを用いた場合について示したが、本発明の性質上、成膜対象によらないことは明らかであり、LCD基板等、他の成膜対象の場合でも適用できることは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、液体状または個体状の金属化合物を含む成膜原料を気化する気化器にクリーニング物質を直接導入するので、気化器に付着した金属をクリーニングすることができ、気化器の目詰まりを有効に解消することができる。また、気化器を介してさらにチャンバー内にもクリーニング物質を導入すれば、チャンバー内をもクリーニングすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るCVD成膜装置を示す断面図。
【図2】図1に示した装置の成膜原料供給系およびクリーニング物質供給系を示す図。
【符号の説明】
1……チャンバー
2……サセプター
5……ヒーター
13……シャワーヘッド
15,18……配管
17……気化器
20……成膜原料供給系
21……原料タンク(成膜原料供給源)
30……クリーニング物質供給系
W……半導体ウエハ
Claims (3)
- 液体状または固体状の金属化合物を含む成膜原料を気化器により気化させてチャンバー内に供給し、チャンバー内の被処理体にCu膜を成膜する成膜装置のクリーニング方法であって、
前記気化器にH(hfac)またはH(acac)と、ハロゲンガスと、水素ガスとを含むクリーニング物質を導入することを特徴とする成膜装置のクリーニング方法。 - 前記ハロゲンガスは、Cl2ガスまたはF2ガスであることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置のクリーニング方法。
- 液体状または固体状の金属化合物を含む成膜原料を気化器により気化させてチャンバー内に供給し、チャンバー内の被処理体にCu膜を成膜する成膜装置のクリーニング方法であって、
前記気化器にH(hfac)またはH(acac)と、AlCl3とを含むクリーニング物質を導入することを特徴とする成膜装置のクリーニング方法。
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