JP4321833B2 - 喉頭手術装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡で観察しながら喉頭手術を行うことができるようにした喉頭手術装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人の喉頭部分に刺さった魚骨等の異物を取り除く手術や、声帯ポリープの切除手術等を行う際に喉頭鉗子類が広く用いられており、そのような手術は鉗子とは別に挿入された内視鏡観察下に行われている。
【0003】
しかし、助手がいない開業医等が手術を行う場合には、鉗子操作と内視鏡の把持、操作を一人で行うため、一回に一本の鉗子しか用いることができず、手術に時間がかかって患者に苦痛を与える。
【0004】
そこで本発明者は、先端に観察窓と照明窓が並設された内視鏡の挿入部を喉頭鉗子のロッドに沿って取り付け、喉頭鉗子の鉗子片を臨む位置に内視鏡の観察窓と照明窓を配置することにより、術者が、喉頭鉗子と内視鏡を片手で持つと同時に、もう一方の手で第二の喉頭鉗子を持てるようにし、一人で内視鏡観察下に喉頭手術を容易に行うことができる喉頭手術装置を発明し、先に特許出願してある(特願平10−314196号)。
【0005】
その喉頭手術装置においては、先端に観察窓と照明窓が並設された内視鏡の挿入部が喉頭鉗子のロッドに沿って取り付けられ、ロッドの先端部分がその軸線周りに回転自在に構成されて鉗子片の開閉方向を自由に変えることができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
鉗子片の開閉状態が内視鏡により観察されるようにするためには、内視鏡の挿入部先端が鉗子片の側部に位置する必要があるのでので、症例の状態に応じて鉗子片の開閉方向を変えるためにロッドの先端部分を回転させると、それと共に内視鏡の挿入部先端がロッドの軸線周りに回転する。
【0007】
それに伴って、鉗子片に対する観察窓と照明窓の位置が変化するため、図21に示されるように、鉗子片12と観察窓32aとの間に照明窓32bが位置する状態になることがある。
【0008】
すると、照明窓32bから放射された照明光のうち鉗子片12によって反射された光が多量に観察窓32a内に侵入して、観察画面にフレアーが発生し、観察画像の品質が非常に低下する場合がある。
【0009】
そこで本発明は、鉗子片を喉頭鉗子の先端にどのような向きにセットした場合でも、鉗子片からの照明光の反射によるフレアーが発生しない状態にすることができ、良質な内視鏡画像観察下に喉頭手術を行うことができる喉頭手術装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の喉頭手術装置は、先側の半部が湾曲して形成された細長い硬性のロッドの先端部分に鉗子片が設けられて、上記ロッドの手元側端部に設けられた操作部からの遠隔操作により上記鉗子片を動作させるようにした喉頭鉗子の上記ロッドに沿って、先端に観察窓と照明窓が並設された内視鏡の挿入部が取り付けられ、上記ロッドの先端部分がその軸線周りに上記内視鏡の挿入部先端と共に回転自在に構成された喉頭手術装置において、上記内視鏡の挿入部を手元側で軸線周りに回転させることにより、それに追従して上記挿入部先端が軸線周りに回転するように、上記内視鏡の挿入部を軸線周りに回転自在に上記ロッドに沿わせたことを特徴とする。
【0011】
なお、上記内視鏡の挿入部が軸線周りに360°回転自在に上記ロッドに沿って配置されていてもよく、上記内視鏡が上記ロッドに沿って着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0012】
そして、上記内視鏡の挿入部を回転自在に挿通保持する挿入部保持環が上記ロッドに突設されていてもよく、上記喉頭鉗子が、一対の鉗子片のうちの一方だけが開閉動作する片開き鉗子であってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は喉頭手術装置を示しており、患者の口から喉に挿入して喉頭部分の手術を行うための喉頭鉗子10に、喉頭手術の状態を観察するための内視鏡30が着脱自在に取り付けられて両者が一体化されている。
【0014】
図2は、喉頭鉗子10を示しており、患者の口から挿入されるロッド11は剛体であり、先端を喉頭に位置させ易いように先側の半部が円弧状に90°近く湾曲して形成されている。
【0015】
ロッド11の先端には、嘴状に開閉自在な一対の鉗子片12が配置されている。この実施の形態の鉗子片12は、可動鉗子片12aと固定鉗子片12bからなるいわゆる片開き式である。
【0016】
この喉頭鉗子10はいわゆる万能型喉頭鉗子であり、一対の鉗子片12が取り付けられた先端取付軸112が手動の締め付けナット111を緩めることによって軸線周りに360°自由に回転し、締め付けナット111を締め付ければ先端取付軸112がロッド11に対して固定された状態になる。
【0017】
ロッド11の手元側端部には、グリップ13aとピストルの引き金状の操作レバー13bとからなる操作部13が形成されている。そして、ロッド固定ナット14を緩めることにより、ロッド11が軸線周りに360°回転自在になり、ロッド固定ナット14を締め付けることによって、ロッド11がグリップ13aに対して固定された状態になる。
【0018】
13cは、操作レバー13bを待機位置に戻すための戻し板バネである。グリップ13aの背部に取り付けられた内視鏡保持部50については、図1に基づいて後述する。
【0019】
操作レバー13bは、ロッド11内に通された操作ワイヤ(図示せず)を介して可動鉗子片12aと連結されていて、待機状態においては後述する図13に示されるように鉗子片12が開いており、操作レバー13bをグリップ13a側に引く操作を行うと、可動鉗子片12aが作動して鉗子片12が閉じる。
【0020】
ロッド11の中間部分と先端取付軸112には、内視鏡30の挿入部31を挿通保持するための挿入部保持環20が取り付けられている。挿入部保持環20はバネ性のある部材によって、図3に示されるような、8字状の中央部分と一端が抜けた形状に形成されている。
【0021】
挿入部保持環20は喉頭鉗子10に対して着脱自在であり、図4は、二つの挿入部保持環20が喉頭鉗子10から取り外された状態を示している。ロッド11と先端取付軸112は、挿入部保持環20が取り付けられる部分が各々隣接部より少し細く形成されていて、挿入部保持環20の外面が喉頭鉗子10から殆ど出っ張らないようになっている。
【0022】
そして、図2のV−V断面及びVI−VI断面を示す図5及び図6に示されるように、ロッド11と先端取付軸112の各細径部に対して、挿入部保持環20がバネが効いた状態で嵌め込まれている。
【0023】
したがって、挿入部保持環20は軸線方向へは移動できず、ロッド11及び先端取付軸112の軸線周りには、バネ力による摩擦抵抗が作用する状態で回転させることができる。なお、挿入部保持環20は必ずしも喉頭鉗子10から外れなくてもよい。
【0024】
図7は内視鏡30を示しており、挿入部31は公知の可撓管によって外装されていて、あらゆる方向に自由に撓むことができる。挿入部31の外皮は、例えばポリウレタン樹脂製チューブである。
【0025】
挿入部31の先端に連結された先端部本体32の先端面には、観察窓と照明窓が並んで配置されていて、先端部本体32の前方(軸線の延長線方向)の被写体を照明して観察することができる。
【0026】
先端部本体32内には、対物光学系が内蔵されており、そこで結像された被写体の像は、挿入部31内に挿通されたイメージガイドファイババンドルによって挿入部31の手元側に伝達され、接眼部33を通して拡大して観察される。
【0027】
挿入部31の手元側端部と接眼部33との間に設けられた支持部34からは、ライトガイドケーブル36が側方に突出している。照明用ライトガイドファイババンドルは、挿入部31内からライトガイドケーブル36内の全長にわたって挿通配置されていて、その射出端部は先端部本体32の照明窓部分にあり、入射端部は、ライトガイドケーブル36の先端に取り付けられたライトガイドコネクタ37に位置している。39は圧力調整弁である。
【0028】
したがって、図示されていない外部光源装置にライトガイドコネクタ37を接続することにより、先端部本体32前方の被写体を照明することができる。なお、ライトガイドファイババンドルの入射端部を支持部34に配置して、そこに着脱自在に設けた豆電球等から照明光を供給してもよい。その場合には、ライトガイドケーブル36とライトガイドコネクタ37は不要である。
【0029】
挿入部31の中間部分の挿入部保持環20との係合部は、ステンレス鋼等の金属製カラー35によって外装されている。挿入部保持環20と係合する先端部本体32も、同様にステンレス鋼等の金属製である。
【0030】
先端部本体32と金属製カラー35は、内視鏡30を単体で使用する際に粘膜面等に引っ掛からないように、隣接する挿入部31の表面に対して大きな凹凸のない寸法形状に形成されている。
【0031】
図1に戻って、内視鏡30の挿入部31は、喉頭鉗子10のロッド11に沿う状態に曲げて配置されて、VIII−VIII断面を示す図8とIX−IX断面を示す図9に示されるように、二つの挿入部保持環20内に締め付けられない程度に通されている。したがって、手元側で内視鏡30の支持部34を軸線周りに回転させると、その回転が挿入部31を介して先端部本体32に伝えられ、先端部本体32が軸線周りに回転する。
【0032】
X−X断面を示す図10にも示されるように、内視鏡30の支持部34は内視鏡保持部50の内視鏡保持枠54に緩く保持されていて、支持部34より少し細く形成されたねじ受け部38に対して手動ねじ51を締め付けることにより、その保持状態が維持されている。
【0033】
そして、手動ねじ51を緩めれば、支持部34が軸線周りに回転自在になり、挿入部31を介して先端部本体32を軸線周りに回転させることができる。なお、手動ねじ51を緩めることにより軸線方向にも多少(例えば10mm程度)移動可能である。
【0034】
内視鏡保持枠54はグリップ13aに固定された支持腕52をサンドイッチ状に挟んだ状態になっており、摘まみ付きネジ53がその両部材を貫通して裏側でナット55と螺合している。
【0035】
したがって、摘まみ付きネジ53を緩めれば、支持腕52と内視鏡保持枠54とを、摘まみ付きネジ53を中心にして回動させることができ、術者は、自分が行う手術の状態等に合わせて、喉頭鉗子10に対する接眼部33の取り付け角度を調整して使用することができる。
【0036】
図1に示されるように、先端部本体32は喉頭鉗子10の鉗子片12のすぐ後方に位置していて、矢視Aを示す図11にも示されるように、鉗子片12が開閉する状態を側方から観察する向きに、挿入部保持環20によって位置決めされている。
【0037】
観察窓32aと照明窓32bは、鉗子片12を臨むように先端部本体32の先端面に配置されており、図1及び図11に示される状態においては、図12に示されるように、鉗子片12が観察画面100に下方から突出する状態に観察される。
【0038】
そして、締め付けナット111を緩めて先端取付軸112を回転させ、図13に示されるように可動鉗子片12aが前方に開くようにすると、図14に示されるように、鉗子片12が観察画面100に右方から突出する状態に観察される。
【0039】
また、さらに締め付けナット111を緩めて先端取付軸112を回転させ、図15に示されるように鉗子片12が図1とは反対方向に開くようにすると、図16に示されるように、鉗子片12が観察画面100に上方から突出する状態に観察される。
【0040】
ただし、この状態では挿入部31が大きく捩じれるので、図17に示されるように、ロッド11の中間部分に取り付けられている挿入部保持環20をロッド11周りに回転させて、挿入部31が滑らかに変位するようにするとよい。こうすると、口からの挿入時の引っ掛かりが減って、挿入も容易になる。
【0041】
締め付けナット111を緩めて先端取付軸112を回転させ、鉗子片12が図13とは反対の方向に開くようにすると、図18に示されるように、鉗子片12が観察画面100に左方から突出する状態に観察される。
【0042】
すると、図21に示されるように、鉗子片12と観察窓32aとの間に照明窓32bが位置する状態になり、照明窓32bから放射された照明光のうち鉗子片12で反射された光が多量に観察窓32a内に入って、フレアーが発生してしまう。
【0043】
そこで、手動ねじ51を緩めて、図19に示されるように内視鏡30の支持部34を軸線周りに例えば90°回転させると、その回転が挿入部31を介して先端部本体32に伝達され、図20に示されるように、照明窓32bが鉗子片12と観察窓32aとの間に位置する状態から外れる状態になる。
【0044】
そこで、手動ねじ51を締め込んでこの状態を固定することにより、フレアーの発生しない良好な内視鏡画像観察下に、喉頭手術装置による処置を行うことができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば内視鏡30は、観察画像を固体撮像素子で撮像して電気信号として伝達する電子内視鏡であってもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、内視鏡の挿入部を手元側で軸線周りに回転させることにより、それに追従して挿入部先端が軸線周りに回転するので鉗子片を喉頭鉗子の先端にどのような向きにセットした場合でも、鉗子片からの照明光の反射により観察画像にフレアーが発生しない状態にすることができ、良質な内視鏡画像観察下に喉頭手術を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の喉頭手術装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態の喉頭鉗子の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態の挿入部保持環の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態の喉頭鉗子の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態の図2におけるV−V断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の図2におけるVI−VI断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の内視鏡の側面図である。
【図8】本発明の実施の形態の図1におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の図1におけるIX−IX断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の図1におけるX−X断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の図1における矢視Aによる正面図である。
【図12】本発明の実施の形態の内視鏡観察画像を例示する略示図である。
【図13】本発明の実施の形態の喉頭手術装置の側面図である。
【図14】本発明の実施の形態の内視鏡観察画像を例示する略示図である。
【図15】本発明の実施の形態の喉頭手術装置の側面図である。
【図16】本発明の実施の形態の内視鏡観察画像を例示する略示図である。
【図17】本発明の実施の形態の喉頭手術装置の側面図である。
【図18】本発明の実施の形態の内視鏡観察画像を例示する略示図である。
【図19】本発明の実施の形態の喉頭手術装置の背面図(接眼側から見た図)である。
【図20】本発明の実施の形態の動作を示す矢視Aに相当する正面図による動作説明図である。
【図21】従来及び本発明の実施の形態の喉頭手術装置のフレアーが発生する状態の正面図である。
【符号の説明】
10 喉頭鉗子
11 ロッド
12 鉗子片
13 操作部
20 挿入部保持環
30 内視鏡
31 挿入部
32 先端部本体
32a 観察窓
32b 照明窓
50 内視鏡保持部
51 手動ねじ
111 締め付けナット
112 先端取付軸
Claims (5)
- 先側の半部が湾曲して形成された細長い硬性のロッドの先端部分に鉗子片が設けられて、上記ロッドの手元側端部に設けられた操作部からの遠隔操作により上記鉗子片を動作させるようにした喉頭鉗子の上記ロッドに沿って、先端に観察窓と照明窓が並設された内視鏡の挿入部が取り付けられ、上記ロッドの先端部分がその軸線周りに上記内視鏡の挿入部先端と共に回転自在に構成された喉頭手術装置において、
上記内視鏡の挿入部を回転自在に挿通保持する挿入部保持環が上記ロッドからその側方に突出して上記ロッドに着脱自在に設けられて、
上記挿入部保持環に上記内視鏡の挿入部を挿通することにより、上記内視鏡の挿入部を軸線周りに回転自在に上記ロッドに沿った状態に保持し、上記内視鏡の挿入部を手元側で軸線周りに回転させれば、それに追従して上記挿入部先端が軸線周りに回転するようにしたことを特徴とする喉頭手術装置。 - 上記内視鏡の挿入部が軸線周りに360°回転自在に上記ロッドに沿って配置されている請求項1記載の喉頭手術装置。
- 上記挿入部保持環が、バネ性のある部材で形成されて、上記ロッドに形成された細径部にバネを効かせた状態で嵌め込まれ、その結果、上記挿入部保持環はバネ力による摩擦抵抗が作用する状態で上記ロッドの軸線周りに回転自在である請求項1又は2記載の喉頭手術装置。
- 上記内視鏡の挿入部を手元側で回転自在/回転不能の任意の状態に切り換えることができる手動ねじが設けられている請求項1、2又は3記載の喉頭手術装置。
- 上記喉頭鉗子が、一対の鉗子片のうちの一方だけが開閉動作する片開き鉗子である請求項1、2、3又は4記載の喉頭手術装置。
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