JP4321824B2 - 溶融炉の炉底監視方法及び装置 - Google Patents
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Description
一例として、プラズマ式溶融炉につき図6を参照して説明する。プラズマ式溶融炉50は、炉頂部から垂下される主電極51と、炉底59に配設される炉底電極52とを有し、これらの両電極間に直流電圧53を印加することによりプラズマアークを発生する。そして、投入ホッパ55より炉本体54内に投下された被処理物をプラズマ熱により加熱して溶融する。被処理物は溶融して溶融スラグ56と、これより比重が大である溶融メタル57が炉本体54内に溜まり、出滓口58より排出される。炉本体54内は高温に維持されるため、その内部は耐火材60により形成され、この耐火材60を鋼板製のケーシング63により被覆した構造となっている。炉底の耐火構造は、溶融メタルに接触する内側は侵食に強いアーチ状レンガ61を配設し、このレンガ61とケーシング63の間に耐火レンガ62を配設した構成などがある。
また、特許文献2(特開2001−4283号公報)には、測定した温度情報に基づいて耐火材層の検査を行う方法が開示されている。これは、ロータリーキルンのレンガ壁の壁中及び壁外に温度センサを設け、得られた温度検出信号に基づいて耐火材層の厚さ若しくは内部状況を監視するものである。
そこで、特許文献2に記載されるように温度計により測定した温度に基づいて炉耐火物の損耗状態を監視する方法があるが、これは温度測定の精度に問題があった。
しかし、熱電対を耐火材に埋めこむ場合、腐食や熱により断線してしまうという問題があった。また、熱電対によりケーシング表面温度を計測する場合は、耐火材の断熱性のために計測温度の変化が小さく、また図7に示すように、スラグ温度など運転条件の変動による影響が定常運転時でも±20℃程度存在し、精度のよい温度計測は困難であった。
一方、放射温度計を用いる場合は、表面放射率が計測面の状況で大きく変化するため正確な値が把握できず、また計測面内に放射率分布が発生することから、温度の絶対値評価が難しいという問題があった。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、炉底ケーシング温度や炉底耐火材温度を測定することなく、炉底耐火材の侵食や損傷等の炉底異常を正確に検知することができる溶融炉の炉底監視方法及び装置を提供することを目的とする。
前記溶融炉内の溶融スラグの抵抗値とスラグ層の厚さの関係よりスラグ層の厚さを求める第1の電気的測定因子、前記電極への直流電圧の供給電圧の第2の電気的測定因子、炉本体の側壁放熱量の熱的測定因子のうち少なくとも一の測定因子の炉本体傾動サイクルごとの時系列変化パターンを時系列的に測定し、該測定因子の一定の時系列変化パターンとは異なる変異点を検出し、該変異点が検出されたら炉底耐火材の異常と判定することを特徴とする。
また、耐火材が異常な状態のまま運転を継続すると、徐々に炉底に溶融メタルが蓄積されメタル厚さが増大した運転を行うことになる。メタル層は熱伝導率がスラグ層よりも大きいため、側壁放熱量が増加する。従って、側壁熱量(熱的測定因子)の時系列変化を測定することによって炉底耐火材の異常を容易に検知できる。
本発明によれば、測定精度が低く運転条件に左右され易い炉底ケーシング温度や炉底耐火材温度などの温度計測値を用いることなく、正確に炉底異常を検知することができる。また、新たに設備を設置することなく既存の設備で炉底耐火材を監視することができるため低コストとすることができる。
前記第1のステップにより異常が検知されない場合に、前記側壁放熱量に対応する熱的測定因子に基づいて炉底耐火材の異常を検知する第2のステップと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、耐火材異常の段階に合わせて、第1のステップと第2のステップを備える構成としたため、確実に炉底異常を検知することでき、溶融炉の安定運転を保障することが可能である。
前記溶融炉内の溶融スラグの抵抗値とスラグ層の厚さの関係よりスラグ層の厚さを求める第1の電気的測定因子、前記電極への直流電圧の供給電圧の第2の電気的測定因子、炉本体の側壁放熱量の熱的測定因子のうち少なくとも一の測定因子の炉本体傾動サイクルごとの変化パターンを時系列的に測定する測定手段と、該測定因子の一定の時系列変化パターンとは異なる変異点を検出し、該変異点が検出されたら炉底耐火材の異常と判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
前記第1の判定手段により異常が検知されない場合に、前記側壁放熱量に対応する熱的測定因子に基づいて炉底耐火材の異常を検知する第2の判定手段と、を備えることを特徴とする。
本実施例では炉底監視対象である溶融炉として、一例としてプラズマ式溶融炉につき説明するが、被処理物を溶融処理する溶融炉であれば特にこれに限定されるものではない。
図1は本実施例1に係る炉底監視装置を備えた溶融炉の側断面図、図2は本実施例1に係る炉底監視方法のフロー図、図3は炉底耐火材の侵食、剥離に伴う炉内状況の変化を示す図、図4は(a)はスラグ層厚さの時系列変化を示すグラフ、(b)はプラズマ電圧の時系列変化を示すグラフ、図5(a)は側壁熱量の時系列変化を示すグラフ、(b)は炉体重量の時系列変化を示すグラフである。
さらに、スラグ層厚さ、供給電圧、側壁放熱量、炉体重量の少なくとも何れか一の測定因子に基づいて炉底耐火材18、19の異常を検知する制御装置49が設けられている。
電極への供給電圧は、直流電源13により測定できる。
側壁放熱量は、水冷ジャケット26の出口側の温度計と入口側の温度計での水の温度差と、水冷ジャケット26に流れる冷却水量とから測定できる。側壁放熱量は、スラグ層22からの放熱量とメタル層23からの放熱量と炉底耐火材からの放熱量の合計である。
炉体重量は、ロードセル等の重量測定装置27により測定できる。炉体重量は、スラグ層重量とメタル層重量と耐火材とケーシングの重量の合計である。
炉底耐火材が短時間に異常侵食したり、レンガ18の目地に溶融メタル23が差し込むと、レンガ18と溶融メタル23の比重の差からレンガ18が浮上り離脱することがある。離脱したレンガ18は短時間で溶融するためスラグ層22となり、図3(a)に示されるようにスラグ層22の厚さが厚くなる。従って、定期的にスラグ層厚さを計測し、スラグ層厚さの異常状態を示す変異点を検出することで炉底耐火材の異常を検知できる。図4(a)にスラグ層厚さσの時系列変化を示す。ここでは、一例としてメタル傾動を一定間隔で実施する場合を示している。傾動と傾動の間で、投入灰中メタルは沈降し、上部スラグがオーバーフローにより出滓することでスラグ厚さは減少する。正常時は傾動サイクルごとにこの変化パターンを繰り返すが、耐火材に異常が発生するとこの変化パターンと異なる変異点が検出される。この変異点は、炉底耐火材の浮き上がり等による耐火材離脱、スラグ化をあらわす。
プラズマ式溶融炉10の定常運転を開始したら(S1)、スラグ層厚さ、電極への供給電圧、側壁放熱量、炉体重量の少なくとも何れかの測定因子を時系列的に測定する(S2)。スラグ層厚さの変異点若しくは供給電圧の変異点が検出されたか否かを判断し(S3)、検出されたら耐火材の侵食、剥離等によりスラグ層厚さが増大したことが判明し(S4)、炉底耐火材の異常ありと判定する(S5)。
一方、スラグ層厚さの変異点若しくは供給電圧の変異点が検出されなかった場合は、側壁放熱量の変異点若しくは炉体重量の変異点が検出されたか否かを判断し(S6)、検出された場合、スラグ化した耐火材が、メタルと入れ替わることによりメタル層厚さが増大したことが判明し(S7)、炉底耐火材の異常ありと判定する(S8)。
11 主電極
12 炉底電極
13 直流電源
14 炉本体
17 炉底ケーシング
18 アーチ状レンガ
19 耐火レンガ
21 投入ホッパ
22 溶融スラグ(スラグ層)
23 溶融メタル(メタル層)
25 スラグ出滓口
26 冷却ジャケット
27 炉体重量測定計
28 電極昇降装置
40 制御装置
Claims (4)
- 内側に耐火材が配設され、その外側を鋼板製ケーシングにより覆われた炉本体内に被処理物を投入し、炉蓋と炉底に夫々設けた電極間に電流一定の条件下で直流電圧を印加することにより被処理物を溶融し、スラグ層とその下方にメタル層とが炉内に貯留され、炉本体の傾動サイクルに基づいて出滓口より溶融スラグを排出するようにした電気式溶融炉における炉底監視方法において、
前記溶融炉内の溶融スラグの抵抗値とスラグ層の厚さの関係よりスラグ層の厚さを求める第1の電気的測定因子、前記電極への直流電圧の供給電圧の第2の電気的測定因子、炉本体の側壁放熱量の熱的測定因子のうち少なくとも一の測定因子の炉本体傾動サイクルごとの時系列変化パターンを時系列的に測定し、該測定因子の一定の時系列変化パターンとは異なる変異点を検出し、該変異点が検出されたら炉底耐火材の異常と判定することを特徴とする溶融炉の炉底監視方法。 - 前記スラグ層の厚さを求める第1の電気的測定因子若しくは前記電極への直流電圧の供給電圧の第2の電気的測定因子に基づいて炉底耐火材の異常を検知する第1のステップと、
前記第1のステップにより異常が検知されない場合に、前記側壁放熱量に対応する熱的測定因子に基づいて炉底耐火材の異常を検知する第2のステップと、を備えることを特徴とする前記請求項1記載の溶融炉の炉底監視方法。 - 内側に耐火材が配設され、その外側を鋼板製ケーシングにより覆われた炉本体を有し、該炉本体の炉蓋と炉底の夫々に電極が配設され、該電極間に電流一定の条件下で直流電圧を印加する直流電源が接続され、前記炉本体内に被処理物が溶融したスラグ層とその下方にメタル層が貯留され、炉本体の傾動サイクルに基づいて出滓口より溶融スラグを排出するようにした電気式溶融炉における炉底監視装置において、
前記溶融炉内の溶融スラグの抵抗値とスラグ層の厚さの関係よりスラグ層の厚さを求める第1の電気的測定因子、前記電極への直流電圧の供給電圧の第2の電気的測定因子、炉本体の側壁放熱量の熱的測定因子のうち少なくとも一の測定因子の炉本体傾動サイクルごとの変化パターンを時系列的に測定する測定手段と、該測定因子の一定の時系列変化パターンとは異なる変異点を検出し、該変異点が検出されたら炉底耐火材の異常と判定する判定手段と、を備えることを特徴とする溶融炉の炉底監視装置。 - 前記判定手段は、前記スラグ層の厚さを求める第1の電気的測定因子若しくは前記電極への直流電圧の供給電圧の第2の電気的測定因子に基づいて炉底耐火材の異常を検知する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により異常が検知されない場合に、前記側壁放熱量に対応する熱的測定因子に基づいて炉底耐火材の異常を検知する第2の判定手段と、を備えることを特徴とする前記請求項3記載の溶融炉の炉底監視装置。
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