JP4321704B2 - レジスタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気流を空気吹出口から吹き出すレジスタに関し、特に、レジスタ内に設けられた気流偏向用のフィン群の空気抵抗を低減させたレジスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の車室内のインストルメントパネル等には、レジスタが設けられている。このレジスタは空調装置の温冷風等の気流の吹き出し方向を偏向するものである。図8は、このレジスタの従来例を示す。(例えば特許文献1)
図8に示すレジスタ60では、その前面にベゼル61が配設され、ベゼル61の後にダクト状のリテーナ62が取り付けられている。ベゼル61の前面には空気吹出口61aが形成され、空気吹出口61aには複数の連動するフィンからなる水平フィン群63が配設されている。さらに、リテーナ62内にて水平フィン群63より風上側には複数の連動するフィンからなる垂直フィン群64が配設されている。
【0003】
空気吹出し口61aには、水平フィン群63の一つのフィンを摺動自在に挟むようにフィン操作ノブ65が配設され、このフィン操作ノブ65のスリット65aが垂直フィン群64のフィンに取り付けられた縦方向のロッド64aに摺動自在に連結されている。このため、フィン操作ノブ65の傾斜度を操作することにより水平フィン群63の気流偏向方向を変えることができ、さらに、フィン操作ノブ65を水平フィン群63の前記一つのフィンに沿って摺動させることにより、垂直フィン群64の気流偏向方向を変えることができる。そして、水平フィン群63の気流偏向方向を変えることにより、レジスタ60から吹き出す気流の方向を上下に変えることができ、垂直フィン群64の気流偏向方向を変えることにより、レジスタ60から吹き出す気流の方向を左右に変えることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−101058号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例では、水平フィン群63および垂直フィン群64がレジスタ60内に配設されているので、レジスタ60内の気流が各フィン群63、64を通過するときの各フィン群63、64による空気抵抗が問題になった。
特に、各フィン群63、64は、気流の方向を偏向しないときには、全く不要のものであるので、気流の方向を偏向しないときの各フィン群63、64の空気抵抗を少なくすることが望まれていた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、気流の方向を偏向しないときに、レジスタの気流偏向用フィン群による空気抵抗を少なくすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、レジスタ内に送り込まれた気流を空気吹出口から吹き出すレジスタであって、前記空気吹出口から吹き出す気流の方向を偏向させるフィン群がレジスタ内に配置されているレジスタにおいて、前記フィン群は少なくともレジスタの壁(例えば側壁、上板、下板)に接する位置から順に配設された第1フィンおよび第2フィンを有し、前記第2フィンの回転軸を回転中心とし、前記第2フィンの回転に連動して回転するカム部材が配設され、このカム部材に溝が形成され、前記第1フィンの回転軸は、前記カム部材の溝に摺動自在に係合し、前記カム部材の回転により前記第1フィンはその回転軸が前記壁から離れるように移動しつつ、前記第2フィンの回転と同じ方向に回転することを特徴とするレジスタである。
これにより、前記フィン群のレジスタの壁に接する位置から順に配設された第1フィンおよび第2フィンのうち、前記第1フィンの回転軸は、前記第2フィンの回転軸を回転中心とし前記第2フィンの回転に連動して回転するカム部材の溝に摺動自在に係合している。そして、前記カム部材の回転により前記第1フィンはその回転軸が前記壁から離れるように移動しつつ、前記第2フィンの回転と同じ方向に回転し、これにより前記フィン群は、前記フィン群を通過する気流の方向を前記第1および第2フィンの回転方向に偏向する。
【0007】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記カム部材の回転中心から前記溝と前記第1フィンの回転軸との係合位置までの距離は、前記フィン群が前記気流の方向を偏向していないときに最も長く、第1ガイドおよび前記第1ガイドよりも前記空気吹出口側に位置する第2ガイドがレジスタに形成され、前記第1ガイドは前記第2ガイドの前記側壁側端部を中心とする円弧状に形成され、前記第2ガイドは前記第1ガイドの前記側壁側端部を中心とする円弧状に形成され、前記第1フィンの気流入口側端部は前記第1ガイドに沿って移動可能であり、前記第1フィンの気流出口側端部は前記第2ガイドに沿って移動可能であることを特徴とするレジスタである。
これにより、前記カム部材の回転中心から前記溝と前記第1フィンの回転軸との係合位置までの距離は、前記フィン群が前記気流の方向を偏向していないときに最も長い。ここで、第1ガイドおよび前記第1ガイドよりも前記空気吹出口側に位置する第2ガイドがレジスタの壁に形成され、前記第1ガイドは前記第2ガイドの前記側壁側端部を中心とする円弧状に形成され、前記第2ガイドは前記第1ガイドの前記側壁側端部を中心とする円弧状に形成されている。そして、前記第1フィンの気流入口側端部は前記第1ガイドに沿って移動可能であり、前記第1フィンの気流出口側端部は前記第2ガイドに沿って移動可能であるので、前記第1フィンを第2フィンに連動させて回動させることができ、その際、フィン群全体として気流の方向を偏向させることができるとともに、気流の方向を偏向しないときは、前記第1フィンがレジスタの側壁に接するので、前記第1フィンによる空気抵抗を小さくすることができる。
【0008】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項2に記載した発明において、前記カム部材の溝は前記フィン群が気流の方向を偏向していないときに前記第1フィンの回転軸が前記カム部材の溝に係合する位置と前記カム部材の回転中心とを結ぶ直線に関して線対称に形成されていることである。
これにより、前記フィン群により気流を左右または上下方向に偏向させるときに、前記第1フィンの回転軸が気流を左右または上下方向に対称に偏向させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るレジスタの一部分を切り欠いた平面を示し、図2は図1のレジスタの縦断面構造を示し、図3は図1の一部分を拡大して示す。図4は図3の縦フィンが気流を図示左方向に偏向させる場合の動作を示し、図5は図3の縦フィンが気流を図示右方向に偏向させる場合の動作を示し、図6は図3の縦フィンの動作原理を説明している。さらに、図7は図1の縦フィン群等をレジスタの気流吹出口側から見た状態を示す。
【0010】
図1に示すように、レジスタ1の前部に空気吹出口2が形成され、レジスタ1内に送り込まれた気流3を空気吹出口2から吹き出す際に、空気吹出口2から吹き出す気流3を左右方向に偏向させる縦フィン群10がレジスタ1内に配置されている。
縦フィン群10は図示左側から順に配設された5つの縦フィン11、12、13、14、15を有し、縦フィン11はレジスタ1の図示左側の側壁4aに接する位置に配置され、縦フィン15はレジスタ1の図示右側の側壁4bに接する位置に配置されている。縦フィン11、15は請求項における「第1フィン」に相当し、縦フィン12、14は請求項における「第2フィン」に相当する。
【0011】
まず、縦フィン11、12について説明すると、以下のようになる。
図1に示すように、レジスタ1の下板6(図2参照)の側壁4a付近に溝25が形成され、溝25は2つの枝部25a、25bに枝別れしている(図6参照)。さらに、レジスタ1の上板5にも溝25に相当する図示しない溝が形成されている。縦フィン11の回転軸11aは、その下端部が下板6の溝25に摺動自在に係合し、その上端部が上板5の溝25に相当する溝に摺動自在に係合している。
図2に示すように縦フィン12の回転軸12aの上端部のレジスタ1の上板5の上方に突出した部分にカム部材21が固定され、図1に示すように、このカム部材21に溝21aが形成されている。このため、カム部材21は回転軸12aを回転中心として回転する。縦フィン11の回転軸11aの上端部は、カム部材21の溝21aに摺動自在に係合する。
図3に示すように、溝21aと縦フィン11の回転軸11aとの係合位置と縦フィン12の回転軸12aとの距離Lは、回転軸12aを中心として縦フィン群10が気流3を左右方向に偏向していないときの前記係合位置(図3の係合位置)を通る円弧Mの内側にあるので、縦フィン群10が気流3を左右方向に偏向していないときに、前記距離Lが最も長くなる。
【0012】
図1に示すように、請求項の「第1ガイド」に相当する溝23および請求項の「第2ガイド」に相当する溝24がレジスタ1の下板6(図2、図7参照)に形成されている。ここで、溝24は溝23よりも空気吹出口2側に設けられている。そして、溝23は溝24の側壁4a側端部を中心とする円弧状に形成され、溝24は溝23の側壁4a側端部を中心とする円弧状に形成されている。さらに、溝23、24に相当する図示しない溝がレジスタ1の上板5にも形成されている。
縦フィン11の気流入口側端部の軸11bは、その下端部が溝23に係合し、その上端部が溝23に相当する上板5の溝に係合した状態で溝23に沿って移動可能である。なお、この移動の際に回転軸11aが前記枝部25bに係合する。また、縦フィン11の気流出口側端部の軸11cは、その下端部が溝24に係合しその上端部が溝24に相当する上板5の溝に係合した状態で溝24に沿って移動可能であり、その移動の際に回転軸11aが前記枝部25aに係合する。
縦フィン群10が気流3を左右方向に偏向しているときは、カム部材21の溝21aと縦フィン11の回転軸11aとの係合位置は、縦フィン群10が気流3を左右方向に偏向していないときの前記係合位置と縦フィン12の回転軸12aとを結ぶ直線に関し線対称になる。
【0013】
このため、カム部材21は縦フィン12の回転軸12aを回転中心とし縦フィン12の回転に連動して回転し、縦フィン11を縦フィン12に連動させて回動させることができる。その際、縦フィン群10は、縦フィン群10を通過する気流3の方向を縦フィン11、12の回転方向に偏向させることができる。
【0014】
つぎに、縦フィン14、15について説明する。
図1の縦フィン15は縦フィン11と同様に請求項における「第1フィン」に相当するので、その回転軸15a、軸15b、15cはそれぞれ縦フィン11の回転軸11a、軸11b、11cに相当する。また、縦フィン14は縦フィン12と同様に請求項における「第2フィン」に相当するので、その回転軸14aおよび軸14bは、それぞれ縦フィン12の回転軸12aおよび軸12bに相当する。さらに、カム部材26はカム部材21に相当し、レジスタ1の下板6に形成された溝27、28、29はそれぞれ溝23、24、25に相当し、溝23、24、25に相当する溝が上板5にも形成されている。
【0015】
図2に示すように、縦フィン群10を通過した気流3を上下方向に偏向させる横フィン群30がレジスタ1の空気吹出口2に配置されている。横フィン群30は、縦方向に順次配設された5枚の横フィン31を備えている。各横フィン31は、その回転軸31aがレジスタ1の側壁4a、4b(図1参照)に回動自在に支えられている。そして、ロッド32が各横フィン31の軸に回動自在に連結されているので、各横フィン31は連動するように構成されている。
【0016】
横フィン群30の中央の横フィン31にフィン操作ノブ40が取り付けられ、フィン操作ノブ40の後端部にラック51が形成されている。このラック51は縦フィン群10の中央部の縦フィン13の回転軸13aに取り付けられた扇型状の歯車52(図1参照)と螺合している。
縦フィン群10の縦フィン12、13、14はそれそれ縦軸となる回転軸12a、13a、14aを回転中心として時計周り方向および反時計周り方向に回動可能である。そして、各縦フィン12、13、14はその軸12b、13b、14bによりロッド22に回動可能に連結されているので、互いに連動して時計周り方向および反時計周り方向に回動可能である。
【0017】
以上の構成のレジスタ1の縦フィン群10は以下のように動作する。
フィン操作ノブ40を図1の左方向(矢印41の方向)に移動させると、フィン操作ノブ40の後部のラック51に螺合している歯車52が図1の時計周り方向に回転し、これにより縦フィン13が時計周り方向に回転し、この縦フィン13に連動して縦フィン12、14が時計周り方向に回転する。このため、カム部材21、26が時計周り方向に回転し、これにより図4に示すように縦フィン11が時計周り方向に回転し、縦フィン15も同様に時計周り方向に回転する。この結果、縦フィン群10は、縦フィン群10を通過する気流3を図1の左方向に偏向させることができる。
上記と反対にフィン操作ノブ40を図1の右方向(矢印42の方向)に移動させると、縦フィン群10は、縦フィン群10を通過する気流3を図1の右方向に偏向させることができる(図5参照)。
また、縦フィン群10が気流3を左右に偏向していないときは、縦フィン11、15はそれぞれ側壁4a、4bに接しているので、縦フィン11、15による空気抵抗を著しく小さくすることができる。
さらに、縦フィン群10により気流3を左右方向に偏向させるときに、縦フィン11、15が気流を左右または上下方向に対称に偏向させることができる。
【0018】
なお、フィン操作ノブ40の先端部を図2の上方向(矢印43の方向)に回転させると、横フィン群30が気流3を上方向に偏向させ、反対にフィン操作ノブ40の先端部を図2の下方向(矢印44の方向)に回転させると、横フィン群30が気流3を下方向に偏向させる。
【0019】
なお、上記実施の形態において、カム部材21、26に連動する2つの縦フィン11、15が開示されているが、これに限定されず、1つのフィンがカム部材に連動するようにしてもよい。
また、縦フィン群10の縦フィンの数は、図示されたものに限定されず、必要に応じて任意の数とすることができる。
また、縦フィン群10の例が示されているが、これに限らず、気流3を上下方向に偏向させる横フィン群にも本発明は適用可能である。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、レジスタのフィン群全体として気流の方向を偏向させることができるとともに、気流の方向を偏向しないときは、フィン群の空気抵抗を小さくすることができる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、請求項1記載のレジスタを容易に構成することができる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果とともに、レジスタのフィン群により気流を左右方向、上下方向等の偏向方向に対称に偏向させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るレジスタの一部分を切り欠いて示す平面図である。
【図2】図1のレジスタの縦断面を示す断面図である。
【図3】図1の一部分を拡大して示す平面図である。
【図4】図3の縦フィンが気流を図示左方向に偏向させる場合の動作を示す説明図である。
【図5】図3の縦フィンが気流を図示右方向に偏向させる場合の動作を示す説明図である。
【図6】図3の縦フィンの動作原理を示す説明図である。
【図7】図1の縦フィン群等の気流吹出口側から見た状態を示す部分図である。
【図8】従来例を分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 レジスタ
2 空気吹出口
3 気流
4a、4b レジスタの側壁
10 縦フィン群(フィン群)
11、15 縦フィン(第1フィン)
11a、15a 回転軸
11b、15b 軸(気流入口側端部)
11c、15c 軸(気流出口側端部)
12、14 縦フィン(第2フィン)
12a、14a 回転軸
21、26 カム部材
21a 溝
23、27 溝(第1ガイド)
24、28 溝(第2ガイド)

Claims (3)

  1. レジスタ内に送り込まれた気流を空気吹出口から吹き出すレジスタであって、前記空気吹出口から吹き出す気流の方向を偏向させるフィン群がレジスタ内に配置されているレジスタにおいて、
    前記フィン群は少なくともレジスタの壁に接する位置から順に配設された第1フィンおよび第2フィンを有し、
    前記第2フィンの回転軸を回転中心とし、前記第2フィンの回転に連動して回転するカム部材が配設され、このカム部材に溝が形成され、
    前記第1フィンの回転軸は、前記カム部材の溝に摺動自在に係合し、
    前記カム部材の回転により前記第1フィンはその回転軸が前記壁から離れるように移動しつつ、前記第2フィンの回転と同じ方向に回転することを特徴とするレジスタ。
  2. 請求項1に記載したレジスタであって、
    前記カム部材の回転中心から前記溝と前記第1フィンの回転軸との係合位置までの距離は、前記フィン群が前記気流の方向を偏向していないときに最も長く、
    第1ガイドおよび前記第1ガイドよりも前記空気吹出口側に位置する第2ガイドがレジスタに形成され、
    前記第1ガイドは前記第2ガイドの前記壁側端部を中心とする円弧状に形成され、前記第2ガイドは前記第1ガイドの前記壁側端部を中心とする円弧状に形成され、
    前記第1フィンの気流入口側端部は前記第1ガイドに沿って移動可能であり、前記第1フィンの気流出口側端部は前記第2ガイドに沿って移動可能であることを特徴とするレジスタ。
  3. 請求項2に記載したレジスタにおいて、
    前記カム部材の溝は前記フィン群が気流の方向を偏向していないときに前記第1フィンの回転軸が前記カム部材の溝に係合する位置と前記カム部材の回転中心とを結ぶ直線に関して線対称に形成されていることを特徴とするレジスタ。
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