JP4321442B2 - マイクシステム及びその信号伝送方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクシステム及びその信号伝送方法に関し、特に複数のマイクをカスケード接続し、隣接する上流のマイクと下流のマイクの間で音声信号を順次伝達するマイクシステム及びその信号伝送方法に関する。
従来、複数のマイクを用いたマイクシステムは、TV(テレビ)会議などで使用されており、各マイク毎にアンプ(増幅器)を備え、カスケード接続してマイクの設置数を任意に設定できるようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、それぞれのマイクにミキシングアンプを設け、多数のマイクをカスケード接続したアナログ式のシステムも知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、専用回線を使用し、自己端末の音声を加算して続く端末に出力するようにしたデジタル式のシステムも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭58−191562号公報 特許第3379313号公報 特開2000−23129号公報(段落番号〔0047〕、〔0052〕、図6、図7)
しかしながら、従来のマイクロシステムにおいては、カスケード接続する各マイク間で伝達される音声信号にはアナログ信号が用いられているため、音声信号を各マイクで順次伝達することにより、音声信号が劣化するという問題点があった。
例えば、専用回線を使用し、自己端末の音声を加算して続く端末に出力するようなデジタル式のシステムの場合、端末間では音声信号としてデジタル信号が用いられている。このため、端末間で音声信号が劣化することはない。ところが、端末に複数のマイクがカスケード接続されると、マイク間はアナログ信号で伝達するため、端末に音声信号が到達するまでに音声信号が劣化してしまう。
そこで、マイク間において音声信号をデジタル信号に変換した後、通信回線を介してシリアル伝送するようにすれば、音声信号の劣化を防止することができる。
しかしながら、一般に、シリアル伝送では、各装置間において通信の同期をとるため、送信するデータに同期部を付加する必要がある。このため、1対1データ転送においても、通信を開始する側からの通信(以下、下りとする)、それに対する応答(以下、上りとする)の信号に共に同期部とデータ部を含む同じフォーマットの信号形式を用いている。
これをそのままマイクシステムに適用しようとすると、データ長が長くなり処理が冗長になる他、同期をとるためのクロック生成回路が複雑になるという問題がある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、簡便な通信手段を用いてマイク装置間の同期をとることができるマイクシステム及びこのようなマイクシステムに適した信号伝送方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、信号遅延が大きい場合もマイク間の同期がとりやすいマイクシステム及びその信号伝送方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために、複数のマイクをカスケード接続し、隣接する上流のマイクと下流のマイクの間で音声信号を順次伝達するマイクシステムにおいて、前記上流のマイクから送信されてきた同期部とデータ部を含むシリアル信号を基に信号伝送用のクロックを生成するクロック生成手段と、その信号伝送用のクロックを用いて上流のマイクへ同期部を持たないシリアル信号を送信する送信手段と、を具備するマイクから構成されるマイクシステムが提供される。
このようなマイクシステムでは、クロック生成手段は、上流のマイクから受信したシリアル信号から送受信用のクロックを生成し、送信手段は、このクロックを用いて上流のマイクへ同期部を持たないシリアル信号を送信する。これにより、上流へ送信される上りの信号フォーマットは、同期部分をデータ部として使用することができるので、上流のマイクにおいてデータ値を判別することが可能な区間を大きくすることができる。
本発明のマイクシステム及びその信号伝送方法は、下流のマイクで上流から送信されてきた信号を基に伝送用のクロックを生成し、上流のマイクへは同期部を持たない信号を送信するようにしたため、上流のマイクにおいてデータ値を判別することが可能な区間が長くなり、同じ長さのケーブルに対して伝送速度を速くすることができ、伝送速度が定まっている場合は遅延の大きい長いケーブルでも信号を正しく伝送することができ、また、ケーブルの長さ、伝送速度共に定まっている場合は、その遅延のマージンが大きくとれるという利点がある。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、実施の形態に適用される発明の概念について説明し、その後、実施の形態の具体的な内容を説明する。
本発明のマイクシステムでは、カスケード接続された隣接する上流のマイクと下流のマイクの間で上りと下りのそれぞれのシリアル信号を、同期をとって伝送する。なお、マイクシステムでは、常に上流のマイクから下流のマイクに向けて通信が開始される。
このため、上流のマイクから下流のマイクに向けて送信する下りデータは、データのビット列からなるデータブロックに同期ビット部とデータ部とから成る信号フォーマットを用いて伝送を行う。下流のマイクは、上流のマイクからきた信号の同期ビット部に基づいてクロックを生成し、このクロックで上流のマイクへ信号を送信する。クロックの生成は、上流のマイクからの信号の同期タイミングである立ち上がりから、その立ち上がりエッジの周波数をPLL(Phase Locked Loop)で整数倍(ここでは4倍)することによって行う。この結果、生成されたクロックは、立ち上がりエッジの回数に関して、上流のマイクからの信号の整数倍となったクロックになる。
上流のマイクは、下流のマイクからケーブル長に応じた遅延を含む所定の遅延時間後に上りデータが送信されることがわかっているので、下流のマイクへシリアル信号を送信したクロックに同期させて、下流のマイクからの上りデータ検出タイミングを作成する。このため、下流のマイクから上流のマイクへは受信タイミングを生成するための同期ビット部を持たせる必要がなく、同期ビット部もデータ部として使用した信号フォーマットを用いてシリアル信号を送信する。
例えば、上流のマイクからの信号は、「1000」なら「0」、「1110」なら「1」として判断する。また、下流のマイクからの信号は、クロックを生成させる必要はないので、同期ビットを持たない信号、つまり同期ビット分もデータビットに変えた信号を送信する。例えば、「0」を「0000」、「1」を「1111」として送信する。なお、これらの信号で、両端のビットは同期用、中のビットはデータ用であるが、データ用のビットはいくつあっても良い。
このような信号伝送方法を用いることにより、上流側のマイクがデータの値を判定可能な区間を長く取ることができ、ケーブルによる信号遅延が大きくてもマイク間の同期をとりやすくなる。すなわち、同じケーブル長であれば、伝送速度を速くすることができ、同じ伝送速度であればケーブル長を長くすることが可能になる。
以下、実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態のマイクシステムの構成を示すブロック図である。
このシステムは、TV会議のPCS(Personal Communication Services)1に複数のマイク10、11、…がケーブルによりカスケード接続された構成を有している。PCS1とマイク1(10)、及びマイク2(11)間は、下り信号が伝達される下り信号線21と、上り信号が伝達される上り信号線22の2つの信号線で接続されており、下り信号線21及び上り信号線22を用いて、同時に送受信ができる構成となっている。
そして、上述のように、上流のマイク10から下流のマイク11へは同期部とデータ部で構成される信号フォーマットのシリアル信号を送信する。下流のマイク11のクロック生成手段は、受信されたシリアル信号に基づいて信号伝送用のクロックを生成し、送信手段は、上流のマイク10に対して同期部もデータ部にしたデータ部のみのシリアル信号を送信する。
次に、図2の信号波形図を参照しながら本システムにおける具体的な信号伝送方法について説明する。ここでは、上流のマイク1から下流のマイク2へ下り信号「0110」を送信し、下流のマイク2から上流のマイク1へ上り信号「0101」を送信する例を順を追って説明する。
(1)マイク1は、16MHzの送受信クロックから、「0」のとき「1000」、「1」のとき「1110」を送信(「0110」の場合は「1000 1110 1110 1000」を送信)する。例えば、「0」に相当する下りシリアル信号フォーマット「1000」のうち、最初の1と最後の0は同期用の立ち上がり信号を生成するための同期ビット部で、中の00がデータ値「0」を表す。同様に、「1」の「1110」の場合も、最初の1と最後の0は同期用の同期ビット部で、中の11がデータ値「0」を表す。
(2)マイク2は、ケーブル1mにつき約5nsの信号の遅延の後、上記の下り信号を受信する。
(3)マイク2は、下り受信信号の立ち上がりを基にPLLで16MHzの送受信クロックを生成する。
(4)マイク2は、下り受信信号の周期の半分(中央)での値を読み出す(「0110」を受信)。すなわち、同期用の立ち上がりと次の同期用の立ち上がりとの中間のタイミングで検出する。このタイミングは、例えばPLLで生成された信号を用いることができる。
(5)マイク2は、マイク1へ上り送信信号を上記生成した送受信クロックを基に下り受信信号の立ち上がりに合わせて送信する。すなわち、送信されてきた同期用の立ち上がりのタイミングでシリアル信号を送信開始する。このタイミングはマイク1の送信タイミングではなく、ケーブル等の伝送路により遅延された受信時のタイミングである。「0」のとき「0000」、「1」のとき「1111」を送信(「0101」の場合は「0000 1111 0000 1111」を送信)する。例えば、「0」に相当する上り信号フォーマットは、すべての区間がデータ区間で0000になる。同様に、「1」は、すべての区間がデータ区間で1111になる。
(6)マイク1は、ケーブル1mにつき約5nsの信号の遅延の後、上り信号を受信する。
(7)マイク1は、下り送信信号のクロックの立ち上がりに合わせて上り信号を受信する。
このようなマイクシステムによれば、上りの信号は同期ビットを含まず、その分もデータビットとなっているので、マイク1が「0」か「1」かを判断するのに用いることのできる区間が長くなり、同じ長さのケーブルに対して伝送速度を速くすることができる。また、伝送速度が定まっている場合は遅延の大きい長いケーブルでも信号を正しく伝送することができる。また、ケーブルの長さ、伝送速度共に定まっている場合は、その遅延のマージンが大きくとれる。そして、以上の信号伝送方法により、ケーブルの長さが0m〜25mまで正しく動作させることができる。
また、マイク1からマイク2への伝送に関しても、上述したように正しく動作させることができるので、双方向の伝送を正しく動作させることができる。
なお、同期部とデータ部のビット数は、上記の例に限定されることはない。
次に、実施の形態をテレビ会議システムの音声処理に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。図3は、実施の形態のテレビ会議システムに適用されるマイクシステムの各マイクにおける通信インターフェースの構成を示すブロック図である。以下、通信される下りデータおよび上りデータを総称して通信コマンドとする。
上流の図示しないテレビ会議システム本体との通信路101及び下流のマイクとの通信路102は、シリアルI/F(インターフェース)110に接続される。このシリアルI/F110は、上流のテレビ会議システム本体から送信される下りの通信コマンドを入力し、コマンドの指示に従って所定の処理を行うとともに、通信コマンドを下流のマイクへ出力する。また、下流のマイクから入力した上りの通信コマンドに対し音声情報に自装置の音声信号を加算するなどの処理を行った後、上流のテレビ会議システム本体に出力する。
上記シリアルI/F110は、通信コマンドを受信する受信ブロック111、通信コマンドを送信する送信ブロック112、通信コマンドに基づき下りデータを生成する下りデータ生成回路113、上りデータを生成する上りデータ生成回路114、音声処理用のDSP(Digital Signal Processor)105へ送信するデータを生成するDSP送信データ生成回路115、DSP105から取得したデータを処理するDSP受信データ処理回路116を備えている。また、受信信号を選択するセレクタ(Selector)103と、クロックを生成するためのPLL回路104が接続されている。
受信ブロック111は、通信路101を介して入力する上流からの下り通信コマンド及び通信路102を介して入力する下流からの上り通信コマンドを受信し、DSP送信データ生成回路115へ送る。
送信ブロック112は、通信路101を介して上流に上り通信コマンド及び通信路102を介して下流に下り通信コマンドを送信する。上り通信コマンドは、上りデータ生成回路114により作成され、下り通信コマンドは下りデータ生成回路113により作成される。なお、送信クロックは、セレクタ103とPLL回路104によって生成される。セレクタ103は、図示しない制御手段による制御信号(Select)に応じて、上流から送信された下り通信コマンドの受信信号を選択し、PLL回路104で受信した下り通信コマンドに応じたクロックが生成される。
DSP送信データ生成回路115は、受信ブロック111から取得した通信コマンドに基づき、DSP105へ出力するDSP送信データを生成し、DSP105へ出力する。
DSP受信データ処理回路116は、DSP105から取得したデータを処理し、上りデータ生成回路114もしくは下りデータ生成回路113へ出力する。例えば、DSP105より取得した自装置の音声信号が加算された音声情報、制御コマンドに対する応答などが出力される。
下りデータ生成回路113は、通信路102を介して下流に送信する下りデータを生成する。また、上りデータ生成回路114は、通信路101を介して上流に送信する上りデータを生成する。
このような構成のシリアルI/F110の動作について説明する。
通信は、必ず上流側からの受信で開始される。通信路101経由で上流からの下りデータ信号が入力されると、セレクタ103によりPLL回路104が入力信号に基づき送受信クロックを生成する。受信ブロック111は、送受信クロックに従って入力される下りデータ信号を受信する。このとき、送信ブロック112は、上りデータ生成回路114によって生成された上りデータを通信路101により上流に送信する処理を開始する。通信路101は、2本の信号線が用意されており、それぞれの信号線を用いて受信と送信が同時期に行われる。
本発明の実施の形態のマイクシステムの構成を示すブロック図である。 実施の形態における信号伝送方法を示す信号波形図である。 実施の形態のテレビ会議システムに適用される場合の通信インターフェースの構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…PCS、10,11…マイク、101,102…通信路、103…セレクタ、104…PLL回路、105…DSP、110…シリアルI/F

Claims (5)

  1. 複数のマイクをカスケード接続し、隣接する上流のマイクと下流のマイクとの間で音声信号を順次伝達するマイクシステムにおいて、
    前記上流のマイクから送信されてきた同期部とデータ部を含むシリアル信号を基に信号伝送用のクロックを生成するクロック生成手段と、
    前記クロック生成手段の生成した前記信号伝送用のクロックを用いて前記上流のマイクへ同期部を持たないシリアル信号を送信する送信手段と、
    を具備するマイクから構成されることを特徴とするマイクシステム。
  2. 前記クロック生成手段は、前記上流のマイクから送信されてきた同期部の周波数をPLLで整数倍することによってクロックを生成することを特徴とする請求項1記載のマイクシステム。
  3. 前記送信手段は、前記同期部のタイミングから前記シリアル信号を送信開始することを特徴とする請求項1記載のマイクシステム。
  4. 前記同期部と次の同期部との間のタイミングで前記データ部を検出する受信手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載のマイクシステム。
  5. 複数のマイクをカスケード接続し、隣接する上流のマイクと下流のマイクの間で音声信号を順次伝達するマイクシステムの信号伝送方法において、
    前記上流のマイクから前記下流のマイクへ同期部とデータ部を含むシリアル信号を送信し、該下流のマイクで前記送信されたシリアル信号を基にクロック生成手段で信号伝送用のクロックを生成し、
    前記下流のマイクから前記上流のマイクへ同期部を持たないシリアル信号を送信手段で送信する、
    ことを特徴とするマイクシステムの信号伝送方法。
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