JP4320025B2 - オゾン水濃度検出センサ - Google Patents
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従来、オゾン水の濃度を検知する方法として、煩雑なヨウ素滴定法や高価な紫外線吸収法が主流であったが、電極をオゾン水に接触させて起電させ、オゾン濃度を電気信号に変換する電極法がより簡便であるとして多く使用されるようになった。この電極法は、流動しているオゾン水流中に、第一電極と第二電極とを浸し、第一電極を金属銀又は塩化銀によって被覆された金属銀によって構成し、第二電極を、表面にオゾン酸化膜を形成したニッケル・クロム合金によって構成し、第一電極と第二電極との間に発生するオゾン水濃度変化に追従する電圧変化を検知している(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡便な方法で、高濃度域のオゾン水濃度においてもオゾン水濃度に比例した電気信号によって、正確に測定することのできるオゾン水濃度検出センサを提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、棒状体と、
前記棒状体の一端部に設けられてオゾン水に浸される検出電極及び比較電極と、
前記棒状体の他端部に設けられて棒状体の長手方向を回転中心として回転振動する永久磁石式の直流電動機である回転式振動子と、
前記棒状体の長手方向中心位置に設けられて前記棒状体を支持する緩衝部材とを備え、
前記回転式振動子の回転振動により、前記回転式振動子と、前記検出電極及び比較電極とが前記緩衝部材を中心として互いに対称となるように前記緩衝部材を頂点とした円錐運動を行い、
前記回転式振動子と前記検出電極及び比較電極とがともに円錐運動することにより、前記検出電極及び比較電極とオゾン水との間に連続して変位接触が与えられ、両電極間にオゾン水濃度に比例した電気信号が惹起され、オゾン水のオゾン濃度に比例した強さの電気信号を得ることを特徴とする。
前記検出電極が、前記棒状体の一端部から長手方向に延在して設けられ、
前記比較電極は、前記検出電極の外周を囲むように前記棒状体の一端部に設けられていることを特徴とする。
オゾン水が貯められた水槽の壁部に開口部が形成され、
前記緩衝部材が、前記開口部に水密に設けられたシリコンゴム板であり、
前記棒状部材が、前記水槽内に前記検出電極及び比較電極を配置するとともに前記回転式振動子を前記水槽外に配置するように前記シリコンゴム板を貫通することにより支持されていることを特徴とする。
前記回転式振動子が直流電動機であり、駆動電圧を印加することにより、前記検出電極とオゾン水との連続接触に最適な振動速度を調整することを特徴とする。
[第一の実施の形態]
図1は、オゾン水濃度検出センサ100の概略図である。
オゾン水濃度検出センサ100は、長尺な棒状体1と、棒状体1の一端部1aに互いに平行に設けられ、オゾン水に浸される検出電極2及び電位測定の基準となる比較電極3と、棒状体1の他端部1bに設けられて棒状体1の長手方向を回転中心として回転振動することにより、この振動を棒状体1に伝達する回転式振動子4と、棒状体1の長手方向中心位置に設けられて棒状体1を支持する緩衝部材5とを備えている。
緩衝部材5としては、例えば、Oリングなどのダンパを使用することができる。Oリングを使用することによって簡易に製造でき、低コストに抑えることができる。そして、緩衝部材5を取付位置6に嵌め込むことにより棒状体1を取り付けることができる。取付位置6としては、例えば、後述の水槽に形成された開口部などが挙げられ、開口部に水密に嵌め込むことができる。
比較電極3としては、銀の表面に塩化銀被覆した電極を使用することが好ましい。検出電極2及び比較電極3は、本実施形態では棒状に形成したものを使用することができる。
また、検出電極2の一方の端部には、電流計7の正極に結線され、比較電極3の一方の端部には、電流計7の負極に結線されている。なお、電流計7としては、マイクロ・アンペア電流計を使用することができる。
図2(a)は、回転式振動子4の平面図、(b)は、回転式振動子4の側面図、(c)は、回転式振動子4の裏面図である。回転式振動子4は、周知の不平衡回転モータであって、平面視円形状のハウジング41をなし、その円形中心に回転軸42が設けられている。この回転軸42に棒状体1の他端部が挿入されて、回転軸42の運動を阻害しないように棒状体1の内周面と回転軸42の外周面とが接着されている。なお、符号43は箔状リード線である。
図3に示すように、回転式振動子4に所定の直流電圧を印加すると回転式振動子4が棒状体1の長手方向を回転中心とした回転振動する。これによって、回転軸42に接着された棒状体1の他端部1bは、緩衝部材5を頂点とした円錐状に運動し、検出電極2及び比較電極3が取り付けられた棒状体1の一端部1aは、緩衝部材5を頂点として円錐状に運動する。すなわち、棒状体1の他端部1bと一端部1aとは、緩衝部材5を中心として互いに対称となるように円錐状に運動する。したがって、このような検出電極2及び比較電極3をオゾン水に接触させると、検出電極2及び比較電極3とオゾン水との間に連続した変位接触が与えられ、両電極2,3間にオゾン水濃度に比例した電気信号が惹起され、オゾン水のオゾン濃度に比例した強さの安定した電気信号を得ることができる。
また、回転式振動子4が直流電動機であるので、印加電圧を変えることにより回転式振動子4の振動数が変化するため、最も安定したオゾン水濃度の電気信号変換を達成することのできる最適な振動速度を調整することにより、特に高濃度域における過剰振動によるオゾン水の減衰を防ぐと同時に振動数が低いことによる検出電極2及び比較電極3とオゾン水の接触不足を防止することができる。
図4は、オゾン水濃度検出センサ100Aが水槽200Aに取り付けられた状態を示す側断面図である。なお、図4において、検出電極2A及び比較電極3Aに結線される電流計は図面の関係上省略している。
第二の実施の形態におけるオゾン水濃度検出センサ100Aは、第一の実施の形態において、緩衝部材としてシリコンゴム板5Aを使用したものであり、水槽200Aの開口部201Aにシリコンゴム板5Aを嵌め込んでいる。なお、その他は第一の実施の形態と同様の構成をなしているので、同様の数字に符号Aを付して説明を省略する。
図3に示すように、オゾン水濃度検出センサ100Aは、オゾン水が貯められた水槽200A内の底部に取り付けられるようになっており、棒状体1Aの長手方向中央位置にシリコンゴム板5Aからなる緩衝部材が棒状体1Aの長手方向に対して略垂直となるように設けられている。棒状体1Aは、上記棒状体1よりも長さを短くすることが好ましい。
シリコンゴム板5Aは、円板状をなし、水槽200Aの底部に形成された開口部201Aに嵌め込まれるようにある程度の厚みを有している。また、シリコンゴム板5Aの中央に円形状の穴51Aが形成されており、穴51A内に棒状部材1Aが挿入されることによりシリコンゴム板5Aと棒状部材1Aとが密着している。
したがって、回転式振動子2Aに通電すると回転式振動子2Aが棒状体1Aの長手方向を回転中心とした回転振動をし、これに伴って棒状体1Aの他端部1bAがシリコンゴム板5A部分を頂点とした円錐運動をし、検出電極2A及び比較電極3Aが取り付けられた棒状体1Aの一端部1aAはシリコンゴム板5A部分を頂点とした円錐運動をする。すなわち、棒状体1Aの他端部1bAと一端部1aAとが、シリコンゴム板5A部分を中心として互いに対称となるように円錐状に運動する。そして、検出電極2A及び比較電極3Aがオゾン水に接触すると、検出電極2A及び比較電極3Aとオゾン水との間に連続した変位接触が与えられ、これによって起電力が発生し、オゾン水のオゾン濃度に比例した強さの安定した電気信号を得ることができる。また、シリコンゴム板5Aを開口部201Aに嵌め込むことによってオゾン水濃度検出センサ100Aを水槽200Aに簡単に組み込むことができ、しかもシリコンゴム板5Aによって水槽200Aの底部における水密も確保できる点で好ましい。
図5は、オゾン水濃度検出センサ100Bの検出電極2B及び比較電極3B側を示した斜視図である。
第三の実施の形態におけるオゾン水濃度検出センサ100Bは、第一の実施の形態におけるオゾン水濃度検出センサ100の比較電極3と形状の異なる比較電極3Bを使用している。なお、その他は同様の構成をなしているので、同様の数字に符号Bを付して説明を省略する。
図5に示すように、オゾン水濃度検出センサ10Bの検出電極2Bは、棒状をなし、棒状体1Bの一端部1aBに、その一端部1aBから長手方向に沿って突出するように設けられている。比較電極3Bは、塩化銀被覆の銀金網等からなる円筒状をなしており、その内部に検出電極2Bが配置されている。棒状の検出電極2Bの先端は、円筒状の比較電極3Bから若干突出している。
図6に示すように、オゾン水濃度検出器300Bは、検出器本体301Bと、検出器本体300Bの下端部に下方に延在して設けられた筒状の接続管302Bと、接続管302B内に収容されたオゾン水濃度検出センサ100Bとを備えている。
検出器本体301Bには、検出電極2B及び比較電極3Bの一端部にそれぞれ結線された電流計(図示しない)の測定値がオゾン水の濃度に合うように指示された濃度指示計304Bが内蔵されている。濃度指示計304Bの下方に乾電池収納部305Bが形成されている。乾電池収納部305Bに、回転式振動子4Bの電源となる二つの乾電池306Bが収納されている。また、乾電池収納部305Bの下方には回転式振動子4Bの起動又は停止を行う電源ボタン307Bが設けられている。
接続管302Bの内壁面には、オゾン水濃度検出センサ100Bの棒状体1Bを保持するための保持部6Bが形成されている。保持部6Bは、互いに対向する内壁面に、その内壁面から棒状体1B側に突出して形成された突状をなし、棒状体1Bの長手方向中心位置に対応して内壁面に形成されている。そして、互いに対向する保持部6B間にOリング等の緩衝部材5Bを介して棒状体1Bが密着支持されている。
棒状体1Bの一端部1aAには上述の棒状の検出電極2B及び円筒状の比較電極3Bが取り付けられており、他端部1bBには回転式振動子4Bが取り付けられている。検出電極2B及び比較電極3Bは、接続管302Bより下方に延出してオゾン水に接触できるようになっており、回転式振動子4Bは、接続管302B内に収納されており外部に露出していないので、オゾン水に接続管302Bの下端部を浸した場合でも酸化力のあるオゾン水飛沫から回転式振動子4Bを保護することができ、精度の低下を防止することができる。
本実施の形態では、単三電池のような軽量の乾電池306Bで十分に駆動させることができ、長時間にわたる繰り返し使用に耐えることができる。
また、比較電極3Bが検出電極2Bの外周を囲むように設けられているので、円錐状に回転運動する検出電極2B及び比較電極3Bの先端が、よりオゾン水と連続にかつ円滑に接触することができる。よって、この点においてもオゾン水濃度に比例した起電力を確実に得ることができる。
例えば、上記実施の形態において棒状体1,1A,1Bは断面円形状の細管としたが、円形状に限らず矩形状であっても構わない。また、シリコンゴム板5Aは円板状としたが、矩形板としても良く、これに伴い水槽200Aの底部に形成された開口部201Aの形状も適宜変更可能である。また、開口部201Aの位置も水槽200Aの底部に限らず、側壁部に形成しても良い。
さらに、検出電極2,2A,2B及び比較電極3,3Aは棒状の電極としたが、例えば各種金属線をコイル状に巻いたものを使用しても良い。この場合、各電極の表面積が大きくなるので、出力が大きく安定した起電力を得ることができる。また、各電極の金属材料の使用量を少なくすることができる。その他、板状の電極としても良い。
また、振動式回転子4は上述した形状のものに限らず、適宜変更しても良い。
[実施例]
上記第一の実施の形態の実施例として、まず、直径12mm、厚さ3.4mmの扁平振動子(回転式振動子)を準備し、この振動数を調べた結果、直流2.5Vを印加した場合、直流電動機の回転数が毎分約8000回転であり、毎秒約130回の円錐運動を行っていた。そこで、棒状体として、径6mm、長さ120mmのプラスチック製細管を使用し、この細管の一端部を振動子の中心部に装着し、他端部を検出電極及び比較電極を取り付けて、さらに、細管の両端部から略60mmの細管の長手方向中心位置にシリコン製Oリングを介して支持した。この検出電極及び比較電極をオゾン水中に浸したところ、連続して直径20mmくらいの円滑な円錐運動を行い、オゾン水との連続接触による起電力を生じ、オゾン水濃度の1ppm当たり12マイクロアンペアの電気信号を取り出し、0〜10ppmの間、濃度に比例した電気信号を得た。これに対して、比較例として、短冊状に形成された片状体に水平振動を与える振動子を、片状体の一方の端部側の表面に取り付けて検出電極及び比較電極を水平振動させた場合、オゾン水濃度が5ppm以上では電気信号の出力低下が見られた。この結果を図7に示す。図7は、オゾン水濃度[ppm]と電気信号の出力[μA]との関係を示したグラフである。
したがって、本発明のように検出電極及び比較電極に緩衝部材を頂点とした円錐運動を与えることにより、オゾン水と連続接触による起電力が生じ、高濃度においてもオゾン水濃度に比例した電気信号が得られることが認められる。
本発明の方法では1〜8ppmのオゾン水濃度範囲において、オゾン水濃度に比例した電気信号を得ることができ、周知の精度の高い紫外線吸収法を用いた場合と一致した指度を示した。しかし、紫外線吸収法を用いた場合では、電源を入れて20分ほどのウォームアップ時間を必要とするのに対し、本方法では瞬時稼働でき、さらに、紫外線吸収法は濃度指示に数秒から数十秒のタイムラグを要するのに比べ、ほとんどタイムラグのない指示が出る等の特性があることがわかった。この点から本発明は紫外線吸収法より優れていると言える。
1a,1aA,1aB 一端部
1b,1bA,1bB 他端部
2,2A,2B 検出電極
3,3A,3B 比較電極
4,4A,4B 回転式振動子
5,5B 緩衝部材
5A シリコンゴム板(緩衝部材)
100,100A,100B オゾン水濃度検出センサ
200A 水槽
201A 開口部
300B オゾン水濃度検出器
Claims (4)
- 棒状体と、
前記棒状体の一端部に設けられてオゾン水に浸される検出電極及び比較電極と、
前記棒状体の他端部に設けられて棒状体の長手方向を回転中心として回転振動する永久磁石式の直流電動機である回転式振動子と、
前記棒状体の長手方向中心位置に設けられて前記棒状体を支持する緩衝部材とを備え、
前記回転式振動子の回転振動により、前記回転式振動子と、前記検出電極及び比較電極とが前記緩衝部材を中心として互いに対称となるように前記緩衝部材を頂点とした円錐運動を行い、
前記回転式振動子と前記検出電極及び比較電極とがともに円錐運動することにより、前記検出電極及び比較電極とオゾン水との間に連続して変位接触が与えられ、両電極間にオゾン水濃度に比例した電気信号が惹起され、オゾン水のオゾン濃度に比例した強さの電気信号を得ることを特徴とするオゾン水濃度検出センサ。 - 前記検出電極が、前記棒状体の一端部から長手方向に延在して設けられ、
前記比較電極は、前記検出電極の外周を囲むように前記棒状体の一端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン水濃度検出センサ。 - オゾン水が貯められた水槽の壁部に開口部が形成され、
前記緩衝部材が、前記開口部に水密に設けられたシリコンゴム板であり、
前記棒状部材が、前記水槽内に前記検出電極及び比較電極を配置するとともに前記回転式振動子を前記水槽外に配置するように前記シリコンゴム板を貫通することにより支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオゾン水濃度検出センサ。 - 前記回転式振動子が直流電動機であり、駆動電圧を印加することにより、前記検出電極とオゾン水との連続接触に最適な振動速度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のオゾン水濃度検出センサ。
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