JP5184715B1 - ガルバニ式濃度測定装置及びガルバニ式濃度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な原料水の種類に容易に対応して、オゾン濃度を高精度にかつ簡易に測定することができ、また、コスト削減及び小型化を図ることができるガルバニ式濃度測定装置及びガルバニ式濃度測定方法を提供する。
【解決手段】ガルバニ式濃度測定装置200は、オゾン水に浸すことによって起電力を生じる比較電極201及び検出電極202と、比較電極201及び検出電極202を、オゾン水を生成するための原料水に浸し、比較電極201に電圧を印加することによって、検出電極202から得られる電流値に基づいて、原料水の種類を判別した後に、比較電極201及び検出電極202をオゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、判別した原料水の種類に基づいて補正し、補正した電流値からオゾン水の原料水に応じた濃度を算出する制御部207と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガルバニ式濃度測定装置及びガルバニ式濃度測定方法に関する。
現在、産業用に普及しているオゾン水の製法は、大別して放電により生成したオゾンガスに溶解させるガス溶解法、電解により生成したオゾンガスを水に溶解させる電解ガス溶解法、電解面に原料水を直接接触させてオゾン水を生成させる直接電解法の3方式が実用されている。直接電解法は、ガス溶解法や電解ガス溶解法に比べて、より簡単な方法で高濃度のオゾン水を生成できると知られている。
このような直接電解法は、具体的には、ケーシング内を固形電解質膜によって陽極室と陰極室とに仕切り、陽極室側の固形電解室膜面に陽極電極を、陰極室側の固形電解質膜面に陰極電極をそれぞれ圧接して設けた装置を使用して、陽極室及び陰極室に原料水を供給するとともに陽極電極と陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成している。
生成したオゾン水の濃度は短時間で減衰することから、使用する現場においての濃度の指示と確認が強く要求されている。そこで、オゾン水濃度を電気信号に変換して簡単に測定することのできる電極法による濃度センサが知られている。
この電極法は、流動しているオゾン水流中に、第一電極と第二電極とを浸し、第一電極を金属銀又は塩化銀によって被覆された金属銀によって構成し、第二電極を、表面にオゾン酸化膜を形成したニッケル・クロム合金によって構成し、第一電極と第二電極との間に発生するオゾン水濃度変化に追従する電圧変化を検知している(例えば、特許文献1参照)。すなわち、第一電極と第二電極とをオゾン水中に浸すことによって起電力が生じ、起電力からオゾン水のオゾン濃度に比例した電気信号を得るガルバニ式の濃度センサである。ガルバニ式の濃度センサは、構造がシンプルで応答が速いという優れた特徴を持っている。
ところで、このようなガルバニ式の濃度センサは、起電力からオゾン水のオゾン濃度に比例した電流値が制御基板(制御部)に出力されて、制御基板によって出力電流値に応じた濃度が算出される。
しかしながら、出力電流値は、オゾン水を生成するための原料水が水道水、精製水または純水の場合など、原料水の種類によって異なる。そのため、原料水として水道水を使用してオゾン水を生成した場合には、水道水用の制御基板(制御部)が必要で、純水を使用した場合には純水用の制御基板が必要とされており、原料水の種類に応じてそれぞれ専用の制御基板が必要とされている。このように複数種類の制御基板が必要なため、コスト高となるとともに、原料水毎に制御基板を交換しなければならず手間がかかるという問題がある。
特開平8−136501号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、様々な原料水の種類に容易に対応して、オゾン濃度を高精度にかつ簡易に測定することができ、また、コスト削減及び小型化を図ることができるガルバニ式濃度測定装置及びガルバニ式濃度測定方法を提供することを目的としている。
請求項1の発明によれば、オゾン水に浸すことによって起電力を生じる比較電極及び検出電極と、
前記比較電極及び前記検出電極を、オゾン水を生成するための原料水に浸し、前記比較電極に電圧を印加することによって、前記検出電極から得られる電流値に基づいて、前記原料水の種類を判別した後に、前記比較電極及び前記検出電極を前記オゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、判別した原料水の種類に基づいて補正し、補正した電流値から前記オゾン水の原料水に応じた濃度を算出する制御部と、を備えることを特徴とするガルバニ式濃度測定装置が提供される。
請求項2の発明によれば、前記比較電極が、塩化銀または酸化銀からなり、
前記検出電極が、白金、白金を被覆した金属線または金からなることを特徴とする請求項1に記載のガルバニ式濃度測定装置が提供される。
請求項3の発明によれば、比較電極及び検出電極を、オゾン水を生成するための原料水に浸し、前記比較電極に電圧を印加することによって、前記検出電極から得られる電流値に基づいて、前記原料水の種類を判別する原料水判別工程と、
前記比較電極及び前記検出電極を前記オゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、前記判別工程で判別した原料水の種類に基づいて補正し、補正した電流値から前記オゾン水の原料水に応じた濃度を算出する濃度算出工程と、を備えることを特徴とするガルバニ式濃度測定方法が提供される。
請求項4の発明によれば、前記比較電極を、塩化銀または酸化銀から形成し、
前記検出電極を、白金、白金を被覆した金属線または金から形成することを特徴とする請求項3に記載のガルバニ式濃度測定方法が提供される。
本発明によれば、様々な原料水の種類に容易に対応して、オゾン濃度を高精度にかつ簡易に測定することができ、また、コスト削減及び小型化を図ることができる。
第1の実施形態におけるガルバニ式濃度測定装置の一部を示した外観斜視図である。 第1の実施形態におけるガルバニ式濃度測定装置の使用状態を示した概略側断面図である。 第1の実施形態におけるオゾン水生成装置の概略を模式的に示した縦断面図である。 第2の実施形態におけるオゾン水生成装置の概略を示したブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
本発明のガルバニ式濃度測定装置は、例えば、配管内やタンク内を流れるオゾン水の原料水の種類に応じたオゾン濃度を検出する装置である。
以下の説明では、配管内を流れるオゾン水の濃度を検出する場合を例に挙げて説明する。
図1は、本発明のガルバニ式濃度測定装置の一部を示した外観斜視図、図2は、ガルバニ式濃度測定装置の使用状態を示した概略側断面図である。
ガルバニ式濃度測定装置200は、オゾン水に浸すことによって起電力を生じる比較電極201及び検出電極202と、比較電極201及び検出電極202を、オゾン水を生成するための原料水に浸し、比較電極201に直流電圧を印加することによって、検出電極202から得られる電流値(すなわち、比較電極201と検出電極202との間を流れる電流値)に基づいて、原料水の種類を判別した後に、比較電極201及び検出電極202をオゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、判別した原料水の種類に基づいて補正し、オゾン水の原料水に応じた濃度を算出する制御部207と、を備える。
ガルバニ式濃度測定装置200は、配管40に形成された開口部41に取り付けられている。
比較電極201は、金属線をコイル状に形成してなり、比較電極201のコイル状の内側に、比較電極201と所定間隔を空けて、金属線をコイル状に形成してなる検出電極202が配されている。
比較電極201と検出電極202とは互いに接触しないように形成されている。
また、比較電極201及び検出電極202の一端部は、基台205内に埋設されるとともに基台205の下面を貫通している。つまり、基台205の上面から比較電極201及び検出電極202が突出するような構造となっている。また、基台205の外周面のうち、配管40の開口部41に嵌め込まれる部分には、パッキン材206が設けられている。これによって水密性が確保されている。
比較電極201は、金属線を複数回巻きつけたコイル状に形成されている。コイル状の巻き付け間隔は、1.2mm以上とすることが好ましい。これによってオゾン水が金属線の巻き付け間隔の隙間から比較電極201の内側へと適度に流れ込み、オゾン水と比較電極201との接触面積が増え、センサ出力を上げることができる点で好ましい。
比較電極201を構成する金属線としては、検出電極202とともにオゾン水に浸した際に、起電力を生じる材料からなる。具体的には、塩化銀または酸化銀等が挙げられる。中でも、塩化銀が好ましい。
このような金属線の線径としては、φ0.8mm以上が好ましい。
検出電極202は、金属線を複数回巻きつけたコイル状に形成されている。検出電極202を形成する金属線の巻き数は、比較電極201を形成する金属線の巻き数よりも多く、3巻き未満とすることが好ましい。
検出電極202を構成する金属線は、比較電極201とともにオゾン水に浸した際に、起電力を生じる材料からなる。具体的には、白金、白金を被覆した金属線または金線等が挙げられる。中でも、金線が好ましい。
このような金属線の線径としては、φ0.5mm以上が好ましい。
なお、上記比較電極201及び検出電極202はコイル状に形成したが、これに限らず、棒状に形成しても良い。
比較電極201の一端部には、リード線203が接続され、検出電極202の一端部には、リード線204が接続され、これらリード線203,204には、電源装置208及び電流計209に接続されている。
より詳細には、オゾン濃度を測定する場合は、リード線203は負極で、リード線204は正極に接続される。
原料水の電流値を測定する場合は、リード線203は正極で、リード線204は負極に接続される。
電流計209としては、マイクロ・アンペア電流計を使用することができる。
電源装置208及び電流計209は、制御部207に電気的に接続されている。
制御部207は、比較電極201及び検出電極202を、オゾン水を生成するための原料水に浸し、電源装置208を駆動して比較電極201に電圧を印加することによって、検出電極202から得られる電流値に基づいて、原料水の種類を判別する。次いで、比較電極201及び検出電極202をオゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、予め判別しておいた原料水の種類に基づいて補正し、補正した電流値からオゾン水の原料水に応じた濃度を算出する。
詳細には、比較電極201及び検出電極202を、原料水に浸した際に、オゾン水の原料水の種類に対応付けて格納されている温度及び電流値のデータに基づいて、電流計209から入力された電流値が、どの原料水であるか否かを判別する(原料水判別工程)。次いで、比較電極201及び検出電極202を、オゾン水に浸した際に、上記判別工程で判別した原料水の種類に基づいて、電流計209から入力された出力電流値を補正して、補正した当該電流値からオゾン水の濃度を算出する。すなわち、原料水の種類に応じて、出力電流値からオゾン水の濃度を換算するための係数データが予め格納されており、原料水の種類に応じた係数を、出力電流値に乗じてオゾン水の濃度を算出する(濃度算出工程)。
次に、上記ガルバニ式濃度測定装置200を備えたオゾン水生成装置100について説明する。
ここで使用するオゾン水生成装置100は、直接電解式のオゾン水生成装置の場合である。
図3は、オゾン水生成装置の概略を模式的に示した縦断面図である。
オゾン水生成装置100は、原料水が供給されるケーシング1内に触媒電極2を配置して構成したものである。そして、触媒電極2に直流電圧を印加することによって陽極電極22側にオゾン気泡を発生させて、そのオゾン気泡を水に溶解させることによりオゾン水を生成する装置である。
ケーシング1は、上下に長尺でその上下両端が閉塞された直方体状をなしている。ケーシング1の下面に、ケーシング1内に原料水を供給するための供給流路11a,11bが設けられ、ケーシング1の上面にケーシング1内で生成された陽極電極22側のオゾン水及び陰極電極23側の陰極水を排出するための排出流路12a,12bが設けられている。
2つの供給流路11a,11bの間のケーシング1の内壁面には、後述する陽イオン交換膜21の下端部が挿入される挿入孔14が形成され、2つの排出流路12a,12bの間のケーシング1の内壁面にも、陽イオン交換膜21の上端部が挿入される挿入孔13が形成されている。
ケーシング1内には、供給流路11a,11bから原料水が供給され、供給流路11a,11bから排出流路12a,12bへと水流が発生している。
陽極電極22及び陰極電極23の供給流路11a,11bの上流側は、原料水供給部60に接続されている。原料水供給部60としては、水道栓や、水道水や純水等の原料水が貯留されたタンク及びタンクに接続された低吐出圧の小型ポンプ等からなるものが挙げられる。
また、特に本発明では、図3に示すように、陽極電極22側の供給流路11aと排出流路12aとを配管40で接続してループ状にして、生成したオゾン水を循環させることが好ましい。このようにループ状にすることで、オゾン水による配管洗浄を行うことができる。図示しないが、陰極電極23側も供給流路11bと排出流路12bとを配管で接続してループ状にして循環させ、原料水を再利用しても良い。
陽極電極22の排出流路12aの下流側の配管40内には、陽極電極22側で生成されたオゾン水の濃度を測定する上述のガルバニ式濃度測定装置200が設けられている。
なお、上述のように陽極電極22側の供給流路11aと排出流路12aとを配管40で接続してループ状にした場合は、排出流路12aの下流側直ぐの位置に限らず、原料水供給部60の上流側直ぐの位置に設けても良く、ループ状の配管40のいずれに設けても良く、また、複数個所に設けても良い。
また、ガルバニ式濃度測定装置200の配管40への取り付けは、図2には図示しないが、上述した図1と同様にして取り付けられている。また、ここでは、ガルバニ式濃度測定装置200を構成する制御部207は、オゾン水生成装置100の制御部70で兼用されている。なお、制御部207と制御部70とを個別にしても良い。
制御部70は、オゾン水を配管40内に流す前で、原料水を流した際に、ガルバニ式濃度測定装置200の比較電極201及び検出電極202を原料水に浸し、電圧を印加することで得られた原料水の電流値に基づいて、当該原料水の種類を判別する(原料水判別工程)。そして、判別した原料水の種類に基づいて、配管40内に流したオゾン水に比較電極201及び検出電極202を浸すことで、発生する起電力から得られた電流値を補正し、補正した電流値からオゾン水の原料水に応じたオゾン水の濃度を算出する(濃度算出工程)。そして、算出した濃度が、予め設定されたオゾン濃度と一致するように、オゾン水生成装置100の電源装置80の電力量を制御する。
なお、制御部70は、最初に原料水を流して、その後、原料水の種類に応じて、生成したオゾン水の濃度を算出するが、上述のように陽極電極22側の供給流路11aと排出流路12aとを配管40で接続してループ状にした場合には、ガルバニ式濃度測定装置200は、導電率や水温に影響されるため、途中で導電率を計測して濃度補正を行うことが好ましい。このように途中で濃度補正を行うことによって、ガルバニ式濃度測定装置200の精度を高めることができる。
具体的な制御部70の手順について以下に説明する。
1.何も動作させずに、検出電極(金線)に流れる電流値を測定し、この際の電流値をXとする。
2.比較電極(塩化銀)側に電圧を印加して(例えば、1V)、検出電極(金線)に流れる電流値を測定する。この際の電流値をXとする。
3.y=X−Xを算出して、yの値から導電率に換算する。
4.比較電極(塩化銀)側への電圧の印加を停止する。
5.何も動作させずに比較電極(塩化銀)側に流れる電流値を測定し、この際の電流値をXとする。
6.Xに、yの数値から算出した導電率を乗じて濃度を算出する。
以上のようにして、ループ状にした場合は、随時、導電率を測定して、測定した導電率の値からオゾン水の濃度を算出し、精度を高めることが好ましい。
なお、ループ状にせずに、生成したオゾン水をそのまま排出させるワンパスの構造とした場合には、上述のような、途中で導電率を計算して濃度補正を行う必要はない。
触媒電極2は、ケーシング1内の略中央部に配置されて、陽イオン交換膜21と、陽イオン交換膜21の両面のうち一方の面に圧接された陽極電極22と、他方の面に圧接された陰極電極23とを備えている。
陽イオン交換膜21は、上端部が挿入孔13に嵌め込まれ、下端部が挿入孔14に嵌め込まれて固定されている。さらに、ケーシング1の内壁面のうち陽極電極22側を向く面には凹部が形成されて、この凹部内に陽極電極22を保持する保持板15が取り付けられて、陽極電極22が保持板15に保持されている。同様に、ケーシング1の内壁面のうち陰極電極23側を向く面にも凹部が形成されて、この凹部内に陰極電極23を保持する保持板16が取り付けられ、陰極電極23が保持板16に保持されている。
このように、ケーシング1内に陽イオン交換膜21と、陽極電極22及び陰極電極23とを配置することにより、ケーシング1内が、陽イオン交換膜21によって陽極電極22側と陰極電極23側とに分割されている。
また、原料水、生成したオゾン水及び陰極水などが外部に漏れないように密閉されている。
また、保持板15,16によって陽極電極22及び陰極電極23が陽イオン交換膜21側に適度に圧接されている。そして、供給流路11a,11bから供給された原料水がそれぞれ陽極電極22と陰極電極23に連続的に接触するようになっている。
陽極電極22と陰極電極23との間には、電源装置80の出力端24が電気的に連結され、直流電圧が印加されるように構成されている。すなわち、陽極電極22及び陰極電極23は、各電極22,23に導線を介して電源装置80に連結されている。印加する直流電圧は、例えば6〜15ボルト(V)が好ましい。
陽イオン交換膜21としては、従来公知のものを使用することができ、発生するオゾンに耐久性の強いフッ素系陽イオン交換膜を使用することができ、例えば厚さ100〜300μmが好ましい。
陽極電極22は、陽イオン交換膜21を全面的に覆い隠すように密着されるものではなく、多数の通孔を設けて、陽イオン交換膜21に接触部と非接触部とを有して重ねられている。すなわち、陽極電極22はグレーチング状又はパンチングメタル状とすることが好ましい。なお、図1では陽極電極22がグレーチング状の場合を示している。具体的に、グレーチング状とは線材を溶接した格子状で、パンチングメタル状とは金属板に多数の通孔を形成した多孔板状である。
陽極電極22としては、オゾン発生触媒機能を有する材料を使用する。具体的には、安定性が良い点で、白金、金又はその被覆金属を使用することが好ましく、特にチタンに白金を被覆した金属を使用すると製造コストを安価に抑えることができる。また、シリコンウェハに導電性ダイヤモンドを成膜したものを使用しても良い。
導電性ダイヤモンドは、例えば、ホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極とすることが好ましい。なお、ホウ素以外に、窒素、リン等の13属または15属の元素をドープした導電性ダイヤモンドを用いても良い。
このような導電性ダイヤモンド電極を使用することで、導電率が大きくなり、電流効率が向上することからオゾン発生に有利となる。また、特に、ホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極の場合、化学的耐性、耐久性、電気伝導度及び耐腐食性等にも優れる。
導電性ダイヤモンドの成膜は、例えば、プラズマCVD法や熱フェラメントCVD法によって成膜することができる。
陽極電極22をグレーチング状とした場合、陽極電極22を構成する部材の交点部位が尖って外面に突出し、水流と接触して渦流を生じ、陽極電極22で発生したオゾンの微泡を巻き込んで溶解を早めることができる。
陰極電極23としては、オゾン発生触媒機能を有する金属を使用する。具体的には、安定性が良い点で、白金、金又はその被覆金属を使用することが好ましく、特にチタンに白金を被覆した金属を使用すると製造コストを安価に抑えることができる。また、シリコンウェハに導電性ダイヤモンドを成膜したものを使用しても良い。
導電性ダイヤモンドの成膜は、上述と同様にプラズマCVD法や熱フェラメントCVD法によって成膜することができる。
また、陰極電極23も陽極電極22と同様にグレーチング状とすることが好ましく、特に、陰極電極部23は陽極電極22よりも目の粗さが粗くなるように形成されていることが好ましい。
以上の陽イオン交換膜21、陽極電極22及び陰極電極23は平板状に形成されて触媒電極2とされている。触媒電極2はケーシング1内の保持板15,16で圧接保持されている。
次に、上述の構成からなるオゾン水生成装置100を使用してオゾン水を生成する方法
及びオゾン水濃度測定方法について説明する。
図3に示すように、まず、原料水供給部60から、陽極電極22及び陰極電極23側の供給流路11a,11bを介してケーシング1内にそれぞれ原料水(水道水、精製水または純水等)を供給し、配管40内に原料水のみを流す。
そして、配管40内に原料水のみを流している状態で、ガルバニ式濃度測定装置200の比較電極201及び検出電極202を原料水に接触させる。その後、ガルバニ式濃度測定装置200の電源装置208を駆動させて比較電極201に電圧を印加して、検出電極202から得られる電流値に基づいて、原料水の種類を判別する。原料水の種類判別が終了した後、比較電極201への電圧の印加を停止する。
その後、オゾン水生成装置100の電源装置80を駆動させて陽極電極22及び陰極電極23間に所定の電圧を印加する。この通電により原料水が電気分解されて、原料水中の水素が陽極電極22側から陽イオン交換膜21中を通過して陰極電極23側へと加速して移動する。その結果、陽極電極22側にはオゾン気泡が発生し、陰極電極23側には水素気泡が発生する。
ここで、陽極電極22側では原料水はわずかな陽極電極22の凹凸によって流れの方向が複雑に変わり渦流となる。そのため、陽極電極22側では、発生したオゾン気泡をいち早く水中に取り込んで溶解させることによってオゾン水を生成し、陽極電極22と陽イオン交換膜21との間(正確には陽極電極22と陰極電極23との間)に電流が多く流れる状態を確保することになる。
このようにして生成されたオゾン水は排出流路12aへと排出されて、配管40内を循環する。
そして、配管40内にオゾン水を流している状態で、ガルバニ式濃度測定装置200の比較電極201及び検出電極202をオゾン水に接触させる。このとき比較電極201への電圧印加は停止されているので、比較電極201及び検出電極202がオゾン水に接触することによって、起電力が発生する。制御部70は、発生した起電力から得られた電流値を判別した原料水の種類に基づいて補正して、補正後の当該電流値に対応するオゾン水の濃度を算出する。さらに、算出したオゾン濃度が、予め設定されたオゾン濃度と一致するように、オゾン水生成装置100の電源装置80の電力量を制御する。
一方、陰極電極23側においては、水素気泡が発生し、排出流路12bから陰極水として排出される。
なお、上記実施形態では、陽極電極22側の供給流路11aと排出流路12aとを配管40で接続して、生成したオゾン水をループ状にして循環させるように構成したが、これに限らず、排出流路12aをオゾン水を貯留するタンクに配管等によって接続する構成としても良い。この場合も、排出流路12aの下流側の配管またはオゾン水を貯留するタンクにガルバニ式濃度測定装置200を取り付ければ良い。
以上のように、第1の実施形態のガルバニ式濃度測定装置200によれば、比較電極201と、検出電極202と、制御部207と、を備え、制御部207が、比較電極201に電圧を印加することによって、検出電極202から得られる電流値に基づいて、原料水の種類を判別した後に、比較電極201及び検出電極202をオゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、判別した原料水の種類に基づいて補正し、オゾン水の原料水に応じた濃度を算出するので、様々な原料水の種類に容易に対応して、当該原料水に応じたオゾン水濃度を高精度にかつ簡易に測定することができる。
したがって、従来のように、原料水の種類に応じてそれぞれ専用の制御基板(制御部)を用意する必要もなく、比較電極201、検出電極202及び制御部207を備えた単純な構成のガルバニ式の濃度測定装置であることから、コスト削減及び小型化を図ることができる。また、原料水毎に制御基板(制御部)を交換する必要もなくなり、その手間を大幅に削減して簡易に測定することができる。
また、上記ガルバニ式濃度測定装置200を備えたオゾン水生成装置100によれば、ガルバニ式濃度測定装置200によってオゾン水の濃度を測定することで、測定濃度と、予め設定された濃度とが一致するように、陽極電極22及び陰極電極23間の印加電圧を制御することによって、設定温度を維持して、高濃度のオゾン水を安定して生成することができる。
[第2の実施形態]
図4は、オゾン水生成装置の概略を示したブロック図である。
第2の実施形態は、第1の実施形態のガルバニ式濃度測定装置200を備えたガス溶解式のオゾン水生成装置100Bの場合である。
ガス溶解式のオゾン水生成装置100Bは、周知のガス溶解式の装置を使用することができ、図4に示すように、酸素供給部91B、バルブ調整機器92B、オゾンガス発生器93B、電源装置80B、原料水供給部60B、混合器94B、気液分離器95B、ガルバニ式濃度測定装置200及び制御部70B等を備えている。
酸素供給部91Bは、例えば、酸素ボンベや酸素生成装置等であり、バルブ調整機器92Bに接続されている。
バルブ調整機器92Bは、オゾンガス発生器93Bに接続されており、開閉動作によって酸素供給部60Bからオゾンガス発生器93Bへ酸素を供給したり、供給量を調整するようになっている。バルブ調整機器92Bとしては、例えば、電磁弁や電動式ボールバルブ等が挙げられる。
バルブ調整機器92Bは、制御部70Bに電気的に接続され、制御部70Bによって、開閉動作やオゾンガス発生器93Bへの酸素供給量が制御されている。具体的には、図示しない流量計及び圧力計がバルブ調整機器92Bに設けられており、これら流量計及び圧力計に基づいて、制御部70Bはバルブ調整機器92Bの開閉動作及び酸素供給量を制御している。
オゾンガス発生器93Bは、酸素供給部91Bから供給された酸素を放電によって、オゾンガスを発生させるものである。具体的には、酸素ガスを放電管(図示しない)内に通過させるとともに、放電管に高周波高電圧を印加することによって、オゾンガスを発生させる。オゾンガス発生器93Bは、放電管に高周波高電圧を印加するための、電源装置80Bが接続されている。電源装置80Bは、制御部70Bに電気的に接続され、制御部70Bによって周波数及び印加電圧(パルス制御(PWM))の制御が行われている。
また、オゾンガス発生器93Bは、混合器94Bに接続されており、混合器94Bにオゾンガスを送り込むようになっている。
原料水供給部60Bは、水道水や純水等の原料水が貯留されたタンクと、タンクから原料水を送り出すポンプ等からなるものが挙げられる。その他、水道栓であっても良いし、
また、原料水供給部60Bは、混合器94Bに接続されており、混合器94Bに原料水を送り込むようになっている。
混合器94Bは、オゾンガス発生器93Bで発生したオゾンガスと、原料水供給部60Bから送り込まれた原料水とを混合し、混合水とする。
混合器94Bとしては、例えば、エジェクタにより高速の水流中にオゾンガスを吹き込んで溶解させる方式のものや、細孔のあいたバブラーを用いるバブリング方式のものを使用することができる。
また、混合器94Bは、気液分離器95Bに接続されており、気液分離器95Bに混合器94Bで混合した混合水を送り込むようになっている。
気液分離器95Bは、混合器94Bで混合した混合水を、原料水に溶解しない酸素と残留オゾンの混合ガス(廃ガス)と、原料水にオゾンガスが溶解したオゾン水とに分離する。
気液分離器95Bのうち、廃ガスが排出される側の配管には、廃ガス分解器(図示しない)が接続され、オゾン水が排水される側の配管40Bには、上述のガルバニ式濃度測定装置200が取り付けられている。
廃ガス分解器は、オゾン分解可能な触媒を有し、気液分離器95Bから排出された廃ガスを無害化して大気中に排出するようになっている。
ガルバニ式濃度測定装置200は、上記第1の実施形態のガルバニ式濃度測定装置200であって、気液分離器95Bの下流側の配管40Bに取り付けられている。そして、気液分離器95Bから排水されたオゾン水の濃度を、予め判別した原料水の種類に応じてオゾン水の濃度を算出する。
すなわち、オゾンガス発生器93Bから混合器94Bにオゾンガスを供給して原料水と混合する前に、予め、原料水供給部60Bから原料水のみを混合器94B及び気液分離器95Bに流し、気液分離器95Bから排水された原料水に対して、ガルバニ式濃度測定装置200の比較電極201及び検出電極202を接触させる。そして、比較電極201に電圧を印加することで得られた原料水の電流値に基づいて、当該原料水の種類を判別する。次いで、混合器94Bにオゾンガスを供給して原料水と混合させてオゾン水とし、気液分離器95Bから排水されたオゾン水に、比較電極201及び検出電極202を接触させることで、発生する起電力から得られた電流値を、前記判別した原料水の種類に基づいて補正し、補正した電流値から原料水の種類に応じたオゾン水の濃度を算出する。
なお、気液分離器95Bからオゾン水が排水される配管40Bは、例えば、原料水供給部60Bにループ状に接続して、オゾン水を循環させるように構成しても良い。この場合、オゾン水によって配管洗浄を行うことができる。また、ループ状にする場合には、ガルバニ式濃度測定装置200は、気液分離器95Bの下流側直ぐの位置に限らず、原料水供給部60Bの上流側直ぐの位置に設けても良く、ループ状の配管のいずれに設けても良く、また、複数個所に設けても良い。
ここで、ガルバニ式濃度測定装置200の配管40Bへの取り付けは、上述した図1と同様にして取り付けられている。また、ここでは、ガルバニ式濃度測定装置200を構成する制御部207は、オゾン水生成装置100Bの制御部70Bで兼用されている。
制御部70Bは、気液分離器95Bの下流側の配管40B内に原料水のみを流した際に、ガルバニ式濃度測定装置200の比較電極201及び検出電極202を原料水に浸し、電圧を印加することで得られた原料水の電流値に基づいて、当該原料水の種類を判別する。そして、判別した原料水の種類に基づいて、配管40B内に流したオゾン水に比較電極201及び検出電極202を浸すことで発生する起電力から得られた電流値を補正して、補正した当該電流値からオゾン水の原料水に応じたオゾン水の濃度を算出する。そして、算出した濃度が、予め設定されたオゾン濃度と一致するように、バルブ調整機器92Bへの酸素供給量を制御したり、電源装置80Bの周波数及び印加電圧を制御する。
以上のように、ガルバニ式濃度測定装置200を備えたガス溶解式のオゾン水生成装置100Bによれば、ガルバニ式濃度測定装置200によって原料水の種類に応じたオゾン水の濃度を高精度に測定し、その測定濃度と、予め設定された濃度とが一致するように、オゾンガス発生器93Bへの酸素供給量を制御したり、オゾンガス発生部93Bにおける周波数及び印加電圧の制御を行うことによって、設定温度を維持して、高濃度のオゾン水を安定して生成することができる。
次に、本発明のガルバニ式濃度測定装置を使用して、オゾン水の原料水の種類を判別できるか否かについて検証した。
下記の試験条件の下、純水と水道水について、0.5Vと、1.0Vの直流電圧を印加した際の電流値をそれぞれ測定した。測定結果を下記表1に示す。
また、電流値の測定と同時に導電率計を使用して、純水と水道水の導電率を測定した。
<試験条件>
使用水:水温25.7℃の純水、水温26.3℃の水道水
ガルバニ式濃度測定装置の比較電極:塩化銀線(線径:φ0.6mm)を3巻きしたもの
ガルバニ式濃度測定装置の検出電極:金線(線径:φ0.8mm)を棒状にしたもの
使用導電率計:ラコムテスターECTestr11+
Figure 0005184715
表1の結果に示されるように、0.5V印加した際の純水の電流値が0.7μA、水道水の電流値が6.8μAであり、また、1.0V印加した際の純水の電流値が2.4μA、水道水の電流値が18.5μAであり、純水と水道水とで電流値に違いが生じた。したがって、本発明のガルバニ式濃度測定装置によって純水と水道水の判別を行うことができることが認められる。
なお、使用した水(純水、水道水)の導電率を測定したところ、表1に示す結果となった。この導電率の測定値より、使用した水が、それぞれ純水と水道水であることを確認することができた。
200 ガルバニ式濃度測定装置
201 比較電極
202 検出電極
207 制御部

Claims (4)

  1. オゾン水に浸すことによって起電力を生じる比較電極及び検出電極と、
    前記比較電極及び前記検出電極を、オゾン水を生成するための原料水に浸し、前記比較電極に電圧を印加することによって、前記検出電極から得られる電流値に基づいて、前記原料水の種類を判別した後に、前記比較電極及び前記検出電極を前記オゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、判別した原料水の種類に基づいて補正し、補正した電流値から前記オゾン水の原料水に応じた濃度を算出する制御部と、を備えることを特徴とするガルバニ式濃度測定装置。
  2. 前記比較電極が、塩化銀、酸化銀または導電性ダイヤモンドからなり、
    前記検出電極が、白金、白金を被覆した金属線、金または導電性ダイヤモンドからなることを特徴とする請求項1に記載のガルバニ式濃度測定装置。
  3. 比較電極及び検出電極を、オゾン水を生成するための原料水に浸し、前記比較電極に電圧を印加することによって、前記検出電極から得られる電流値に基づいて、前記原料水の種類を判別する原料水判別工程と、
    前記比較電極及び前記検出電極を前記オゾン水に浸すことによって発生する起電力から得られる電流値を、前記判別工程で判別した原料水の種類に基づいて補正し、補正した電流値から前記オゾン水の原料水に応じた濃度を算出する濃度算出工程と、を備えることを特徴とするガルバニ式濃度測定方法。
  4. 前記比較電極を、塩化銀、酸化銀または導電性ダイヤモンドから形成し、
    前記検出電極を、白金、白金を被覆した金属線、金または導電性ダイヤモンドから形成することを特徴とする請求項3に記載のガルバニ式濃度測定方法。
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