JP4319755B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマCVDによる薄膜形成、プラズマを利用する表面処理、プラズマを利用する元素ドーピングなどのプラズマ処理を行うための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスシリコン等の薄膜を比較的高い圧力で形成する薄膜形成方法としては、プラズマCVD法が知られている。プラズマCVD方法では、反応容器内に一対の電極を設置し、一方の電極に高周波または直流電力を印加し、他方の電極を接地し、これらの電極間でプラズマを発生させて、発生したプラズマ中に反応ガスを供給し、反応ガスを分解することにより基板上に所望の薄膜を形成する。
【0003】
プラズマCVD法における前記一対の電極としては、通常、平行平板型電極が利用される。プラズマCVD法において均質な薄膜を形成するためには、プラズマ空間に均一にかつ効率よく反応ガスを供給することが必要となる。しかし、平行平板型電極を用いる場合には、広い領域にわたって反応ガスを均一に効率よく供給することは困難であり、そのため、基板上に大面積の薄膜を均一に形成することが難しい。特に、反応ガス濃度を高くして高速成膜を行う場合には、高い圧力下でプラズマCVDを行うことになるため、プラズマ空間に対する反応ガスの供給が不均一となりやすく、その結果、均質な薄膜を形成することが困難となる。
【0004】
そのため、特開平9−104985号公報およびこれに対応する米国特許第5,711,814号明細書では、大面積の薄膜を高速で形成することができる方法として、回転電極を用いる薄膜形成方法を提案している。同公報に記載された装置は、回転電極を回転させることにより、基板表面の近傍を電極表面が移動しながら通過する構成を有する。この装置では、回転電極の回転により反応ガスが基板表面と回転電極との間に供給される。回転電極には高周波電力が印加され、基板表面と回転電極との間にプラズマが発生する。このプラズマ中には、回転電極の回転に伴って反応ガスが供給されるので、基板上に薄膜を形成することができる。長尺の基板を回転電極に対し高速で移動させながら成膜を行えば、長尺の基板上に薄膜を連続的かつ高速に形成できる。
【0005】
回転電極を用いる利点は、以下のとおりである。(1)プラズマ空間に対し反応ガスを速い速度でかつ均一に供給することができるので、成膜速度および膜の均質性を大幅に向上することができる。(2)回転電極の周面と基板との間のギャップを狭くしても、狭いギャップに反応ガスを選択的に供給できるので、反応ガスの利用効率を大幅に向上させることができる。(3)回転電極周面の温度が上昇しにくいので、従来よりも大きな電力を投入することができ、成膜速度を大幅に向上することができる。これらの利点の詳細については、上記特開平9−104985号公報に記載されている。
【0006】
特開平11−172444号公報では、このような回転電極を用いて、複数種のプラズマ処理プロセスを実施するための方法が提案されている。この方法では、回転電極表面の円周方向に分割して設定される複数の領域において、各領域に応じて定められた異なるプロセスが実施される。すなわち、回転電極周面のそれぞれの領域において、それぞれ特定のプロセスが実施され、他のプロセスは実施されない。薄膜形成時には、回転電極周面にも堆積が生じ、それが剥離することがあるので、1つの回転電極で複数種の薄膜を形成した場合、基板上の薄膜にコンタミネーションが生じ、膜質が低下することがある。これに対し同公報記載の方法では、回転電極周面に設けたそれぞれの領域において1種だけのプロセスが実施されるので、このようなコンタミネーションを防ぐことができる。
【0007】
さらに、同公報の図8には、回転電極の周面と基板との間に、プラズマ発生領域(放電領域)とその他の領域(非放電領域)とを空間的に分離するための一対の仕切り壁を設けた装置が記載されている。この一対の仕切り壁によって区画された空間に反応ガスを供給することにより、プラズマ発生領域に集中的に反応ガスを供給することができ、反応ガスの利用効率を向上することができる。また、薄膜の堆積に関与しない分離した微粒子の析出を、低減することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平11−172444号公報の図8に記載された装置では、回転電極1の表面1aと一対の仕切り壁20、21との間にギャップが存在する。このギャップを設けないと、仕切り壁20、21が回転電極1と接触して回転が妨げられるため、このギャップを設けることは必須である。
【0009】
しかし、このギャップが存在するため、プラズマ発生領域への反応ガスの閉じ込めは不十分となる。反応ガスは、流体力学的にいって粘性を有する物質であるため、回転電極近傍の反応ガスは回転電極周面に引きずられて移動する。すなわち、静止系に対する反応ガスの流速は、回転電極近傍が最も大きくなる。したがって、回転電極周面と上記仕切り壁との間にギャップが存在すると、反応ガスの閉じ込めが不十分になるのである。
【0010】
本発明の目的は、回転電極を用いるプラズマ処理装置において、プラズマ生成領域付近に反応ガスを効率的に閉じ込めることを可能とすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記(1)〜(8)の本発明により達成される。
(1) ロール状であってその軸方向を回転軸として回転する回転電極を反応容器内に有し、回転電極に高周波または直流電力を印加することにより回転電極近傍にプラズマを発生させ、このプラズマを利用して、回転電極周面に対向して配置した基板上への薄膜の堆積、前記基板の処理および回転電極周面のクリーニングから選択される少なくとも1種のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
回転電極の周面と、反応容器の壁面と、これらの間に設けられた2つの遮断部材とにより、基板近傍の空間が区画されて処理空間を形成しており、
前記遮断部材が、回転電極周面と接するローラを含むプラズマ処理装置。
(2) 前記遮断部材の少なくとも一方が複数のローラを含み、これら複数のローラのうち回転電極周面と接していないローラが、このローラに接する他のローラによって駆動されて回転する上記(1)のプラズマ処理装置。
(3) 一方の遮断部材が偶数個のローラを含み、他方の遮断部材が奇数個のローラを含み、前記一方の遮断部材において、回転電極から最も遠いローラの周面に隣接してギャップが存在し、前記最も遠いローラが回転電極と同方向に回転することによって、前記ギャップを通した前記処理空間からのガス流出が抑制され、
前記他方の遮断部材において、回転電極から最も遠いローラの周面に隣接してギャップが存在し、前記最も遠いローラが回転電極と逆方向に回転することによって、前記ギャップを通した前記処理空間からのガス流出が抑制される上記(2)のプラズマ処理装置。
(4) 回転電極の周方向に複数の処理空間が配列している上記(3)のプラズマ処理装置。
(5) 前記複数の処理空間のそれぞれに存在する基板のうち少なくとも2つについて、互いに異なるプラズマ処理が行われる上記(4)のプラズマ処理装置。
(6) プラズマ処理が行われない緩衝空間を挟んで2つの処理空間を有し、これら2つの処理空間において互いに異なるプラズマ処理が行われる上記(5)のプラズマ処理装置。
(7) 前記緩衝空間からガスを排出する手段を有する上記(6)のプラズマ処理装置。
(8) 前記2つの処理空間における互いに異なるプラズマ処理のいずれに対してもコンタミネーションガスとはならないガスを、前記緩衝空間内に流入させる手段を有する上記(6)のプラズマ処理装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のプラズマ処理装置の構成例を、図1に示す。図1に示す装置は、反応容器10内に回転電極1を有し、この回転電極1に高周波または直流電力を印加することにより、回転電極1の周面に対向して配置した基板2との間にプラズマ4を発生させる。基板2は、基板ホルダ3上に配置されており、通常、基板ホルダ3は接地されている。本発明で用いる回転電極1は、前記した特開平9−104985号公報および特開平11−172444号公報にそれぞれ記載されている回転電極と同様な構造をもつ。この回転電極は、ロール状であってその軸方向を回転軸として回転する。この装置では、回転電極1の周面と基板2との間に生成したプラズマを利用して、プラズマ処理が行われる。本明細書におけるプラズマ処理とは、基板上への薄膜の堆積、基板の処理および回転電極周面のクリーニングから選択される少なくとも1種である。基板上への薄膜の堆積には、プラズマCVD法を用いてもスパッタ法を用いてもよいが、本発明はプラズマCVD法を用いる場合に、より有効である。また、基板の処理とは、薄膜形成前における基板表面の活性化処理が挙げられ、このほか、薄膜表面の活性化処理や薄膜へのドーピング(これらの場合は、薄膜自体を基板として扱う)なども含まれる。図示する装置では、回転電極1を挟んで基板2が2つ設けられており、2つの基板に対して同時にプラズマ処理を行うことが可能である。
【0013】
本明細書では、回転電極1の回転に伴って、その周面が基板2に近づいてくる側を、基板2を基準位置として前側と呼び、回転電極1の周面が基板2から遠ざかる側を、基板2を基準位置として後側と呼ぶ。すなわち、図1において下側に配置した基板2に対しては、図中左側が前側であり、図中右側が後側である。一方、図1において上側に配置した基板2に対しては、図中左側が後側であり、図中右側が前側である。
【0014】
本発明の装置では、回転電極1の周面と、反応容器10の壁面と、これらの間に設けられた2つの遮断部材5、6とにより、基板2近傍の空間が区画されて、処理空間が形成される。図1では、図中下側に処理空間20Aが、図中上側に処理空間20Bが存在する。処理空間20A、20Bは、いずれも、回転電極1の周面と、反応容器10の壁面と、基板2を基準として前側に存在する遮断部材5と、基板2を基準として後側に存在する遮断部材6とによって区画されている。処理空間20Aと20Bとは接しておらず、両者の間には、回転電極1を挟んで2つの緩衝空間21A、21Bが設けられている。これらの緩衝空間は処理空間と同様に、回転電極1の周面と、反応容器10の壁面と、これらの間にそれぞれに設けられた遮断部材5、6とにより区画された空間である。処理空間20Aには、反応ガス供給管13Aおよびガス排出管12Aが開口し、処理空間20Bには、反応ガス供給管13Bおよびガス排出管12Bが開口している。
【0015】
この装置において、反応ガス供給管13A、13Bから回転電極1と基板2との間に供給された反応ガスは、プラズマ4により活性種を生じ、この活性種が基板2表面に付着して膜が形成される。ガス排出管12A、12Bは、反応容器1内からガスを排出するために設けられ、反応容器内の圧力を一定に保つと共に、プラズマ中に生じたパーティクルを反応容器外に排出する機能ももつ。図1では基板2を板状体として示してあるが、実際には可撓性フィルムを巻回した長尺の基板を用いることが一般的である。長尺の基板を一定の速度で走行させながらプラズマCVDを行うことにより、膜を連続的に形成できる。
【0016】
なお、反応ガス供給管13A、13Bから噴き出す反応ガス流の方向は、回転電極1周面の移動方向と一致し、かつ、基板の走行方向とも一致することが好ましい。その場合、処理空間20Aでは基板2を右側に走行させ、処理空間20Bでは基板2を左側に走行させることになる。プラズマ中では、活性種同士の反応により生成したパーティクル同士が衝突して成長し、これが基板上に堆積中の膜に付着して欠陥を生じさせやすい。これに対し、反応ガス流の方向、回転電極の移動方向および基板の走行方向を上記関係とすれば、基板が遠ざかる方向に反応ガスによってパーティクルが飛ばされるので、成長したパーティクルが付着したとしても、そこは既に成膜が完了している領域であり、欠陥となることは少ない。
【0017】
本発明では、処理空間を形成するための遮断部材として、回転電極の周面と接するローラを含むものを用いる。図1において、一方の遮断部材5は、回転電極1周面と接するローラ51Aと、このローラ51Aに接するローラ51Bと、ギャップを介してローラ51Bに対向する仕切り壁52とからなる。他方の遮断部材6は、回転電極1周面と接するローラ61と、ギャップを介してローラ61に対向する仕切り壁62とからなる。
【0018】
本発明では、このように遮断部材が回転電極と接するローラを含むので、処理空間内に反応ガスを効率的に閉じ込めることができる。このことを図2を用いて説明する。前述したように、回転電極近傍の反応ガスは回転電極周面に引きずられて移動するため、回転電極近傍において反応ガスの流れを阻止することが最も重要である。図2に示すように、本発明ではローラ51Aおよびローラ61が回転電極1の周面に接しているため、反応ガスはこれらのローラに遮られ、処理空間20A、20B内に閉じ込められる。
【0019】
遮断部材を構成するローラは、回転電極の周面の移動によって駆動されて回転する。そのため、回転電極に接してローラを設けても、回転電極の回転は実質的に阻害されない。ただし、回転電極の回転を阻害しないためには、ローラの回転を阻害しない必要がある。そのため、ローラと仕切り壁との間には、長さdのギャップを設けてある。このギャップは、回転電極周面から離れた位置、すなわち反応ガスの流速が遅い位置に存在するため、前記特開平11−172444号公報の図8において回転電極周面と仕切り壁との間に存在するギャップと異なり、ガスを多量に通過させることはない。
【0020】
本発明では、図1および図2に示すように、基板2を基準として前側に存在する遮断部材5が偶数個のローラを含み、基板2を基準として後側に存在する遮断部材6が奇数個のローラを含むことが好ましい。図1および図2では、前記前側の遮断部材5は2個のローラ51A、51Bを有し、前記後側の遮断部材6は1個のローラ61を有する。前記前側において、ローラ51Aは回転電極1の回転によって駆動されて回転し、ローラ51Aに接するローラ51Bは、ローラ51Aの回転によって駆動されて回転する。したがって、前記前側において回転電極1から遠い側のローラ51Bは、回転電極1と同方向に回転する。なお、ローラの数が2個である場合に限らずローラが偶数個存在する場合のすべてにおいて、回転電極から最も遠いローラは回転電極と同方向に回転することになる。一方、前記後側のローラ61は、回転電極1と逆方向に回転する。なお、ローラの数が1個である場合に限らずローラが奇数個存在する場合のすべてにおいて、回転電極から最も遠いローラは回転電極と逆方向に回転することになる。
【0021】
このように、前記前側の遮断部材5においてギャップに隣接するローラ51Bが回転電極1と同方向に回転し、前記後側の遮断部材6においてギャップに隣接するローラ61が回転電極1と逆方向に回転する構成とすれば、反応ガスを処理空間内に閉じ込める効果がさらに増強される。すなわち図2に示すように、前記前側の遮断部材5におけるギャップ内のガスの流れは、緩衝空間21Bから処理空間20Bに向かうものとなる。一方、前記後側の遮断部材6におけるギャップ内のガスの流れは、緩衝空間21Bから処理空間20Aに向かうものとなる。このようなガスの流れは、緩衝空間21B側だけでなく緩衝空間21A側においても同様となる。したがって、ローラをこのように配置することにより、反応ガス供給管13A、13Bから処理空間20A、20B内に供給された反応ガスの緩衝空間21A、21Bへの流出は、効率よく抑えられる。
【0022】
また、緩衝空間内の圧力は、処理空間内のガス圧力よりもわずかに、好ましくは5×102〜4×104Pa程度、高くしておくことが好ましい。これにより、緩衝空間への反応ガスの流出をさらに抑制できる。
【0023】
回転電極1の周面から遮断部材のギャップまでの距離は、5〜50mmとすることが好ましい。高速のガス流は回転電極周面のごく近くだけに存在するため、回転電極周面付近のガス流を阻止するだけであればギャップまでの距離は5mm未満であっても問題はない。しかし、ギャップまでの距離を小さくするには直径の小さなローラを使う必要があり、ローラの直径が小さすぎると、ローラの機械的強度が不十分となる。したがって、ローラの機械的強度を確保するために、ギャップまでの距離は5mm以上とすることが好ましい。また、ギャップまでの距離を大きくしすぎると、装置全体の大型化を招くので、上記したようにギャップまでの距離は50mm以下とすることが好ましい。
【0024】
遮断部材のギャップの長さdは、好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは0.4〜1mmである。ギャップ長dが短すぎると、ローラの回転軸の偏心などによってローラがぶれたときに、ローラが仕切り壁に接触して回転が阻害されることがある。一方、ギャップ長dが長すぎると、ギャップを通して処理空間の反応ガスが流出してしまい、本発明の効果が損なわれる。
【0025】
図1に示す構造のプラズマ処理装置では、反応ガスが処理空間20A、20B内に閉じ込められるため、反応ガスの利用効率を向上させることができる。ただし、図1に示す装置は、処理空間20Aと20Bとで異なる処理を行う場合に特に有効である。異なる処理とは、用いる反応ガスの種類が相異なる処理を意味する。例えば、処理のカテゴリーが同じであっても用いる反応ガスの種類が異なる場合や、処理のカテゴリー自体が異なる場合のいずれであってもよい。それぞれの処理空間において用いる反応ガスの種類が相異なる場合、一方の処理空間で用いる反応ガスは、他方の処理空間においてはコンタミネーションガスとなる。図1の装置を用いることにより、処理空間内へのコンタミネーションガスの流入を抑制できる、すなわち雰囲気分離が可能となるので、プラズマCVDにおいては膜質の良好な薄膜を形成することができる。また、基板の処理においては、例えば不要な元素のドーピングを防ぐことができる。
【0026】
図1に示す装置において、処理空間内20A、20B内へのコンタミネーションガスの流入をさらに抑制するためには、図2に示すように、緩衝空間21A、21Bにおいて反応容器外からガスの供給を行うことが好ましい。緩衝空間21A、21Bに供給するガスは、処理空間20A、20Bのどちらに対してもコンタミネーションガスとはならないガスとする。このようなガスとしては、一般に希ガス(He、Ne、Ar、KrおよびXeのいずれか)または2種以上の希ガスを含む混合ガスが挙げられるが、例えばアモルファスシリコン膜を形成する処理に対しては、水素ガスおよびこれと希ガスとの混合ガスも使用できる。
【0027】
また、図2に示すように、緩衝空間21A、21Bにおいて反応容器外にガスを排出することによっても、すなわち局所排気を行って減圧することによっても、処理空間20A、20B内へのコンタミネーションガスの流入をさらに抑制することができる。なお、図2には緩衝空間におけるガス供給と局所排気とを共に示してあるが、これらを同時に行うことはない。
【0028】
図1に示す装置では処理空間を2つ設けてあるが、処理空間を3以上設ける場合でも、本発明の作用効果は同様である。
【0029】
なお、前記前側に偶数個、前記後側に奇数個のローラを設けない場合でも、回転電極周面に接するローラが存在すれば、反応ガス閉じ込めに関し、特開平11−172444号公報記載の発明よりも高い効果が得られる。
【0030】
図1では、遮断部材5、6に仕切り壁52、62が含まれるが、仕切り壁を設けることは必須ではない。例えば、遮断部材を多数のローラから構成すれば、回転電極から最も遠いローラの周面を反応容器10壁面に近づけることができる。この場合には、壁面に最も近いローラの周面と壁面との間に、ローラの回転を阻害しないための微小なギャップを設けることになる。また、このほか、比較的大径のローラを用いたり、反応容器10の形状を適宜選択したりすることによっても、仕切り壁を設けずに本発明の作用効果を実現することが可能である。
【0031】
また、本発明は、図3に示すように、処理空間を1つだけ設ける場合にも有効である。図3では、遮断部材5、6により処理空間20Aが区画されており、この空間内に反応ガスが閉じ込められるので、反応ガスの効率的な利用が可能となる。
【0032】
また、図示例では円形断面を有する回転電極を例に挙げたが、例えば、周方向に周期的な凹凸を有する回転電極を有するプラズマ処理装置にも本発明は適用可能である。このような回転電極は、前記特開平9−104985号公報に記載されている。この場合、ローラを揺動可能に支持しおけば、回転電極表面の凹凸に追従してローラが揺動するため、回転電極周面近傍における反応ガスの流れを阻止することが可能である。
【0033】
次に、本発明のプラズマ処理装置のより詳細な構成について説明する。
【0034】
ローラの構成材料は、コンタミネーションガスの放出が少ない材料の中から、回転電極周面に対する密着性が比較的良好で、また、摩耗しにくいものを適宜選択すればよく、特に限定されないが、通常、Al合金を用いることが好ましい。また、耐摩耗性向上のために、ローラ表面をNi等の耐摩耗性に優れた材料で被覆することが好ましい。仕切り壁の構成材料も、コンタミネーションガスの放出が少ない材料の中から適宜選択すればよく、例えばAl合金が好ましい。
【0035】
ローラの寸法は特に限定されないが、上述したようにローラが細すぎると機械的強度が不十分となるため、直径5mm以上であることが好ましい。一方、ローラが太すぎると装置全体が大型化し、特に複数のローラを組み合わせて使う場合に装置が著しく大型化してしまうので、ローラの直径は50mm以下であることが好ましい。ローラの幅は回転電極の幅と同等とすればよい。
【0036】
回転電極は、前記した特開平9−104985号公報および特開平11−172444号公報に記載されている回転電極と同様なものを用いればよく、本発明で利用するに際しての特別な限定はない。例えば、回転電極には、金属製ドラムまたはその周面を絶縁膜や金属膜で被覆したものを用いればよい。
【0037】
回転電極の寸法は特に限定されないが、通常、直径は100〜2000mm程度とされる。また、回転電極の幅は、処理対象の基板の幅に応じて決定されるが、通常、100〜2000mm程度とされる。また、回転電極の周面の移動速度は、好ましくは10m/s以上音速以下、より好ましくは50m/s以上音速以下、さらに好ましくは50〜200m/sである。周面の移動速度が遅すぎると、プラズマ空間に対する反応ガスの供給が不十分となりやすい。一方、周面の移動速度が音速を超えると衝撃波が発生するため、好ましくない。また、周面の移動速度が速い場合は回転数が高くなり、回転数が高すぎると回転電極の軸に撓みが発生し、機械的な安定性および安全性に問題が生じる。
【0038】
回転電極と基板との間の距離は、反応ガスの平均自由行程程度が好ましく、後述するような反応ガスを用いる場合には、好ましくは0.01〜5mm、より好ましくは0.05〜1mm、さらに好ましくは0.1〜0.7mmである。
【0039】
また、本発明において、前記特開平11−172444号公報に記載されているように、回転電極の周面を複数の領域に分割し、かつ、各領域ごとに特定のプロセスを実施し、他のプロセスは実施しない構成としてもよい。
【0040】
本発明で用いる基板の形状は特に限定されないが、本発明では長尺の基板に均質な薄膜を形成でき、また、長尺基板に形成された膜に対し均一な処理を施すことができるので、本発明は長尺基板を用いる場合に特に有効である。
【0041】
本発明において用いる反応ガスは特に限定されず、プラズマ処理において形成する膜の組成や、ドーピングする元素の種類などに応じて適宜選択すればよい。例えば、Si薄膜を形成する場合には、シラン、高次シランなどを用いる。また、Si薄膜にドーピングする場合には、ドーピング元素であるBやPを含むガスを用いる。また、Si薄膜のほか、ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンド状炭素膜、炭化ケイ素膜、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜等の形成にも本発明を利用できる。また、プラズマ中には、上記反応ガスのほか、希釈ガスとして希ガス、水素ガス等が供給される。
【0042】
反応容器内の反応ガスの分圧は、好ましくは1Pa以上、より好ましくは10〜7×103Paであり、さらに好ましくは7×102〜7×103Paである。反応容器内の全圧は、好ましくは102Pa以上、より好ましくは103〜105Paであり、特に105Pa付近が好ましい。水素ガスを含有させる場合、水素ガス分圧は好ましくは102Pa以上、より好ましくは102〜7×103Paである。
【0043】
【実施例】
実施例1
図1に示す構成のプラズマ処理装置を準備した。回転電極1は、直径100mm、幅100mmとし、各ローラは、直径10mm、幅100mmとした。なお、回転電極には、Al製のドラムの表面をNi膜で被覆したものを用いた。また、各ローラは、Al合金から構成した。各遮断部材におけるギャップ長dは、100μmとした。
【0044】
この装置において、処理空間20Aにシランガスと水素ガスとを混合したガスを導入し、処理空間20BにNF3ガスを導入し、各処理空間の圧力を5×104Paとした。また、緩衝空間21A、21Bでは局所排気を行った。この状態で回転電極1を1000rpmで回転させながら、各処理空間内に存在するガスを質量分析により調べた。その結果、処理空間20AにおけるNF3濃度および処理空間20Bにおけるシラン+水素の濃度のいずれも、数百ppb程度と極めて低かった。この結果から、本発明の効果が明らかである。
【0045】
実施例2
処理空間21A、21Bに実施例1と同様にしてガスを導入し、一方、緩衝空間21A、21BにはHeガスを導入した。緩衝空間の圧力は8×104Paであり、処理空間の圧力との差は3×104Paである。
【0046】
この状態で、実施例1と同様に回転電極を1000回転で回転させながら、実施例1と同様な測定を行った。その結果、処理空間20AにおけるNF3濃度および処理空間20Bにおけるシラン+水素の濃度のいずれも数十ppb程度であり、実施例1よりも低かった。
【0047】
この条件で、処理空間20AにおいてSi薄膜を形成する処理と、このSi薄膜形成の際に回転電極の周面に付着したSi薄膜を、処理空間20Bにおいてドライエッチングする処理とを、同時に行った。その結果、処理空間20Aにおいて形成されたSi薄膜中の窒素およびフッ素の含有量は、平行平板型電極を利用するプラズマCVD装置により形成したSi薄膜の場合とほとんど変わらなかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、回転電極を用いるプラズマ処理において、反応ガスの利用効率を著しく向上させることができる。また、本発明において、複数のプラズマ処理を同時に行う場合、それぞれの処理を行う処理空間からの反応ガスの流出を抑制でき、その結果、各処理空間に他の処理空間からコンタミネーションガスが侵入しにくいため、高品質の処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理装置の主要部を示す断面図である。
【図2】図1に示すプラズマ処理装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明のプラズマ処理装置の主要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 回転電極
2 基板
3 基板ホルダ
4 プラズマ
5 遮断部材
51A、51B ローラ
52 仕切り壁
6 遮断部材
61 ローラ
62 仕切り壁
10 反応容器
12A、12B ガス排出管
13A、13B 反応ガス供給管
20A、20B 処理空間
21A、21B 緩衝空間

Claims (8)

  1. ロール状であってその軸方向を回転軸として回転する回転電極を反応容器内に有し、回転電極に高周波または直流電力を印加することにより回転電極近傍にプラズマを発生させ、このプラズマを利用して、回転電極周面に対向して配置した基板上への薄膜の堆積、前記基板の処理および回転電極周面のクリーニングから選択される少なくとも1種のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
    回転電極の周面と、反応容器の壁面と、これらの間に設けられた2つの遮断部材とにより、基板近傍の空間が区画されて処理空間を形成しており、
    前記遮断部材が、回転電極周面と接するローラを含むプラズマ処理装置。
  2. 前記遮断部材の少なくとも一方が複数のローラを含み、これら複数のローラのうち回転電極周面と接していないローラが、このローラに接する他のローラによって駆動されて回転する請求項1のプラズマ処理装置。
  3. 一方の遮断部材が偶数個のローラを含み、他方の遮断部材が奇数個のローラを含み、前記一方の遮断部材において、回転電極から最も遠いローラの周面に隣接してギャップが存在し、前記最も遠いローラが回転電極と同方向に回転することによって、前記ギャップを通した前記処理空間からのガス流出が抑制され、
    前記他方の遮断部材において、回転電極から最も遠いローラの周面に隣接してギャップが存在し、前記最も遠いローラが回転電極と逆方向に回転することによって、前記ギャップを通した前記処理空間からのガス流出が抑制される請求項2のプラズマ処理装置。
  4. 回転電極の周方向に複数の処理空間が配列している請求項3のプラズマ処理装置。
  5. 前記複数の処理空間のそれぞれに存在する基板のうち少なくとも2つについて、互いに異なるプラズマ処理が行われる請求項4のプラズマ処理装置。
  6. プラズマ処理が行われない緩衝空間を挟んで2つの処理空間を有し、これら2つの処理空間において互いに異なるプラズマ処理が行われる請求項5のプラズマ処理装置。
  7. 前記緩衝空間からガスを排出する手段を有する請求項6のプラズマ処理装置。
  8. 前記2つの処理空間における互いに異なるプラズマ処理のいずれに対してもコンタミネーションガスとはならないガスを、前記緩衝空間内に流入させる手段を有する請求項6のプラズマ処理装置。
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