JP4319733B2 - 光回折素子の転写方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、転写のために特別の治具を必要とせず、事務用等で普及している、簡易なラミネータを使用して、その都度、良好な転写を行なうことが可能な光回折素子転写シートを形成して転写することからなる光回折素子の転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホログラム等の光回折素子は、立体的な画像を記録・複製でき、かつ視認できる手段として、古くから知られている。とりわけ、最近では、感光性樹脂を使用して光の干渉縞を記録し、大量に複製する手段が確立したことにより、用途が拡大している。
とは言え、光回折素子の作製には、レーザー光源や光学系を取り扱う技術が必要で、直ちに、複製や模倣を高度のレベルで行なうことは難しいため、光回折素子を作製して商品等に貼り、その商品が真正なものであることを証明するような用途にも多用されている。
一例として、クレジットカード、ビデオソフト、または高級腕時計等に直接貼ったり、あるいはそれらのケースに貼り、貼られたものが真正品であることを保証することが行なわれている。
【0003】
光回折素子を種々の物品に適用するには、通常、転写フィルムが使用される。例えば、特開平9−30198号には、転写フィルムと転写装置に関する発明が記載されており、図3のように、PETフィルム(=支持体フィルム)1の片面に、剥離層2、オーバーコート層9、ホログラム形成層3、蒸着層4、および感熱接着剤層5等が順に積層された転写層6が積層された転写フィルム12が使用されている。また、このような転写シート12をロール状に巻いたものを供給・排出する手段、転写シートに付された光学マーク等を検出して転写シートの送りと停止の制御を行なう手段、被着体を転写部に供給・排出する手段、および所定の部分を転写するための転写手段等からなる転写装置とが記載されている。
【0004】
上記の方式で、転写を行なう場合、転写シートはロール状に巻いたものを使用するので、1つのロールのすべてが使われる以前に転写シートのロールを変えると非常に時間のロスが生じ、一度に同種の絵柄を多量の被着体に転写するような場合に使用せざるを得ず、柄の変更を頻繁に行なうは、工業生産上の不利を免れないものであった。
また、転写する形状や転写する位置が変わるときは、その都度、転写ヘッドを替えたり、異なる位置に転写できるよう、機械の設定を変更して、新たに位置決めを行なう必要がある。
また、上記のような転写装置自体は、合理的に設計されていて、それ自身には問題はないが、装置全体が複雑で、転写層の転移のメカニズムからすれば、単に加熱と加圧ができる装置があれば、もっと簡便に転写が行える。例えば、事務用のフィルムラミネータは、一対の加熱ローラがニップされて回転しているものであり、その間に、身分証明書や写真等の表面や裏面に感熱接着剤が塗布された透明フィルムを当てたものを通すことにより、保護フィルムのラミネートが行なえるものである。しかし、このようなフィルムラミネータに、従来の転写フィルムと被着体とをそのまま通すと、転写フィルムに張力がかかっていないため、しわが発生しやすく、良好な転写が行えなかった。また、この従来技術においては、転写フィルムとして、レジスターマークを有するものである必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、上記のような従来の光回折素子転写フィルムと転写装置を使用した転写の際に、柄の変更を頻繁に行なうことが難しい点、転写する形状や転写する位置が変わるときは、その都度、転写ヘッドを替えたり、異なる位置に転写できるよう、新たに位置決めを行なう必要がある点、および、従来、簡便な事務用のフィルムラミネータでは、良好な転写が行えなかった点を改善することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光回折素子転写フィルムの支持体フィルムの転写層が形成されていない方の側に、裏打ちシートを積層して使用することにより、上記の課題が改善されることことに基づいて行われたものである。
【0009】
本発明は、支持体フィルムの一方の面に、少なくとも光回折素子形成層、反射性薄膜層、および第1の接着剤層が順に積層された転写層が積層された光回折素子転写フィルムを準備し、前記支持体フィルムの前記転写層が積層されているのとは反対の面に第2の接着剤層を介して裏打用シートを積層して光回折素子転写シートを形成し、得られた光回折素子転写シートの転写層側をシート状または板状の被着体の被着面と重ね合わせて重合体を形成し、次に前記重合体を少なくとも一方が加熱ローラである一対の回転ローラ間を通過させることにより加熱および加圧することにより、前記転写層を被着体の被着面に転写させ、その後、支持体フィルム、第2の接着剤層、および裏打用シートとを剥離することを特徴とする光回折素子の転写方法に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図2を引用しながら説明すると、本発明の光回折素子転写シート10は、支持体フィルム1の下側の方の面に、剥離層2(所望により形成する。)、光回折素子形成層3、反射性薄膜層4、および第1の接着剤層5からなる転写層6が積層された転写フィルム11(ここまでの構造のものを図1に示す。)の支持体フィルム1の上側の面に、第2の接着剤層7を介して裏打ち用シート8が積層されているものである。
【0011】
支持体フィルム1としては、伸縮が少なく、転写時の熱に耐え、また、光回折素子の視認性の観点から、透明性が高いものが適しており、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、アラミド樹脂フィルム、もしくはポリカーボネート樹脂フィルム等の樹脂フィルムが適しており、また、各種加工紙やコンデンサーペーパー等の紙も適している。支持体フィルム1の厚みとしては3〜200μmが好ましく、6〜100μmがより好ましい。あまり薄いと、しわが発生しやすく、静電気の影響も受けやすくなり、好ましくない。あまり厚いものは熱が伝わりにくく、転写フィルムをロール状で取り扱う際に、巻き径が大きくなりすぎる。
【0012】
剥離層2は支持体フィルム1と光回折素子形成層3の各々の素材どうしの接着性にもよるが、未使用時には適度に接着させておき、転写の際に容易に剥離が起きるようにするための層である。合成樹脂であるポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ニトロセルロース樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、もしくはポリアミド樹脂等の単独、もしくはそれらの任意の混合物を用い、必要に応じ、溶剤で溶解して塗料とし、支持体フィルム1に塗布する等により形成する。剥離性を確実にする意味で、ワックス、シリコーン系樹脂等の剥離性物質を添加して使用するとよい。
【0013】
光回折素子形成層3は、2または3次元画像を再生可能な表面凹凸パターン(光回折パターン)が形成されたものである。この表面凹凸パターンとしては、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞の光の強度分布が凹凸模様で記録されたレリーフ光回折素子やレリーフ回折格子が記録可能であり、フレネル光回折素子、フラウンホーファー光回折素子、レンズレスフーリエ変換光回折素子、イメージ光回折素子等のレーザ再生光回折素子、及びレインボー光回折素子等の白色光再生光回折素子、さらに、それらの原理を利用したカラー光回折素子、コンピュータ光回折素子、光回折素子ディスプレイ、マルチプレックス光回折素子、ホログラフィックステレオグラムや、光回折素子記録手段を利用したホログラフィック回折格子が挙げられ、その他、電子線描画装置等を用いて機械的に回折格子を作成することにより、計算に基づいて任意の回折光が得られる光回折素子や回折格子をあげることもでき、これらが単一若しくは多重に記録されていてもよい。
【0014】
光回折パターンは光回折素子形成層の上下いずれの面に設けてもよいが、上の面にあると、取扱い時に汚染のために凹凸の干渉縞が埋まりやすく、これを避ける意味で、光回折素子の凹凸は通常、下面に設ける。
【0015】
光回折パターンを複製する際には、マスターそのものも使用できるが、摩耗や損傷の恐れがあるため、アナログレコード等におけるのと同様、マスターにメッキを行なって剥がす等の方法により、金属による複製を行ない、複製された金型を使用して大量複製を行なう。
【0016】
大量複製の方法は、金型を利用し、アクリル系樹脂のような熱可塑性の合成樹脂を素材として使用し、プレスにより光回折素子を複製するか、又は、金型面に電離放射線硬化性樹脂などの液状樹脂を塗布し、紫外線や電子線を照射して硬化させる等により、光回折素子を一方の表面に有する光回折素子形成層3が得られる。
電離放射線硬化性化合物としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物のプレポリマーまたはオリゴマーに、必要に応じ、モノマーやその他の添加剤を添加したものが挙げられる。
光回折素子形成層3の厚みは、被着体に貼着してある光回折素子形成層を剥がしたときには、層3自体が破壊される程度の脆性を有していることが好ましく、数μm程度である。
【0017】
光回折素子形成層3はその下層として、反射性薄膜層4を伴うことにより、光回折素子が明瞭に視認できるようになる。
反射性薄膜層4は、金属光沢を有する金属元素の蒸着、スパッタリングにより得られる金属や金属の酸化物の薄膜であることが多く、その他、メッキなどによっても形成できる。
また、反射性薄膜層4は、その光学的な屈折率が光回折素子形成層3のそれとは異なることにより、光回折素子を視認できるものとすることもできる。
【0018】
反射性薄膜層4を、金属の薄膜で構成する場合には、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、銀などが特に好ましく、光回折素子形成層3を対象とし、200オングストローム、あるいはそれ以上の厚みになるよう、蒸着、スパッタリング等により設けるとよい。
【0019】
反射性薄膜層4として、光回折素子形成層3とは異なる屈折率を有するものを用いると、ほぼ無色透明な色相で、金属光沢が無いにもかかわらず、光回折素子が視認できるから、透明な光回折素子を作製することができ、従って、光回折素子シールを貼り付けた際に貼った対象を隠蔽しない特徴がある。
例えば、光回折素子形成層3よりも屈折率が大きく、可視光の領域で透明なものとして、Sb2 S3 、Fe2 O3 、PbO、ZnSe、CdS、
Bi2 O3 、TiO2 、PbCl2 、Cr2 O3 、CeO2 、Ta2 O5 、
ZnS、ZnO、CdO、Nd2 O3 、Sb2 O3 、SiO、InO2 、
Y2 O3 、TiO、ThO2 、Si2 O3 、PbF2 、Cd2 O3 、MgO、
Al2 O3 、LaF3 、CeF2 、NdF3 、SiO2 、SiO3 等が挙げられる。
反射性薄膜層4としては、光回折素子形成層3よりも屈折率が小さく、透明なものも使用でき、LiF、MgF2 、3NaF・AlF3 、AlF3 、NaF、GaF2 等が挙げられる。
なお、この場合、「透明」とは、可視光が十分透過することを指し、有色で透明なものも無色で透明なものも、いずれも含む。
光回折素子形成層3よりも屈折率が大きく、可視光の領域で透明なものも、屈折率が小さく、可視光の領域で透明なものも、いずれも、金属の薄膜と同様、光回折素子形成層3を対象とし、200オングストローム、あるいはそれ以上の厚みになるよう、蒸着、スパッタリング等により設けるとよい。
【0020】
接着剤層5を構成する接着剤の材質は、光回折素子転写シートの用途、即ち、どのような被着体に貼り付けるかを考慮して決めるが、例えば、紙等であれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、もしくはゴム系樹脂が好ましく、加熱により活性化して接着させることができる。接着の際に接着剤が軟化し、流動性を有していると、ホログラムの絵柄が乱れるので、流動性を抑制することが好ましい。
被着体の素材としては、紙、木質材料、プラスチック、および金属等の単独、又は複合物である。
なお、反射性薄膜層4と接着剤層5との接着性を向上させる意味で、アンカー層を介在させてもよい。
また、この接着剤層5に公知の手段を用いて、絵柄を形成して被着体に転写することもでき、接着剤層5に形成した絵柄は、剥離しようとすると、破壊されやすいので、偽造防止効果が高い。
【0021】
図3中符号12で示すように、光回折素子転写シート10を構成するための光回折素子転写フィルムは、剥離層2と光回折素子形成層3との間に、保護層9を有しているものであってもよい。保護層9は熱可塑性樹脂でも構成可能であるが、熱硬化型(エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂等)や電離放射線硬化性型の樹脂が硬化したものであることが好ましく、これらの硬化型の樹脂が硬化したもので保護層9を構成することにより、表面の耐摩耗性や化学薬品に対する耐性が向上する。
【0022】
本発明の光回折素子転写シート10は、支持体フィルム1の下面に積層されている以上の各層に加えて、支持体フィルム1の上面には、先の接着剤層5とは別の接着剤層7を介して裏打用シート8が積層されたものである。
なお、2つの接着剤層を区別する場合には、先の接着剤層5を第1の接着剤層と呼び、支持体フィルム1と裏打用シート8の間に介在する接着剤層7を第2の接着剤層と呼ぶことにする。
【0023】
裏打用シート8は、支持体フィルム1および転写層6等からなる転写フィルムに剛性、および自己保形性を与えるものであって、具体的には、上質紙、コート紙、または合成紙であって、紙の種類にもよるが、単位面積あたりの重量が80g/m2 〜300g/m2 であるものが好ましい。このほか、プラスチックフィルムであって、耐熱性のあるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムやポリカーボネート樹脂フィルム等であって、厚みが50〜200μm程度のものも使用できるが、価格の面では、紙の方が有利である。
【0024】
裏打用シート8と支持体フィルム1との積層は、種々の接着剤、または粘着剤を使用して行なえばよく、粘着剤としては、不織布等に粘着剤を含浸し、両面に剥離性フィルムを貼り合わせた、いわゆる両面粘着テープを使用してもよい。
ただし、裏打用シート8と支持体フィルム1との間の接着力は、転写の際に、転写層6が剥離して被着体に転移する必要上、転写時の剥離層の剥離力以上になるよう、第2の接着剤層を構成する接着剤を選択して使用する。
接着剤、または粘着剤は貼り合わせる全面に適用してもよいが、転写フィルムが四角形であれば、四隅を接着する等、裏打用シート8と支持体フィルム1との間の一部を接着する方法によってもよい。
【0025】
本発明の光回折素子転写シート11を製造するには、支持体フィルム1上に、所望により、剥離層を形成した後、光回折素子形成用樹脂組成物を塗布して光回折素子形成用樹脂層を設け、光回折素子の表面凹凸形状をプレスにより転移させるか、または光回折素子露光を行なって、光回折素子を形成した光回折素子形成層3とし、その後、反射性薄膜層4を蒸着、またはスパッタリング等の薄膜形成法により積層して光回折素子を可視化した後、接着剤層を構成する樹脂を塗布して、一旦、光回折素子転写フィルム11を作成する。
【0026】
光回折素子転写フィルム11は、通常、所定の模様の転写層が一定ピッチで繰り返し形成されているため、光回折素子転写フィルム11を一定ピッチで、あるいは、所定の模様を含む区域を周囲の余白部分の大きさを見込んで、裁断して、1枚ずつの転写フィルムとする。
別に、裏打用シート8を上記の裁断された光回折素子転写フィルム11の寸法と合わせて同じ寸法か、または異なる寸法になるよう裁断し、裁断された裏打用シート8と、裁断された光回折素子転写フィルム11とを接着剤、または粘着剤7により積層する。
あるいは用途によっては、光回折素子転写フィルム11を円形、四角形、楕円形等の幾何学形や、適宜な形になるよう、予め打ち抜き等の方法により、作っておいてもよく、その場合、裏打用シート8は、同じ形状に裁断するか、あるいは光回折素子転写フィルム11の形状とは必ずしも関係なく、四角形等に裁断してもよい。
【0027】
こうして積層された光回折素子転写シート10は、被着体20と重ね合わせ、加熱ローラにより加熱・加圧して転写層を被着体上に転写させた後、裏打用シート8を支持体フィルム1ごと剥離して転写を完成させる。
図4は、転写の様子を示す図で、1対のローラ31、および32が互いに相接して矢印方向に回転しており、少なくとも一方のローラ、例えば、上側のローラ31は、ローラの傍らに設置されたヒータ33、または内部に設置されているヒータ(図示せず。)により加熱されて、所定の表面温度となっている。このような加熱ローラを有するものとして、写真や重要書類等に保護のための透明粘着フィルムをラミネートする目的で市販されているラミネータを利用することができる。
このローラ31、および32の間に、裏打用シート8、接着剤層7、および転写フィルム11とからなる光回折素子転写シート10と、被着体20とを、転写層6と被着体の所望の面が相対するようにして重ね合わせた重合体を通過させることにより、光回折素子転写シート10と被着体20とが加熱・加圧されることにより、転写層6の最外層の接着剤が活性化して被着体と接着する。通過後、裏打用シート8と被着体とを持って剥離すると、支持体フィルム1と光回折素子形成層3との間で剥離を生じて、転写層6が被着体20上に接着して転移が終了する。
【0028】
転写の際に、厳密な位置合わせが必要な場合は、光回折素子転写シート10と被着体20とを予め位置合わせしておくとよく、位置合わせして重ね合わせた状態で粘着テープ等により仮止めしたものを、ローラ31、および32間を通過させるとよい。被着体20が冊子の場合には、該当する頁に光回折素子転写シート10を挟むことによっても、位置合わせができる。
ローラの表面温度、ローラ表面の送り速度は、光回折素子転写シート11の接着剤層5が十分活性化するように設定する。ローラ表面の設定温度は80℃〜150℃が好ましく、ローラ表面の送り速度は、0.5m/分〜2m/分であることが好ましい。
【0029】
被着体20としては、IDカード、パスポート、またはその他の各種カード、アミューズメントカード、定期券、金券・証券類、受験票、通帳等があり、偽造防止、改ざん防止の機能強化の必要があるものが向き、転写により、そのような効果が向上するほか、光回折素子が貼着したことによる外観意匠的な点も向上する。
被着体20上の光回折素子を転写すべぎ位置としては、特に限定されないが、偽造防止、改ざん防止のためには、顔写真、押印された副印鑑の印影等の上に貼ると、効果が高い。
被着体20としては、このほか、種々の商品があるが、ローラで転写することを考慮すると、シート状、または板状のものが対象となり、素材としては、各種プラスチック、紙、ゴム、布、木、金属、セラミックス等がある。具体的には、各種の証明書類、企業内等における重要書類、音楽用コンパクトディスク、CD−ROM、ビデオソフト、又はそのケース等が例示される。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
転写フィルムとしては次の順に各層が積層されたものを準備した。
支持体フィルムとして、厚み16μmのポリエステル樹脂フィルム(東レ社製、ルミラー)を用い、シリコーン系樹脂含有ポリエステル樹脂の塗料(昭和インク社製、「剥離ニス」45−3)を用いて、厚み約1μmの剥離層を形成した。
剥離層上にアクリレート系紫外線硬化性樹脂(三菱化学社製、「ユピマーLZ−065S」を用いて厚み2μmの塗膜を形成し、ホログラム絵柄の微小凹凸が表面に加工されたエンボスロールを押し当てて、ホログラム絵柄を複製した後、紫外線を照射し、塗膜を硬化した。得られたホログラム形成層の厚みは、約2μmである。
続いてホログラム形成層上に、酸化チタンを真空蒸着により厚み500Åの反射性薄膜層として形成し、反射性薄膜層上にエチレン/酢酸ビニル重合体の塗料(中央理化製、アクアテックスMC4400)を用いて、厚み20μmの接着剤層を形成した。
【0031】
この転写フィルムの支持体フィルムの剥離層を有していない側に、両面テープ(ニチバン社製、NW−50)を用い、上質紙(157g/m2 )を貼合わせ、接着剤層側に所有者のID情報を印字してあるパスポートの冊子と重ね合わせて、ローラの設定温度を140℃とした簡易ラミネータで加熱・加圧した。
転写の後、裏打用シート8を剥がそうとすると、支持体フィルム1と剥離層との間から剥離し、その接着強度は10g/10mm幅であった。
また、この場合、接着剤層と被着体との接着力は、100g/10mm幅であり、支持体フィルム1と裏打用シート8との接着力は、600g/10mm幅であった。
【0032】
(実施例2)
転写フィルムとしては、ベースフィルムが50μmと厚いものを使用し、反射性薄膜層として厚み500Åの硫化亜鉛を使用し、接着剤として、実施例1のアクアテックスMC4400に加熱時の流動性を抑制するため、住友化学社製、スミカフレックス301を5:1の割合になるよう混合して使用した以外は、実施例1と同様にして、転写フィルムを作製し、転写フィルムのベースフィルムの露出面に、両面テープ(ニチバン社製、NW−50)を用い、上質紙(157g/m2 )を貼合わせた。
貼り合わせ後、接着剤層面に、カラーレーザープリンターを使用して、左右逆像の顔写真と、顔写真の人物に関するID情報とを印刷し、以降は、実施例1と同様にして、転写を行なった。
転写後、裏打用シート8を剥離しようととすると、支持体フィルムも共に剥がれ、被着体上には、顔写真とID情報とが転写層の下層に存在するパスポートを得た。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、光回折素子転写フィルムがその支持体フィルム1を裏打用シートにより補強されているので、光回折素子転写フィルムの各層が薄くて、光回折素子転写フィルムが自己保形性がない場合に、単独のシートとして扱うのに十分な剛性を与えることができ、ロール状の光回折素子転写フィルムを供給して行なう場合と同様に、通常の転写フィルムを使用して、少なくとも一方が加熱ローラである一対の回転ローラ間を通過させることにより加熱および加圧が行なえ、円滑な転写が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】光回折素子転写シートの断面図である。
【図2】光回折素子転写フィルムの断面図である。
【図3】従来の光回折素子転写フィルムの断面図である。
【図4】転写の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 支持体フィルム
2 剥離層
3 光回折素子形成層
4 反射性薄膜層
5 第1の接着剤層
6 転写層
7 第2の接着剤層
8 裏打用シート
10 光回折素子転写シート
11 光回折素子転写フィルム
20 被着体
31、32 ローラ
Claims (1)
- 支持体フィルムの一方の面に、少なくとも光回折素子形成層、反射性薄膜層、および第1の接着剤層が順に積層された転写層が積層された光回折素子転写フィルムを準備し、前記支持体フィルムの前記転写層が積層されているのとは反対の面に第2の接着剤層を介して裏打用シートを積層して光回折素子転写シートを形成し、得られた光回折素子転写シートの転写層側をシート状または板状の被着体の被着面と重ね合わせて重合体を形成し、次に前記重合体を少なくとも一方が加熱ローラである一対の回転ローラ間を通過させることにより加熱および加圧することにより、前記転写層を被着体の被着面に転写させ、その後、支持体フィルム、第2の接着剤層、および裏打用シートとを剥離することを特徴とする光回折素子の転写方法。
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