JP4319501B2 - プーリの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プーリの製造方法に係り、特に、所定の金属板素材から得られた有底テーパ筒状のプリフォームを転造加工することにより、ベルトが巻き掛けられる円筒状のリム部の軸方向両端部位にフランジ部が一体形成されてなるプーリを有利に製造する方法に関するものである。
一般に、ベルトによる伝動機構を構成するベルト車としてのプーリは、モータやエンジン等の所定の駆動源の回転軸(駆動軸)等に取り付けられる円板状の基部と、平ベルトやVベルト、Vリブドベルト等が巻き掛けられる円筒状のリム部とを有して、成っている。そして、かかるリム部の軸方向の両端部位には、径方向外方に向かって延びるフランジ部がそれぞれ設けられており、この二つのフランジ部によって、リム部に巻き掛けられるベルトの幅方向への位置ズレが防止され得るようになっているのである。
また、このようなプーリの製造方法としては、従来から種々の方法が提案されており、その中の一種として、例えば、目的とするプーリの基部に対応した円板状の底部と上部開口側が大径となるテーパ筒部とを有する有底テーパ筒状のプリフォームを用い、このプリフォームを、その底部において、同軸的に且つ中心軸回りに回転可能に位置せしめられた第一の型と第二の型との間で同軸的に挟持させて、それら第一及び第二の型とその中心軸回りに一体回転せしめた状態で、プリフォームのテーパ筒部の外周面に、所定の成形ローラを押し付けて、テーパ筒部を、円筒形状となるように屈曲せしめつつ、長さ方向に圧縮して、増肉された円筒部を成形する一方、この増肉された円筒部の両端部に、径方向外方に突出する突出部をそれぞれ一つずつ成形する転造加工を行うことにより、それら円筒部と二つの突出部とにて、リム部と二つのフランジ部とをそれぞれ形成し、以て、目的とするプーリを製造するようにした方法が、知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。なお、かかる手法では、通常、リム部の成形後に、そのリム部に対して、溝形成ローラを用いた転造加工による溝切加工が行われて、リム部に巻き掛けられるベルトに対応した形状の溝が、複数形成されることとなる。
かくの如きプーリの製造方法においては、リム部とフランジ部が、転造加工により、プリフォームのテーパ筒部から増肉成形された厚肉の円筒部に形成されるようになっているところから、例えば、円形の金属板素材を絞り加工して得られた有底筒形のプリフォームに対して所定の転造加工を施すことにより、リム部を得ると共に、そのリム部における基部側の端部部位を二つ折りにして、ベルトの張力に基づいて大きな負荷がかかるプーリの基部とリム部との連結部位(境界部位)にフランジ部を突出形成するようにした公知のプーリの製造方法を採用する場合に比して、フランジ部の強度を効果的に高め得るのであり、また、プリフォームのテーパ筒部を折り曲げる必要がないために、かかるテーパ筒部の長さが必要以上に長くなるようなことを防ぐことが出来、それによって、プリフォーム、ひいてはプーリ全体の重量を有利に軽量化することも可能となるのである。
ところで、プーリにおいては、リム部に形成される溝の条数が多くなればなる程、それに応じた分だけ、リム部の高さ(軸方向長さ)が大きくされる。そのため、上述の如く、プリフォームのテーパ筒部に対する転造加工による増肉加工と成形加工とを行って、増肉されたリム部とその両端に一体に突出せしめられた二つのフランジ部とを形成するようにした従来のプーリの製造方法では、リム部における溝の条数が多い、所謂、多溝のプーリの製造に際して、リム部を与えるテーパ筒部が必要な分だけ長くされて、その開口径が大きくされたプリフォームが用いられることとなるのであるが、その際には、以下の如き問題が生ずる恐れがあった。
すなわち、開口径の大きなテーパ筒部を有するプリフォームを用いて、従来のプーリの製造手法を実施する場合、プリフォームのテーパ筒部の外周面に成形ローラを押し付けて、テーパ筒部を円筒形状となるように屈曲せしめつつ、長さ方向に圧縮することにより、増肉円筒部からなるリム部を形成する際に、テーパ筒部の屈曲変形過程で、テーパ筒部を構成する材料(メタル)が、テーパ筒部の先端側(開口側)に向かって、より流れ易くなり、それによって、材料が先端側部位に過剰に流動せしめられて、基部側部位が材料不足となった状態で、リム部が形成される懸念があった。そして、そのようなリム部が形成されたプーリにおいては、リム部先端側のフランジ部にバリが生ずるばかりでなく、その基部側のフランジ部に欠肉が発生して、製品品質が著しく低下する恐れが極めて高かったのである。
特許第2999449号公報 特開2001−263454号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軽量で且つフランジ部の強度に優れ、しかもリム部の両端にそれぞれ設けられるフランジ部でのバリや欠肉等の成形不良のない、高品質な多溝プーリを安定的に且つ確実に製造することが出来るプーリの製造方法を提供することにある。
そして、本発明者等が、かかる課題の解決のために、鋭意研究を重ねた結果、開口側に向かって次第に大径化するテーパ筒部を有するプリフォームを用い、このプリフォームのテーパ筒部に対して、成形ローラを用いた転造加工による増肉加工と成形加工とを行って、増肉された円筒部と、かかる円筒部の両端のそれぞれに、径方向外方に向かって一体に突出する突出部を成形することにより、それら円筒部と二つの突出部とにてリム部と二つのフランジ部とを形成して、目的とするプーリを製造する際に、先ず、プリフォームのテーパ筒部における高さ方向の中間部に、その先端側部位を内側に屈曲せしめて、先端に向かうに従って次第に小径となる逆テーパ筒形状と為す屈曲部を設け、そして、そのような屈曲部が設けられたプリフォームのテーパ筒部における屈曲部の外周面に対して成形ローラを押し付けることにより、テーパ筒部に対する転造加工を行って、リム部とフランジ部とを形成することが、リム部先端側のフランジ部でのバリやリム部基部側のフランジ部での欠肉等の発生防止において極めて有効であることを、見出したのである。
これは、テーパ筒部に対する転造加工時に、成形ローラが、先ず、屈曲部の外周面に接触し、その後、テーパ筒部の屈曲部よりも先端側部位と基部側部位のそれぞれの外周面に接触して、それらの外周面を押圧しつつ、テーパ筒部の全体が、円筒形状となるように屈曲せしめられるようになるため、そのようなテーパ筒部の屈曲変形過程で、テーパ筒部の屈曲部よりも先端側部位を構成する材料が、先端側に向かって流動せしめられる一方、基部側部位を構成する材料が基部側に向かって流動せしめられるようになり、それによって、テーパ筒部の両端側への材料の流動バランスが効果的に高められることによるものと、考えられる。
すなわち、本発明にあっては、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その第一の態様とするところは、所定の回転軸に取り付けられる円板状の基部と、該基部の外周縁部に一体形成された、ベルトが巻き掛けられる円筒状のリム部と、該リム部の軸方向の両端部位から径方向外方に向かってそれぞれ一体的に突出する二つのフランジ部とを有してなるプーリを製造するに際して、該プーリの基部に対応した円板状の底部と、該底部の外周縁部から一体的に延出せしめられた、開口側に向かって次第に大径化するテーパ筒部とからなる有底テーパ筒状のプリフォームを用い、該プリフォームの底部を、同軸的に且つ中心軸回りに回転可能に位置せしめられた第一の型と第二の型との間で同軸的に挟持させて、該プリフォームを該第一及び第二の型とそれらの中心軸回りに一体回転せしめた状態で、該プリフォームの前記テーパ筒部の外周面に、円柱面形状とされた外周面を有する成形ローラを押し付けて、該テーパ筒部を、円筒形状となるように屈曲せしめつつ、長さ方向に圧縮して、増肉された円筒部を成形する一方、該増肉された円筒部の両端部に、径方向外方に突出する突出部をそれぞれ一つずつ成形する転造加工を行うことにより、それら円筒部と二つの突出部とにて、前記リム部と前記二つのフランジ部を形成して、目的とするプーリを製造するようにした方法において、前記プリフォームのテーパ筒部との対向配置下で、該テーパ筒部の基部側から先端側に向かうに従って次第に大径となるテーパ形状の外周面を有するテーパローラを用い、該プリフォームのテーパ筒部に対する前記転造加工の実施に先立って、該プリフォームを、前記底部において、前記第一の型と前記第二の型との間で同軸的に位置するように挟持させて、該第一及び第二の型とそれらの中心軸回りに一体回転せしめた状態で、該テーパローラを該プリフォームのテーパ筒部における先端側部位の外周面に押し付けて、該先端側部位を内側に屈曲せしめることにより、かかるテーパ筒部の先端側部位を先端側に向かうに従って次第に小径となる逆テーパ筒形状と為す屈曲部を、該テーパ筒部の屈曲加工前の長さに対して該テーパ筒部の先端から基部側に20〜50%の範囲で偏奇して位置するように、該テーパ筒部の高さ方向中間部位に形成した後、該屈曲部の外周面に対して前記成形ローラを押し付けることにより、該テーパ筒部に対する前記転造加工を行うようにしたことを特徴とするプーリの製造方法にある。
また、本発明に従うプーリの製造方法の第二の態様においては、前記テーパローラが、前記プリフォームのテーパ筒部における先端側部位の外周面に押し付けられることにより、該テーパ筒部の先端側部位が、テーパ筒部の中心軸に平行な直線に対して15〜45°の範囲内の傾斜角度をもって内側に屈曲せしめられて、前記屈曲部が形成されることとなる。
さらに、本発明に従うプーリの製造方法の第三の態様においては、前記プリフォームのテーパ筒部に対する転造加工が行われて、前記リム部と前記二つのフランジ部とが該プリフォームに形成された後、断面V字形状を呈する環状の突条からなるV溝形成リブが外周面に設けられた溝形成ローラが用いられ、該リム部と二つのフランジ部とが形成されたプリフォームが、前記底部において、前記第一の型と前記第二の型との間で同軸的に位置するように挟持させられて、該第一及び第二の型とそれらの中心軸回りに一体回転せしめられた状態で、該溝形成ローラが該プリフォームのリム部の外周面に押し付けられることにより、該リム部の外周面に、該V溝形成リブに対応した環状のV溝が形成されることとなる。
なお、本発明に従うプーリの製造方法の有利な態様の一つにおいては、プリフォームのテーパ筒部の外周面に一つの成形ローラが押し付けられて、かかるテーパ筒部に対する転造加工が実施されることにより、該テーパ筒部を増肉された円筒部に成形して、リム部を形成するリム部形成工程と、該増肉された円筒部の両端部のそれぞれに突出部を一体成形して、二つのフランジ部を形成するフランジ部形成工程とが、一挙に行われることとなる。
そして、かかる本発明に従うプーリの製造方法の第一の態様にあっては、プリフォームのテーパ筒部に対する転造加工による増肉加工と成形加工とを行うことにより、増肉された円筒部が成形されて、この厚肉円筒部にてリムが形成される一方、そのような厚肉円筒部からなるリム部の両端のそれぞれに、径方向外方に向かって一体に突出する突出部が成形されて、それらの突出部にて、リム部が形成されるようになっているところから、例えば、プリフォームのテーパ筒部における基部側の端部部位を二つ折りにして、かかる基部側端部に折曲部分を成形し、この折曲部分にてフランジ部を形成する場合に比して、リム部の両端、特に基部側のフランジ部の強度が有利に高められ得るのであり、また、そのようなフランジ部を与える折曲部分を成形する必要がない分だけ、テーパ筒部の長さが必要以上に長くなるようなことを防ぐことが出来、それによって、プリフォーム、ひいてはプーリ全体の重量を有利に軽量化することも可能となる。
その上、本発明に係る製造手法では、プリフォームのテーパ筒部に対する転造加工の実施に先立って、テーパローラを用いた転造加工により、テーパ筒部の高さ方向中間部位に、その先端側部位を内側に屈曲せしめて、先端に向かうに従って次第に小径となる逆テーパ筒形状と為す屈曲部が設けられ、そして、この屈曲部の外周面に対して成形ローラが押し付けられることにより、テーパ筒部に対する転造加工による増肉加工と成形加工とが行われて、リム部と二つのフランジ部とが形成されるようになっているため、前述せる如く、かかる転造加工時におけるテーパ筒部の屈曲変形過程で、、テーパ筒部を構成する材料が、その先端側と基部側とに、それぞれバランス良く流動せしめられ、それによって、リム部先端側のフランジ部でのバリの発生や、リム部基部側のフランジ部での欠肉の発生等が、何れも効果的に且つ確実に回避され得る。
従って、かくの如き本発明に従うプーリの製造方法によれば、軽量で且つフランジ部の強度に優れ、しかも、リム部の両端にそれぞれ設けられるフランジ部でのバリや欠肉等の成形不良のない、高品質な多溝プーリを安定的に且つ確実に製造することが可能となるのである。
また、本発明に従うプーリの製造方法における第二の態様によれば、プリフォームのテーパ筒部の転造加工時における屈曲変形過程で、テーパ筒部の両端側への材料の流動バランスが、より確実に且つより安定的に高められ得、それによって、リム部先端側のフランジ部でのバリの発生や、リム部基部側のフランジ部での欠肉の発生等が、更に一層効果的に防止され得ることとなる。
さらに、本発明に従うプーリの製造方法における第三の態様によれば、リム部の外周面に、Vベルトが巻き掛けられるV溝、或いはVリブドベルトのVリブが接触するV溝が確実に且つ容易に成形されて、リム部の先端側部位でのバリや基部側部位での欠肉等の成形不良のない、高品質な多溝Vプーリ乃至は多溝Vリブドプーリが、安定的に且つ確実に製造され得る。
以下、本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係るプーリの製造方法の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明手法に従って製造されるプーリの一例として、自動車のエンジンの回転駆動力がVリブドベルトを介して伝達されるVリブドプーリ(多溝Vプーリ)が、概略的に示されている。かかる図からも明らかなように、このVリブドプーリ10は、全体として、略有底の円筒形状を呈しており、略円板状の基部12と略円筒状のリム部14とを有して成っている。
そして、かかるVリブドプーリ10の基部12の中心部には、回転軸としての冷却ファンカップリング等が取り付けられる取付孔16が形成されている。一方、リム部14の軸方向における上下の両端部位には、径方向外方に突出し、且つ周方向に連続して延びるフランジ部18,19が、それぞれ、一体的に形成されている。また、それら二つのフランジ部18,19のうち、リム部14の開口側の端部(上側端部)に形成された開口側フランジ部18は、上方に向かって次第に大径となるテーパ筒形状を有している一方、リム部14における基部12側の端部(下側端部)に形成された基部側フランジ部19は、下方に向かって次第に大径となる逆テーパ筒形状を有している。更に、かかるリム部14の外周面には、その周方向に連続する環状のV溝20が、上下方向に並んで、複数(ここでは7条)設けられている。これによって、かかるVリブドプーリ10にあっては、図示しない冷却ファンカップリング等が基部12の取付孔に挿通固定されて、それと一体回転せしめられ得るようになっていると共に、リム部14に、各V溝20に対応した複数(ここでは7条)のVリブを有するVリブドベルト(図示せず)が巻き掛けられるようになっている。
ところで、このようなVリブドプーリ10は、例えば、以下の如き方法に従って、製造されることとなる。
すなわち、先ず、図2に示される如き形状のプリフォーム22を準備する。このプリフォーム22は、全体として、略有底のテーパ筒形状を呈しており、目的とするVリブドプーリ10の基部12に対応した形状と大きさとを有する略円板形状を呈し、その中心部に、Vリブドプーリ10の前記取付孔16を与える中心孔26が設けられてなる底部24と、該底部24の外周縁部に対して一体的に形成された、上方に向かって次第に大径化するテーパ筒部28とを有して成っている。
なお、このようなプリフォーム22には、例えば、円環状金属板素材から得られた一体品からなるものであれば、既製のものや、特別に成形されたものが、何れも使用されることとなるが、かかるプリフォーム22を成形する場合には、例えば、プリフォーム22の内面形状に対応した外周面を有するパンチと、プリフォーム22の外面形状に対応した内周面を有するダイ孔を備えたダイとを用いて、円環状金属板素材に対する絞り加工を行ったり、或いはそのような絞り加工以外の公知のプレス曲げ加工や、所定の転造ローラを用いた転造加工を行ったりする手法が、適宜に採用される。なお、このプリフォーム22を与える円環状金属板素材の材質は、目的とするVリブドプーリ10の構成材料として従来から使用されるものの中から、適宜に選択されることとなる。
そして、このプリフォーム22のテーパ筒部28を転造加工して、リム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19を形成することにより、目的とするVリブドプーリ10が得られるのであるが、本発明手法にあっては、特に、先ず、プリフォーム22のテーパ筒部28に対する転造加工による予備成形加工が行われ、その後に、この予備成形加工されたテーパ筒部28に対して、リム部14と各フランジ部18,19とを形成する、テーパ筒部28に対する転造加工による成形加工が、実施されることとなる。
なお、ここでは、かくの如きプリフォーム22のテーパ筒部28に対する予備成形加工と、リム部14及び各フランジ部18,19を形成する成形加工とが、例えば、図3に示される如き転造装置32を用いて行われる。
この転造装置32は、図3から明らかなように、基台34上に設置された成形金型36を有して、構成されている。また、この成形金型36は、特開2001−263454号公報に開示されたプーリの製造装置に装備される成形金型と同一の構造を有し、且つ同一の取付構造をもって、基台34上に設置されている。
すなわち、かかる成形金型36は、上下方向において、互いに同軸的に対向配置された第一の型としての上型38と第二の型としての下型40とを備えており、下型40が、転造装置32の基台34上に、移動不能に且つ中心軸41回りに回転可能に取り付けられており、基台34に設置されたモータ48の駆動に伴って、中心軸41回りに回転せしめられるようになっている。一方、上型38は、基台34に立設された複数のガイドポスト42に案内されつつ、シリンダ44の作動に伴って上下動せしめられる移動板46に対して中心軸41回りに回転可能に支持されており、移動板46の下方/上方への移動に応じて、下型40に対して接近/離隔移動せしめられ、下型40への接近移動により下型40と型合せされた状態下で、モータ48が駆動せしめられた際に、下型40共に、中心軸41回りに一体回転せしめられるようになっている。
かくして、このような成形金型36にあっては、上型38と下型40との型合せ下において、それらの間で、プリフォーム22を、底部24において同軸的に位置するように挟持し、且つそのような挟持状態下におけるモータ48の駆動によって、プリフォーム22を、それら上型38と下型40と共に、それらの中心軸回りに一体回転せしめ得るように構成されているのである。
なお、図4に示される如く、かかる成形金型36の下型40においては、プリフォーム22の底部24に対する下側挟持面を構成する下型側パッド50の上面の外周部に、断面V字形状を呈し、両側面が、目的とするVリブドプーリ10の基部側フランジ部19の外面と先端面とに対応した形状とされた下型側環状溝52が、形成されている。一方、上型38にあっては、プリフォーム22の底部24に対する上側挟持面を構成する上型側パッド54の下部外周面が、Vリブドプーリ10のリム部14の内周面に対応した形状とされると共に、かかる上型側パッド54の外側に、上型側パッド54を取り囲むように位置するガイドブッシュ56の下面内周部に、断面V字形状を呈し、両側面が、Vリブドプーリ10の開口側フランジ部18の外面と先端面とに対応した形状とされた上型側環状溝58が、形成されている。
また、図3から明らかなように、成形金型36が設置される転造装置32にあっては、基台34上の外周部における成形金型36を間に挟んで対向する位置に、ローラ加圧シリンダ60a,60bが、ピストンロッド62a,62bを、成型金型36の上型38における上型側パッド54に向かって水平方向に突出/引込み作動可能な状態で、それぞれ位置固定に配設されている。更に、それら各ローラ加圧シリンダ60a,60bのピストンロッド62a,62bの先端部には、断面コ字状のクランプ64a,64bが、それぞれ固定されている。そして、それら各ローラ加圧シリンダ60a,60bのクランプ64a,64bに対して、テーパローラ66と成形ローラ68の二種類の転造ローラが、それぞれ、成形金型36の中心軸41に平行な回転軸回りに回転可能に取り付けられている。
なお、テーパローラ66や成形ローラ68が取り付けられるクランプ64a,64bは、各ローラ66,68が着脱可能な構造とされており、それらテーパローラ66と成形ローラ68のうちの何れか一方に代えて、溝形成ローラ70が、成形金型36の中心軸41に平行な回転軸回りに回転可能な状態で、容易に取り付けられ得るようになっている(図9参照)。
また、それら三種類の転造ローラ66,68,70のうち、テーパローラ66は、上方に向かうに従って次第に大径となるテーパ筒状の外周面、換言すれば、成形金型36の上型38と下型40との間に挟持されたプリフォーム22との対向配置下で、かかるプリフォーム22のテーパ筒部28における底部24側から先端開口部側に向かって、徐々に大径となるテーパ筒状の外周面を有して構成されている(図6参照)。一方、成形ローラ68は、外周面の高さ方向中間部位が、目的とするVリブドプーリ10のリム部14の外周面に対応した円柱面形状とされると共に、その上端及び下端部位が、リム部14の両端に設けられる開口側及び基部側フランジ部18,19のそれぞれの内面形状に対応したとされている(図7及び図8参照)。更に、溝形成ローラ70は、外周面に、周方向に連続して延びる、V溝形成リブ72が、Vリブドプーリ10のV溝20に対応した断面V字形状をもって、上下方向に並んで、複数(ここでは7条)設けられている(図9参照)。
そして、このようなテーパローラ66と成形ローラ68と溝形成ローラ70とにあっては、クランプ64a,64bに取り付けられた状態下で、各ローラ加圧シリンダ60a,60におけるピストンロッド62a,62bが突出作動せしめられることにより、成形金型36の上型38と下型40との間で挟持されたプリフォーム22のテーパ筒部28の外周面に押し付けられ得るようになっている。なお、それら三種類の転造ローラ66,68,70は、プリフォーム22の上型38及び下型40との一体回転下でのテーパ筒部28との接触により、プリフォーム22とは逆方向に回転せしめられることとなる。
従って、かくの如き構造とされた転造装置32を用いて、目的とするVリブドプーリ10を製造する際には、例えば、先ず、図5に示されるように、プリフォーム22が、底部24において、下型40の下型側パッド50と上型38の上型側パッド54とにそれぞれ接触し、下型40及び上型38と同軸的に位置せしめられた状態下において、それら下型40と上型38との間で、中心軸41回りに一体回転可能に挟持される。そして、このようなプリフォーム22の配置下で、基台34に取り付けられたモータ48が回転駆動せしめられることにより、プリフォーム22が、上型38と下型40と共に、それらの中心軸41回りに一体回転せしめられる。
なお、ここでは、後述の如く、プリフォーム22のテーパ筒部28が圧縮、増肉されて形成されるリム部14に、多数のV溝20が形成されるため、プリフォーム22を上型38と下型40との間に挟持した状態下におけるガイドブッシュ56の下面と下型側パッド50の上面との間の距離よりも充分に大きな長さ寸法を有するテーパ筒部28を備えたプリフォーム22が、特に選択されて、用いられることとなるが、そのようなプリフォーム22のテーパ筒部28は、プリフォーム22の成形金型36への上述の如きセット状態下で、ガイドブッシュ56の下面と下型側パッド50の上面外周部との間において、それらに接触することなく、内周面を上型側パッド54の下部外周面に対向させて、上方に向かって次第に大径化する状態で、位置せしめられることとなる。
次に、基台34に取り付けられたローラ加圧シリンダ60aのピストンロッド62aが突出作動せしめられて、ピストンロッド62aの先端に回転可能に取り付けられたテーパローラ66が上型38の上型側パッド54に向かって移動させられることにより、図6に二点鎖線で示されるように、テーパローラ66の外周面が、中心軸41回りに一体回転せしめられるプリフォーム22のテーパ筒部28における先端側(開口側)部位の外周面に接触させられる。このとき、テーパローラ66も、その回転軸回りに、プリフォーム22とは逆方向に回転せしめられる。
その後、図6に実線で示される如く、テーパローラ66が上型側パッド52に向かって更に接近移動せしめられることにより、プリフォーム22のテーパ筒部28の先端側部位が、テーパローラ66の外周面にて、径方向内方に押圧される。これによって、テーパ筒部28の高さ方向中間部位に、それよりも先端側の部位を内側に屈曲せしめる屈曲部74が形成されて、かかるテーパ筒部28の先端側部位が、先端側に向かうに従って次第に小径となる逆テーパ筒形状をもって内側に傾斜する内テーパ部76とされる一方、テーパ筒部28の屈曲部74よりも基部側の部位が、先端側に向かうに従って次第に大径となるテーパ筒形状をもって外側に傾斜する外テーパ部78とされる。
なお、本工程で形成されるテーパ筒部28の逆テーパ筒形状とされた内テーパ部76は、その内側傾斜形態が特に限定されるものではないものの、テーパ筒部28の中心軸(41)に平行な直線mに対して15〜45°の範囲内の傾斜角度θをもって、内側に傾斜する如き逆テーパ筒形状とされていることが、望ましい。何故なら、本実施形態手法では、後述する如く、テーパ筒部28の高さ方向中間部に、それよりも先端側部位を逆テーパ形状の内テーパ部76と為す屈曲部74が形成されてなるプリフォーム22を用いることで、テーパ筒部28に対する転造加工によるリム部14と二つのフランジ部18,19の形成に、テーパ筒部28の構成材料(メタル)の両端側への流動バランスが高められるようになっているのであるが、内テーパ部76の傾斜角度θが15°未満の大きさや、45°を越える大きさとされている場合には、リム部14と各フランジ部18,19の形成時におけるテーパ筒部28の構成材料の両端側への流動バランスの向上作用が、充分には得られなくなってしまうからである。
また、テーパ筒部28に対する屈曲部74の形成位置としては、例えば、開口側及び基部側フランジ部18,19の大きさ等によって適宜に決定されるところではあるものの、上述せる如く、リム部14と各フランジ部18,19の形成時におけるテーパ筒部28の構成材料の両端側への流動バランスを確実に高める上において、有利には、屈曲部74が、テーパ筒部28全体の長さn(図5参照)に対して、テーパ筒部28の先端面から基部側に20〜50%の範囲内の値だけ偏奇した位置に形成されることとなる。
次いで、プリフォーム22の中心軸41回りの一体回転状態下で、テーパローラ66が取り付けられたピストンロッド62aが引込み作動せしめられて、テーパローラ66がプリフォーム22のテーパ筒部28から離隔させられる一方、成形ローラ68が先端に取り付けられたピストンロッド62bが突出作動せしめられて、成形ローラ68が上型側パッド54に接近させられることにより、図7に実線で示される如く、成形ローラ68の外周面の軸方向中間部位が、中心軸41回りに一体回転せしめられるプリフォーム22のテーパ筒部28における屈曲部74の外周面に接触せしめられる。このとき、成形ローラ68も、その回転軸回りに、プリフォーム22とは逆方向に回転せしめられる。
引き続き、図7に二点鎖線で示されるように、成形ローラ68が上型側パッド52に向かって更に接近移動せしめられるのに伴って、プリフォーム22におけるテーパ筒部28の屈曲部74が、成形ローラ68の中間部外周面にて径方向内方に押圧されることにより、テーパ筒部28の内周面が上型38の上型側パッド50の下端部内周面に接近するように、テーパ筒部28の全体が屈曲せしめられ、更に、テーパ筒部28の内テーパ部76の先端部と外テーパ部78の基部側端部とが、上型38のガイドブッシュ56の下面に設けられた上型側環状溝58内と、下型40の下型側パッド50の上面に設けられた下型側環状溝52内とに、それぞれ突入して、それら上型側及び下型側環状溝58,52の側面に係合せしめられた状態で、屈曲部74の開き角度が徐々に大きくされて、テーパ筒部28が円筒形状に近づくように変形せしめられる。
このとき、成形ローラ68が、先ず、テーパ筒部28の屈曲部74の外周面に接触せしめられ、その後、テーパ筒部28の屈曲部74よりも上方及び下方に位置する内テーパ部76と外テーパ部78のそれぞれの外周面に接触せしめられて、それらの外周面に対して押圧されて、テーパ筒部28の全体が円筒形状となるように屈曲変形せしめられるため、かかるテーパ筒部28の屈曲変形に伴って、内テーパ部76を構成する材料(メタル)が、テーパ筒部28の先端側に向かって流動せしめられる一方、外テーパ部78を構成する材料が、テーパ筒部28の基部側に向かって流動せしめられて、それらテーパ筒部28の構成材料が、テーパ筒部28の両端側に向かってバランス良く流動せしめられることとなる。
そして、図8に示されるように、成形ローラ68が上型側パッド52に向かって更に接近移動せしめられることにより、プリフォーム22のテーパ筒部28における屈曲部74を含む高さ方向中間部位が、上型側パッド52の外周面と成形ローラ68の中間部外周面との間で挟圧されると共に、テーパ筒部28の先端部(内テーパ部76の上端部)と基部側端部(外テーパ部78の下端部)とが、ガイドブッシュ56の上型側環状溝58と成形ローラ68の上端部外周面との間、及び下型側パッド50の下型側環状溝52と成形ローラ68の下端部外周面との間で、それぞれ挟圧される。このとき、テーパ筒部28の先端側端面と基部側端面とが、上型側環状溝58と下型側環状溝52のそれぞれの側面に当接せしめられて、テーパ筒部28に対する成形ローラ68の押圧に伴うテーパ筒部28の軸方向への展伸が阻止せしめられる。
これによって、テーパ筒部28が高さ方向(長さ方向)に圧縮されて、テーパ筒部28の高さ方向中間部位が、それに対する圧縮量に応じた分だけ増肉せしめられると共に、上型側パッド54の外周面と成形ローラ68の中間部外周面に対応した内外周面を有する円筒形状に成形され、以てこの増肉された円筒部にて、リム部14が形成される。また、それと同時に、テーパ筒部28の先端部が、成形ローラ68の上端部外周面とガイドブッシュ56の上型側環状溝58の両側面に対応した内外面と端面とをもって、テーパ筒部28の径方向外方に一体的に突出する突出部として成形されて、かかる突出部にて、開口側フランジ部18が形成される一方、テーパ筒部28の基部側端部が、成形ローラ68の下端部外周面と下型側パッド50の下型側環状溝52の両側面に対応した内外面と端面とをもって、テーパ筒部28の径方向外方に一体的に突出する突出部として成形されて、かかる突出部にて、基部側フランジ部19が形成される。
そして、このような本工程では、前述せる如く、リム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19の形成時に、テーパ筒部28における内テーパ部76と外テーパ部78のそれぞれの構成材料が、テーパ筒部28の両端側に向かってバランス良く流動せしめられるため、開口側及び基部側フランジ部18,19の形成に際して、ガイドブッシュ56の上型側環状溝58と成形ローラ68の上端部外周面との間や、下型側パッド50の下型側環状溝52と成形ローラ68の下端部外周面との間に、内テーパ部76と外テーパ部78のそれぞれの構成材料が、過不足なく、充分に充填され、それによって、形成される開口側及び基部側フランジ部18,19において、バリや欠肉等が生ずるようなことが有利に阻止され得るのである。
次に、成形ローラ68が取り付けられたピストンロッド62bが引込み作動せしめられて、成形ローラ68がプリフォーム22から離隔させられる一方、テーパローラ66に代えて、溝形成ローラ70が取り付けられたピストンロッド62aが突出作動せしめられて、溝形成ローラ70が、上型側パッド54に接近させられる。これにより、図9に示される如く、溝形成ローラ70が、中心軸41回りに一体回転せしめられるプリフォーム22のリム部14に接触せしめられて、プリフォーム22とは逆方向に回転せしめられつつ、外周面において、リム部14の外周面に押圧される。
そして、溝形成ローラ70の上型側パッド54への更なる接近移動に伴って、溝形成ローラ74の外周面にて、プリフォーム22のリム部14の外周面が徐々に強く押圧されていくことにより、リム部14の外周面に、溝形成ローラ70の外周面に設けられた複数のV溝形成リブ72に対応した複数の環状のV溝20が形成される。かくして、中心部に、冷却ファンカップリング等が取り付けられる取付孔16が設けられた円板状の基部12と、VリブドベルトのVリブが接触せしめられる複数のV溝20が外周面に形成された円筒状のリム部14と、該リム部14の軸方向の両端部位から径方向外方に向かってそれぞれ突出する開口部側及び基部側フランジ部18,19とを有してなる、目的とするVリブドプーリ10が得られるのである。
そして、その後、基台34上に設けられるシリンダ44が引込み作動せしめられることにより、図10に示されるように、上型38が上方に移動せしめられて、成形金型36が型開きされた状態下で、上述の如くして得られたVリブドプーリ10が、上型38から払い出されて、成形金型36から離型されることとなる。
このように、本実施形態に係るVリブドプーリ10の製造方法によれば、リム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19を形成するための、プリフォーム22のテーパ筒部28に対する成形ローラ68を用いた転造加工時に、テーパ筒部28の構成材料の両端側への流動バランスが高められることで、リム部14の両端部に形成される開口側及び基部側フランジ部18,19において、バリや欠肉等が生ずるようなことが有利に阻止され得るようになっているところから、開口側及び基部側フランジ部18,19での成形不良のない、高品質な多溝プーリが安定的に且つ確実に製造され得ることとなるのである。
しかも、本実施形手法にあっては、開口部側及び基部側フランジ部18,19が、テーパ筒部28の中間部位からなる増肉円筒部の両端部にそれぞれ一体形成された突出部にて形成されるようになっているところから、例えば、テーパ筒部28の長さを必要以上に長くして、その一部を二つ折りにすることにより、フランジ部19を形成する場合に比して、開口部側及び基部側フランジ部18,19の強度が効果的に高められ得るばかりでなく、テーパ筒部28の長さを必要以上に長くする必要がない分だけ、Vリブドプーリ10全体の軽量化が有利に図られ得ることとなる。
また、かかる本実施形態手法においては、プリフォーム22のテーパ筒部28に対して、唯一つの成形ローラ68を用いた1回の転造加工を行うだけで、テーパ筒部28の高さ方向中間部位が増肉円筒部とされると共に、そのような増肉円筒部の両端部に突出部がそれぞれ一体成形され、それら増肉円筒部と二つの突出部とにて、リム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19とが一挙に形成されるようになっているところから、例えば、テーパ筒部28を増肉せしめるための増肉ローラを用いて、テーパ筒部28に対して転造加工を行うことにより、テーパ筒部28を増肉した後、この増肉されたテーパ筒部28に対して、所定の成形ローラによる転造加工を更に行って、リム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19とを形成するようにした手法に比べて、目的とするVリブドプーリ10が、少ない工程数で、有利に製造することが出来、以て、Vリブドプーリ10の製造時における作業効率と生産性の向上が、極めて効果的に図られ得る。
さらに、本実施形態のVリブドプーリ10の製造方法では、プリフォーム22のテーパ筒部28の高さ方向中間部位にて形成されたリム部14の外周面に対して、溝形成ローラ70による転造加工を行うことにより、リム部14の外周面に、複数のV溝20が一挙に形成されるようになっているため、リム部14の外周面に対する複数のV溝20の形成加工が、比較的に小さな加工力にて、迅速に実施され得るといった利点がある。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、前記実施形態に示される如き転造装置32を何等用いることなく、プリフォーム22のテーパ筒部28の高さ方向中間部位に屈曲部74を形成する装置と、かかる屈曲部74が形成されたテーパ筒部28からリム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19とを形成する装置と、リム部14の外周面に複数のV溝20を形成する装置とを別々に用いて、プリフォーム22から、目的とするVリブドプーリ10を段階的に製造するように為すことも、可能である。
また、前記実施形態では、唯一つの成形ローラ68を用いて、プリフォーム22のテーパ筒部28に対する1回の転造加工を行うだけで、テーパ筒部28の高さ方向中間部位が増肉円筒部とされると共に、そのような増肉円筒部の両端部に突出部がそれぞれ一体成形され、それら増肉円筒部と二つの突出部とにて、リム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19とが一挙に形成されるようになっていたが、例えば、特許第2999449号公報に記載される如く、テーパ筒部28を増肉せしめるための第一の成形ローラ(増肉ローラ)を用いて、テーパ筒部28に対する転造加工による増肉加工を行うことにより、テーパ筒部28を増肉円筒部と為した後、この増肉円筒部とされたテーパ筒部28に対して、第一の成形ローラ(増肉ローラ)とは別個の第二の成形ローラによる転造加工を更に行って、増肉円筒部の両端部に、径方向外方に突出する突出部をそれぞれ一つずつ成形し、それら増肉円筒部と二つの突出部にて、リム部14と開口側及び基部側フランジ部18,19とを形成するようにしても良い。
さらに、第一の型としての上型38や第二の型としての下型40の形状、更には成形ローラ68の形状も、前記実施形態に示されるものに、何等限定されるものではなく、リム部14や開口側及び基部側フランジ部18,19の形状等に応じて、適宜に変更され得るところである。
加えて、前記実施形態では、自動車のエンジンの回転駆動力がVリブドベルトを介して伝達されるVリブドプーリの製造方法に対して、本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、そのようなVリブドプーリ以外のもので、所定の回転軸に取り付けられる円板状の基部と、ベルトが巻き掛けられる円筒状のリム部と、該リム部の両端から径方向外方に向かってそれぞれ突出する二つのフランジ部とを有してなるプーリを製造する方法の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
本発明手法に従って製造されるプーリの一例を示す縦断面説明図である。 図1に示されたプーリを製造するために用いられる金属板素材から成形されたプリフォームの縦断面説明図である。 本発明に従うプーリの製造方法における一工程例を示す説明図であって、かかる製造方法において用いられる転造装置に、プリフォームをセットした状態を示している。 本発明に従うプーリの製造方法において用いられる成形金型の一例を示す縦断面説明図である。 本発明に従うプーリの製造方法における別の工程例を示す説明図であって、上型と下型との間で、プリフォームを挟持して、中心軸回りに一体回転せしめた状態を示している。 本発明に従うプーリの製造方法における更に別の工程例を示す説明図であって、プリフォームのテーパ筒部をテーパローラにて押圧して、かかるテーパ筒部の高さ方向中間部に、屈曲部を形成した状態を示している。 本発明に従うプーリの製造方法における他の工程例を示す説明図であって、プリフォームのテーパ筒部に形成された屈曲部の外周面に、成形ローラを接触させた状態を示している。 本発明に従うプーリの製造方法における更に他の工程例を示す説明図であって、テーパ筒部の屈曲部を成形ローラにて押圧して、リム部と開口側及び基部側フランジ部とを形成した状態を示している。 本発明に従うプーリの製造方法における別の工程例を示す説明図であって、リム部を溝形成ローラにて押圧して、リム部の外周面に複数のV溝を形成した状態を示している。 本発明に従うプーリの製造方法における更に別の工程例を示す説明図であって、製造されたプーリを離型せしめた状態を示している。
符号の説明
10 Vリブドプーリ 12 基部
14 リム部 18 開口側フランジ部
19 基部側フランジ部 20 V溝
22 プリフォーム 24 底部
28 テーパ筒部 32 転造装置
36 成形金型 38 上型
40 下型 52 下型側環状溝
58 上型側環状溝 66 テーパローラ
68 成形ローラ 70 溝形成ローラ
74 屈曲部 76 内テーパ部
78 外テーパ部

Claims (3)

  1. 所定の回転軸に取り付けられる円板状の基部と、該基部の外周縁部に一体形成された、ベルトが巻き掛けられる円筒状のリム部と、該リム部の軸方向の両端部位から径方向外方に向かってそれぞれ一体的に突出する二つのフランジ部とを有してなるプーリを製造するに際して、該プーリの基部に対応した円板状の底部と、該底部の外周縁部から一体的に延出せしめられた、開口側に向かって次第に大径化するテーパ筒部とからなる有底テーパ筒状のプリフォームを用い、該プリフォームの底部を、同軸的に且つ中心軸回りに回転可能に位置せしめられた第一の型と第二の型との間で同軸的に挟持させて、該プリフォームを該第一及び第二の型とそれらの中心軸回りに一体回転せしめた状態で、該プリフォームの前記テーパ筒部の外周面に、円柱面形状とされた外周面を有する成形ローラを押し付けて、該テーパ筒部を、円筒形状となるように屈曲せしめつつ、長さ方向に圧縮して、増肉された円筒部を成形する一方、該増肉された円筒部の両端部に、径方向外方に突出する突出部をそれぞれ一つずつ成形する転造加工を行うことにより、それら円筒部と二つの突出部とにて、前記リム部と前記二つのフランジ部を形成して、目的とするプーリを製造するようにした方法において、
    前記プリフォームのテーパ筒部との対向配置下で、該テーパ筒部の基部側から先端側に向かうに従って次第に大径となるテーパ形状の外周面を有するテーパローラを用い、該プリフォームのテーパ筒部に対する前記転造加工の実施に先立って、該プリフォームを、前記底部において、前記第一の型と前記第二の型との間で同軸的に位置するように挟持させて、該第一及び第二の型とそれらの中心軸回りに一体回転せしめた状態で、該テーパローラを該プリフォームのテーパ筒部における先端側部位の外周面に押し付けて、該先端側部位を内側に屈曲せしめることにより、かかるテーパ筒部の先端側部位を先端側に向かうに従って次第に小径となる逆テーパ筒形状と為す屈曲部を、該テーパ筒部の屈曲加工前の長さに対して該テーパ筒部の先端から基部側に20〜50%の範囲で偏奇して位置するように、該テーパ筒部の高さ方向中間部位に形成した後、該屈曲部の外周面に対して前記成形ローラを押し付けることにより、該テーパ筒部に対する前記転造加工を行うようにしたことを特徴とするプーリの製造方法。
  2. 前記テーパローラを、前記プリフォームのテーパ筒部における先端側部位の外周面に押し付けることにより、該テーパ筒部の先端側部位を、テーパ筒部の中心軸に平行な直線に対して15〜45°の範囲内の傾斜角度をもって内側に屈曲せしめて、前記屈曲部を形成するようにした請求項1に記載のプーリの製造方法。
  3. 前記プリフォームのテーパ筒部に対する転造加工を行って、前記リム部と前記二つのフランジ部とを該プリフォームに形成した後、断面V字形状を呈する環状の突条からなるV溝形成リブが外周面に設けられた溝形成ローラを用い、該リム部と二つのフランジ部とが形成されたプリフォームを、前記底部において、前記第一の型と前記第二の型との間で同軸的に位置するように挟持させて、該第一及び第二の型とそれらの中心軸回りに一体回転せしめた状態で、該溝形成ローラを該プリフォームのリム部の外周面に押し付けることにより、該リム部の外周面に、該V溝形成リブに対応した環状のV溝を形成するようにした請求項1又は請求項2に記載のプーリの製造方法。
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