JP4318906B2 - 植物活力剤造粒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物に対して薬害がなく、水と接触すると乳化又は分散して植物活力能を発現させ効率的に植物体の活力を向上させ、更に貯蔵中の有効成分の染み出しを抑制し、取扱性や散布性に優れた植物活力剤造粒体及びその製造法に関する。尚、ここで言う植物活力剤とは、植物全体を活性化させ、ひいては成長促進や収穫量の向上などの植物成長増強につながる効果をもたらすものである。
【0002】
【従来の技術】
植物が成長するには種々の栄養要素が必要であるが、そのいくつかの要素が不足すると植物の生育に支障を来すことが知られている。例えば、肥料三大要素である窒素、リン、カリウムは、それらの不足により全般的に植物の生育が貧弱となる。
【0003】
これらの肥料は、植物の成長に必要不可欠なものであるが、ある程度の濃度以上に与えても、植物の成長性及び収穫量の向上にはそれ以上貢献できない。しかしながら、農作物の成長を促進し、単位面積当りの収穫量を増やして増収をはかることは、農業生産上重要な課題である。そこで、ジベレリンやオーキシンに代表される植物成長調整剤は、植物の伸張、開花、着果、発芽、発根、落果、落葉などの特定の生理機能に影響を与える物質あるいは薬剤として用いられているが、これらの物質の作用は複雑で、使用法によっては植物に害を与える可能性があり、用途が限定されている。
【0004】
かかる問題を解決すべく、例えば特許文献1には、炭素数12〜24の1価アルコールからなり、植物に薬害がなく、効率的に植物体の活力を向上させる植物活力剤が開示されている。この植物活力剤は、炭素数12〜24の1価アルコールをそのまま植物に供給するよりも、使用に際しては、水溶液、水性分散液あるいは乳化液として植物に供給することが、より高い機能を発揮するためには好ましいとされている。
【0005】
そこで、界面活性剤に可溶化させた植物活力能を有する化合物をデキストリン等の多孔性粉体に吸着担持させたものが知られているが、有効成分が染み出し易く、貯蔵、保存時にブロッキングを起こし溶解性が低下するという問題があった。また、一度水に溶解することなく植物に直接散布することが可能であれば作業性が大幅に向上するが、従来の粉末状では溶解性の課題に加え、有効成分の染み出しに起因するモサつきにより、均一に散布することが難しかった。更に、肥料散布機を利用して散布できる様に粉末を成形加工しようとしても、やはり染み出しが問題となり有効成分をロスすることなく製剤化することが困難であった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−198703号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、有効成分が染み出し難く、かつ、取扱性、利便性、貯蔵性、直接散布性に優れ、水と接触することにより有効成分が好ましい速度で分散し、植物に活力を与える植物活力剤造粒体及びその製造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、植物活力能を有する化合物(A)(以下(A)成分という)、乳化・分散剤(B)(以下(B)成分という)、及び水溶性糖類(C)(以下(C)成分という)を含有する粒子であって、(A)成分が該粒子内に油滴の状態で分散した構造を有する粒子からなる粉末状植物活力剤を含有する植物活力剤造粒体、及び更に肥料成分を含有する植物活力剤造粒体、並びにこれらの製造法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
[(A)成分]
(A)成分は植物活力能を有する化合物であれば特に限定されないが、下記(A1)〜(A5)から選ばれる1種以上が好ましい。
(A1)下記一般式(1−1)で表される化合物
【0010】
【化2】
【0011】
〔式中、R11は炭素数10〜22の炭化水素基、R12は水素原子、水酸基又は炭素数1〜24の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表し、R11、R12、R13のいずれか2つが一緒になって環を形成していても良い。〕
(A2)下記一般式(2−1)で表される化合物
R21−O−(AO)m−R22 (2−1)
〔式中、R21は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数12〜24の炭化水素基、R22は水素原子又は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜24の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜5の数を表す。但し、mが0の場合はR22は水素原子ではない。〕
(A3)下記一般式(3−1)で表される化合物
R31−COO−(AO)n−R32 (3−1)
〔式中、R31は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数11〜29の炭化水素基、R32は水素原子、水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、−COR33(R33は炭素数11〜23の炭化水素基)又は対イオン、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜5の数を表す。〕
(A4)少なくとも2つの官能基を有する有機酸の前記官能基の少なくとも1つに1〜30の炭素原子を含む基が結合した有機酸誘導体
(A5)グリセリン誘導体。
【0012】
以下、(A1)〜(A5)成分について詳述する。
【0013】
<(A1)成分>
一般式(1−1)において、R11、R12、R13の炭化水素基は、それぞれ飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖である。また、R11、R12、R13のいずれか2つが一緒になって環を形成していても良い。更に炭化水素基の総炭素数は奇数でも偶数でもよいが、偶数が好ましい。
【0014】
また、R11、R12、R13の炭素数の合計は、何れも50以下が好ましく、より好ましくは10〜48、更に好ましくは10〜44、特に好ましくは10〜22、最も好ましくは12〜20である。
【0015】
一般式(1−1)において、R11の炭素数は12〜22が好ましく、より好ましくは12〜20、更に好ましくは14〜18である。また、一般式(1−1)で表される化合物は、総炭素数が12〜48、更に16〜28、特に16〜20であることが好ましい。更に、総炭素数が12〜24で水酸基を1個有するものが好ましく、特に総炭素数が14〜22で水酸基を1個有するものが好ましく、総炭素数が16〜20で水酸基を1個有するものが最も好ましい。一般式(1−1)で表される化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0016】
(A1−1)
CH3(CH2)o-1OH(oは12〜24、好ましくは14〜24、更に好ましくは14〜22、特に好ましくは16〜20の整数)で表される1−アルカノールが挙げられる。すなわち、一般式(1−1)で表される化合物として、炭素数12〜24の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール、1−ヘンエイコサノール、1−ドコサノール、1−トリコサノール、1−テトラコサノールが挙げられる。
【0017】
(A1−2)
CH3CH(OH)(CH2)p-3CH3(pは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される2−アルカノールが挙げられる。具体的には、2−ドデカノール、2−トリデカノール、2−テトラデカノール、2−ペンタデカノール、2−ヘキサデカノール、2−ヘプタデカノール、2−オクタデカノール、2−ノナデカノール、2−イコサノール等が挙げられる。
【0018】
(A1−3)
CH2=CH(CH2)q-2OH(qは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される末端不飽和アルコールが挙げられる。具体的には、11−ドデセン−1−オール、12−トリデセン−1−オール、15−ヘキサデセン−1−オール等が挙げられる。
【0019】
(A1−4)
その他の不飽和長鎖アルコールとして、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール(α又はβ)、リシノイルアルコール、フィトール等が挙げられる。
【0020】
(A1−5)
HOCH2CH(OH)(CH2)r-2H(rは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される1,2−ジオールが挙げられる。具体的には、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等が挙げられる。
【0021】
上記(A1−1)〜(A1−5)のうち、(A1−1)、(A1−2)、(A1−4)、(A1−5)が好ましく、(A1−1)、(A1−2)、(A1−4)がより好ましく、(A1−1)、(A1−4)が更に好ましく、(A1−1)が特に好ましい。
【0022】
<(A2)成分>
一般式(2−1)において、R21、R22の炭化水素基は、それぞれ飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖である。また、R21、R22の炭化水素基は、水酸基を1つ以上有していてもよい。また、R21、R22の炭素数の合計は、50以下が好ましく、より好ましくは12〜48、更に好ましくは16〜44である。また、一般式(2−1)で表される化合物は、総炭素数が12〜48、更に24〜48、特に32〜40であることが好ましい。一般式(2−1)中のAOは、オキシエチレン基、オキシプロプレン基及びオキシブチレン基から選ばれる1つ以上の基が好ましく、m個のAOは同一でも異なっていても良く、ランダム、ブロックいずれでも良い。一般式(2−1)で表される化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。中でも、(A2−1)の化合物が好ましい。
【0023】
(A2−1)
CH3(CH2)s-1−O−(CH2)s-1CH3(sは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表されるジ−n−アルキルエーテルが挙げられる。具体的には、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル等が挙げられる。
【0024】
(A2−2)
CH2=CH−OR3a(R3aは炭素数12〜24、好ましくは16〜24のアルキル基又はアルケニル基)で表されるビニルエーテルが挙げられる。具体的には、ビニルラウリルエーテル、ビニルミリスチルエーテル、ビニルセチルエーテル、ビニルステアリルエーテル、ビニルオレイルエーテル、ビニルリノレイルエーテル等が挙げられる。
【0025】
また、一般式(2−1)の化合物が親水基と疎水基を持つ場合、グリフィンのHLBが10未満、さらに8以下、より更に7以下、特に5以下が好ましい。このグリフィンの式は、HLB=(親水基部分の分子量/界面活性剤の分子量)×(100/5)で表されるものである(「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社、昭和60年11月1日発行、第128頁)。
【0026】
<(A3)成分>
一般式(3−1)において、R31、R32の炭化水素基は、それぞれ飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖である。また、R31、R32の炭素数の合計は、50以下が好ましく、より好ましくは12〜48、更に好ましくは16〜44である。
【0027】
一般式(3−1)中のR31の炭化水素基は、水酸基を1つ以上有していてもよく、好ましくは炭素数11〜29、より好ましくは炭素数13〜21、更に好ましくは炭素数15〜19である。また、飽和、不飽和何れでも良く、好ましくは飽和であり、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖、分岐鎖、さらに好ましくは直鎖である。R31の具体例は、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、ヘンイコシル基などのアルキル基;ペンタデセニル基、ヘプタデセニル基、ノナデセニル基などのアルケニル基である。好ましくは、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基などのアルキル基;ペンタデセニル基、ヘプタデセニル基、ノナデセニル基などのアルケニル基である。特に好ましくは、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基などのアルキル基である。
【0028】
また、一般式(3−1)中のR32は、水素原子、水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜22の炭化水素基(好ましくはアルキル基又はアルケニル基)、−COR33(R33は炭素数11〜23の炭化水素基)又は対イオンである。R32の具体例は、ラウリル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アラキニル基、ベヘニル基などのアルキル基;ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、アラキドイル基、ベヘノイル基などのアシル基;テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル基、コドイル基、ドコセニル基などのアルケニル基である。好ましくは、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アラキニル基などのアルキル基;パルミトイル基、ステアロイル基、アラキドイル基などのアシル基;ヘキサデセニル基、オレイル基、コドイル基などのアルケニル基である。特に好ましくは、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アラキニル基などのアルキル基である。対イオンとしての具体例は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン塩、エタノールアミンなどのアルカノールアミン塩の何れでも良く、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属である。
【0029】
一般式(3−1)中のAOは、オキシエチレン基、オキシプロプレン基及びオキシブチレン基から選ばれる1つ以上の基が好ましく、n個のAOは同一でも異なっていても良く、ランダム、ブロックいずれでも良い。
【0030】
本発明の(A3)成分の中では、一般式(3−1)のnが0〜5で、R31が炭素数13〜21のアルキル基又はアルケニル基で、R32が水素原子、炭素数1〜22のアルキル基もしくはアシル基、炭素数2〜22のアルケニル基又は対イオンのもの(但し、nが0でない場合は対イオンを除く)が特に好ましい。
【0031】
また、一般式(3−1)の化合物が親水基と疎水基を持つ場合、前記したグリフィンのHLBが10未満、さらに8以下、より更に7以下、特に5以下が好ましい。
【0032】
<(A4)成分>
(A4)成分の官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等が挙げられ、有機酸は、少なくとも1つの水酸基を有することが好ましい。また、官能基に結合する基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルアミノ基、オキシアルキレン基等が挙げられる。(A4)成分としては、下記一般式(4−1)で表される化合物が好ましい。
【0033】
A−(B)a−C (4−1)
【0034】
【化3】
【0035】
X、Y、Z:それぞれ独立して、水素原子又は対イオン
R41、R44、R49:それぞれ独立して、炭素数1〜30の炭化水素基
【0036】
【化4】
【0037】
R42、R43、R46、R47、R48、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f:それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基
a:0又は1以上の数
l、m、n、o、p、q、r、s、t:それぞれ独立して、0〜10の数
u、v:それぞれ独立して、1〜50の数
を示し、これらは分子中の官能基の少なくとも1つに1〜30の炭素原子を含む基が結合するように選択され、また、A、Cの両方が、−R44、−OH及び−OR45から選ばれる基である場合は、
【0038】
【化5】
【0039】
一般式(4−1)中のR41、R44、R49は、それぞれ炭素数1〜30の炭化水素基であり、R41とR49は、好ましくは炭素数12〜26、更に好ましくは炭素数14〜22の炭化水素基である。また、R44は好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基である。R41、R44、R49は、好ましくはアルキル基及びアルケニル基である。また、R41、R44、R49の炭化水素基、好ましくはアルキル基やアルケニル基は、飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖、分岐鎖、さらに好ましくは直鎖である。R41、R44、R49の具体例としてはラウリル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基(炭素数20のアルキル基)、ベヘニル基(炭素数22のアルキル基)などのアルキル基;C14F1基(Cの次の数字は炭素数を、Fの次の数字は不飽和結合の数を意味する。以下同様。)、C16F1基、C18F1基、C20F1基、C22F1基などのアルケニル基が挙げられる。
【0040】
また、一般式(4−1)中のR42、R43、R46、R47、R48、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4fは、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜30、好ましくは12〜26、更に好ましくは14〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭化水素基である。炭化水素基は好ましくはアルキル基及びアルケニル基である。炭化水素基、好ましくはアルキル基やアルケニル基は、飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖、分岐鎖、さらに好ましくは直鎖である。
【0041】
また、一般式(4−1)中のX、Y、Zは、それぞれ、水素原子又は対イオンであり、対イオンの具体例としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン塩、エタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などが挙げられる。好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属である。
【0042】
また、一般式(4−1)中のaは、Bの総数であり、一般式(4−1)中のBが2つ以上存在する場合、すなわちa≧2の場合は、Bは、上記に定義される基のうち、同一又は異なる種類であってもよい。
【0043】
(A4)成分を形成する有機酸は、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸が好ましく、さらに好ましくはクエン酸である。
【0044】
(A4)成分が親水基と疎水基を持つ場合、前記したグリフィンのHLBが10未満のものが好ましく、さらに8以下が好ましく、特に5以下が好ましい。
【0045】
<(A5)成分>
グリセリン誘導体としては、グリセリンと酸とのエステル(以下、グリセリンエステルという)、グリセリンと水酸基含有化合物とのエーテル(以下、グリセリンエーテルという)、グリセリンの縮合物もしくはその誘導体及びグリセリン酸もしくはその誘導体からなる群から選ばれるものが好ましい。
【0046】
グリセリンエステルを構成する酸は有機酸、無機酸のいずれでもよい。有機酸としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数12〜24の有機酸が挙げられる。また、無機酸としてはリン酸、硫酸、炭酸等が挙げられ、無機酸エステルでは塩となっていてもよい。グリセリンエステルとしては、グリセリンと有機酸とのエステル、すなわち、グリセリンと有機酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステルが好ましい。グリセリン有機酸トリエステルとしては、合成されたトリエステルや、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂、ヤシ油、パーム油、パームステアリン油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物性油脂のような油脂を用いることができ、油脂が好ましい。
【0047】
グリセリンエーテルを構成する水酸基含有化合物としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数12〜24のアルコールが挙げられる。グリセリンエーテルとしては、バチルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、ベヘニルグリセリルエーテル等のグリセリンモノアルキルエーテルが挙げられる。なお、ジエーテル、トリエーテルであってもよい。また、本発明のグリセリンエーテルには、グリセリンのアルキレンオキサイド(以下AOと表記する)付加物が含まれる。ここで、該付加物のAO平均付加モル数は1〜30、更に1〜10、特に1〜5が好ましい。更に、油脂とグリセリンの混合物のAO付加物を用いることもでき、該付加物のAO平均付加モル数は1〜30、更に1〜10、特に1〜5が好ましい。
【0048】
グリセリンの縮合物もしくはその誘導体としては、下記一般式(5−1)で表されるポリグリセリンもしくはその誘導体が挙げられる。
【0049】
【化6】
【0050】
〔式中、nは2〜50の数を示し、Rは水素原子又は炭素数2〜31のアシル基であり、Xは炭素数2〜4のアルキレン基であり、m1、m2及びm3は各々0〜30の数である。〕
グリセリン酸は、グリセリンやグリセルアルデヒドの酸化等により得られる。本発明では、グリセリン酸エステル、グリセリン酸アミド等のグリセリン酸誘導体も使用できる。
【0051】
なお、本発明のグリセリン誘導体が親水基と疎水基を持つ場合、前記したグリフィンのHLBが10未満のものが好ましく、さらに8以下が好ましく、特に5以下が好ましい。
【0052】
上記のような(A)成分の中では、炭素数12〜24、更に炭素数14〜22、特に炭素数16〜20の1価アルコールが最も好ましい。該1価アルコールの炭化水素基は、飽和、不飽和の何れでも良く、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良い。好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖のアルキル基である。該1価アルコールの具体例としては、1−ドデカノール(ラウリルアルコール)、1−ヘキサデカノール(セチルアルコール)、1−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、1−エイコサノール、1−ドコサノール(ベヘニルアルコール)、フィトール、オレイルアルコール等や天然油脂由来のアルコール等が挙げられる。これらの(A)成分は必要に応じて2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0053】
粉末状植物活力剤中の(A)成分の含有量は、経済性の観点から、粉末状植物活力剤の5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。又、粒子の溶解性及び効果発現の観点から、粉末状植物活力剤の70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。従って、経済性、溶解性及び効果発現の観点から、該含有量は粉末状植物活力剤の5〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。
【0054】
[(B)成分]
(B)成分は、(A)成分を油滴として安定に乳化・分散させる機能を持ち、且つ粒子を形成させる段階で悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。例えば、カゼインナトリウム、ゼラチン、乳蛋白、大豆蛋白等の水溶性蛋白質、アラビアガム、キサンタンガム等のガム類、ショ糖脂肪酸エステル、エステル化化工澱粉、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系の陰イオン界面活性剤等が挙げられる。尚、アラビアガム、キサンタンガム等のガム類、エステル化化工澱粉などは、乳化分散機能を有する水溶性糖類、即ち(C)成分として使用することもできる。
【0055】
これらの中でも、効果発現、乳化・分散能力、粒子形成性の観点から、常温で固体状を呈する乳化・分散剤を少なくとも1種使用することが好ましい。具体的には、水溶性蛋白質、エステル化化工澱粉が好ましく、カゼインナトリウム、オクテニルコハク酸澱粉が特に好ましい。
【0056】
又、上記の乳化・分散剤は、必要に応じて2種以上組合わせて使用しても良い。組合せにより、複合効果を期待することができる。
【0057】
粉末状植物活力剤中の(B)成分の含有量は、乳化・分散性の観点から粉末状植物活力剤の1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。又、効果発現、粒子の溶解性及びコストの観点から、粉末状植物活力剤の60重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下が特に好ましく、30重量%以下が最も好ましい。従って、効果発現、乳化・分散性、溶解性及びコストの観点から、該含有量は粉末状植物活力剤の1〜60重量%が好ましく、1〜50重量%がより好ましく、5〜40重量%が特に好ましく、5〜30重量%が最も好ましい。
【0058】
また、(B)成分と(A)成分の重量比(B)/(A)は、効果を安定に発現させ、良好な溶解性を得る観点から、1/5〜5/1が好ましく、1/3〜3/1がより好ましい。
【0059】
[(C)成分]
(C)成分は、賦形剤であり、(A)成分を油滴として固定化し粒子を形成させる為のもので、水に接触した場合速やかに溶解する水溶性糖類である。例えば、グルコース、果糖、乳糖、麦芽糖、蔗糖、デキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、プルラン、あるいはソルビトール、マンニトール等の糖アルコール等が挙げられる。この中でも、溶解性、吸湿性、粒子形成性の観点から、デキストリンが特に好ましい。又、上記の水溶性糖類は、必要に応じて2種以上組合わせて使用しても良い。
【0060】
粉末状植物活力剤中の(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の配合量により変動するので特に限定されないが、粒子形成性の観点から、粉末状植物活力剤の5〜90重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
【0061】
尚、(C)成分が(B)成分と同一の物質である場合、即ち(C)成分が乳化・分散剤としての機能を有する場合には、両者を分けて考える必要はない。この様な具体例としては、アラビアガム、キサンタンガム等のガム類、エステル化化工澱粉等が挙げられる。
【0062】
[その他の成分]
本発明の粉末状植物活力剤には、(A)成分、(B)成分、(C)成分以外にも、必要に応じ他の物質が含まれていても良い。例えば、酸化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、キレート剤、崩壊剤(水溶性無機塩類、水不溶性物質)、肥料等が挙げられる。又、使用する原料及び製造プロセス由来の水分を含有しても良い。粉末状植物活力剤中の水分は、菌増殖に関わる水分活性の観点から粉末状植物活力剤の10重量%以下が好ましく、ブロッキング抑制の観点から5重量%以下がより好ましい。
【0063】
尚、粉末状植物活力剤を水に溶解した際の(A)成分の分散性を改善する目的で、界面活性剤を更に別途配合しても良い。この場合に好ましい界面活性剤としては、エステル基含有非イオン界面活性剤、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系の陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤が更に好ましい。これらの界面活性剤は必要に応じ2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0064】
[粉末状植物活力剤]
本発明において、植物活力剤とは、植物全体を活性化するものであり、用途に限定がなく優れた植物成長増強効果を示すものである。又、ここで、「植物」とは、植物の語自体から認識され得るもので、野菜、果実、果樹、穀物、種子、球根、草花、香草(ハーブ)等、分類学上の植物を表すものとする。
【0065】
本発明の粉末状植物活力剤となる粒子は、(B)成分及び(C)成分からなる粒子内部に、(A)成分が油滴の状態で分散した構造を有する。ここで、(A)成分が粒子内に油滴の状態で分散した構造とは、(A)成分が小さな粒(油滴)となり、その表面が(B)成分及び(C)成分等からなる層に覆われ、不連続的に固定化された状態を意味し、多孔質状の粉体に(A)成分を吸着(含浸)させた場合に形成される(A)成分の連続的な保持状態とは区別されるものである。図1に本発明に係わる粉末状植物活力剤の粒子構造の一例を、図2に多孔質状の粉体に(A)成分を吸着(含浸)させたものの構造の一例をそれぞれ示す。
【0066】
尚、(A)成分の油滴は、液状であっても固体状であっても良く、他の成分を一部含んでいてもよい。また、固定化されたとは、(A)成分が粒子外部に染み出し難い状態に保持されている状態を示す。本発明でいう(A)成分が粒子内部に固定化された場合の(A)成分の染み出しレベルを具体的に示すと、指で強く押した程度では全く染み出さないレベルである。一方、多孔質状の粉体に(A)成分を吸着(含浸)させた粉末の場合は、指で押しただけでも染み出しが確認できることが多い。
【0067】
(A)成分が粒子内に油滴の状態で分散した構造は、粒子の割断面観察、粉末の溶解及び分散状態、粒子からの(A)成分の染み出し率等を調べることで同定できる。
【0068】
本発明の粉末状植物活力剤となる粒子の平均粒径は、溶解性及び流動性の観点から10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。
【0069】
又、本発明の粉末状植物活力剤となる粒子中に油滴の状態で分散している(A)成分の平均粒径は、植物の活力向上効果の観点から、50μm以下が好ましく、0.05〜50μmがより好ましく、0.1〜30μmが更に好ましい。粒子中に油滴の状態で分散している(A)成分の平均粒径は、粉末状植物活力剤を水等の(A)成分を溶解しない液体に分散させ、レーザー回折/散乱法で測定できる(実施例の乳化・分散径の測定法参照)。
【0070】
[植物活力剤造粒体]
本発明の植物活力剤造粒体は、粉末状植物活力剤を造粒する事により、凝集又は成形させたものである。ここで「造粒体」とは、「造粒ハンドブック:日本粉体工業技術協会編,7頁」にも記されている通り、粒状物、あるいは小成形物、ブリケット等を指す。造粒体にする事により、取扱性の向上、水への初期分散性の向上、利便性の向上、徐放性の付与、発塵抑制といった効果が得られる。
【0071】
本発明の植物活力剤造粒体の粒径は、粉塵を抑制し、良好な流動性を得る観点から、0.1mmより大きいことが好ましく、0.5mmより大きいことが更に好ましく、1mmより大きいことが特に好ましい。また、良好な加工・成形性を得る観点から、80mm以下が好ましく、50mm以下が更に好ましく、30mm以下が特に好ましい。ここで「粒径」とは凝集体及び成形体の最大直径を言う。
【0072】
本発明の植物活力剤造粒体には、更に肥料成分を配合することもできる。植物活力剤造粒体を使用する際、土壌中に元肥として肥料成分が十分に施用されている場合には、肥料成分を配合しなくても十分な効果が得られるが、元肥の過剰施用を避け、肥料成分を潅水散布する様な栽培形態には、植物活力剤造粒体に肥料成分が配合されていることが好ましい。
【0073】
本発明で使用される肥料成分としては、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Fe、Mn、Cu、Zn、Mo、Cl、Si、Na等、特にN、P、K、Ca、Mgの供給源となる無機物及び有機物が挙げられる。無機物の具体例としては、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素、炭酸アンモニウム、リン酸カリウム、過リン酸石灰、熔成リン肥(3MgO・CaO・P2O5・3CaSiO2)、硫酸カリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また、有機物としては、鶏糞、牛糞、バーク堆肥、アミノ酸、ペプトン、ミエキ、発酵エキス、有機酸(クエン酸、グルコン酸、コハク酸等)のカルシウム塩、脂肪酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸等)のカルシウム塩等が挙げられる。
【0074】
これらの肥料成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、1〜50000重量部が好ましく、10〜5000重量部がより好ましい。
【0075】
本発明の植物活力剤造粒体には、肥料成分以外にも、必要に応じ他の成分が含まれていても良い。例えば、キレート剤、界面活性剤、希釈剤等が挙げられる。
【0076】
キレート剤としては、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、へプトン酸、シュウ酸、マロン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸等の多価カルボン酸及びこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩、EDTA、NTA、CDTA等のアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。これらのキレート剤は、必要に応じ2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0077】
キレート剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して、0〜1000重量部が好ましく、10〜500重量部がより好ましい。キレート剤を配合することにより、生育及び肥料の吸収効率を更に向上させることができる。
【0078】
界面活性剤としては、エステル基含有非イオン界面活性剤、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系の陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、スルホン酸系、硫酸エステル系の陰イオン界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、必要に応じ2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0079】
植物活力剤造粒体中の界面活性剤の含有量は、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。界面活性剤の配合により、植物活力剤造粒体を水に溶解した際の(A)成分の分散性を改善することができる。
【0080】
希釈剤としては、粉末状植物活力剤の賦形剤である水溶性糖類[(C)成分]が使用できる。特に、溶解性、吸湿性の観点から、デキストリンが特に好ましい。希釈剤の配合量は、特に限定されず、最終製品に合わせて適宜調整することができる。
【0081】
これらの肥料成分及びその他の成分は、本発明の粒子中に配合されても、別途配合されても良い。
【0082】
[植物活力剤造粒体の製造法]
本発明の植物活力剤造粒体の製造法としては、植物活力能を有する化合物(A)、乳化・分散剤(B)、水溶性糖類(C)及び水を含有するO/W型の乳化物を調製し、該乳化物を乾燥させて粉末状植物活力剤を得る工程(以下工程Iという)、該工程で得られた粉末状植物活力剤を更に造粒する工程(以下工程IIという)を有する方法が好ましい。
【0083】
また、肥料成分を配合する場合は、上記工程IIの造粒の際に、工程Iで得られた粉末状植物活力剤を肥料成分と共に造粒する方法が好ましい。
【0084】
工程Iによると、(A)成分の表面が、(B)成分と(C)成分から成る皮膜に覆われたカプセルが形成され、得られた粉末状植物活力剤から(A)成分が染み出し難い構造となり、製品を貯蔵した場合のブロッキングを抑制する効果が高い粉末が得られやすい。
【0085】
工程Iにおいては、まず(A)成分を微細な油滴に分散させる為、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を混合し、O/W型の乳化物(分散物も含む。以下同様)を調製する。この時、(A)成分は、融点以上に加熱して融解して使用することが望ましい。得られたO/W型の乳化物を、通常の乾燥法で乾燥することにより、粒子内に(A)成分が油滴の状態で分散した粒子が得られる。
【0086】
O/W型の乳化物を調製する場合の各成分の配合順序は特に限定されないが、例えば、水に(B)成分と(C)成分を溶解し、その水溶液に、溶融した(A)成分を添加するのが好ましい。又、(A)成分に(B)成分を溶解し、水と(C)成分の水溶液に添加することも可能である。尚、この時用いられる水の量は、安定な乳化・分散液が形成できれば特に限定されないが、操作性の観点から、粉末状植物活力剤となる粒子の構成成分100重量部に対し20〜300重量部が好ましく、50〜200重量部がより好ましい。
【0087】
又、乳化・分散に際しては、(A)成分を安定かつ所望の径に乳化・分散させる為に、静止型乳化・分散機、ホモミキサー、ラインミキサー等の攪拌型乳化機、ホモジナイザー等の高圧乳化機を使用することが好ましい。特に、静止型乳化・分散機又は攪拌型乳化機で予備分散した後、高圧乳化機で処理すると、より均一で微細な乳化・分散液が得られ好ましい。
【0088】
得られたO/W型の乳化物の乾燥法は、一般的な方法を用いることができ特に限定されないが、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、ベルト乾燥、棚乾燥、ドラム乾燥等が挙げられる。噴霧乾燥以外の方法で乾燥した場合には、所望の粒径の粒子を得る為に、粉砕を行う。
【0089】
上記の乾燥法の中では、工業的な生産及び、カプセル化した球状粒子が得られると言った観点から、噴霧乾燥法を用いるのが特に好ましい。噴霧乾燥法で粉末状植物活力剤となる粒子を形成させる場合、その粒径は、使用する噴霧ノズルにより任意に調整できる。
【0090】
尚、乳化物を乾燥して粉末状植物活力剤となる粒子を製造する場合の(A)成分、(B)成分、(C)成分の好ましい組合せとしては、例えば、(A)成分としてステアリルアルコール、(B)成分としてカゼインナトリウム又はオクテニルコハク酸澱粉、(C)成分としてデキストリンを含むものが挙げられる。
【0091】
工程IIは、工程Iで得られた粉末状植物活力剤を更に造粒して、凝集又は成形する工程である。工程IIにおいては、粉末状植物活力剤に肥料成分を配合してから造粒してもよい。
【0092】
肥料成分を配合する方法は、例えば粉末状植物活力剤を製造する際のO/W型乳化液を調製する段階で、肥料成分を配合し、噴霧乾燥する方法、粉末状植物活力剤と肥料成分を混合する方法等が挙げられる。
【0093】
粉末状植物活力剤と肥料成分を混合する場合に用いる混合機は、両者が十分混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、Vブレンダ((株)ダルトン製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)、レディゲミキサー(レディゲ社製)、リボンミキサー(ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。
【0094】
工程IIにおいて造粒される植物活力剤造粒体は、液状成分が染み出し難くかつ発塵性が低く、取扱性、利便性、貯蔵性、直接散布性に優れる点で共通するが、使用方法、使用目的などにより、所望とされる粒径や溶解性などは異なる。従って、必要に応じてバインダー、賦形剤、分散・崩壊剤、滑剤等を添加して造粒体とすることができる。
【0095】
使用可能なバインダーとしては特に限定されないが、水又は水溶性バインダーを単独又は2種以上の混合物として用いることができる。水溶性バインダーには有機系バインダーと無機系バインダーがある。有機系バインダーとしては例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体(これらの誘導体としては、エーテル化合物等が挙げられる)、カルボン酸系ポリマー、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系の陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、澱粉、澱粉加水分解物、糖類及びこれらの誘導体等が挙げられる。無機系バインダーとしてはケイ酸ソーダ等が挙げられる。
【0096】
賦形剤としては、硫酸、炭酸、燐酸等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、ゼオライト、シリカ、タルク、ベントナイト等の粘度鉱物、澱粉、澱粉加水分解物、糖類、セルロース、吸水性ポリマー等が使用できる。これらの内、炭酸カルシウムや硫酸マグネシウム等の無機塩、粘度鉱物、セルロース、吸水性ポリマーは、分散・崩壊剤としても有効である。
【0097】
更に、押出し造粒やタブレッティング(打錠)等により造粒体を得る場合には滑剤を適宜用いることが好ましく、具体的には上記バインダーに加え、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、脂肪酸、タルク、パラフィン・ワックス、シリコーン、グリセリン等が使用できる。
【0098】
工程IIで用いる造粒法としては、粉末状植物活力剤の平均粒径や所望とする造粒体の粒径にもよるので特に限定はされないが、▲1▼攪拌転動造粒法、▲2▼流動層造粒法、▲3▼押出し造粒法、▲4▼タブレッティング(打錠)や、ブリケッティング、コンパクティング等の圧縮造粒法等が挙げられる。
【0099】
以下、各造粒法について詳細に説明する。
【0100】
▲1▼ 攪拌転動造粒法
攪拌転動造粒法においては、槽内に装入された粉末状植物活力剤、又は粉末状植物活力剤と肥料成分の混合物に、液状あるいは固体のバインダーを添加し、場合により加熱または冷却しながら、必要に応じて攪拌羽根を回転させて造粒を行なう。
【0101】
本法によれば添加するバインダー種及び量又は造粒時間を適宜調節することにより、得られる造粒体の溶解性を制御することが可能であり、バッチ式、連続式いずれでも造粒を行なうことができる。また、バインダーの添加は、一括で行なっても良いが、所望の造粒体とする為、あるいはバインダー物性により、添加時間を調節したり、間欠的に添加することもできる。これらバインダーの内、造粒制御の容易さ及び造粒体の保存安定性の観点から、水溶性バインダー、特に分子量が400〜20,000、好ましくは600〜10,000のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが好ましい。バインダーを液状で添加する場合は、スプレー方式で添加することが好ましい。添加するバインダー量は特に制限されないが、生産性等の観点から、粉末状植物活力剤に対して5〜40重量%、特に10〜20重量%が好ましい。バインダーを比較的少量添加した場合は溶解性の高い造粒体が得られ、逆に多量添加した場合は徐放性の造粒体が得られる。この様な溶解性の制御は造粒時間の調節によっても可能であり、比較的造粒時間を短くした場合には崩壊し易く溶解性の高い造粒体が得られ、長くした場合には重質で球形度が高く徐放性を有する造粒体を得ることができる。
【0102】
使用できる造粒機としては特に限定されないが、(1)混合槽で内部に攪拌軸を有し、この軸に攪拌羽根を取り付けて粉末の混合を行う形式のミキサー:例えばヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)等、(2)円筒型又は半円筒型の固定された容器内でスパイラルを形成したリボン状の羽根が回転することにより混合を行う形式のミキサー:例えばリボンミキサー(日和機械工業(株)製)、バッチニーダー(佐竹化学機械工業(株)製)等、(3)コニカル状の容器に沿ってスクリューが容器の壁と平行の軸を中心として自転しながら公転することにより混合を行う形式のミキサー、例えばナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)等がある。
【0103】
これら攪拌転動造粒法により平均粒径70〜5000μm程度の造粒体を得ることができ、造粒後、適宜、乾燥、コーティング、分級を行なうことができる。
【0104】
▲2▼ 流動層造粒法
流動層造粒法は、装置下部より導入した流体により粉末状植物活力剤、又は粉末状植物活力剤と肥料成分との混合物を流動状態に保ち、この流動層に液状バインダーを添加して凝集造粒する方法である。
【0105】
バインダーとしては上述したバインダーに加え、例えば、脂肪酸、高級アルコール、硬化油等の水不溶性バインダーを使用することもできるが、この場合は水不溶性バインダーの添加量で、得られる造粒体の水への溶解性を調整することができる。バインダーに水又はバインダー溶液を用いた場合は流体として熱風を導入し乾燥しながら、また溶融ポリエチレングリコールの様に可塑化された熱可塑性物質を用いる場合は常温又は冷風により可塑性を消失せしめながら造粒を行なうことで、平均粒子径100〜2000μm程度の比較的ポーラスで溶解性の良い造粒体を得ることができる。熱風を導入する場合、その温度は、バインダー溶液の乾燥速度を速め、また品質の劣化を抑える観点から、45〜120℃が好ましい。均一な造粒体を得るためにはバインダーをスプレー方式で添加することが好ましい。添加するバインダー量は特に制限されないが、生産性等の観点から、粉末状植物活力剤に対して5〜50重量%、特に10〜40重量%が好ましい。
【0106】
好ましい流動層造粒装置としては、フローコーター(フロイント産業(株)製)、スパイラフロー(同社製)、アグロマスタ(ホソカワミクロン(株)製)、グローマックス(不二パウダル(株)製)等が挙げられる。造粒後、適宜、コーティング、分級を行なうことができる。
【0107】
▲3▼ 押出し造粒法
押出し造粒法は、粉末状植物活力剤、又は粉末状植物活力剤と肥料成分との混合物に、上述したバインダーや、滑剤、賦形剤等を加え捏和して可塑性を与えた後、押出し機構部により多数の孔を有するダイ、スクリーン面に押し付けて孔より押出して成形する方法であり、粒度均一な平均粒径0.3〜30mmの造粒体が得られる。
【0108】
バインダー又は滑剤に熱可塑性物質を使用する場合は加温してこれらが熱可塑性を呈する条件下で押出し造粒する。バインダーや滑剤及び賦形剤等は予めナウタミキサーなどにより前混合しておくことが好ましい。また、上述した撹拌転動造粒法、流動層造粒法によって得られた造粒体を更に押出し造粒することもできる。添加するバインダー量は特に制限されないが、生産性等の観点から、粉末状植物活力剤に対して5〜40重量%、特に10〜30重量%が好ましい。また、バインダーは、造粒制御の容易さ及び造粒体の保存安定性の観点から、分子量が400〜20,000、好ましくは600〜10,000の範囲のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが好ましい。
【0109】
好ましい押出し造粒装置としては、ペレッターダブル(不二パウダル(株)製)、ツインドームグラン(同社製)等が挙げられる。造粒後、適宜、後処理として粉砕、製粒(丸め)、分級を行ない、更に粒度を調整することもできる。散布性に優れており、比較的徐放性である植物活力剤造粒体を調製する場合には押出し造粒法が好適である。
【0110】
▲4▼ タブレッティング(打錠)/ブリケッティング/コンパクティング
タブレッティング(打錠)/ブリケッティング/コンパクティングはいずれも圧縮造粒法であり、粉塵性が低く、粒の大きさが揃った徐放性の植物活力剤造粒体を調製する場合に好適である。タブレッティングは、粉末状植物活力剤、又は粉末状植物活力剤と肥料成分の混合物を型の中に充填した後、杵により加圧する造粒方法を言う。また、回転する2本のロール間で粉末状植物活力剤、又は粉末状植物活力剤と肥料成分の混合物を圧縮、成形するロールプレス法の内、ロール表面に型が彫ってあるものをブリケッティング、型が彫っていないものをコンパクティングという。
【0111】
これら圧縮造粒法では、0.2〜5ton/cm2の高い圧縮力を粉末状植物活力剤、又は粉末状植物活力剤と肥料成分の混合物にかけることにより、バインダーを添加することなく造粒することができる為、非常に有効成分の高い造粒体を得ることが可能である。また、バインダーを添加する場合でも極少量で良く、粉末状植物活力剤に対して2〜10重量%程度で良い。コンパクティングで成形したフレークを、解砕する事により、圧密された1〜2mm以下の造粒体とする事も出来る。
【0112】
ブリケッティング装置のロール表面の型の形状としては、ピロー型、レンズ型、アーモンド型、プリズム型、波型等があり、適宜選択し使用できる。
【0113】
【実施例】
以下の製造例及び実施例において、粉末状植物活力剤の平均粒径又は平均乳化・分散径、植物活力剤造粒体の粒径は以下の方法で測定した。
【0114】
<粒径の測定法>
粉末状植物活力剤については、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)を用い、メジアン径を平均粒径又は平均乳化・分散径とした。分散溶媒には、粉末状植物活力剤の平均粒径を測定する場合はエタノール、乳化・分散径を測定する場合には水を使用した。又、乳化・分散径を測定する場合には、前処理として、粒子を水にスプーンで掻き混ぜる程度の撹拌で溶解・分散させ粉末溶解濃度が約1%の懸濁液を調製し、更に測定時に所定濃度に希釈した。測定においては、撹拌を中位(具体的には、測定装置LA−920の7段階の4)とし、懸濁液を添加して所定濃度に調整後、中位レベル(具体的には、測定装置LA−920の7段階の4)の超音波を1分間照射し分散径を測定した。また、植物活力剤造粒体の粒径は、ロータップ法又はノギスにて測定した。
【0115】
製造例1
ジャケット及びディスパー翼(φ190mm)を具備する350Lの攪拌槽に、イオン交換水を180kg仕込み、75℃まで昇温した。次いで、撹拌下、デキストリン(松谷化学工業(株)製パインデックス#2)48kg、エステル化化工澱粉(松谷化学工業(株)製エマルスター#30A)36kgを仕込み、溶解した。得られた水溶液に、溶融させたステアリルアルコール(花王(株)製カルコール8098)36kgを添加し、30分間乳化操作を行った。この時、ディスパー翼の撹拌速度を8m/s、槽内温度を75〜80℃に維持した。
【0116】
更に、上記の乳化液を、静止型乳化・分散機((株)フジキン製分散君15D型)を用い、循環処理(エレメント5組、処理流量2000L/h)し、O/W型の均質乳化液を得た。得られた均質乳化液の平均乳化・分散径は0.5μmであった。
【0117】
得られた均質乳化液を、噴霧乾燥機(アシザワ・ニロアトマイザー(株)製AD−0506N/R型)を用い、乳化液供給量40kg/h、送風温度180℃、アトマイザー回転数4000r/min(φ120mm)の条件で噴霧乾燥し、粉末状植物活力剤を得た。得られた粉末状植物活力剤は、含油率((A)成分の含有量)30.3重量%、平均粒径206μmであった。
【0118】
製造例2
ジャケット及びディスパー翼(φ190mm)を具備する350Lの攪拌槽に、イオン交換水を135kg仕込み、次いで、撹拌下、エステル化化工澱粉(松谷化学工業(株)製エマルスター#30)49.5kg、デキストリン(松谷化学工業(株)製パインデックス#2)66kgを仕込み、90℃まで昇温しつつ溶解した。90℃に昇温後10分間保持し、次いで、ステアリルアルコール(花王(株)製カルコール8098)49.5kgを添加し、30分間撹拌した。この時、ディスパー翼の撹拌速度を8m/s、槽内温度を75〜80℃に維持した。
【0119】
更に、上記の乳化液を、T.K.パイプラインホモミクサー(特殊機化工業(株)製PL−2SL型)を用い、回転数6600r/min、処理流量2800kg/hで循環処理し、O/W型の均質乳化液を得た。得られた均質乳化液の平均乳化・分散径は2.2μmであった。
【0120】
得られた均質乳化液を、噴霧乾燥機(アシザワ・ニロアトマイザー(株)製AD−0506N/R型)を用い、乳化液供給量60kg/h、送風温度200℃、アトマイザー回転数7000r/min(φ120mm)の条件で噴霧乾燥し、粉末状植物活力剤を得た。得られた粉末状植物活力剤は、含油率((A)成分の含有量)30重量%、平均粒径215μmであった。
【0121】
製造例3
容量100Lのナウタミキサー(ホソカワミクロン(株)製、NX−1)に、デキストリン(松谷化学(株)製、商品名;パインデックス#2)19.5kg、製造例1で得られた粉末状植物活力剤10kg、クエン酸3Na(和光純薬(株)製)1.25kg、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王(株)製、商品名;デモールN)0.25kg、ラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)製、商品名;エマール10P)0.25kg、水溶性園芸肥料OKF2(大塚化学(株)製、組成はN:P:K=14:8:16である。)18.75kgを仕込み、自転96r/min、公転3.3r/minの条件で15分間混合し、50kgの混合物を得た。
【0122】
実施例1
ハイスピードミキサ(LFS−GS−2J:深江パウテック(株)製)に、製造例2で得られた粉末状植物活力剤を160g仕込み、ジャケットに70℃の温水を通しながら60秒撹拌を行なった。粉末状植物活力剤の温度は62℃であった。この時のブレード回転数は1200r/min、チョッパー回転数は850r/minとした。次に、予め80℃に加熱溶融したポリエチレングリコール(KPEG−6000LA:花王(株)製)を1g/secの速度で40.2g添加した。添加終了後排出し、65℃の粉末164gを得た。次いで、ドームグラン(DG−L1:不二パウダル(株)製)に、得られた粉末150gを仕込み、φ1.5mmのスクリーンを用い、回転周波数20Hzで押出し造粒を行なった。尚、ドームグランは電気乾燥機内で予め80℃に暖機して用いた。得られた押出し造粒体は、放冷した後軽く粉砕し、平均粒径3mmの造粒体を得た。得られた造粒体は、有効成分の染み出しや粉立ちもなく、水に投入すると速やかに水中に分散したあと溶解した。この溶液の平均乳化・分散径は、2.0μmであった。
【0123】
実施例2
粉末成形機(MODEL−1321S:三協電業(株)製)に、製造例3で得られた混合物を0.6g仕込み、荷重設定700kg、ホールド時間120secで成形した。得られた造粒体は直径10mm、厚さ5.5mmであった。得られた造粒体は、有効成分の染み出しや粉立ちもなく、水中に投げ込むと徐々に溶解した。完全に溶解した後、平均乳化・分散径を測定したところ、0.57μmであった。
【0124】
実施例3
ハイスピードミキサ(LFS−GS−2J:深江パウテック(株)製)に、製造例2で得られた粉末状植物活力剤を200g仕込み、ジャケットに70℃の温水を通しながら60秒撹拌を行なった。その後、撹拌を行ないつつ2g/secの添加速度で水を23g滴下した。この時のブレード回転数は1200r/min、チョッパー回転数は850r/minとした。滴下終了後10分間撹拌を行なった後排出し、平均粒径2〜4mmの造粒体を得た。尚、得られた造粒体を水に完全に溶解した後、平均乳化・分散径を測定したところ、2.4μmであった。更にこの造粒体は、有効成分の染み出しや粉立ちもなく、肥料散布機(OA−24:向井工業(株)製)を用いて散布可能であった。
【0125】
比較例1
2Lミキサー(三井・三池エンジニアリング(株)製 HIGH SPEED MIXER UM2E型)に、多孔性デキストリン(松谷化学工業(株)製 パインフロー)200gを仕込み、攪拌下、予め70℃で溶融・混合したステアリルアルコール(花王(株)製 カルコール8098)36gとポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王(株)製 レオドールTW L−106)108gの混合物を滴下・攪拌混合し、デキストリンに1価アルコール及び常温液状界面活性剤が吸着した含油率10%の粉末状植物活力剤を得た。得られた粉末状植物活力剤は、平均粒径110μmであった。
【0126】
次に、得られた粉末状植物活力剤を実施例2と同様の条件で圧縮成型したが、有効成分の染み出しが多く、満足な造粒体が得られなかった。
【0127】
【発明の効果】
本発明の植物活力剤造粒体は、水と接触すると速やかに溶解・分散し、それが植物に供給されると効率的に植物の活力を向上させることが可能な粉末状植物活力剤を更に造粒した造粒体である。該粉末状植物活力剤は液状成分の染み出しが無い為、成形加工に適しており、略球状顆粒、円柱状ペレット、ブリケット、タブレット等へ造粒することにより、粉塵が抑えられ更に取り扱い上好ましくなる。また、造粒体とすることで肥料散布機等を利用した直接散布も可能となり、田畑に数個投げ込むだけで使用できるなど利便性も向上する。更には、粒径を大きくすることでいわゆる継粉形成を抑制し、水への初期分散性を向上させたり、造粒時の圧密度や用いるバインダー種/量等の造粒条件により徐放性を付与することも可能である。初期分散性の向上は植物活力剤を一度水に溶解して散布する際に非常に重要である。一方、徐放性の付与は一回の散布で持続した植物活力能を植物に供することができるため、植物活力剤の散布頻度を減らすことができ、作業の利便性、簡略化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる粉末状植物活力剤の粒子構造の一例を示す略示断面図である。
【図2】 多孔質状の粉体に(A)成分を吸着(含浸)させたものの一例を示す略示断面図である。
Claims (6)
- 下記(A1−1)及び(A1−4)から選ばれる1種以上の植物活力能を有する化合物(A)、水溶性蛋白質及びエステル化化工澱粉から選ばれる1種以上の乳化・分散剤(B)、及び水溶性糖類(C)を含有する粒子であって、化合物(A)が該粒子内に平均粒径0.05〜50μmの油滴の状態で分散した構造を有する粒子からなる粉末状植物活力剤を含有する植物活力剤造粒体。
(A1−1):CH3(CH2)o−1OH(oは12〜24の整数)で表される1−アルカノール
(A1−4):オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール(α又はβ)、リシノイルアルコール及びフィトールから選ばれる1種以上の不飽和長鎖アルコール - 化合物(A)が、(A1−1)から選ばれる1種以上である請求項1記載の植物活力剤造粒体。
- (A1−1)が、炭素数16〜20の1−アルカノールである請求項1又は2記載の植物活力剤造粒体。
- 更に、肥料成分を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の植物活力剤造粒体。
- 請求項1記載の(A1−1)及び(A1−4)から選ばれる1種以上の植物活力能を有する化合物(A)、水溶性蛋白質及びエステル化化工澱粉から選ばれる1種以上の乳化・分散剤(B)、水溶性糖類(C)及び水を含有するO/W型の乳化物を調製し、該乳化物を乾燥させて粉末状植物活力剤を得る工程、該工程で得られた粉末状植物活力剤を更に造粒する工程を有する請求項1〜3のいずれかに記載の植物活力剤造粒体の製造法。
- 請求項1記載の(A1−1)及び(A1−4)から選ばれる1種以上の植物活力能を有する化合物(A)、水溶性蛋白質及びエステル化化工澱粉から選ばれる1種以上の乳化・分散剤(B)、水溶性糖類(C)及び水を含有するO/W型の乳化物を調製し、該乳化物を乾燥させて粉末状植物活力剤を得る工程、該工程で得られた粉末状植物活力剤を肥料成分と共に更に造粒する工程を有する請求項4記載の植物活力剤造粒体の製造法。
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