JP4318472B2 - 非水電解液電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液電池の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非水電解液二次電池の負極材料として、黒鉛、コークスなどの炭素材料が提案されており、これらは既に実用化されている。中でも、黒鉛はリチウム金属電位近傍で非常に卑な放電電位を示し、高エネルギー密度の非水電解液二次電池を得ることができ、信頼性に優れている。しかしながら、今後の大幅な高エネルギー密度化及び大型化がなされた場合には、さらに信頼性を向上させることが望まれている。信頼性を向上させるため、非水電解液として自己消火性を有するものが求められている。
【0003】
特許文献1においては、自己消火性のある化合物として知られているリン酸エステル類を電解液に添加することが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−184870号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、炭素材料を活物質とする負極と、リン酸エステル類を混合した電解液とを組み合わせた非水電解液二次電池においては、初期の充電時に、リン酸エステル化合物が還元されて分解するため、十分な電池特性が得られないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、信頼性が高く、かつ負極の放電特性に優れた非水電解液電池の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の製造方法は、正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と、5体積%以上のリン酸エステルを含む非水電解液とを備える非水電解液電池を製造する方法であり、非水電解液注入後の最初の充電を、10時間率以下の電流値で電池容量の10%以上充電することによって、X線光電子分光法により算出される負極表面のP/C(リン/炭素)比を1.6×10−3以下としたことを特徴としている。
【0008】
本発明に従い、非水電解液注入後の最初の充電を10時間率以下の電流値で行うことにより、X線光電子分光法により算出される負極表面のP/C比を1.6×10-3以下とすることができる。従って、負極表面に、リンの含有量が所定量以下である被膜を形成することができる。この被膜は、炭素表面において安定で、かつリチウムイオンの透過性に優れた被膜であるため、電池の信頼性を確保することができ、負極の放電特性に優れた非水電解液電池とすることができる。
【0009】
従って、本発明の非水電解液電池は、正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と、リン酸エステルを含む非水電解液とを備える非水電解液電池であり、X線光電子分光法により算出される、放電後の負極表面のP/C比が1.6×10-3以下であることを特徴としている。
【0010】
本発明におけるX線光電子分光法により算出される炭素表面のP/C比は、負極表面の被膜に含まれるリンの含有量を表すパラメータである。上述のように、P/C比を1.6×10−3以下となるように被膜を形成することにより、信頼性が高く、放電特性に優れた負極を形成することができる。P/C比が、この値よりも大きくなると、リチウムイオンが透過しにくい被膜となり、放電特性が低下する。本発明においては、リン含有化合物が非水電解液中において、5体積%以上含まれていることが好ましい。このような観点から、負極表面のP/C比は、5.0×10−5以上であることが好ましい。
【0011】
本発明における負極表面のP/C比は、使用する溶媒・溶質、被膜を形成する添加剤の量・種類、負極材料の表面状態、電池組み立て時の初回の充電電流値などにより制御することができる。特に、非水電解液注入後の最初の充電を10時間率以下の電流値で行うことにより、本発明で規定するP/C比を容易に得ることができる。特に、最初の充電工程において、10時間率以下の電流値で電池容量の10%以上を充電することが好ましい。その後は、10時間率より大きい電流密度で充電を行うことも可能である。
【0012】
本発明におけるP/C比は、以下のようにして求めることができる。すなわち、アルゴン雰囲気下にて、負極をジエチルカーボネート(DEC)で洗浄した後、所定の大きさにサンプルを切り出し、X線光電子分光装置を用いて、アルゴン(Ar)イオンスパッタ法により、5分間スパッタした後、X線光電子分光法により解析して、表面組成を算出する。表面をスパッタするのは、負極表面に付着した溶質などの塩の影響が少ないところで測定するためである。スパッタは、SiO2換算で50nmの深さに相当する深さまで行うことが好ましい。
【0013】
本発明においては、電解液注入後の最初の充電を、10時間率以下の電流値で行っている。すなわち、電解液注入後の最初の充電を、0.1C(=0.1It)以下の電流値で行っている。
【0014】
本発明において用いられる負極活物質は、炭素材料である。炭素材料の中でも、黒鉛系材料が好ましく用いられる。特に、X線回折により求められる(002)面の面間隔(d002)が0.335〜0.338nmの範囲であり、かつc軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が30nm以上である黒鉛系材料は、高い放電容量を示すので好ましく用いられる。面間隔(d002)はさらに0.335〜0.336nmの範囲が好ましく、Lcは100nm以上であることがさらに好ましい。
【0015】
また、本発明で用いられる炭素材料は、X線回折による(002)面のピーク強度I002と(110)面のピーク強度I110の比(I110/I002)が、5×10-3〜1.5×10-2の範囲であることが好ましい。このような範囲内であることにより、高率での放電特性がさらに優れる。
【0016】
本発明で用いられる炭素材料として、芯材となる第1の炭素材料とその表面の一部または全部を被覆する第1の炭素材料より結晶性の低い第2の炭素材料から構成された炭素複合材料が挙げられる。黒鉛の表面の一部または全部を黒鉛より結晶性の低い炭素材料で被覆することにより、炭素表面に安定でかつリチウムイオンの透過性に優れた被膜が形成され易くなる。このため、リン含有化合物の還元分解が抑制され、放電特性に優れた非水電解液電池とすることができる。
【0017】
上記炭素複合材料の合成方法としては、芯材となる炭素材料を炭化可能な有機化合物と混合して焼成する方法や、芯材となる炭素材料に有機化合物蒸気を高温条件下で一定時間導入して処理する方法(CVD法)などが挙げられる。
【0018】
混合して焼成する有機化合物としては、例えば、ピッチやタール、またはフェノールホルムアルデヒド樹脂、フルフリールアルコール樹脂、カーボンブラック、塩化ビニリデン、セルロース等を使用することができ、これらの有機化合物をメタノール、エタノール、ベンゼン、アセトン、トルエン等の有機溶媒に溶解して使用することができる。有機化合物の溶液に芯材となる炭素材料を浸漬させ、有機化合物の溶液から取り出した後、表面に付着した有機化合物を、不活性雰囲気下で500〜1800℃、好ましくは700〜1400℃で炭化することにより製造することができる。
【0019】
CVD法で用いられる有機化合物としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、シクロペンテンなどの炭化水素類またはその誘導体を使用することができる。これらの有機化合物を加温、蒸気化させた後、窒素や不活性ガスをキャリアーとして芯材となる炭素材料を収納した反応容器に送り込むことにより炭素複合材料を製造することができる。なお、このときの芯材となる炭素材料の処理温度は500〜1800℃が好ましく、700〜1400℃がより好ましい。
【0020】
本発明において用いる炭素材料は、ラマン分光法により求められるR値(ID/IG)が0.1〜0.5の範囲であることが好ましい。このような範囲内とすることにより、放電特性を高めることができる。R値(ID/IG)は、レーザーラマンスペクトル測定による1580cm-1付近のピーク強度(IG)に対する1360cm-1付近のピーク強度(ID)の比により算出することができる。1580cm-1付近のピークは、黒鉛構造に近い六方対称性を有した積層構造に対応しており、一方1360cm-1付近のピークは、非晶質構造に対応している。従って、R値(ID/IG)は、炭素材料の表層における非晶質部分の割合が大きい程大きな値を示す。炭素材料表面における結晶性が低いと、より均一で緻密な被膜が表面に形成される。安定で、かつリチウムイオンの透過性に優れた被膜がこのように均一でかつ緻密に形成されることにより、リン含有化合物の還元分解がさらに有効に抑制される。従って、ラマン分光法により求められるR値(ID/IG)が0.1以上の炭素材料を用いることにより、優れた放電特性が得られる。逆に、R値(ID/IG)が0.5より大きくなると、表面が非晶質な状態になりすぎるため、充放電効率の低下などを引き起こす。R値(ID/IG)は、0.1〜0.5の範囲が好ましく、0.2〜0.5の範囲がより好ましい。
【0021】
本発明において、炭素材料は、常法に従い、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の結着剤と混合し、合剤として負極に用いられる。
【0022】
本発明においては、リン酸エステルが非水電解液中に含まれている。リン酸エステルは、溶媒として含まれてもよいし、溶質として含まれてもよいし、添加剤として含まれてもよい。
【0023】
リン酸エステルの含有量としては、溶媒全体において5体積%以上含まれていることが好ましい。さらに好ましくは、10〜50体積%の範囲内である。リン酸エステル化合物としては、鎖状リン酸エステル及び環状リン酸エステルが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、併用してもよい。
【0024】
リン酸エステル化合物の具体例としては、以下の一般式〔1〕で表される鎖状リン酸エステルが挙げられる。
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、R1、R2、及びR3は、炭素数1以上のアルキル基を示す。)
上記一般式〔1〕において、R1、R2、及びR3で示されるアルキル基は、好ましくは、炭素数20以下のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数8以下のアルキル基である。また、R1、R2、及びR3のいずれか少なくとも1つは、メチル基であることが好ましい。このようなリン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジエチルホスフェートなどが挙げられる。
【0027】
本発明において、非水電解液には、被膜形成添加剤として、C=Cの二重結合を有する環状炭酸エステルが含有されていることが好ましい。このような環状炭酸エステルとしては、例えば、ビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、4,5−ジプロピルビニレンカーボネート、4−エチル−5−メチルビニレンカーボネート、4−エチル−5−プロピルビニレンカーボネート、4−メチル−5−プロピルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどが挙げられる。これらの中でも、特にビニレンカーボネートが、放電特性に優れているため好ましい。これらの環状炭酸エステル化合物の含有量は、溶質と溶媒を含めた非水電解液100重量部に対して、1〜15重量部であることが好ましく、さらには、2〜10重量部であることが好ましい。
【0028】
このような範囲内で上記環状炭酸エステルを含有させることにより、放電特性をさらに良好にすることができる。
本発明において用いる非水電解液には、上記リン酸エステル、及びC=Cの二重結合を有する環状炭酸エステルの他に、環状エステル化合物を溶媒として用いることが好ましい。このような環状エステル化合物としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル、並びにγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの中でも、特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びこれらの混合溶媒が好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
また、非水電解液の溶媒としては、通常用いられる非水溶媒を用いることができ、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等の炭酸エステル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類を用いることができる。
【0030】
本発明において用いる非水電解液の溶質としては、従来より非水電解液電池に用いられる溶質を用いることができる。例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(ClF2l+1SO2)(CmF2m+1SO2)(l、mは1以上の整数)、LiC(CpF2p+1SO2)(CqF2q+1SO2)(CrF2r+1SO2)(p、q、rは1以上の整数)等が挙げられる。これらの溶質は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。溶質の非水電解液中における濃度は、特に限定されるものではないが、一般には0.1〜1.5モル/リットルが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5モル/リットルである。
【0031】
本発明において正極に用いる正極材料としては、従来より非水電解液電池の正極材料として用いられているものを用いることができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)等のリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。これらに、アセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の結着剤とを混合し合剤として、正極を作製することができる。
【0032】
本発明の非水電解液電池は、非水電解液一次電池及び非水電解液二次電池の両方を含むものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明は実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0034】
(実施例1)
〔作用極の作製〕
黒鉛粉末(d002=0.3356nm、Lc>100nm、I110/I002=1.1×10-2、R(ID/IG)=0.16)を負極活物質とし、この負極活物質97.5重量部に、スチレンブタジエンゴム(SBR)1重量部、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)1.5重量部を混合して負極合剤とし、これを水に分散させてスラリーを作製した。このスラリーを銅箔の片面に塗布し、乾燥した後、圧延して直径20mmの円板に切り出して作用極を作製した。
【0035】
〔対極の作製〕
所定の厚みのリチウム圧延板から直径20mmの円板を打ち抜いて対極を作製した。
【0036】
〔電解液の調製〕
リン酸トリメチル(TMP)及びγ−ブチロラクトン(GBL)の体積比(TMP:GBL)50:50の混合溶媒に、溶質としての四フッ化ホウ酸リチウムを1.2モル/リットルの割合となるように溶解させた。この非水電解液100重量部に対して、5重量部のビニレンカーボネート(VC)及び5重量部のリン酸トリオクチル(TOP)を添加し、非水電解液を調製した。なお、リン酸トリオクチルは、セパレーターの含液性を向上させるための界面活性剤である。
【0037】
〔評価用電池の作製〕
上記の作用極、対極及び電解液を用いて、扁平型の評価用電池A1(電池寸法:直径24.0mm、厚さ3.0mm)を作製した。なお、セパレーターとしては、ポリエチレン製の微多孔膜を使用し、これに上記の非水電解液を含浸させた。
【0038】
上記の評価用電池は、本発明における負極と電解液の充放電特性を評価するためのものである。従って、作用極を電気化学的に放電する方向に電流を通じると、作用極である負極にリチウムイオンが吸蔵されて充電される。また、作用極が電気化学的に充電する方向に電流を通じると、負極からリチウムイオンが放出されて放電される。この評価用電池は、電気容量的に金属リチウムが大過剰の状態で構成されている。
【0039】
〔評価用電池による充放電特性の評価〕
上記の評価用電池A1について、初回の負極への充電(電気化学的には放電)を25mA/gの電流密度で行ない、終止電圧を0.0Vとした。なお、25mA/gの電流密度は、電池における15時間率(0.067C)に相当する。その後、0.0Vの定電圧充電を行ない、終止電流密度を7.5mA/gとした。次に、電流密度25mA/gの定電流で1.0Vまで放電(電気化学的には充電)し、負極の放電容量を測定した。この時の充放電効率を表1に示した。
【0040】
〔反応抵抗の測定〕
交流インピーダンス法により、上記の負極(作用極)における電荷移動の反応抵抗を測定した。測定結果を表1に示す。
【0041】
〔P/C比の測定〕
上記の放電後の負極(作用極)を、アルゴン雰囲気下にて、ジエチルカーボネート(DEC)で洗浄した後、所定の大きさに切り出し、このサンプルをX線光電子分光装置を用いてアルゴン(Ar)イオンスパッタ法にて、5分間スパッタした後、X線光電子分光法により解析して、表面組成を算出した。なお、スパッタによりSiO2換算で50nmの深さまで表面を除去した。
表面組成の算出から得られたP/C比の値を表1に示す。
【0042】
(比較例1)
上記実施例1と同様にして作製した負極(作用極)について、上記と同様に評価用電池X1を作製し、初回の負極への充電時の電流密度を300mA/g(電池における1.25時間率(0.8C)に相当)として充電する以外は、上記実施例1と同様にして充放電効率、反応抵抗、及びP/C比を測定した。
【0043】
(比較例2)
溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いず、リン酸トリメチル(TMP)のみを溶媒として用いる以外は、上記実施例1と同様にして電解液を調製し、この電解液を用いて比較のための評価用電池X2を作製した。実施例1と同様の条件で充放電を行ない、実施例1と同様にして充放電効率、反応抵抗、及びP/C比を測定した。測定結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すように、初回の負極への充電を15時間率(1/15C)で行った電池A1においては、負極表面のP/C比が1.3×10-3であるのに対し、初回の負極への充電を1.25時間率(1/1.25C)で行った電池X1については、P/C比が1.7×10-3となっている。P/C比が1.6×10-3以下である電池A1は、比較の電池X1に比べ、充放電効率が高く、反応抵抗が低くなっており、放電特性が優れていることがわかる。これは、負極の表面に、安定でかつリチウムイオンの透過性に優れた被膜が形成されたためであると考えられる。
【0046】
非水電解液の溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いずに、リン酸トリメチルのみを用いた電池X2においては、初回の負極への充電を15時間率(1/15C)で行っているが、充放電効率は0%であり、また反応抵抗も非常に大きくなっている。これは、炭素表面に形成された被膜中のリンの含有量が多すぎるため、リチウムイオンを透過しにくい被膜になっているものと考えられる。
【0047】
以上のことから、X線光電子分光法により算出される負極表面のP/C比が1.6×10-3以下であることにより、放電特性に優れた負極にすることができ、信頼性に優れた非水電解液電池とすることが可能であることがわかる。
【0048】
上記の実施例では、負極及び電解液を評価するために、評価用電池を作製して評価したが、本発明は、一般的な非水電解液二次電池及び一次電池などの非水電解液電池に適用することが可能なものである。例えば、正極活物質にリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)などを用いたいわゆるロッキングチェア型の非水電解液二次電池においても、上記と同様の効果を得ることができる。また、電池の形状においても何ら制限されるものではなく、円筒型、角型、扁平型など種々の形状の非水電解液電池に適用し得るものである。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、信頼性が高く、かつ負極の放電特性に優れた非水電解液電池とすることができる。
Claims (3)
- 正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と、5体積%以上のリン酸エステルを含む非水電解液とを備える非水電解液電池を製造する方法であって、前記非水電解液注入後の最初の充電を、10時間率以下の電流値で電池容量の10%以上充電することによって、X線光電子分光法により算出される前記負極表面のP/C(リン/炭素)比を1.6×10−3以下としたことを特徴とする非水電解液電池の製造方法。
- 前記非水電解液がC=Cの二重結合を有する環状炭酸エステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解液電池の製造方法。
- 前記環状炭酸エステルがビニレンカーボネートであることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液電池の製造方法。
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